JP3362311B2 - ワインの製法およびそれにより得られたワイン - Google Patents

ワインの製法およびそれにより得られたワイン

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルコール脱水素
酵素活性を有する担子菌を用いた、ワインの製法および
それにより得られたワインに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、ワインの製造には、アルコー
ル発酵を行わせる目的で、酵母が用いられている。ワイ
ンは、一般に、葡萄の果汁を酵母を用いて発酵させて得
られるものであり、赤ワインと白ワインに大別される。
【0003】赤ワインは、例えば、図5に示すフローシ
ートに沿って製造されている。すなわち、まず、濃赤色
または黒紫色の品種の葡萄を破砕し、果汁,果皮,種子
を集める。ついで、雑菌の増殖と酸化の防止を目的とし
て亜硫酸系化合物(メタ重亜硫酸カリウム等)を添加
し、さらに砂糖,グルコース等で補糖して糖度を調整し
た後、酵母を加えて、20〜25℃で7〜10日間発酵
する。その後、圧搾、後発酵、おり引き、たる貯蔵、濾
過の各工程を経て、びん等の容器に詰めることにより、
赤ワインが得られる。
【0004】また、白ワインは、赤ワインと略同様にし
て製造されるが、緑黄色の品種の葡萄を原料として、果
汁のみを酵母で発酵させたものであり、通常、15℃で
約3週間発酵させた後、搾取し、たるに詰めて熟成させ
ることにより得られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように、ワイン
は、従来より、アルコール発酵能を有する酵母を用いて
製造されるが、酵母以外の菌を用いて製造した報告は殆
どなく、特に担子菌については全く報告がないといって
も過言ではない。また、酵母は好気条件下におけるアル
コール発酵能が小さいため、ワインの製造条件に制限が
課せられている。さらに、また、酵母を用いて製造した
ワインには、抗がん性物質であるβ−D−グルカンが殆
ど存在せず、しかも心筋梗塞や脳血栓等の血栓症予防効
果も期待できない。
【0006】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、アルコール発酵工程において、酵母に代えて、
担子菌を用いる、全く新規なワインの製法およびそれに
よって得られるワインの提供をその目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、ワインの製造における発酵工程におい
て、アルコール脱水素酵素活性を有する担子菌によって
アルコール発酵を行うワインの製法を第1の要旨とす
る。
【0008】また、本発明は、上記ワインの製法によっ
て得られるワインを第2の要旨とする。
【0009】本発明者らは、有用な生理活性物質を産出
する担子菌について、各種の実験研究を重ねていた。そ
の過程で、従来、担子菌はアルコール発酵能がないと思
われていたが、多種の担子菌のうち、アルコール脱水素
酵素活性を備えたものが存在することを見いだした。そ
して、このような担子菌を用いてワインの製造を試みた
結果、従来と同程度のアルコール度数を有するワインが
得られることを突き止め、本発明に到達した。
【0010】上記担子菌を用いれば、従来のワインの製
造と同様、嫌気条件下でワインを製造することができ、
また好気条件下であってもワインを製造することができ
る。そのため、ワインの製造条件の緩和が図れるという
利点がある。嫌気条件の場合は、従来の製造設備をその
まま利用することができ、新規設備を増設等することな
くワインの製造が行えるという利点がある。
【0011】そして、本発明のワインは、従来から用い
られている酵母ではなく、特定の担子菌によって製造さ
れたものであるため、酵母では産出できない有用生理活
性物質を含有したものとなる。すなわち、抗腫瘍性,免
疫活性,抗アレルギー性,食物繊維効果を発揮するβ−
D−グルカンや、食物繊維効果を発揮するキチン質,ヘ
テロ多糖〔ペクチン質,ヘミセルロース,活性ヘミセル
ロース複合体(AHCC,Active hemicellulose compl
ex),ポリウロナイド,リグニン〕等を含有するものと
なる。したがって、本発明のワインは、従来にはない全
く新規なものとなり、機能性・健康飲料となりうる。
【0012】なお、本発明において、担子菌とは、子実
体が「きのこ」といわれているものをいい、微生物分類
