JP3364384B2 - 低温焼き付けで製造でき、歪取り焼鈍が可能で耐溶剤性、塩水耐食性が良好な絶縁被膜付き電磁鋼板 - Google Patents
低温焼き付けで製造でき、歪取り焼鈍が可能で耐溶剤性、塩水耐食性が良好な絶縁被膜付き電磁鋼板Info
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有害な化合物を含まず、また、低温焼き付けで製造で
き、歪取り焼鈍可能で耐溶剤性、塩水耐食性が良好な絶
縁被膜付き電磁鋼板に関する。
の絶縁被膜は層間抵抗だけでなく、加工成形時及び保管
時の利便さの観点から種々の特性が要求される。また、
打抜加工後に磁気特性を向上させるため750〜850
℃程度で歪取り焼鈍を行う場合が多く、歪取り焼鈍に耐
える必要がある場合がある。このように、電磁鋼板は多
様に使用されるため、用途に応じて種々の絶縁被膜の開
発が行われている。
歪取り焼鈍に耐える無機質皮膜、打抜性、溶接性の両
立を目指し歪取り焼鈍に耐える、樹脂含有の半有機質被
膜、特殊用途で歪取り焼鈍不可の有機質被膜の3種に
大別されるが、汎用品として歪取り焼鈍に耐えるのは
,の無機質を含む被膜であり、特に、有機樹脂を含
有したクロム酸塩系絶縁被膜は、1コート1ベークの製
造で無機系絶縁被膜に比較して打抜性を格段に向上させ
ることができるので広く利用されている。
は、少なくとも1種の2価金属を含む重クロム酸塩系水
溶液に、該水溶液中のCrO3 :100重量部に対し有
機樹脂として酢酸ビニル/ベオバ比が90/10〜40
/60の比率になる樹脂エマルションを樹脂固形分で5
〜120重量部及び有機還元剤を10〜60重量部の割
合で配合した処理液を生地鉄板の表面に塗布し、常法に
よる焼き付け工程を経る電磁鋼板の絶縁被膜形成法が開
示されている。
ロムを三価に還元して不溶化するために比較的高温で焼
き付けることが必要である。また、六価クロムは毒性が
高いため、環境汚染の問題が懸念され、また、廃液処理
にコストがかかる問題がある。
ン酸塩を主剤とする半有機質絶縁被膜も検討されてい
る。しかしながら、リン酸塩は脱水反応を進行させて不
溶化するために塗装後に高温で焼き付けることが必要で
ある。
て、連続焼鈍時の熱を利用して調質圧延前に被膜を形成
して歪取り焼鈍時の焼き付き防止被膜を施す方法が知ら
れている。例えば、特公昭59−21927号公報では
無機コロイド状物質を主成分とし、水溶性またはエマル
ジョンタイプの樹脂を加えた水溶液を塗布しそのまま調
質圧延する方法が開示されている。
7号公報に記載の方法によれば、無機コロイド状物質は
確かにクロム酸塩系、リン酸塩系皮膜と比較して低温で
焼き付けることが可能である。すなわち、クロム酸塩
系、リン酸塩系はベトツキを防止するため、水溶性物質
を水不溶性にするための造膜反応を進行させる必要があ
るが、無機コロイド状物質はその必要がない。しかしな
がら、無機コロイドと樹脂の混合物を塗布するという特
公昭59−21927号公報の方法を実施しても調質圧
延及び歪取り焼鈍時の焼き付き防止には効果があるもの
の、耐溶剤性、塩水耐食性が劣る問題があった。電磁鋼
板の加工工程では溶剤洗浄、各種油(打抜油、絶縁油
等)との接触等、有機溶剤に触れる場合が多く、絶縁被
膜の耐溶剤性は必要な性能である。また、電磁鋼板を船
積みで何日間もかけて輸送する場合も多く、塩水環境で
の耐食性も必要となる。本発明は上述した問題点を解決
すべくなされたもので、低温焼き付けで製造でき、歪取
り焼鈍が可能で、かつ、耐溶剤性、塩水耐食性にも優れ
る絶縁被膜としての汎用コートを提供するものである。
を解決するべく検討を進めた結果、絶縁被膜に用いる樹
脂をリチウムシリケートで予め架橋することが有効であ
ることをつきとめ、低温焼き付けで製造でき、歪取り焼
鈍が可能で耐溶剤性、塩水耐食性も良好な絶縁被膜を達
成した。
方の面に、リチウムシリケートで架橋した樹脂を含む絶
縁被膜を有することを特徴とする低温焼き付けで製造で
き、歪取り焼鈍が可能で耐溶剤性、塩水耐食性が良好な
絶縁被膜付き電磁鋼板を提供する。
重量部に対してリチウムシリケートが、Li2 O+Si
O2 換算で3〜100重量部であるのが好ましい。
トのSiO2 /Li2 Oモル比が2〜10であるのが好
ましい。
0重量部に対して前記リチウムシリケートとシリカの合
計量がLi2 O+SiO2 換算で3〜300重量部であ
るシリカをさらに含有するのが好ましい。
4g/m2 であるのが好ましい。
の出発素材としては、電磁鋼板を用いる。処理液中に配
合する樹脂は、水性樹脂(エマルジョン、ディスパージ
