JP4424699B2 - インチワームの駆動方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インチワームの駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
微小に変位する素子を用いて、大きなストロークを取り出す機構としてインチワーム機構が知られている。インチワーム機構においては、クランプ動作と、伸長動作を交互に繰り返すことで、物体を移動させたり、自分自身が移動したりする。
インチワーム機構において、クランプを行うには、圧電素子の変位を用いる方法や電磁力を用いる方法等、様々な方法が考えられるが、特に、特開平5−26149号公報には、静電気力を利用してクランプを行い、インチワーム駆動を行う機構が提案されている。
【0003】
図5は、特開平5−26149号公報で提案されている物体駆動装置を説明する図である。この物体駆動装置は、第1の静電気力印加手段1011が第1の導電体1021に接続され、第1の導電体1021の表面を覆う第1の誘電体1031が物体1006の接触面に接するように構成される第1の接触部1001と、第2の静電気力印加手段1012が第2の導電体1022に接続され、第2の導電体1022の表面を覆う第2の誘電体1032が物体1006の接触面に接するよう構成される第2の接触部1002とを連結する伸縮可能材料1003とを有し、伸縮可能材料1003の伸張乃至縮小に同期して、第1の静電気力印加手段1011と第2の静電気力印加手段1012とは互いに反転動作することによって、物体1006の接触面に対し略水平方向に移動できる。
【0004】
以下においては、静電気力を利用したクランプを静電クランプと称する。
静電クランプには、つぎのようなメリットがある。
(1)コイルやセラミック等、加工や組み立てにコストがかかる部品を必要としないため、コストが安い。
(2)半導体プロセス等で作成できるため、小型化が容易である。
(3)クランプ状態を保持し続けるときにエネルギー消費がなく、また、発熱しない。
静電クランプの模式図を図4に示す。
一対のクランプ電極901と902が対抗する位置に配置されている。クランプ電極901と902の表面にはそれぞれ絶縁体膜903と904が成膜されている。絶縁体膜は両方のクランプ電極に配置される必要がなく、どちらか一方のクランプ電極のみについていてもよい。電圧印加手段905が、このクランプ電極901と902の間に電圧を印加すると、クランプ電極間に静電引力が働き、クランプ動作が行われる。また、印加電圧を0にすれば、クランプ状態は解除される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の静電クランプにおいては、クランプ電圧を印加してから十分なクランプ力を発生するまでの時間と、クランプ電圧の印加を止めてからクランプ力が解除されるまでの時間が、インチワーム機構の駆動速度を制限する一因になっていた。
その理由としては、まず、第一に、静電クランプは電気的に見るとコンデンサであるので、静電クランプの静電容量をCc、配線等の電気抵抗をRとすると、充放電の時定数はCcRとなる。
従来の静電クランプにおいては、クランプ状態と非クランプ状態の遷移に要する時間がこの時定数で制限されていたために、十分な速度が得られなかった。
また、実際には、2つのクランプ面は、反っていたり、非平行であったり、表面に凹凸があったり等の要因により、モデルに示したような理想的な平行面をとっていない。そのため、従来の一定電圧を印加する方法では、2つの面の非平行な位置関係と、物理的な面の反りを無くし、クランプ状態とするために、さらに時間が延びることがあった。
【0006】
そこで、本発明は、上記した従来のものにおける課題を解決し、クランプ状態と非クランプ状態の遷移に要する時間の短縮化を図ることができるインチワームの駆動方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を達成するため、インチワームの駆動方法を、つぎのように構成したことを特徴としている。
