JP3363967B2 - 壁パネル - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【０００１】 【産業上の利用分野】この発明は壁パネル、更に詳しく
は、施工性と断熱性と遮音性の優れた壁パネルに関す
る。 【０００２】 【従来の技術】従来、断熱性及び遮音性を要求される壁
パネルは、上枠と下枠と２本の縦枠と で形成される四角
枠とその四角枠の内側において上枠と下枠との間にはめ
込まれる縦芯材とからなるパネル枠体、パネル枠体の奥
側の面を覆う奥側ボード、及び手前側の面を覆う手前側
ボードから形成される通常の壁パネルの中に断熱遮音材
を詰め込んだものである。即ち、パネル枠体内で縦枠と
縦芯材との間に存在する中空の空間にグラスウールなど
の断熱遮音材を詰め、断熱遮音材を、縦枠及び縦芯材の
側面に固定していたのである。 【０００３】 【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した従来
の壁パネルでは、以下のような問題点があった。まず、
必要とする断熱遮音材の枚数が多いことである。即ち、
壁パネルを形成するためには、縦枠と縦芯材との間に存
在する空間の数だけの断熱遮音材が必要となる。断熱遮
音材にグラスウールを用いる場合、縦枠と縦芯材との間
に存在する空間の数だけの枚数を切断しなければならな
い。その切断作業は、建築現場においてはチクチクする
ので簡単とはいえず、その作業の軽減が望まれていた。 【０００４】また、壁パネル内に詰め込まれたグラスウ
ールは、その端部を縦枠及び縦芯材の側面に固定されて
いるが、年月を経るとグラスウールが周囲の湿気を吸収
して重たくなって中央付近がたるんでしまい、その結
果、グラスウールの上部中央に該当する箇所に隙間が生
じ、断熱性及び遮音性が下がってしまうことがあった。
上記してきた問題点は、断熱遮音材としてグラスウール
を用いた場合を例にして説明したが、グラスウールの場
合に限らない。 【０００５】更に、縦芯材の数が多い横寸法の大きな壁
パネルにあっては、断熱遮音材が入っていない部分の面
積が大きくなり、断熱性及び遮音性が下がるという欠点
もあった。本発明が解決すべき課題は、断熱遮音材の切
断作業を軽減し、断熱遮音材の断熱性及び遮音性の経年
劣下を軽減し、縦芯材の存在によって断熱性及び遮音性
が下がることをも軽減することができる壁パネルを提供
することにある。 【０００６】 【課題を解決するための手段】本発明は、上記した目的
を達成するためのものである。請求項１記載の発明に係
る壁パネルは、上枠(11)と下枠(12)と２本の縦枠(13,1
3) とで形成される四角枠(10)とその四角枠(10)の内側
において上枠(11)と下枠(12)の間にはめ込まれる複数本
の縦芯材(20)とからなるパネル枠体、このパネル枠体に
おける四角枠(10)の奥側の面を覆う奥側ボード(40)、四
角枠(10)の手前側の面を覆う手前側ボード(41)、及び奥
側ボード(40)と手前側ボート(41)との間に位置して固定
される複数枚の断熱遮音材(30)を備えて形成される壁パ
ネルであって、縦芯材(20)の奥行き寸法を縦枠(13)の奥
行き寸法よりも小さく形成し、該縦芯材(20)をパネル枠
体内で手前側または奥側に寄せて設けることにより、手
前側の縦芯材(20)と奥側ボード(40)との間、奥側の縦芯
材(20)と手前側ボード(41)との間に、奥側及び手前側の
断熱遮音材跨ぎ用間隙(21)が形成され、前記断熱遮音材
(30)は、前記断熱遮音材跨ぎ用間隙(21)を跨いで前記パ
ネル枠体の枠内方に位置するように該パネル枠体に対し
て奥側、手前側からそれぞれ組み付けられるとともに、
その中央部分が前記縦芯材(20)における断熱遮音材跨ぎ
用間隙(21)側の面に固定され、両端部分が前記断熱遮音
材跨ぎ用間隙(21)を形成する縦芯材(20)に隣接する縦枠
(13)の側面または縦芯材(20)の側面に固定されることに
より、奥側の断熱遮音材(30)と手前側の断熱遮音材(30)
