JP3364083B2 - コンクリートスラブ用埋込材、該埋込材を持つコンクリートスラブ用基板、及び該基板を用いたコンクリートスラブ - Google Patents

コンクリートスラブ用埋込材、該埋込材を持つコンクリートスラブ用基板、及び該基板を用いたコンクリートスラブ

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JP3364083B2 JP07494596A JP7494596A JP3364083B2 JP 3364083 B2 JP3364083 B2 JP 3364083B2 JP 07494596 A JP07494596 A JP 07494596A JP 7494596 A JP7494596 A JP 7494596A JP 3364083 B2 JP3364083 B2 JP 3364083B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリートスラ
ブ用基板に埋め込まれる埋込材、該埋込材を持つコンク
リートスラブ用基板、及び該コンクリートスラブ用基板
を用いたコンクリートスラブに関する。
【0002】
【従来の技術】コンクリートスラブの施工法として、軽
量化、遮音効果を向上させる目的で、図10に示すよう
に、主に工場において、発泡ポリスチレンのような合成
樹脂発泡成形品からなる埋込材1をトラス筋2等を備え
たコンクリート基板3上に係止具により固定して中空コ
ンクリートスラブ用基板Aを製造し、それを建築施工現
場に搬入して、図11に示すように必要個数、躯体の梁
B、B間に載置し、トラス筋2の上弦材をスペーサーと
してスラブ上端筋4等を取り付けた後、現場打ちコンク
リートCを打設していわゆる中空コンクリートスラブC
Sを構築する施工法が広く行われている。
【0003】図12、図13は、実用に供されている埋
込材1の一例であり、表面10と周側壁11と中仕切り
壁12とを持つ全体として箱状(矩形状)の形状をな
し、内部に一方側を開放した複数の中空部Sを有し、周
側壁11には、係止具(図示しない)の打ち込み用切欠
き13が複数個形成されている。この埋込材は、コンク
リート基板用型枠に打設された基板用コンクリートが未
硬化のうちにコンクリート面上に所定数配置され、前記
切欠き13を通して係止具をコンクリート内部にまで打
ち込み、コンクリートの固化により、コンクリートに一
体化される。
【0004】基板用コンクリートへの埋込材の他の固定
方法として、例えば実開昭54−140514号公報に
かかる全文明細書に記載のように、係止具を用いずに接
着剤等の助成で定着させるもの、特公昭57−4700
7号公報に記載のように、埋込材の裏面、側面等コンク
リートへの付着面部にほぼ同じ形状の凹部及び凸部等の
接合部を形成し、基板用コンクリートが未硬化の状態で
前記付着面部の接合部がコンクリート基板内に埋まるよ
うに配置し、コンクリートの固化によって埋込材をコン
クリートに固定するようにしたもの、あるいは、特開平
4−216010号公報に記載のように、埋込材に埋込
材を貫通する孔を形成し、該埋込材を基板用コンクリー
トが未硬化の状態でコンクリート面に配置し、該貫通孔
の一部に未硬化のコンクリートを流入させて固化させる
ことにより、埋込材をコンクリートに固定するようにし
たもの、等も知られている。
【0005】上記の埋込材を定着したコンクリートスラ
ブ用基板を養生する過程で、凝縮した蒸気がコンクリー
ト基板と埋込材との間に滞留すると、コンクリート基板
を均一に養生乾燥できない不都合があり、コンクリート
スラブ用基板の品質が不均一になる恐れがある。さら
に、上記養生過程で蒸気熱あるいはコンクリートの水和
熱が特に埋込材に形成される中空部内に蓄熱された場合
には、合成樹脂の発泡成形品である埋込材が変形する恐
れがある。また、埋込材を定着したコンクリートスラブ
用基板を建築施工現場に搬入して現場施工する際に、現
場打ちコンクリートを打設するまでの間に雨が降った場
