JP3359135B2 - 圧電素子の分極処理方法及び装置並びに該圧電素子により構成された超音波モータ - Google Patents

圧電素子の分極処理方法及び装置並びに該圧電素子により構成された超音波モータ

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JP3359135B2 JP33705193A JP33705193A JP3359135B2 JP 3359135 B2 JP3359135 B2 JP 3359135B2 JP 33705193 A JP33705193 A JP 33705193A JP 33705193 A JP33705193 A JP 33705193A JP 3359135 B2 JP3359135 B2 JP 3359135B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は超音波モータ等に用いら
れる圧電素子の分極処理方法及び装置と該分極方法によ
り分極された圧電素子を有している超音波モータに関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に分極処理は圧電材料に一対の対向
する電極を形成し、その間に直流電圧を印加して電界を
与え、分極させ圧電材料を活性化させる操作をいい、通
常、圧電材料を加熱しながら行う。
【0003】従来、超音波モータ等に用いられる圧電素
子1は図5に示されるように、表面に分割された電極2
と、裏面にほぼ全面で、一部分割された電極3が圧電セ
ラミック4の表裏面に例えば金属ペーストの印刷焼付、
蒸着、めっきなどの各種の方法により形成されている。
【0004】表面の分割電極2の部分は隣りあって分極
の極性(+),(−)が異なるように分極処理が行なわ
れている。また、図6のように、棒状超音波モータの圧
電素子1’も同様に、表面には分割電極2、そして裏面
には全面電極3がそれぞれ形成され、表面の分割電極2
の分極の極性は(+),(−)に異なっている。
【0005】従来、これらの圧電素子の分極処理は、図
7に示すように、図5に示した圧電素子1の表面の分割
電極2のうち一方向に分極させるための分割電極2−a
とその逆方向に分極させるための分割電極2−bに各
々、コンタクトピン9−aと9−bを図7(a)及び
(b)のように別々に接触させ、裏面の全面電極3は分
極用治具板(金属)8の上に設置して電気的に導通さ
せ、高圧直流電源5の出力端子を図7の(a),(b)
のように切り換えて2回に分け別々に分極処理を行って
いた。なお、図7の矢印13および13’は表面の分割
電極2−aまたは2−bと裏面の全面電極3とで挟まれ
た領域の分極の方向を示している。
【0006】また、特開昭63−173378号公報に
は図8に示すように、分圧用の抵抗12を介し圧電素子
1の表面の分割電極2−a,2−bに正、負の電圧を同
時に印加し、分極を行う方法が開示されている。
【0007】なお、図5に示す圧電素子1は裏面の電極
3が3つに分割されているが、これは超音波モータとし
て使用する際に駆動相(2ケ所)とセンサー相に分けて
あった方が使い易いためであり、とくに分極処理とは関
係がなく、分極処理時には全面電極であっても良い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら図7に示
したでは、図7(b)に示すように初めに分極した領
域(分割電極2−aと全面電極3の間の領域)の分極1
3'がその後に分極した領域(分割電極2−bと全面電
極3との間の領域)の分極13よりかなり劣ったり、場
合によっては初めに分極した領域の極性が後に分極した
領域の極性と同一になってしまうことが度々発生してい
た。これらの原因は必ずしも明確ではないが、通常は
分極時に圧電素子を高温に保持して行っているので、一
度分極処理した圧電素子がその後も高温に保持されたた
めに熱劣化が起きる、分極時には分極された方向に膨
張するため、圧電セラミックス内部に機械的なひずみや
応力が生じて表面に電荷が発生し、すでに分極された領
域の分極を減極する作用が起きる等の理由によるものと
考えられる。また、初めに分極した領域が2回目の分極
