JP3362511B2 - 鋼中アルミナの迅速分析方法 - Google Patents

鋼中アルミナの迅速分析方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、スパーク発光分光分
析法を用いて、鉄鋼材料中のアルミナを迅速に且つ正確
に求める分析技術に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼中には、種々の組成の介在物が存在し
ており、これら介在物の組成及び含有率は鋼材の品質特
性に大きな影響を与える。このため、介在物の量は製鋼
工程において厳重にコントロールされなければならず、
その組成や含有率を迅速に正確に求めることことが重要
な技術となる。
【0003】精錬工程において溶鋼に添加されたAl
は、その一部は鋼中の酸素と反応しアルミナとなって浮
上して酸素を除き、未反応のAlは鋼中に溶解してい
る。この時、アルミナの全てが浮上し切ってしまえば問
題はないが、これが困難で一部は鋼中に残る。
【0004】近年、軸受鋼等として用いられる酸素量を
極端に減らした超清浄鋼では、残存するわずかなアルミ
ナが製品の疲労特性を低下させることから、極度にアル
ミナを減ずることに努力が払われ、数ppm 程度に低下さ
せている。
【0005】凝固した鋼中では、Alはアルミナ(以
下、 InsolAlと称す)として存在する他に、固溶して
いるものもある。分析化学では、これらのAlは鋼試料
を酸で溶解した時、酸に溶解するか( SolAl)しない
か( InsolAl)で区別される。溶解液を濾別し残渣に
含まれるAlの量を化学分析によって求め、Al2 3
に換算すれば、化学量論に基づいて InsolAlを求める
ことができる。しかし、この化学分析法では分析結果を
得るまでに数時間を要し、工程管理分析としては無力で
ある。そこで、分析時間が短く迅速に結果が得られるス
パーク放電発光分光分析法の適用が検討されている。
【0006】放電発光分光分析では、分析試料と対電極
との間に数百Vの電圧をかけて数百Hz の頻度で放電を
起こさせる。JIS G 1253では分析試料と対電
極との間隔として2〜6mmと規定している。放電に応じ
て励起発光のパルスが得られるが、これを分光しAl元
素固有のスペクトルの強度(以下、発光強度と略す)を
測定する。発光強度は励起された元素の数即ち濃度に比
例し、 InsolAlではAlが固溶している場所よりも高
濃度にAlが存在しているので、 InsolAlに放電した
場合Alの発光強度は固溶体に放電した場合の発光強度
よりも大きい。この強度の大きい発光を異常発光と称
し、通常の発光強度即ち SolAlに起因する発光強度と
区別し、 InsolAlに放電して発光したものと見做す。
そして、異常発光の発生頻度から InsolAlの存在或い
はその量を推定する。この強度の相違はパルス毎のAl
とFeとの発光強度の比で較べると一層大きくなるの
で、指標として発光強度の比を用いることも多い。これ
が、放電発光分光分析法によるInsolAl分析の原理で
ある。
【0007】この原理を利用して鋼材中の InsolAlや
他の介在物を検出する方法が提案されている。例えば、
特開昭62−277539号公報には、被検面に沿って
対電極を走査させながらAlの発光強度を連続的に測定
して波高曲線を描き、波高が異常に高い波の面積を Ins
olAl量の指標として、アルミナクラスタを検出する方
法が開示されている。
【0008】大きな InsolAlが多量に存在する場合上
記の方法による検出は有効であるが、 InsolAlを定量
的に把握することはできない。
【0009】従来、この問題に対し、特開平4−554
8号公報では、発光パルス毎に異常か通常かを厳密に判
断することによって、異常発光のパルス数或いは数か
ら、 InsolAlを定量する方法を開示している。この方
法では、先ず発光パルス毎に、Alの発光強度と鉄の発
光強度とを測定し、測定値を鉄の発光強度とAlの発光
強度を二軸とする平面に位置づける。これによって、各
発光パルスの強度分布が得られる。そして、この分布域
のAlの発光強度下限を一義的に決めるため統計的手法
により下方接線(下方境界直線)を求める。下方境界直
線は、 (Al)=A・(Fe)+B で表される。ここに(Al)、(Fe)は、それぞれA
lとFeの発光強度、AとBは、それぞれ下方境界直線
の勾配とAl発光強度軸切片を示す定数である。次に、
InsolAlによる発光か SolAlによる発光かを識別す
るために、その境となる上方接線(上方境界直線)を求
