JP3355944B2 - 熱硬化型生分解性共重合体の製造方法 - Google Patents

熱硬化型生分解性共重合体の製造方法

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JP3355944B2 JP19233696A JP19233696A JP3355944B2 JP 3355944 B2 JP3355944 B2 JP 3355944B2 JP 19233696 A JP19233696 A JP 19233696A JP 19233696 A JP19233696 A JP 19233696A JP 3355944 B2 JP3355944 B2 JP 3355944B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自然界における微
生物などによる生分解可能な高分子化合物からなる熱硬
化型生分解性共重合体に係り、とくに各種印刷インキ、
磁気インキ等に用いられるバインダーや、コーティング
剤、ハードコート剤などの各種用途に有用な熱硬化型生
分解性共重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、環境問題において、問題とされて
いる廃棄物のうち、その多くをプラスチック製品を占め
ており、とくに半永久的に分解しない特性からきわめて
処理困難な素材として指摘されている。このような社会
的なニーズから、特開昭57−150393号公報、特
開昭59−220192号公報、特開平5−10573
6号公報、特開平5−148352公報、特開平5−1
79016号公報などに示されるような、土中の微生物
などによって自然分解可能な生分解性プラスチックが開
発されており、例えば英国・ゼネカ社の微生物ポリエス
テル系のバイオポール(商品名)、昭和高分子株式会社
の脂肪族ポリエステル系のビオノーレ(商品名)、さら
には株式会社島津製作所のポリ乳酸などを原料とする脂
肪族ポリエステル系のラクティー(商品名)、イタリア
・ノバモント社のでんぷんと変性PVAとを混合したマ
タービー(商品名)または米国エコスター社のノボン
(商品名)やデグラスター(商品名)などが商品化され
ている。
【0003】上記の生分解性プラスチックのうち、ポリ
乳酸は透明性を有し、引っ張り強度などの機械的物性に
優れ、さらに原料コストが低く、廃棄後の処理が容易で
あることから注目されている。とくに、このポリ乳酸の
機械的特性、熱的特性などの性質はポリエチレンテレフ
タレート(PET)、ポリスチレンに比較的近いとされ
ており、これに対し上記の他の生分解性プラスチックは
ポリエチレンに比較的近いとされている。これはポリ乳
酸のガラス転移点が室温より高く、室温でガラス状態で
あることに起因されると考えられる。また自然環境下で
は、ポリ乳酸は加水分解を経て自然崩壊し、土中、水中
の微生物等によって乳酸、さらに炭酸ガス(二酸化炭
素)と水までに分解され、自然環境のサイクルに取り込
まれるという環境に適合した樹脂製品と言え、原料とな
る乳酸は安価なコーンスターチ、チーズホウェーなどを
発酵させることにより製造することが可能であり、その
低コストも有望であるとされている。
【0004】さらに、ポリ乳酸はその構造単位である乳
酸が光学活性炭素を有することから、乳酸ホモポリマー
であっても、乳酸のL体、D体が混合されたポリ(D,
L)−乳酸からなり、このポリ(D,L)−乳酸は従来
のポリ乳酸(ポリL−乳酸)に比べて結晶性が低く、ほ
とんどの汎用性溶剤に対して優れた溶解性を示すことか
ら、他の生分解性構成物と組み合わせて用いられる。例
えば用途として生分解性インキ用の樹脂バインダー、生
分解性を有するコーティング剤やハードコート剤などと
しての応用が期待されている。
【0005】ところが、このポリ(D,L)−乳酸は物
性面で硬く脆い、衝撃に対して弱いという欠点を有して
おり、柔軟性の要求が高いインキバインダー、コーティ
ング剤、ハードコート剤などの分野ではその利用が制限
されている。さらにガラス転移点が60℃と比較的室温
に近く熱変形を受けやすいこと、未処理状態では耐衝撃
性がなく脆いことから、ポリ(D,L)−乳酸は素材と
