JP3360519B2 - 積層型磁界検出装置 - Google Patents

積層型磁界検出装置

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JP3360519B2
JP3360519B2 JP04176696A JP4176696A JP3360519B2 JP 3360519 B2 JP3360519 B2 JP 3360519B2 JP 04176696 A JP04176696 A JP 04176696A JP 4176696 A JP4176696 A JP 4176696A JP 3360519 B2 JP3360519 B2 JP 3360519B2
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祐司 西部
秀哉 山寺
二郎 坂田
裕 野々村
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    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01RMEASURING ELECTRIC VARIABLES; MEASURING MAGNETIC VARIABLES
    • G01R33/00Arrangements or instruments for measuring magnetic variables
    • G01R33/02Measuring direction or magnitude of magnetic fields or magnetic flux

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁性体のインダク
タンス変化を検出原理として、外部磁界を電気信号に変
換する磁界検出装置、特に磁性体層を積層型として低磁
界を高感度に検出するものに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、各種分野において、磁界の検
出が行われている。例えば、回転するシャフトに磁性体
を取り付けシャフトの回転量を磁界の変化として検出し
たり、移動する物体の位置やその物体までの距離を磁界
の変化として検出することが行われている。そして、磁
界検出は、非接触で行うことができるため、移動する物
体の検出に特に適しており、生体計測、自動車や工作機
械などにおける位置計測等に好適であると考えられる。
【0003】このような磁界検出素子としては、アモル
ファス磁性膜(単層膜)を用いたものが知られており、
この装置では、外部磁界(被検出磁界)の変化をインダ
クタンス変化として検出する。この磁界検出素子では、
図2に示すように、アモルファス磁性膜からなる細長形
状の素子900に対し、その長さ方向の両端に駆動電源
950から100MHz前後の正弦波電流を印加する。
これによって、素子900の幅方向に交流磁界が印加さ
れる。
【0004】このように、素子900の幅方向に交流磁
界の印加されると、この素子900に外部から加えられ
た被検出磁界に応じて素子900のアモルファス磁性膜
の幅方向の透磁率μが変化する。このため、素子900
のインダクタンスLが(1)式により変化する。
【0005】従って、素子900の両端のインピーダン
スZが、素子に加えられた被検出磁界に応じて、(2)
式に示すように変化する。この関係を被検出磁界の強度
とインピーダンスの変化の関係に直すと、図3に示すよ
うになる。そこで、このインピーダンス変化に伴う電圧
変化を検出器951で検出することによって、被検出磁
界(Hex)を検出することができる。
【0006】 L=kμ(μは透磁率、kは形状により決まる定数) ・・・ (1) Z=√[R2 +(ωL)2 ] ・・・ (2) ここで、Rは素子の抵抗分、ωは駆動電源950の駆動
角周波数(駆動周波数はfで表す)である。
【0007】このようにして、アモルファス磁性膜を利
用して、簡単な構成で、外部磁界の大きさを検出するこ
とができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ここで、上記従来例で
は、インダクタンスLの変化に応じたインピーダンスZ
の変化を検出しているため、十分な大きなインピーダン
ス変化を得るためには、駆動角周波数ωを大きくする必
要がある。そこで、10〜100MHz以上の高い駆動
周波数領域でなければ、十分な精度の磁界検出が行えな
かった。従って、この磁界検出素子の使用によって高周
波のノイズが生じ、これがコンピュータの動作に対し悪
影響を及ぼす可能性があった。特に、この検出素子を自
動車のエンジン回りのシャフトの回転検出に用いた場
合、その近傍に配置されるエンジン制御用のコンピュー
タに悪影響を与えるおそれがあり、コンピュータにおい
て、ノイズ対策が必要になったり、検出素子における信
号処理回路が高価になるという問題点があった。
【0009】さらに、数10MHzという高周波により
素子を駆動した場合は、浮遊インピーダンス成分である
抵抗分とインダクタンス分を考慮に入れなくてならず、
回路製作が複雑になるという問題点もあった。
【0010】また、この形式の素子の出力特性において
は、図3から明らかなように、外部磁界を0から上昇さ
せたときに感度の符号が反転する点(臨界点)が存在す
る。そこで、通常の場合、この臨界点に至るまでの領域
を磁界検出領域としている。ところが、この臨界点に至
るまでの領域、すなわち素子のダイナミックレンジが1
〜10Oeと狭いという問題点があった。また、このダ
イナミックレンジが駆動角周波数ωによって、変化して
しまうという問題点や、印加できる電圧に制限があるた
め、検出素子の出力が小さいという問題点もあった。
【0011】そして、ダイナミックレンジが狭いと、こ
の素子を磁界センサとして用いた場合の検出可能な磁界
範囲が狭くなってしまう。このため、地磁気の影響を受
けないで1〜20Oe領域という磁界領域での絶対量の
検出ができないという問題点があった。また、素子出力
が小さいため、絶対磁界を検出する位置センサ、距離セ
ンサとして利用する場合に、素子と被検出物体の距離を
大きくとれないという問題点もあった。また、なるべく
大きな出力を得るために、高周波源が大電力となり、消
費電力が大きくなっていまうという問題点があった。さ
らに、従来の素子では、その能力を精一杯利用しない
と、所定の検出が行えない場合が多く、磁界発生のため
のアモルファス磁性膜および回路を含めた装置の構成上
の制約が大きくなるという問題点もあった。
【0012】本発明の目的は、上記課題に鑑みなされた