合に、雨水が中空部内に侵入して埋込材の中空部内に水
が滞留する恐れがある。
【0006】そこで、埋込材の中空部内に水が侵入した
場合であっても、侵入した水分がそこに閉じ込められて
しまうのを防止するために、埋込材の周側壁のコンクリ
ート基板と当接する位置近傍に中空部に連通した開孔を
形成した埋込材も知られている(特開平5−20841
0号公報参照)。また、接着剤によりコンクリート表面
に定着させていく埋込材の裏面側に周側壁へ開放した同
じ形状の開口部を形成し、該開口部を放熱口として利用
するようにしたものも知られている(特開平7−544
30号公報参照)。このような埋込材を用いることによ
り、蓄積する蒸気や水は該開口部を通って容易に外部に
排出できることから、養生中に埋込材が変形することは
なく、また、中空部内に水を滞留させたままコンクリー
トスラブとして施工されるようなことは回避される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】コンクリートスラブ用
基板の製造において、基板用コンクリートが未硬化の状
態でその上に複数枚の埋込材を配置し、その上から、係
止具を所定の位置に刺込み固定していくことは、埋込材
をコンクリートに確実に係止するという点で優れている
一方で、係止具の刺込み固定のために多くの作業量を必
要とすることから、埋込材のコンクリート基板への固定
のための他の方法が求められている。接着剤の助成で定
着させる方法は係止具の打ち込みを要しないことから、
いくぶん作業の迅速化は図られるが、接着剤の塗布作業
が必要でありまたコンクリート面に不陸があると十分な
接着力が得られない不都合がある。
【0008】埋込材のコンクリート付着面に凹部あるい
は凸部のような接合部を形成しそれをコンクリートに埋
め込むことにより定着する方法、及び、埋込材に貫通孔
を設け該貫通孔に未硬化のコンクリートを流入させてそ
の固化により定着する方法は、埋込材を未硬化のコンク
リート面上に単に配置し、必要に応じて上からある程度
押し付けた後、コンクリートの固化を待てばよく、作業
の簡素化、迅速化には寄与することができる。
【0009】しかし、上記の定着法による場合には、い
ずれの場合も基板用コンクリートの表面と埋込材の裏面
側は密着してしまい、コンクリート基板を均一に養生乾
燥することが困難であり、また、養生時の蒸気熱や水和
熱により埋込材が変形するのを避けられない。裏面側に
周側壁へ開放した開口部を形成した埋込材を接着剤を用
いて未硬化のコンクリート面に配置定着していくもの
は、蒸気抜き孔が形成されることから、コンクリート基
板を均一に養生乾燥でき、また、蓄熱による埋込材の変
形等の不都合は回避できるが、接着剤の塗布作業を必要
とし打設コンクリートに不陸が有る場合に良好な接着が
困難となる。不陸に対処するために上から埋込材を押し
付けると、開口部に未硬化のコンクリートが入り込み開
口部が閉塞し、蒸気抜きのための開口が失われる。押し
付け量を調節して開口部の一部をコンクリート内に埋入
し、一部を側壁に開放した状態とするとこにより、蒸気
抜き口を確保することは理論的には可能であるが、通常
5mm〜15mm程度の深さとされる開口部の途中位置
で埋込材の沈み込みを停止させるとは困難な作業とな
る。また、例え実行し得たとしても、作業者がその作業
を全ての埋込材に対して一律的に行うことはきわめて困
難であり、同時に、多大な作業時間を必要とする。
【0010】従って、本発明の目的は、基板用コンクリ
ートが未硬化のうちにコンクリート面上に埋込材を配置
し、上から押し付けて埋込材の裏面側の一部をコンクリ
ートに埋入させた状態で、コンクリートの養生、固化を
行い、係止具を用いずに該埋込材をコンクリートに定着
するようにしたコンクリートスラブ用基板の製造方法に
おいて生じている上記の不都合を解消することにあり、
より具体的には、作業者が格別の注意力を払うことなく
埋込材を上から押し付けても、埋込材は未硬化のコンク
リート内に所定の深さだけ確実に埋め込められ、かつ、