して欠点を有するものである。この脆性の改良として
は、乳酸の環状二量体であるラクチドと、グリコリド、
ε−カプロラクトンやβ−メチル−δ−バレロラクトン
等との共重合化(ポリマー、20巻、1459頁(19
79),高分子学会予稿集、40(2)巻、358頁
(1981))や、ポリ乳酸とポリカプロラクトン、又
は可塑剤とのプレンド(高分子学会予稿集、43(3)
巻、1194頁(1994))、或いは二軸延伸加工
(材料、43(495)巻、1520頁(1994))
などの研究が報告されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、共重合
法により得られる改質ポリ乳酸は、乳酸とその他の成分
がランダムに重合しているために、生分解性とその他の
物性の低下が予想される。さらにこれらの改質法で得ら
れるポリ乳酸は柔軟性こそ有するものであるが、熱可塑
性樹脂であり、また三次元構造ではないため、耐溶剤性
を持たないため、生分解性インキ用の樹脂バインダー、
生分解性を有するコーティング剤やハードコート剤など
への利用は困難である。なお、樹脂に耐溶剤性を付与す
る手法として、イソシアネート等の硬化剤を用いて架橋
させることが一般的であるが、架橋により樹脂の生分解
性が低下するため、生分解性という目的から外れるとい
う問題点を有する。
【0007】そこで本発明は、各種印刷インキ、磁気イ
ンキ等に用いられるバインダーや、コーティング剤、ハ
ードコート剤などの各種用途に用いることが可能であ
り、溶剤溶解性を有し、熱硬化性とかつ熱硬化後の生分
解性を有するポリ乳酸、脂肪族ポリエステルを主成分と
する樹脂化合物の製造方法を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するためになされたものであり、請求項1に記載の発
明は、1. 分子量20000〜60000、水酸基価で0.5
〜3KOHmg/gであるポリ乳酸、及び脂肪族ポリエ
ステルと、前記ポリ乳酸及び脂肪族ポリエステルに対し
て1.5〜20重量%のイソシアナート化合物からなる
樹脂組成物を溶媒に溶解させ混合し、2. 前記溶剤を乾燥除去した後、3.前記樹脂組成物を加熱硬化させる、 ことによる、熱硬化型生分解性共重合体の製造方法 であ
る。
【0009】請求項2の発明は、請求項1に記載の熱硬
化型生分解性共重合体の製造方法において、ポリ乳酸及
び脂肪族ポリエステルの総重量のうち、脂肪族ポリエス
テルの割合が5〜40重量%であることを特徴とするも
のである。
【0010】請求項3の発明は、請求項1に記載の熱硬
化型生分解性共重合体の製造方法において、脂肪族ポリ
エステルが重縮合系脂肪族ポリエステルであることを特
徴とするものである。
【0011】請求項4の発明は、請求項1に記載の熱硬
化型生分解性共重合体の製造方法において、イソシアナ
ート化合物が下記一般式(1)、
【0012】
【化2】
【0013】(式中、R1は炭素数2〜12の二価の脂
肪族基である。)で示される脂肪族ジイソシアナート、
或いは該脂肪族ジイソシアナートをベースとするポリイ
ソシアナートであることを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、分子量20000〜60000、水酸基価で
0.5〜3KOHmg/gであるポリ乳酸と、脂肪族ポ
リエステルと、所定量のイソシアネート化合物とを溶媒
に溶解させ混合したものを、加熱により硬化してなる共
重合体の製造方法であり、熱硬化後の熱硬化物が生分解
性を有するものであり、この熱硬化物をバインダーとし
て、例えば印刷用インキ、またコーティング剤、ハード
コート剤などの各種印刷、コーティングの用途に用いる
ことができる。すなわち、本発明の製造方法による熱硬
化型生分解性共重合体はポリ乳酸の生分解性を損なうこ
となく、柔軟性、靱性、耐溶剤性などの各種物性を改良
したものであり、これに硬くて脆いポリ乳酸と、機械的
物性は低いが柔軟性に富む脂肪族ポリエステルとをイソ
シアナート化合物で連結することで、両者の物性的な欠
点を補い、かつ得られる組成物は汎用性溶媒に対する耐
溶剤性を備えてなるものである。また、本発明の熱硬化