める。この上方境界直線はその勾配を下方境界直線の勾
配Aに実験的に得られた係数を掛けた値とし、そのAl
発光強度軸切片Cは C=A・(FH)+B として求められる。ここに、FHは、Fe発光強度が平
均値以上の領域に存在し、Al発光強度が小さい方から
5番目までの5個のデータにおけるFe発光強度の平均
値である。最後に、この上方境界直線よりもAlの発光
強度が大なる領域に分布する発光パルスの出現頻度か
ら、検量線を用いて、 InsolAlの含有率を求める。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
分析法では SolAl濃度の検量線への影響が考慮されて
おらず、 SolAl濃度が広い範囲で変わる鋼種に対して
は正確さに劣る欠点があった。
【0011】この発明は、この問題を解決するためにな
されたもので、従来の技術に補正を加え又感度を向上さ
せて正確さを増し、且つ迅速に分析結果を得ることので
きる技術を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
の手段は、分析試料と対電極との間のパルス放電により
分析試料中の元素を励起し発生する励起光を分光してF
eのパルス発光強度とAlのパルス発光強度を測定し、
Feのパルス発光強度とAlの発光強度をそれぞれ座標
軸とする2次元領域での測定データの散布図におけるA
lのパルス発光強度の下限を示す下方境界直線を求め、
測定されたFeのパルス発光強度の平均値に対応する下
方境界直線上のAlのパルス発光強度をAlパルス発光
強度軸切片、下方境界直線の勾配に定数を乗じた値を勾
配とする上方境界直線よりもAlの発光強度が大きい発
光パルスの頻度と前記下方境界直線の勾配に基づいて鋼
中アルミナの濃度を求めることを特徴とする鋼中アルミ
ナの迅速分析方法である。
【0013】また、上記に加えて、分析試料と対電極と
の間隔を6mmより大にして放電する鋼中アルミナの迅
速分析方法である。
【0014】さらに、上記いずれかに加えて、分析試料
と対電極との間隔を一定に保った状態で、分析試料を移
動させながら放電する鋼中アルミナの迅速分析方法であ
る。
【0015】
【作用】InsolAlを含む鋼試料(以下、分析試料と称
す)をスパーク放電により発光させ、発光パルス毎にA
lの発光強度と鉄の発光強度を測定すると、これらの強
度を座標として発光パルスの分布が得られる。分布の代
表的な型を図3に示す。分布の特徴として、分布域の下
方の境は明瞭でしかも直線的であるが、上方の境は不明
瞭である。一方、 InsolAlを実質的に含まない試料
(以下、単に SolAl試料と称す)では、図4に示すよ
うに、分布域の下方の境は図3と酷似しているが、上方
の境も比較的明瞭である。
【0016】図4の分布については、分布域の中央を通
る直線の勾配は SolAl濃度の指標であって、この濃度
直線1の勾配が大きいほど SolAl濃度は高い。そし
て、上方及び下方の境は発光強度測定値のバラツキの範
囲を示すと考えられる。又、下方の境界を直線とみな
し、これを下方境界直線3とするとその勾配と SolAl
濃度とは図5に示すように一定の関係にある。(下方境
界直線3の求め方の例は、特開平4ー5548号公報に
記載の通りである)
【0017】図3の分布については、下方には SolAl
に起因する発光パルスが分布しており、上方には Insol
Alに起因する発光パルスが分布している。したがっ
て、或る分析試料の下方の境が或る SolAl試料のそれ
と一致した場合、両者の SolAl濃度は同じであり、 S
olAlに起因する発光パルスの分布は同じようになると
考えられる。
【0018】さらに、図4で分布域の上方の境は必ずし
も直線ではないが、分布点の濃度直線1からの隔たりは
強度に比例するとも考えられるので、上方の境を直線で
近似する(図4においてAlの上限を示すと思われる直
線を目分量で決定する)。こうして求めたのが上方境界
直線21である。この上方境界直線21と分布域の下方
の境となる下方境界直線3とは、発光強度測定値のバラ
ツキの範囲を示す。
【0019】発明者らは、Al濃度の異なる種々の Sol
Al試料について、上方境界直線2の勾配と切片を調査
し、以下の関係があることを見出した。 (1)上方境界直線21の勾配と下方境界直線3の勾配
との比は、 SolAlの濃度によらずほぼ一定である。図
6に調査の結果を示す。この結果は、 SolAl濃度に関
係なく勾配の比がほぼ2.5で一定であることを示して
いる。 (2)上方境界直線21のAl発光強度軸切片は、測定