その状態で埋込材の側壁部には放熱あるいは放水用の開
口部が確実に確保されようにした、コンクリートスラブ
用埋込材及び該埋込材を持つコンクリートスラブ用基板
を提供することにある。本発明のさらに他の目的は、上
記のようなコンクリートスラブ用基板を用いたコンクリ
ートスラブを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、本発明に
よれば、合成樹脂の発泡成形品からなる埋込材におい
て、その裏面に側面側に開放した複数個の凹溝を形成す
ると共に、該凹溝のうちの少なくとも1つの凹溝は他の
凹溝よりも深さを深く形成するか、又は、該凹溝のうち
の少なくとも1つの凹溝には、深さがさらに深くされた
部分を形成することにより達成される。
【0012】深さが浅い方の凹溝の深さあるいは凹溝の
深さの浅い部分の深さは5mm〜15mm程度、また、
深さが深い方の凹溝の深さあるいは凹溝の深さの深い部
分の深さは15mm〜30mm程度であることが望まし
い。これは、未硬化のコンクリート表面上に配置した埋
込材を上から押し付けて沈み込ませる場合、その沈み込
み(埋入)は、浅い方の凹溝の天面部分あるいは凹溝の
浅い部分の天面部分が打設した未硬化のコンクリート表
面に衝接することにより容易に規制されこと、また、本
発明者らの実験によれば、裏面に凹溝を形成してそこに
コンクリートを侵入させることよってコンクリートとの
接触面積を大きくする場合、埋込材を5mm〜15mm
程度未硬化のコンクリート内に埋め込んでコンクリート
を養生、固化することにより、埋込材はコンクリートに
確実に一体化されることを知見したことによる。また、
深さの深い部分と浅い部分との差を10mm〜20mm
程度取っておけば、埋込材の押し込み時にその部分が未
硬化のコンクリートにより完全に閉鎖されてしまうこと
はなく、コンクリートスラブ用基板に蒸気抜き孔あるい
は水抜き孔が確実に形成されることによる。
【0013】凹溝の幅は任意であるが、好ましくは5m
m以上とされる。また、凹溝の断面形状は下に開放した
コ字状に限ることなく、下に開放した卵型、下に開放し
た三角型等、要は上から押し付けたときに、未硬化のコ
ンクリートが凹溝内に入り込める形状であれば任意であ
る。好ましい態様では、凹溝は開放した下方側が狭く、
上方の天面側が広くされた、いわゆる蟻溝形状とされ
る。蟻溝形状の凹溝内に入り込んだ未硬化のコンクリー
トはそこで固化することにより、上方への抜けに対して
楔の機能を果たすことができ、埋込材の定着を一層確実
とする。
【0014】本発明において、埋込材の全体形状は任意
であり、図12、図13に示すように、全体が矩形状で
あり裏面側に中空部を持つものでもよく、中実体のもの
でもよい。また、特に図示しないが、上面側に一本ある
いは複数本の凹溝を持つものであってもよい。図13に
示すように、裏面に開放した中空部を持つ埋込材の場
合、前記凹溝を中仕切り壁12を含む裏面全面に形成し
てもよいが、裏面の中仕切り壁12を除く周辺部分にの
み形成するようにしてもよい。いずれの場合にも前記深
さが深い方の凹溝あるいは凹溝の深さの深い部分は、前
記中空部に一端を開放する位置に少なくとも一個は形成
されることが望ましいが、中仕切り壁12に隣り合う中
空部S同志を連通する開口部が形成される場合には、そ
のいずれかの中空部にのみ形成されていてもよい。
【0015】本発明による埋込材を用いたコンクリート
スラブ用基板は、好ましくは次のようにして製造され
る。 従来のコンクリートスラブ用基板の製造と同様に、型
枠内に所要の配筋を行い、そこに、所定の厚みにコンク
リートを打設する。 打設したコンクリートが未硬化のうちに、埋込材をコ
ンクリート表面の所定位置に配置する。 埋込材を上方から押圧し、容易には押し込めなくなる
まで沈み込ませる。埋込材の押し込み抵抗は、未硬化コ
ンクリート表面と埋込材裏面との接触面積に比例する。
従って、押し込み開始当初は少ない力で沈み込めること
