JP7324331B2 - 磁気検出装置 - Google Patents

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Description

本開示は磁気検出装置に関する。
例えば心臓または脳等の生体の磁場を計測する装置として、SQUID(Superconducting Quantum Interference Device、超伝導量子干渉素子)センサを用いた生体磁気計測装置がある。多数のSQUIDセンサを配列させて生体磁気の計測に用いることで、例えば心磁図または脳磁図等の2次元磁気情報を得ることができる(例えば特許文献1)。
近年、生体磁場のような数10pT程度の微弱な磁場を検出可能であって、かつ、室温で動作する磁気センサが研究されている。微小磁場を検出可能な磁気センサとして、例えばMRセンサがある。
MRセンサのうち、スピンバルブ型MR磁気センサは、非磁性体を強磁性体で挟んだ構造(強磁性体/非磁性/強磁性体)を有する。スピンバルブ型MR磁気センサは、1つの強磁性体の磁化を反強磁性体で固定して磁化固定層とする。スピンバルブ型MR磁気センサは、磁化自由層として、別の強磁性体の磁化を外部磁場に対して自由に回転できる構造(スピンバルブ構造)とすることが一般的である。スピンバルブ型MR磁気センサは、外部から入力磁場が加わり、磁化固定層の磁化と磁化自由層の磁化との相対角が変化すると、非磁性体である中間層を流れる電流が変化するため、磁場を検出することができる(例えば特許文献2)。
スピンバルブ型MR磁気センサは、微小な磁場で大きな磁気抵抗(MR:magnetoresistance)変化を示すことが知られており、主にハードディスクの磁気ヘッド等に用いられている。また、スピンバルブ型MR磁気センサは、ホール効果を用いた磁気センサ(ホール素子)と比較して高感度であること、つまり微小磁場の検出が可能であることが知られている(例えば特許文献3および特許文献4)。
また、磁気検出の方式として、一般的にクローズドループ方式が知られており、コア付電流センサに主に用いられている(例えば特許文献5)。クローズドループ方式では、外部から入力磁場が印加された場合に生じる磁気センサの電圧変化に応じたフィードバック電流をコイルに流し、入力磁場と同じ強度で逆方向のキャンセル磁場をMRセンサに印加する。そのため、理想的には、MRセンサにかかる磁場は常に一定になる。このときのフィードバック電流値は入力磁場に比例するため、フィードバック電流値を読み取ることで入力磁場の値を算出することができる。
MRセンサと、キャンセル磁場を発生させるためのコイルと、フィードバック電流を発生させるための電気回路とを組み合わせることで、MRセンサをクローズドループ方式で動作させることができる。MRセンサをクローズドループで動作させると、測定可能な磁場レンジをコイル形状に依存させることができるので、測定磁場レンジの設計が容易となる。MRセンサをクローズドループで動作させることで、室温動作する小型の微小磁気検出センサを作製することができる。これをアレイ状に並べて配置すると、1つのセンサが小さいために、高い空間分解能、磁場分解能で磁場を検出することがでる。そのため、アプリケーションとしては、例えば心臓磁場および脳磁場等の生体磁場の検出や金属材料の傷や腐食の検知に適している。
特開平5-232202号公報 特開平9-199769号公報 特開2005-221383号公報 特開2013-105825号公報 特開2014-235045号公報
しかし、磁気検出装置として更なる精度の向上が求められている。本開示の目的は、さらなる高精度化が可能な磁気検出装置を提供することにある。
本開示の一実施形態に係る磁気検出装置は、基板および素子部を含む磁気センサ部と、キャンセル磁場発生部と、電気回路と、を有し、前記磁気センサ部の前記素子部の少なくとも一部が前記キャンセル磁場発生部の包絡面の内側に存在する磁気センサユニット、を複数備える。前記素子部は、感磁軸の方向の入力磁場成分に応じた検出値を出力する。前記キャンセル磁場発生部は、前記感磁軸と略平行な方向を巻回軸として、導体を巻回することによって形成される。前記電気回路は、前記検出値に基づくフィードバック電流を前記キャンセル磁場発生部に印加することによって、前記入力磁場を減殺するキャンセル磁場を前記キャンセル磁場発生部に発生させる。複数の磁気センサユニットにおけるそれぞれの磁気センサユニットが、独立して独自の位置の磁場を検出し、キャンセル磁場発生部の立体形状の幾何中心である重心を有する。複数の前記磁気センサユニットは、少なくとも第1の磁気センサユニット、第2の磁気センサユニット、第3の磁気センサユニットおよび第4の磁気センサユニットを含む。前記第1の磁気センサユニットおよび前記第2の磁気センサユニットは、前記感磁軸の方向が第1の方向であるように、前記第1の方向に所定の間隔をおいて並んで配置される。前記第3の磁気センサユニットおよび前記第4の磁気センサユニットは、前記感磁軸の方向が前記第1の方向と略直交する第2の方向であるように、前記第2の方向に所定の間隔をおいて並んで配置される。前記第1の磁気センサユニットおよび前記第2の磁気センサユニットは、前記第3の磁気センサユニットの重心を含み、前記第2の方向を法線方向とする平面と、前記第4の磁気センサユニットの重心を含み、前記第2の方向を法線方向とする平面と、の間に配置される。前記第3の磁気センサユニットおよび前記第4の磁気センサユニットは、前記第1の磁気センサユニットの重心を含み、前記第1の方向を法線方向とする平面と、前記第2の磁気センサユニットの重心を含み、前記第1の方向を法線方向とする平面と、の間に配置される。
本開示によれば、さらなる高精度化が可能な磁気検出装置を提供することができる。
磁気センサ部を含んで形成されたフルブリッジ回路を備える磁気センサユニットの一例を示す構成図である。 主構成部の一例を示す構成図である。 磁気センサ部の一例を示す上面模式図である。 図3に示す磁気センサ部の断面模式図である。 主構成部を説明するための図である。 磁気収束部の長さを説明するための図である。 磁気検出装置の一構成例を示す図である。 図7の磁気検出装置で磁場が印加された状態を説明する図である。 磁気検出装置の一構成例を示す図である。 磁気検出装置の一構成例を示す図である。 磁気検出装置の一構成例を示す図である。 磁気検出装置の一構成例を示す図である。 磁気検出装置の一構成例を示す図である。 磁気検出装置の一構成例を示す図である。 磁気検出装置の一構成例を示す図である。
以下の詳細な説明では、実施形態の完全な理解を提供するように多くの特定の具体的な構成について記載されている。しかしながら、このような特定の具体的な構成に限定されることなく他の実施態様が実施できることは明らかであろう。また、以下の実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、実施形態で説明されている特徴的な構成の組み合わせの全てを含むものである。
[各構成部の説明]
(磁気センサユニット)
磁気センサユニットは、例えば、主構成部と、キャンセル磁場を発生させる電気回路と、を備える。主構成部は、例えば、磁気センサ部と、キャンセル磁場発生部と、を備える。磁気センサユニットは、電気ノイズを低減する目的で、ブリッジ回路を用いて電気回路に差動入力する方式を利用してよい。磁気センサユニットは、ブリッジ回路を形成する場合、一般的な固定抵抗または可変抵抗を利用してよい。また、磁気センサユニットは、後述するように、磁気センサ部の素子部の少なくとも一部がキャンセル磁場発生部の包絡面の内側に存在する。
(磁気センサ部)
磁気センサ部は、磁場を感知する感磁エリアを有し、入力された磁場に応じて抵抗値が変化する部材である。磁気センサ部は、基板と、基板上に形成された素子部と、を備える。磁気センサ部は、素子部に入力される入力磁場を収束させる磁気収束部と、を備え得る。また、磁気センサ部は、更に、例えば保護層、素子配線部、電極等を備えてよい。素子部は複数形成され、素子配線部によって電気的に接続されてよい。磁気センサ部は、上記の構成要素に限定されず、他の要素を備えてよい。ただし、磁気センサ部の構成要素として、キャンセル磁場発生部およびキャンセル電流を発生させる電気回路は含まれない。
(基板)
基板は、素子部との絶縁ができる材料であれば、特に制限されない。導電性基板上に絶縁膜が形成されたものを基板としてよい。通常利用される基板として、ガラスまたはシリコン(Si)にSiO熱酸化膜を形成したものが挙げられる。
(素子部)
素子部は、基板の上に形成される。ここで、「上に」という文言は、基板の上に素子部が存在する場合だけでなく、基板と素子部の間に別の層がさらに存在する場合を含む。その他の階層の関係においても、「上に」という文言の解釈は同じである。また、「下に」という文言についても、別の層がさらに存在する場合が含まれる。
また、素子部は、磁化自由層と、非磁性層と、磁化固定層と、を備える。素子部の構成は、磁化自由層と、非磁性層と、磁化固定層とが、この順で積層されることが好ましい。しかし、素子部における積層の順序は限定されない。また、感度向上の観点から、非磁性層は絶縁性の材料で形成されることが好ましい。
また、素子部は、1つの方向に延びる感磁軸を有する。1つの方向に延びる感磁軸とは、外部磁場に対する感度が最大となる方向が1つの方向である感磁軸を意味する。例えば、外部磁場Bの印加方向と感磁軸とが角度θだけ傾いているとき、磁気センサが感じる実効的な磁場Beffは「Bcosθ」で表される。θ=0、すなわち外部磁場の印加方向と感磁軸方向が一致している場合に、実効的な磁場が最大となるので、最も感度よく外部磁場を検出できる。感磁軸を確認するためには、例えば、磁気センサユニットに対して後述する磁化自由層が十分に磁化するレベルの一定強度の磁場を回転しながら印加し、抵抗値の角度依存性を測定する。このとき、最も抵抗が高く(または低く)なった方向が感磁軸方向である。後述する実施形態において、素子部は、基板の主面に平行な方向に感磁軸を有し、感磁軸の方向の入力磁場成分に応じた検出値を出力する。ここで、基板の主面は、基板の他の面よりも面積が大きい面である。