とが、少なくともその一部がパネル枠体内で重なり合う
ようにして組み込まれており、奥側ボード(41)及び手前
側ボード(40)は、前記断熱遮音材(30)がパネル枠体内に
位置するようにして四角枠(10)へ固定されていることを
特徴とする。 【０００７】 【作用】請求項１記載の壁パネルは、以下のようにして
構成する。まず、上枠(11)と下枠(12)と２本の縦枠(13)
とで四角枠(10)を形成し、その四角枠(10)の内側におけ
る上枠(11)と下枠(12)の間に複数本の縦芯材(20)をはめ
込むことにより、パネル枠体が形成される。なお、説明
の便宜上、縦芯材(20)は２本存在することとする。 【０００８】この縦芯材(20)の奥行き寸法は、縦枠(13)
の奥行き寸法よりも小さいので、一方の縦芯材(20)と奥
側ボード(40)、及び他方の縦芯材(20)と手前側ボード(4
1)との間には、それぞれ断熱遮音材跨ぎ用間隙(21)が形
成される。 【０００９】続いて、複数枚（ここでは２枚）の断熱遮
音材(30)を、断熱遮音材跨ぎ用間隙(21)を跨がせて四角
枠(10)の枠内方に位置するようにパネル枠体内に奥側、
手前側からそれぞれ組み込んで固定し、最後に、奥側ボ
ード(40)及び手前側ボード(41)を、壁パネル内に断熱遮
音材(30)が位置するように四角枠(10)へ固定することに
よって、奥側、手前側の断熱遮音材(30)がパネル枠体内
で少なくとも一部を重なり合わせた状態で組み込まれる
から、断熱遮音材(30)のとぎれる部分がなくなり、断熱
性及び遮音性に優れた壁パネルが構成される。 【００１０】ここで、断熱遮音材(30)の両端部を、前記
断熱遮音材跨ぎ用間隙(21)を形成する縦芯材(20)に隣接
する縦枠(13)の内側面または縦芯材(20)の側面に固定す
る。そして、断熱遮音材(30)の断熱遮音材跨ぎ用間隙(2
1)に位置する中央部分を、縦芯材(13)における断熱遮音
材跨ぎ用間隙(21)側の面に固定する。 【００１１】断熱遮音材(30)が二つの断熱遮音材跨ぎ用
間隙(21)を跨いで、一方の縦枠(13)から他方の縦枠(13)
まで達する場合には、その断熱遮音材(30)の両端部を縦
枠(13)の内側面に固定し、断熱遮音材(30)の断熱遮音材
跨ぎ用間隙(21)に位置する二箇所を、縦芯材(13)におけ
る断熱遮音材跨ぎ用間隙(21)側の面に固定する。 【００１２】 【実施例】以下、本発明を実施例及び図面に従って更に
詳しく説明する。ここで使用する図面は、図１乃至図３
である。図１は、本発明の一実施例を示す水平断面図で
ある。図２は、本発明の一実施例を示す斜視図である。
図３は、本発明の実施例におけるバリエーションを示す
斜視図である。 【００１３】まず、図１及び図２を用いて、本実施例の
構成について説明する。本実施例の壁パネルは、建物の
外壁を形成する外壁パネルではなく、部屋と部屋とを仕
切る壁パネルである。その構成は、図２に示すように、
上枠１１と下枠１２と２本の縦枠１３，１３とで形成さ
れる四角枠１０と、その四角枠１０の内側において上枠
１１と下枠１２の間にはめ込まれる２本の縦芯材２０，
２０を備え、これによりパネル枠体が形成されている。
更に、このパネル枠体に対して、図１に示す、四角枠１
０の奥側の面を覆う奥側ボード４０及び四角枠１０の手
前側の面を覆う手前側ボード４１が組付けられ、またこ
れら奥側ボード４０と手前側ボート４１との間に位置し
て２枚の断熱遮音材３０が組み込まれることによって、
前記壁パネルが形成される。 【００１４】縦芯材２０は、その奥行き寸法を縦枠１３
の奥行き寸法よりも小さく形成することによって縦芯材
２０と奥側ボード４０または手前側ボード４１との間に
断熱遮音材跨ぎ用間隙２１を形成している。その断熱遮
音材跨ぎ用間隙２１は、パネル枠体内で奥側ボード４０
側と、手前側ボード４１側とにそれぞれ形成されてい
る。即ち、一方の縦芯材２０は奥側ボード４０に接する
ように上枠１１及び下枠１２に固定され、他方の縦芯材