ができるが、浅い方の凹溝の天面部分あるいは凹溝の浅
い部分の天面部分がコンクリート表面に衝接した時点
で、押し込み抵抗は急激に増加する。作業者がその増加
を感じるのは容易であり、そこで押し込み作業を停止す
ることにより、埋込材は所定の深さだけ未硬化のコンク
リート内に埋め込まれた姿勢となる。同じ深さの凹溝を
持つ埋込材であれば、作業者は常に同じ深さまで容易に
埋込材を埋め込むことができる。作業者が異なる場合で
あっても同様である。また、埋込材全体の水平度も容易
かつ確実に達成される。その状態で、深さが深い方の凹
溝の上方端部分あるいは凹溝の深さの深い部分には、コ
ンクリートが入り込むことはなく、側方を開放した状態
となっている。
【0016】埋込材の配設後、埋込材を上方から押さ
えたままあるいは解放した状態で、コンクリートの養
生、固化を行い、打設コンクリートに埋込材を定着す
る。前記のように深さが深い方の凹溝の上方端部分ある
いは凹溝の深さの深い部分は側方に開放した状態となっ
ており、養生時に発生する蒸気熱あるいは水和熱は該開
口部を通して容易に外部に排出される。それにより、コ
ンクリート基板の均一の養生乾燥が可能となり、かつ、
熱による埋込材の変形は回避される。埋込材が中空部を
持つ形状である場合、建築施工現場での何らかの理由に
より埋込材に生じた亀裂等から中空部に水が入り込む恐
れがあるが、入り込んだ水は前記開口部から容易に流出
するので、中空部に多量の水が貯留されることはない。 定着後、脱型する。 上記のような製造方法を取ることにより、埋込材の定着
に係止具を用いることは不要となり、作業の簡素化と迅
速化が可能となる。また、埋込材を設計値どうりの状態
にかつ蒸気抜きあるいは水抜き用の開口部を確実に形成
した状態で、基板用コンクリート上に容易に定着するこ
とができる。その結果、コンクリート基板の強度を所定
値に保持できると共に、建築現場での打設コンクリート
の厚みは一定のものとなり、所定強度のコンクリートス
ラブを確実に造ることができる。
【0017】埋込材として表面側に凹溝を形成したもの
を用いてもよく、その場合には、コンクリートスラブ内
に配設することを求められる設備用配管類を該凹溝を通
して敷設し、その後に現場打ちコンクリートを打設す
る。それにより、配管距離の短縮が可能となり、また、
コンクリートスラブに不要な断面欠損が生じるのも回避
できる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、実施例に基づき本発明をよ
り詳細に説明する。図1は、本発明による埋込材の一実
施例を裏面側からみた状態を示す斜視図である。この埋
込材1aは、前記図12、図13により説明した埋込材
1と同様に発泡ポリスチレンのような合成樹脂発泡成形
品であり、かつ、裏面側に開放した多数の中空部Sを有
している。なお、コンクリートへの定着に係止具を用い
ないことから、係止具の打ち込み用切欠き13は形成さ
れてない(もちろん、形成されていても差し支えなく、
必要な場合には係止具によりあるいは補助的に係止具に
より定着してもよい)。
【0019】埋込材1aの裏面15における中空部Sの
側壁に相当する4周側壁11と中仕切り壁12には、中
空部Sの幅程度の横幅dを持つ凹溝21が形成されてお
り、該凹溝21の幅方向のほぼ中央部には深さがさらに
深くされた第2の凹部22が形成されている。なお、こ
の凹溝21及び第2の凹部22は成形型による一体成形
であってもよく、成形後に別途加工してもよい。また、
好ましくは、凹溝21の深さは10mm程度とされ、第
2の凹部22の深さは20mm程度とされる。第2の凹
部22の横幅は任意であるが、10mm程度であれば十
分である。
【0020】図2は、本発明による埋込材の他の実施例
を裏面側から示す斜視図であり、この埋込材1bの裏面
15には、図1の実施例における凹溝21に代えて、側
面11に端部を開放する多数の凹溝30がほぼ一定の間
隔で全面に形成されている。そして、該凹溝30は、深
さが10mm程度の深さの浅い第1の凹溝31と該第1