ものであり、低い周波数領域で駆動でき、素子の感度が
高く、低消費電力で、かつダイナミックレンジが広く、
かつ駆動周波数によって変化することのない磁界検出装
置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】素子出力を増加させるた
めには、駆動磁界効率を向上させることが必要である。
そこで、本発明においては、磁性体を含む磁性体層の中
に導電体からなる導電体層を設けた。この導電体層に
は、例えば、磁性体層に比べ、1桁以上導電率の高いも
のを採用する。
【0014】このような構成にすると、素子の内部磁界
は、図4に示すような分布になる。すなわち、素子の長
手方向に対し垂直な面による断面において、導電体層の
中心は、磁界が0Oeである。そして、中心から磁性体
層に向かい磁界強度が絶対値として上昇する。そこで、
被検出磁界Hext を透磁率μの大きさとして検知し、素
子出力に寄与する磁性体層に非常に効率よく駆動磁界を
印加できる。このため、磁界の検出精度を向上させるこ
とができる。
【0015】さらに、磁性体と導電体を積層した構造に
より、従来技術では不可能であった駆動周波数の2桁以
上の低下が達成できる。これについて、以下に説明す
る。
【0016】素子の出力をインピーダンスZとして取り
出す場合に、このインピーダンスは(2)式によって表
現されるが、これを厳密に表すと、次の(3)〜(5)
式で表される。
【0017】
【数1】 ここで、tは磁性体層及び導電体層を含む素子の膜厚、
Rfは素子の表皮効果の影響のない抵抗分、Lfは素子
の表皮効果のないインダクタンス分、ωは駆動角周波
数、ρは比抵抗である。また、(4)式のδは、素子に
対する電流および磁界の侵入領域の目安となる表皮厚さ
である。前述のように、素子への被検出磁界Hext印
加に伴い、磁性体の透磁率μが変化する。このため、L
fが、(1)式のように変化する。
【0018】駆動周波数fを10〜100MHzの領域
で使用する従来技術では、RとωLが同等な値であり、
Zの変化は被検出磁界Hextの印加によるインダクタ
ンス及び抵抗分の変化の重畳として現れる。しかし、こ
れを1MHz以下の領域で使用すると、ωが小さいため
に、表皮の厚さδが素子の厚さtよりも十分厚くt<2
δとなる。したがって、(3)式に(1)式および
(4)式を代入した(5)式の第1項からも明らかなよ
うに、μの変化による表皮効果型の抵抗成分の変化はな
い。また、駆動周波数(10MHz〜100MHz)が
通常の場合より1桁以上小さいため、第2項のインダク
タンス成分ωLも通常の駆動周波数での値に比べて1桁
小さい。このため、従来の素子では、駆動周波数が1M
Hz程度という条件下において、インダクタンス成分も
抵抗成分も変化しないため磁界の検出はほとんど行えな
い。
【0019】一方、本発明では、導電体からなる導電体
層を磁性体層で挟んだ構造になっている。このため、導
電率の高い導電体層が磁性体からなる磁性体層に電気的
に並列接続される。従って、素子全体の抵抗値Rtotal
は、(6)式に示すようにして決定され、この抵抗値R
total を2桁程度低くすることができる。なお、この式
において、Rmag は磁性体層のみの抵抗、Rcondは導電
体層のみの抵抗である。
【0020】 1/Rtotal =1/Rmag +1/Rcond ・・・ (6) このように、本発明によれば、高導電率の導電体層を設
けることで、素子の抵抗が小さくなり、駆動周波数を従
来に比べ2桁小さくしてもωLとRが同等の大きさにな
る。このため、駆動周波数を100kHz〜1MHzと
いう低周波領域にすることができる。
【0021】さらに、本発明では、透磁率の高い磁性体
と導電率の高い導電体の積層化による相乗効果によっ
て、表皮厚さが薄くなり低周波でも表皮効果の影響が現
れる。このため、抵抗R成分も被検出磁界Hextによ
り変化する。
【0022】磁性体層と導電体層が積層された構造の素
子の場合における表皮効果を考えると、表皮厚さが磁性
体層の厚さより少し大きい場合には、図5に示す磁界回
路からも明らかなように、透磁率μは磁性体と導電体層
の直列である。従って、磁性体層の透磁率μが導電体よ
りも3桁以上大きければ、素子の透磁率μは磁性体層の
透磁率と等しくみなせる。一方、磁気回路内に流れる電
流Iは、上述のように、磁性体層と導電体層で並列抵抗
を形成しているので、導電率については導電体層の抵抗
が支配的になる。
【0023】従って、このときの素子の抵抗値は、導電
体層の有効厚さを(3)式の表皮厚さをδとすると、簡
単な式を用いて、次の(7)、(8)式で決定される。
【0024】
【数2】 この(8)式から、素子全体での比抵抗ρtotal (ρto
t も同義)は、{}内の第1項の導電体層のρc が磁性
体層のρm に比べて支配的であることが分かる。従っ
て、(7)式から明らかなように、(8)式の{}内第
2項以降の総和が第1項の4ρc と同等の大きさにな
り、透磁率μの変化による表皮厚さδの変化領域が導電
体層のみに及ぶように、駆動周波数ωに応じて各層の厚
さt及び比抵抗ρを選択すれば、磁性体層の透磁率μの
変化で全体の抵抗Rの変化も大きくすることができる。
【0025】また、従来例とは異なり、透磁率μの値と
して、磁性体層の高い値を用いる上、表皮効果の影響は
素子抵抗の変化に大きく関与する導電体層にも及ぶた
め、ρtotal の変化も大きい。なお、この効果を引き出
すには、導電体層と磁性体層の膜厚が3:1〜1:5の
範囲にあればよい。
【0026】この場合、磁性体層には、表皮効果の及ぼ
す影響が少ないので、インピーダンスの式は(4)式と
同じように表記すれば、(9)式で表される。この
(9)式から、右辺第2項のインダクタンス成分の、駆
動角周波数ω及び透磁率μに対する変化率が高いことが
理解される。
【0027】 Z=R(−t/2√[2ρ])√[ωμ]+jk(2√[2ρ]/t)ωμ ・・・ (9) このように、本発明では、磁性体層と導電体層の積層に
よる相乗効果により、被検出磁界は磁性体層で高感度に
検出し、これを磁性体層と積層した導電体層の表皮厚さ
に含まれる有効領域で高効率に抵抗変化に変換する。す
なわち、磁性体層と導電体層の積層による相乗効果によ
り、被検出磁界は磁性体層で高感度に検出し、それを磁
性体層と積層した導電体の表皮厚さで高効率に抵抗変化
として変換する効果を有する。これにより、被検出磁界
の変化に対し、インダクタンスLだけでなく抵抗値Rの
変化も大きくとることができる。本発明によれば、厚さ
10μm以下の素子において、100kHz〜1MHz
におけるRの変化率を従来技術よりも1〜2桁高くでき
る。