学上の担子菌類(ハラタケ類,ヒダナシタケ類,腹菌
類,キクラゲ類)のほか、子のう菌類の一部をも含む概
念で用いている。
【0013】また、本発明において、嫌気条件下とは、
酸素分圧が1.0kPa未満である条件下をいい、完全
に酸素がない状態も含まれる。一方、好気条件とは、酸
素分圧が1.0kPa以上である条件下をいう。
【0014】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施の形態につ
いて説明する。
【0015】本発明のワインの製法は、従来公知の各種
のワインの製法における発酵工程において、従来から一
般に用いられている酵母を使用するのではなく、特定の
担子菌を用い、この担子菌によってアルコール発酵を行
うものである。
【0016】本発明で用いる特定の担子菌としては、ア
ルコール脱水素酵素活性を有するものであれば特に限定
はなく、例えば、各地の森林等で採取される、アガリク
スタケ(Agaricus blazei ,アガリクス ブラゼイ)、
ヒラタケ(Pleurotus ostreatus ,プレロトス オスト
レタス)、エノキタケ(Flammulina velutipes,フラム
リナ ベルチペス)、マツタケ(Tricholoma matsutak
e,トリコロマ マツタケ)、キクラゲ(Auricularia a
uricula,アリキュラリア アリキュラ)、クリタケ(N
aematoloma sublateritium ,ナエマトロマ スブラテ
リチュム)、シイタケ(Lentinus edodes ,レンチナス
エドデス)、ショウロ(Rhizopogon rubescens,リゾ
ポゴン ルベセンス)、スエヒロタケ(Schizophyllum
commune ,シゾフィラム コムネ)、タモギタケ(Pleu
rotus citrinopileatus ,プレロトス シトリノピレタ
ス)、チョウレイマイタケ(Dendropolyporus umbellat
us,デンドロポリポルス ウベラタス)、ブクリョウ
(Poria cocos ,ポリア ココス)、ブナシメジ(Hyps
izygus marmoreus,ヒプシジガス マルモレス)、マイ
タケ(Grifola frandosa,グリフォラ フランドサ)、
マスタケ(Laetiporus sulphureus ,ラエチポラス ス
ルフレス)、マンネンタケ(Ganoderma lucidum,ガノ
デルマ ルシダム)、ツクリタケ(Agaricus bisporus
,アガリクス ビスポラス)、ヤナギマツタケ(Agroc
ybe cylindracea,アグロシベ シリンドラセア)、ヤ
シタケ(Hericium erinaceum,ヘリシウム エリナ
セム)、カワラタケ(Coriolus versicolor ,コリオル
ス ヴャジカラア)、コフキサルノコシカケ(Elfvingi
a applanata ,エルフィンギア アプラナタ)、ナメコ
(Pholiota nameco ,ポリオタ ナメコ)、ヌメリスギ
タケ(Pholiota adiposa,ポリオタ アディポサ)、ア
ミタケ(Suillus bovinus ,スイルス ボビナス)、シ
ロキクラゲ(Tremella fuciformis ,トレメラ フシフ
ォルミス)、スッポンタケ(Phallus impudicus ,ファ
ルス インプデカス)、ニカワハリタケ(Pseudohydnum
gelatinosum,シュドヒドナム ゲラチノサム)、ノボ
リリュウ(Helvella crispa ,ヘルヴェラ クリス
パ)、ブナハリタケ(Mycoleptodonoides aitchisonii
,マイコレプトドノイデス アイチソニイ)、ホンシ
メジ(Lyophyllumshimeji,リョフィラム シメジ)、
マツバハリタケ(Bankera fuligineo-alba,バンケラ
フィギネオ アルバ)、モリノカレバタケ(Collybia d
ryophila,コリビア ドリオフィラ)、タマチョレイタ
ケ(Polyporus tuberaster,ポリポラス ツベラス
タ)、ショウゲンジ(Rozites caperatus ,ロジテス
カペラタス)、スギヒラタケ(Pleurocybella porrigen
s ,プレロシベラ ポリゲンス)、シャカシメジ(Lyop
hyllum fumosum,リョフィラム フモスム)等があげら
れる。なかでも、入手容易性や、アルコール脱水素酵素
活性等を考慮して、アガリクスタケ、エノキタケ、ヒラ
タケ、マンネンタケが好適である。マンネンタケを用い