領域と同極性になってしまうのは、圧電素子の表面の分
割電極間の絶縁が充分でないと、後で分極したときに電
圧が洩れて分割電極が全て同一電位になってしまうため
か、または図7(b)の全面電極3に電圧が印加される
ので、静電誘導により分割電極2−aには反対の電荷が
生じて減極が起こるのであろうと考えられる。
【0009】また、図8の方法では正、負の電圧を同時
に印加するため、極性の異なる分割電極間2−aと2−
bの電圧は前述の図7の例のよう2回に分けて分極する
方法に比べて2倍となり、分割電極2−aと2−bの間
でスパークが発生しやすかったり、高電圧のため電流が
流れ易く、そのため圧電セラミックスに電界がかからず
分極ができないなどの問題が度々発生していた。そして
例えば厚さ0.5mmの圧電素子の分極を効率よく短時
間で行うためには少なくとも圧電素子に500〜750
V程度以上の電圧を印加する必要があるが、図8に示す
正負同時に分極する例では分割電極間の電圧が1000
〜1500Vにもなり、従って、分割電極間のスパーク
の発生を抑え絶縁を保つためには絶縁オイル中で分極処
理を行う必要があった。
【0010】本発明の目的は前述の従来方法の問題点を
解決した分極処理方法及び装置と該分極方法により分極
された圧電素子を有している超音波モータを提供するこ
とである。
【0011】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、請求項1
に記載のように、第一の面に複数の分極実施域電極が形
成されるとともに該第一の面に対向する第二の面には全
面電極もしくは一部分割電極が形成されている圧電素子
を分極するための分極処理方法であって、一方向の極性
を与えるための第一の分極処理工程と、逆方向の極性を
与えるための第二の分極処理工程と、から成り、前記第
一及び第二の処理工程において分極を実施する領域に面
して配置された分極実施域電極と該領域に面して配置さ
れた該全面電極もしくは一部分割電極との間には所定の
極性の電位を与え、分極を実施しない領域に面して配置
された分極実施域電極と該分極非実施領域に面して配置
された全面電極もしくは一部分割電極とを同電位に保持
しつつ分極処理を行なうとともに、前記第一処理工程と
前記第二処理工程とを交互に複数回行なうことを特徴と
する圧電素子の分極処理方法にある。第の発明は、
求項2に記載のように、前記第一処理工程と前記第二
工程において、前記第一の面の前記電極と前記第二の
面の前記全面電極もしくは一部分割電極との間に電圧を
印加するための電圧源と、前記第一処理工程と前記第二
処理工程において電圧を印加する電極と短絡する電極と
を切換える電極切換機能を有するとともに各処理工程に
おける電圧印加時間すなわち分極処理時間と印加電圧の
大きさとを設定する分極処理時間及び印加電圧設定機能
を有した制御手段と、を有し、請求項1の分極処理方法
を実施する分極処理装置にある。第の発明は、請求項
3に記載のように、前記第一の面の前記電極の第一群に
正極が接続されるとともに前記電極の第二群に負極が接
続された第一の直流電圧源と、前記第二の面の前記全面
電極もしくは前記一部分割電極に接続された第二の直流
電圧源と、前記第二の直流電圧源と前記全面電極もしく
は前記一部分割電極との間に接続されて前記第二の直流
電圧源の正極及び負極のいずれかを前記全面電極もしく
は前記一部分割電極に接続させる切換手段と、を有し、
請求項1の分極処理方法を実施する分極処理装置にあ
る。第の発明は、請求項4に記載のように、前記第一
の面の前記電極の第一群に正極が接続されるとともに前
記電極の第二の群に負極が接続された直流電源と、前記
第二の面の前記全面電極もしくは前記一部分割電極に接
続されて正負交流電圧を印加する交流電源と、を有し、
請求項1の分極処理方法を実施する分極処理装置にあ
る。第の発明は、請求項5に記載のように、請求項1
の方法で分極された圧電素子を振動子に有している超音
波モータにある。本発明によれば、従来例にみられた不
良をなくし、かつ、別々に分けて行う分極処理を同期的
にくり返すことで分極の熱劣化等を防ぎ極性の異なる領
域の分極特性をほとんど同等にできる。そしてこの分極