ョン、水溶性)を用い、リチウムシリケートと樹脂は予
めシランカップリング剤等を用いて架橋させておく。樹
脂合成方法は、例えば、特開平2−308887号公報
に示すような方法で製造することができる。リチウムシ
リケートと樹脂の単なるブレンドでは相溶性の問題もあ
り好ましくない。
ートがLi2 O+SiO2 換算で3〜100、より好ま
しくは3〜70重量部であることが好ましい。リチウム
シリケートが3重量部未満では架橋が不十分となり耐溶
剤性、塩水耐食性が劣り、また、その他の無機分を添加
しない場合焼鈍後の性能が低下する。また、樹脂分は歪
取り焼鈍時には熱分解してしまい、被膜残分が少なくな
るため焼鈍後の性能(スティキング性、耐食性等)が不
足する。また、リチウムシリケートが100重量部超で
は樹脂との架橋反応が困難になるためである。
モル比が2〜10、より好ましくは3〜8であることが
好ましい。リチウムシリケートのSiO2 /Li2 Oモ
ル比が2未満であるとリチウムシリケートが結晶化する
場合があり、樹脂との架橋が困難である。また、モル比
が10超であると耐溶剤性、塩水耐食性が不足するた
め、リチウムシリケートのSiO2 /Li2 Oモル比は
2〜10が好ましい。
加えてもよい。その場合、樹脂100重量部に対してリ
チウムシリケートとシリカの合計量がLi2 O+SiO
2 換算で3〜300、さらには3〜200重量部である
ことが好ましい。3重量部未満では樹脂分は歪取り焼鈍
時には熱分解してしまい被膜残分が少なくなるため焼鈍
後の性能(スティキング性、耐食性等)が不足する。3
00重量部超では樹脂に対する無機成分が多いために造
膜不良となり密着性が低下する。
焼鈍後の乾燥重量で0.05〜4g/m2 とする。付着
量が0.05g/m2 未満であると、均一塗布が困難に
なり、スティキング性、耐食性、打抜性が不足するし、
付着量が4g/m2 超であると、低温乾燥時にふくれが
発生するなど塗装性が低下し、密着性も低下するため、
絶縁被膜の付着量は0.05〜4、さらには0.1〜2
g/m2 が好ましい。樹脂/無機コロイドブレンド系の
低温焼き付け時の耐溶剤性、塩水耐食性を詳細に検討し
た結果、耐溶剤性については樹脂単独の性能がそのまま
反映されており、耐食性については樹脂単独より性能が
劣化していることがわかった。すなわち、低温焼き付け
の場合、樹脂/無機コロイド混合系、例えばシリカとの
混合系の場合、樹脂とシリカは単に隣あっているだけで
結合がないために隙間ができ、樹脂/シリカ界面には溶
剤、水等が非常に侵入しやすくなっているものと考えら
れる。このような観点から鋭意検討した結果、樹脂/無
機コロイド間を架橋させ、有機溶剤及び水の侵入を防ぐ
ことが有効であると考え、樹脂/無機コロイドの架橋を
試みたところ、樹脂/リチウムシリケート架橋系の性能
が特に優れることを見いだした。架橋の効果の他に、水
ガラスといわれるアルカリ金属のシリケートのうちでリ
チウムシリケートの耐塩水性が最も優れるため塩水耐食
性も確保できたものと考えられる。
るものではないが、例えば、アクリル樹脂、アルキッド
樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、
フェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ポリエ
ステル等の1種または2種以上の樹脂が好適に適用で
き、リチウムシリケートとの架橋を可能にする官能基を
有することが必要である。なお、樹脂に対するリチウム
シリケート量が少ない場合は無機成分増量のためにシリ
カを添加してもよい。その場合、樹脂100重量部に対
してリチウムシリケートとシリカの合計量がLi2 O+
SiO2 換算で3〜300、さらには3〜200重量部
であることが好ましい。処理液中に配合するシリカの形
状は水に分散するものならどのような製法のものでもよ
く、コロイダルシリカ、気相シリカ、凝集タイプシリカ
等形状は種々のものが適用可能である。シリカの添加は
樹脂の架橋前であっても、後であっても、架橋と同時に
行ってもよい。
に、上述の必須成分以外に防錆剤等添加剤を配合しても
よい。この場合、歪取り焼鈍後の性能を確保するために
有機物質100重量部に対する無機物質の合計量は3〜
300重量部の範囲とすることが好ましい。
けることにより被膜を形成させる。絶縁被膜形成方法は
工業的に一般に用いられるロールコーター法、フローコ
ーター、スプレー塗装、ナイフコーター等種々の方法が
適用可能である。焼き付け方法についても通常実施され