の凹溝31よりも深さが深く、前記中空部S側に他端を
開放した深さが約20mm程度された第2の凹溝32と
で構成されている。好ましくは、第2の凹溝32は凹溝
30内に一定間隔で配置され、かつ、前記中空部S内に
少なくとも1つの第2の凹溝22が開放するようにされ
る。この実施例において、各凹溝の幅は10mm程度で
あり、凹溝同志の間隔も10mm程度とされている。
【0021】図3は、本発明による埋込材に形成される
凹溝のさらに他の形状を示す側面図であり、図3a、図
3bのものは、基本的には、図2に示した凹溝30の配
置と同様であるが、図3aの埋込材1cでは、深さの浅
い第1の凹溝31aはその下方端の幅d1 よりも上方の
天面部の幅d2 が幾分広くされており、また、深さの深
い第2の凹溝32aにおいても、その中央部がやはり下
端部よりも幅広とされている。
【0022】図3bの埋込材1dでは、深さの浅い第1
の凹溝31bを形成する埋込材の本体部分33が丸みを
おびた形状とされており、それにより、深さの浅い第1
の凹溝31bの天面部の幅d2 がその中間部の幅d3
りも幾分広くされている。また、深さの深い第2の凹溝
32bにおいても、その中央部がやはり下端部よりも幅
広とされている。
【0023】図3cの埋込材1eは、図3a、図3bに
示す埋込材1c、1dのものよりもさらに幅が狭くされ
た浅い第1の凹溝31c群と、より幅が広くされた深さ
の深い第2の凹溝32cとが所定間隔で配置されてい
る。この実施例による埋込材1eは、図1、図2に示す
ような中空部Sを持つ埋込材ではなく、中実体の埋込材
の場合に、好適に実施される。
【0024】次に、上記の埋込材を用いてコンクリート
スラブ用基板を製造する方法を図4〜図8に基づいて説
明する。図4において5はコンクリート基板用型枠であ
り、該型枠5内にトラス筋2等を配筋した後、基板用コ
ンクリート3が打設される。次に、図5に示すように、
打設したコンクリートが未硬化のうちにコンクリート面
上の所定位置に本願発明による埋込材が作業者によりあ
るいは適宜のロボットアーム等により所定数配置され
る。
【0025】図6〜図9は図5の一部を拡大して示す部
分断面図であって、図6及び図7は図1に示した埋込材
1aを用いた場合、図8及び図9は図2に示した埋込材
1bを用いた場合の例である。図6に示すように、合成
樹脂の発泡成形品からなる埋込材1aは比較的軽量であ
ることから、配置された埋込材1aは、打設した未硬化
のコンクリート3の表面に裏面を密着させて浮いた状態
となっており、凹溝21内にはほとんどコンクリートは
入りこんでいない。この状態でコンクリートを養生、固
化させても、コンクリート3と埋込材1aは一体化する
ことはなく、側方から力が作用した場合に、両者は容易
に分離してしまう。
【0026】それを回避するために、打設コンクリート
3面に埋込材1aを配置した後、作業者は、図7で矢印
Fに示すように手作業で埋込材1aを上から押し付け
る。押し付け開始時でのコンクリート表面と埋込材1a
との接触面は、裏面の面積から前記凹溝21の面積を除
いた面積であり、比較的狭い面積であることから、容易
に埋込材1aの下端部をコンクリート内に埋入させるこ
とができる。図7に示すように、凹溝21の深さ分だけ
埋込材1aが埋入した時点で、凹溝21の天面とコンク
リート表面とは衝接し、埋込材1aとコンクリートとの
接触面積は急激に増加する。その時点で作業者は押し付
けを停止することにより、埋込材1aは凹溝21の深さ
分だけ下端部をコンクリート3内に埋入した状態でかつ
水平姿勢で未硬化の基板用コンクリート3の表面に定着
される。作業者が埋込材1aを傾斜した姿勢で押し込ん
だ場合でも、抵抗が大きく増加した時点で浮き上がった
方を再度押し込むことにより、容易に水平姿勢を確保で
きる。
【0027】すなわち、凹溝21が埋込材1aの下面か
ら10mm程度の深さで形成されている場合には、埋込
材1aは未硬化のコンクリート中に下端側10mm程度
を埋入した状態で定着される。図7に示されるように、
