JP3361688B2 - 高温着色性が改善された芳香族ホスフェート組成物 - Google Patents

高温着色性が改善された芳香族ホスフェート組成物

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JP3361688B2
JP3361688B2 JP10531996A JP10531996A JP3361688B2 JP 3361688 B2 JP3361688 B2 JP 3361688B2 JP 10531996 A JP10531996 A JP 10531996A JP 10531996 A JP10531996 A JP 10531996A JP 3361688 B2 JP3361688 B2 JP 3361688B2
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phosphite
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butylphenyl
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健治 阿児
清春 平尾
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Daihachi Chemical Industry Co Ltd
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Daihachi Chemical Industry Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高温着色性が改善
された芳香族ホスフェート組成物に関する。更に詳しく
は、本発明は、合成樹脂の難燃剤や可塑剤として有用な
芳香族ホスフェートの製造工程中にリン系酸化防止剤を
微量添加されてなる高温下での着色が防止された芳香族
ホスフェート組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】芳香族
ホスフェートは、合成樹脂の難燃剤や可塑剤として、樹
脂に難燃性や熱的安定性及び/又は良好な成形加工性を
付与することができる。このことから該芳香族ホスフェ
ートは、各種樹脂に有用な添加剤として利用されてき
た。一方、近年、難燃剤等の高分子添加剤を添加した各
種樹脂の成形加工において、その製造コストを下げるた
めに、成形温度を300℃付近まで上げることによって
樹脂の流動性を向上させ、成形サイクルの短縮を行うよ
うになってきている。
【0003】しかしながら芳香族ホスフェートは、前記
成形温度において著しく着色を呈し、各種樹脂に添加し
た場合、その商品価値を低下させてしまうという問題が
あった。例えば芳香族ホスフェートをポリカーボネート
樹脂に添加した場合にはその透明性を低下させてしま
う。ここでいう「高温」とは、芳香族ホスフェートの融
点から350℃までの温度範囲を意味する。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
芳香族ホスフェートの高温下での着色を防止する必要性
を感じ、種々検討した結果、芳香族ホスフェートの製造
工程中にリン系酸化防止剤を微量添加することによって
高温下での着色を著しく防止することができることを見
出し、本発明に至った。
【0005】かくして本発明によれば、芳香族ホスフェ
ートに、酸化防止有効量のリン系酸化防止剤を添加して
なる高温着色性が改善された芳香族ホスフェート組成物
が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明に用いることのできる芳香
族ホスフェートは、工業的製造法で得られる粉末又は油
状物であって、例えば一般式(I):
【0007】
【化2】
【0008】(式中、R1 及びR2 は同一又は異なって
水素原子又は低級アルキル基、R3 及びR4 は同一又は
異なって水素原子又は低級アルキル基、Yは結合手、−
CH2−、−C(CH32 −、−S−、−SO2 −、−
O−、−CO−もしくは−N=N−基、kは0又は1、
mは0〜4の整数、nは0〜10の整数)で示される化
合物が挙げられる。
【0009】一般式(I)の置換基R1 、R2 、R3
びR4 の「低級アルキル基」とは、炭素数1〜5の直鎖
又は分枝状のアルキル基であって、具体的には、メチ
ル、エチル、 n―プロピル、 iso―プロピル、 n―ブチ
ル、 iso―ブチル、 sec―ブチル、tert―ブチル、 n―
ペンチル、 iso―ペンチル、tert―ペンチル、 neo―ペ
ンチル等が挙げられ、特にメチル基が好ましい。また、
3 及びR4 にあっては、特に水素原子が好ましい。
【0010】一般式(I)の化合物例としては、n=1
の場合の式(II):
【0011】
【化3】
【0012】(式中、R1 、R2 、R3 、R4 、Y、k
及びmは、式(I)と同義)で示される芳香族ビスホス
フェートが挙げられる。具体的には、テトラキス(2,
6−ジメチルフェニル)m−フェニレンビスホスフェー