処理方法は印加電圧を低くできるので空気中での分極も
可能としたものである。
【0012】
【実施例】
<実施例1>図1に本発明の第1実施例の分極処理方法
及び装置を示す。なお、本発明の分極処理方法及び装置
により分極されるのは図5に示した超音波モータ用圧電
素子であり、図1には図5の圧電素子1の断面の一部を
図示してある。圧電素子1を導電性を有する材料、例え
ば金属の分極用治具板8上に置き、該治具板8をホット
プレート10上に設置し、一方の極性を有する複数の分
割電極2−a,2−bに各々複数のコンタクトピン9−
aと9−bとを接触させている。そして高圧直流電源5
の出力端子に複数のコンタクトピン9−a,9−bを接
続し、さらにリレー6、リレー7を介して分極用治具板
8を該電源5に接続している。リレー6、リレー7およ
び高圧直流電源5はコントローラ11により制御され、
リレー6、リレー7は、あらかじめ設定された時間で切
り換えることができ、リレー6がONのときはリレー7
がOFF、逆にリレー6がOFFのときはリレー7がO
Nとなる。また、高圧直流電源5はあらかじめ自由に設
定した電圧が出力でき、これはリレー6、リレー7の切
り換えと同期させたり、切り換え時間に合せ変更したり
制御できる。
【0013】分極処理を行った圧電素子1の圧電セラミ
ックスの厚さは0.5mmで、表と裏の面にニッケル蒸
着により分割電極2−a及び2−bと全面電極3が厚さ
1μmで形成されている。初めに高圧直流電源5の出力
を750Vに設定し、図2のように分割電極2−aと対
向する全面電極3の間に電圧を印加し、次に分割電極2
−bと対向する全面電極3の間に同じ時間、750Vを
極性を換えて印加し、1サイクル時間tを5分間(立ち
上り時間10秒、保持時間2分20秒)とし、サイクル
数nを6回とし、全分極時間Tを30分間として分極処
理を行った。つまり、工程(1)のときはリレー6がO
N、リレー7がOFFで、分割電極2−aに印加電圧7
50Vがかかり、分割電極2−aとその対向する全面電
極3の間の領域の分極が行なわれる。
【0014】次に工程(2)のときはリレー6がOF
F、リレー7がONの状態となり、分割電極2−bと全
面電極3に印加電圧750Vがかかっている。この結
果、(2)のときは分割電極2−bと対向する全面電極
3の間に(1)とは逆の極性の電界がかかり逆極性の分
極がなされる。ここで工程(1)のとき分極を行ってい
ない分割電極2−b、工程(2)のとき分極を行ってい
ない分割電極2−aは対向する全面電極3とショート状
態であり、同電位にしておくことで、従来例の図7で説
明した従来技術の欠点であった先に分極した領域の分極
の劣化を大幅に防止できることがわかった。なお、分極
用治具板8はホットプレート10上に乗せ、圧電素子1
の温度を150℃一定として保持し、空気中で分極処理
を行った。空気中で行っても印加電圧が750V程度な
ので分割電極間や圧電素子の表面と裏面の間でも絶縁破
壊やスパークは起らず、分極処理が可能であった。
【0015】前述のように本装置では印加電圧や分極の
サイクル数、時間は自由にコントロールできるので種々
の条件で分極を行い以下のような結果が得られた。印加
電圧については分割電極間の間隔が0.5mm以上で、
分割電極間の電位差が約1kV以下であれば空気中でも
スパーク等の発生はほとんどなく分極処理が可能である
が、約1kV以上になるとスパークの発生が起り易く、
絶縁オイル中での分極が望ましい。次に分極のサイクル
数と全分極時間であるが、最低の1サイクルでの分極は
可能ではあるが、全分極時間は印加電圧を別とすれば、
圧電素子の加熱温度によって決まり、全分極時間を短か
くするために圧電素子の加熱温度を200℃近くまでに
するとさすがに熱劣化と思われる初めに行った分極の劣
化がみられた。このとき分極のサイクル数nを増やし、
1サイクル当りの分極時間tを短かくし、分極されてい
ない状態の保持時間を短縮化することで熱劣化をかなり
少なくできることがわかった。種々の検討の結果、量産
における効率を上げるためにはさらに、絶縁オイル使っ
た分極処理でのオイルの費用、分極処理後の圧電素子の
洗浄などを廃止するためにも空気中での分極が好まし