素子部は、三つの層(磁化自由層、非磁性層および磁化固定層)の上に、下に、または、三つの層の間に、他の層を含んでよい。素子部の最上部には、酸化防止の観点から、非磁性のキャップ層を備えていることが好ましい。非磁性のキャップ層は、配線部との接続の観点から、Au、Ruなどの導電性材料であることが好ましい。また、密着性の観点から、キャップ層と、磁化自由層または磁化固定層との間にTi、Taなどの金属層を備えていることが好ましい。
素子部は公知の方法で形成することが可能であり、一例としては、スパッタ法により形成することができる。また、複数の素子部を形成する場合、基板上に形成された積層膜を、フォトリソグラフィー法で形成されたマスク部材を用いてドライエッチングまたはウェットエッチングすることにより形成することができる。このとき、複数の素子部は、磁気センサ部の感磁軸の方向と垂直方向に並ぶように配置され得る。素子部の途中でエッチングを停止させることにより、素子部の形状が制御されてよい。この場合、エッチングを停止させた階層より上にある層が、複数部分に分かれて形成されてよい。また、エッチングは任意に停止させることができる。例えば、磁化固定層および非磁性層の一部を形成したタイミングでエッチングが停止してよい。素子ノイズ低減の観点から、複数の素子部は電気的に接続されていることが好ましい。また、複数の素子部は直列に接続されることが好ましい。
また、磁化固定層の位置は限定されない。磁気収束部の形状と、磁化自由層の形状と、これらの位置関係とによって、磁化自由層内での磁化分布は変化する。そのため、磁化固定層は、構造に応じて適切な位置に配置されてよい。積層膜の磁化容易軸を決定するために、磁化容易軸にしたい方向と平行に、成膜中に磁場が印加されてよい。ここで、磁化容易軸とは、磁性体のもつ磁気異方性の特性により、磁化されやすい方向のことを意味する。磁気異方性は、磁性体の形状によって決まる形状磁気、結晶方位によって決まる形状磁気異方性、磁性原子の配列によって起こる誘導磁気異方性などにより決定される。また、積層膜を成膜後に、磁場中で熱処理を行うことで、磁化容易軸が決定されてよい。また、磁化自由層を上面視で細長い形状に加工することで、磁化容易軸が決定されてよい。ここで、上面視とは、基板に三つの層を積層する方向で、三つの層から基板への向きに見ることを意味する。
反磁場を低減し、より高い感度を得るという観点から、磁化自由層の面積は、磁化固定層の面積よりも大きいことが好ましい。ここで、磁化自由層の面積および磁化固定層の面積は、素子部を上面視した場合の各層の面積を意味する。換言すると、磁化自由層の面積および磁化固定層の面積は、基板の主面に平行な面の面積を意味する。磁化自由層の上に磁化固定層を作製する場合、磁化自由層の面積が磁化固定層の面積よりも大きいことは、磁気センサユニットの加工プロセスをより単純にする。
(磁化自由層)
磁化自由層は、外部磁場によって容易に磁化される強磁性材料で主に構成される。磁化自由層は、1つの材料で構成されるものに限定されない。磁化自由層は、例えば多層膜であってよい。強磁性材料は、例えばNiFe、CoFeB、CoFeSiB、CoFe、NiFeSiB等であるが、この限りではない。磁化自由層は、磁気感度向上のため、磁化自由層中に例えばRuまたはTa等の非磁性層が挿入された多層膜であることが好ましい。
磁化自由層の形状は、より高い感度を得て、反磁場を減らすように、膜厚方向の長さを短くして、感磁軸方向の長さを長くすることが好ましい。具体例として、膜厚方向の長さは200nm以下が好ましい。膜厚方向の長さは100nm以下がさらに好ましい。感磁軸方向の長さは10μm以上が好ましい。感磁軸方向の長さは50μm以上が一層好ましい。感磁軸方向の長さは100μm以上がより一層好ましい。感磁軸および膜厚と垂直な方向の長さは、センサ出力の連続性を保つため、感磁軸方向長さ以上であることが好ましい。ただし、磁化自由層は、このような形状に限定されるものではない。
(非磁性層)
非磁性層は、絶縁性の非磁性材料で構成される。一般的に、TMR素子の場合は例えばAlまたはMgO等の絶縁材料が用いられるが、この限りではない。高磁気感度化のため、非磁性層にMgOを利用することが好ましい。ここで、非磁性層の微細加工形状は問わない。
(磁化固定層)
磁化固定層は、外部磁場によって磁化方向が容易に変化しないように、強磁性材料を主に用いて構成される。磁化固定層は、1つの材料で構成されるものに限定されない。磁化固定層は、例えば多層膜であってよい。一例としては、磁化固定層は、強磁性材料を反強磁性材料でピン止めした構造が用いられる。軟磁性材料としては、NiFe、CoFeB、CoFeSiB、CoFeなどが用いられるがこの限りではない。磁気感度向上のため、磁化固定層中に例えばRuまたはTa等の非磁性層が挿入された多層膜であることが好ましい。反強磁性材料としてIrMn、PtMnなどが用いられるが、この構成に限定されない。ここで、磁化固定層の微細加工形状は問わない。
(感磁エリア)
磁気センサユニットは、上記の磁気センサ部の抵抗値の変化によって磁気を検出する。ここで、磁気センサ部の抵抗値は、磁化固定層と磁化自由層の界面の領域における磁化の相対角度が変わることによって変化する。つまり、磁気によって抵抗値が変化する領域は、上面視での磁化自由層と磁化固定層の面積のうち小さい方で定められる。以下において、磁化自由層と磁化固定層のうち小さい方の面積で定められる界面の領域は、感磁エリアと表記され得る。
ここで、感磁軸方向における、感磁エリア(複数ある場合はすべて含める)の一端(一方の端、例えば左端)から他端(他方の端、例えば右端)までの長さの最大値をLjと定義する。キャンセル磁場発生部の磁場と入力磁場の誤差を低減するためには、Ljが小さいことが好ましい。後述するキャンセル磁場発生部で作られた磁場には分布が存在するが、Ljが小さい場合、磁場を感知するエリアにおいては、一様に入力された磁場との差異が小さくなる(一様な磁場を感知する場合に近くなる)ためである。
センサ自身の電気的ノイズの観点からは、センサの電気的ノイズが感磁エリアのサイズの平方根に反比例することが知られており、感磁エリアのサイズは大きい方が好ましい。具体的には、感磁エリアサイズは、100μm以上であることが好ましい。感磁エリアサイズは、1000μm以上であることがさらに好ましい。
(磁気収束部)
磁気収束部は軟磁性体材料により構成される。軟磁性体材料として、NiFe、CoFeSiB、NiFeCuMo、CoZrNb、NiFeNbなどが挙げられるがこの限りではない。磁気収束部と素子部が近いほど、効果的な磁気増幅が可能なことから、磁気収束部の一部はスパッタ法、めっき法などによる微細加工プロセスで、素子部に近接して作製するほうが好ましい。また、めっき等により形成され、感磁軸方向において素子部に近い磁気収束部(第1の軟磁性体)と、市販の軟磁性薄膜をさらに貼合わせた、感磁軸方向において素子部から遠い磁気収束部(第2の軟磁性体)となど、別々に作製された磁気収束部を組み合わせて利用してよい。この際、効果的な磁気収束の観点から、(磁化自由層の膜厚Tfr)<(素子部に近い磁気収束部の膜厚Tfc1)<(素子部から遠い磁気収束部の膜厚Tfc2)となっていることが好ましい。また、第2の軟磁性体は、第1の軟磁性体と直接的に接するように配置されてもよいし、別の材料(例えば別の薄膜)を挟んで第1の軟磁性体と間接的に接するように配置されてもよい。ただし、より効果的な磁気増幅の観点から、第2の軟磁性体は第1の軟磁性体と直接的に接することが好ましい。
磁気センサにおいて、より高い感度を得るためには、上記の磁化自由層と同じく、磁気収束部の感磁軸方向の反磁場が小さいことが好ましい。反磁場を小さくするためには、薄膜状であり、感磁軸方向に長い方が好ましい。しかし、膜厚が薄すぎると、磁気収束部自身の磁化は増加しやすくなるが、空間中での磁場減衰が激しくなるため、素子部に流入する磁場が小さくなる。すなわち、効果的な磁気増幅が出来なくなる。そのため、ある程度の厚さがある方が好ましい。具体的には、磁気収束部の厚みTfcは磁化自由層の厚みTfrより大きいことが好ましい。また、磁気収束部の厚みTfcのうち、素子部に近い磁気収束部の厚みTfc1は1μm~500μmの範囲に含まれることが好ましく、素子部に遠い磁気収束部を用いる場合、その厚みTfr2は100μm~10mmの範囲に含まれることが好ましい。数値は磁気収束部の長さ、幅等、形状によって反磁場の効果が異なるため、この限りではない。また、磁化自由層の厚みTfrおよび磁気収束部の厚みTfcは複数の値をとり得る。磁化自由層の最小の厚みTfrが、磁気収束部の膜厚のうち最大の厚みTfcより小さいことが好ましい。
効率的な磁気増幅の観点から、感磁軸方向において、磁気収束部と磁化自由層の間隔Dfcfrは、小さい方が好ましい。効果的に磁気増幅できるDfcfrの間隔は、磁気収束部の厚みTfcによって変化し、磁気収束部の厚みTfcの値より小さいことが好ましい。具体的には、Dfcfr<Tfcであることが好ましい。磁気センサにおいて、より高い感度を得るためには、上面視で、複数の磁気収束部で挟まれた領域に、素子部が存在するように形成することが好ましい。磁気収束部は、上面視で素子部の一部と重複して構わない。磁気収束部が素子部の一部と重複する時、Dfcfrはマイナスの値を取り得る。また、磁気収束部と磁化自由層の間隔Dfcfrは複数の値をとり得る。上面視における最小の間隔Dfcfrが、磁気収束部の膜厚(厚みTfc)の5倍より小さいことが好ましい。
また、磁気収束部は、効率的な磁気増幅の観点から、第2の長さ<第3の長さ<第1の長さ、を満たす形状であることが好ましい。第1の長さ、第2の長さおよび第3の長さがこの関係を満たす時、より反磁場を低減できる形状となるためである。ここで、第1の長さは、磁気収束部の感磁軸の方向における両端を結ぶ長さである。また、第2の長さは、磁気収束部の基板の主面に垂直な方向における最大の長さであって、上記の磁気収束部の厚みTfcに対応する。また、第3の長さは、磁気収束部の感磁軸の方向および厚み方向に垂直な方向における両端を結ぶ長さである。
また、磁気収束部は、感磁軸と平行な方向に、素子部の両側に配置されていてよい。また、素子部の両側に配置された磁気収束部の、感磁軸の方向における間隔は、磁化自由層の感磁軸の方向の長さより小さくてよい。
(保護層)