れば、フルーティな味と香りのワインが製造されるだけ
でなく、生薬として有効な生理活性物質がワイン中に含
まれるという利点がある。
【0017】上記特定の担子菌におけるアルコール脱水
素酵素活性の有無は、例えば、つぎのようにして確認す
ることができる。すなわち、まず、担子菌に対し超音波
処理,遠心分離処理を行い、上清液を粗酵素液として調
製する。また、0.1Mトリス緩衝液(pH7.4)1
2.5mlと、NAD + 0.1mlと、0.1Mエタノ
ール11.0mlと、フェナジンメトサルフェート(P
MS)0.5mlと、 ニトロブルーテトラゾリウム(N
BT)0.5mlと、水10mlとを配合して混合する
ことにより、反応溶液を調製する。つぎに、上記粗酵素
液0.02mlを用い、ポリアクリルアミドゲル電気泳
動を行った後、そのポリアクリルアミドゲルを上記反応
溶液に浸し、30℃で1時間反応させる。そして、染色
されたアルコール脱水素酵素のバンドが確認できれば、
アルコール脱水素酵素活性があるものであるといえる。
なお、先に列挙した担子菌であっても、上記アルコール
脱水素酵素活性が確認されないものは、本発明において
用いることはできない。
【0018】そして、上記担子菌のなかでも、アルコー
ル脱水素酵素活性が1.0units/mg以上のもの
が好適であり、特に10.0units/mg以上のも
のが最適である。すなわち、アルコール脱水素酵素活性
が低すぎると、担子菌を多量に使用する等の手段を講じ
なければならず、ワインの製造上好ましいとはいえない
からである。なお、アルコール脱水素酵素活性は、担子
菌を超音波処理,遠心分離処理したのちに得られる上清
液を粗酵素液として用い、エタノールとトリス緩衝液と
NAD+ 等を用い、NADHの示す340nmにおける
吸光度を測定することにより求められる。
【0019】本発明のワインの製法は、上記担子菌を用
い、例えばつぎのようにして実施することができる。
【0020】赤ワインの場合は、図1に示すように、ま
ず、濃赤色または黒紫色の品種の葡萄を破砕し、果汁,
果皮,種子を集める。ついで、砂糖,グルコース等で補
糖して糖度を調整した後、上記担子菌を1〜10重量%
程度加えて、嫌気条件下で発酵する(発酵工程)。担子
菌は、純粋培養したものを液体培養し、菌糸体として生
育させたものを用いることが好ましい。また、発酵条件
は、通常、20〜25℃で7〜10日間程度が好まし
い。その後、従来ワインの製法と同様、圧搾、後発酵、
おり引き、たる貯蔵、濾過の各工程を経て、びんや缶等
の容器に詰めることにより、上記担子菌によってアルコ
ール発酵が行われた赤ワインが得られる。
【0021】また、白ワインの場合は、図2に示すよう
に、まず、緑黄色の品種の葡萄を破砕し、果汁,果皮,
種子を集める。ついで、搾汁機にかけて果汁だけをと
る。つぎに、補糖して糖度を調整した後、上記担子菌を
1〜10重量%程度加えて、嫌気条件下で発酵する(発
酵工程)。担子菌は、純粋培養したものを液体培養し、
菌糸体として生育させたものを用いることが好ましい。
また、発酵条件は、通常、13〜18℃で3週間程度が
好ましい。その後、従来のワインの製法と同様、おり引
き、たる貯蔵、濾過の各工程を経て、びん等の容器に詰
めることにより、上記担子菌によってアルコール発酵が
行われた白ワインが得られる。
【0022】このようにして得られたワインは、上記担
子菌のアルコール発酵により製造されたものであるた
め、担子菌由来の生理活性物質であるβ−D−グルカン
等を含有したものとなる。このため、上記ワインを飲む
と、がん予防効果、広範囲にわたる疫病予防効果、アレ
ルギー予防効果(アトピーに有効)、食物繊維効果等が
得られる。また、担子菌の種類によっては、血栓を溶か
す作用がある線溶酵素、血栓を作りにくくする抗トロン
ビン活性物質を含有したものとなり、心筋梗塞や脳血栓
等の血栓症予防効果が得られる。さらに、エルゴステロ
ール(プロビタミンD2 )を含有したものとなったり、
抗菌活性(保存性を高める)を発揮するものとなる。そ
して、シイタケを用いた場合には、高血圧や高コレステ
ロール症予防効果があるエリタデニンを含有したものと
なり、マンネンタケを用いた場合には、血糖降下作用が
ある多糖ガノデランを含有したものとなり、エノキタケ
を用いた場合には、強心作用があるフラムトキシンを含
有したものとなり、ヤマブシタケを用いた場合には、痴
呆症改善効果がある神経成長因子を含有したものとな
る。また、マイタケを用いた場合には、コレステロール
