JP3364393B2 - 低温焼き付けで製造でき、歪取り焼鈍が可能で沸騰水蒸気暴露性、耐溶剤性が良好な絶縁被膜付き電磁鋼板 - Google Patents
低温焼き付けで製造でき、歪取り焼鈍が可能で沸騰水蒸気暴露性、耐溶剤性が良好な絶縁被膜付き電磁鋼板Info
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有害な化合物を含まず、また、低温焼き付けで製造で
き、歪取り焼鈍可能で沸騰水蒸気暴露性、耐溶剤性が良
好な絶縁被膜付き電磁鋼板に関する。
の絶縁被膜は層間抵抗だけでなく、加工成形時及び保管
時の利便さの観点から種々の特性が要求される。また、
打抜加工後に磁気特性を向上させるため750〜850
℃程度で歪取り焼鈍を行う場合が多く、歪取り焼鈍に耐
える必要がある。このように、電磁鋼板は多様に使用さ
れるため、用途に応じて種々の絶縁被膜の開発が行われ
ている。
歪取り焼鈍に耐える無機質皮膜、打抜性・溶接性の両
立を目指し歪取り焼鈍に耐える、樹脂含有の半有機質被
膜、特殊用途で歪取り焼鈍不可の有機質被膜の3種に
大別されるが.汎用品として歪取り焼鈍に耐えるのは
、の無機質を含む被膜であり、特に、有機樹脂を含
有したクロム酸塩系絶縁被膜は、1コート1ベークの製
造で無機系絶縁被膜に比較して打抜性を格段に向上させ
ることができるので広く利用されている。
は、少なくとも1種の2価金属を含む重クロム酸塩系水
溶液に、該水溶液中のCrO3 :100重量部に対し有
機樹脂として酢酸ビニル/ベオバ比が90/10〜40
/60の比率になる樹脂エマルジョンを樹脂固形分で5
〜120重量部及び有機還元剤を10〜60重量部の割
合で配合した処理液を生地鉄板の表面に塗布し、常法に
よる焼き付け工程を経る電磁鋼板の絶縁被膜形成法が開
示されている。
ロムを三価に還元して不溶化するために比較的高温で焼
き付ける必要がある。また、六価クロムは毒性が高いた
め、環境汚染の問題が懸念され、また、廃液処理にコス
トがかかる問題がある。
ン酸塩を主剤とする半有機質絶縁被膜も検討されてい
る。しかしながら、リン酸塩は脱水反応を進行させて不
溶化するために塗装後に高温で焼き付ける事が必要であ
る。
て、連続焼鈍時の熱を利用して調質圧延前に被膜を形成
して歪取り焼鈍時の焼き付き防止被膜を施す方法が知ら
れている。例えば、特公昭59−21927号では無機
コロイド状物質を主成分とし、水溶性またはエマルジョ
ンタイプの樹脂を加えた水溶液を塗布しそのまま調質圧
延する方法が開示されている。
7号公報に記載の方法によれば、無機コロイド状物質は
確かにクロム酸塩系、リン酸塩系皮膜と比較して低温で
焼き付ける事が可能である。すなわち、クロム酸塩系、
リン酸塩系はベトツキを防止するため、水溶性物質を水
不溶性にするための造膜反応を進行させる必要がある
が、無機コロイド状物質はその必要がない。しかしなが
ら、無機コロイドと樹脂の混合物を塗布するという特公
昭59−21927号公報の方法を実施しても調質圧延
及び歪取り焼鈍時の焼き付き防止には効果があるもの
の、沸騰水蒸気暴露性及び耐溶剤性が劣る問題があっ
た。電磁鋼板は、船積みで高温多湿条件の場所を輸送す
る場合があり、また、モーターが加熱して高温多湿条件
になる場合も考えられるなど、高温多湿の環境に曝され
る危険性があり、沸騰水蒸気暴露性が要求される場合も
多い。また、電磁鋼板の加工工程で溶剤洗浄する場合も
多く、耐溶剤性も要求される。本発明は上述した問題点
を解決すべくなされたもので、低温焼付で製造でき、歪
取り焼鈍が可能で、かつ、沸騰水蒸気暴露性、耐溶剤性
にも優れる汎用コートを提供するものである。
を解決するべく検討を進めた結果、第一に樹脂自体の沸
騰水蒸気暴露性及び耐溶剤性を向上することが必要であ
ると考え検討した結果、ガラス転移点が30〜150℃
の樹脂であれば樹脂自体の沸騰水蒸気暴露性及び耐溶剤
性を確保できることをつきとめた。また、低温焼き付け
で製造できかつ、沸騰水蒸気暴露性を低下させない無機
物を検討した結果、アルミナを併用することで格段の沸
騰水蒸気暴露性を得ることができることを知見し、両者
を組み合わせることで沸騰水蒸気暴露性を改善できるこ
とを見いだした。
0℃の樹脂とアルミナを配合することにより、低温焼付
で製造でき、歪取り焼鈍が可能で沸騰水蒸気暴露性、耐
溶剤性が良好な絶縁被膜付き電磁鋼板を提供する。
100重量部に対するアルミナ量はAl2 O3 換算で3
〜300重量部であることが好ましい。絶縁被膜の付着
量が0.05〜4g/m2 であることが好ましい。さら
に電磁鋼板上に、ガラス転移点が30〜150℃の樹脂
とアルミナとを含有する塗布液を塗布し、50〜250
℃の到達板温で焼付けることを特徴とする歪取り焼鈍が
