JP3365350B2 - ジョイントコネクタ及びジョイントコネクタの組付け治具 - Google Patents

ジョイントコネクタ及びジョイントコネクタの組付け治具

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JP3365350B2
JP3365350B2 JP15264599A JP15264599A JP3365350B2 JP 3365350 B2 JP3365350 B2 JP 3365350B2 JP 15264599 A JP15264599 A JP 15264599A JP 15264599 A JP15264599 A JP 15264599A JP 3365350 B2 JP3365350 B2 JP 3365350B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ジョイントコネク
タに関するものである。
【0002】
【従来の技術】端子金具の半挿入を検知する機能を備え
たコネクタとして、特開平9−106847号に開示さ
れているものがある。これは、ハウジングにキャビティ
を形成するとともに、キャビティには端子金具を抜止め
するためのランスをハウジングの外面に臨ませて形成
し、ハウジングの外面に沿わせてリテーナを外嵌するよ
うにしたものである。端子金具が正規挿入されている場
合には、ランスがハウジングの外面と面一となるので、
リテーナはランスと干渉せずにハウジングに組み付ける
ことができるが、端子金具が半挿入状態のときには、ラ
ンスが端子金具の側面と干渉してハウジングの外面から
外側へ突出するため、リテーナが組み付けられるときに
ランスに突き当たって組み付けを規制される。このよう
に、リテーナの組付けの可否により、端子金具の挿入状
態を検知することができる。
【0003】ところで、本願出願人は、次のようなジョ
イントコネクタを創案した。これは、図11に示すよう
に、複数のキャビティ101が並列して形成されたハウ
ジング100と、前方からハウジング100の外面に沿
うように組み付けられるバスバー体104と、ハウジン
グ100を覆うように組み付けられるキャップ105と
を備えてなり、ハウジング100の後方からキャビティ
101内に端子金具(図示せず)を挿入し、バスバー体
104のバスバー104Bを端子金具に接続することで
端子金具同士を短絡させるようにしたものである。
【0004】かかるジョイントコネクタに対して上記し
た端子金具の挿入検知構造を適用しようとすると、端子
金具を抜け止めするためのランス(図示せず)をハウジ
ング100の外面に臨ませて形成し、端子金具が正規挿
入されているときにはランスがハウジング100の外面
と面一となり、端子金具が半挿入のときには、ランスが
ハウジング100の外面から突出してバスバー体104
の筒部104Aと干渉するような構造とすればよい。か
かる構造により、ハウジング100へのバスバー体10
4の組付けの可否に基づいて端子金具の挿入状態を検知
することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のようにバスバー
体104を利用して端子金具の挿入検知を行おうとした
場合、次のような問題が生じる。即ち、端子金具が半挿
入状態の場合には、バスバー体104の組付け過程で筒
部104Aがランスと干渉することによって組み付け抵
抗が発生し、その組み付け抵抗が発生したことをもって
端子金具が半挿入である旨を検知するのであるが、同じ
くバスバー体104の組付け過程では、バスバー104
Bが端子金具と嵌合してその摩擦に起因する組付け抵抗
も発生する。そのため、作業者がランスとの干渉に起因
する組み付け抵抗を感得したときに、その組み付け抵抗
が端子金具との摩擦に起因するものと勘違いし、そのま
ま無理に組付けを続けることによってランスを破損させ
ることが懸念される。逆に、端子金具との摩擦に起因す
る組み付け抵抗をランスとの干渉が原因であると勘違い
し、端子金具の挿入状態を見直すという無駄な作業を行
うことになる。
【0006】本願発明は上記事情に鑑みて創案され、端
子金具の半挿入検知を確実に行うことができるようにす