型生分解性共重合体が不溶である汎用性溶媒は、例えば
酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケ
トン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、シク
ロヘキサノン等である。
【0015】まず、本発明に用いるポリ乳酸としては、
次の一般式(2)で表される組成物を挙げることができ
る。
【0016】
【化3】
【0017】bポリ乳酸の分子量しては20000〜6
0000、水酸基価で0.5〜3KOHmg/g程度の
ものが好ましい。なお、架橋に末端水酸基を用いて行な
うため、分子量がこの範囲の数値よりも大きいと十分な
架橋効果が得られず、逆にこの範囲の数値よりも小さい
とイソシアナートを多量に用いなければならず、イソシ
アナートの添加量が多いと得られる熱硬化物はゴム状と
なり、物性、生分解性ともに不十分である。とくに本発
明のポリ乳酸に、グリセリン、ペンタエリトリトール、
ジペンタエリトリトール等の多官能アルコールとオクチ
ル酸スズなどの金属化合物を開始剤に用いて合成する長
鎖分岐を有するポリ乳酸を用いると、架橋反応による三
次元構造が十分に形成され易くなり、好ましいと言え
る。
【0018】次に本発明に用いる脂肪族ポリエステルと
しては、次の一般式(3)で表される組成物を挙げるこ
とができる。
【0019】
【化4】
【0020】式中のR2、R3は二価の脂肪族基を表すも
のである。R2で表される二価脂肪族基は、炭素数1〜
12、好ましくは2〜8の鎖状アルキレン基が挙げられ
る。このアルキレン基としては、−(CH22、−(C
24−などの炭素数2〜6の直鎖状低級アルキレン基
が好ましい。またR3で表される二価脂肪族基は、炭素
数2〜12、好ましくは2〜8の鎖状アルキレン基が挙
げられる。このアルキレン基としては、−(CH24
−(CH26−などの炭素数2〜6の直鎖状低級アルキ
レン基が好ましいが、−(CH22CH(CH3)(C
22−、−CH(CH3)(CH22−、−CH(C
3)CH2−など側鎖を有するものであっても差し支え
はない。この脂肪族ポリエステルには、重縮合により合
成された縮重合系脂肪族ポリエステルが好ましい。これ
はジオールを過剰とすることで重合すると、分子鎖の両
末端に水酸基を導入することができるため、架橋効果を
最大限に生かすことが可能となる。
【0021】さらに本発明に用いる硬化剤としてのイソ
シアナート化合物は、硬化後も樹脂が生分解性を維持で
きるものであれば、基本的には構造や官能数は問わない
で用いることができるが、分解生成物の環境の影響を考
慮すると、次の一般式(1)で表される脂肪族イソシア
ナート、或いはこの脂肪族イソシアナートをベースにし
たポリイソシアナートを挙げることができる。
【0022】
【化5】
【0023】式中のR1は二価の脂肪族基を表すもので
ある。このR1で表される二価脂肪族基は、炭素数2〜
12、好ましくは4〜6の鎖状アルキレン基が挙げられ
る。なかでもR3の炭素数が6であるジイソシアン酸ヘ
キサメチレンは、工業原料として安価にて入手可能で、
原料コストの面からその使用は好ましいものであり、ま
た、ジイソシアン酸ヘキサメチレンをベースとしたポリ
イソシアナートも同様に安価にて入手可能であり、用い
ても差し支えない。またR1の炭素数が4である1,4
−ジイソシアナートブタンは硬化物の生分解性が良好で
あることから、その使用はとくに好ましいものである。
【0024】上述のポリ乳酸と脂肪族ポリエステルの混
合物に対してイソシアナートを用いて熱硬化させてなる
本発明の製造方法による熱硬化型生分解性共重合体は、
イソシアナートの添加量をポリ乳酸及び脂肪族ポリエス
テルにたいして1.5〜20重量%、好ましくは3〜1
0重量%の範囲にあることが望ましい。このイソシアナ
ートの添加量がこの範囲の数値より少ない場合は、十分
な架橋効果が得られず、逆に多い場合には熱硬化物がゴ
ム状となる。
【0025】本発明の脂肪族ポリエステルの添加量は、
ポリ乳酸及び脂肪族ポリエステルの総重量に対して、5
〜40重量%であり、好ましくは15〜25重量%の範
囲にあることが望ましい。脂肪族ポリエステルの添加量