すなわち、本発明のインチワームの駆動方法は、支持体と、該支持体に対して相対的に移動できる移動体と、該移動体に近接する位置に存在する駆動体と、該駆動体を前記支持体に対して相対的に移動させる伸長手段と、を有し、静電クランプ方法によって前記移動体と前記駆動体とをクランプしてインチワーム駆動を行うインチワームの駆動方法において、
前記移動体に配置された第1の電極と、前記第1の電極と絶縁材料を挟んで対抗するように前記駆動体に配置された第2の電極と、を備えたる第1のクランプ電極に対し、電圧を印加することによって前記移動体と前記駆動体とをクランプさせ、
前記移動体と前記支持体とのクランプが解除されている状態で、前記伸長手段を伸長させることによって前記支持体に対して前記移動体を移動させる工程と、
前記第1の電極と、前記第1の電極と絶縁材料を挟んで対抗するように前記支持体に配置された第3の電極と、からなる第2のクランプ電極に対し、電圧を印加することによって前記移動体と前記支持体とをクランプさせ、
前記移動体と前記駆動体とのクランプが解除されている状態で、前記伸長手段を収縮させる工程と、
を有し、
前記移動体と前記駆動体とのクランプ及び前記移動体と前記支持体とのクランプの開始時は、前記第1及び第2のクランプ電極に対して所定の時間にわたって規定電圧よりも高い電圧を印加した後に規定電圧を印加し、
前記移動体と前記支持体とのクランプの解除時及び前記移動体と前記駆動体とのクランプの解除時は、前記第1及び第2のクランプ電極に対して所定の時間にわたって、クランプ時とは逆符号の電圧を印加した後に印加電圧を零ボルトとすることを特徴としている。
【0008】
また、本発明のインチワームの駆動方法は、前記規定電圧よりも高い電圧の印加は、前記前記第1及び第2のクランプ電極の電圧が前記規定電圧を超えない間のみ行われることを特徴としている。
また、本発明のインチワームの駆動方法は、前記規定電圧よりも高い電圧の印加は、前記前記第1及び第2のクランプ電極の電圧が前記規定電圧になると同時に、規定電圧での印加に変更されることを特徴としている
た、本発明のインチワームの駆動方法は、前記クランプ時とは逆符号の電圧の印加は、前記前記第1及び第2のクランプ電極の電圧が零ボルトを下回らない間のみ行われることを特徴としている。
また、本発明のインチワームの駆動方法は、前記クランプ時とは逆符号の電圧の印加は、前記前記第1及び第2のクランプ電極の電圧が零ボルトとなると同時に、零ボルトに変更されることを特徴としている
【0009】
【発明の実施の形態】
(1)本発明においては、上記したようにインチワームの駆動方法において、
前記移動体に配置された第1の電極と、前記第1の電極と絶縁材料を挟んで対抗するように前記駆動体に配置された第2の電極と、を備えた第1のクランプ電極に対し、電圧を印加することによって前記移動体と前記駆動体とをクランプさせ、
前記移動体と前記支持体とのクランプが解除されている状態で、前記伸長手段を伸長させることによって前記支持体に対して前記移動体を移動させる工程と、
前記第1の電極と、前記第1の電極と絶縁材料を挟んで対抗するように前記支持体に配置された第3の電極と、を備えた第2のクランプ電極に対し、電圧を印加することによって前記移動体と前記支持体とをクランプさせ、
前記移動体と前記駆動体とのクランプが解除されている状態で、前記伸長手段を収縮させる工程と、
を有し、
前記移動体と前記駆動体とのクランプ及び前記移動体と前記支持体とのクランプの開始時は、前記第1及び第2のクランプ電極に対して所定の時間にわたって規定電圧よりも高い電圧を印加した後に規定電圧を印加し、
前記移動体と前記支持体とのクランプの解除時及び前記移動体と前記駆動体とのクランプの解除時は、前記第1及び第2のクランプ電極に対して所定の時間にわたって、クランプ時とは逆符号の電圧を印加した後に印加電圧を零ボルトとするように構成する