２０は手前側ボード４１に接するように上枠１１及び下
枠１２に固定されている。 【００１５】断熱遮音材３０は、本実施例においてはグ
ラスウールを用いているが、本発明における断熱遮音材
としてはグラスウールに限られない。断熱遮音材３０の
１枚の横幅は、縦枠１３とその縦枠１３と隣合う縦芯材
２０との間隔の２倍よりもやや広い。そのような断熱遮
音材３０は、前記パネル枠体に対して、一枚が手前側ボ
ード４１側から、他の一枚が奥側ボード４０側から固定
される。 【００１６】即ち、手前側ボード４１側から固定される
断熱遮音材３０にあっては、その一端を、一の縦枠１３
の内側面へ、コ字形をした固定釘３１によって固定す
る。そして、その断熱遮音材３０の中央付近が断熱遮音
材跨ぎ用間隙２１に位置するように断熱遮音材跨ぎ用間
隙２１を跨がせて、縦芯材１３における断熱遮音材跨ぎ
用間隙２１側の面へ、固定釘３１によって固定する。更
に、その断熱遮音材３０の他端を、もう一方の縦芯材２
０の側面へ、固定釘３１によって固定する。 【００１７】奥側ボード４０側から固定される他の一枚
の断熱遮音材３０は、その一端を、他の縦枠１３の内側
面へ固定し、その断熱遮音材３０の中央付近を縦芯材１
３における断熱遮音材跨ぎ用間隙２１側の面へ固定し、
更に、その断熱遮音材３０の他端を、もう一方の縦芯材
２０の側面へ固定する。このようにして２枚の断熱遮音
材３０を前記パネル枠体の内側に該枠体の奥側、手前側
からそれぞれ組み込むことにより固定した後、奥側ボー
ド４０と手前側ボード４１とを該パネル枠体の四角枠１
０に固定する。すると、２本の縦芯材２０の間には、奥
側ボード４０と手前側ボード４１との方向から見ると、
断熱遮音材３０が二重に存在することとなる。換言すれ
ば、従来、２本の縦芯材を有する壁パネルにおいては、
３回の切断作業によって得た３枚の断熱遮音材を必要と
していたが、本実施例の壁パネルにあっては、断熱遮音
材は２枚でよいこととなる。 【００１８】なお、本実施例における奥側ボード４０と
手前側ボード４１とは、石膏ボードであり、その石膏ボ
ードの上から仕上げ用のクロスを貼って、仕切り壁を形
成している。上記実施例によれば、以下のような効果が
ある。まず、上記実施例と同様の２本の縦芯材を有する
壁パネルにおいては断熱遮音材を３枚必要としていた
が、本実施例にあっては、２枚の断熱遮音材３０で壁パ
ネルが形成できることとなり、３回だった断熱遮音材の
切断作業を２回に軽減できた、という効果がある。 【００１９】また、断熱遮音材３０の固定において、断
熱遮音材３０の中央付近を縦芯材１３における断熱遮音
材跨ぎ用間隙２１側の面へ固定釘３１によって固定した
ので、両端のみを固定していた従来の断熱遮音材の固定
方法に比べて、断熱遮音材３０が周囲の湿気を吸収して
重たくなっても中央部分がたるみにくく、隙間が生じな
いので断熱性及び遮音性が下がってしまうような事態を
軽減できる。しかも、このような断熱遮音材３０の固定
は、予め組み立てたパネル枠体に対して奥側（奥側ボー
ド４０側）または手前側（手前側ボード４１側）からそ
れぞれ組み付けることによって簡単に行えるから、該断
熱遮音材３０の組立性の面で優れている。 【００２０】更に、厚さ方向から見て、縦芯材２０の存
在する箇所にも、断熱遮音材跨ぎ用間隙２１を跨ぐ断熱
遮音材３０が存在するので、縦芯材の存在によって断熱
性及び遮音性が下がっていた従来の壁パネルに比べて、
断熱性及び遮音性を向上させることができた。次に、上
記した実施例のバリエーションについて説明する。 【００２１】上記した実施例にあっては、仕切り壁を例
にして説明したが、本発明は仕切壁に限られない。縦芯
材の数を多くすれば、建物の外壁に用いるいわゆる耐力
壁にも用いることができる。また、上記した実施例にあ
っては、１枚の横幅が縦枠１３とその縦枠１３と隣合う
縦芯材２０との間隔の２倍よりもやや広い断熱遮音材３
０を２枚用いたとして説明したが、これに限られない。
１枚の横幅が縦枠１３とその縦枠１３と隣合う縦芯材２
０との間隔の３倍よりもやや広い断熱遮音材を１枚用
