JP3352858B2 - L−乳酸の製造法 - Google Patents
L−乳酸の製造法Info
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乳酸菌を利用して
L−乳酸を製造する方法に関する。詳しくは、L−乳酸
生産培地中の窒素源として馬鈴薯蛋白質を使用してL−
乳酸を製造する方法に関する。
L−乳酸を製造する方法に関する。詳しくは、L−乳酸
生産培地中の窒素源として馬鈴薯蛋白質を使用してL−
乳酸を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境に関する問題を解決する
ことが大きな課題となっており、例えば、耐久性を有す
る石油プラスチックに代わって微生物や光により分解さ
れるプラスチックが注目されている。特に、L−乳酸で
製造したプラスチックは生分解性を有することから注目
されているが、原料となるL−乳酸を如何に安価に製造
できるかが、このプラスチックを実用化する上での鍵と
なっている。
ことが大きな課題となっており、例えば、耐久性を有す
る石油プラスチックに代わって微生物や光により分解さ
れるプラスチックが注目されている。特に、L−乳酸で
製造したプラスチックは生分解性を有することから注目
されているが、原料となるL−乳酸を如何に安価に製造
できるかが、このプラスチックを実用化する上での鍵と
なっている。
【0003】従来、乳酸菌を利用し、乳糖を糖質源とし
てL−乳酸を製造するに際しては、L−乳酸生産培地と
して、トウモロコシ、スイートソルガム、乳ホエー等が
使用されている。そして、これらの物質には蛋白質が含
まれており、乳酸菌により窒素源として資化される。し
かし、これらの蛋白質の量は、一般的に乳酸菌により資
化される蛋白質の量に比べて多く、生産培地からL−乳
酸を分離、精製する際に、殆どの蛋白質が乳酸菌と共に
廃棄されてしまうという問題がある。特に、チーズ製造
時に上清液として回収される乳ホエーは利用価値が高
く、乳酸菌を利用してL−乳酸を製造する際の窒素源と
しても適しているが、この乳ホエー中の蛋白質の大部分
は乳酸菌に資化されることなく廃棄されている。
てL−乳酸を製造するに際しては、L−乳酸生産培地と
して、トウモロコシ、スイートソルガム、乳ホエー等が
使用されている。そして、これらの物質には蛋白質が含
まれており、乳酸菌により窒素源として資化される。し
かし、これらの蛋白質の量は、一般的に乳酸菌により資
化される蛋白質の量に比べて多く、生産培地からL−乳
酸を分離、精製する際に、殆どの蛋白質が乳酸菌と共に
廃棄されてしまうという問題がある。特に、チーズ製造
時に上清液として回収される乳ホエーは利用価値が高
く、乳酸菌を利用してL−乳酸を製造する際の窒素源と
しても適しているが、この乳ホエー中の蛋白質の大部分
は乳酸菌に資化されることなく廃棄されている。
【0004】一方、馬鈴薯から澱粉を製造するに際し初
期の段階で生成する馬鈴薯搾汁液から回収した蛋白質を
原料として醤油を製造する方法 (特開昭 52-136997号公
報)や馬鈴薯蛋白質の酵素加水分解物を用いた栄養組成
物 (特開平1- 20060号公報)等が提案されているが、大
部分の馬鈴薯蛋白質は利用されずに廃棄されている現状
にある。
期の段階で生成する馬鈴薯搾汁液から回収した蛋白質を
原料として醤油を製造する方法 (特開昭 52-136997号公
報)や馬鈴薯蛋白質の酵素加水分解物を用いた栄養組成
物 (特開平1- 20060号公報)等が提案されているが、大
部分の馬鈴薯蛋白質は利用されずに廃棄されている現状