保護層は、素子部、素子配線部および磁気収束部などの絶縁を保つために用いる。保護層の材料は、素子部、素子配線部および磁気収束部を絶縁可能なものであれば特に制限されず、一例として酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウムが挙げられる。保護層は素子部の表面全体を覆うように形成され、素子部と素子配線部との接合部分、および、素子配線部に連続して形成された電極の上には通電窓(すなわち、開口部)が存在する。通電窓の位置および形状は限定されない。
(素子配線部)
素子配線部は、絶縁層の上に形成された通電窓を介して電極と素子部とを接続する。複数の磁気センサ部を、直列接続または並列接続する場合、素子配線部は、素子部同士を電気的に接続するために用いられる。密着性の観点から、キャップ層と素子配線部の間にTi、Taなどの層を備えていることが好ましい。素子配線部の材料としては、素子部同士、また、電極間を電気的に接続することが可能な導電性の材料(例えばAu、Cu、Cr、Ni、Al、Ta、Ruなど)であれば特に制限されない。素子配線部は単一の材料で形成されていてよく、複数の材料が混合または積層されて形成されていてよい。素子配線部は公知の方法で形成することが可能であり、一例としては、フォトリソグラフィー法で形成されたマスク部材および素子部の全面に、蒸着法またはスパッタ法により導電性材料を形成し、さらに剥離液を用いてマスク部材を剥離すること(すなわち、リフトオフ法)により形成することができる。
(電極)
電極は、電気回路を構成する際の接続等に用いる。密着性の観点から、基板と電極との間にTi、Taなどの層を備えていることが好ましい。基板上に素子部を残し、その上部に電極が作製されてよい。電極の材料としては、素子配線部と同じく、導電性の材料(例えばAu、Cu、Cr、Ni、Al、Ta、Ruなど)であれば特に制限されないが、素子特性の観点から、酸化されにくい材料(Au、Ruなど)である方が好ましい。電極は単一の材料で形成されていてよく、複数の材料が混合または積層されたものであってよい。電極は公知の方法で形成することが可能であり、一例としては、フォトリソグラフィー法で形成されたマスク部材および積層部の全面に、蒸着法またはスパッタ法により導電性材料を形成し、さらに剥離液を用いてマスク部材を剥離すること(すなわち、リフトオフ法)により形成することができる。プロセス工数の観点から、素子配線部と同時に作製することが好ましい。
(キャンセル磁場発生部)
キャンセル磁場発生部は、磁気センサ部で検出した磁場の値(検出値)に基づいてフィードバック電流を流すことで、入力磁場を減殺するためのキャンセル磁場を発生するために用いる。キャンセル磁場を発生させる際に、流れたフィードバック電流の値を検出することで、入力磁場を検出することができる。外部からの入力磁場を打ち消すようにキャンセル磁場が形成されるため、フィードバック電流が電気回路に流し得る最大値となるまでは、素子部にかかる磁場は常に一定となる。したがって、測定可能な磁場レンジは素子自身が飽和する磁場ではなく、フィードバック電流が流れるキャンセル磁場発生部の形状と、流し得る電流の最大値に依存する。
スピンバルブ型MR磁気センサの磁気感度と測定可能磁場レンジはトレードオフの関係にあるが、キャンセル磁場発生部と磁気センサ部を組み合わせることで、磁気感度と測定可能磁場レンジのトレードオフを解消することができる。キャンセル磁場発生部は、例えばソレノイドコイルまたはヘルムホルツコイルのように、非磁性材料に電線(導体の一例)をコイル状に巻回させて形成することができる。非磁性材料は、Al等の金属および樹脂材料が利用できる。後述する実施形態において、キャンセル磁場発生部は、感磁軸と略平行な方向を巻回軸として、導体をコイル状に巻回することによって形成される。
公知であるように、電線の巻回回数を調整することで、電流と磁場の換算率を決定することができる。電線を均一に巻回できれば非磁性材料の形状は特に限定されない。電気的に絶縁されていれば、非磁性材料を使用せず、電線が磁気センサ部の周囲に直接巻回されてよい。キャンセル磁場発生部は、絶縁保護層などを介して磁気センサ部と絶縁されていれば、スパッタ法またはフレームめっき法等により、磁気センサ部に近接して作製されてよい。巻回することによって作成されたキャンセル磁場発生部の断面形状は、内部に磁気センサ部を配置できれば制限されない。作製のしやすさの観点から、円、楕円、多角形であることが好ましい。
キャンセル磁場発生部によって発生する磁場は、例えば、一般的なソレノイドコイルの場合、中央の磁場が最も高く、端に近づくにしたがって小さくなるような空間分布を有する。フィードバック磁場は、入力磁場と一致するのが理想であるが、現実には前述のような磁場の空間分布が存在する。フィードバック磁場の分布を限りなく入力磁場の分布に近づけて、磁気感度を向上させるためには、フィードバック磁場がほとんど一定であるとみなせる微小領域において、磁気を検出することが好ましい。そのため、感磁エリアの重心および素子部の両側に配置される磁気収束部の少なくとも一部は、キャンセル磁場発生部の包絡面の内側に配置されることが好ましい。ここで、キャンセル磁場発生部の包絡面は、キャンセル磁場発生部の外形を結んでできる仮想的な立体を構成する面を意味する。例えば、キャンセル磁場発生部が導体をコイル状に巻いて形成されている場合に、包絡面は、コイル状の導体を結んでできる円筒を構成する円筒面を含む。また、この例において、コイル状の導体が物理的に複数に分かれている場合に、複数のコイル状の導体を包括するように包絡面が構成され得る。
また、感磁エリアの巻回軸方向の長さは、キャンセル磁場発生部の巻回軸方向の長さより小さいことが好ましい。キャンセル磁場発生部の中心軸に関して、感磁エリアが対称に配置されていれば、感磁エリアのすべてがキャンセル磁場発生部の包絡面の内側に存在しなくてよい。ただし、より線形性を高める観点から、感磁エリアはすべてキャンセル磁場発生部の包絡面の内側に配置されることが好ましい。また、全体のサイズを抑制するため、磁気センサ部がキャンセル磁場発生部に覆われることが好ましい。
また、感磁軸方向における感磁エリアの最大長さLjは、感磁軸方向におけるキャンセル磁場発生部の長さLcに対して、十分小さいことが好ましい。具体的には、Lc/Lj>5であることが好ましい。また、Lc/Lj>50であることが一層好ましい。また、Lc/Lj>100であることがより一層好ましい。
また、キャンセル磁場発生部の磁場分布が最も小さくなるのは、キャンセル磁場発生部の重心付近であるため、感磁エリアにおける磁場分布を抑制し、より高い線形性を得るためには、感磁エリアの重心位置とキャンセル磁場発生部の重心位置とが一致していることが好ましい。ここで、複数の感磁エリアを有する場合、感磁エリアの重心位置は、複数の感磁エリアの全体の重心である。また、感磁エリアの重心位置とキャンセル磁場発生部の重心位置とは完全に一致する必要はなく、概ね一致(略一致)すればよい。許容され得る重心位置のずれは、一例として感磁軸方向におけるキャンセル磁場発生部の長さLcの1/10以下であるが、これに限定されるものではない。本実施形態においては、キャンセル磁場発生部の重心を、「磁気センサユニットの重心」と定義する。
(電気回路)
電気回路は、入力磁場成分に応じた検出値に基づくフィードバック電流をキャンセル磁場発生部に印加することによって、入力磁場を減殺するキャンセル磁場をキャンセル磁場発生部に発生させる。電気回路は、一般的なオペアンプを含むことができる。例えばオペアンプの出力を、キャンセル磁場発生部に対して入力磁場と反対の向きの磁場を発生するように接続することで、磁気センサ部で検出する磁場が減殺され、平衡するように動作する。電気回路はオペアンプを2つ以上使って構成してよい。
電磁ノイズを低減する目的で、磁気センサ部から電気回路までの配線を短くし、電磁シールドを施した上で、オペアンプを用いて信号増幅することが好ましい。高周波ノイズを低減する目的から、ローパスフィルタが使用されてよい。DCノイズをカットする目的から、ハイパスフィルタが使用されてよい。電流検出器としては、抵抗器を配置し、両端の電圧を測るのが簡便である。
(抵抗器)
抵抗器には、一般的な金属皮膜抵抗、またはチップ抵抗を用いることができる。サイズを小さくする観点から、チップ抵抗を用いることが好ましい。また、抵抗器は、可変抵抗器を用いてもよい。入力された値をもとに可変抵抗の値を制御可能なデジタル・ポテンショメータを備えても良い。いずれの抵抗器を使う場合も、回路ノイズの小さいものが望ましい。
(磁気検出装置)
磁気検出装置は、磁気センサユニットを複数備える。上記のように、磁気センサユニットは、基板および素子部を含む磁気センサ部と、キャンセル磁場発生部と、電気回路と、を有する。いくつかの実施形態に係る磁気検出装置の構成は、以下、図面を参照して説明される。
[第1実施形態]
(磁気センサユニットの構成および製造方法)
図1は、第1実施形態に係る磁気検出装置が備える磁気センサユニット1000の一例を示す概略構成図である。磁気センサユニット1000は、磁気センサ部11と、抵抗器81~抵抗器83で形成されるブリッジ回路を備える。図2は、磁気センサユニット1000の主構成部100の一例を示す概略構成図である。本実施形態において、主構成部100は、磁気センサ部11およびキャンセル磁場発生部70を含む。図2のMRは、磁気センサ部11の素子部を模式的に示す。また、図2のFCは、磁気センサ部11の磁気収束部を模式的に示す。また、図2のコイル部分は、キャンセル磁場発生部70を模式的に示す。
磁気センサユニット1000のブリッジ回路は、電源の正極側(+)、抵抗器81、磁気センサ部11および電源の負極側(-)が、この順に接続される。また、ブリッジ回路は、電源の正極側(+)、抵抗器82、抵抗器83および電源の負極側(-)が、この順に接続される。図1に示すように、ブリッジ回路は、抵抗器81と磁気センサ部11との接続点に端子T1をもつ抵抗器群と、抵抗器82と抵抗器83との接続点に端子T2をもつ抵抗器群と、が並列に接続されて構成される。
端子T1の信号と端子T2の信号は電気回路としてのオペアンプAMPに入力される。オペアンプAMPの出力はキャンセル磁場発生部70の一端に接続される。また、キャンセル磁場発生部70の他端は電流検出器90を介して接地される。