い、その両端を両縦枠１３に固定するとともに、２つの
断熱遮音材跨ぎ用間隙２１を跨がせ、２つの縦芯材２０
に固定することもできる。 【００２２】続いて、図３に基づいて、他の実施例を説
明する。図３に示すのは、壁におけるドアや窓を設ける
ための開口部の上部に設けられるいわゆる「小壁パネ
ル」を示したものである。この小壁パネルたる壁パネル
１０は、縦芯材２０を５本備えている。そして、それぞ
れの縦芯材２０が、交互に断熱遮音材跨ぎ用間隙２１を
設けている。従来のこのタイプの壁パネルであれば、６
回の切断作業によって得た６枚の断熱遮音材を必要とし
たのである。 【００２３】このような壁パネル１０にも、前記の実施
例のように、１枚の横幅が縦枠１３とその縦枠１３と隣
合う縦芯材２０との間隔の２倍よりもやや広い５枚の断
熱遮音材３０を、断熱遮音材跨ぎ用間隙２１を跨がせて
縦芯材２０へ固定すれば、本発明に係る壁パネルを形成
することができる。なお、上記してきた断熱遮音材３０
は、グラスウールを用いることによって断熱性及び遮音
性の両方を併せ持つが、断熱性または遮音性のどちらか
一方の性質を要求される従来の壁パネルにあっては、断
熱材または遮音材において本発明が解決したような課題
を有するので、本発明に係る壁パネルにいう「断熱遮音
材」を、「断熱材」または「遮音材」とすることによっ
て当該課題を解決できる。 【００２４】 【発明の効果】請求項１記載の壁パネルによれば、断熱
遮音材の切断作業を軽減し、縦芯材の存在によって断熱
性及び遮音性が下がることをも軽減することができると
ともに、断熱遮音材の経年劣化等の問題も軽減できる壁
パネルを提供することができたという効果がある。 ま
た、このような断熱遮音材の固定は、予め組み立てたパ
ネル枠体に対して奥側ボードまたは手前側ボードの組付
け方向から組み付けることで簡単に行えるから、断熱遮
音材の組立性の面で優れているという利点がある。

【図面の簡単な説明】 【図１】 本発明の一実施例を示す水平断面図である。 【図２】 本発明の一実施例を示す斜視図である。 【図３】 本発明の実施例におけるバリエーションを示
す斜視図である。 【符号の説明】 １０…四角枠、１１…上枠、１２…下枠、１３…縦枠、
２０…縦芯材、２１…断熱遮音材跨ぎ用間隙、３０…断
熱遮音材、３１…固定釘、４０…奥側ボード、４１…手
前側ボード。

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】 上枠と下枠と２本の縦枠とで形成される
   四角枠とその四角枠の内側において上枠と下枠との間に
   はめ込まれる複数本の縦芯材とからなるパネル枠体、パ
   ネル枠体の奥側の面を覆う奥側ボード、手前側の面を覆
   う手前側ボード、及び奥側ボードと手前側ボートとの間
   に位置して固定される複数枚の断熱遮音材を備えて形成
   される壁パネルであって、 前記縦芯材の奥行き寸法を縦枠の奥行き寸法よりも小さ
   く形成し、該縦芯材を前記パネル枠体内で手前側または
   奥側に寄せて設けることにより、手前側の縦芯材と奥側
   ボードとの間、奥側の縦芯材と手前側ボードとの間に、
   奥側及び手前側の断熱遮音材跨ぎ用間隙が形成され、 前記断熱遮音材は、前記断熱遮音材跨ぎ用間隙を跨いで
   前記パネル枠体の枠内方に位置するように該パネル枠体
   に対して奥側、手前側からそれぞれ組み付けられるとと
   もに、その中央部分が前記縦芯材における断熱遮音材跨
   ぎ用間隙側の面に固定され、両端部分が前記断熱遮音材
   跨ぎ用間隙を形成する縦芯材に隣接する縦枠の側面また
   は縦芯材の側面に固定されることにより、奥側の断熱遮
   音材と手前側の断熱遮音材とが、少なくともその一部が
   パネル枠体内で重なり合うようにして組み込まれてお
   り、 前記 奥側ボード及び手前側ボードは、前記断熱遮音材が
   パネル枠体内に位置するようにして四角枠へ固定されて
   いることを特徴とする壁パネル。