JP3356596B2 - 加熱炉の燃焼制御方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明方法は、加熱炉の燃焼
制御方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】鋳造後のスラブ（鋼片）、ビレット（条
鋼）、ブルーム等を加熱炉へ装入し、熱間圧延に好適な
温度に加熱するものであるが、このような加熱炉におい
ては、一般に予熱帯、加熱帯及び均熱帯から構成され、
スラブ等の被加熱材は、順次予熱帯、加熱帯及び均熱帯
を連続的に移動させて加熱するものであり、また加熱効
率を向上させるため、蓄熱式バーナーを加熱炉の被加熱
材進行方向両側に対向してバーナー群を配設し、一側の
バーナー群は蓄熱体を通して燃焼用空気を昇熱してバー
ナーへ供給して燃料を燃焼し、他側のバーナー群は燃焼
を停止して、蓄熱体を通して炉内の燃焼排ガスを排気し
排ガス中の熱エネルギーを蓄熱する。このように燃焼と
蓄熱を交互に行う、いわゆる蓄熱型交番燃焼によって連
続的に加熱することが特開平５−１１８７６４号公報、
特開平６−１９４０５４号公報に開示されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記のごとき蓄熱型交
番燃焼においては、被加熱材を均一加熱する、つまり炉
内の温度分布を均一にして、しかも燃焼効率も高く優れ
た燃焼加熱ができるものである。このように被加熱材を
均一加熱すると、長尺スラブ等においては熱間圧延時に
スラブ先端部と後端部とでは、大きな時間差が生じ、従
って熱間圧延時にスラブ先端部は高温、後端部は低温と
なり圧延材の仕上がり温度が不均一になることから均一
な材質が得られず、また形状も悪化させることになり品
質を劣化させるとともに、歩留りも低下させることにな
る。そこで加熱炉における被加熱材の先端部温度より、
後端部温度を高温に加熱する傾斜加熱を施し、圧延時の
時間差による圧延材後端部の温度低下を防止することが
必要になる。

【０００４】しかして上記のごとき、蓄熱型交番燃焼に
おいては、均一加熱が前提となっており構造上バーナー
は、燃焼量、燃焼時間ともに同一になるるように構成さ
れており、加熱炉内の温度分布を変化させ被加熱材を傾
斜加熱することはできない等の課題がある。本発明方法
は、このような課題を有利に解決するためなされたもの
であり、蓄熱型交番燃焼加熱において、一方側蓄熱式バ
ーナー群の燃焼時間を長時間、他側蓄熱式バーナー群の
燃焼時間を短時間燃焼後、燃焼停止する交番燃焼加熱を
施すことにより被加熱材を加熱する加熱炉の燃焼制御方
法を提供することを目的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明方法の特徴とする
ところは、加熱炉の被加熱材進行方向両側に蓄熱式バー
ナー群を対向配設し、一側蓄熱式バーナー群及び他側蓄
熱式バーナー群を間欠的に燃焼加熱と蓄熱を交互に施す
蓄熱型交番燃焼加熱に際し、一方側蓄熱式バーナー群は
長時間燃焼加熱と長時間蓄熱を交互に行い、その間、他
方側蓄熱式バーナー群は短時間燃焼加熱とその後の燃焼
加熱停止および短時間蓄熱とその後の蓄熱停止を交互に
行う交番燃焼加熱を施すことを特徴とする加熱炉の燃焼
制御方法である。