【0028】また、従来のアモルファス単一膜では、ダ
イナミックレンジが駆動周波数により変化してしまう。
そこで、本発明では、磁気異方性を素子内で分布するこ
となく均一に付加した磁性体層を用い、これによってダ
イナミックレンジが駆動周波数に対して安定した素子を
実現する。このような磁性体層は、例えば、スパッタリ
ング、真空蒸着等で薄膜作成する際に、これを直流磁場
中で行い、これによって磁性体層における磁気異方性を
制御して、素子中における磁気異方性を均一にする。
【0029】磁気異方性が素子のダイナミックレンジを
決定する理由を以下に示す。図6において、素子の磁化
状態は被検出磁場Hext、異方性磁場Hk、印加され
る磁場H、そしてHに逆向きに発生する反磁界Hdy、
Hdxにより決定される。これを用いて、素子全体での
磁気エネルギーの式は以下の(10)式のようになる。
【0030】
【数3】 ここで、Msは磁化、θは容易磁化方向(磁化容易軸方
向)と磁化の方向のなす角度である。Hdxは駆動磁界
Hよりもその絶対値が小さく、またHと逆方向で負の符
号をもつ。Hdyと被検出磁界Hextとの関係も同様
である。θは、Eが最小となるように、異方性磁界H
k、被検出磁界Hext、反磁界Hdx、Hdy、Hの
大小関係で規定される。透磁率μは、このモデルにおい
て、Hextの大きさ及び方向と、Hkの大きさ及び方
向により変化し、これが素子感度に反映する。図7に示
すように、素子の幅方向に異方性の磁化容易軸を形成し
た場合に、透磁率の変化が大きくなり、インピーダンス
Zの変化も大きい。
【0031】また、これによると素子のダイナミックレ
ンジ(Hext=0から素子感度の符号が変化するまで
の外部磁界Hextの範囲、すなわち透磁率が極大とな
るまでの磁界)は、膜に付加された異方性磁界Hkと、
HdyとHdxとのバランスで決まる形状磁気異方性磁
界Hsとの和であるHk+Hsにより定まる。
【0032】異方性磁界Hkは、スパッタリング、真空
蒸着等の薄膜作成技術による素子作成時の磁場中処理、
あるいは磁性体層間の交換相互作用により制御できる。
また、形状磁気異方性磁界Hsは、図8に示したよう
に、素子形状(磁性体層の幅及び長さの比)により決ま
る。両者ともに安定に制御できるため、薄膜作成技術に
よりダイナミックレンジを制御することが可能となる。
【0033】素子の基板面に平行に被検出磁界Hext
が印加されると、これにより素子磁性体層の磁化状態が
変化し、素子の幅方向の透磁率μが変化する。素子の導
電体層の長さ方向に交流電流を印加することにより、素
子の幅方向に交流駆動磁界を発生させ、この透磁率変化
をインダクタンスL、あるいは抵抗R、あるいは両者の
位相差、または(9)式に示すインピーダンスZの変化
として検出する。
【0034】素子の導電体層に駆動電源が接続され、1
00kHz〜1MHzの正弦波低電流が印加される。こ
の状態において、素子の両端には素子のインピーダンス
Zと印加電流の積で求められる電圧が発生する。被検出
磁界Hextが素子に与えられると、素子の透磁率μが
変化する。これに基づくL及びRの変化を電圧の波高値
からインピーダンスZの変化量として読みとれば、被検
出磁界Hextの大きさがわかる。
【0035】本発明では、磁性体層と導電体層の積層化
による相乗効果により、従来技術では不可能であった、
駆動周波数が1〜2桁低い100kHz〜1MHzにお
いてインダクタンスLの変化を高効率化するとともに、
表皮効果の実効領域を素子抵抗に大きく寄与する導電体
層のみに影響するように素子構成に特徴を持たせてある
ためRの変化も高効率化し、出力を1〜2桁高めると同
時に、従来よりも消費電力を1桁小さくした。
【0036】さらに、薄膜作成技術及び素子形状による
磁気異方性の制御により、素子のダイナミックレンジの
制御、向上及び駆動周波数の変化に対するダイナミック
レンジの安定化を可能にした。
【0037】このように、本発明は、素子を導電体層と
磁性体層に分離し積層することにより、それぞれの持つ
特徴を生かすとともに、その相乗効果で素子の感度向上
等を達成している。本発明では、導電体の導電体層を磁
性体の磁性体層の中に配することにより、素子抵抗値を
2桁小さくし、インダクタンスの検出効率を高くすると
ともに、消費電力を従来より1桁小さくできる。さらに
は、磁性体層と導電体層の積層による相乗効果により、
被検出磁界は磁性体層で高感度に検出し、それを磁性体
層と積層した導電体の表皮厚さで高効率に抵抗変化とし
て変換する効果を有する。これにより、各層の膜厚比を
適切に選択すれば、厚さが10μm以下の素子において
も従来技術では不可能であった駆動周波数が1〜2桁低
い100kHz〜1MHzにおける磁界検出を可能にで
きる。さらに、インダクタンスのみならず抵抗の変化
も、従来素子より1桁以上大きくとることを可能にし、
特に周波数の低い100kHzでの感度を従来より2桁
以上高くできる。
【0038】従って、自動車内で使用する場合において
も、ノイズ電波の発生の間題が低減できる。したがっ
て、エンジン制御用のコンピュータに与えるノイズの対
策が低減でき、回路も安価で済むため、磁気センサを用
いたシステム全体のコストダウンが可能となる。
【0039】さらには、直流磁界中で磁性膜を形成する
という薄膜作成技術によって、磁性体層の磁気異方性を
制御することにより、素子のダイナミックレンジの向上
及び駆動周波数の変化に対するダイナミックレンジの安
定化を可能にした。異方性磁界は、素子の出力特性(出
力対被検出磁界の特性)の最大出力を示す磁界を決定す
る要素である。このため、導電体層と磁性体層に分離し
て磁性体層の磁気特性を独立制御することにより、素子
の検出磁界領域が小さくすることも大きくすることもで
きる。磁気異方性を小さくして検出磁界領域を小さくと
れば、単位検出磁界あたりの出力が大きくなるため、従
来技術に比べて高分解能な絶対値型磁界センサの構築が
可能となる。一方、磁気異方性を大きくして検出磁界領
域を大きくとれば、センサシステムを構築する周辺機器
の設計精度、センサ素子と磁界発生素子とのクリアラン
ス等の設計上の障壁が大幅に除去できるため、自動車用
の車高センサ、位置センサを用いたシステムの構成を従
来よりはるかに簡素で安価な構成にできる。
【0040】また、導電体層がFe、Coの強磁性体で
ある場合には、やはり導電体層が磁性体層に比べて導電
率が1桁以上高い導電体であるので、上記の効果が得ら
れる上に、導電体層と磁性体層がともに磁性体であるの
で両層間の強い磁気的なカップリングにより一軸磁気異
方性を制御できる。このため、ダイナミックレンジのさ
らなる拡大をも同時に達成することができる。