値,中性脂肪,血糖値,尿糖値を減少させる血圧降下作
用を奏するものとなり、ヒラタケを用いた場合には、摂
食抑制活性(レクチン活性)を発揮するものとなる。
【0023】また、上記ワインは、特定の担子菌を用い
て製造されたものであるが、従来のワインと同程度のア
ルコール度数を有するものとなる。しかも、従来のワイ
ンの風味にはないきのこ風味が付与されたものとなり、
嗅覚的にも全く新規なものとなる。さらに、味覚的に
は、フルーティな味となり、それぞれの担子菌のほのか
な味が加わり、全く新規なものとなる。
【0024】また、上記製法であれば、従来のワインの
製法における発酵工程において用いられていた酵母を上
記特定の担子菌に代えるだけで済むため、従来の製造設
備をそのまま利用することができ、新規設備を増設等す
ることなくワインの製造を行うことができる。
【0025】なお、上記製法では、嫌気条件下で発酵を
行った例を説明したが、本発明のワインの製法はこれに
限定するものではなく、好気条件下で発酵を行うことも
可能である。上記担子菌は、好気条件下においてもアル
コール発酵を行うことができるからである。
【0026】つぎに、実施例について比較例と併せて説
明する。
【0027】
【実施例1】図1に示すフローシートに準じて、つぎの
ようにしてワインの製造を行った。すなわち、まず、葡
萄(巨峰)をミキサーで破砕し、果汁を得た。ついで、
果汁の糖度を11重量%に調整し、さらにpHを5.8
〜6.0程度に調整した後、加熱処理を行った。そし
て、得られた果汁に、担子菌であるヒラタケ(兵庫県植
物生産センターより分譲)を約5重量%(果汁に対し
て)植菌し、室温(20℃)で10日間、嫌気条件下で
アルコール発酵を行った。このようにして、目的とする
ワイン(赤ワイン)を製造した。アルコール度数は、1
2.2%であった。
【0028】
【実施例2】アルコール発酵を好気条件下で行う以外
は、実施例1と同様にして、ワインを製造した。アルコ
ール度数は、12.2%であった。
【0029】
【実施例3】担子菌としてエノキタケ(日本きのこセン
ターより分譲)を用いる以外は、実施例1と同様にし
て、ワインを製造した。
【0030】
【実施例4】担子菌としてエノキタケ(日本きのこセン
ターより分譲)を用い、アルコール発酵を好気条件下で
行う以外は、実施例1と同様にして、ワインを製造し
た。
【0031】
【実施例5】担子菌としてマツタケ(丹波篠山で採取)
を用いる以外は、実施例1と同様にして、ワインを製造
した。
【0032】
【実施例6】担子菌としてマツタケ(丹波篠山で採取)
を用い、アルコール発酵を好気条件下で行う以外は、実
施例1と同様にして、ワインを製造した。
【0033】
【実施例7】担子菌としてアガリクスタケ〔ブラジル産
(直輸入)のアガリクスタケ、永大薬業社製〕を用いる
以外は、実施例1と同様にして、ワインを製造した。
【0034】
【実施例8】担子菌としてアガリクスタケ〔ブラジル産
(直輸入)のアガリクスタケ、永大薬業社製〕を用い、
アルコール発酵を好気条件下で行う以外は、実施例1と
同様にして、ワインを製造した。
【0035】
【実施例9】担子菌としてマスタケ(滋賀県足尾谷で採
取)を用いる以外は、実施例1と同様にして、ワインを
製造した。
【0036】
【実施例10】担子菌としてマスタケ(滋賀県足尾谷で
採取)を用い、アルコール発酵を好気条件下で行う以外
は、実施例1と同様にして、ワインを製造した。
【0037】
【実施例11】担子菌としてマンネンタケ(兵庫県植物
生産センターより分譲)を用いる以外は、実施例1と同
様にして、ワインを製造した。
【0038】
【実施例12】担子菌としてマンネンタケ(兵庫県植物
生産センターより分譲)を用い、アルコール発酵を好気
条件下で行う以外は、実施例1と同様にして、ワインを
製造した。
【0039】
【比較例】比較例として、市販のワイン(サンタアナ社
製、サンタ・アナ・カベルネ・ソーヴィニオン、アルコ
ール度数12.5%)を準備した。
【0040】このようにして得られた実施例および比較
例のワインについて、下記に示すようにして、アルコー
ル脱水素酵素活性、β−D−グルカンの有無、線溶活
性、抗トロンビン活性の測定評価を行った。そして、そ
の結果を、後記の表1〜表3に示した。
【0041】〔アルコール脱水素酵素活性〕 *1:アルコール脱水素酵素の存在の有無 まず、担子菌に対し超音波処理,遠心分離処理を行い、
上清液を粗酵素液として調製した。また、0.1Mトリ
ス緩衝液(pH7.4)12.5mlと、NAD+ 0.