されたFeのパルス発光強度の平均値に対応する下方境
界直線上のAlのパルス発光強度にほぼ等しい。
【0020】InsolAlを含む実試料でも、 SolAlの
みに注目すれば、 SolAlによる発光パルスの分布は、
SolAl試料と同じであろうと推定される。したがっ
て、分析試料では、図3に見られるように、Alの異常
発光と通常発光との境が不明瞭であるが、上方境界直線
として SolAl試料の上方境界直線を利用することがで
きる。即ち、分析試料の下方境界直線と同じ勾配の下方
境界直線を持つ SolAl試料の上方境界直線を、その分
析試料の領域の境界直線とみなすことができる。
【0021】図2は、分析試料についての発光パルスの
分布図である。先ず、下方境界直線3を求める。次に、
境界領域直線2を求める。即ち、測定されたFeのパル
ス発光強度の平均値に対応する下方境界直線上のAlの
パルス発光強度をAlパルス発光強度軸切片、下方境界
直線の勾配に定数を乗じた値を勾配とする直線を求め
る。
【0022】決定された領域境界直線2のAlの発光強
度が大なる側はAlの発光強度が異常に大きい領域であ
る。この領域に出現する発光パルスの頻度から検量線を
用いて InsolAl濃度を求めるが、この濃度を未補正濃
度とする。ここで用いる検量線は、一般の成分濃度を決
める検量線と同様、標準試料を用いて上記の発光パルス
の頻度と InsolAl濃度との関係を求めて、予め作成し
ておけばよい。
【0023】更に、発明者らは、未補正濃度と化学分析
によって得られる InsolAl濃度について調べ、その差
が SolAl濃度に関係することを把握した。
【0024】図1は、この関係を示すもので、図を利用
し易いように横軸には下方境界直線の勾配が目盛られて
いる。分析試料では、この時点では SolAl濃度は得ら
れていないが、下方境界直線は求められているからであ
り、又、下方境界線の勾配は分析試料中の SolAl濃度
に対応するからである。
【0025】図1に見られるように、未補正濃度と化学
分析濃度の差は勾配に対して高い相関関係にあり、 Sol
Al濃度が低い(下方境界線の勾配が小さい)場合は未
補正濃度の方が高く、 SolAl濃度が高い(下方境界線
の勾配が大きい)場合は未補正濃度の方が低くなる。未
補正の InsolAl濃度は明らかに SolAl濃度(下方境
界線の勾配)の影響を受けている。検量線作成に用いた
標準試料の SolAl濃度と分析試料の SolAl濃度とが
近い場合は、未補正の InsolAl濃度は化学分析値に近
い値となるが、両者の SolAl濃度が隔たる程未補正の
InsolAl濃度は化学分析値から隔たることになる。
【0026】この図1の関係を用いれば、 SolAl濃度
の影響をなくすことができる。即ち、未補正の InsolA
l濃度を下方境界直線の勾配に応じて補正してやれば、
正確度の高い補正後の濃度を求めることができる。
【0027】実際には、上方境界直線よりもAlの発光
強度が大きい発光パルスの頻度と前記下方境界直線の勾
配に基づいて直接鋼中アルミナの濃度を求めることがで
きる。
【0028】InsolAl濃度が非常に低い場合、その粒
が偏在することを考慮しなければならず、放電面積は大
きい方が望ましい。放電面積は放電面と対電極との間隔
を大きくすれば広がるが、現実には通常の市販機器の印
加電圧、対電極或いは採光系の制約があり、現状の装置
では前述のJISのようにその最大間隔を決めている。
【0029】したがって、一般成分の分析で行われてい
るように、放電箇所を増やして複数測定値を得てその平
均値を採用するとともに、前述の制約を越えて、可及的
に放電面と対電極との間隔を大きく(6mm以上)し、全
体的に放電面積を増やすことが望ましい。
【0030】放電面積を増やすために放電箇所を増やす
のも一つの方法であるが、その数が多くなると放電箇所
を取り替えるために要する時間が分析所要時間として無
視できなくなる。これを防ぐため、放電中に放電点を移
動させる方法がある。この場合、対電極を平行移動させ
ると光軸が移動し光学系の調整が複雑になるので、分析
試料の放電面を対電極との間隔を一定に保った状態で移
動させながら放電する方法が適切である。移動は放電面
が増えればよいので、分析試料の直線的な移動のみなら
ず回転を含んだ移動であってもよい。
【0031】
【実施例】超清浄鋼である高炭素軸受鋼及び肌焼鋼につ
いて InsolAl濃度の分析を行い、化学分析値を基準と
して正確度を調べた。又、同じ試料について従来法で行
った分析結果についても同様に比較した。
