JP3358472B2 - 窒化珪素質セラミックス基複合材料の製造方法 - Google Patents
窒化珪素質セラミックス基複合材料の製造方法Info
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Description
ックス基複合材料の製造方法に関し、より詳細には、高
強度と高靱性を両立させた窒化珪素質セラミックス基複
合材料の製造方法に関する。
性に優れ、化学的に安定であり耐食性に優れ、硬度が高
く耐磨耗性に優れ、密度が小さく軽量である等の優れた
特徴を有しており、構造用セラミックスとして実用化さ
れている。
性である。そのため、窒化珪素の焼結においては、粒界
での拡散を促進し、また界面エネルギーを下げることを
目的として、適当な酸化物を焼結助剤として加える。焼
結助剤は窒化珪素およびその表面の酸化層(SiO2 )
と反応して焼結温度では液相を生成する。一般に構造用
セラミックスとして実用化されている窒化珪素セラミッ
クスは窒化珪素粒子とこの液相が固化した粒界相からな
る緻密で高強度な焼結体である。
の結合状態が共有結合とイオン結合の混ざり合った状態
であるため、高強度・高硬度等の優れた特性を示す反
面、転位による原子の移動が困難で、金属のように塑性
変形による応力集中の緩和が生じないために、破壊靱性
が金属に比較して1桁以上小さい。そのため機械加工傷
などの外的欠陥によって、強度低下を起こし易いという
欠点を有していた。このような欠点を解消するため、窒
化珪素焼結体中の粒子を柱状晶にすることにより靱性を
高めることが試みられた。窒化珪素セラミックスの破壊
においてはクラックは主に粒界を進行する。このため窒
化珪素セラミックスの破壊靱性は粒子形状に影響され、
柱状晶に粒子を成長させることにより靱性は向上した。
しかし、成長した粒子の周囲の粒界相が破壊の起点とな
り強度が低下する問題が生じた。
め、多孔質セラミックスにアルミニウムを含浸させるこ
とが提案されている(例えば、特開昭63−40711 号公報
を参照されたい)。
うな従来の技術では、十分な靱性の向上を得るためには
セラミックスへの金属の含浸性を高める必要がある。金
属の含浸量を多くしようとすると、反対にセラミックス
は気孔が多くなり、この場合、セラミックス側の強度が
著しく低下し、金属を含浸させても、強度と靱性とを両
立させることは難しくなってしまう。以上のように、従
来はセラミックスにおいて高いレベルの強度と靱性を両
立させることが困難であった。本発明は、セラミックス
の有する高い強度を保ちつつ靱性を向上させた窒化珪素
質セラミックス基複合材料の製造方法を提供することを
目的とする。
窒化珪素の混合物を出発材料とし、この出発材料100重
量部中の非晶質窒化珪素の混合割合が10〜40重量部であ
り、この出発材料95〜85重量%に対して希土類金属の酸
化物からなる焼結助剤を5〜15重量%添加し、この混合
粉末を所定形状に成形すること、 (2)得られた成形体を不活性雰囲気中で1550〜1650℃の
温度において加熱し、開気孔率35〜65体積%、β型窒化
珪素柱状晶の短径が1μm以下かつアスペクト比が13以
上である多孔質焼結体を形成すること、 (3)この多孔質焼結体を予熱し、溶融金属を含浸するこ
とからなる、窒化珪素質セラミックス基複合材料の製造
方法を提供する。
ミックス基複合材料は、焼結助剤を用いて常法により得
られる窒化珪素焼結体の粒界相が金属に置換した組織を
有している。さらに、本発明の方法では、出発材料とし
てα型窒化珪素に非晶質の窒化珪素を所定量混合するこ
とにより、得られる窒化珪素の柱状晶は従来の方法によ
り製造される窒化珪素焼結体中のβ型窒化珪素よりアス
ペクト比が大きくなる、すなわち同じ径であってもより
長い柱状晶が得られる。
る窒化珪素焼結体の粒界相よりも靱性が高いため、本発
明の方法により得られる窒化珪素セラミックス基複合材
料においては、このような金属が窒化珪素の柱状晶の周
囲に連続的に存在することにより靱性が向上する。ま
た、窒化珪素の結晶がアスペクト比が大きな特定の形状
の柱状晶であり、β型窒化珪素粒子を強度が低下するほ
ど成長させる必要がないため、強度が大幅に向上する。
て、α型窒化珪素と非晶質の窒化珪素の混合物を使用す
ることを特徴とする。窒化珪素は一般に、低温型のα型
と高温型のβ型の結晶構造が知られている。非晶質の窒
化珪素とは、このような結晶構造をとらず、原子配列が
不規則なものをいう。このような非晶質の窒化珪素を所
定割合、すなわち出発材料(α型窒化珪素+非晶質窒化
珪素)100 重量部あたり、非晶質窒化珪素を10〜40重量
部とすることにより、得られる窒化珪素質セラミックス
基複合材料の強度を向上させることができ、非晶質窒化
珪素の混合割合がこの範囲外では強度向上効果が乏し
い。
m以下であることが必要である。この粉末の平均粒径が
1μmを越えたものであると、焼結によって得られる窒
化珪素柱状晶の短径を1μm以下にすることができな
い。
る。この焼結助剤としては希土類金属の酸化物、例えば