可能で沸騰水蒸気暴露性、耐溶剤性が良好な絶縁被膜付
き電磁鋼板の製造方法を提供する。
する。本発明の出発素材としては、電磁鋼板を用いる。
マルジョン、ディスパージョン、水溶性)で、ガラス転
移点が30〜150℃、好ましくは40〜130℃のモ
ノマー組成の樹脂を用い、樹脂ガラス転移点が30℃未
満であると、沸騰水蒸気暴露性及び耐溶剤性が不足し、
150℃超であると低温焼き付け時の造膜性が劣るた
め、樹脂のガラス転移点は30〜150℃とする。
しい。安定化剤として硝酸または塩酸を用いた場合、防
錆剤未添加であると点錆が発生する場合があるため好ま
しくない。有機酸としては、ぎ酸、酢酸、プロパン酸等
のカルボン酸が好適に適用でき、−COOH基を1個以
上有しており水溶性であればその他の官能基を有してい
ても使用可能である。
なく歪取り焼鈍を可能にするためアルミナを配合する。
樹脂100重量部に対するアルミナはAl2 O3 換算で
3〜300重量部であることが好ましい。アルミナが3
重量部未満であると樹脂分は歪取り焼鈍時には熱分解し
てしまうため、被膜残分が少なくなりスティキング性が
低下する。また、アルミナが300重量部超であると、
打抜性が低下する。
乾燥重量で0.05〜4g/m2 であることが好まし
い。付着量が0.05g/m2 未満であると、被膜が不
均一になり地鉄が露出することによりスティキング性、
沸騰水蒸気暴露性が不足するし、付着量が4g/m2 超
であると、低温乾燥時にふくれが発生するなど塗装性が
低下するため、絶縁被膜の付着量は0.05〜4g/m
2 さらには0.1〜2g/m2 が好ましい。
付け時の沸騰水蒸気暴露性、耐溶剤性を詳細に検討した
結果、沸騰水蒸気暴露性は樹脂単独の性能と無機コロイ
ドの性能両方が影響し、耐溶剤性は特に樹脂単体の影響
が強いことがわかった。すなわち、50〜200℃程度
の低温焼き付けの場合、架橋剤ブレンドによる樹脂の架
橋反応は進行しにくいことがわかった。このため、樹脂
単体の沸騰水蒸気暴露性、耐溶剤性をあげることが重要
と考え検討を重ねた結果、樹脂のガラス転移点が30℃
以上の場合に沸騰水蒸気暴露性、耐溶剤性が優れること
を知見した。また、樹脂ガラス転移点を150℃以下と
することにより低温焼き付け時の造膜性が確保できるよ
うになった。
るものではないが、例えば、アクリル樹脂、アルキッド
樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル
樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、
メラミン樹脂、ポリエステル等の1種または2種以上の
樹脂が好適に適用でき、樹脂のガラス転移点は30〜1
50℃になるようなモノマー組成をとることが必要であ
る。樹脂のガラス転移点はモノマー組成によって一定で
樹脂固有の特性である。ガラス転移点とは、それを境に
例えばガラス状のかたい状態からゴム状態にかわるとい
うふうに不連続に相状態が変化する温度である。ガラス
転移点の測定には種々の方法が利用できるが、例えばD
SC(示差走査熱量計)、TMA(熱機械分析)、熱膨
張等があるが、特に定めるものではなく、物理的性質が
大幅にかわることを利用する方法で確認可能である。ま
た、共重合体のガラス転移点は計算も可能であるため、
測定困難な時は組成から計算すればよい。
0〜150℃となるならどのような樹脂組成でも適用可
能である。ガラス転移点が明確でない樹脂の場合では軟
化点が30〜150℃であればよい。処理液中に配合す
るアルミナは水に分散するものならどのような製法のも
のでもよく、アルミナゾル、アルミナフラワー等形状は
種々のものが適用可能である。ただし、アルミナゾルを
用いる場合は安定化剤の酸として有機酸を使用すること
が好ましい。有機酸以外の例えば塩酸、硝酸等を用いる
と、耐食性が低下し、短時間の大気中放置で点錆が発生
する場合がある。これらは防錆剤の添加で、ある程度の
防止は可能であるが、安定化剤に有機酸を用いることに
より解決する。有機酸の種類としては、ぎ酸、酢酸、プ
ロピオン酸等の各種カルボン酸が好適に適用でき、水溶
性であれば、炭素数、その他官能基は特に規制するもの
ではない。
けることにより被膜を形成させる。絶縁被膜形成方法は
工業的に一般に用いられるロールコーター法、フローコ
ーター、スプレー塗装、ナイフコーター等種々の方法が
適用可能である。焼き付け方法についても通常実施され
るような熱風式、赤外式、誘導加熱式等特に規制するも
のではなく、被膜中の水分が蒸発する程度の低温加熱で
十分であり、例えば、50〜250℃好ましくは80〜
250℃、より好ましくは120〜250℃程度の低い
到達板温で1分以内の短時間焼き付けすることが可能で
ある。
に、防錆剤等添加剤を配合してもよい。この場合、歪取
