JP3360490B2 - 表示装置 - Google Patents

表示装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はプラズマセルを用いた表
示装置に関する。より詳しくは、プラズマセルに形成さ
れる放電電極の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、プラズマセルは表示装置(ディ
スプレイ)に応用されている。例えば、プラズマセルは
それ自体でプラズマディスプレイを構築でき、従来から
開発が行なわれている。最近では、液晶セルとプラズマ
セルを互いに重ねた積層構造を有するプラズマアドレス
液晶ディスプレイも研究が進められている。このプラズ
マアドレス液晶ディスプレイでは、プラズマセルは液晶
セルの線順次アドレッシングに用いられる。一般に、プ
ラズマセルは空隙を介して接合した一対の基板と、少な
くとも一方の基板に形成された放電電極と、該空隙に満
たされたイオン化可能なガスとから構成されている。放
電電極は互いに平行なアノード及びカソードの対毎に区
分されてライン状の放電チャネルを形成する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】プラズマセルにおいて
は、放電電流が大きいと電極材料のスパッタが進行しや
すく、耐用寿命が短くなる。ところが、放電電極特にカ
ソードの表面積と、ガス種、ガス圧等の条件により、安
定なプラズマ放電(グロー放電)が可能な放電電流は規
定されている。規定より小さな放電電流では安定なグロ
ー放電が困難となる。従って、放電電極の構造やプラズ
マガス種が決定されると、結果的に放電電流の量が決ま
り、これによりプラズマセルの耐用寿命も制限され、改
善の余地がなくなる。特に、スクリーン印刷等により放
電電極を形成する場合、その幅を細くすれば放電電流を
抑制する事が可能であるが、ある一定幅以下に細くする
事は製造プロセス上困難である。又、断線等の原因とも
なる為自ずから限界が存在した。加えて、放電電極幅を
細くすると電気抵抗が増大し、電圧降下が生じる為安定
したプラズマ放電を発生する事が難しい。
【0004】プラズマセルでは互いに対向するアノード
とカソードとの間でプラズマ放電を発生させる。従来、
アノードとカソードの全長に渡って両放電電極間で一様
且つ連続的にプラズマ放電を発生させていた。しかし、
この方法では放電電流が増大する為、電気抵抗による電
圧降下が大きくなり、放電ムラを生じる。又、放電電流
の増加に伴なって過剰な準安定原子が生成する。特に、
プラズマアドレス表示装置等でプラズマセルを液晶セル
の線順次走査に用いる場合、放電チャネルはプラズマス
イッチとして機能する。この場合、過剰な準安定原子が
生成するとプラズマスイッチの応答性が悪くなり、動作
上支障を生じる等の問題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述した従来の技術の課
題を解決する為以下の手段を講じた。即ち、本発明にか
かる表示装置は基本的にプラズマセルを備えている。こ
のプラズマセルは空隙を規定するスペーサを介して接合
した一対の基板と、少なくとも一方の基板に形成された
放電電極と、該空隙に満たされたイオン化可能なガスと
からなる。前記放電電極は互いに平行な第1電極及び
2電極の対毎に区分されてライン状の放電チャネルを形
成する。特徴事項として、少なくとも前記第1電極及び
第2電極の一方放電チャネルの方向に沿って周期的に
配列し且つ該スペーサとは別の絶縁物によって部分的に
被覆されており、放電電極の有効面積を限定化して放電
電流を抑制する。前記第1電極及び第2電極の片方はカ
ソードでありもう片方はアノードである。一態様では、
カソード及びアノードとも周期的に配列した絶縁物によ
って部分的に被覆され、且つ該周期的な配列の空間位相
がカソードとアノード間で相対的にずれている。これに
より斜め放電が行なえる。他の態様によれば、隣り合う
放電チャネルを互いに分離する隔壁がスペーサとして
ノードの上に沿って形成されている。この場合、カソー
ドは隣り合う隔壁の間に配置され且つ周期的に配列した
絶縁物で部分的に被覆されている。本発明の一応用で
は、表示装置は該プラズマセルに重ねられた液晶セルを
含んでいる。該液晶セルは放電チャネルに直交する信号