イットリア(Y2O3)、スカンジア(Sc2O3)等を使用する
ことができる。この焼結助剤の使用量は、出発材料95〜
85重量%に対して5〜15重量%である。五重量%未満で
は窒化珪素の柱状晶の成長が十分ではなく、15重量%を
超えると焼結中に焼結助剤によって生ずる液相の固化物
が多くなって、その結果特性が低下してしまう。
形状に成形した後、不活性雰囲気中で焼結を行う。この
焼結時における加熱温度は1550〜1650℃である。1550℃
未満では窒化珪素の柱状晶の成長が不十分であり、1650
℃を越えると窒化珪素の柱状晶が粗大化して1μmより
も太くなり、得られる複合材料の強度が低下してしま
う。
%、β型窒化珪素柱状晶の短径が1μm以下、かつアス
ペクト比が13以上である多孔質焼結体が得られる。この
平均短径が1μmを超えると得られる複合材料の強度が
低下してしまう。また、アスペクト比(長径/短径の
比)が13未満でも得られる複合材料の強度が低下してし
まう。開気孔率は10〜65体積%にすることにより、強度
と靭性において満足な複合材料が得られる。特にこの開
気孔率を50体積%異常とすることが好ましい。それは、
ワイブル係数の大きな、すなわち強度のばらつきの小さ
な、信頼性の高い複合材料が得られるためである。
窒化珪素焼結体の35〜65体積%を占めることが好まし
い。通常の成形圧力範囲(50〜3000kgf /cm2)では、35
体積%未満の柱状晶は困難であり、一方、本発明の高強
度を発現する温度範囲では65体積%を超える焼結体の作
製は困難である。
常法により金属を含浸させ、開気孔中に金属を占有させ
る。この金属は、多孔質窒化珪素焼結体の空隙を占有
し、複合材料に靱性を与える。従って、この金属は特に
限定されないが、窒化珪素と反応してその界面に靱性の
低い化合物、例えば珪化物を形成しないものが好まし
く、その例としては純アルミニウム、アルミニウム合
金、又は銅合金が例示される。金属を含浸する方法とし
ては、高圧鋳造(スクイズキャスティング)法により1
トン程度の圧力において行うことが好ましい。また、カ
プセルHIP法を使用することも可能である。この場
合、カプセルは含浸する金属よりも高い融点を有する金
属箔を使用する。
空隙の98%以上を占有することが好ましい。金属の占有
する割合が低いと、複合材内に空孔欠陥が生じ、強度が
低下することがあるからである。
クスの複合材としては、従来金属基複合材(MMC)が
知られていた。この従来の複合材料はセラミックスのウ
ィスカーを強化材として使用しているが、セラミックス
ファイバーのプリフォームの製造上、ウィスカー含有率
は30%が限界であった。本発明の複合材は、このウィス
カーに相当するものとして窒化珪素の柱状晶を用いるも
のであり、この柱状晶の含有率は35〜65%ほどに高める
ことができ、従って従来のMMCよりも強度の高い複合
材を提供することができる。
に非晶質窒化珪素粉末を以下の表1に示す割合で混合し
て出発材料を製造した。この出発材料に柱状晶成長助剤
としてイットリア(Y2O3)粉末(平均粒径 0.3μm 、純度
99.9%)を、以下の表1に示す添加量でエタノール中に
おいて混合した。この混合は、本実施例において用いる
窒化珪素粉末と焼結助剤として極少量のY2O3及びAl2O3
を用いて焼結することにより製造した窒化珪素ボールミ
ルとボールを用いて行った。この混合物を乾燥後、200k
gf/cm2の圧力で加圧成形し、得られた成形体を薄ゴム袋
に詰め、真空封入後、CIPにて3000kgf/cm2 の圧力で
成形し、50×50×10mmの成形体を得た。
表1に示す条件で加熱した。昇温速度は5℃/min であ
り、最高温度での保持時間は4時間とした。こうして得
られた多孔質窒化珪素質焼結体の気孔率とβ窒化珪素柱
状晶の平均短径及びアスペクト比を求めた。気孔率はn
−ブチルアルコールを使用したアルキメデス法により求
めた多孔質窒化珪素質焼結体の嵩密度を理論密度で除し
た相対密度を、100 %から減じて求めた。平均短径及び
アスペクト比は、多孔質窒化珪素質焼結体中の柱状晶
を、加熱したフッ化水素中で1本づつに分離させ、これ
を顕微鏡で観察することにより求めた。これらの結果を
表1に示す。
れ、800 ℃で溶融させたアルミニウム合金(JIS-AC1A)を
1000kgf/cm2 に加圧して上記多孔質窒化珪素質焼結体に
含浸した。こうして得た複合材料から試験片を切り出
し、JIS R-1601に準じて加工後、室温4点曲げ強度を、
そしてJIS R-1607に準じて加工後、破壊靱性値を測定し
た。この結果を表1に示す。
形、焼成、及び金属含浸を行い、各評価結果を表1に示
す。
質窒化珪素の混合物、及びα型窒化珪素のみを用いて製
造した複合材料の強度の結果を図1に示す。上記表1及
び図1より明らかなように、α型窒化珪素に所定量の非
晶質窒化珪素を混合した材料を用いることにより、α型
窒化珪素のみを用いた場合と比較して、得られた複合材
料の強度が大幅に向上した。本発明の方法により得られ