ることを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、端子
金具が挿入される複数のキャビティを有するハウジング
と、前記キャビティに正規挿入された前記端子金具に係
止することによりその端子金具を抜け止め可能であり、
前記ハウジングの外面に露出させるとともに外側への弾
性変位を可能に設けたランスと、複数のタブ片を筒部内
に収容してなり、前記ハウジングに対し前記筒部を外嵌
させるように組み付けて前記タブ片を前記端子金具に接
触させることで前記端子金具同士を短絡させるバスバー
体とを備えており、前記端子金具が正規挿入されている
状態では、前記ランスは、前記筒部と非干渉であって前
記ハウジングに対する前記バスバー体の組付けを許容す
る位置にあり、半挿入状態の前記端子金具が存在すると
きには、その端子金具との干渉により前記ランスが前記
ハウジングの外側へ弾性変位して、そのランスの先端部
に前記筒部が突き当たることで前記バスバー体の組付け
が規制されるようにされ、前記バスバー体の組付けの可
否に基づいて前記端子金具の挿入状態を検知するように
したジョイントコネクタであって、前記ハウジングに対
する前記バスバー体の組付け過程において前記端子金具
を短絡させる正規の組付け位置よりも手前の仮係止位置
に前記バスバー体を保持可能な仮係止手段を設け、前記
仮係止位置は、前記バスバー体の組付け方向において、
前記端子金具の半挿入に起因して前記バスバー体が前記
ランスと突き当たる位置よりも奥方の位置に設定され、
且つ、前記バスバー体が組付けを開始してから前記仮係
止位置に至る間は、前記タブ片が前記端子金具と非接触
の状態を維持する構成とされたジョイントコネクタにお
いて、組付け治具にセットした状態で前記バスバー体を
前記仮係止位置にある状態から前記正規の組付け位置へ
変位させるようになっており、前記バスバー体が前記ハ
ウジングへの組付け開始から前記仮係止位置に至る間の
位置にある状態では前記組付け治具へのセットが規制さ
れ、且つ前記バスバー体が前記仮係止位置にある状態で
のみ前記取付け治具へのセットが許容される構成とし
た。
【0008】請求項2の発明は、端子金具が挿入される
複数のキャビティを有するハウジングと、前記キャビテ
ィに正規挿入された前記端子金具に係止することにより
その端子金具を抜け止め可能であり、前記ハウジングの
外面に露出させるとともに外側への弾性変位を可能に設
けたランスと、複数のタブ片を筒部内に収容してなり、
前記ハウジングに対し前記筒部を外嵌させるように組み
付けて前記タブ片を前記端子金具に接触させることで前
記端子金具同士を短絡させるバスバー体とを備えてお
り、前記端子金具が正規挿入されている状態では、前記
ランスは、前記筒部と非干渉であって前記ハウジングに
対する前記バスバー体の組付けを許容する位置にあり、
半挿入状態の前記端子金具が存在するときには、その端
子金具との干渉により前記ランスが前記ハウジングの外
側へ弾性変位して、そのランスの先端部に前記筒部が突
き当たることで前記バスバー体の組付けが規制されるよ
うにされ、前記バスバー体の組付けの可否に基づいて前
記端子金具の挿入状態を検知するようにしたジョイント
コネクタであって、前記ハウジングに対する前記バスバ
ー体の組付け過程において前記端子金具を短絡させる正
規の組付け位置よりも手前の仮係止位置に前記バスバー
体を保持可能な仮係止手段を設け、前記仮係止位置は、
前記バスバー体の組付け方向において、前記端子金具の
半挿入に起因して前記バスバー体が前記ランスと突き当
たる位置よりも奥方の位置に設定され、且つ、前記バス
バー体が組付けを開始してから前記仮係止位置に至る間
は、前記タブ片が前記端子金具と非接触の状態を維持す
る構成とされているジョイントコネクタをセットして前
記バスバー体を前記仮係止位置にある状態から前記正規
の組付け位置へ変位させるためのジョイントコネクタの
組付け治具であって、前記バスバー体が前記ハウジング
への組付け開始から前記仮係止位置に至る間の位置にあ
る状態では前記ジョイントコネクタのセットを規制し、
且つ前記バスバー体が前記仮係止位置にある状態でのみ
前記ジョイントコネクタのセットを許容する構成とし