く、圧電素子の加熱温度約170〜180℃で、サイク
ル数2回以上であれば全分極時間が約10分程度でも充
分に分極が行なわれていることがわかった。加熱温度を
さらに上げて200℃以上でもサイクル数を増やせば全
分極時間の短縮化も可能であったが、ホットプレート加
熱方法やその他高分子材料を使用した治具の耐熱性の問
題が発生した。さらに高温に加熱する場合は恒温槽内に
耐熱性を考慮した材料を使った分極治具を設置し分極処
理を行った方が良さそうである。
【0016】なお、図2において印加時間の立ち上り時
間はコントローラ11により約10秒に設定した。これ
は、急激に電圧を上げるとスパークの発生が多いため、
スパークによる電極の酸化や圧電セラミックスの割れな
ど圧電素子への悪い影響を防ぐためである。ただし、あ
まり長くすると実質的な分極時間が減り分極に要する時
間も増えることになるのであまり長くはできない。ま
た、図2には図示していないが(1),(2)の切り換
え時印加電圧を徐々に下げることや印加電圧0Vの休止
時間を設けることも圧電素子の割れなどを防ぐために効
果がある。
【0017】本発明により製作した圧電素子は性能上、
図7及び図8に示した従来例と同等であり、超音波モー
タ用として使用可能であった。
【0018】<実施例2>次に別の実施例として、図3
に示すように高圧直流電源5の他にもう一台の高圧直流
電源5’を接続し、スイッチ16を切り換えることで分
極をしていない分割電極と対向する全面電極3を同電位
にして同様に一方向の極性の分極と逆方向の極性の分極
を別々に行うことができる装置を示す。
【0019】<実施例3>図4に示すように高圧直流電
源5の出力を+375V、−375Vとし、交流電源1
4を接続し、±375Vの交流電圧を印加した。圧電セ
ラミックス4には750Vが各々の同極性の分割電極に
印加され分極をしていない分割電極は対向する全面電極
3は同電位となり前実施例と同じように分極できる。
【0020】なお、本実施例では厚さ0.5mmの圧電
素子を用いたが、空気中でスパーク等の発生しない約1
kV以下で分極が可能であればとくに厚さに対して拘わ
らない。実際印加電圧1kVであれば厚さ1mmの圧電
素子でも分極は可能であった。ただし分極時間は多少長
めに加熱温度は多少高く設定する必要がある。
【0021】次に、前記の本発明方法及び装置により分
極処理された圧電素子を使用して構成される超音波リニ
アモータを有するプリンタの一例について図9乃至図1
2を参照して説明する。
【0022】図9は超音波リニアモータにより構成され
るキャリッジ4を有したプリンタの一部の概略構造を示
す斜視図である。
【0023】図9及び図10において、18はプリンタ
の構造部材21に固定されて直線的に延在するレール状
固定子、31はレール状固定子18に取付けられた支持
部材23a及び23bに両端を固定されるとともに該固
定子18に対して平行に延在するガイドバー兼移動体支
持部材、24はガイドバー兼移動体支持部材31に支持
されるとともに該部材31に案内されて該固定子18の
長手方向に沿って移動できるキャリッジ、41はキャリ
ッジ24に後述の部材16及び17を介して担持される
とともに該固定子18の一部に圧接されつつ該固定子1
8の長手方向に沿ってキャリッジ24とともに移動する
振動子、34a及び34bは該キャリッジ24に固定さ
れた軸15a及び15bに回転可能に支持されるととも
に該固定子18の側壁面を転動するローラ、である。
【0024】レール状固定子18は図に示されるよう
に、ほぼ溝形に近い横断面形状を有し、構造部材21側
に面した直立壁の先端から水平方向に張り出した天板部
と該直立壁部とは肉厚の剛性構造となっているが、該天
板部の先端から溝形空間内に垂下した鉛直なフランジ部
18Aは肉薄で弾性構造となっており、該フランジ部1
8Aには後述の振動子41の直線部分が板ばね33によ
り圧接されるようになっている。フランジ部18Aに対
向する他方の直立壁部18Bの面は前記ローラ34a及
び34bの転動面となっており、該直立壁部18Bと該
ローラとはキャリッジ24の横動きや蛇行動を防止する
ための第一の規制手段を構成している。
【0025】また、キャリッジ24の下部にはガイドバ