ト(化合物(1)とする)、テトラキス(2,6−ジメ
チルフェニル)p−フェニレンビスホスフェート(化合
物(2)とする)、テトラキス(2,6−ジメチルフェ
ニル)−4、4’−ジフェニレンビスホスフェート、テ
トラフェニル−m−フェニレン−ビスホスフェート(化
合物(3)とする)、テトラキス(3−メチルフェニ
ル)−4、4’−イソプロピリデンジフェニレンビスホ
スフェート(化合物(4)とする)等が例示され好まし
いが、これらに限定されるものではない。
【0013】また、一般式(I)の化合物例としては、
n=0の場合の式(III):
【0014】
【化4】
【0015】(式中、R1 、R2 及びR3 は、式(I)
と同義)で示される芳香族モノホスフェートが挙げられ
る。具体的には、トリス(2,6−ジメチルフェニル)
ホスフェート(化合物(5)とする)等が例示され好ま
しいが、これらに限定されるものではない。
【0016】本発明の一般式(I)の芳香族ホスフェー
トは、例えば特開昭63−227632号公報及び特開
平5−1079号公報に記載の製造方法等により合成す
ることができる。例えば、芳香族モノヒドロキシ化合物
とオキシハロゲン化リンとをルイス酸触媒の存在下に有
機溶剤中反応させて、ジアリールホスホロハリデートを
得、次いでこの生成物に芳香族ジヒドロキシ化合物をル
イス酸触媒の存在下に反応させ、得られる反応混合物か
ら溶媒及び触媒を除去し、一般式(I)で示される芳香
族ホスフェートを得ることができる。
【0017】一方、本発明に用いることのできるリン系
酸化防止剤としては、ホスファイト、ホスフォナイト及
びホスフィネート等が挙げられる。具体的には、サイク
リックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−
ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペン
タンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチルフェニ
ル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライ
ルビス(オクタデシルホスファイト)、トリフェニルホ
スファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイ
ト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジ
フェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシ
ルホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジ
ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t
−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4’−
ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニ
ルジトリデシル)ホスファイト等のホスファイト;10
−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10
−ホスファフェナントレン等のホスフォナイト;及び
9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェ
ナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−
t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)9,10−ジヒ
ドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−1
0−オキサイド等のホスフィネート等が挙げられる。
【0018】また、高温下での着色防止効果の点で、ホ
スファイト及びホスフォナイトのリン系酸化防止剤が好
ましい。具体的には、前記化合物中、サイクリックネオ
ペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェ
ニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトラ
イルビス(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファ
イト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホス
ファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)−4,4’−ジフェニレンビスホスフォナイトが好
ましい。更にはヒンダードフェノール系のホスファイト
及びホスフォナイトのリン系酸化防止剤が好ましく、具
体的には、前記化合物中、サイクリックネオペンタンテ
トライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホス
ファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス
(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトがよ
り好ましい。
【0019】リン系酸化防止剤の添加量は、酸化防止有
効量であり、芳香族ホスフェートの原料、合成方法、必
要な耐熱温度、時間によって異なるが、一般に芳香族ホ
スフェートに対して100〜10000ppm、好まし
くは200〜5000ppmである。添加量が前記範囲
であれば、有効な着色防止効果が得られ、またコスト的
にも有利である。
【0020】また、リン系酸化防止剤の添加時期は、特
に限定されず、芳香族ホスフェートの合成反応時から製
品化工程までのいずれの時点に添加してもよい。特に芳
香族ホスフェートの合成の溶媒除去工程直前において
は、リン系酸化防止剤の添加が容易で、かつ短時間での
均一混合が可能であり、また溶媒除去工程及び水蒸気蒸
留工程での着色防止にも優れた着色防止効果があるの
で、溶媒除去工程直前に添加することが好ましい。
【0021】本発明の高温着色性が改善された芳香族ホ
スフェートは、難燃剤や可塑剤として合成樹脂に添加す
ることができる。対象となる合成樹脂としては、塩素化
ポリエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブ
タジエン、スチレン系樹脂、耐衝撃性ポリスチレン、ポ
リ塩化ビニル、ACS樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、変
性ポリフェニレンオキシド、ポリメチルメタクリレー
ト、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンス
ルフィド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、
ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリアリレー
ト、ポリエーテルケトン類、ポリエーテルニトリル、ポ
リチオエーテルスルホン、ポリベンズイミダゾール、ポ
リカルボジイミド、液晶ポリマー、複合化プラスチック
及びこれらの混合物等熱可塑性樹脂、及びポリウレタ
ン、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和
ポリエステル、ジアリルフタレート樹脂及びこれらの混
合物等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0022】
【実施例】次に実施例により本発明を詳細に説明する
が、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものでは
ない。また、各種物性は下記の試験方法により測定し
た。色相測定(Hz)は、化合物毎に下記の方法より行
った。 化合物(1):キシレンで50重量%に希釈した後、ハ
ーゼン色数法(JIS規格K−6901)により測定し
た。 化合物(2):THFで10重量%に希釈した以外は化
合物(1)と同様にして測定した。 化合物(3):化合物を希釈なしにガードナー色数法
(JIS規格K−6901)により測定した。 化合物(4):化合物を希釈なしにハーゼン色数法によ
り測定した。 化合物(5):THFで33重量%に希釈した以外は化
合物(1)と同様にして測定した。
【0023】また、酸価測定はJIS規格K−007
0、融点測定はJIS規格K−0064、耐熱試験はJ
IS規格K−6750に準拠して行った。純度測定はゲ
ルパーメイションクロマトグラフィーにより行った。
尚、以下に記載する化学構造式のMeは、断りのない限
りメチル基を示す。
【0024】(合成例1)テトラキス(2,6−ジメチ
ルフェニル)m−フェニレンビスホスフェート(化合物
(1))は、特開平5−1079号公報に記載の製造方
法により合成した。つまり、撹拌機、滴下ロート、温度
計及び水スクラバーを連結したコンデンサーを装着した
4つ口フラスコに、2,6−キシレノール1171g
(9.58モル)、キシレン131g、塩化マグネシウ
ム7.2gを入れ、加熱混合した。反応液の温度が12
0℃に達した時点で、オキシ塩化リン736g(4.7
9モル)を約2時間かけて添加した。このとき発生した
塩酸ガスは水スクラバーへ導いた。オキシ塩化リンの添
加終了後、反応液の温度を徐々に180℃まで2時間か
けて昇温させ、反応を完結させた。
【0025】次いで、反応液にレゾルシン257g
(2.33モル)、塩化アルミニウム7.2gを加え、
加熱混合し、反応温度を徐々に180℃まで2時間かけ
て昇温し、同温度にて2時間攪拌を行った。更に減圧下
で2時間攪拌を行い、反応を完結させた。反応完結後、
反応液にキシレン1550g、10%塩酸水160gを
添加し、攪拌して残存する触媒などを除去し、更に4%
食塩水660gで洗浄した。
【0026】得られた化合物(1)と溶剤との混合物