これによって、非クランプ状態からクランプ状態へ移行する際に、充電時間を短縮するように印加電圧を高めるので、静電クランプの充電に必要な時間を短縮することができ、クランプ開始時に、クランプ電極間に大きな静電引力が働くため、電極間の非平行度や、電極の反りや、電極表面の凹凸に対して、より鈍感な静電クランプを提供することができる。
(2)また、本発明においては、静電クランプの電圧が規定電圧を超えない間のみ印加電圧を高め、その後は、印加電圧を規定電圧とすることにより、電極間電圧が規定電圧を超えることなく充電時間を短くすることができる。そのため、クランプ力を最大化させるために規定電圧を放電限界ぎりぎりに設定しても、クランプ電極間で放電が生じる心配はない。
(3)特に、本発明においては、電極間電圧が規定電圧になると同時に印加電圧を規定電圧とすることにより、充電時間を最も短くできるので、強いクランプ力と、速いクランプ速度を実現でき、より好ましい。
(4)また、本発明においては、クランプ状態から非クランプ状態へ移行する際に、放電を促進するように逆方向に電圧を印加することにより、静電クランプの放電に必要な時間を短縮することができる。
(5)また、本発明においては、静電クランプの電圧が零ボルトを下回らない間のみ印加電圧を負の電圧とし、その後は、印加電圧を0ボルトとすることにより、電極間電圧が負になることなく充電時間を短くすることができる。
(6)また、本発明においては、特に、電極間電圧が零ボルトになると同時に印加電圧を零ボルトになるようにすることにより、放電時間を最も短くできるので、より好ましい。
【0010】
つぎに、図6を用いて、本発明の上記(1)〜(3)で説明した形態のものにおける作用について説明する。
図6(a)は、従来の静電クランプにおける印加電圧と、静電クランプの電極間電圧を示した図である。破線は、印加電圧、実線は、電極間電圧を示している。図では、印加電圧が0からV0になってクランプが行われる様子を示している。静電クランプを静電容量Cの理想的なコンデンサであるとみなし、配線抵抗をRとすると、電極間電圧Vは、以下の数式1で表される。
Figure 0004424699
【0011】
一方、図6(b)は、本発明の静電クランプにおける印加電圧と、静電クランプの電極間電圧を示した図である。図6(a)と同様に、破線は印加電圧、実線は電極間電圧を示している。
図では、所定の時間tcの間、電圧V1を印加し、その後に電圧V0を印加する様子が示されている。ここで、上と同様に、静電クランプを静電容量Cの理想的なコンデンサであるとみなすと、V1が印加されている間の電極間電圧Vはつぎの数式2となる。
Figure 0004424699
数式1との比較から、V0<V1であれば、電圧の立ち上がりが従来の静電クランプよりも速くなることがわかる。
【0012】
また、静電クランプに印加する電圧は、高いほどクランプ力が強くなる。そのため、V0は、放電限界を超えない範囲で高くするのが望ましい。
本発明(2)によれば、静電クランプの電圧が規定電圧V0を超えない間のみ印加電圧を高め、その後は、印加電圧をV0に設定するため、電極間電圧がV0を超えることがなくなる。そのため、クランプ力を最大化させるために、V0を放電限界ぎりぎりに設定しても電極間で放電が生じる心配はない。
特に、本発明(3)に示すように、電極間電圧がV0になると同時に印加電圧をV0にするように設定すると、強いクランプ力と、速いクランプ速度を実現することができるので、より好ましい。
静電クランプが静電容量Cの理想的なコンデンサであるときは、tcをつぎの数式3を満たすように設定することで、上記の条件を満たすことが可能になる。
Figure 0004424699
【0013】
また、静電クランプを理想的なコンデンサと見なせない場合や、電圧波形が矩形波でない場合においても、オシロスコープ等で立ち上がり波形を計測して、電極間電圧がVに達する時間を計測することでtcを決定することができる。
本発明()の構成を用いると、クランプ状態から非クランプ状態へ移行する際に、放電を促進するように逆方向に電圧を印加するので、静電クランプの放電に必要な時間を短縮することができる。