るような熱風式、赤外式、誘導加熱式等特に規制するも
のではなく、被膜中の水分が蒸発する程度の低温加熱で
十分であり、例えば、50〜250℃程度の低い到達板
温で1分以内の短時間焼き付けすることが可能である。
明するが、本発明はこれらに限定されない。
面に表1に記載の被膜を形成した。塗布は、ロールコー
ターで行い、到達板温150℃で焼き付け放冷した後、
試験に供した。
ある。表1から明らかなように本発明例はいずれも耐溶
剤性、打抜性、歪取り焼鈍前後耐食性、密着性、スティ
キング性等に優れた絶縁被膜付き電磁鋼板である。な
お、表中の実施例は基本として着眼している性能のみの
改善を目指すものであるが、その中でもさらに他の各種
性能を向上させる例もあり、他の各種性能について比較
例となるものを備考に示した。
ル)を脱脂綿にしみこませ、鋼板を5往復した後の絶縁
被膜表面の外観変化を調査した。 ◎:変化無し ○:変化はほとんどなし △:若干変色 ×:変化大
μmに達するまでの打ち抜き数で評価した。 ◎:50万回超 ○:30万〜50万回 △:10万〜30万回未満 ×:10万回未満
で評価した。20mmφでの180°曲げ戻し試験後の
被膜剥離率で評価した。 ◎:剥離なし ○:〜剥離20%未満 △:剥離20%〜剥離40%未満 ×:剥離40%〜全面剥離
で評価した。 ◎:0〜20%未満 ○:20〜40%未満 △:40〜60%未満 ×:60〜100%
面積率で評価した。 ◎:0〜20%未満 ○:20〜40%未満 △:40〜60%未満 ×:60〜100%
相対湿度80%)14日後の赤錆面積率で評価した。 ◎:0〜20%未満 ○:20〜40%未満 △:40〜60%未満 ×:60〜100%
2 )をかけながら窒素雰囲気下で750℃×2時間焼鈍
した後、鋼板上に分銅500gを落下させ、5分割する
ときの落下高さを調査した。 ◎:10cm以下 ○:10cm超〜15cm以下 △:15cm超〜30cm以下 ×:30cm超
i20+SiO2 換算重量部 **:下記重量 シリカA:日産化学コロイダルシリカST−N樹脂10
0重量部に対するSiO2 換算重量部 その他:固形分重量
いるので、低温焼き付けで製造でき、歪取り焼鈍が可能
で耐溶剤性、塩水耐食性も良好であり、その他、電磁鋼
板の絶縁被膜として必要な性能を兼ね備えているので、
モーター、トランス等の用途をはじめ広く利用すること
ができる。
Claims (5)
- 【請求項1】電磁鋼板の少なくとも一方の面に、リチウ
ムシリケートで架橋した樹脂を含む絶縁被膜を有するこ
とを特徴とする低温焼き付けで製造でき、歪取り焼鈍が
可能で耐溶剤性、塩水耐食性が良好な絶縁被膜付き電磁
鋼板。 - 【請求項2】前記絶縁被膜中の樹脂固型分100重量部
に対してリチウムシリケートが、Li2 O+SiO2 換
算で3〜100重量部である請求項1に記載の低温焼き
付けで製造でき、歪取り焼鈍が可能で耐溶剤性、塩水耐
食性が良好な絶縁被膜付き電磁鋼板。 - 【請求項3】前記絶縁被膜中のリチウムシリケートのS
iO2 /Li2 Oモル比が2〜10である請求項1また
は2に記載の低温焼き付けで製造でき、歪取り焼鈍が可
能で耐溶剤性、塩水耐食性が良好な絶縁被膜付き電磁鋼
板。 - 【請求項4】前記絶縁被膜中に、樹脂固型分100重量
部に対して前記リチウムシリケートとシリカの合計量が
Li2 O+SiO2 換算で3〜300重量部であるシリ
カをさらに含有する請求項1〜3のいずれかに記載の低
温焼き付けで製造でき、歪取り焼鈍が可能で耐溶剤性、
塩水耐食性が良好な絶縁被膜付き電磁鋼板。 - 【請求項5】前記絶縁被膜の付着量が0.05〜4g/
m2 である請求項1〜4のいずれかに記載の低温焼き付
けで製造でき、歪取り焼鈍が可能で耐溶剤性、塩水耐食
性が良好な絶縁被膜付き電磁鋼板。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP19456596A JP3364384B2 (ja) | 1996-07-24 | 1996-07-24 | 低温焼き付けで製造でき、歪取り焼鈍が可能で耐溶剤性、塩水耐食性が良好な絶縁被膜付き電磁鋼板 |
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JPH1036977A JPH1036977A (ja) | 1998-02-10 |
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1996
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