【0041】また、これらの素子はすべて薄膜により素
子が形成されるので、基板にSiを選択すれば、Si基
板上に形成した信号処理回路との一体化が容易になると
いう効果も有する。
【0042】また、他の構成例によれば、本発明の磁界
検出素子は、低抵抗材料よりなる通電電流を流す導電体
層、この導電体層周囲を覆う磁性体層、導電体層と磁性
体層の間に介在された絶縁層からなる。
【0043】そして、この絶縁層を設けることにより、
導電体層にのみ通電電流を流して磁性体層内を貫く周回
磁束を効率よく発生させることが可能となる。
【0044】また、導電体層の幅を100μm以上とす
ることにより、幅方向の表皮効果を顕著に発生させるこ
とができる。さらに、磁性体層に関しては、素子幅方向
が容易磁化方向となるように磁気異方性を付与すること
で、外部磁界に鋭いインピーダンス変化を引き出すこと
を可能とする。
【0045】次に、絶縁層を設けた点について、説明す
る。導電体層と磁性体層との絶縁分離がなされていない
場合には、通電電流の一部は磁性体層に流れ込む。この
磁性体層に流れ込んだ電流は磁性体層内を貫く周回磁束
を発生ためには寄与しない。すなわち、磁界検出素子へ
の通電電流の一部が磁性体層に流れ込んでしまうと、導
電体層を流れる電流は通電電流よりも小さくなってしま
い、通電電流が磁気インピーダンス効果発生のために効
率良く使われなくなる。そこで、導電体層と磁性体層と
の間に絶縁層を設け、導電体層のみに集中して通電電流
を流すことにより、通電電流の全てが磁性体層内を貫く
周回磁束発生のために使われることになり、より顕著な
磁気インピーダンス効果を引き出すことが可能となる。
【0046】ここで、外部磁界に対するインピーダンス
変化の内訳を考えてみると、インダクタンス変化と抵抗
変化とに分けることができる。インダクタンス分の変化
は、図9に示す磁性体層内を貫く周回磁束(図9の周回
磁界Φ1)の変化に対応する。そして、上述のように、
絶縁層を設けることで、インダクタンス分の変化を十分
大きなものにでき、磁界検出の感度を増大できる。
【0047】次に、素子幅を100μm以上に設定した
ことについて説明する。外部磁界に対する抵抗分の変化
は、上下磁性体層間での漏洩で導電体層を貫く磁束(図
9の漏洩磁束Φ2)の変化に対応する。この漏洩磁束
は、導電体層に表皮効果を発生させ、この表皮効果が抵
抗分の変化となって現れる。
【0048】従って、抵抗分の変化を顕著に発生させる
ためには、表皮の深さ以上の導体幅を有することと、導
電体層を上下に貫く漏洩磁束を大きく発生させることの
2つが重要となる。そこで、表皮効果による抵抗変化発
生のメカニズムについて説明すると共に、100kHz
から1MHzという低周波領域においても表皮効果を発
生させるにはどうしたらよいのか説明する。
【0049】表皮効果は、定性的には以下のメカニズム
で発生する。まず、磁性体層からの漏洩磁束が導電体層
を上下に貫く。次に、この磁束により渦電流が発生す
る。この渦電流により通電電流が図10に示すように導
電体層の両端に片寄る。これによって、最終的に表皮効
果が発生する。
【0050】次に、導電体層に表皮効果を発生させるた
めの条件について考える。どんな寸法においても表皮効
果は発生するのではなくて、特別な形状において表皮効
果は発生する。表皮効果の度合いを表すものとして、表
皮の深さを示す量δ(電流が有効に流れる深さ)を考え
る必要がある。表皮の深さは、上述の(4)式のよう
に、 δ=√[2ρ/ω・μ] で表され、導電体層の抵抗率と、通電電流の周波数と密
接に関連している。例えば、通電する電流の周波数を高
くするのに伴って表皮の深さは小さく(薄く)なる関係
にある。ここで、ρ:導電体層の抵抗率 μ:導電体層
の透磁率 ω:通電電流の角周波数である。
【0051】導体厚みと表皮の深さと表皮効果発生の関
係は、導体厚みより表皮の深さが小さい場合に表皮効果
が発生が発生し、逆に導体厚みより表皮の深さが大きい
場合には表皮効果は発生しない傾向にある。従って、通
電電流の周波数を高くして表皮深さを小さくすること、
あるいは導体厚みを大きくすることが、表皮効果を顕著
に発生させるポイントである。
【0052】ここで、表皮効果は導電体層を上下に貫く
磁束により発生する渦電流が起因していることにより、
本素子の表皮効果は導電体層の幅方向に発生していると
考えられる。そこで、表皮効果を発生させるため導電体
層の幅を表皮深さ以上とすることが、表皮効果を顕著に
発生させるために重要な要因となる。表皮の深さは、通
電電流100kHzから1MHzで、導電体層として標
準的な材料Al、あるいはCuを使用した場合には80
μmから100μm程度であることにより、導体幅を1
00μm以上とすれば、通電電流周波数100kHzか
ら1MHzの範囲においても表皮効果が充分発生可能で
あることが明らかである。
【0053】また、磁場中成膜により磁性体層内に均一
に磁気異方性を付与できたことにより、磁性体層内のド
メイン(領域)を図11に示すように制御できることに
なる。このように制御されたドメインは、外部磁場に対
して一斉の変化を示すことになり、外部磁場に対して急
激な透磁率変化を示すことになる。この急激な透磁率変
化は、磁性体層内を周回する磁束Φ1 、及び磁性体層か
ら漏洩する磁束Φ2 を急激に変化させることになる。最
終的には、インダクタンス、及び抵抗の外部磁界に対す
る大きな変化となって現れる。
【0054】また、上記積層型検出装置を4つ有し、電
気的ブリッジ構成に配置することにより、磁界を電気的
信号として取出すことができる。
【0055】さらに、単安定マルチバイブレータ回路に
よって装置を駆動し、磁界を抵抗とインダクタンスの位
相差として検出することが好適である。
【0056】以上により、1MHz以下という低周波領
域で、数Oeという低磁界に対してインピーダンス変化
率が100%以上という顕著な磁気インピーダンス効果
を得ることができる。
【0057】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態(実施
形態)について、図面に基づいて説明する。
【0058】「基本構成1」まず、本発明に係る磁界検
出素子の基本的構成の一例を図1に示す。素子1は、シ
リコンの基板10上に、磁性体層11で周囲を取り囲ん
だ導電体層12を積層した構造体として形成されてい
る。導電体層12と磁性体層11は、直接接触してい
る。磁性体層11はFeCoSiB、CoSiB等のア
モルファス軟磁性体により形成されており、一方導電体
層12はCu、Al、Ag等の、磁性体層に比べて導電
率が1桁以上高い導電体で形成されている。各層は、真