さらに、本発明()によれば、静電クランプの電圧が零ボルトを下回らない間のみ印加電圧を負の電圧に設定し、その後は、印加電圧を0ボルトに設定するため、電極間電圧が負になることなく充電時間を短くすることができる。
特に、本発明()に示すように、電極間電圧が零ボルトになると同時に印加電圧を零ボルトになるように設定すると、放電時間を最も短くできるので、より好ましい。
【0014】
つぎに、図7を用いて、本発明の上記(1)、(4)、(5)で説明した形態のものにおける作用について説明する。
図7(a)は、従来の静電クランプにおける印加電圧と、静電クランプ電極間の電圧を示した図である。破線は、印加電圧、実線は、電極間電圧を示している。図では、印加電圧がVから0になってクランプが解除される様子を示している。
静電クランプを静電容量Cの理想的なコンデンサであるとみなし、配線抵抗をRとすると、クランプを解除するときの電極間電圧Vは、つぎの数式4で表される。
Figure 0004424699
【0015】
一方、図7(b)は、本発明の静電クランプにおける印加電圧と、静電クランプ電極間の電圧を示した図である。図7(a)と同様に、破線は印加電圧、実線は電極間電圧を示している。
図7(b)では、所定の時間tcの間、負の電圧V2を印加し、その後に0ボルトを印加する様子が示されている。ここで、上と同様に、静電クランプを静電容量Cの理想的なコンデンサであるとみなすと、V2が印加されている間の電極間電圧Vは、つぎの数式5となる。
Figure 0004424699
上記式よりV2<0であれば、電圧の立ち下がりが従来の静電クランプよりも速くなることがわかる。
【0016】
静電クランプに印加する電圧は、正でも負でも、静電クランプ電極間には引力が働く。そのため、電極間電圧が負になってしまうと、クランプされてしまうことになる。
本発明()によれば、静電クランプの電圧が0Vを下回らない間のみ負の電圧を印加し、その後は、印加電圧を0に設定するため、電極間電圧が負になることはない。そのため、負電圧によるクランプが生じる心配はない。
特に、本発明()に示すように、電極間電圧が0Vになると同時に印加電圧を0Vにするように設定すると、クランプ速度を最も速くできるので、より好ましい。静電クランプが静電容量Cの理想的なコンデンサであるときは、tcをつぎの数式6を満たすように設定することで、上記の条件を満たすことが可能になる。
Figure 0004424699
また、静電クランプを理想的なコンデンサと見なせない場合や、電圧波形が矩形波と見なせない場合においても、オシロスコープ等で立ち下がり波形を計測して、電極間電圧が0Vに達する時間を計測することで時間を決定することができる。
さらに、本発明においては、上記した静電クランプ機構または静電クランプ方法を用いて駆動速度の速いインチワーム機構及びインチワームの駆動方法を実現することができる。
【0017】
【実施例】
図1は、本発明における実施例の該略図である。積層圧電素子104は、一端を駆動体102に連結され、他端を支持体101に連結されている。支持体101と駆動体102の上部にはそれぞれ電極105(第3の電極)、106(第2の電極)が配置され、これらの電極は同一面上に位置するように配置されている。これらの電極の上部には移動体103が配置されている。
この移動体103の前記した電極105、106に対抗する面には、電極(第1の電極)107と絶縁膜108が成膜されている。
図では、説明をしやすくするために、絶縁膜108と電極105、106が離して描いてあるが、実際には接触するように配置されている。移動体105は、自重のみで支持体101に押し付けられていてもよいし、バネ等で押し付けられていてもよい。
電極107は電気的に接地されており、電極105、106は、それぞれ、クランプ電圧生成回路111、112から電圧を印加されている。
伸縮制御回路110は、圧電素子104の伸縮を制御しており、クランプ電圧制御回路109は、クランプ電圧生成回路111、112を制御している。
【0018】