電極及び該放電チャネルと該信号電極の間に介在する液
晶とを有する。この場合、前記絶縁物の配列周期Wは、
三原色が割り当てられた三本一組の信号電極(RGBト
リオ)の配列ピッチPに対してW=(n+1/3)・P
又はW=(n+2/3)・P(但し、nは0又は正の整
数)の関係にある。
【0006】
【作用】本発明によれば、互いに平行なアノード及びカ
ソードの対からなる一本の放電チャネルの中で、少なく
ともカソードは周期的に配列した絶縁物によって部分的
に被覆されている。これにより、放電電極の有効面積
(放電可能な部分)を限定し、少ない放電電流で適量の
荷電粒子と準安定粒子を生成している。特に、放電可能
な部分をアノード及びカソード間で正面に位置しない様
に互い違いに配置する事により、プラズマ放電で発生し
た荷電粒子と準安定粒子を均一に拡散させる事が可能で
ある。
【0007】
【実施例】以下図面を参照して本発明の好適な実施例を
詳細に説明する。図1は本発明にかかる表示装置の第1
実施例を示す。(A)は全体構成の断面図であり、
(B)は要部の平面図である。(A)に示す様に、本表
示装置はプラズマセルを液晶セルの線順次アドレッシン
グに利用した、プラズマアドレス液晶ディスプレイであ
る。但し、本発明はこれに限られるものではなく、プラ
ズマセルを単体で用いたプラズマディスプレイにも適用
可能である事はいうまでもない。(A)に示す様に、本
表示装置は液晶セル1とプラズマセル2と両者の間に介
在する薄板ガラスからなる中間基板3とを積層したフラ
ットパネル構造を有する。液晶セル1はガラス等からな
る上側基板4を用いて構成されており、その内側主面に
は透明導電膜からなる複数本の信号電極5が列方向に沿
って互いに平行に形成されている。なお、カラー表示装
置とする場合には、上側基板4の内面側にカラーフィル
タを装着し、各信号電極5にRGBの三原色を割り当て
れば良い。上側基板4はシール材6を用いて所定の間隙
を介し中間基板3に接着されている。間隙内には液晶7
が封入充填されている。
【0008】一方プラズマセル2はガラス等からなる下
側基板8を用いて構成されている。下側基板8の内側主
面上には信号電極5と直交して行方向に延在する放電電
極9,9aが形成されている。この放電電極9,9aは
プラズマ放電を発生させる。本例では、放電電極9がア
ノードAとなり、別の放電電極9aがカソードKにな
る。放電電極9に沿ってその一部と重なる様に隔壁10
が形成されている。隔壁10の頂部は中間基板3に当接
しておりスペーサとしての役割を果たす。放電電極9,
9a及び隔壁10は例えばスクリーン印刷等により形成
できる。下側基板8はガラスフリット11を用いて中間
基板3に接合している。両者の間には気密封止された空
隙が形成される。この空隙は隔壁10によって区画され
ており個々に放電チャネル12を構成する。気密な空隙
の内部にはイオン化可能なガスが封入されている。ガス
種は例えばヘリウム、ネオン、アルゴンあるいはこれら
の混合気体から選ぶ事ができる。
【0009】本発明の特徴的事項として、少なくともカ
ソードとなる放電電極9aは周期的に配列した絶縁物1
3によって部分的に被覆されており、放電電極の有効面
積を限定化して放電電流を抑制する。この絶縁物13も
例えばスクリーン印刷等により形成できる。本例では、
隣り合う放電チャネル12を互いに分離する隔壁10が
アノードAの上に沿って形成されている。これに対し、
カソードKは隣り合う隔壁10の間に配置され、且つ周
期的に配列した絶縁物13で部分的に被覆されている。
【0010】(B)を参照して、放電電極9,9a、隔
壁10、絶縁物13の具体的なパタン例を説明する。ア
ノードAとなる放電電極9の上には隔壁10が重ねて印
刷されている。放電電極9の幅は200μmに設定さ
れ、隔壁10の幅は100μmに設定されている。互い
に隣り合う隔壁10の間隔は700μmに設定されてい
る。即ち、個々の放電チャネルは700μmのピッチで
配列している。本表示装置の垂直解像度は700μmピ
ッチである。一対の隔壁10の間にカソードKとなる放
電電極9aが配置している。この放電電極9aの幅は1
20μmに設定されている。その上に沿って絶縁物13
が周期的に配列している。この絶縁物13の幅は100
μmに設定され、隣り合う絶縁物13の間隙は200μ