た。
【0009】
【発明の作用及び効果】[請求項1及び請求項2の発
明] バスバー体をハウジングに組み付ける過程では、組付け
を開始してから、端子金具の半挿入に起因するランスと
バスバー体との突き当て位置を経て、仮係止位置に至る
間は、バスバー体はそのタブ片と端子金具との接触に起
因する抵抗を受けず、仮係止位置を通過した後にタブ片
と端子金具との接触が開始する。これにより、ランスへ
の突き当たりに起因してバスバー体が受ける組付け抵抗
と、端子金具とタブ片との接触に起因する組み付け抵抗
とを明確に判別し、ひいては、端子金具の挿入状態を確
実に検知することができる。
【0010】また、端子金具の半挿入を看過したままジ
ョイントコネクタをセットしようとしても、バスバー体
はランスに突き当たった位置にあるので、ジョイントコ
ネクタをセットすることはできない。これにより、半挿
入状態の端子金具が存在することが検知される。
【0011】
【発明の実施の形態】[実施形態1]以下、本発明を具
体化した実施形態1を図1乃至図10を参照して説明す
る。本実施形態のジョイントコネクタは、ハウジング1
0、複数の端子金具20、シール部材30、シールホル
ダ40、2つのバスバー体50及びキャップ60から構
成され、複数の端子金具20を複数のバスバー55によ
り所定の短絡パターンで短絡させるものである。
【0012】<ハウジング10>ハウジング10は合成
樹脂材からなり、ハウジング10内には前後方向に貫通
する複数室のキャビティ11が上下2段に分かれ、且つ
各段毎に横一列に一定ピッチで整列して形成されてい
る。上段のキャビティ11のほぼ前半領域及び下段のキ
ャビティ11のほぼ前半領域は、夫々、ハウジング10
の上面及び下面に開放され、各開放部分には、夫々、前
方へ片持ち状に突出するランス12が形成されている。
また、上段のキャビティ11列と下段のキャビティ11
列との間には、バスバー体50の周壁を入り込ませるた
めの横長スリット状の凹部13が形成されている。尚、
この凹部13の上面壁と下面壁は、夫々、上段のキャビ
ティ11と下段のキャビティ11とに連通するように部
分的に切欠されている。
【0013】ここで、ランス12について詳細に説明す
る。ランス12は、キャビティ11に挿入された端子金
具20を抜止め状態に保持するとともに、後述するよう
にバスバー体50の筒部53と協動することで端子金具
20の挿入状態を検知する機能も発揮する。即ち、ラン
ス12はハウジング10の外面に露出するように配され
ており、キャビティ11に対し端子金具20が未挿入の
状態及び正規挿入された状態では、ランス12は自由状
態となっていてそのランス12の外面がハウジング10
の外面と面一状となる。この状態ではランス12の突起
状の先端部が端子金具20の係止孔24に係止されて端
子金具20が抜止め状態となる(図6の下の段を参
照)。また、端子金具20が正規挿入位置に至らない半
挿入位置にある場合には、ランス12の先端部が端子金
具20の嵌合部21の外面と干渉するためにランス12
は外側へ弾性変位し、ランス12の先端部がハウジング
10の外面から突出するようになる(図6の上の段を参
照)。この状態では、バスバー体50がハウジング10
に組み付けられる過程で、バスバー体50の筒部53が
ランス12の前端部に突き当たり、バスバー体50のそ
れ以上の組付け動作が規制されることになる。
【0014】<端子金具20>端子金具20は、所定形
状に打ち抜いた金属板材を曲げ加工してなり、略前半部
分が前後両方向に開口する角筒形の嵌合部21とされて
いるとともに、略後半部分が電線25が圧着された電線
接続部22とされている。嵌合部21の内部には、バス
バー体50のタブ片57と弾性接触するための弾性接触
片23が形成され、嵌合部21の周壁板にはハウジング
10のランス12と係止する係止孔24が形成されてい
る。かかる端子金具20は、シール部材30とシールホ
ルダ40が組み付けられているハウジング10のキャビ
ティ11に対し、後方からシールホルダ40とシール部
材30を貫くようにして挿入される。端子金具20が正
規挿入位置に至る直前では、ランス12が嵌合部21の
周壁外面と干渉するためランス12がハウジング10の