【0032】実施例1.高炭素軸受鋼中の InsolAlを
分析した。鋼種の成分規格は表1に示す通りで、 SolA
l量の範囲は狭い。
【0033】
【表1】
【0034】試料の分析面は、アルミナの汚染を避け、
SiC系の80番サンダーで研磨して仕上げた。
【0035】パルス放電はArガス雰囲気中で行い、出
力電圧400Vp、周波数400回/秒で、25秒間放
電して各々10000個の発光強度を測定した。対電極
との間隔を6mmとし、この間隔を保つ状態で、試料を毎
秒6mmの速さで移動させながら放電した。Alの分析線
は396.1nm、Feの分析線は287.4nmである。
【0036】得られた10000個の発光パルスの分布
から InsolAl濃度を求めたが、全ての発光パルスのデ
ータ採取後に演算したのでは所要時間は採取時間に演算
時間が加算されてしまうので、2.5秒後毎に得られる
1000個の発光パルスの分布から異常パルス数を演算
しその平均値から InsolAl濃度を求めた。
【0037】下方境界直線を求めた手法を図2を用いて
説明する。Feの発光強度の算術平均値FeAVを求め、
Feの発光強度がFeAVより大きいパルス群の中から、
Alの発光強度が小さい方から10番目までのパルスを
選びこれらの平均値を座標とする一点を決める。次に、
Feの発光強度がFeAVより小さいパルス群の中から、
Alの発光強度が小さい方から10番目までのパルスを
選びこれらの平均値を座標とする他の一点を決める。そ
して、これらの二点を通る直線を下方境界直線とした。
【0038】この手法は二点回帰法と呼ばれるが、この
方法に限らず他の下方に収斂させる手法を使うことがで
きる。但し、 SolAl試料について用いた手法と同じ手
法を用いることが肝心である。
【0039】上記の手法により求めた下方境界直線3は
(1)式で示される。
【0040】
【数1】
【0041】領域境界直線の勾配を求める定数には2.
5を用いたので、領域境界直線2を(2)式と決定し
た。
【0042】
【数2】
【0043】得られた領域境界直線により区分された異
常域に発生した発光パルスの数を数え、図9に示す検量
線を用いて、未補正濃度に換算した。
【0044】最後に、この下方境界直線の勾配を用いて
未補正濃度を補正して補正後の InsolAl濃度を得た。
補正には(3)式を用いた。
【0045】
【数3】
【0046】9本の試料について分析したが、詳細及び
分析結果を他の例とともに表3に示す。
【0047】実施例2.肌焼鋼中の InsolAlを分析し
た。鋼種の成分規格は表2に示す通りで、軸受鋼より S
olAl量の範囲が広い。
【0048】
【表2】
【0049】放電中試料を移動させずに、放電面箇所を
十箇所としその平均値から1分析値を求めた。一箇所の
放電時間は2.5秒で、その他の条件は実施例1と同様
である。
【0050】11本の試料について分析したが、詳細及
び分析結果を他の例とともに表3に示す。
【0051】従来例1.実施例1と同じ鋼試料を用いた
が、未補正濃度に補正を施していないことを除いて、放
電放電条件は実施例2と同様である。
【0052】従来例2.実施例2と同じ鋼試料を用い、
未補正濃度に補正を施していないことを除いて、他の条
件は実施例2と同様である。
【0053】
【表3】
【0054】実施例1では、σが0.40ppm の正確さ
で結果が得られ、従来例1ではσが0.46ppm であ
る。実施例1の方がやや正確さに優れるが、その違いは
小さくほぼ同等である。しかし、実施例2では、σが
1.26ppm であるのに対し、従来例ではσが4.86
ppm と大きな違いが見られる。これは、軸受鋼では Sol
Alの含有率がどの試料も似通ってほぼ一定であったた
め、 InsolAlの分析値に与える SolAlの影響がほぼ
同じであったが、肌焼鋼では SolAlの含有範囲が広
く、その影響を打ち消す補正の効果が大きく現れたため
である。
【0055】なお、分析に要した時間は、実施例1では
約1分であったが、他の例では約5分であり、試料を移
動しながら放電することによって正確な結果が一層短時
間で得られることが確認された。
【0056】図7は放電面積を変えた場合の InsolAl
分析値の再現精度(繰り返し回数20)を調べた結果で
ある。この例の場合は、より広範な発光を採光する光学
系とし、放電面と対向電極との間隔を通常の4〜5mm
(放電円の直径が6〜7mm)から6〜7mm(放電円
の直径が8〜9mm)とした。△印は InsolAl濃度が
8.2ppm の試料の場合、〇印は InsolAl濃度が3.