1mlと、0.1Mエタノール11.0mlと、フェナ
ジンメトサルフェート(PMS)0.5mlと、ニトロ
ブルーテトラゾリウム(NBT)0.5mlと、水10
mlとを配合して混合することにより、反応溶液を調製
した。つぎに、上記粗酵素液0.02mlを用い、ポリ
アクリルアミドゲル電気泳動を行った後、そのポリアク
リルアミドゲルを上記反応溶液に浸し、30℃で1時間
反応させた。そして、染色された活性バンドから、アル
コール脱水素酵素活性の有無を評価した。すなわち、染
色されたアルコール脱水素酵素のバンドが確認できたも
のはアルコール脱水素酵素活性があるものとして○、バ
ンドが確認できなかったものはアルコール脱水素酵素活
性がないものとして×をつけた。 *2:アルコール脱水素酵素活性の測定 まず、上記と同様にして、粗酵素液を調製した。また、
0.25Mトリス緩衝液(pH7.4)0.16ml
と、NAD+ 0.05mlと、0.1Mエタノール0.
1mlと、水0.19mlとを配合して混合することに
より、反応溶液を調製した。つぎに、反応溶液を30℃
に加温し、このなかに予め30℃に加温しておいた粗酵
素液0.05mlを添加し反応させた。そして、340
nmにおける吸光度の経時変化を測定し、吸光度の増加
速度を求めることにより、アルコール脱水素酵素活性
(units/mg) を求めた。なお、1分間に1μm
oleのNAD+ を還元する酵素量を1unitとし
た。
【0042】〔β−D−グルカンの有無〕 ワイン中にβ−D−グルカンが存在するか否かを確認す
るために、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)
を用いてβ−D−グルカンの検出を行った。そして、β
−D−グルカンのピークが認められワイン中に存在して
いることが確認できたものに○、確認できなかったもの
に×をつけた。なお、図3は、アガリクスタケを用いて
製造したワイン(実施例7)のデータであり、矢印で示
す部分にβ−D−グルカンのピークが存在することを確
認できる。また、図4は、市販のワイン(比較例)のデ
ータであり、矢印で示す部分にピークが存在しないこと
を確認できる。
【0043】〔線溶活性〕 フィブリン平板(5671mm2 )の表面にワイン0.