がこの範囲の数値より少ない場合には、熱硬化物は硬
く、伸びの乏しいものとなり、また脂肪族ポリエステル
の添加量がこの範囲の数値より多い場合には、熱硬化物
は柔軟性に富むものの、弾性強度が不十分となるという
問題点を有する。
【0026】本発明の熱硬化型生分解性共重合体の製造
方法は以下のように実施することができる。所定量のポ
リ乳酸及び脂肪族ポリエステルを適当な、例えば酢酸エ
チル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、
トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、シクロヘキ
サノンなどから選択される溶媒に溶解させ混合し、次に
この混合物に所定量のイソシアナート化合物を添加し、
十分混合する。このとき、硬化時間を早めるために適当
量の、例えば二ラウリン酸ジ−n−ブチルスズ、トリエ
チルアミン、トリエチレンジアミン、ジブチルスズ2−
エチルヘキソエートなどから選択される金属触媒を添加
することも可能である。さらに得られた混合物から溶剤
を乾燥除去し、適切の温度で加熱し硬化させることによ
り本発明の熱硬化型生分解性共重合体が得られる。用途
に応じて混合物を印刷手段又はコーティング手段により
基材などに塗膜として形成し、混合物から溶剤を乾燥除
去し、適切の温度で加熱し硬化させるようにしてもよ
い。
【0027】本発明により得られた熱硬化型生分解性共
重合体は、例えばインキのバインダーとして、顔料又は
染料、各種添加剤とともに混合し調合したインキをPE
T(ポリエチレンテレフタレート)フィルムに塗布する
と、この塗膜は強度、耐溶剤性に優れるものである。ま
た他にはフィルム、成型品、繊維、印刷インキ等に使用
される樹脂バインダーなどの各種用途に用いることが可
能であり、その際に補強剤、無機或いは有機フィラー、
着色剤、各種安定剤、滑剤ワックス類など公知の添加剤
を必要に応じて用いることも可能である。
【0028】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例を挙げて、詳
細に説明する。なお、実施例において得られた熱硬化型
生分解性共重合体の種々の物性値は以下の方法により測
定し求めた。(機械的強度) 1.試験方法:寸法100×6×約0.2mmのポリマ
ーダンベルを作成し、この両端から引っ張り、機械的強
度を測定した。 2.試験条件:(1)テンシロンRTC−1250(オリエンテック社製) (2)初期試料長:50mm (3)引っ張り速度:50mm/min (生分解性評価)1.試験方法:恒温恒湿槽の中でコン
ポスト土壌を用いて、ポリマーのキャストフィルムをに
埋め込む埋め込み試験を20日間行なった。 2.試験条件:(1)市販のコンポストを用いて生ゴミから調整したコンポスト 土壌 (2)試料形態:50×50×約0.2mmのキャストフイルム (3)試験温度:60℃(湿度90%) (4)試験期間:20日間 (耐溶剤性評価) 1.試験方法:ガラスシャーレ上に少量の樹脂を置き、
試験溶媒中で樹脂を擦りつけながら、その耐溶剤性を観
察した。 2.試験条件:(1)試験溶剤:トルエン、2−ブタノン、メチルイソブチルケ トン (2)試料形態:約5×5×5mmの樹脂ペレット (3)試験温度:常温
【0029】<実施例1>ポリ乳酸(分子量:5800
0)2.4gとポリヘキサメチレンサクシネート(分子
量:約20000)0.6gを2−ブタノン20mlに
溶解させ混合し、次にジイソシアン酸ヘキサメチレン
(HMDI)157.9mg、さらに触媒として二ラウ
リン酸ジ−n−ブチルスズ34.0μlを添加し、十分
に混合した。この混合物をテフロンシート上にキャスト
し、100℃で30分間加熱し硬化させた。得られたフ
ィルムからポリマーダンベルを作成し、機械的強度を測
定したところ、弾性率196kgf/mm2、伸度11
1%、最大点応力3.8kgf/mm2であり、このフ
ィルムはフィルム成形可能で、柔軟性のある強靱なもの
であった。このフィルムを汎用性溶剤である、トルエ
ン、2−ブタノンに接触させたところ、これらに対して
不溶であり、このフィルムをコンポスト中のコンポスト