その状態で、凹溝21に形成された深さがさらに深くさ
れた第2の凹部22の内にコンクリートが侵入すること
はなく、側方に開放した状態となって中空部S(図7に
は示されない)を外気に連通させている。
【0028】この状態でコンクリートの養生、固化を行
い、打設コンクリート3に埋込材1aを定着させる。養
生、固化時に埋込材1aが浮き上がらないように埋込材
1aの上面側を適宜の手段により押さえ付けておいても
よいが、通常、そのような手段をとらなくても、十分一
体化は達成される。養生時に生じる蒸気熱あるいは水和
熱は該第2の凹部22により確保される開口部を通して
容易に外部に放熱され、それにより、コンクリート基板
は均一て養生乾燥され、また、熱による埋込材1aの変
形は回避される。何らかの都合により埋込材1aに生じ
た亀裂等から中空部Sに水が入り込んだ場合でも、入り
込んだ水は前記開口部から容易に流出するので、中空部
Sに多量の水が貯留されることもない。
【0029】図8及び図9に示す埋込材1bの場合も同
様であり、埋込材1bの未硬化コンクリート3内への押
し込みにより、第1の凹溝31の深さだけ容易に埋込材
1bは沈み込み、その時点で沈み込みは停止する。そし
て、その時点で深さの深い第2の凹溝32の上方部分は
コンクリートが侵入しない開放口として確保され、蒸気
抜きあるいは水抜き用の開口部として機能する。
【0030】図3a、図3bの示す形状の第1の凹溝3
1a及び31bを持つ埋込材1c、1dの場合には、前
記のようにして埋込材を未硬化のコンクリート3に押し
込むことにより第1の凹溝31a及び31bに入り込ん
だコンクリートは、そこで固化することにより、埋込材
の上方への移動に際して楔としての作用を果たすことが
でき、埋込材のコンクリートへの定着を一層確実にす
る。特に、図3bに示す埋込材1dにあっては、埋込材
1dを打設したコンクリート面上に配置したときにコン
クリート面と接する部分が丸みをおびていることから、
より少ない力で埋込材1dを未硬化コンクリート内に押
し込めることができる利点がある。
【0031】図3cに示す埋込材1eの場合には、深さ
の深い第2の凹溝32cの占める面積が、他の実施例の
埋込材の場合よりも広くなっており、十分な面積を持つ
放熱口を形成できるが、一方において、コンクリート面
との接触面積が低下することから、深さの浅い第1の凹
溝31cの幅をより狭いものとし、数を増やすことによ
り、接触面積の低下に対処している。
【0032】上記のように、本発明の構成を持つ埋込材
を用いることにより、コンクリートスラブ用基板を製造
するに際して、作業者は容易に未硬化のコンクリート面
上に埋込材を一定の深さでかつ水平状態で定着すること
ができる。また、蒸気抜きあるいは水抜き用の開口部も
確実に確保される。従来の埋込材を基板用コンクリート
面へ定着するに当たっては、埋込材の水平度を確保する
ために、作業者は物差しや定規を用いて位置とレベル出
し作業を行っていたが、その必要がないことから、作業
の迅速化ももたらされる。
【0033】なお、埋込材の圧入を作業者の手作業では
なく、適宜のプレス装置等を用いて行うこともできる。
その場合であっても、プレス装置を運転する者は、適宜
のセンサーによりプレスに懸かる反力を測定することに
より、埋込材が所定の埋込距離に達したかどうかを容易
に確認することができる。コンクリートが固化した後、
型枠5からコンクリートスラブ用基板は取り出され、以
下従来と同様にして施工現場において躯体の梁B、B間
に載置され、現場打ちコンクリートCが打設されて、中
空コンクリートスラブCSが構築される。
【0034】
【発明の効果】上記の記載から明らかなように、本発明
の構成を持つ埋込材を用いることにより、コンクリート
スラブ用基板を製造するに際して、作業者は容易に未硬
化のコンクリート面上に埋込材を一定の深さでかつ水平
状態で定着することができ、同時に、蒸気抜きあるいは
水抜き用の開口部も確実に確保される。それにより、コ