に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール5g、更
に3%水酸化ナトリウム水溶液660g添加し、70℃
まで加熱し、1時間加熱撹拌を行った。次いで、反応液
のオイル相を6%食塩水660gで70℃にて洗浄後、
更に4%蓚酸水660gで90℃にて洗浄を行い、オイ
ル相3225gを得た。この時の色相はハーゼン30で
あった。
【0027】得られたオイル相1610gから、減圧下
でキシレンを除去し、更に水蒸気蒸留により低沸点物を
取り除いて、化合物(1)の微黄色透明粘性液体805
gを得た。この化合物(1)は、色相ハーゼン50、酸
価(AV)0.09KOH mg/g、純度96.5%で、
下記の構造式を有していた。
【0028】
【化5】
【0029】(合成例2)合成例1の途中で得られたオ
イル相(色相ハーゼン30、溶媒除去前)の残り161
0gに、リン系酸化防止剤としてサイクリックネオペン
タンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)ホスファイト0.4g(化合物(1)に対して50
0ppm)を添加した以外は、合成例1と同様にして化
合物(1)806gを得た。この化合物(1)は、色相
ハーゼン30、酸価(AV)0.09KOH mg/gであ
った。このことから溶媒除去前のリン系酸化防止剤の添
加が、溶媒除去及び水蒸気蒸留による着色防止に有効で
あることが分かった。
【0030】(合成例3)テトラキス(2,6−ジメチ
ルフェニル)p−フェニレンビスホスフェート(化合物
(2))は、特開平5−1079号公報に記載の製造方
法により合成した。つまり、撹拌機、滴下ロート、温度
計及び水スクラバーを連結したコンデンサーを装着した
4つ口フラスコに、2,6−キシレノール1171g
(9.58モル)、o−ジクロロベンゼン1200g、
塩化マグネシウム7.2gを入れ、加熱混合した。反応
液の温度が120℃に達した時点で、オキシ塩化リン7
36g(4.79モル)を約2時間かけて添加した。こ
のとき発生した塩素ガスは水スクラバーへ導いた。オキ
シ塩化リンの添加終了後、反応液の温度を徐々に180
℃まで2時間かけて昇温させ、反応を完結させた。
【0031】次いで、反応液にヒドロキノン257g
(2.33モル)、塩化アルミニウム7.2g、o−ジ
クロロベンゼン750gを加え、加熱混合し、反応温度
を徐々に180℃まで2時間かけて昇温し、同温度で2
時間攪拌を行った。更に減圧下で2時間攪拌を行い、反
応を完結させた。反応完結後、反応液に10%塩酸水1
60gを添加し、攪拌して残存する触媒などを除去し、
更に約85℃の湯660gで洗浄した。次いで結晶核を
添加し、攪拌しながら室温まで冷却することにより結晶
を析出させた。析出した結晶を濾過により分離し、メタ
ノール900gで洗浄後、100℃にて減圧乾燥した。
【0032】得られた結晶(化合物(2))は、白色の
結晶性粉末で、収量1500gであった。また、この化
合物(2)は、色相ハーゼン10、純度97.9%、酸
価(AV)0.15KOH mg/g、融点165〜171
℃で、下記の構造式を有していた。
【0033】
【化6】
【0034】(合成例4)テトラフェニル−m−フェニ
レン−ビスホスフェート(化合物(3))は、特開昭6
3−227632号公報に記載の製造方法により合成し
た。つまり、撹拌機、滴下ロート、温度計及び水スクラ
バーを連結したコンデンサーを装着した4つ口フラスコ
に、レゾルシン165g(1.50モル)、オキシ塩化
リン645g(4.20モル)、塩化マグネシウム2.
2gを入れ、徐々に昇温しながら混合した。5時間後、
反応液の温度が105℃に達した時点で、過剰のオキシ
塩化リンを減圧下、回収した。次いで140℃にてフェ
ノール514g(5.46モル)を加えた後、160℃
まで4時間かけて昇温した。更に同温度で減圧下、2時
間攪拌を行うことにより反応を完結させた。
【0035】反応完結後、反応液に蓚酸水210gを添
加し、攪拌して残存する触媒などを除去し、更に水蒸気
蒸留にて過剰のフェノールを除去した。次いで、2%水
酸化ナトリウム水溶液205gで処理した後、約60℃
の湯210gで3回洗浄した。得られたオイル相を減圧
脱水することにより化合物(3)の無色透明液体323
gを得た。この化合物(3)は、色相ガードナー1以
下、酸価(AV)0.05KOH mg/g、純度は69%
で、下記の構造式を有していた。
【0036】
【化7】
【0037】(合成例5)テトラキス(3−メチルフェ
ニル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニレンビス
ホスフェート(化合物(4))は、特開昭63−227
632号公報に記載の製造方法により合成した。つま
り、撹拌機、滴下ロート、温度計及び水スクラバーを連
結したコンデンサーを装着した4つ口フラスコに、ビス
フェノールA250g(1.10モル)、オキシ塩化リ
ン606g(3.95モル)、塩化マグネシウム3.0
gを入れ、徐々に昇温しながら混合した。5時間後、反
応液の温度が105℃に達した時点で、過剰のオキシ塩