図2は、クランプ電圧生成回路111、112が生成する電圧の時間経過を説明する図である。図では、クランプ解除状態から、まずクランプを行い、つぎにクランプ解除を行い、最後にクランプを行う様子を表している。図よりわかるように、クランプを行う際には、まず、クランプ電圧がVbに上がり、一定時間経過後にVaに落ち着く。この動作により、電極間に速やかに充電が行われる。また、クランプを解除する時には、まず、クランプ電圧がVc(Vc<0)まで下がり、一定時間後に0Vに落ち着く。この動作で、速やかに放電が行われる。
【0019】
図3は、本実施例のインチワーム機構の動作を説明する図である。まず、移動体103と駆動体102をクランプする(a)。次に、その状態で圧電素子104を伸ばすと、移動体103は、支持体101に対して移動する(b)。次に、移動体103と駆動体102のクランプを解除し、移動体103と支持体101をクランプする(c)。そして、圧電素子104を縮めると1サイクルが終了する(d)。上記動作を必要なだけ繰り返すことで、移動体103を支持体101に対して移動させることができる。
本発明によれば、クランプ状態と非クランプ状態の遷移が従来に比べて速やかに行えるため、高速に駆動できるインチワーム機構を提供することができる。
【0020】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、インチワームの駆動方法を実現することができる。
また、本発明においては、上記したようにインチワームの駆動方法において、
前記移動体に配置された第1の電極と、前記第1の電極と絶縁材料を挟んで対抗するように前記駆動体に配置された第2の電極と、を備えた第1のクランプ電極に対し、電圧を印加することによって前記移動体と前記駆動体とをクランプさせ、
前記移動体と前記支持体とのクランプが解除されている状態で、前記伸長手段を伸長させることによって前記支持体に対して前記移動体を移動させる工程と、
前記第1の電極と、前記第1の電極と絶縁材料を挟んで対抗するように前記支持体に配置された第3の電極と、を備えた第2のクランプ電極に対し、電圧を印加することによって前記移動体と前記支持体とをクランプさせ、
前記移動体と前記駆動体とのクランプが解除されている状態で、前記伸長手段を収縮させる工程と、
を有し、
前記移動体と前記駆動体とのクランプ及び前記移動体と前記支持体とのクランプの開始時は、前記第1及び第2のクランプ電極に対して所定の時間にわたって規定電圧よりも高い電圧を印加した後に規定電圧を印加し、
前記移動体と前記支持体とのクランプの解除時及び前記移動体と前記駆動体とのクランプの解除時は、前記第1及び第2のクランプ電極に対して所定の時間にわたって、クランプ時とは逆符号の電圧を印加した後に印加電圧を零ボルトとするように構成する
これによって、非クランプ状態からクランプ状態へ移行する際に、充電時間を短縮するように印加電圧を高めるので、静電クランプの充電に必要な時間を短縮することができ、クランプ開始時に、クランプ電極間に大きな静電引力が働くため、電極間の非平行度や、電極の反りや、電極表面の凹凸に対して、より鈍感な静電クランプを提供することができる。
また、本発明においては、静電クランプの電圧が規定電圧を超えない間のみ印加電圧を高め、その後は、印加電圧を規定電圧とすることにより、電極間電圧が規定電圧を超えることなく充電時間を短くすることができる。そのため、クランプ力を最大化させるために規定電圧を放電限界ぎりぎりに設定しても、クランプ電極間で放電が生じる心配はない。
特に、本発明においては、電極間電圧が規定電圧になると同時に印加電圧を規定電圧とすることにより、充電時間を最も短くできるので、強いクランプ力と、速いクランプ速度を実現できる。
また、本発明においては、クランプ状態から非クランプ状態へ移行する際に、放電を促進するように逆方向に電圧を印加することにより、静電クランプの放電に必要な時間を短縮することができる
また、本発明においては、静電クランプの電圧が零ボルトを下回らない間のみ印加電圧を負の電圧とし、その後は、印加電圧を0ボルトとすることにより、電極間電圧が負になることなく充電時間を短くすることができる。また、本発明においては、特に、電極間電圧が零ボルトになると同時に印加電圧を零ボルトになるようにすることにより、放電時間を最も短くすることができる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を説明する図である。