ー兼支持部材31に相対摺動可能に嵌合する滑り軸受2
2a及び22bが設けられており、該軸受を介してキャ
リッジ24はガイドバー兼支持部材31に支持されると
ともに該固定子18の長手方向に沿って案内されるよう
になっている。
【0026】図10に示すように、キャリッジ24の鉛
直な板面の一方から該固定子18の該フランジ18A側
へ突出された腕もしくは板状部材17の先端には図11
に示すように門形もしくはコ字形の振動子支持部材16
が固定され、該部材16の二つの腕部の先端が後述の振
動子41の直線部41Aの内側面41b(図12)スポ
ット溶接等の接合手段で固着されている。
【0027】振動子41は図12に示されるように互い
に平行な二つの直線部41A及び41Bと、該両直線部
に接続する二つの半円弧部と、から成る環状体として構
成されており、該振動子41の表面には歯形形状の多数
の突部41aが刻設され、該振動子の裏面には圧電素子
42が接着されている。
【0028】該圧電素子42に互いに位相の異なる二つ
の交流電圧を印加すると該振動子41の表面(歯形形状
の突部41aが形成されている面)には矢印fの方向に
循環移動する進行波振動が生じ、該振動子の直線部41
A及び41Bのいずれか一方に圧接させた部材に該振動
の進行方向とは逆向きの推力を与えることができる。
【0029】該振動子41の直線部41Aの表面がレー
ル状固定子18のフランジ部18Aに耐摩耗材28(図
10)を介してばね33により圧接されている。ばね3
3はその上端において支持部材17に固定され、ばね3
3の下端は振動絶縁体25及びステンレス板19を介し
て該振動子41の直線部41Aの裏面を押して該直線部
41Aの表面41aを該固定子18のフランジ部18A
に圧接させている。
【0030】振動子41の直線部41Aは該固定18の
フランジ部18Aの長手方向と平行に且つ該フランジ部
に正対するように位置決めされており、ローラ34a及
び34bと該固定子18の直立壁部18B(すなわちロ
ーラ転動面)との接触位置が振動子直線部同一レベルL
になるように設計されている。従って、振動子41の直
線部41Aと該フランジ部18Aとの接触圧が変動しな
いように該ローラによっても保持されるようになってお
り、また、キャリッジ24の横動きや蛇行動が該ローラ
と該直立壁部18Bとによって防止されている。
【0031】27はガイドバー兼支持部材31の直下位
置に配置されて該部材1と平行に延在するスリット板で
あり、スリット板27は両端をそれぞれ支持部材23a
及び23bに固定されるとともにキャリッジ24の滑り
軸受22a及び22bの軸受ブロックに貫設されている
スリット内を通って延在している。キャリッジ24には
該スリット板27を挟んで不図示のフォトインタラプタ
の発光部と受光部とが担持されており、キャリッジ24
が移動した時には該スリット板27のスリットを該フォ
トインタラプタで検出することにより該キャリッジ24
の移動量及び瞬時位置を電気的パルス信号として検出し
ている。
【0032】振動子41の表面に前記の如き振動が生じ
ると、該固定子18のフランジ部18Aにも同様の振動
が生じ、両者の間に相互作用が生ずるが、該固定子18
は固定されていて動けないので該固定子18から逆に該
振動子41に逆方向推力が働き、その結果、振動子41
は該直線部41Aに生じた振動の進行方向と同方向に移
動し、同時に該振動子41を担持しているキャリッジ2
4も同方向へ動かされる。
【0033】なお、キャリッジには公知の印字ヘッドが
固定されているが、図9には描かれていない。
【0034】次に図13及び図14を参照して本発明方
法により分極された圧電素子を有する超音波モータにつ
いて説明する。
【0035】図13において、51は該モータの端板な
いし筺体の一部を構成する基板であり、該基板51には
ボルト54により鍋型のケース52が固着され、基板5
1とケース52とによって該モータの筺体が構成されて
いる。基板51の中央には出力軸55を挿通させるため
の孔が貫設されるとともに該孔の外側には該軸55を支
持するための軸受53が取付けられている。出力軸55
は該軸受53に支持されるとともに、ケース52に固定