化リンを減圧下、回収した。次いで125℃にてm−ク
レゾール478g(4.42モル)を加えた後、155
℃まで7時間かけて昇温した。更に同温度で減圧下、2
時間攪拌を行うことにより反応を完結させた。
【0038】反応完結後、反応液にトルエン200gを
添加し、リン酸水溶液240gで処理することにより残
存する触媒などを除去した。次いで、得られたオイル相
を130℃にて脱水した後、プロピレンオキシド8gを
添加し120℃で2時間攪拌した。続いて約60℃の湯
240gにて洗浄を行った後、再度、130℃で脱水し
た後、約60℃の湯240gで洗浄を行なった。
【0039】得られたオイル相から、減圧下でトルエン
を除去し、更に水蒸気蒸留により過剰のクレゾールを除
去した。次いで得られたオイル相をセライト濾過するこ
とにより化合物(4)の淡黄色透明液体792gを得
た。この化合物は、色相ハーゼン80、酸価(AV)
0.24KOH mg/g、純度は77%で、下記の構造式
を有していた。
【0040】
【化8】
【0041】(合成例6)トリス(2,6−ジメチルフ
ェニル)ホスフェート(化合物(5))は、特開平6−
322277号公報に記載の製造方法により合成した。
つまり、撹拌機、滴下ロート、温度計及び水スクラバー
を連結したコンデンサーを装着した4つ口フラスコに
2,6−キシレノール381g(3.12モル)、キシ
レン24g、塩化マグネシウム2.4g、塩化アルミニ
ウム3.3gを入れ、加熱混合した。反応液の温度が1
20℃に達した時点で、オキシ塩化リン152g(0.
9モル)を約2時間かけて添加した。このとき発生した
塩素ガスは水スクラバーへ導いた。オキシ塩化リンの添
加終了後、反応液の温度を200℃まで2時間かけて昇
温させ、更に同温度で2時間反応を行った。次いで減圧
下、2時間攪拌を行うことにより反応を完結させた。
【0042】反応完結後、反応液にキシレン685gを
添加し、85℃の5%塩酸水152gで処理することに
より、残存する触媒などを除去した。更にこの反応液を
約85℃の湯150gで洗浄した。次いで炭酸ナトリウ
ム1.2g、クエン酸ソーダ0.5g、約80℃の湯1
50gを添加し、80℃で1時間処理した後、反応液の
オイル相を約80℃の湯150gで洗浄した。
【0043】得られたオイル相からキシレンを、減圧下
で除去し、更に水蒸気蒸留により低沸点物を取り除い
た。次いで再度、オイル相にキシレン685g、20%
水酸化ナトリウム水溶液15gを添加し、70℃で30
分撹拌後、約70℃の湯135gを加え処理した。この
オイル相を約70℃の湯150gにて2回洗浄を行った
後、オイル相からキシレンを減圧除去し、更に水蒸気蒸
留により低沸点物を取り除いて、化合物(5)の白色粉
末382gを得た。この化合物は、色相ハーゼン90、
酸価(AV)0.05KOH mg/g、純度99%以上、
融点136〜137℃で、下記の構造式を有していた。
【0044】
【化9】
【0045】(実施例1〜4)合成例1で得られた化合
物(1)に、サイクリックネオペンタンテトライルビス
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトを化
合物(1)に対して100ppm添加した。この化合物
を110℃×8時間及び280℃×1時間の条件で耐熱
試験を行い、色相測定と化合物の着色度合いの評価を行
った。
【0046】尚、評価基準は次のように規定した。 −:酸化防止剤無添加(スタンダード) ◎:スタンダードに比べて著しい効果が認められる。 ○:スタンダードに比べて効果が認められる。 ×:スタンダードに比べて効果が同じ又は認められな
い。 試験では110℃及び280℃での着色防止効果が認め
られた。その結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】尚、表中の添加物名は、以下のように略記
する。 リン系1:サイクリックネオペンタンテトライルビス
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト〔G
Eスペシャリティーケミカル社製、ウルトラノックス6
26〕 リン系2:サイクリックネオペンタンテトライルビス
(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト〔旭
電化工業社製、PEP−36〕 リン系3:テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)−4,4−ジフェニレンビスホスフォナイト〔サン
ド社製、サンドスタブP−EPQ〕 リン系4:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)
ホスファイト〔旭電化工業社製、アデカスタブ211
2〕 フェノール系1:2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾ
ール〔住友化学工業社製、スミライザーBHT〕 フェノール系2:2,2’−メチレンビス(4−メチル
−6−t−ブチルフェノール〔川口化学社製、アンテ−