0ppm の試料の場合であるが、放電円の直径を大きくし
て放電面積を増やすと、再現精度は良くなる。
【0057】
【発明の効果】以上述べてきたように、この発明によれ
ば、 SolAlに基づくパルスと InsolAlに基づくパル
スが分布する領域の境界を SolAlのみを含む試料のパ
ルスの分布に基づいて決定し、決められた領域に出現す
る異常発光パルスの頻度から InsolAl濃度を求める
が、この時異常発光パルスの頻度と InsolAl濃度との
間に SolAl濃度が介在しこれが分析誤差要因となって
いることに注目し、その影響を補正している。このた
め、分析結果の正確さが一層向上した。加えて、 Insol
Alの偏在に対処して、発光面積を許される範囲で最大
として再現精度を向上させ、又分析試料を移動させなが
ら放電することにより更に迅速性を向上させた。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の作用を説明するための未補正分析値と化
学分析値の差と下方境界直線の関係を示す図である。
【図2】SolAl起因発光と InsolAl起因の発光区別
する境界の決定法を説明する発光パルスの分布図であ
る。
【図3】分析試料の発光パルスの分布図である。
【図4】SolAlのみを含む試料の発光パルスの分布図
である。
【図5】下方境界直線の勾配と SolAl濃度との関係を
示す図である。
【図6】上方境界直線の勾配と下方境界直線の勾配との
比と SolAl濃度との関係を示す図である。
【図7】放電円直径と InsolAl分析値の再現精度の関
係を示す図である。
【図8】異常パルス個数と InsolAl濃度の関係を示す
検量線図である。
【符号の説明】
1 SolAl濃度直線 2 領域境界直線 3 下方境界直線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−5548(JP,A) 特開 平3−255343(JP,A) 特開 平4−5550(JP,A) 特開 平6−242003(JP,A) 特開 昭62−277539(JP,A) 特開 昭62−162947(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 21/62 - 21/74 G01N 33/20 JICSTファイル(JOIS)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分析試料と対電極との間のパルス放電に
    より分析試料中の元素を励起し発生する励起光を分光し
    てFeのパルス発光強度とAlのパルス発光強度を測定
    し、Feのパルス発光強度とAlの発光強度をそれぞれ
    座標軸とする2次元領域での測定データの散布図におけ
    るAlのパルス発光強度の下限を示す下方境界直線を求
    め、測定されたFeのパルス発光強度の平均値に対応す
    る下方境界直線上のAlのパルス発光強度をAlパルス
    発光強度軸切片、下方境界直線の勾配に定数を乗じた値
    を勾配とする上方境界直線よりもAlの発光強度が大き
    い発光パルスの頻度と前記下方境界直線の勾配に基づい
    て鋼中アルミナの濃度を求めることを特徴とする鋼中ア
    ルミナの迅速分析方法。
  2. 【請求項2】 分析試料と対電極との間隔を6mmより
    大にして放電する請求項1記載の鋼中アルミナの迅速分
    析方法。
  3. 【請求項3】 分析試料と対電極との間隔を一定に保っ
    た状態で、分析試料を移動させながら放電する請求項1
    又は2記載の鋼中アルミナの迅速分析方法。
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