外側へ突き出すように弾性変位し、端子金具20が正規
挿入位置に至るとランス12が弾性復帰して係止孔24
に係止し、もって端子金具20が抜止め状態とされる。
尚、端子金具20をハウジング10に挿入する際には、
上段のキャビティ11に対する挿入姿勢と下段のキャビ
ティ11に対する挿入姿勢とが上下対称となる。
【0015】<シール部材30>シール部材30は、ゴ
ム製であって、長円形の厚板状をなし、ハウジング10
の後端面とシールホルダ40の前端面との間に挟まれる
ように組み付けられる。シール部材30には、その前後
両面に開口する複数のシール孔31がハウジング10の
各キャビティ11と整合する配置で形成されている。こ
のシール孔31は円形をなし、その内周面には山形断面
をなす3条のリップ部31Aが周方向に形成され、この
リップ部31Aの内径は電線25の外径よりも小さく設
定されている。このシール孔31には電線25が貫通さ
れ、リップ部31Aが電線25の外周に弾性密着するこ
とでこの電線25とシール孔31との間がシールされ
る。また、シール部材30の外周には、略半円形断面を
なす3条のリップ部34が周方向に形成されている。こ
のリップ部34はキャップ60の内周に弾接すること
で、シール部材30の外周とキャップ60の内周との間
をシールする。
【0016】<シールホルダ40>シールホルダ40
は、合成樹脂材からなり、シール部材30と同様に全体
として長円形の厚板状をなし、シール部材30をハウジ
ング10の後面との間で挟んだ状態に保持する機能を発
揮する。尚、上記シール部材30の外周のリップ部34
は、このシールホルダ40の外周よりも一回り大きい寸
法である。シールホルダ40には、その前後両端面間を
貫通する複数の端子挿入孔41が各キャビティ11及び
シール孔31と整合する配置で形成されている。端子金
具20はこの端子挿入孔41から差し込まれてキャビテ
ィ11内に収容される。
【0017】シールホルダ40の外周には、その上下両
平坦面の両端に位置して合計4片のロック突起44が形
成されている。このロック突起44は、キャップ60と
係合することでキャップ60がハウジング10、シール
部材30及びシールホルダ40から離脱することを規制
する。また、シールホルダ40の外周における左右両端
の円弧状領域には、中央高さよりも上方へ偏って位置す
る左右対称な一対の指標突起45が形成されている。こ
の指標突起45は、端子金具20を挿入する際にハウジ
ング10の上下の向きを決定する目安となる。
【0018】<バスバー体50>バスバー体50は、イ
ンサート成形により合成樹脂性の保持体51と金属製の
バスバー55とを一体化させたものである。保持体51
は、横長の板状保持部52と、この板状保持部52から
後方(ハウジング10に向かう方向)へ突出する扁平な
筒部53とからなる。バスバー55は、帯状をなす連結
部56の側縁から複数本のタブ片57を片持ち状に並列
突出させてなり、連結部56を板状保持部52に沿わせ
るとともにタブ片57を筒部53内に臨ませた状態で保
持されている。連結部56における隣接するタブ片57
間の隙間と対応する位置では、板状保持部52に打抜孔
54が開口されており、バスバー体50の製造過程で
は、インサート成形後に、連結部56における各打抜孔
54に臨む部分を所定の短絡パターンに応じてパンチと
ダイスで打ち抜くことで、キャリアが分断され(図示は
省略)、もって複数のバスバー55に分割される。1つ
のバスバー55は最低3片のタブ片57を有し、各接続
片に端子金具20が接続されることで、複数の端子金具
20がバスバー55毎に短絡される。
【0019】バスバー体50は、ハウジング10に対し
て前方から上段のキャビティ11列と下段のキャビティ
11列を個別に筒部53で覆うようにして組み付けら
れ、組付け状態では各タブ片57が端子金具20に接続
される。バスバー体50は保持体51の色を替えること
によって短絡パターンを識別できるようになっており、
また、保持体51の形状は上下非対称である。したがっ
て、色と向きを確認することで、ハウジング10に対し
て所定のバスバー体50を正しい向きに組み付けること
ができ、ひいては、端子金具20群を正しい短絡パター