ジW−400〕
【0049】(実施例2〜4)サイクリックネオペンタ
ンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)
ホスファイトを化合物(1)に対して、それぞれ500
ppm(実施例2)、1000ppm(実施例3)及び
2000ppm(実施例4)添加する以外は、実施例1
と同様に行った。その耐熱試験結果を表1に示す。
【0050】(実施例5〜7)サイクリックネオペンタ
ンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)
ホスファイトの代わりにリン系酸化防止剤として、サイ
クリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t
−ブチルフェニル)ホスファイト(実施例5)、テトラ
キス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ジ
フェニレンビスホスフォナイト(実施例6)及びトリス
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(実
施例7)を用いる以外は実施例2と同様にして行った。
試験では110℃及び280℃での着色防止効果が認め
られた。その耐熱試験結果を表1に示す。
【0051】(実施例8)合成例1で得られた化合物
(1)の代わりに合成例2で得られた化合物(1)を用
いる以外は実施例2と同様にして行った。試験では19
0℃及び280℃での着色防止効果が認められた。その
耐熱試験結果を表1に示す。
【0052】(比較例1)添加剤が無添加である以外は
実施例2と同様にして行った。試験では110℃、28
0℃共に大幅な着色が認められた。その耐熱試験結果を
表1に示す。
【0053】(比較例2〜3)サイクリックネオペンタ
ンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)
ホスファイトの代わりにリン系酸化防止剤として、2,
6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(比較例2)、
2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチル
フェノール)(比較例3)を用いる以外は実施例2と同
様にして行った。試験では110℃での着色防止効果が
認められたが、280℃では着色防止効果が認められな
かった。
【0054】(実施例9〜11)合成例2で得られた化
合物(1)の代わりに合成例3で得られた化合物(2)
を用いる以外は実施例2〜4と同様にして行った。試験
では190℃及び280℃での着色防止効果が認められ
た。その耐熱試験結果を表2に示す。
【0055】
【表2】
【0056】(実施例12〜14)サイクリックネオペ
ンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)ホスファイトの代わりにリン系酸化防止剤として、
サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ
−t−ブチルフェニル)ホスファイト(実施例12)、
テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,
4’−ジフェニレンビスホスフォナイト(実施例13)
及びトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフ
ァイト(実施例14)を用いる以外は実施例10と同様
にして行った。試験では190℃及び280℃での着色
防止効果が認められた。その耐熱試験結果を表2に示
す。
【0057】(比較例4)添加剤が無添加である以外は
実施例10と同様にして行った。試験では190℃、2
80℃共に大幅な着色が認められた。その耐熱試験結果
を表2に示す。
【0058】(比較例5〜6)サイクリックネオペンタ
ンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)
ホスファイトの代わりにリン系酸化防止剤として、2,
6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(比較例5)、
2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチル
フェノール)(比較例6)を用いる以外は実施例2と同
様にして行った。試験では110℃、280℃共に大幅
な着色が認められた。その耐熱試験結果を表2に示す。
【0059】(実施例15)合成例4で得られた化合物
(3)に、サイクリックネオペンタンテトライルビス
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトを化
合物(3)に対して500ppmを添加し、280℃×
1時間の条件で耐熱試験を行い、色相測定と化合物の着
色度合いの評価を行った。試験では280℃での着色防
止効果が認められた。その結果を表3に示す。
【0060】
【表3】