る窒化珪素焼結体は細長い窒化珪素の柱状晶からなる多
結晶体であり、この結晶の間に開放空隙が存在してい
る。この窒化珪素柱状晶は、平均短径が1μm以下であ
り、そのアスペクト比が5以上である。さらに、本発明
の方法により得られる複合材料は、この結晶の連続する
粒界をアルミニウム合金が占有する組織を有している。
そしてこの本発明の方法により得られる複合材料は高い
強度と高い靱性を共に備えている。
合のアルミニウム合金は濡れにくく、従ってこのアルミ
ニウム合金が窒化珪素の多孔質体のような微細な気孔内
に完全に含浸するとは考えられていなかった。しかしな
がら、本発明の方法により得られる複合材料において
は、アルミニウム合金が窒化珪素結晶の周囲の気孔によ
く含浸していた。またアルキメデス法により測定した相
対密度も99.8%であり、アルミニウム合金が緻密に含浸
されている。さらに、本発明の方法により得られる複合
材料においては、窒化珪素とアルミニウム合金はよく濡
れており、接着していた。
れる窒化珪素焼結体の粒界相(通常は焼結助剤とシリカ
のガラス質である)が金属で置換された組織を有する複
合材料が得られる。この複合材料中の窒化珪素焼結体
は、出発材料としてα型窒化珪素と非晶質窒化珪素の混
合物を用いることによりアスペクト比の大きなβ型窒化
珪素柱状晶より形成され、強度が向上される。そしてこ
の窒化珪素焼結体に金属を含浸させた複合材料は、靱性
の高い金属が窒化珪素の柱状晶の周囲に連続して存在し
ているため靱性が向上する。また、靱性を高めるため窒
化珪素粒子を必要以上に成長させる必要がなく、強度の
低下を防ぐことができる。
料は連続した金属の相を含むため、窒化珪素セラミック
スよりも高い熱膨張係数を示す。従って、金属材料と組
み合わせて使用した場合において、窒化珪素セラミック
スを用いた場合のような組み付け温度と使用温度の差に
よる嵌め合いのがたつきの発生を防ぐことができる。
材料は連続した金属の相を含むため、窒化珪素セラミッ
クスよりも高い熱伝導率を示す。従って、例えばレシプ
ロエンジンに使用した場合において、窒化珪素セラミッ
クスを用いた場合のような冷却効果の低下を防止するこ
とができる。
の混合物と、α型窒化珪素のみを用いて製造した複合材
料の強度を示すグラフである。
Claims (1)
- 【請求項1】 以下の工程 (1)平均粒径が1μm以下であるα型窒化珪素と非晶質
窒化珪素の混合物を出発材料とし、この出発材料100重
量部中の非晶質窒化珪素の混合割合が10〜40重量部であ
り、この出発材料95〜85重量%に対して希土類金属の酸
化物からなる焼結助剤を5〜15重量%添加し、この混合
粉末を所定形状に成形すること、 (2)得られた成形体を不活性雰囲気中で1550〜1650℃の
温度において加熱し、開気孔率35〜65体積%、β型窒化
珪素柱状晶の短径が1μm以下かつアスペクト比が13以
上である多孔質焼結体を形成すること、 (3)この多孔質焼結体を予熱し、溶融金属を含浸するこ
とからなる、窒化珪素質セラミックス基複合材料の製造
方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP31496196A JP3358472B2 (ja) | 1996-11-26 | 1996-11-26 | 窒化珪素質セラミックス基複合材料の製造方法 |
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JP31496196A JP3358472B2 (ja) | 1996-11-26 | 1996-11-26 | 窒化珪素質セラミックス基複合材料の製造方法 |
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JPH10158069A JPH10158069A (ja) | 1998-06-16 |
JP3358472B2 true JP3358472B2 (ja) | 2002-12-16 |
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JP31496196A Expired - Fee Related JP3358472B2 (ja) | 1996-11-26 | 1996-11-26 | 窒化珪素質セラミックス基複合材料の製造方法 |
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---|---|---|---|---|
JP4693399B2 (ja) * | 2004-12-01 | 2011-06-01 | 京セラ株式会社 | セラミックス−金属複合体の製造方法 |
-
1996
- 1996-11-26 JP JP31496196A patent/JP3358472B2/ja not_active Expired - Fee Related
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