このように構成することで、磁気センサユニット1000は、磁気センサ部11を含むブリッジ回路からの信号を、オペアンプAMPを含む電気回路を介してキャンセル磁場発生部70に供給する。磁気センサユニット1000は、電流検出器90の検出電流を、磁気センサ部11にかかる磁場の量に応じた電流値として読み取ることにより、入力磁場の強度を検出する。
図3は磁気センサ部11の一例を示す上面模式図である。また、図4は図3のA-A断面を示す模式図である。ここで、図3では、磁気センサ部11の一部の要素が示されている。例えば、図3では基板10および保護層は示されていない。
図3および図4に示すように、磁気センサ部11は、基板10と、基板10の上に配置された素子部20と、素子部20を覆う保護層40と、保護層40に形成された通電窓40aを通じて素子部20と接続される素子配線部50と、素子配線部50および保護層40を覆う保護層41と、を備える。さらに、磁気センサ部11は、保護層41の上にシード層31を介して磁気収束部30を備える。
ここで、素子部20と磁気収束部30は、上面視で、感磁軸に沿って並ぶように配置される。
素子部20は、磁化自由層21、非磁性層22および磁化固定層23がこの順に積層されている。詳細には、1つの磁化自由層21の上に、非磁性層22と磁化固定層23とで形成された積層体が複数形成される。これら複数の積層体は、磁気収束部30を区画する辺のうち1つの方向(素子部20の感磁軸方向)に略直交する線に沿って配置されている。図3では、1つの磁化自由層21の上に、非磁性層22と磁化固定層23とで形成された二つの積層体が配置されている。
図5は、主構成部100の構成を説明するための図である。磁気センサ部11とは別に、非磁性材料に電線を巻いて形成したキャンセル磁場発生部70が用意される。図5に示すように、磁気センサ部11がキャンセル磁場発生部70の中に内包され、磁気センサ部11の感磁軸方向と、キャンセル磁場発生部70の巻回軸が略平行になるように組み合わされて、主構成部100が構成される。
ここで、図6は、磁気収束部30の長さを説明するための図であって、磁気センサ部11の別の例を示す上面模式図である。図6の例では、磁化自由層21と、2つの感磁エリア230が示されている。図6の例では、磁化固定層23の面積が磁化自由層21よりも小さいため、磁化固定層23の面積で感磁エリア230が定められる。磁気収束部30は、感磁軸と平行な方向に、磁化自由層21および磁化固定層23を含む素子部の両側に配置されている。ここで、両側に配置された2つの磁気収束部30の形状および大きさは同じである。磁気収束部30は、感磁軸の方向における両端を結ぶ長さである第1の長さLfcを有する。また、磁気収束部30は、図4に示すように、基板10の主面に垂直な方向における最大の長さである第2の長さを有する。第2の長さは磁気収束部30の厚みTfcに対応する。また、磁気収束部30は、感磁軸の方向および基板10の主面に垂直な方向に垂直な方向における両端を結ぶ長さ(幅)である第3の長さWfcを有する。本実施形態において、磁気収束部30は、第2の長さ(厚みTfc)<第3の長さWfc<第1の長さLfcを満たす。
また、図6の例において、2つの感磁エリア230はそれぞれ重心g1および重心g2を有する。このとき、磁気センサユニット1000の重心位置は、複数の感磁エリア230の全体の重心Gである。また、本実施形態において、感磁エリア230の全体の重心位置とキャンセル磁場発生部70の重心位置とは一致している。つまり、キャンセル磁場発生部70の重心位置は重心Gである。
ここで、主構成部100は、例えば以下のような製造方法によって作製され得る。まず、基板10の上に、スパッタ法などの公知の方法で、強磁性層と非磁性層とで形成される積層膜が成膜される。次に、この積層膜の上に、フォトリソグラフィー法等により、マスク部材が形成される。マスク部材は、積層膜の上に所望の箇所で所望の形状で形成され得る。
次に、このマスク部材で覆われていない積層膜の部分が、イオンミリング等の公知の方法でエッチングされる。これにより、基板10の上の積層膜が所望の平面形状に加工される。このとき、所望の平面形状に加工された積層膜(積層部)は基板10の面内に複数あってよい。
次に、この積層部の上に、フォトリソグラフィー法等でマスク部材が形成される。このときマスク部材の開口部は、積層部の平面積より小さくなるように形成される。次に、このマスク部材で覆われていない積層部が、イオンミリング等の公知の方法でエッチングされる。このとき、積層膜中に存在する「強磁性層/非磁性層/強磁性層」構造において、非磁性層付近でエッチングが停止される。ここで、下側の強磁性層が一部エッチングされてよい。これにより、基板10に接していない非磁性層/強磁性層の1つの方向における寸法が、基板10と接する強磁性層より小さく形成される。その結果、強磁性層で形成された磁化自由層21、非磁性層22、強磁性層で形成された磁化固定層23で構成された素子部20が、基板10の上に形成される。
次に、素子部20の上にCVD(Chemical Vapor Deposition)法等の公知の方法で絶縁膜が製膜される。この絶縁膜の上に、フォトリソグラフィー法等でマスク部材が形成される。さらにRIE(Reactive Ion Etching)等の公知の方法で絶縁膜をエッチングして、通電窓40a用の開口部が形成される。これにより、通電窓40aを有する保護層40が形成される。
次に、この保護層40の上に、フォトリソグラフィー法等でマスク部材が形成される。さらに、スパッタ法等の公知の方法で金属薄膜が製膜される。マスク部材とマスク部材上の金属薄膜を除去することで、素子配線部50が形成される。
さらに、スパッタ法等の公知の方法で、磁気収束部30およびシード層31との絶縁をとるために保護層41が形成される。
さらに、スパッタ法等の公知の方法でめっきのベースとするシード層31が形成される。
さらに、このシード層31の上に、フォトリソグラフィー法等でマスク部材が形成される。次に、電解めっき等の公知の方法でマスク部材の開口部にめっき膜を形成することで、磁気収束部30が形成された後、マスク部材が除去される。次に、イオンミリング等の公知の方法で、表面全体を覆っているシード層31および保護層40(磁気収束部30と保護層40との間に存在する部分以外)が除去される。
以上の工程により、図3および図4に示す磁気センサ部11を得ることができる。そして、上記のとおり磁気センサ部11とキャンセル磁場発生部70を組み合わせて固定することで、図5に示す主構成部100を得ることができる。このように構成された主構成部100が、図1に示されるように、ブリッジ回路を形成して、オペアンプ等の電気回路と組み合わせることによって、磁気センサユニット1000が構成される。
(磁気検出装置の構成および製造方法)
図7は、本実施形態に係る磁気検出装置1の構成例を示す図である。磁気検出装置1は複数の磁気センサユニット1000を備える。本実施形態において、磁気検出装置1は、第1の磁気センサユニット1000a、第2の磁気センサユニット1000b、第3の磁気センサユニット1000cおよび第4の磁気センサユニット1000dを備える。
第1の磁気センサユニット1000aおよび第2の磁気センサユニット1000bは、感磁軸の方向が第1の方向であるように、第1の方向に並んで配置される。ここで、第1の磁気センサユニット1000aと第2の磁気センサユニット1000bは、所定の間隔をおいて配置されてよい。第1の磁気センサユニット1000aと第2の磁気センサユニット1000bの間には、プリント基板、磁性体等、磁気センサユニット以外の構成材料が存在してよい。図7の例では第1の方向はx軸方向である。また、第3の磁気センサユニット1000cおよび第4の磁気センサユニット1000dは、感磁軸の方向が第2の方向であるように、第2の方向に並んで配置される。図7の例では第1の方向はy軸方向である。図7の例では、第1の方向(x軸方向)と第2の方向(y軸方向)とは直交する。ここで、第1の方向と第2の方向とは厳密に直交しなくてよい。すなわち、第1の方向と第2の方向とは略直交すればよい。
図7に示すように、第1の磁気センサユニット1000aは重心Gaを有する。第2の磁気センサユニット1000bは重心Gbを有する。第3の磁気センサユニット1000cは重心Gcを有する。第4の磁気センサユニット1000dは重心Gdを有する。図7の例では、重心Gaの座標は((-D/2),0)で示される。重心Gbの座標は((+D/2),0)で示される。重心Gcの座標は(0,(-D/2))で示される。重心Gdの座標は(0,(+D/2))で示される。x軸方向に並んで配置された隣接する磁気センサユニット1000は、x軸方向に距離Dだけ離れている。また、y軸方向に並んで配置された隣接する磁気センサユニット1000は、y軸方向に距離Dだけ離れている。距離Dは一例として20mmである。
ここで、コイルと組み合わせたMRセンサを1つの磁気センサとして、複数の磁気センサを近接して配置した場合、コイルで発生した磁束がループを描き、外部からの入力磁場に加えて、ある磁気センサに近接して配置した別の磁気センサのコイルから発生した磁場が混入するため、各磁気センサ間で信号のクロストークが発生する。ここで、信号のクロストークとは、ある磁気センサの信号成分の一部が、別の磁気センサの信号に混入することである。例えば異なる感磁方向の磁気センサを近接して配置する場合、一方のセンサに対して感度軸方向ではない他軸の磁気センサからのクロストークが起こることで、正確な信号成分が得られなくなるおそれがあった。
図8は、図7に示す磁気検出装置1で磁場が印加された状態を説明する図である。図8の例では、磁気検出装置1に対して、外部からの入力磁場であるBx(以下、外部磁場Bxとする)がx軸方向の正の向きに印加されている。クローズドループ方式の第1の磁気センサユニット1000aは、外部磁場Bxを検出するために、フィードバック電流をキャンセル磁場発生部70に流す。このとき、第1の磁気センサユニット1000aは、フィードバック電流によって磁場Bcx1を発生させる。磁場Bcx1は、第1の磁気センサユニット1000aからの距離に応じて強度が変動する位置依存性がある。例えば、第4の磁気センサユニット1000dの位置において、発生した磁場Bcx1は、pBcx1の強度で影響する。ここで、pは位置依存性を示す係数である。第4の磁気センサユニット1000dでは、他軸の(感磁軸が異なる)第1の磁気センサユニット1000aで発生した磁場Bcx1によってクロストークが発生し得る。