土壌に20日間埋設しておいたところ、フィルムが完全
に分解消失したことが確認された。
【0030】<実施例2>ポリ乳酸(分子量:5800
0)2.4gとポリヘキサメチレンサクシネート(分子
量:約20000)0.6gを2−ブタノン20mlに
溶解させ混合し、次にHMDI系ポリイソシアナート
(商品名:デュラネートTPA−100,旭化成工業社
製)157.9mg、さらに触媒として二ラウリン酸ジ
−n−ブチルスズ34.0μlを添加し、十分に混合し
た。この混合物をテフロンシート上にキャストし、10
0℃で30分間加熱し硬化させた。得られたフィルムか
らポリマーダンベルを作成し、機械的強度を測定したと
ころ、弾性率201kgf/mm2、伸度167%、最
大点応力3.6kgf/mm2であり、このフィルムは
フィルム成形可能で、柔軟性のある強靱なものであっ
た。このフィルムを汎用性溶剤である、トルエン、2−
ブタノンに接触させたところ、これらに対して不溶であ
り、このフィルムをコンポスト中のコンポスト土壌に2
0日間埋設しておいたところ、フィルムが完全に分解消
失したことが確認された。
【0031】<実施例3>長鎖分岐を有するポリ乳酸
(分子量:37000)2.4gとポリヘキサメチレン
サクシネート(分子量:約20000)0.6gを2−
ブタノン20mlに溶解させ混合し、次にジイソシアン
酸ヘキサメチレン(HMDI)157.9mg、さらに
触媒として二ラウリン酸ジ−n−ブチルスズ34.0μ
lを添加し、十分に混合した。この混合物をテフロンシ
ート上にキャストし、100℃で30分間加熱し硬化さ
せた。得られたフィルムからポリマーダンベルを作成
し、機械的強度を測定したところ、弾性率146kgf
/mm2、伸度230%、最大点応力2.6kgf/m
2であり、このフィルムはフィルム成形可能で、柔軟
性のある強靱なものであった。このフィルムを汎用性溶
剤である、トルエン、2−ブタノンに接触させたとこ
ろ、これらに対して不溶であり、このフィルムをコンポ
スト中のコンポスト土壌に20日間埋設しておいたとこ
ろ、フィルムが完全に分解消失したことが確認された。
【0032】<実施例4>長鎖分岐を有するポリ乳酸
(分子量:37000)2.4gとポリヘキサメチレン
サクシネート(分子量:約20000)0.6gを2−
ブタノン20mlに溶解させ混合し、次にHMDI系ポ
リイソシアナート(商品名:デュラネートTPA−10
0,旭化成工業社製)157.9mg、さらに触媒とし
て二ラウリン酸ジ−n−ブチルスズ34.0μlを添加
し、十分に混合した。この混合物をテフロンシート上に
キャストし、100℃で30分間加熱し硬化させた。得
られたフィルムからポリマーダンベルを作成し、機械的
強度を測定したところ、弾性率196mgf/mm2
伸度208%、最大点応力3.2kgf/mm2であ
り、このフィルムはフィルム成形可能で、柔軟性のある
強靱なものであった。このフィルムを汎用性溶剤であ
る、トルエン、2−ブタノンに接触させたところ、これ
らに対して不溶であり、このフィルムをコンポスト中の
コンポスト土壌に20日間埋設しておいたところ、フィ
ルムが完全に分解消失したことが確認された。
【0033】さらに、比較例を挙げ、本発明の実施例と
比較検証する。 <比較例1>ポリ乳酸(分子量:58000)3.0g
を2−ブタノン20mlに溶解させ混合し、次にジイソ
シアン酸ヘキサメチレン(HMDI)157.9mg、
さらに触媒として二ラウリン酸ジ−n−ブチルスズ3
4.0μlを添加し、十分に混合した。この混合物をテ
フロンシート上にキャストし、100℃で30分間加熱
し硬化させた。得られたフィルムからポリマーダンベル
を作成し、機械的強度を測定したところ、弾性率280
kgf/mm2、伸度2.6%、最大点応力5.0kg
f/mm2を示し、硬くて脆い性質の共重合体であっ
た。なお、このフィルムを汎用性溶剤である、トルエ
ン、2−ブタノンに接触させたところ、これらに対して
不溶であり、このフィルムをコンポスト中のコンポスト
土壌に20日間埋設しておいたところ、フィルムが完全
に分解消失したことが確認された。
【0034】<比較例2>ポリ乳酸(分子量:5800
0)2.4gとポリヘキサメチレンサクシネート(分子