【０００６】

【発明の実施の形態】上記のごとき本発明方法を図面に
より説明する。図１において、加熱炉１に被加熱材２進
行方向両側に一側Ａに蓄熱体３を付設した蓄熱式バーナ
ー群Ａ１、Ａ２、Ａ３、Ａ４・・・と、他側Ｂに蓄熱式
バーナーＢ１、Ｂ２、Ｂ３、Ｂ４・・・をそれぞれ対向
して配設し、切換制御器４からの指令により燃焼空気遮
断弁５Ａ及び５Ｂを開き、蓄熱式バーナーＡ１、Ａ３及
びＢ１、Ｂ３へそれぞれ蓄熱体３を介して昇熱した燃焼
用空気を供給し、同時に蓄熱式バーナーＡ１、Ａ３及び
Ｂ１、Ｂ３へ燃料を別系統（図示せず）から供給して燃
焼せしめる。一方切換制御器４からの指令により排ガス
遮断弁６Ａ及び６Ｂを開き、蓄熱式バーナーＡ２、Ａ４
及びＢ２、Ｂ４から加熱炉１の燃焼排ガスを吸引排気
し、蓄熱式バーナーＡ２、Ａ４及びＢ２、Ｂ４の蓄熱体
３に排ガス熱エネルギーを蓄熱する。このように蓄熱式
バーナーＡ１、Ａ３、Ｂ１、Ｂ３とＡ２、Ａ４Ｂ２、Ｂ
４を交互に燃焼加熱と蓄熱を繰り返す蓄熱型交番燃焼に
よって被加熱材２を加熱する。

【０００７】上記のごとき蓄熱型交番燃焼加熱に際し、
切換制御器４へ例えば、図２に示すごときフローを予め
設定しておき、このフローに基づき燃焼空気遮断弁５
Ａ、５Ｂ及び排ガス遮断弁６Ａ、６Ｂを作動せしめて一
側Ａ蓄熱式バーナー群Ａ１、Ａ２、Ａ３、Ａ４・・・及
び他側Ｂ蓄熱式バーナー群Ｂ１、Ｂ２、Ｂ３、Ｂ４・・
・の燃焼を制御する。即ち、蓄熱式バーナーＡ１、Ａ３
は４０秒燃焼、Ａ２、Ａ４は４０秒蓄熱（燃焼排ガス吸
引）。一方同時に蓄熱式バーナーＢ１、Ｂ３は３０秒燃
焼、Ｂ２、Ｂ４は３０秒蓄熱（燃焼排ガス吸引）後、Ｂ
１、Ｂ２、Ｂ３、Ｂ４ともに燃焼、蓄熱を１０秒停止す
る。

【０００８】次いで蓄熱式バーナーＡ１、Ａ３は、４０
秒蓄熱（燃焼排ガス吸引）、Ａ２、Ａ４は４０秒燃焼、
Ｂ１、Ｂ３は３０秒蓄熱、一方同時にＢ２、Ｂ４は燃焼
後、Ｂ１、Ｂ２、Ｂ３、Ｂ４ともに燃焼、蓄熱を１０秒
停止する。このように燃焼、蓄熱を交互に繰り返して交
番燃焼加熱を施すことにより、一側Ａ蓄熱式バーナー群
Ａ１、Ａ２、Ａ３、Ａ４・・・は４０秒の長時間燃焼と
長時間蓄熱を行い、他側Ｂ蓄熱式バーナー群Ｂ１、Ｂ
２、Ｂ３、Ｂ４は３０秒の短時間燃焼と短時間蓄熱を行
い、燃焼加熱時間の差異によって被加熱材の先端部より
後端部が高温になる傾斜加熱を施すものである。

【０００９】かくして上記のごとき蓄熱型交番燃焼加熱
は、加熱炉の予熱帯、加熱帯及び均熱帯のうち何れかの
帯域または２帯域以上で、例えば被加熱材の厚み、長さ
等のサイズ、材質、加熱温度、加熱後の被加熱材を熱間
圧延機へ搬送する時間、仕上圧延後の板厚等に応じて、
燃焼時間及び燃焼時間差等を決定するものである。