ンで短絡させることができる。
【0020】<キャップ60>キャップ60は合成樹脂
材からなり、正面視長円形の有底筒状をなす。キャップ
60の開口縁には、シールホルダ40のロック突起44
に係止されるロック孔61が形成され、このロック突起
44とロック孔61の係合によりキャップ60が組付け
状態にロックされる。また、キャップ60の開口縁に
は、指標突起との干渉を回避するための外周側へ膨らん
だ逃がし部62が形成されている。かかるキャップ60
の内周面のうち開口縁に近い領域は、上記シール部材3
0の外周のリップ部34が弾接されるシール面63とな
っている。
【0021】<端子金具の半挿入検知手段>バスバー体
50の筒部53の左右両側端には前後方向のガイド溝5
8(本発明の構成要件である仮係止手段)が形成され、
ハウジング10には、このガイド溝58と対応する前後
1つずつの係止突起17,18(本発明の構成要件であ
る仮係止手段)が形成されている。筒部53の後端とガ
イド溝58の後端縁が両係止突起17,18に対して挟
まれるように係止されることで、バスバー体50は仮係
止位置に保持される(図5を参照)。また、ガイド溝5
8の前後両端縁が両係止突起17,18に対して外側か
ら挟むように係止することで、バスバー体50が正規の
組付け位置に保持される(図4を参照)、この正規の組
付け位置に達すると、端子金具20がバスバー55によ
って短絡状態とされる。このように、仮係止手段によ
り、ハウジング10に対するバスバー体50の組付け過
程において端子金具20を短絡させる正規の組付け位置
(図8及び図10を参照)よりも手前の仮係止位置(図
6の下の段及び図7を参照)に、バスバー体50を保持
できるようになっている。
【0022】また、この仮係止位置は、ハウジング10
に対するバスバー体50の組付け方向において、端子金
具20の半挿入に起因するランス12とバスバー体50
との突き当て位置(図6の上の段を参照)よりも奥方の
位置に設定されている。さらに、バスバー体50が組付
けを開始してからランス12への突き当たり位置を経て
仮係止位置に至る間は、タブ片57が端子金具12と接
触しない状態を維持するように設定されている。
【0023】<組付け治具70>上記ジョイントコネク
タの組付けの過程では、組付け治具70が用いられる。
この組付け治具70は、バスバー体50の組付けを行う
機能と、端子金具20の挿入状態を検知する機能の双方
を兼ね備えている。組付け治具70は、図7〜図9に示
すように、基板71の右端に支持されて図7及び図9に
示す待機姿勢と図8に示す組付け姿勢との間での回動操
作を可能とされたレバー72と、このレバー72の待機
姿勢から組付け姿勢への回動操作(図における反時計回
り方向の回動操作)により左方へ変位させられる押動体
73と、この押動体73の左方に固定された位置決め体
74とを備えている。レバー72が待機位置にあるとき
には、押動体73は図示しない復帰バネにより右端の待
機位置に復帰しており、ジョイントコネクタは、バスバ
ー体50が仮係止位置に組み付けられた状態で、復帰位
置にある押動体73と位置決め体74との間に落とし込
むようにしてセットされる。
【0024】この復帰位置にある押動体73と位置決め
体74との間の間隔は、バスバー体50が仮係止位置に
組み付けられた状態におけるバスバー体50の前端から
ハウジング10の後端までの長さと同じかそれよりも僅
かに長い寸法に設定されている。したがって、バスバー
体50が仮係止位置まで正しく組み付けられていない状
態でジョイントコネクタをセットしようとしても、その
不正なバスバー体50が押動体73の上面と干渉するた
め、ジョイントコネクタはセットできないようになって
いる。
【0025】ジョイントコネクタをセットした状態から
レバー72を待機姿勢から組付け姿勢へ回動させると、
押動体73が左へ移動してバスバー体50を仮係止位置
から正規の組付け位置へ押動させる。このバスバー体5
0が移動する間に、バスバー体50のタブ片57が端子
金具20の弾性接触片23に接触して端子金具20同士
が短絡状態となる。<各部品の組付け>上記各部品の組
付け手順は、次の通りである。まず、ハウジング10に