空蒸着法あるいはスパッタリング法等の薄膜作成技術に
より作成される。また磁性体層11は、素子の幅方向に
直流磁場を印加した状態で作成され、素子の幅方向が磁
性体層11の容易磁化方向となっている。さらに、磁性
体層11をメッキで形成し、その語磁場中で熱処理する
ことによって、容易磁化方向を通電方向に対し、90゜
に設定した磁性体層11を形成することも好適である。
【0059】この素子は、以下のように動作する。この
素子の導電体層あるいは導電体層及び磁性体層の両方の
両端に駆動電源50を印加する。交流駆動電流による交
流磁場が素子の幅方向に与えられた状態で、素子に外部
から被検出磁界が与えられると、被検出磁界により変化
した透磁率に基づき素子の抵抗値R及びインダクタンス
Lが変化する。この変化量を、検出器60により、抵
抗、インダクタンス、両者の位相差あるいはインピーダ
ンスの変化量として検出する。インピーダンス変化の例
を図12に示す。
【0060】また、従来の厚さ10μm以下の薄膜素子
と比較すると、図13に示すように100kHz〜2M
Hzでのインピーダンス変化が大きくなっており、従来
よりも2桁低い駆動周波数での感度を2桁以上向上させ
ている。
【0061】「基本構成2」次に、本発明に係る磁界検
出素子の基本的構成の他の例を図14に示す。上述の基
本構成1と同様に、素子1は、シリコンの基板10上
に、磁性体層11で周囲を取り囲んだ導電体層12を積
層した構造体として形成されている。そして、この例で
は、導電体層12と磁性体層11の間に絶縁体層15が
設けられている。そして、導電体層12の幅が、100
μm以上に設定されていると共に、磁性体層11は、素
子の幅方向に直流磁場を印加した状態で作成され、素子
の幅方向が磁性体層11の容易磁化方向となっている。
すなわち、磁性体層11の磁化容易軸が装置の電流印加
方向に対し90゜の角度に設定されている。
【0062】そして、上述の例と同様に、素子の導電体
層12の両端に駆動電源を印加する。この状態で、素子
に外部から被検出磁界が与えられると、被検出磁界によ
り変化した透磁率に基づき素子の抵抗値R及びインダク
タンスLが変化する。この変化量を、検出器により、抵
抗、インダクタンス、両者の位相差あるいはインピーダ
ンスの変化量として検出する。
【0063】本発明に関する素子の被検出磁界とインピ
ーダンスの関係を図15に示す。磁性体層と導電体層と
の間に絶縁層がなく、導電体層の幅が100μm以下と
いう上述の基本構成の素子と比較して、外部磁界印加に
対するインピーダンス変化率は3倍の900%程度とな
った。また、図16には素子通電電流周波数(駆動周波
数)に対するインピーダンス変化率を示している。上述
の基本構成1の素子と比較して、1MHzより低い周波
数領域においても大きなインピーダンス変化率が得られ
ていることが分る。
【0064】「実施形態1」図17は、この発明の実施
形態1に係る磁界検出素子についての斜視図である。素
子100は、シリコン単結晶の基板110と、この基板
110上に形成された上層111、導電体層112及び
下層113からなっている。なお、上下層111、11
3が磁性体層を形成している。上下層111、113の
寸法は、長さ10mm、幅1mm、導電体層112の上
下の位置にある部分の厚さがそれぞれ2μmである。導
電体層は、長さ10mm、幅500μm、厚さ3μmで
ある。
【0065】各層111、112、113は真空蒸着法
等の薄膜作成技術により作成され、互いに密着してい
る。また、基板110と下層113の下面も同様に密着
している。磁性体層を構成する上層111は、保磁力が
1Oe以下のFeCoSiBのアモルファス軟磁性体で
形成され、磁化容易軸は素子100の幅方向に方向付け
されている。また、導電体層112はCuで形成されて
いる。この素子100の導電体層112は、上層111
よりも長く取り出され、素子100の長さ方向の両端に
おいて配線用の電極を構成する。
【0066】素子100のダイナミックレンジを決定す
る一軸磁気異方性は、成膜時に素子100の幅方向に直
流磁界を印加しておくことによりつける。このときの磁
界の大きさ及び素子100の長さ及び幅で決まる形状効
果により、素子100のダイナミックレンジを±18O
eとする。素子の導電体層112の両端には、方形波発
生用の駆動電源(インバータ回路)150が接続され、
またそれに並列に位相検出器160が接続される。
【0067】次に、この素子100の動作を説明する。
導電体層112の両端の電極にはインバータ回路150
が接続されており、ここから100kHz交流電流を導
電体層112の両端に印加する。そして、導電体層11
2の両端の電圧を検出すると、素子100の抵抗R及び
インダクタンスLの変化分による位相変化が生じる。素
子100の長さ方向に外部磁界を印加した場合の位相角
θの出力特性を図18に示す。ここで、位相角θは、θ
=tan(ωL/R)で表され、インダクタンス成分と
抵抗成分からなるインピーダンスの位相角である。図に
示すように、位相角θは、素子100に加えられた外部
磁界Hextに対してリニアに変化する。ダイナミック
レンジは、制御した異方性磁界Hkを中心に、その上下
に広がる。本実施形態の素子100は、異方性磁界Hk
を制御して膜厚方向に均一に大きくとっており、素子の
インピーダンスがピークをもつ時の外部磁界の大きさが
±18Oeであり、この点を中心に外部磁界に対する位
相変化を検出できる。使用できる検出磁界領域が、従来
の単層膜よりも5倍ほど大きい。
【0068】また、100kHzでの素子の感度(外部
磁界の変化に対する位相角の変化量)が最大で2.5d
egree/Oeである。さらに、外部磁界が零のとき
のインピーダンスが従来の単層膜での9000mΩから
450mΩへと減少しているため素子の消費電力は1/
20と非常に小さい。この素子においては、導電体層1
12は磁性体層の10倍以上の導電率をもつものであれ
ば、Fe、Coの強磁性体であっても、反強磁性体のN
iO、CoO等であってもよい。また、磁性体層はCo
SiB、CoNbZr等の保磁力が1Oe以下の他のア
モルファス軟磁性体でもよい。
【0069】「実施形態2」図19に、本発明の実施形
態2の構成を示す。これは素子200を上部から見た図
である。また、素子200を断面250でカットした断
面構造を図20に示す。この実施形態2の素子200で
は、まずフォトリソグラフィー技術によりシリコン基板
230上に素子が形成される。図に示すように、積層化
された細線210がつづら折りされ、その両端には電極
取り出し用のパッド220が形成されている。そして、