されたもう一つの軸受54にも回転可能に支持されてい
て基板51及びケース52のそれぞれの外側へ突出して
いる。基板51とケース52とで囲まれた空間内には振
動体すなわちステータ56と、回転体すなわちロータ5
7と、該ロータ57に接着剤65で接着されて該ロータ
と一体化されているロータホルダー兼ばね受け58と、
ロータ57をステータ56の一方の端面に圧接させるた
めの加圧ばね59、等が収容されている。60は軸受5
4に隣接して出力軸55に嵌装されたばね受けであり、
加圧ばね59は該ばね受け60とロータホルダー兼ばね
受け58との間に配置されて該ばね受け58を介してロ
ータ57をステータ56の端面に圧接している。ステー
タ56は図14(a)に示されるように環状円板形の部
材であり、ロータ57と接する端面には軸心に関して放
射方向に配置された溝66aが刻設され、該溝66a間
の歯状の突部66bの表面には耐摩耗被覆材68が接着
され、ロータ57は該耐摩耗被覆材68に圧接されてい
る。
【0036】63はステータ56の中心孔に嵌着された
締結用板部材であり、該板部材63には出力軸55の外
径より大きな軸挿通孔が中心に貫設されるとともに該軸
挿通孔の周囲には複数のビス挿通孔が貫設されており、
該軸挿通孔には出力軸55が該孔に接することなく挿通
され、該ビス挿通孔には締結用のビス66が挿通されて
該ビス66は基板51の中心部に設けられたねじ孔にね
じ込まれることによりステータ56が基板51に固定さ
れている。ステータ56の裏面(すなわちロータ57と
の接触面とは反対側の端面)には該ステータに振動を発
生させるための励振素子としての圧電素子61が接着さ
れており、圧電素子61に対する給電を行なうためのフ
レキシブルプリント基板62が圧電素子61に接着され
るとともにケース52の外部へ引き出されている。67
は該圧電素子61と基板51との間に配置された振動絶
縁体であり、この振動絶縁体67によりステータ56の
振動が基板51に伝達されないようになっている。
【0037】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明方法によ
れば、従来の方法に比べ分極処理の信頼性が上り、不良
が減るとともに、より低い印加電圧の分極処理が可能と
なった。その結果、空気中での分極が可能となり従来高
温の絶縁オイル中で行っていたため絶縁オイルの蒸気が
発生して劣悪であった作業環境が改善されたこと、絶縁
オイルの含浸した圧電素子の手間のかかる洗浄が不要に
なったこと、さらに分極処理装置が絶縁オイルとオイル
バスを使わず、ホットプレートや恒温槽ですむので装置
自体が簡易化でき安価になったこと、などのほか、当然
に絶縁オイルや洗浄用の溶剤等も不要になり、最終的に
圧電素子の分極処理にかかるコストを大幅に下げること
ができる。すなわち、本発明は超音波モータの製造コス
トに占める割合の大きい圧電素子の製造コストの低減に
大きな効果を有するものである。
【0038】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を実施するための分極処理装置の第
一実施例の概念図。
【図2】本発明方法の一例の説明図。
【図3】本発明方法を実施するための装置の第二実施例
を示す概念図。
【図4】本発明方法を実施するための装置の第三実施例
の概念図。
【図5】公知の超音波モータに使用されている圧電素子
の分極の状態を示す平面図。
【図6】公知の棒状超音波モータに使用されている圧電
素子の分極の状態を示す平面図。
【図7】従来の分極処理装置の概念図。
【図8】提案されている従来技術の分極処理装置の概念
図。
【図9】本発明方法で分極された圧電素子により構成さ
れた超音波リニアモータを有するプリンタの一部の斜視
図。
【図10】(a)は図9のA−A断面図、(b)は図9
のB−B断面図。
【図11】振動子41の取付け状態を説明するための
図。
【図12】本発明方法により分極された圧電素子42を
有する振動子41の斜視図。
【図13】本発明方法で分極された圧電素子を有する円
板型超音波モータの縦断面図。
【図14】(a)は該超音波モータのステータの平面
図、(b)は該ステータの断面図。
【符号の説明】
