JP3356623B2 - 被覆アーク溶接棒用心線 - Google Patents

被覆アーク溶接棒用心線

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JP3356623B2 JP14651896A JP14651896A JP3356623B2 JP 3356623 B2 JP3356623 B2 JP 3356623B2 JP 14651896 A JP14651896 A JP 14651896A JP 14651896 A JP14651896 A JP 14651896A JP 3356623 B2 JP3356623 B2 JP 3356623B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被覆アーク溶接棒
用心線、特に良好な溶接作業性を有する連続鋳造材を素
材とする被覆アーク溶接棒用心線に関するものである。
【0002】
【従来の技術】被覆アーク溶接棒は、一般にJIS Z
3523に規定された成分を基本とする溶接棒心線を用
い、イルミナイト系、ライムチタニア系、低水素系等の
各種被覆が施されて溶接棒として実用に供されている。
これら被覆アーク溶接棒用心線は、品質の安定化や省エ
ネルギー問題に対応するため、素材の製造は従来の造塊
法に代わり連続鋳造法が主流になっている。
【0003】しかしながら、連続鋳造法により鋳造され
たリムド鋼の鋳片には、多くの気泡が生じるため表面き
ずが発生する問題がある。溶接棒用心線を連続鋳造法で
製造する場合、鋳片の気泡を防止する方法として、例え
ば特開昭58−209498号公報には酸素の上限を
0.01%(重量%、以下同じ)に限定した対策をとっ
ている。またAl、Si等の脱酸元素が添加されてその
鋳片はキルド鋼化されている。
【0004】しかしながら、キルド鋼化された連鋳鋳片
から製造された線材を用いて被覆アーク溶接棒に加工し
たものは、溶接作業において従来の造塊法によるリムド
鋼から製造した溶接棒では生じなかったアークの不安定
性が生じる問題があった。この解決策として、例えば特
開平1−210194号公報ではSiとAlを特定量含
有させることによって表面きずのない線材を製造すると
ともに、溶接作業性を向上させているが、十分に満足で
きるまでには達していない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
に鑑み、連続鋳造片を素材とする線材を用いて製造した
被覆アーク溶接棒であって、溶接時にアークの不安定性
などが生じることがない被覆アーク溶接棒用の心線を提
供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を解決
するものであって、C:0.01〜0.10%、Si:
0.1%以下、Mn:0.1〜0.8%、P:0.04
%以下、S:0.03%以下、Al:0.01%以下、
N:0.015%以下、O:0.001〜0.015%
の成分の被覆アーク溶接棒用心線において、0.000
1〜0.01%のCaを含有し、残部はFeおよび不可
避的不純物よりなることを特徴とする被覆アーク溶接棒
用心線である。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明者は上記の問題点を解決す
べく鋭意研究を重ねた結果、脱酸元素として用いている
Alが被覆アーク溶接棒用の心線中に歩留まり、アーク
の安定性を阻害する原因であるとの知見を得た。すなわ
ち被覆アーク溶接棒を用いる溶接に際しては、心線およ
び被覆剤はアーク熱により溶け溶滴となって被溶接材に
移行するが、このとき溶接棒心線先端部に懸垂する溶融
金属の大きさは、Al量に比例して大きくなる傾向を示
している。この懸垂する溶融金属の蓄積、離脱がアーク
長やアークの集中性と直接的に関係して、溶接作業性の
うち、アークの安定性を左右すること、そしてこの懸垂
量の多いほど悪影響を及ぼすことを確認した。この現象
は、酸素によっても同様の傾向を示すが、これは被覆剤
調整により対策を施すことが可能であるが、Alの影響
は被覆剤調整による対策が不可能であった。
【0008】そこで、本発明者は溶接作業性を阻害しな
いAlに代わる脱酸元素について鋭意検討を重ねた結
果、Caを使用することで溶滴の移行性を改善する効果
のあることを見いだし、ここに本発明を完成したもので
ある。以下に本発明における心線の成分の限定理由につ
いて述べる。
【0009】C:0.01〜0.10% Cは、後述するMnと同様に溶接金属の強度を支配する
元素であるとともに酸素と反応してアーク力を保つため
に必要である。Cが0.01%未満ではその効果がな
く、アークの吹付けが弱くなる。一方、0.10%を超
えるとアークの吹付けが強くなりすぎ、スパッタが多く
発生したりビード形状が不揃いになる。
【0010】Si:0.1%以下 Siは溶接金属中に残留して靱性を低下させるので、
0.1%以下にする必要がある。
【0011】Mn:0.1〜0.8% Mnは、前述したように溶接金属の強度を支配する元素
である。0.1%未満では、溶接金属の脱酸が不足する
とともに強度不足になり、一方、0.8%を超えると溶
接金属は硬化し衝撃靱性と耐割れ性が低下する。