mに設定されている。さらに、絶縁物13の配列周期W
は1920μmに設定されている。
【0011】本例ではカソードKに沿って絶縁物13の
被覆が設けられている。これによりカソードKの表面積
を小さくする事ができ、その結果放電電流を抑制する事
が可能になる。又、カソードKの電気抵抗は被覆のない
場合と同様にできる。従って、放電電流を抑制した分電
圧降下が低減され、プラズマ放電の均一性を保証する事
が可能となる。又、絶縁物13による被覆は行方向に沿
って周期的に配置されている。これにより、放電可能な
部分(放電要素)を離散化し、各点で確実且つ安定な放
電を可能とするものである。行方向に沿った絶縁物13
の配列周期Wは、液晶セル側の信号電極に対応して設け
られたカラーフィルタストライプのRGBトリオピッチ
Pの8/3倍となる様に設定されている。即ち、P=7
20μmの8/3倍が、W=1920μmとなる。一般
には、絶縁物13の配列周期Wは、三原色が割り当てら
れた三本一組の信号電極(RGBトリオ)の配列ピッチ
Pに対してW=(n+1/3)・P又はW=(n+2/
3)・P(但し、nは0又は正の整数)の関係に設定し
ている。これにより、長時間放電した後スパッタによる
付着でガラス基板の透過率低下が起っても、カラーフィ
ルタストライプとの間のモアレが見え難くなる。特に、
色ムラとならない様RGB三原色の混色ができるだけ良
くなる様にしている。
【0012】図2は本発明にかかる表示装置の第2実施
例を示す模式的な部分断面図である。本例も同じくプラ
ズマセル2をプラズマアドレス液晶ディスプレイに組み
込んだ構造であり、簡単の為要部となるプラズマセル2
のみを示している。基本的には図1に示した第1実施例
と同様であり、対応する部分には対応する参照番号を付
して理解を容易にしている。本実施例ではカソードK及
びアノードAとも、周期的に配列した絶縁物13によっ
て部分的に被覆されている。さらに、カソードK及びア
ノードAの上に、各々隔壁10が形成されている。従っ
て、放電チャネル12には一本のアノードAの片側と一
本のカソードKの片側が露出する事になる。
【0013】図3は、図2に示したプラズマセル2の平
面パタン形状を表わしている。図示する様に、カソード
K及びアノードAとも周期的に配列した誘電体からなる
絶縁物13によって部分的に被覆されている。さらに、
周期的な配列の空間位相がカソードKとアノードA間で
相対的にずれており、斜め放電構造となっている。
【0014】次に図4を参照して、図2及び図3に示し
た第2実施例の動作を詳細に説明する。図4の(A)が
第2実施例に対応しており、(B)は比較例を表わす。
但し、この比較例も本発明に包含されるものである。
(C)は従来例を表わしている。この従来例ではアノー
ドA及びカソードKの間で放電領域21が連続且つ一様
に生じる。本プラズマアドレス表示装置においては
(A)に模式的に示す様に、対向する放電電極(アノー
ドAとカソードK)の放電可能な部分20を限定し、そ
の部分20を対向するアノード/カソード間で互い違い
に配置する事により、斜め放電させる。これにより、放
電電極全体に渡って放電させる場合と比べ、電極一本当
たりの放電電流を減少させる事ができる。その結果、放
電によって生成されるイオンと電子及び準安定原子が減
少する。プラズマアドレス表示装置においては放電終了
後に荷電粒子及び準安定粒子が速やかに消滅する必要が
ある。しかしながら準安定粒子は20〜30μsもの長
い間存在する事があり、これは放電電極全体に渡ってプ
ラズマ放電を発生させる場合(C)に顕著である。準安
定粒子の消滅時点がプラズマアドレス表示装置の場合液
晶セルへの画像信号の書き込み動作も最終的に決定す
る。従って20μsもの長い間存在すると、例えばHD
TVの一水平期間(16.7μs)中に書き込み動作を
終了できなくなり、表示品位に支障を及ぼす。従って、
この様な場合(A)及び(B)に示す方法により、準安
定原子を減少させる事が有効である。但し、プラズマア
ドレス表示装置の動作上、荷電粒子と準安定粒子は放電
電極間で均一に分布していないと、表示ムラとなって現
われ問題となる。そこで、少量の粒子をできるだけ均一
に分布させる事を考えると、(B)の構成に比べ(A)
の様なジグザグ放電の方が好ましい。即ち、斜め放電を