1…圧電素子 2−a,2−b…
分割電極 3…全面電極 4…圧電セラミッ
ク 5…高圧直流電源 6,7…リレー 8…分極用治具板 9−a,9−b…
コンタクトピン 10…ホットプレート 11…コントロー
ラ 14…交流電源 15a,15b…
軸 16,17…振動子支持部材 18…固定子 21…プリンタ構造部材 22a,22b…
軸受 24…キャリッジ 31…ガイドバー
兼移動体支持部材 34a,34b…ローラ 41…振動子 42…圧電素子 51…基板 52…ケース 55…出力軸 56…ステータ 57…ロータ 58…ロータホルダー兼ばね受け 59…加圧ばね 60…ばね受け 61…圧電素子 62…フレキシブルプリント基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 丸山 裕 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−131058(JP,A) 特開 平5−167124(JP,A) 特開 昭63−283474(JP,A) 特開 昭64−12587(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 41/22

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第一の面に複数の分極実施域電極が形成
    されるとともに該第一の面に対向する第二の面には全面
    電極もしくは一部分割電極が形成されている圧電素子を
    分極するための分極処理方法であって、 一方向の極性を与えるための第一の分極処理工程と、逆
    方向の極性を与えるための第二の分極処理工程と、から
    成り、前記第一及び第二の処理工程において分極を実施
    する領域に面して配置された分極実施域電極と該領域に
    面して配置された該全面電極もしくは一部分割電極との
    間には所定の極性の電位を与え、分極を実施しない領域
    に面して配置された分極実施域電極と該分極非実施領域
    に面して配置された全面電極もしくは一部分割電極とを
    同電位に保持しつつ分極処理を行なうとともに、前記第
    一処理工程と前記第二処理工程とを交互に複数回行なう
    ことを特徴とする圧電素子の分極処理方法。
  2. 【請求項2】 前記第一処理工程と前記第二処理工程に
    おいて、前記第一の面の前記電極と前記第二の面の前記
    全面電極もしくは一部分割電極との間に電圧を印加する
    ための電圧源と、前記第一処理工程と前記第二処理工程
    において電圧を印加する電極と短絡する電極とを切換え
    る電極切換機能を有するとともに各処理工程における電
    圧印加時間すなわち分極処理時間と印加電圧の大きさと
    を設定する分極処理時間及び印加電圧設定機能を有した
    制御手段と、を有し、請求項1の分極処理方法を実施す
    る分極処理装置。
  3. 【請求項3】 前記第一の面の前記電極の第一群に正極
    が接続されるとともに前記電極の第二群に負極が接続さ
    れた第一の直流電圧源と、前記第二の面の前記全面電極
    もしくは前記一部分割電極に接続された第二の直流電圧
    源と、前記第二の直流電圧源と前記全面電極もしくは前
    記一部分割電極との間に接続されて前記第二の直流電圧
    源の正極及び負極のいずれかを前記全面電極もしくは前
    記一部分割電極に接続させる切換手段と、を有し、請求
    項1の分極処理方法を実施する分極処理装置。
  4. 【請求項4】 前記第一の面の前記電極の第一群に正極
    が接続されるとともに前記電極の第二の群に負極が接続
    された直流電源と、前記第二の面の前記全面電極もしく
    は前記一部分割電極に接続されて正負交流電圧を印加す
    る交流電源と、を有し、請求項1の分極処理方法を実施
    する分極処理装置。
  5. 【請求項5】 請求項1の方法で分極された圧電素子を
    振動子に有している超音波モータ。
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