【００１０】次に被加熱材を均一加熱する場合は、切換
制御器４へ予め図３に示すごとき蓄熱式バーナーＡ１、
Ａ３とＡ２、Ａ４及びＢ１、Ｂ３とＢ２、Ｂ４の燃焼時
間をともに４０秒に設定し、その指令に基づき燃焼空気
遮断弁５Ａ、５Ｂ排ガス遮断弁６Ａ、６Ｂを作動せしめ
て同一燃焼時間及び蓄熱（排ガス吸引）交番燃焼加熱す
るこにより被加熱材を均一に加熱する。このような燃焼
時間は、上記のごとく被加熱材のサイズ等によって決定
するものである。

【００１１】

【実施例】次に、本発明方法の実施例を比較例とともに
挙げる。

【表１】 注１：被加熱材は、C:0.003 ％、Mn:0.35 ％、Si:0.01
％、P:0.08％、S:0.002％、SolAl:0.035 ％、Nb:0.02
％、Ti:0.008％残り不回避成分及びFeからなるスラブ。 注２：加熱条件（加熱炉）は、予熱帯、加熱帯及び均熱
帯からなり、各帯とも被加熱材進行方向両側（壁）部に
蓄熱体を付設した蓄熱式バーナーを配設し、表１のごと
く燃焼時間を設定して、蓄熱型交番燃焼によりコークス
炉発生ガスを燃料として燃焼加熱した。 注３：他側停止時間は、燃焼及び蓄熱ともに停止した時
間。 注４：在炉時間は、予熱帯、加熱帯及び均熱帯の合計時
間である。 注５：加熱材先端部及び加熱材後端部の加熱は、加熱抽
出直後の被加熱材長さ方向先端部及び後端部の厚み方向
平均温度。 注６：実施例は、一側バーナー群を間欠的に４０秒燃
焼、４０秒蓄熱。他側バーナー群は、間欠的に３０秒燃
焼、３０秒蓄熱後とに１０秒停止を繰り返して蓄熱型交
番燃焼加熱を施した。比較例は、一側及び他側のバーナ
ーともに間欠的に４０秒燃焼、４０秒蓄熱繰り返して蓄
熱型交番燃焼加熱を施した。 注７：燃焼空気比ｍ＝１．１、排ガス吸引比率８０％で
燃焼加熱及び蓄熱を実施した。

【００１２】

【発明の効果】本発明方法によれば、蓄熱型交番燃焼に
よる被加熱材の均一加熱と傾斜加熱を自在に施すことが
でき、加熱炉の機能を大幅に向上することができる。ま
た正確な傾斜加熱ができることから、熱間圧延における
圧延材を均一温度で圧延することができ、材質、形状等
を均一にできるので、品質を向上することができる等の
優れた効果をもたらすことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明方法を実施するための一例を示す要部平
面図である。

【図２】本発明方法の蓄熱型交番燃焼による傾斜加熱の
一例を示すフロー図である。

【図３】蓄熱型交番燃焼による均一加熱の一例を示すフ
ロー図である。

フロントページの続き (56)参考文献 特開 平６−200321（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−118764（ＪＰ，Ａ) 特開 昭57−35615（ＪＰ，Ａ) 特開 平７−158845（ＪＰ，Ａ) 特開 昭53−43609（ＪＰ，Ａ) 実開 平４−13655（ＪＰ，Ｕ) 特公 昭60−49695（ＪＰ，Ｂ１) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) C21D 1/52 C21D 9/00 101 F23L 15/02 F27D 17/00 101

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 加熱炉の被加熱材進行方向両側に蓄熱式
   バーナー群を対向配設し、一側蓄熱式バーナー群及び他
   側蓄熱式バーナー群を間欠的に燃焼加熱と蓄熱を交互に
   施す蓄熱型交番燃焼加熱に際し、一方側蓄熱式バーナー
   群は長時間燃焼加熱と長時間蓄熱を交互に行い、その
   間、他方側蓄熱式バーナー群は短時間燃焼加熱とその後
   の燃焼加熱停止および短時間蓄熱とその後の蓄熱停止を
   交互に行う交番燃焼加熱を施すことを特徴とする加熱炉
   の燃焼制御方法。