細線210がX方向に平行に並ぶ領域240のみに、下
層211、導電体層212、上層213が積層され、そ
の他の領域は導電体層212のみの細線が形成される。
【0070】素子200の寸法は、導電体層212の幅
が50μm、3層となった部分の長さが3mm、平行に
並んだ導電体層212同士の間隔が150μmである。
上下層211、213はCoSiBであり、厚さ3μ
m、導電体層はCuであり1μmである。各層の磁化容
易軸は、図のY方向に付加されており、異方性磁界Hk
=18Oeに設定されている。
【0071】この素子の細線210は、図20に示すよ
うに、シリコン基板230上に下層211、導電体層2
12、上層213が形成されている。ボンディング用の
パッド220には、図19に示すように、駆動用の単安
定マルチバイプレータ261及び位相検出器262が接
続されている。単安定マルチバイブレータ261によ
り、素子200が、1MHz、10mAで駆動される
と、素子200のインダクタンスLは、図21のように
変化する。素子200のダイナミックレンジは、形状効
果及び磁気異方性により、0〜18Oeになっている。
なお、この例では、上下層211、213の磁気異方性
は、素子作製後における所定の直流磁界中における熱処
理により付加されたものである。
【0072】「実施形態3」図22は、本発明の実施形
態3の正面図である。素子300は2mm×10mmの
大きさであり、シリコン単結晶の基板330上に、スパ
イラル状に形成されている。その両端には、配線取り出
し用のボンディングパッド320を形成されている。素
子の下層及び上層はCoSiBであり、一方、導電体層
はCuであり、その線幅は10μm、厚さが2μmであ
る。磁化容易軸は素子の幅方向に付加されている。一対
のボンディングパット320には、インバータ回路35
0と位相検出器351が並列に接続される。
【0073】図23は、図22の要部の断面図である。
下層341上に配置されたCoの導電体層342が、下
層341と上層343により覆われた構造となってい
る。
【0074】「実施形態4」図24は、本発明の実施形
態4を示す。このように、磁性体層711、713、7
15、717、導電体層712、714、716、71
8を有する素子700〜703がブリッジ状に配置さ
れ、これに高周波定電圧源721及び抵抗検出回路72
2が接続される。すなわち、この例では、素子700、
702は長さ方向がY軸方向に向けられ、素子701、
703は長さ方向がX軸方向に向けられ、素子700、
703の外側端同士と、素子701、702の外側端同
士が接続され、素子700、701の内側端同士、素子
702、703の内側端同士が接続されている。そし
て、定電圧源721は、素子700、703の外側端
と、素子701、702の外側端の間に接続され、抵抗
検出回路722は素子700、701の内側端と、素子
702、703の内側端の間に接続されている。
【0075】この4つの素子700〜703の寸法は、
上下の磁性体層711、713、715、717がそれ
ぞれ幅1mm、長さ5mm、厚さ2μmであり、導電体
層712、714、716、718は幅0.1mm、長
さ6mm、厚さ3μmである。磁性体層はFeCoSi
B、導電体層はCoである。すべての磁性体層711、
713、715、717の磁気異方性は、素子700及
び702の長さ方向(図における縦方向)であるY軸方
向に磁化容易軸が向けられている。このため、素子70
0、702と素子701、703の各グループにおい
て、X方向の被検出磁界Hextに対する出力特性が異
なる。これを図25に示す。
【0076】このように、素子700、702と素子7
01、703の素子グループ間では、付加された磁化容
易軸の方向が互いに90度異なっている。このため、X
方向に加えられた被検出磁場Hextに対する感度がそ
れぞれ異なる。素子700、702は、素子寸法及び付
加した異方性磁界により被検出磁場Hextが18Oe
までは磁界に対して正の感度を持つが、逆に素子70
1、703は磁界に対して負の感度を持つ。したがっ
て、これらの素子を図24のようにブリッジ構成にする
ことにより、検出される抵抗値は(11)式のようにな
る。ここで、素子700、702の抵抗変化をΔR70
0、素子701、703の抵抗変化をΔR701として
いる。これより、被検出磁界が零の時の出力を零にでき
るとともに、同じ特性の素子を4つ用いるブリッジ型の
素子の場合に比べて感度の向上も同時に達成できる。
【0077】 ΔR=2(ΔR700−ΔR701)/(2R+ΔR700+ΔR701) ・・・(11) 図25の出力特性を持つ素子をブリッジ構成した場合の
素子出力を図26に示す。外部磁界が零の時の素子出力
は零で、かつ22Oe時の出力が57%の高感度な磁気
センサが実現される。駆動電流を実効値で2.5Vとす
れば素子感度はアンプなしでも27mV/Oeと、非常
に高感度な磁界検出センサが構成できる。
【0078】[実施形態5]図27は本発明の実施形態
5を示す。真空蒸着法により、CoNbZr合金で形成
された磁性体層801a及び801bと、その両者には
さまれるCuの導電体層802からなる検出素子800
が形成される。また、同時にCuからなる抵抗体803
も同時に形成される。前記素子800と抵抗体803は
交流電圧源821に直列接続される。また、素子800
の両端にインピーダンス検出器822が接続される。こ
のとき、素子800及び抵抗体803の長さは5mm、
素子800の磁性体層801の長さは4.5mm、素子
800及び抵抗体803の幅は0.5mmである。ま
た、磁性体層801a及び801bの厚さがともに2μ
m、導電体層802の厚さが3μmである。
【0079】図28は図27の素子800のBでの断面
構造である。Cuからなる導電体層802の両端で磁性
体層801a及び801bは接触しておらず、導電体層
802で分離された構造である。また磁性体層の磁化容
易軸は成膜中に直流磁界を印加しておくことにより素子
の幅方向、すなわち交流電圧印加方向と直交する方向に
付加されている。
【0080】交流電圧源821から供給される電圧は、
実効値10mV、駆動周波数10kHz〜10MHzで
ある。
【0081】「実施形態6」実施形態6の積層型薄膜磁
気センサの構造を図29に示す。このように、導電体層
901の周囲を磁性体層902で覆い、磁性体層902
には幅方向に磁気異方性を付与している。磁性体層90
2の材質は、FeCoSiB、あるいはCoNbZr系
の零磁歪アモルファス材料とする。導電体層901の幅
は100μm、長さ10mm、厚み3μmである。導電
体層901の材質は、低抵抗材料であるCu、あるいは