【図2】本発明の実施例における、クランプ電圧生成回路の動作を説明する図である。
【図3】本発明の実施例の駆動の方法を説明する図である。
【図4】静電クランプの原理を説明する図である。
【図5】従来例を説明する図である。
【図6】従来例と本発明のクランプ開始時の動作を説明する図である。
【図7】従来例と本発明のクランプ解除時の動作を説明する図である。
【記号の説明】
101:支持体
102:駆動体
103:移動体
104:積層圧電素子
105〜107:電極
108:絶縁体膜
109:クランプ制御回路
110:伸縮制御回路
111〜112:クランプ電圧生成回路
901〜902:クランプ電極
903〜904:絶縁体膜
905:電圧印加手段
1001:第1の接触部
1002:第2の接触部
1003:伸縮可能材料
1011:第1の静電気力印加手段
1012:第2の静電気力印加手段
1021:第1の導電体
1022:第2の導電体
1031:第1の誘電体
1032:第2の誘電体

Claims (5)

  1. 支持体と、該支持体に対して相対的に移動できる移動体と、該移動体に近接する位置に存在する駆動体と、該駆動体を前記支持体に対して相対的に移動させる伸長手段と、を有し、静電クランプ方法によって前記移動体と前記駆動体とをクランプしてインチワーム駆動を行うインチワームの駆動方法において、
    前記移動体に配置された第1の電極と、前記第1の電極と絶縁材料を挟んで対抗するように前記駆動体に配置された第2の電極と、を備えた第1のクランプ電極に対し、電圧を印加することによって前記移動体と前記駆動体とをクランプさせ、
    前記移動体と前記支持体とのクランプが解除されている状態で、前記伸長手段を伸長させることによって前記支持体に対して前記移動体を移動させる工程と、
    前記第1の電極と、前記第1の電極と絶縁材料を挟んで対抗するように前記支持体に配置された第3の電極と、を備えた第2のクランプ電極に対し、電圧を印加することによって前記移動体と前記支持体とをクランプさせ、
    前記移動体と前記駆動体とのクランプが解除されている状態で、前記伸長手段を収縮させる工程と、
    を有し、
    前記移動体と前記駆動体とのクランプ及び前記移動体と前記支持体とのクランプの開始時は、前記第1及び第2のクランプ電極に対して所定の時間にわたって規定電圧よりも高い電圧を印加した後に規定電圧を印加し、
    前記移動体と前記支持体とのクランプの解除時及び前記移動体と前記駆動体とのクランプの解除時は、前記第1及び第2のクランプ電極に対して所定の時間にわたって、クランプ時とは逆符号の電圧を印加した後に印加電圧を零ボルトとすることを特徴とするインチワームの駆動方法。
  2. 記規定電圧よりも高い電圧の印加は、前記第1及び第2のクランプ電極の電圧が前記規定電圧を超えない間のみ行われることを特徴とする請求項に記載のインチワームの駆動方法。
  3. 記規定電圧よりも高い電圧の印加は、前記第1及び第2のクランプ電極の電圧が前記規定電圧になると同時に、前記規定電圧での印加に変更されることを特徴とする請求項に記載のインチワームの駆動方法。
  4. 記クランプ時とは逆符号の電圧の印加は、前記第1及び第2のクランプ電極の電圧が零ボルトを下回らない間のみ行われることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインチワームの駆動方法。
  5. 記クランプ時とは逆符号の電圧の印加は、前記第1及び第2のクランプ電極の電圧が零ボルトになると同時に、前記零ボルトに変更させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインチワームの駆動方法。
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