03mlを円形に散布し(散布面積19.6mm2 )、
1時間放置後の溶解面積を測定した。
【0044】〔抗トロンビン活性〕 トロンビンの反応でフィブリノゲンからフィブリンに変
化し凝固するまでの時間(トロンビン時間)を測定し
た。すなわち、フィブリノゲン0.13重量%液0.4
mlに対し、ワイン0.1mlを作用させ、凝固するま
での時間を測定した。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】表1〜表3の結果から、アルコール脱水素
酵素活性を有する担子菌を用いて製造したワイン(実施
例1品〜12品)には、生理活性物質であるβ−D−グ
ルカンが含まれていることがわかる。これに対し、市販
のワイン(比較例品)には、β−D−グルカンが含まれ
ていないことがわかる。また、実施例1品〜12品のワ
インは、線溶活性を示していることも確認できる。さら
に、担子菌としてヒラタケ、エノキタケ、マツタケ、マ
スタケ、マンネンタケを用いて製造したワイン(実施例
1品〜4品,5品,9品〜12品)は、市販のワイン
(比較例品)に比べ、抗トロンビン活性を示しているこ
とも確認できる。
【0049】つぎに、上記実施例7品,8品,比較例品
のワインについて、下記に示すようにして抗菌力試験を
行った。その結果を、下記の表4に示した。
【0050】〔抗菌力試験〕 真菌類のかびである黒かび(Aspergillus niger ,アス
ペルギルス ニガー)、真菌類の酵母(Saccharomyces
cerevisiae,サッカロマイセス セレビッシェ)、グラ
ム陰性細菌である大腸菌(Escherichia coli,エシェリ
ヒア コリ)、グラム陽性細菌である納豆菌(Bacillus
natto,バチルス ナットウ)に対する抗菌活性を評価
した。具体的には、まず、上記各菌が生育可能な標準寒
天培地を55℃に保温した後、各菌を移植し、ペニシリ
ンカップを立てたシャーレに流し込み、固化させた。固
化後、ペニシリンカップを取り除いて、その穴の中へ、
ワインを添加し、各菌を標準的な条件で培養した。その
結果、阻止円が形成されたもの(抗菌活性を示したも
の)には○、阻止円が形成されなかったもの(抗菌活性
を示さなかったもの)には×をつけた。
【0051】
【表4】
【0052】表4の結果から、担子菌としてアガリクス
タケを用いて製造したワイン(実施例7品,8品)は、
黒かび,酵母,大腸菌に対して抗菌活性を有しているこ
とがわかる。これに対して、比較例品は、黒かび,酵
母,大腸菌,納豆菌に対して抗菌活性がないことがわか
る。
【0053】
【発明の効果】以上のように、本発明のワインの製造
は、従来のワインの製造における発酵工程において、酵
母によってアルコール発酵を行うのではなく、アルコー
ル脱水素酵素活性を有する担子菌によってアルコール発
酵を行うものである。そのため、酵母では産出できな
い、抗ガン性物質(β−D−グルカン)等が含有した全
く新規のワインが得られる。したがって、従来には全く
ない、機能性・健康飲料を提供することができる。
【0054】そして、上記担子菌を用いれば、嫌気条件
下だけでなく、好気条件下でもワインを製造することが
可能になるという利点がある。そのため、ワインの製造
条件の緩和を図ることができる。また、嫌気条件下で特
定の担子菌によりアルコール発酵を行えば、従来の製造
設備をそのまま利用することができ、新規設備を増設等
することなくワインの製造が行えるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のワインの製法の手順を示すフローシー
トである。
【図2】本発明のワインの製法の手順を示すフローシー
トである。
【図3】実施例品のワインのチャート図である。
【図4】比較例品のワインのチャート図である。
【図5】従来のワインの製法の手順を示すフローシート
である。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ワインの製造における発酵工程におい
    て、アルコール脱水素酵素活性を有する担子菌によって
    アルコール発酵を行うことを特徴とするワインの製法。
  2. 【請求項2】 上記アルコール脱水素酵素活性を有する
    担子菌が、アガリクスタケ、ヒラタケ、エノキタケ、マ
    ツタケ、キクラゲ、クリタケ、シイタケ、ショウロ、ス
    エヒロタケ、タモギタケ、チョウレイマイタケ、ブクリ
    ョウ、ブナシメジ、マイタケ、マスタケ、マンネンタ
    ケ、ツクリタケ、ヤナギマツタケ、ヤマブシタケ、カワ
    ラタケ、コフキサルノコシカケ、ナメコ、ヌメリスギタ
    ケ、アミタケ、シロキクラゲ、スッポンタケ、ニカワハ
    リタケ、ノボリリュウ、ブナハリタケ、ホンシメジ、マ
    ツバハリタケ、モリノカレバタケ、タマチョレイタケ、
    ショウゲンジ、スギヒラタケおよびシャカシメジからな
    る群から選ばれた少なくとも一種である請求項1記載の
    ワインの製法。
  3. 【請求項3】 アルコール発酵を気条件下で行う請求
    項1または2記載のワインの製法。
  4. 【請求項4】 アルコール発酵を好気条件下で行う請求
    項1または2記載のワインの製法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか一項に記載のワ
    インの製法により得られることを特徴とするワイン。
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