Agとする。一方、導電体層901の上下にある磁性体
層902の幅は2mm、長さ10mm、厚み2μmであ
る。
【0082】そして、導電体層901と磁性体層902
との間は絶縁層903が設けられている。この絶縁層9
03には、SiO2 、あるいはポリイミド系の樹脂など
の絶縁体材料が採用される。
【0083】磁性体層902への磁気異方性の付与は、
磁場を印加しながら成膜する方法と磁場を加えながら熱
処理する方法のいずれの方法を採用してもよい。すなわ
ち、所定の磁場中で、蒸着法やスパッタ法によって、磁
性体層902を成膜してもよいし、メッキ等によって形
成した磁性対応902を磁場中で熱処理してもよい。こ
の素子では、温度変化に対する原子配置の安定化をねら
って、磁場中熱処理により磁性体層902にその幅方向
に磁化容易軸が向くように、磁気異方性を付与してい
る。
【0084】本素子の導電体層901には高周波電流が
通電される。導電体層901と磁性体層902とは絶縁
層903で分離されているので、通電電流のすべてが導
電体層901に流れる。このため、磁性体層902内を
貫く磁束を効率良く発生させることができる。従って、
本素子のインダクタンス成分の外部磁界に対する変化を
大きくすることができる。
【0085】さらに、導電体層901の幅を100μm
としている。このため、導電体層901を上下方向に貫
く、磁性体層902からの漏洩磁束により発生する、導
電体層901における幅方向の表皮効果を効率よく発生
させることができる。従って、本素子の抵抗分の外部磁
界に対する変化を大きくすることができる。
【0086】「実施形態7」図30に実施形態7の積層
型薄膜磁気センサの構造を示す。本素子は、導電体層1
001の周囲を上部磁性体層1002、下部磁性体層1
003、サイド磁性体層1004、1005で覆った構
造を有しており、上部磁性体層1002、及び下部磁性
体層1003には幅方向に磁気異方性を付与している。
【0087】上部磁性体層1002、及び下部磁性体層
1003の材質は、零磁歪アモルファス材料の中でも飽
和磁化の大きなCoNbZr系とする。一方、導電体層
1001の幅は300μm、長さ10mm、厚み3μm
である。導電体層1001の材質は、低抵抗材料である
Cu、あるいはAgとする。また、上部磁性体層100
2、及び下部磁性体層1003の幅は2mm、長さ10
mm、厚み2μmである。実施形態6と同様に、導電体
層1001と磁性体層1002、1003、1004、
1005との間には絶縁層1006(例えば、SiO2
やポリイミド樹脂)を設けている。
【0088】磁性体層1002、1003、1004、
1005への磁気異方性の付与は、磁場を印加しながら
成膜する方法と磁場を加えながら熱処理する方法の2つ
が考えられる。この素子では、作製プロセスの簡便化を
ねらって、磁場中成膜により、膜の作製と磁性体層10
02〜1005への磁気異方性の付与を同時に実施して
いる。
【0089】本素子の導電体層1001には、実施形態
6と同様に高周波電流が通電される。導電体層1001
と磁性体層1002〜1005との間は絶縁されている
ので、通電電流のすべてが導電体層1001に流れる。
この実施形態7では、実施形態6とは異なり、サイド磁
性体層1004、1005の透磁率の低い磁性材料とし
ている。これらサイド磁性体層1004、1005の透
磁率を調整することにより、磁性体層1002〜100
5内を貫く周回磁束、及び上下磁性体層1002、10
03間での漏洩磁束をコントロールすることができる。
磁性体層1002〜1005内を貫く磁束はインダクタ
ンスを決定し、上下磁性体層1002、1003間での
漏洩磁束は導電体層1001の幅方向の表皮効果に起因
した抵抗を決定している。そこで、サイド磁性体層10
04、1005の透磁率を変化させることにより素子の
インダンタンス分、及び抵抗を制御することができる。
サイド磁性体層1004、1005の透磁率を変える手
法としては、材質を零磁歪アモルファス材料としては飽
和磁化の低いFeCoSiBとすること等が考えられ
る。この例では、サイド磁性体層1004、1005の
透磁率を変えて、サイド部分の磁気抵抗を変化させ上下
磁性体層1002、1003間の漏洩磁束を制御してい
るが、サイド磁性体層1004、1005の重なり幅を
変えることにより漏洩磁束の制御をすることもできる。
【0090】導電体層1001の幅については最適値を
有すると考えられる。導電体層幅を小さくしすぎると渦
電流発生が妨げられ表皮効果が発生しない。一方、導電
体層1001の幅を大きくしすぎると容易に渦電流の発
生が促進され表皮効果が発生しやすくなる。ただし、導
電体層1001の幅を大きくすることは素子寸法が大き
くなってしまい、高周波領域での駆動を考えた場合、浮
遊インピーダンス(インダクタンスとキャパシタンス)
の問題を無視することができなくなる。こうしたことを
考慮して、ここでは導電体層の幅を500μmから1m
mの範囲と設定している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の基本構成1を示す図である。
【図2】 従来例の構成を示す図である。
【図3】 従来例の特性を示す図である。
【図4】 実施形態の素子内部の磁界の特性を示す図で
ある。
【図5】 実施形態の磁界の状態を示す図である。
【図6】 磁化の方向を示す図である。
【図7】 被検出磁界とインピーダンスの関係を示す図
である。
【図8】 磁性体層の幅と磁界の関係を示す図である。
【図9】 素子の動作原理を説明する図である。
【図10】 表皮効果を説明する模式図である。
【図11】 磁性膜面内のドメイン(領域)を示す模式
図である。
【図12】 被検出磁界と出力の関係を示す図である。
【図13】 駆動周波数とインピーダンス変化率の関係
を示す図である。
【図14】 基本構成2を示す図である。
【図15】 外部磁界とインピーダンスの関係を示す図
である。
【図16】 駆動周波数に対するインピーダンス変化率
を示す図である。
【図17】 実施形態1の構成を示す図である。
【図18】 被検出磁界と位相角の関係を示す図であ
る。
【図19】 実施形態2の構成を示す図である。
【図20】 素子の断面を示す図である。
【図21】 被検出磁場とインダクタンスの関係を示す
図である。
【図22】 実施形態3の構成を示す図である。
【図23】 素子の断面を示す図である。
【図24】 実施形態4の構成を示す図である。
【図25】 被検出磁界と抵抗の関係を示す図である。
【図26】 被検出磁界と出力の関係を示す図である。
【図27】 実施形態5の構成を示す図である。