【0061】(比較例7)添加剤が無添加である以外は
実施例15と同様にして行った。試験では280℃で大
幅な着色が認められた。その耐熱試験結果を表3に示
す。
【0062】(実施例16)合成例5で得られた化合物
(4)に、サイクリックネオペンタンテトライルビス
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトを化
合物(4)に対して500ppmを添加し、280℃×
1時間の条件で耐熱試験を行い、化合物の着色度合いを
観察した。試験では280℃での着色防止効果が認めら
れた。その耐熱試験結果を表4に示す。
【0063】
【表4】
【0064】(比較例8)添加剤が無添加である以外は
実施例16と同様にして行った。試験では280℃で大
幅な着色が認められた。その耐熱試験結果を表4に示
す。
【0065】(実施例17〜18)合成例6で得られた
化合物(5)に、サイクリックネオペンタンテトライル
ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト
を化合物(5)に対して500ppm(実施例17)、
2000ppm(実施例18)添加し、280℃×1時
間の条件で耐熱試験を行い、化合物の着色度合いを観察
した。試験では280℃での着色防止効果が認められ
た。その耐熱試験結果を表5に示す。
【0066】
【表5】
【0067】(比較例9)添加剤が無添加である以外は
実施例17と同様にして行った。試験では280℃で大
幅な着色が認められた。その耐熱試験結果を表5に示
す。
【0068】
【発明の効果】本発明は、芳香族ホスフェートに、酸化
防止有効量のヒンダードフェノール系のホスファイトな
いしホスフォナイトのリン系酸化防止剤を添加するの
で、単色系の樹脂へも配合可能な耐熱着色性が改善され
た結晶性化合物を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 85/02 C08L 85/02 // C09K 15/32 C09K 15/32 C (56)参考文献 特開 平8−198885(JP,A) 特開 平8−193090(JP,A) 特開 平8−301884(JP,A) 特開 平5−92986(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07F 9/09 C07F 9/48

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ホスフェートに、酸化防止有効量
    のリン系酸化防止剤を添加してなる高温着色性が改善さ
    れた芳香族ホスフェート組成物。
  2. 【請求項2】 芳香族ホスフェートが、一般式(I): 【化1】 (式中、R1 及びR2 は同一又は異なって水素原子又は
    低級アルキル基、R3 及びR4 は同一又は異なって水素
    原子又は低級アルキル基、Yは結合手、−CH2−、−
    C(CH32 −、−S−、−SO2 −、−O−、−C
    O−もしくは−N=N−基、kは0又は1、mは0〜4
    の整数、nは0〜10の整数)で示される化合物である
    請求項1記載の組成物。
  3. 【請求項3】 芳香族ホスフェートが、テトラキス
    (2,6−ジメチルフェニル)m−フェニレンビスホス
    フェート、テトラキス(2,6−ジメチルフェニル)p
    −フェニレンビスホスフェート、テトラキス(2,6−
    ジメチルフェニル)−4、4’−ジフェニレンビスホス
    フェート、テトラフェニル−m−フェニレン−ビスホス
    フェート、テトラキス(3−メチルフェニル)−4、
    4’−イソプロピリデンジフェニレンビスホスフェート
    及びトリス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート
    からなる群から少なくとも1つ選択される請求項2記載
    の組成物。
  4. 【請求項4】 リン系酸化防止剤が、ホスファイト又は
    ホスフォナイトである請求項1〜3記載の組成物。
  5. 【請求項5】 ホスファイト又はホスフォナイトが、ヒ
    ンダードフェノール系化合物である請求項4記載の組成
    物。
  6. 【請求項6】 ヒンダードフェノール系化合物が、サイ
    クリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t
    −ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペ
    ンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチルフェニ
    ル)ホスファイトである請求項5記載の組成物。
  7. 【請求項7】 リン系酸化防止剤が、芳香族ホスフェー
    トに対して100〜10000ppm添加されてなる請
    求項1〜6記載の組成物。
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