また、図8の例において、クローズドループ方式の第2の磁気センサユニット1000bは、外部磁場Bxを検出するために、フィードバック電流をキャンセル磁場発生部70に流す。このとき、第2の磁気センサユニット1000bは、フィードバック電流によって磁場Bcx2を発生させる。例えば、第4の磁気センサユニット1000dの位置において、発生した磁場Bcx2は、qBcx2の強度で影響する。ここで、qは位置依存性を示す係数である。第4の磁気センサユニット1000dでは、他軸の(感磁軸が異なる)第2の磁気センサユニット1000bで発生した磁場Bcx2によってクロストークが発生し得る。
ここで、第1の磁気センサユニット1000aと第2の磁気センサユニット1000bとは同じ構成である。そして、第1の磁気センサユニット1000aおよび第2の磁気センサユニット1000bは、どちらも外部磁場Bxを打ち消すように、フィードバック電流による磁場を発生させる。つまり、第1の磁気センサユニット1000aおよび第2の磁気センサユニット1000bの感磁軸方向(x軸方向)に関して、Bx=-Bcx1=-Bcx2が成り立つ。
また、第1の磁気センサユニット1000aと第2の磁気センサユニット1000bとは、第4の磁気センサユニット1000dが位置するy軸に対して、線対称な位置に配置されている。そのため、上記の係数pおよび係数qについて、p=-qが成り立つ。
したがって、第4の磁気センサユニット1000dの位置において、第1の磁気センサユニット1000aで発生した磁場Bcx1は、第2の磁気センサユニット1000bで発生した磁場Bcx2によってキャンセルされる。また、同じように、第1の磁気センサユニット1000a、第2の磁気センサユニット1000bおよび第3の磁気センサユニット1000cの位置においても、他軸の(感磁軸が異なる)磁気センサユニット1000で発生した磁場の影響はキャンセルされる。
ここで、磁場Bcx1と磁場Bcx2とは、例えば第1の磁気センサユニット1000aと第2の磁気センサユニット1000bとの製造上の個体差または配置位置の誤差によって、完全に一致しないことがあり得る。この場合でも、磁場Bcx1と磁場Bcx2とが、第4の磁気センサユニット1000dの位置で少なくとも部分的にキャンセルするため、信号のクロストークは低減される。製造上の個体差に由来する磁場Bcx1と磁場Bcx2の差異は、フィードバック電流のオフセット成分に強く影響を受ける。より効果的にクロストークを低減するために、各磁気センサユニット1000の電気回路が、フィードバック電流のオフセット値を調整する機能を有することが好ましい。例えば、各磁気センサユニット1000の電気回路は、フィードバック電流をオフセット値に応じた量だけ多く、または少なくする回路を含んでよい。各磁気センサユニット1000の電気回路が適切なオフセット値を設定することによって、例えば個体差等が存在する場合でも、他軸の磁気センサユニット1000で発生した磁場を相殺することが可能になる。ここでオフセット値は、図1のブリッジ回路におけるTaとTbの電圧の差により決定される。TaとTbの電圧差を低減するために、例えば、測定環境でのバックグラウンドのTaとTbの出力の差分を外部のメモリ等に記憶し、記憶した値に基づいて抵抗器の1つとして取り付けたデジタル・ポテンショメータの抵抗値を設定してよい。
また、本実施形態に係る磁気検出装置1は、他軸の(感磁軸が異なる)磁気センサユニット1000で発生した磁場の影響がキャンセルされるならば、磁気センサユニット1000の位置が図7と異なってよい。図7の例では、感磁軸が同じ方向である複数の磁気センサユニット1000は、感磁軸の方向に平行な1つの軸上に並んで配置される。つまり、磁気センサユニット1000は、x軸上またはy軸上に沿って配置される。ここで、磁気センサユニット1000の重心Gは、x軸上またはy軸上にある必要はなく、距離Δdだけずれて配置されてよい。距離Δdは、磁気センサユニット1000の配置間隔に比べて小さい値に設定される。例えば距離Δdは、D/2以下の値である。ここで、距離Δdの値としては、D/4以下が好ましく、D/8以下がより好ましく、D/16以下がさらに好ましい。ずれの方向は、x軸またはy軸の方向に沿ってもよいし、軸の方向に沿わなくてもよい。x軸とy軸の交点を(0,0)とすると、重心Gaの座標は((-D/2)±Δd,±Δd)である。重心Gbの座標は((+D/2)±Δd,±Δd)である。重心Gcの座標は(±Δd,(-D/2)±Δd)である。また、重心Gdの座標は(±Δd,(+D/2)±Δd)である。図7の例は、距離Δdを0とした場合に対応する。
つまり、本実施形態に係る磁気検出装置1は、第1の方向(例えばx軸方向)および第2の方向(例えばy軸方向)を含む平面(例えばxy平面)において、次のような位置関係を有する。第1の磁気センサユニット1000aおよび第2の磁気センサユニット1000bは、第2の方向において、第3の磁気センサユニット1000cの重心と第4の磁気センサユニット1000dの重心との間に配置される。つまり、第1~第4の磁気センサユニットの重心を第2の方向上に射影したときに、第1の磁気センサユニット1000aの重心と第2の磁気センサユニット1000bの重心は、第3の磁気センサユニット1000cの重心と第4の磁気センサユニット1000dの重心との間に位置する。また、第1の磁気センサユニット1000aおよび第2の磁気センサユニット1000bは、第1の方向において、第3の磁気センサユニット1000cの重心と第4の磁気センサユニット1000dの重心とを結ぶ線分(例えばy軸)を挟んで互いに反対側に配置される。
また、第3の磁気センサユニット1000cおよび第4の磁気センサユニット1000dは、第1の方向において、第1の磁気センサユニット1000aの重心と第2の磁気センサユニット1000bの重心との間に配置される。また、第3の磁気センサユニット1000cおよび第4の磁気センサユニット1000dは、第2の方向において、第1の磁気センサユニット1000aの重心と第2の磁気センサユニット1000bの重心とを結ぶ線分(例えばx軸)を挟んで互いに反対側に配置される。
ここで、磁気検出装置1は、例えば以下のような製造方法によって作製され得る。まず、第1の磁気センサユニット1000aを構成するブリッジ回路及び電気回路は、プリント基板により配線されて作製される。磁気センサユニット1000b~1000dについても同様に作製される。次に、磁気センサユニット1000a~1000dは、保持台に固定される。保持台は非磁性であればよく、樹脂やアルミ等の材料により構成される。このとき、第1の磁気センサユニット1000aおよび第2の磁気センサユニット1000bは、第2の方向において、第3の磁気センサユニット1000cの重心と第4の磁気センサユニット1000dの重心との間に配置するように固定される。また、第1の磁気センサユニット1000aおよび第2の磁気センサユニット1000bは、第1の方向において、第3の磁気センサユニット1000cの重心と第4の磁気センサユニット1000dの重心とを結ぶ線分(例えばy軸)を挟んで互いに反対側に配置するように固定される。
[第2実施形態]
図9は、第2実施形態に係る磁気検出装置1の構成例を示す図である。磁気検出装置1は複数の磁気センサユニット1000を備える。本実施形態において、磁気検出装置1は、第1の磁気センサユニット1000a~第10の磁気センサユニット1000jを備える。本実施形態に係る磁気検出装置1が備える磁気センサユニット1000の構成は第1実施形態と同じである。また、本実施形態に係る磁気検出装置1は、第1実施形態に類似する製造方法によって製造され得る。よって、本実施形態に係る磁気センサユニット1000の構成および磁気検出装置1の製造方法については説明を省略する。
本実施形態に係る磁気検出装置1は、第1の方向(例えばx軸方向)および第2の方向(例えばy軸方向)に加えて、これらに直交する第3の方向(例えばz軸方向)に磁気センサユニット1000を配置する。図9は、本実施形態に係る磁気検出装置1を示す斜視図である。ここで、第3の方向は、第1の方向および第2の方向と厳密に直交しなくてよい。すなわち、第3の方向は、第1の方向および第2の方向と略直交すればよい。
図9の例では、第1の方向であるx軸方向および第2の方向であるy軸方向を含む2つのxy平面(平面s1および平面s2)が示されている。平面s1および平面s2のそれぞれにおいて、磁気検出装置1は第1実施形態と同じ構成を有する。例えば、平面s2において、第7の磁気センサユニット1000gおよび第8の磁気センサユニット1000hは、感磁軸の方向がx軸方向であるように、x軸方向に並んで配置される。また、第9の磁気センサユニット1000iおよび第10の磁気センサユニット1000jは、感磁軸の方向がy軸方向であるように、y軸方向に並んで配置される。
そして、図9に示すように、磁気検出装置1は、感磁軸の方向が、z軸方向であるように配置される第5の磁気センサユニット1000eを含む。平面s1において、平面s1に投影した第5の磁気センサユニット1000eの重心Geは、y軸方向で、第3の磁気センサユニット1000cの重心と第4の磁気センサユニット1000dの重心との間に配置される。また、平面s1において、平面s1に投影した第5の磁気センサユニット1000eの重心Geは、x軸方向で、第1の磁気センサユニット1000aの重心と第2の磁気センサユニット1000bの重心との間に配置される。磁気検出装置1は、z軸方向を感磁軸とする第5の磁気センサユニット1000eを備えるため、3軸センサとして機能し、用途が広がる。