【0012】P:0.04%以下 溶接金属の靱性を著しく低下させ、また高温割れなどの
欠陥を誘発する元素であるため、0.04%以下にする
必要がある。
【0013】S:0.03%以下 Sは、Pと同様に溶接金属の靱性を著しく低下させ、ま
た高温割れなどの欠陥を誘発する元素であるため、0.
03%以下にする必要がある。
【0014】Al:0.01%以下 Alは、連続鋳造法によって鋳造するときの脱酸元素と
して使用するが、溶接時のアークの安定性に大きく影響
するため極力低減する必要があるので、0.01%以下
とした。
【0015】N:0.015%以下 Nは、溶接金属の靱性を著しく低下するため0.015
%以下にする必要がある。
【0016】O:0.001〜0.015% Oは、溶接時にアークを安定にする作用や溶融速度を速
くさせる作用がある。しかし、本発明では上述したとお
りCaの添加を行うので、Oを特に積極的に含有させる
必要はなく、むしろ多量に含有されると連続鋳造片に気
泡が多発する。0.001%未満では溶接作業性に効果
がなく、一方0.015%を超えると連続鋳造片に気泡
が発生してブルーム、ビレット、線材の表面欠陥を多発
させるばかりでなく、溶接中にスパッタが多く発生す
る。
【0017】Ca:0.0001〜0.01% Caは、本発明において特に重要な元素であって、溶滴
の表面張力を低下させ、溶接棒心線先端に懸垂する溶鋼
を小さくさせる作用がある。0.0001%未満ではこ
の作用が十分ではなく、一方0.01%を超えると細か
いスパッタが多く発生する。
【0018】
【実施例】表1に実験に用いた被覆アーク溶接棒用心線
の成分を示す。これら心線の素材は、いずれも連続鋳造
法で製造したものである。表2には、全姿勢用、すみ肉
用および低水素系溶接棒の被覆剤組成を示す。なお、試
作した溶接棒のうち全姿勢溶接棒用および低水素系溶接
棒用は心線径4mm、長さ400mm、被覆率28%
で、また、すみ肉溶接棒用については心線径6mm、長
さ700mm、被覆率40%で通常の製造条件で心線に
被覆剤を塗布し乾燥を行って供試溶接棒とした。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】溶接作業性については、特にアークの安定
性について重点的に評価したほか、JIS Z3002
「軟鋼用被覆アーク溶接棒の作業性」に準拠して実験を
行った。表3に試作した各種溶接棒の作業性についての
結果を示す。本発明の心線を用いて各種被覆剤と組合わ
せた溶接棒E11〜E14、E21〜E24、E31〜
E34およびE41〜E44はいずれもアークの安定性
が良く、また溶接スパッタの発生量も少なく、かつ小粒
であり総合評価も良好であった。
【0022】
【表3】
【0023】これに対し心線にCaを含有しないW5お
よびW7を用いたE51〜E54およびE71〜E74
は、溶接棒先端の溶滴が本発明の線材を用いた場合と比
較して大きく、離脱が遅いためアークが不安定となり、
スパッタも大粒で発生量も多く溶接作業性が良くなかっ
た。また、E61〜E64は、心線Caが0.0168
%添加されているためアークは安定して良好であった
が、分量が多過ぎるため小粒であるがスパッタが多く発
生した。
【0024】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば連
続鋳造材を素材としても良好な溶接作業性を具備した被
覆アーク溶接棒用心線を提供できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 35/30 B23K 35/40

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C :0.01〜0.10%、 Si:0.1%以下、 Mn:0.1〜0.8%、 P :0.04%以下、 S :0.03%以下、 Al:0.01%以下、 N :0.015%以下、 O :0.001〜0.015% の成分の被覆アーク溶接棒用心線において、0.000
    1〜0.01重量%のCaを含有し、残部はFeおよび
    不可避的不純物よりなることを特徴とする被覆アーク溶
    接棒用心線。
JP14651896A 1996-05-17 1996-05-17 被覆アーク溶接棒用心線 Expired - Lifetime JP3356623B2 (ja)

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JPS62166092A (ja) * 1986-01-16 1987-07-22 Kawasaki Steel Corp CO↓2またはAr−CO↓2溶接用ソリツドワイヤ
JPH01210194A (ja) * 1988-02-19 1989-08-23 Nippon Steel Corp 被覆アーク溶接棒用心線
JP2783841B2 (ja) * 1989-04-17 1998-08-06 新日本製鐵株式会社 被覆アーク溶接棒
JPH02280994A (ja) * 1989-04-21 1990-11-16 Nippon Steel Corp 被覆アーク溶接棒

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