対しシール部材30をシールホルダ40との間で挟んだ
状態に保持する。このとき、ハウジング10に形成した
突起(図示せず)をシール部材30に貫通させてその突
起の先端部をシールホルダ40に係止させることで、シ
ール部材30が保持状態にロックされるとともに、シー
ルホルダ40の離脱が規制される。次に、端子金具20
を端子挿入孔41に差し込んでシール孔31を貫通させ
つつキャビティ11に挿入する。
【0026】この後、バスバー体50をハウジング10
の仮係止位置に組み付け、その状態で組付け治具70に
セットし、この組付け治具70のレバー72を操作する
ことでバスバー体50を仮係止位置から正規組付け位置
へ押し込む。これにより、端子金具20が所定のパター
ンで短絡される。バスバー体50を組付けたら、ジョイ
ントコネクタを組付け治具70から外し、最後に、キャ
ップ60をハウジング10及びバスバー体50に被せる
ように組み付ける。キャップ60を組み付けた状態で
は、キャップ60の内周とシール部材30の外周との隙
間からキャップ60内への浸水は、シール部材30の外
周のリップ部34により防止される。また、シール部材
30の外面からの浸水については、シール孔31のリッ
プ部31Aが電線25の外周に密着することで防止され
る。
【0027】<本実施形態の作用及び効果>端子金具2
0を挿入した後バスバー体50をハウジング10の仮係
止位置に組み付けるに際して、全ての端子金具20が正
規位置まで挿入されている場合には、全てのランス12
が自由状態であってランス12の先端部がハウジング1
0の外面と面一となるように位置する。したがって、バ
スバー体50の組み付けに伴って筒部53がハウジング
10の外面に沿って摺動する間に筒部53がランス12
と干渉する、ということがなく、バスバー体50の仮係
止位置への組付けは支障なく行われる。バスバー体50
が仮係止位置に組み付けられると、筒部53の先端部内
面がランス12の先端部に対して外側から押さえ付ける
ように対向するため、ランス12は端子金具20から解
離する方向への弾性変位を規制される(図6の下の段を
参照)。
【0028】これに対し、半挿入状態の端子金具20が
存在する場合には、ランス12の先端部が外側へ弾性変
位してハウジング10の外面から突き出す状態となるた
め、バスバー体50を組み付けると、仮係止位置に至る
前に筒部53の先端がランス12の先端部に突き当たり
(図6の上の段を参照)、これによって組付け操作に対
する抵抗が急に大きくなる。この操作抵抗の急増を感得
することで、作業者は半挿入状態の端子金具の存在を検
知できる。
【0029】通常は、筒部53がランス12に突き当た
った状態でバスバー体50の組付け操作が中断され、端
子金具20を挿入し直した後に、再度バスバー体50の
組付けを行うのであるが、作業者が操作抵抗の急増に気
づかなかったり、気づいても端子金具20の再挿入作業
をし忘れた場合には、そのまま組付け治具70による組
付け作業へ移行することが考えられる。しかし、この場
合には、図9に示すように組付け治具70へのセットで
きないため、このセットの不可状態によってバスバー体
50が仮係止位置に組み付けられていないこと、ひいて
は、半挿入状態の端子金具20が存在する可能性のある
ことが判る。尚、全ての端子金具20が正規挿入されて
いても、バスバー体50の組付けが仮係止位置に至らな
い中途半端な状態である場合には、やはり、ジョイント
コネクタを組付け治具70にセットできないが、いずれ
にしても、この組付け治具70へのセット不能の時点
で、バスバー体50の組付け状態と端子金具20の挿入
状態をチェックすれば、組付け不良を解消することがで
きる。
【0030】上述のように本実施形態では、バスバー体
50をハウジング10に組み付ける過程では、組付けを
開始してから、端子金具20の半挿入に起因するランス
12とバスバー体50との突き当て位置を経て、仮係止
位置に至る間は、バスバー体50はそのタブ片57と端
子金具20との接触に起因する抵抗を受けず、仮係止位
置を通過した後にタブ片57と端子金具20との接触が
開始する。したがって、ランス12への突き当たりに起
因してバスバー体50が受ける組付け抵抗と、端子金具