また、図9に示すように、磁気検出装置1は、感磁軸の方向が、z軸方向であるように配置される第6の磁気センサユニット1000fを含む。第5の磁気センサユニット1000eの重心Geと第6の磁気センサユニット1000fの重心Gfとを結ぶ線分は、平面s1と交点を有する。図9の例では、第6の磁気センサユニット1000fの重心Gfは、平面s1に関して、第5の磁気センサユニット1000eの重心Geと面対称である。ここで、z軸方向に並んで配置された隣接する磁気センサユニット1000は、z軸方向に距離Dだけ離れてよい。距離Dは第1実施形態と同じ値をとり得る。
ここで、外部磁場Bxが印加されると、図9に示される磁気検出装置1は以下に説明するように磁場が発生する。例えば、第4の磁気センサユニット1000dの位置において、上記のように、第1の磁気センサユニット1000aで発生した磁場は、第2の磁気センサユニット1000bで発生した磁場によってキャンセルされる。また、第4の磁気センサユニット1000dの位置において、同じように、第5の磁気センサユニット1000eで発生した磁場は、第6の磁気センサユニット1000fで発生した磁場によってキャンセルされる。また、同じように、第1の磁気センサユニット1000a~第3の磁気センサユニット1000c、第5の磁気センサユニット1000eおよび第6の磁気センサユニット1000fの位置においても、他軸の(感磁軸が異なる)磁気センサユニット1000で発生した磁場の影響はキャンセルされる。また、第7の磁気センサユニット1000g~第10の磁気センサユニット1000jの位置においても、第6の磁気センサユニット1000fを除けば、他軸の磁気センサユニット1000で発生した磁場の影響はキャンセルされる。つまり、磁気検出装置1が備える第1の磁気センサユニット1000a~第10の磁気センサユニット1000jについて、他軸方向からの磁場の影響が低減される。
ここで、本実施形態に係る磁気検出装置1は、他軸の(感磁軸が異なる)磁気センサユニット1000で発生した磁場の影響がキャンセルされるならば、磁気センサユニット1000の位置が図9と異なってよい。図9の例では、感磁軸がz方向である第5の磁気センサユニット1000eおよび第6の磁気センサユニット1000fは、z軸方向に平行な1つの軸(例えばz軸)上に並んで配置される。しかし、第5の磁気センサユニット1000eおよび第6の磁気センサユニット1000fは、x軸方向およびy軸方向の少なくとも1つの方向において、異なる位置にあってよい。つまり、第5の磁気センサユニット1000eのxy座標と、第6の磁気センサユニット1000fのxy座標とが異なっていてよい。
[第3実施形態]
図10、図11および図12は、第3実施形態に係る磁気検出装置1の構成例を示す図である。磁気検出装置1は複数の磁気センサユニット1000を備える。本実施形態において、磁気検出装置1は、第2実施形態の配置を繰り返して構成される。本実施形態に係る磁気検出装置1が備える磁気センサユニット1000の構成は第1実施形態と同じである。また、本実施形態に係る磁気検出装置1は、第1実施形態に類似する製造方法によって製造され得る。よって、本実施形態に係る磁気センサユニット1000の構成および磁気検出装置1の製造方法については説明を省略する。
図10は、本実施形態に係る磁気検出装置1のxy平面での断面図である。また、図11は、本実施形態に係る磁気検出装置1のzx平面での断面図である。図10および図11において、磁気センサユニット1000は四角形で示される。上記のように、本実施形態に係る磁気検出装置1は、第2実施形態の配置を繰り返す。図10および図11における第1の磁気センサユニット1000a~第10の磁気センサユニット1000jは、図9と同じである。
図10に示すように、本実施形態に係る磁気検出装置1は、第1の磁気センサユニット1000a、第2の磁気センサユニット1000b、第3の磁気センサユニット1000cおよび第4の磁気センサユニット1000dの配置(図10のパターンPxy)が、xy平面において、x軸方向およびy軸方向に繰り返される。ここで、パターンPxyの長さは、x軸方向およびy軸方向で、それぞれ距離Dである。距離Dは第1実施形態と同じ値をとり得る。本実施形態に係る磁気検出装置1では、複数の磁気センサユニット1000がx軸方向およびy軸方向に距離Dの並進対称性を保ちながら配置される。ここで、並進対称性とは、一定距離を平行移動した場合に、平行移動する前と同じ配置が保たれることを意味する。
図11に示すように、本実施形態に係る磁気検出装置1は、第1の磁気センサユニット1000a、第2の磁気センサユニット1000b、第5の磁気センサユニット1000eおよび第6の磁気センサユニット1000fの配置(図11のパターンPzx)が、zx平面において、z軸方向およびx軸方向に繰り返される。ここで、パターンPzxの長さは、z軸方向およびx軸方向で、それぞれ上記の距離Dである。本実施形態に係る磁気検出装置1では、複数の磁気センサユニット1000がz軸方向およびx軸方向に距離Dの並進対称性を保ちながら配置される。
図12は、本実施形態に係る磁気検出装置1の立体的形状の一例を示す斜視図である。図10および図11を用いて平面上での繰り返しを説明したが、磁気検出装置1は、第1の磁気センサユニット1000a~第6の磁気センサユニット1000fの立体的な配置(一辺が距離Dの立方体形状)が並進対称性を保ちながら配置されるものである。ただし、厳密には、磁気検出装置1の端部において並進対称性が保たれないことがある。この場合、磁気検出装置1の端部の磁気センサユニット1000の検出値を用いないことによって、磁気検出装置1は正確に外部磁場Bxを検出可能である。第2実施形態において説明したように、端部に配置される場合を除いて、磁気検出装置1を構成する磁気センサユニット1000の位置において、他軸の磁気センサユニット1000で発生した磁場の影響はキャンセルされる。本実施形態のように繰り返し配置することで、クロストークを低減した上で、測定対象からの磁場の空間分布を得ることができる。
ここで、磁気検出装置1は、感磁軸の方向が同じ複数の磁気センサユニット1000の検出値の差分を計算する信号処理回路を備えることが好ましい。検出値の差分を計算することによって、複数の検出値に共通に含まれる環境磁場成分(例えば地磁気等)を除去し、磁気センサユニット1000の感磁軸方向の信号磁場をより正確に検出することが可能である。
上記のように、磁気検出装置1は、第1の磁気センサユニット1000a~第6の磁気センサユニット1000fの立体的な配置が並進対称性を保ちながら配置される。そのため、磁気検出装置1において、1つの磁気センサユニット1000から所定の方向(例えばz方向)に所定の距離(例えば距離D)だけ離れた位置に、感磁軸の方向が同じ磁気センサユニット1000が配置されている。例えば、信号処理回路は、少なくとも第1の磁気センサユニット1000a、第2の磁気センサユニット1000b、第3の磁気センサユニット1000cおよび第4の磁気センサユニット1000dのそれぞれについて、所定の方向に所定の距離だけ離れて配置された、それぞれ異なる磁気センサユニット1000との間で、検出値の差分を計算する。図9の例では、信号処理回路は、第1の磁気センサユニット1000aと第7の磁気センサユニット1000gとの間で検出値の差分を計算してよい。また、信号処理回路は、第3の磁気センサユニット1000cと第9の磁気センサユニット1000iとの間で検出値の差分を計算してよい。また、信号処理回路は、さらに、第5の磁気センサユニット1000eと第6の磁気センサユニット1000fとの間で検出値の差分を計算してよい。ここで、信号処理回路は、各磁気センサユニット1000からの検出値を取得し、磁気検出装置1の全体を制御するメインプロセッサであってよい。また、上記の所定の方向は、第1の方向、第2の方向または第3の方向でよいが、特に限定されるものでない。また、上記の所定の距離は、距離Dでよいが、特に限定されるものでない。
上記の実施形態は、技術的思想を具体化するための装置および方法を例示するものであって、構成部品の材質、形状、構造、配置等を特定するものでない。つまり、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることが可能である。
[磁気シミュレーション]
以下に示す実施例及び比較例について、有限要素法による磁場解析シミュレーションが行われた。磁場解析シミュレーションでは、任意の形状、透磁率の磁性体および電流を流すことのできる導電体をコンピュータ内の仮想空間上に作製することができる。形状を定義された磁性体を、任意の大きさの小領域に区切り、磁場を印加すると、磁性体中の各小領域の磁化状態を計算することができる。下記では、キャンセル磁場発生部70の巻回軸方向を「長さ方向」、磁性体の厚みに垂直な方向を「厚み方向」、長さ方向と厚み方向に垂直な方向を、「幅方向」と記載する。
仮想空間において、巻回軸方向は感磁軸方向に平行である。まず仮想空間上に、1つの磁気センサ部11に対応する構成部材が定義された。磁気センサ部11の磁化自由層21と対応する磁性体210は、長さ方向100μm、幅方向140μm、厚さ方向0.07μmおよび透磁率2000に設定された。また、磁気センサ部11の磁化固定層23に対応する部分を感磁エリア230は、長さ方向5μmおよび幅方向28μmに設定された。感磁エリア230の位置は、上面視で、磁性体210の中央部とした。さらに、磁気センサ部11の磁気収束部30と対応する磁性体300は、長さ方向5mm、幅方向1mm、厚さ方向10μm、透磁率2000に設定された。また、磁性体210と磁性体300の感磁軸方向の間隙を5μmとし、磁性体210と磁性体300の重心が一致するように配置した。また、キャンセル磁場発生部70に対応する導電体700は、0.2mm径の導線要素を直径6mmとしてリング状に形成し、これを51個並べて長さ方向に10.2mmとなるように配置された。
以下において、「磁気センサ」は、磁気シミュレーションで上記のように定義した集合を意味する。磁気シミュレーションにおいて、磁気センサの導電体700に1μAの電流を印加した場合に、感磁エリア230の磁化M0として次の値が得られた。
=3.698×10-4[T]
後述する各実施例、比較例では、上記の磁気センサを仮想空間上に複数配置し、ある磁気センサに隣接する別の磁気センサに含まれる導電体700に電流を印加して、磁気センサの磁化Mを取得した(Aは各磁気センサを表す)。このとき、Mに対するMの割合が、他軸からの混入信号に相当する。そのため、M/Mの値が小さいほど、他軸影響が少ないことを意味する。本実施例におけるM/Mの値が、比較例におけるM/Mの値に対して高いことを以下に示す。