量:約20000)0.6gを2−ブタノン20mlに
溶解させ混合し、この混合物をテフロンシート上にキャ
ストし、100℃で30分間加熱し硬化させた。得られ
たフィルムからポリマーダンベルを作成し、機械的強度
を測定したところ、弾性率210kgf/mm2、伸度
24%、最大点応力4.1kgf/mm2を示し、フィ
ルム成形は可能であるが、やや柔軟性が乏しい共重合体
であった。なお、このフィルムを汎用性溶剤である、ト
ルエン、2−ブタノンに接触させたところ、これらによ
って浸食を受け、溶解した。このフィルムをコンポスト
中のコンポスト土壌に20日間埋設しておいたところ、
フィルムが完全に分解消失したことが確認された。
【0035】<比較例3>ポリ乳酸(分子量:3700
0)2.4gとポリヘキサメチレンサクシネート(分子
量:約20000)0.6gを2−ブタノン20mlに
溶解させ混合し、この混合物をテフロンシート上にキャ
ストし、100℃で30分間加熱し硬化させた。得られ
たフィルムからポリマーダンベルを作成し、機械的強度
を測定したところ、弾性率213kgf/mm2、伸度
17%、最大点応力3.2kgf/mm2を示し、硬く
て脆い性質の共重合体であった。なお、このフィルムを
汎用性溶剤である、トルエン、2−ブタノンに接触させ
たところ、これらによって浸食を受け、溶解した。この
フィルムをコンポスト中のコンポスト土壌に20日間埋
設しておいたところ、フィルムが完全に分解消失したこ
とが確認された。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、分子量20000〜6
0000、水酸基価で0.5〜3KOHmg/gである
ポリ乳酸と、脂肪族ポリエステルと、所定量のイソシア
ネート化合物とを溶媒に溶解させ混合したものを、加熱
により硬化してなる共重合体であり、熱硬化後の熱硬化
物が生分解性とともに柔軟性、靱性、耐溶剤性などの各
種物性を有する。とくに耐溶剤性を有することから、こ
の熱硬化型生分解性共重合体をバインダーとして、例え
ば印刷用インキ、またコーティング剤、ハードコート剤
などの各種印刷、コーティングの用途に用いることがで
きる。さらにフィルム、成形加工品、ボトル、繊維等な
どの各種用途に用いることも可能であり、製品実用上の
十分な物性を示し、かつ生分解性を示す熱硬化型生分解
性共重合体を提供することができる。
【0037】また、本発明の製造方法による熱硬化型生
分解性共重合体は、ポリ乳酸と脂肪族ポリエステルの混
合物をイソシアナートで硬化させることにより、容易に
製造することができる。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】1.分子量20000〜60000、水酸
    基価で0.5〜3KOHmg/gであるポリ乳酸、及び
    脂肪族ポリエステルと、前記ポリ乳酸及び脂肪族ポリエ
    ステルに対して1.5〜20重量%のイソシアナート化
    合物からなる樹脂組成物を溶媒に溶解させ混合し、2. 前記溶剤を乾燥除去した後、3.前記樹脂組成物を加熱硬化させる、 ことによる、熱硬化型生分解性共重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】前記ポリ乳酸及び脂肪族ポリエステルの総
    重量のうち、脂肪族ポリエステルの割合が5〜40重量
    %であることを特徴とする請求項1に記載の熱硬化型生
    分解性共重合体の製造方法。
  3. 【請求項3】前記脂肪族ポリエステルが重縮合系脂肪族
    ポリエステルであることを特徴とする請求項1又は2に
    記載の熱硬化型生分解性共重合体の製造方法。
  4. 【請求項4】前記イソシアナート化合物が下記一般式
    (1)、 【化1】 (式中、R1は炭素数2〜12の二価の脂肪族基であ
    る。)で示される脂肪族ジイソシアナート、或いは該脂
    肪族ジイソシアナートをベースとするポリイソシアナー
    トであることを特徴とする請求項1に記載の熱硬化型生
    分解性共重合体の製造方法。
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