ンクリート養生時の蒸気熱あるいは水和熱により埋込材
が変形するのは阻止されると共に、コンクリートスラブ
用基板としての品質も均一化される。さらに、本発明に
よるコンクリートスラブ用基板を用いることにより、設
計値どおりのコンクリートスラブを構築することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による埋込材の一例を示す図。
【図2】本発明による埋込材の他の例を示す図。
【図3】本発明による埋込材のさらに他の例を示す図。
【図4】型枠に基板用コンクリートを打設した状態を説
明する断面図。
【図5】打設したコンクリート上に埋込材を配置した状
態を説明する断面図。
【図6】打設したコンクリート上に埋込材を配置した状
態を拡大して示す図。
【図7】埋込材の一部を未硬化のコンクリート面に埋入
させた状態を示す図。
【図8】打設したコンクリート上に他の形状の埋込材を
配置した状態を拡大して示す図。
【図9】他の形状の埋込材の一部を未硬化のコンクリー
ト面に埋入させた状態を示す図。
【図10】コンクリートスラブ用基板を示す鳥瞰図。
【図11】コンクリートスラブ用基板を用いてのコンク
リートスラブの一例を示す図。
【図12】従来の埋込材の一例を示す図。
【図13】従来の埋込材の一例を示す図。
【符合の説明】
A…コンクリートスラブ用基板、S…中空部、1…従来
形状の埋込材、2…トラス筋、3…コンクリート基板、
1a〜1e…本発明による埋込材、10…埋込材の表
面、11…埋込材の周側壁、21…凹部、22…凹部2
1の深さが深くされた部分、30…凹溝、31…深さの
浅い第1の凹溝、32…深さが深くされた第2の凹溝

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成樹脂の発泡成形品からなり、裏面に
    は側面側に開放した凹溝が複数個形成されており、か
    つ、該凹溝のうちの少なくとも1つの凹溝は、深さがさ
    らに深くされた部分を有していることを特徴とするコン
    クリートスラブ用埋込材。
  2. 【請求項2】 前記凹溝の深さは5mm〜15mm程度
    であり、前記深さが深くされた部分の深さは15mm〜
    35mm程度であることを特徴とする請求項1記載の埋
    込材。
  3. 【請求項3】 合成樹脂の発泡成形品からなり、裏面に
    は側面側に開放した凹溝が複数個形成されており、か
    つ、該凹溝のうちの少なくとも1つの凹溝は他の凹溝よ
    りも深さが深くされていることを特徴とするコンクリー
    トスラブ用埋込材。
  4. 【請求項4】 前記深さが深くされた凹溝の深さは15
    mm〜30mm程度であり、他の凹溝の深さは5mm〜
    15mm程度であることを特徴とする請求項3記載のコ
    ンクリートスラブ用埋込材。
  5. 【請求項5】 前記凹溝は開放した下方側が狭く、上方
    の天面部が広くされた蟻溝形状であることを特徴とする
    請求項1又は3記載のコンクリートスラブ用埋込材。
  6. 【請求項6】 コンクリート基板に請求項1又は3記載
    のコンクリートスラブ用埋込材が前記深さが深くされた
    凹溝の一部又は凹溝の深さが深くされた部分の一部又は
    全部がコンクリート表面から露出する状態で定着されて
    いることを特徴とするコンクリートスラブ用基板。
  7. 【請求項7】 請求項6のコンクリートスラブ用基板を
    所要枚数敷設し、その上部に現場打ちコンクリートを打
    設することによって形成されるコンクリートスラブ。
JP07494596A 1996-03-28 1996-03-28 コンクリートスラブ用埋込材、該埋込材を持つコンクリートスラブ用基板、及び該基板を用いたコンクリートスラブ Expired - Fee Related JP3364083B2 (ja)

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