[実施例1]
実施例1は、図7において距離Dを20mmとした場合に対応する。実施例1では、巻回軸がx軸方向を向いた磁気センサX1(第1の磁気センサユニット1000aに対応)を、仮想空間上の原点から、(-10mm,0)離れた位置に配置した。また、巻回軸がx軸方向を向いた磁気センサX2(第2の磁気センサユニット1000bに対応)を、仮想空間上の原点から、(10mm,0)離れた位置に配置した。また、巻回軸がy軸方向を向いた磁気センサY1(第3の磁気センサユニット1000cに対応)を、仮想空間上の原点から、(0,-10mm)離れた位置に配置した。また、巻回軸がy軸方向を向いた磁気センサY2(第4の磁気センサユニット1000dに対応)を、仮想空間上の原点から、(0,10mm)離れた位置に配置した。
次に、磁気センサX1および磁気センサX2に1μAの電流を印加した状態で、磁気センサY1のY方向磁化成分MY1およびY2のY方向磁化成分MY2の値を取得したところ、次の値が得られた。
Y1=-1.473×10-8[T]
Y2=1.464×10-8[T]
磁化MY1/MおよびMY2/Mの値を算出したところ、次の値が得られた。
Y1/M=-0.0040[%]
Y2/M=0.0040[%]
[実施例2]
実施例2は、図9において距離Dを20mmとした場合に対応する。ここで、実施例1と同様に、距離Dは各軸方向において隣接する磁気センサユニット1000間の距離である。実施例2において、z軸方向に並んで配置された隣接する磁気センサユニット1000は、z軸方向に距離Dだけ離れている。図9の例では、重心Geと重心Gfとは距離Dだけ離れている。実施例2では、巻回軸がx軸方向を向いた磁気センサX1(第1の磁気センサユニット1000aに対応)を、仮想空間上の原点から、(-10mm,0,20mm)離れた位置に配置した。また、巻回軸がx軸方向を向いた磁気センサX2(第2の磁気センサユニット1000bに対応)を、仮想空間上の原点から、(10mm,0,20mm)離れた位置に配置した。また、巻回軸がy軸方向を向いた磁気センサY1(第3の磁気センサユニット1000cに対応)を、仮想空間上の原点から、(0,-10mm,20mm)離れた位置に配置した。また、巻回軸がy軸方向を向いた磁気センサY2(第4の磁気センサユニット1000dに対応)を、仮想空間上の原点から、(0,10mm,20mm)離れた位置に配置した。また、巻回軸がz軸方向を向いた磁気センサZ1(第5の磁気センサユニット1000eに対応)を、仮想空間上の原点から、(0,0,30mm)離れた位置に配置した。また、巻回軸がz軸方向を向いた磁気センサZ2(第6の磁気センサユニット1000fに対応)を、仮想空間上の原点から、(0,0,10mm)離れた位置に配置した。また、巻回軸がx軸方向を向いた磁気センサX3(第7の磁気センサユニット1000gに対応)を、仮想空間上の原点から、(-10mm,0,0)離れた位置に配置した。また、巻回軸がx軸方向を向いた磁気センサX4(第8の磁気センサユニット1000hに対応)を、仮想空間上の原点から、(10mm,0,0)離れた位置に配置した。また、巻回軸がy軸方向を向いた磁気センサY3(第9の磁気センサユニット1000iに対応)を、仮想空間上の原点から、(0,-10mm,0)離れた位置に配置した。また、巻回軸がy軸方向を向いた磁気センサY4(第10の磁気センサユニット1000jに対応)を、仮想空間上の原点から、(0,10mm,0)離れた位置に配置した。
次に、磁気センサX1~X4に1μAの電流を印加した状態で、磁気センサY1~Y4のY方向磁化成分MY1~MY4およびZ1、Z2のZ方向磁化成分MZ1、MZ2の値を取得したところ、次の値が得られた。
Y1=1.448×10-8[T]
Y2=-1.455×10-8[T]
Y3=1.449×10-8[T]
Y4=-1.456×10-8[T]
Z1=-4.175×10-10[T]
Z2=-5.283×10-12[T]
また、磁化MY1~Y4/M、MZ1、Z2/Mの値を算出したところ、次の値が得られた。
Y1/M=0.0039%
Y2/M=-0.0039%
Y3/M=0.0039%
Y4/M=-0.0039%
Z1/M=-0.00011%
Z2/M=-0.0000014%
[比較例1]
比較例1は、図7において距離Dを20mmとして、第1の磁気センサユニット1000aおよび第3の磁気センサユニット1000cを削除した場合に対応する。比較例1では、巻回軸がx軸方向を向いた磁気センサX2を、仮想空間上の原点から、(10mm,0)離れた位置に配置した。また、巻回軸がy軸方向を向いた磁気センサY2を、仮想空間上の原点から、(0,10mm)離れた位置に配置した。
次に、磁気センサX2に1μAの電流を印加した状態で、磁気センサY2のY方向磁化成分MY2の値を取得したところ、次の値が得られた。
Y2=-8.075×10-6[T]
磁化MY2/Mの値を算出したところ、次の値が得られた。
Y2/M=-2.18[%]
[シミュレーション結果の比較]
磁気シミュレーションの実施例及び比較例において、巻回軸がX方向のセンサを駆動したときの、巻回軸がY方向およびZ方向を向いたセンサの、Mに対するMの割合を比較した。すなわち、導電体700の巻回軸とは別の方向の磁化率を比較することで、他の軸からのクロストークを評価した。M/Mが小さいほど、クロストークが小さいことを意味する。実施例及び比較例の結果より、明らかに比較例に対して実施例のM/Mが小さくなっていることが分かる。この効果は、実施例のように配置した時、各磁気センサユニットから発生する磁場が、他軸成分を互いにキャンセルしあうために得られている。
以上より、上記の実施例は、比較例よりも、他軸の磁気センサからの信号のクロストークを低減する効果を発揮していることが分かる。
[別の実施形態]
上記の実施形態にかかわる磁気検出装置1では、複数の磁気センサユニット1000がx軸方向およびy軸方向に距離Dごとに繰り返し配置される。つまり、上記の実施形態では並進対称性をもって繰り返し配置されている。ここで、別の実施形態として、磁気センサユニット1000をアレイ状に配置した構成の少なくとも一部において、並進対称性が満たされなくてもよい。並進対称性が満たされない部分については、例えば2つの方向を含む平面において、複数の磁気センサユニット1000が次の配置条件を満たす。例えば、並進対称性が満たされない部分のx軸方向とy軸方向とを含む平面(xy平面)において、第1の磁気センサユニット1000a、第2の磁気センサユニット1000b、第3の磁気センサユニット1000cおよび第4の磁気センサユニット1000dが含まれると仮定する。このとき、第1の磁気センサユニット1000aおよび第2の磁気センサユニット1000bは、感磁軸の方向が第1の方向(x軸方向)であるように、第1の方向に並んで配置される。また、第3の磁気センサユニット1000cおよび第4の磁気センサユニット1000dは、感磁軸の方向が第1の方向と略直交する第2の方向(y軸方向)であるように、第2の方向に並んで配置される。第1の磁気センサユニット1000aおよび第2の磁気センサユニット1000bは、第3の磁気センサユニット1000cの重心を含み、第2の方向を法線方向とする平面と、第4の磁気センサユニット1000dの重心を含み、第2の方向を法線方向とする平面と、の間に配置される。また、第3の磁気センサユニット1000cおよび第4の磁気センサユニット1000dは、第1の磁気センサユニット1000aの重心を含み、第1の方向を法線方向とする平面と、第2の磁気センサユニット1000bの重心を含み、第1の方向を法線方向とする平面と、の間に配置される。なお、配置条件は、別の平面(例えばzx平面)についても同様である。
すなわち、感磁軸の方向が同じである一対の磁気センサユニット1000の間でずれを含んでいても、上記の配置条件が満たされる限り、異なる方向の感磁軸を有する磁気センサユニット1000で生じた磁場成分(他軸から発生した磁場成分)の一部はキャンセルされる。そのため、磁気検出装置1は、検出の精度を高めることが可能である。このように、磁気センサユニット1000は、必ずしも図10~図12に示すように規則正しく並んでいる必要はない。例えば「磁気センサユニット1000が感磁軸の方向が第1の方向であるように第1の方向に並んで配置される」とは、磁気センサユニット1000の感磁軸が同一の直線上に並ぶ必要はなく、磁気センサユニット1000の感磁軸が互いに平行であるような配置が含まれる。
図13は上記のxy平面に関する配置条件を満たす一例を示す。図13に示すように、第1の磁気センサユニット1000aと第2の磁気センサユニット1000bとは、第3の磁気センサユニット1000cの重心と第4の磁気センサユニット1000dの重心とを結ぶ軸(y軸に平行な軸)に対して対称でない。すなわち、第1の磁気センサユニット1000aと第2の磁気センサユニット1000bとは、y軸方向においてずれている。図13の繰り返し配置は、例えば座標(0,0)の位置から(2D,0)または(0,2D)移動した位置において、(0,0)と同じ配置となる。しかし、図13の繰り返し配置は、例えば座標(0,0)の位置から(D,0)または(0,D)移動した位置では(0,0)の位置と同じ配置とはならない。この場合でも、クロストークを低減した上で、測定対象からの磁場の空間分布を得ることができる。
また、図14は上記のxy平面に関する配置条件を満たす別の例を示す。図14の例においては、第1の磁気センサユニット1000aと第2の磁気センサユニット1000bとだけでなく、第3の磁気センサユニット1000cと第4の磁気センサユニット1000dとがずれている。この場合でも、クロストークを低減した上で、測定対象からの磁場の空間分布を得ることができる。