行なう事により放電領域21が広くなる為有利である。
荷電粒子と準安定粒子は放電領域を中心として拡散によ
り遠方へ分散していく。以上、放電により生成する準安
定粒子の数を低減しつつ、均一に分布する事ができると
いうメリットがある。
【0015】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明によれば、少
なくともカソードは周期的に配列した絶縁物によって部
分的に被覆されており、放電電極の有効面積を限定化し
て放電電流を抑制する。放電電流を全体として下げる事
ができる為寿命を長くする事が可能になる。又、電圧降
下を小さくできる為プラズマ放電の均一性も向上する事
ができ、品質及び信頼性が改善できる。又、絶縁物の配
列周期と三原色が割り当てられた三本一組の信号電極の
配列ピッチとを互いに調整する事でモアレを防ぐ事がで
き、長期間使用しても画像を損なう事がない。従って耐
用寿命を著しく改善する事が可能となる。以上説明した
様に、本発明によれば放電電流を顕著に抑制できるの
で、消費電力が少くなる。又、電気抵抗による電圧降下
に起因する放電ムラが減少する。さらに、準安定粒子の
消滅が速くなるので、液晶セルに対する画像信号の出力
時間が短縮される。特に、斜め放電を採用する事によ
り、プラズマ放電により発生した荷電粒子と準安定粒子
が放電チャネルの広範囲に拡散できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる表示装置の第1実施例を示す全
体断面図及び要部平面図である。
【図2】本発明にかかる表示装置の第2実施例を示す要
部断面図である。
【図3】第2実施例の要部平面図である。
【図4】第2実施例の動作説明に供する模式図である。
【符号の説明】
1 液晶セル 2 プラズマセル 3 中間基板 4 上側基板 5 信号電極 7 液晶 8 下側基板 9 放電電極 9a 放電電極 10 隔壁 12 放電チャネル 13 絶縁物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1333

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 空隙を規定するスペーサを介して接合し
    た一対の基板と、少なくとも一方の基板に形成された放
    電電極と、該空隙に満たされたイオン化可能なガスとか
    らなるプラズマセルを備えた表示装置であって、 前記放電電極は互いに平行な第1電極及び第2電極の対
    毎に区分されてライン状の放電チャネルを形成し、 少なくとも前記第1電極及び第2電極の一方放電チャ
    ネルの方向に沿って周期的に配列し且つ該スペーサとは
    別の絶縁物によって部分的に被覆されており、放電電極
    の有効面積を限定化して放電電流を抑制する事を特徴と
    する表示装置。
  2. 【請求項2】前記第1電極及び第2電極の片方はカソー
    ドでありもう片方はアノードである事を特徴とする請求
    項1記載の表示装置。
  3. 【請求項3】 カソード及びアノードとも周期的に配列
    した絶縁物によって部分的に被覆され、且つ該周期的な
    配列の空間位相がカソードとアノード間で相対的にずれ
    ている事を特徴とする請求項記載の表示装置。
  4. 【請求項4】 隣り合う放電チャネルを互いに分離する
    隔壁がスペーサとしてアノードの上に沿って形成されて
    おり、カソードは隣り合う隔壁の間に配置され且つ周期
    的に配列した絶縁物で部分的に被覆されている事を特徴
    とする請求項記載の表示装置。
  5. 【請求項5】 該プラズマセルに重ねられた液晶セルを
    含んでおり、該液晶セルは放電チャネルに直交する信号
    電極及び該放電チャネルと該信号電極の間に介在する液
    晶とを有する事を特徴とする請求項1記載の表示装置。
  6. 【請求項6】 前記絶縁物の配列周期Wは、三原色が割
    り当てられた三本一組の信号電極の配列ピッチPに対し
    てW=(n+1/3)・P又はW=(n+2/3)・P
    (但し、nは0又は正の整数)の関係にある事を特徴と
    する請求項記載の表示装置。
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