【図28】 実施形態5の素子の断面構造を示す図であ
る。
【図29】 実施形態6の素子の断面構造を示す図であ
る。
【図30】 実施形態7の素子の断面構造を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 素子、10 基板、11 磁性体層、12 導電体
層、50 駆動電源、60 検出器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂田 二郎 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 野々村 裕 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 竹内 正治 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1 株式会社豊田中央研究所内 (56)参考文献 特開 平7−63832(JP,A) 特開 平8−330645(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01R 15/20 G01R 33/02 - 33/06

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高周波電源からの高周波電流が供給さ
    れ、外部磁界に応じた電気的特性の変化を検出する積層
    型磁界検出装置であって、 基板と、 この基板上に形成された磁性体を含む磁性体層と、 この磁性体層の内部に形成された導電体からなる導電体
    層と、 を有し、上記磁性体層は、上記高周波電源からの高周波電流の通
    電電流が流れる方向とほぼ直交する幅方向に、容易磁化
    軸が形成されている ことを特徴とする積層型磁界検出装
    置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の装置において、 記磁性体層および導体層は、上記通電電流が流れる
    方向が長手方向で、これに直交する方向が短手方向であ
    る縦長形状であることを特徴とする積層型磁界検出装
    置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の装置におい
    て、 上記導電体層は、上記高周波電源からの高周波電流の通
    電電流方向と直交する導電体層の幅方向が、導電体層の
    高さ方向より大きく、矩形の断面形状を有することを特
    徴とする積層型磁界検出装置。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1つに記載の装
    置において、 上記磁性体層は、積層形成された薄膜であることを特徴
    とする積層型磁界検出装置。
  5. 【請求項5】 請求項1または2に記載の装置におい
    て、上記容易磁化軸の方向における断面において、導電体層
    の周囲を絶縁層で取り囲み、その絶縁層の周囲を上記磁
    性体層で取り囲んでいる ことを特徴とする積層型磁界検
    出装置。
  6. 【請求項6】 請求項に記載の装置において、 上記導電体層の幅が、下記の式で決定される、電流が有
    効に流れる厚さである表皮厚さδの大きさにより大きく
    設定されていることを特徴とする積層型磁界検出装置。 δ=√[2ρ/ω・μ] (ここで、ρは導電体層の抵抗率、μは導電体層の透磁
    率、ωは通電電流の角周波数である。)
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の装置において、 上記導電体層の厚みが、上記表皮厚さの大きさに比べ、
    小さく設定されていることを特徴とする積層型磁界検出
    装置。
  8. 【請求項8】 請求項6または7に記載の装置におい
    て、 上記導電体層の幅が、100μm以上に設定されている
    ことを特徴とする積層型磁界検出装置。
  9. 【請求項9】 高周波電源からの高周波電流が供給さ
    れ、外部磁界に応じた電気的特性の変化を検出する積層
    型磁界検出装置であって、 基板と、 この基板上に形成された磁性体を含む磁性体層と、 この磁性体層の内部に形成された導電体からなる導電体
    層と、 を有し、 上記導電体層は、比抵抗が磁性体層の1/10以下の導
    電体であることを特徴とする積層型磁界検出装置。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の装置において、 磁性体層は、比抵抗が50μΩ・cm以上で保磁力が1
    Oe以下、直流磁界での比透磁率が500以上の磁性体
    層であることを特徴とする積層型磁界検出装置。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載の装置において、 全体の厚さが10μm以下であり上記導電体層と磁性体
    層との厚みの比が3:1〜1:5であることを特徴とす
    る積層型磁界検出装置。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の装置において、 磁性体層に含まれる磁性体がFeCoSiBあるいはC
    oSiBであり、導電体層がCuであることを特徴とす
    る積層型磁界検出装置。
  13. 【請求項13】 高周波電源からの高周波電流が供給さ
    れ、外部磁界に応じた電気的特性の変化を検出する積層
    型磁界検出装置であって、 基板と、 この基板上に形成された磁性体を含む磁性体層と、 この磁性体層の内部に形成された導電体からなる導電体
    層と、 を有する磁界検出装置を4つ有し、 これらを電気的ブリッジ構成に配置するとともに、 その中の2つにおける上記磁性体層は、上記高周波電源
    からの高周波電流の通電電流が流れる方向と直交する方
    向に容易磁化軸が形成されており、 他の2つにおける上記磁性体層は、上記高周波電源から
    の高周波電流の通電電流が流れる方向と同一の方向に、
    容易磁化軸が形成されている ことを特徴とする積層型磁
    界検出装置。
  14. 【請求項14】 請求項1〜12のいずれか1つに記載
    の装置において、 上記高周波電源は、単安定マルチバイブレータ回路を利
    用しており、磁界を抵抗とインダクタンスとからなるイ
    ンピーダンスの位相角として検出することを特徴とする
    積層型磁界検出装置。
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