20とタブ片57との接触に起因する組み付け抵抗とを
明確に判別することができ、ひいては、端子金具20の
挿入状態を確実に検知することが可能である。
【0031】また、バスバー体50を組み付ける過程で
端子金具20の半挿入を看過したままジョイントコネク
タを組付け治具70にセットしようとしても、バスバー
体50はランス12に突き当たった位置にあることか
ら、ジョイントコネクタをセットすることはできない。
これにより、半挿入状態の端子金具が存在することが検
知される。即ち、バスバー体50の組付けの過程と組付
け治具70へのセット時の双方で端子金具20の半挿入
を検知する、という二重のチェック機構が設けられてい
るので、端子金具20の半挿入検知機能の信頼性が高
い。
【0032】[他の実施形態]本発明は上記記述及び図
面によって説明した実施形態に限定されるものではな
く、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に
含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内
で種々変更して実施することができる。 (1)上記実施形態では防水タイプのジョイントコネク
タについて説明したが、本発明は、非防水タイプのジョ
イントコネクタにも適用することが可能である。
【0033】(2)上記実施形態ではバスバー体をハウ
ジングに組み付ける工程とジョイントコネクタを組付け
治具にセットする工程の双方で端子金具の半挿入検知を
行うようになっているが、本発明によれば、組付け治具
を用いずに、バスバー体の組付け過程だけで端子金具の
半挿入検知を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1においてハウジングにシール部材と
シールホルダを組み付けた状態を示す斜視図
【図2】バスバー体の一部切欠斜視図
【図3】キャップの斜視図
【図4】組付け状態を示す一部切欠平面図
【図5】バスバー体が仮係止位置にある状態を示す一部
切欠平面図
【図6】ハウジングにバスバー体を組み付けた状態を示
す縦断面図
【図7】ジョイントコネクタを組付け治具にセットした
状態を示す断面図
【図8】組付け治具によりバスバー体を正規の組付け位
置へ変位させた状態を示す断面図
【図9】半挿入のターミナルが存在するままジョイント
コネクタを組付け治具にセットしようとした状態を示す
断面図
【図10】組付け状態の断面図
【図11】従来例の斜視図
【符号の説明】
10…ハウジング 11…キャビティ 12…ランス 17…係止突起(仮係止手段) 18…係止突起(仮係止手段) 20…端子金具 50…バスバー体 53…筒部 57…タブ片 58…ガイド溝(仮係止手段) 70…組付け治具
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−250185(JP,A) 特開 平10−270116(JP,A) 特開 平5−190233(JP,A) 特開 平8−273762(JP,A) 特開 平8−236245(JP,A) 実開 平2−61082(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01R 31/08 H01R 13/42 H01R 13/52 301 H01R 13/52 302 H01R 43/26

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 端子金具が挿入される複数のキャビティ
    を有するハウジングと、 前記キャビティに正規挿入された前記端子金具に係止す
    ることによりその端子金具を抜け止め可能であり、前記
    ハウジングの外面に露出させるとともに外側への弾性変
    位を可能に設けたランスと、 複数のタブ片を筒部内に収容してなり、前記ハウジング
    に対し前記筒部を外嵌させるように組み付けて前記タブ
    片を前記端子金具に接触させることで前記端子金具同士
    を短絡させるバスバー体とを備えており、 前記端子金具が正規挿入されている状態では、前記ラン
    スは、前記筒部と非干渉であって前記ハウジングに対す