また、図15は、図14の4つの磁気センサユニット1000に加えて、z軸方向でずれを有する第5の磁気センサユニット1000eと第6の磁気センサユニット1000fとを配置した例を示す。図15の例において、第5の磁気センサユニット1000eの重心は、第1の磁気センサユニット1000aの重心を含み、第1の方向(x軸方向)を法線方向とする平面1と、第2の磁気センサユニット1000bの重心を含み、第1の方向を法線方向とする平面2と、の間に配置され、かつ、第3の磁気センサユニット1000cの重心を含み、第2の方向(y軸方向)を法線方向とする平面3と、第4の磁気センサユニット1000dの重心を含み、第2の方向を法線方向とする平面4と、の間に配置される。また、第6の磁気センサユニット1000fの重心は、第1の磁気センサユニット1000aの重心を含み、第1の方向を法線方向とする平面1と、第2の磁気センサユニット1000bの重心を含み、第1の方向を法線方向とする平面2と、の間に配置され、かつ、第3の磁気センサユニット1000cの重心を含み、第2の方向を法線方向とする平面3と、第4の磁気センサユニット1000dの重心を含み、第2の方向を法線方向とする平面4と、の間に配置される。そして、第1の磁気センサユニット1000a、第2の磁気センサユニット1000b、第3の磁気センサユニット1000cおよび第4の磁気センサユニット1000dは、第5の磁気センサユニット1000eの重心を含み、第3の方向(z軸方向)を法線方向とする平面5と、第6の磁気センサユニット1000fの重心を含み、第3の方向を法線方向とする平面6と、の間に配置される。このように、図15の例は、xy平面に関する配置条件に加えて、zx平面およびyz平面に関する配置条件を満たす。このとき、クロストークを低減した上で、測定対象からの磁場の空間分布を得ることができる。
さらに別の実施形態として、磁気センサユニット1000は、上記の実施形態で備えた構成要素の一部を省略してもよい。一例として、磁気センサユニット1000は、キャンセル磁場発生部70と、キャンセル電流を発生させる電気回路と、を省略してもよい。また、磁気センサユニット1000は、磁気収束部30を省略してもよい。磁気センサユニット1000が上記の実施形態で備えた構成要素の一部を省略した場合にも、磁気センサユニット1000の間で上記の配置条件が満たされる限り、他軸方向からの磁場の影響が低減される。そのため、磁気検出装置1は、検出の精度を高めることが可能である。ここで、磁気センサユニットがキャンセル磁場発生部を備えない場合、磁気センサユニットの感磁エリアの重心が、「磁気センサユニットの重心」である。磁気センサユニットが複数の感磁エリアを有する場合には、磁気センサユニットの重心は、複数の感磁エリアの全体の重心である。
1 磁気検出装置
10 基板
11 磁気センサ部
20 素子部
21 磁化自由層
22 磁性層
23 磁化固定層
30 磁気収束部
31 シード層
40 保護層
40a 通電窓
41 保護層
50 素子配線部
70 キャンセル磁場発生部
81 抵抗器
82 抵抗器
83 抵抗器
90 電流検出器
100 主構成部
210 磁性体
230 感磁エリア
300 磁性体
700 導電体
1000 磁気センサユニット

Claims (15)

  1. 基板、素子部および前記素子部に入力磁場を収束させる磁気収束部を含む磁気センサ部と、キャンセル磁場発生部と、電気回路と、を有し、前記磁気センサ部の前記素子部の少なくとも一部が前記キャンセル磁場発生部の包絡面の内側に存在する磁気センサユニット、を複数備え、
    前記素子部は、感磁軸の方向の入力磁場成分に応じた検出値を出力し、
    前記キャンセル磁場発生部は、前記感磁軸と略平行な方向を巻回軸として、導体を巻回することによって形成され、
    前記電気回路は、前記検出値に基づくフィードバック電流を前記キャンセル磁場発生部に印加することによって、前記入力磁場を減殺するキャンセル磁場を前記キャンセル磁場発生部に発生させ、
    複数の前記磁気センサユニットにおけるそれぞれの前記磁気センサユニットが、独立して独自の位置の磁場を検出し、前記キャンセル磁場発生部の立体形状の幾何中心である重心を有し、
    前記複数の磁気センサユニットは、少なくとも第1の磁気センサユニット、第2の磁気センサユニット、第3の磁気センサユニットおよび第4の磁気センサユニットを含み、
    前記第1の磁気センサユニットおよび前記第2の磁気センサユニットは、前記感磁軸の方向が第1の方向であるように、前記第1の方向に所定の間隔をおいて並んで配置されて、
    前記第3の磁気センサユニットおよび前記第4の磁気センサユニットは、前記感磁軸の方向が前記第1の方向と略直交する第2の方向であるように、前記第2の方向に所定の間隔をおいて並んで配置されて、
    前記第1の磁気センサユニットおよび前記第2の磁気センサユニットは、前記第3の磁気センサユニットの前記重心を含み、前記第2の方向を法線方向とする平面と、前記第4の磁気センサユニットの前記重心を含み、前記第2の方向を法線方向とする平面と、の間に配置され、
    前記第3の磁気センサユニットおよび前記第4の磁気センサユニットは、前記第1の磁気センサユニットの前記重心を含み、前記第1の方向を法線方向とする平面と、前記第2の磁気センサユニットの前記重心を含み、前記第1の方向を法線方向とする平面と、の間に配置される、磁気検出装置。
  2. 複数の前記磁気センサユニットは、前記感磁軸の方向が、前記第1の方向および前記第2の方向と略直交する第3の方向であるように配置される、第5の磁気センサユニットを含み、
    前記第5の磁気センサユニットの前記重心は、前記第1の磁気センサユニットの前記重心を含み、前記第1の方向を法線方向とする平面と、前記第2の磁気センサユニットの前記重心を含み、前記第1の方向を法線方向とする平面と、の間に配置され、かつ、前記第3の磁気センサユニットの前記重心を含み、前記第2の方向を法線方向とする平面と、前記第4の磁気センサユニットの前記重心を含み、前記第2の方向を法線方向とする平面と、の間に配置される、請求項1に記載の磁気検出装置。
  3. 複数の前記磁気センサユニットは、前記感磁軸の方向が前記第3の方向であるように配置される、第6の磁気センサユニットを含み、
    前記第6の磁気センサユニットの前記重心は、前記第1の磁気センサユニットの前記重心を含み、前記第1の方向を法線方向とする平面と、前記第2の磁気センサユニットの前記重心を含み、前記第1の方向を法線方向とする平面と、の間に配置され、かつ、前記第3の磁気センサユニットの前記重心を含み、前記第2の方向を法線方向とする平面と、前記第4の磁気センサユニットの前記重心を含み、前記第2の方向を法線方向とする平面と、の間に配置され、
    前記第1の磁気センサユニット、前記第2の磁気センサユニット、前記第3の磁気センサユニットおよび前記第4の磁気センサユニットは、前記第5の磁気センサユニットの前記重心を含み、前記第3の方向を法線方向とする平面と、前記第6の磁気センサユニットの前記重心を含み、前記第3の方向を法線方向とする平面と、の間に配置される、請求項2に記載の磁気検出装置。
  4. 前記感磁軸の方向が同じ複数の前記磁気センサユニットの前記検出値の差分を計算する信号処理回路を、備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の磁気検出装置。
  5. 前記信号処理回路は、少なくとも第1の磁気センサユニット、第2の磁気センサユニット、第3の磁気センサユニットおよび第4の磁気センサユニットのそれぞれについて、所定の方向に所定の距離だけ離れて配置された、それぞれ異なる前記磁気センサユニットとの間で、前記検出値の差分を計算する、請求項4に記載の磁気検出装置。
  6. 前記第1の磁気センサユニット、前記第2の磁気センサユニット、前記第3の磁気センサユニットおよび前記第4の磁気センサユニットの配置が、前記第1の方向および前記第2の方向に繰り返される、請求項1から5のいずれか一項に記載の磁気検出装置。
  7. 前記電気回路は、前記フィードバック電流のオフセット値を調整する機能を有する、請求項6に記載の磁気検出装置。
  8. 前記磁気収束部は、
    前記感磁軸と平行な方向に、前記素子部の両側に配置されて、
    前記感磁軸の方向における両端を結ぶ長さである第1の長さと、前記基板の主面に垂直な方向における最大の長さである第2の長さと、前記感磁軸の方向および前記基板の主面に垂直な方向に垂直な方向における両端を結ぶ長さである第3の長さと、が、前記第2の長さ<前記第3の長さ<前記第1の長さ、を満たす、請求項1から7のいずれか一項に記載の磁気検出装置。
  9. 前記磁気収束部は、前記基板の上に形成された第1の軟磁性体と、
    前記第1の軟磁性体に直接的に接する第2の軟磁性体と、を含む請求項1から8のいずれか一項に記載の磁気検出装置。
  10. 前記磁気センサユニットは、前記キャンセル磁場発生部の包絡面の内側に、前記磁気収束部を備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の磁気検出装置。
  11. 前記素子部は、磁化自由層、非磁性層および磁化固定層が積層されている、請求項1から10のいずれか一項に記載の磁気検出装置。
  12. 前記素子部は、前記磁化自由層、前記非磁性層および前記磁化固定層がこの順で積層されて、
    前記磁化自由層の前記基板の主面に平行な面の面積は、前記磁化固定層の前記基板の主面に平行な面の面積より大きい、請求項11に記載の磁気検出装置。
  13. 前記磁気センサ部は、複数の前記素子部を含み、
    複数の前記素子部は、前記磁気センサ部の感磁軸の方向と垂直方向に並ぶように配置されて、電気的に直列に接続されている、請求項11から12のいずれか一項に記載の磁気検出装置。
  14. 前記磁気収束部は、前記基板の上に形成された第1の軟磁性体と、前記第1の軟磁性体に直接的に接する第2の軟磁性体と、を含み、
    前記磁化自由層の厚さと、前記第1の軟磁性体の厚さと、前記第2の軟磁性体の厚さは、この順に大きくなる、請求項11から13のいずれか一項に記載の磁気検出装置。
  15. 前記磁化自由層の感磁軸の方向の長さは、前記素子部の両側に配置された前記磁気収束部に挟まれた領域の長さよりも大きい、請求項11から14のいずれか一項に記載の磁気検出装置。
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