り焼鈍後の性能を確保するために有機物質100重量部
に対する無機物質の合計量は3〜300重量部の範囲と
することが好ましい。
明するが、本発明はこれらに限定されない。
面に表1に記載の被膜を形成した。塗布は、ロールコー
ターで行い、到達板温150℃で焼き付け放冷した後、
試験に供した。
ある。表1から明らかなように本発明例はいずれも沸騰
水蒸気暴露性、耐溶剤性に優れており、また、打抜性が
優れ、歪取り焼鈍にも耐える絶縁被膜付き電磁鋼板であ
る。なお、表中の実施例は基本として着眼している性能
のみの改善を目指すものであるが、その中でもさらに他
の各種性能を向上させる例もあり、他の各種性能につい
て比較例となるものを備考に示した。
ル)を脱脂綿にしみこませ、鋼板を5往復した後の絶縁
被膜表面の外観変化を調査した。 ◎:変化無し 〇:変化はほとんどなし △:若干変色 ×:変化大
2 )をかけながら窒素雰囲気下で750℃×2時間焼鈍
した後、鋼板上に分銅500gを落下させ、5分割する
ときの落下高さを調査した。 ◎:10cm以下 〇:10cm超〜15cm以下 △:15cm超〜30cm以下 ×:30cm超
日後の赤錆面積率で評価した。 ◎: 0〜 5%未満 〇: 5〜15%未満 △:15〜30%未満 ×:30〜100%
μmに達するまでの打ち抜き数で評価した。 ◎:50万回超 〇:30万〜50万回 △:10万〜30万回未満 ×:10万回未満
で評価した。20mmφでの180°曲げ戻し試験後の
被膜剥離率で評価した。 ◎:剥離なし 〇:〜剥離20%未満 △:剥離20%〜剥離40%未満 ×:剥離40%〜全面剥離
いるので、低温焼付で製造でき、沸騰水蒸気暴露性、耐
溶剤性が良好であり、歪取り焼鈍に耐え、その他、電磁
鋼板の絶縁被膜として必要な性能を兼ね備えているの
で、モーター、トランス等の用途をはじめ広く利用する
ことができる。
Claims (4)
- 【請求項1】電磁鋼板用絶縁被膜に関し、ガラス転移点
が30〜150℃の樹脂とアルミナを含み、アルミナの
安定化剤として有機酸を含み、六価クロムを含まないこ
とを特徴とする低温焼付で製造でき、歪取り焼鈍が可能
で沸騰水蒸気暴露性、耐溶剤性が良好な絶縁被膜付き電
磁鋼板。 - 【請求項2】 前記樹脂固形分100重量部に対するアル
ミナがAl2 O3 換算で3〜300重量部である請求項
1に記載の低温焼付で製造でき、歪取り焼鈍が可能で沸
騰水蒸気暴露性、耐溶剤性が良好な絶縁被膜付き電磁鋼
板。 - 【請求項3】 前記絶縁被膜の付着量が0.05〜4g/
m2 である請求項1または2に記載の低温焼付で製造で
き、歪取り焼鈍が可能で沸騰水蒸気暴露性、耐溶剤性が
良好な絶縁被膜付き電磁鋼板。 - 【請求項4】 電磁鋼板上に、ガラス転移点が30〜15
0℃の樹脂とアルミナとを含有し、アルミナの安定化剤
として有機酸を含み、六価クロムを含まない塗布液を塗
布し、50〜250℃の到達板温で焼付けることを特徴
とする歪取り焼鈍が可能で沸騰水蒸気暴露性、耐溶剤性
が良好な絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP28532596A JP3364393B2 (ja) | 1996-10-28 | 1996-10-28 | 低温焼き付けで製造でき、歪取り焼鈍が可能で沸騰水蒸気暴露性、耐溶剤性が良好な絶縁被膜付き電磁鋼板 |
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JP28532596A JP3364393B2 (ja) | 1996-10-28 | 1996-10-28 | 低温焼き付けで製造でき、歪取り焼鈍が可能で沸騰水蒸気暴露性、耐溶剤性が良好な絶縁被膜付き電磁鋼板 |
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JPH10130857A JPH10130857A (ja) | 1998-05-19 |
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Family Applications (1)
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Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3364393B2 (ja) |
-
1996
- 1996-10-28 JP JP28532596A patent/JP3364393B2/ja not_active Expired - Fee Related
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