    る前記バスバー体の組付けを許容する位置にあり、 半挿入状態の前記端子金具が存在するときには、その端
    子金具との干渉により前記ランスが前記ハウジングの外
    側へ弾性変位して、そのランスの先端部に前記筒部が突
    き当たることで前記バスバー体の組付けが規制されるよ
    うにされ、 前記バスバー体の組付けの可否に基づいて前記端子金具
    の挿入状態を検知するようにしたジョイントコネクタで
    あって、 前記ハウジングに対する前記バスバー体の組付け過程に
    おいて前記端子金具を短絡させる正規の組付け位置より
    も手前の仮係止位置に前記バスバー体を保持可能な仮係
    止手段を設け、 前記仮係止位置は、前記バスバー体の組付け方向におい
    て、前記端子金具の半挿入に起因して前記バスバー体が
    前記ランスと突き当たる位置よりも奥方の位置に設定さ
    れ、 且つ、前記バスバー体が組付けを開始してから前記仮係
    止位置に至る間は、前記タブ片が前記端子金具と非接触
    の状態を維持する構成とされたジョイントコネクタにお
    いて、 組付け治具にセットした状態で前記バスバー体を前記仮
    係止位置にある状態から前記正規の組付け位置へ変位さ
    せるようになっており、 前記バスバー体が前記ハウジングへの組付け開始から前
    記仮係止位置に至る間 の位置にある状態では前記組付け
    治具へのセットが規制され、且つ前記バスバー体が前記
    仮係止位置にある状態でのみ前記取付け治具へのセット
    が許容される構成とした ことを特徴とするジョイントコ
    ネクタ。
  2. 【請求項2】 端子金具が挿入される複数のキャビティ
    を有するハウジングと、 前記キャビティに正規挿入された前記端子金具に係止す
    ることによりその端子金具を抜け止め可能であり、前記
    ハウジングの外面に露出させるとともに外側への弾性変
    位を可能に設けたランスと、 複数のタブ片を筒部内に収容してなり、前記ハウジング
    に対し前記筒部を外嵌させるように組み付けて前記タブ
    片を前記端子金具に接触させることで前記端子金具同士
    を短絡させるバスバー体とを備えており、 前記端子金具が正規挿入されている状態では、前記ラン
    スは、前記筒部と非干渉であって前記ハウジングに対す
    る前記バスバー体の組付けを許容する位置にあり、 半挿入状態の前記端子金具が存在するときには、その端
    子金具との干渉により前記ランスが前記ハウジングの外
    側へ弾性変位して、そのランスの先端部に前記筒部が突
    き当たることで前記バスバー体の組付けが規制されるよ
    うにされ、 前記バスバー体の組付けの可否に基づいて前記端子金具
    の挿入状態を検知するようにしたジョイントコネクタで
    あって、 前記ハウジングに対する前記バスバー体の組付け過程に
    おいて前記端子金具を短絡させる正規の組付け位置より
    も手前の仮係止位置に前記バスバー体を保持可能な仮係
    止手段を設け、 前記仮係止位置は、前記バスバー体の組付け方向におい
    て、前記端子金具の半挿入に起因して前記バスバー体が
    前記ランスと突き当たる位置よりも奥方の位置に設定さ
    れ、 且つ、前記バスバー体が組付けを開始してから前記仮係
    止位置に至る間は、前記タブ片が前記端子金具と非接触
    の状態を維持する構成とされている ジョイントコネクタ
    をセットして前記バスバー体を前記仮係止位置にある状
    態から前記正規の組付け位置へ変位させるためのジョイ
    ントコネクタの組付け治具であって、 前記バスバー体が前記ハウジングへの組付け開始から前
    記仮係止位置に至る間の位置にある状態では前記ジョイ
    ントコネクタのセットを規制し、且つ前記バスバー体が
    前記仮係止位置にある状態でのみ前記ジョイントコネク
    タのセットを許容する構成としたことを特徴とするジョ
    イントコネクタの組付け治具。
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