にある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】乳酸菌を利用し、乳糖
を糖質源としてL−乳酸を製造する際に生産培地として
通常使用されている乳ホエー中には、乳酸菌の窒素源と
なるホエー蛋白質が含まれている。このホエー蛋白質
は、ゲル化能等の各種の機能性を有することから、ホエ
ー蛋白質濃縮物(WPC)やホエー蛋白質分離物(WP
I)等として種々の分野で利用されており、この有用な
ホエー蛋白質に代わる乳酸菌の窒素源を見出すことは意
義あることと考えられる。
を糖質源としてL−乳酸を製造する際に生産培地として
通常使用されている乳ホエー中には、乳酸菌の窒素源と
なるホエー蛋白質が含まれている。このホエー蛋白質
は、ゲル化能等の各種の機能性を有することから、ホエ
ー蛋白質濃縮物(WPC)やホエー蛋白質分離物(WP
I)等として種々の分野で利用されており、この有用な
ホエー蛋白質に代わる乳酸菌の窒素源を見出すことは意
義あることと考えられる。
【0006】そこで、本発明者らは、乳ホエー等に代わ
る物質を見出すべく、鋭意研究を進めたところ、馬鈴薯
蛋白質が乳酸菌の窒素源となることを見出し、本発明を
完成するに至った。したがって、本発明は、乳酸菌を利
用し、乳糖を糖質源としてL−乳酸を製造するに際し、
L−乳酸生産培地中の窒素源として馬鈴薯蛋白質を使用
するL−乳酸の製造法を提供することを課題とする。
る物質を見出すべく、鋭意研究を進めたところ、馬鈴薯
蛋白質が乳酸菌の窒素源となることを見出し、本発明を
完成するに至った。したがって、本発明は、乳酸菌を利
用し、乳糖を糖質源としてL−乳酸を製造するに際し、
L−乳酸生産培地中の窒素源として馬鈴薯蛋白質を使用
するL−乳酸の製造法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明では、乳酸菌を利
用し乳糖を糖質源としてL−乳酸を製造するに際し、L
−乳酸生産培地中の窒素源として馬鈴薯蛋白質を使用す
る。従来より、澱粉の製造は、馬鈴薯を磨砕し、粕を遠
心篩で分離することにより粗澱粉乳を得、さらにこの粗
澱粉乳を遠心分離して澱粉と廃水に分離した後、脱水、
乾燥、製粉の工程を経て製造されているが、粗澱粉乳を
遠心分離する工程で廃水として副生するのが馬鈴薯搾汁
液である。この馬鈴薯搾汁液の大部分は廃棄されてい
る。なお、馬鈴薯搾汁液の組成は水分95%、蛋白質2
%、糖質1%、灰分1%、その他1%であり、固形分中
の蛋白質は40%と高い割合を占めている。
用し乳糖を糖質源としてL−乳酸を製造するに際し、L
−乳酸生産培地中の窒素源として馬鈴薯蛋白質を使用す
る。従来より、澱粉の製造は、馬鈴薯を磨砕し、粕を遠
心篩で分離することにより粗澱粉乳を得、さらにこの粗
澱粉乳を遠心分離して澱粉と廃水に分離した後、脱水、
乾燥、製粉の工程を経て製造されているが、粗澱粉乳を
遠心分離する工程で廃水として副生するのが馬鈴薯搾汁
液である。この馬鈴薯搾汁液の大部分は廃棄されてい
る。なお、馬鈴薯搾汁液の組成は水分95%、蛋白質2
%、糖質1%、灰分1%、その他1%であり、固形分中
の蛋白質は40%と高い割合を占めている。
【0008】本発明では、馬鈴薯蛋白質を使用するが、
上述の馬鈴薯から澱粉を製造する際に副生する馬鈴薯搾
汁液やこの馬鈴薯搾汁液を凍結乾燥法等の乾燥法により
乾燥した馬鈴薯搾汁液乾燥粉末に馬鈴薯蛋白質が含まれ
ているので、これらを乳酸発酵に必要な窒素量を満たす
ようL−乳酸生産培地に添加すれば良い。そして、この
L−乳酸生産培地を滅菌(121℃、15分間) した後、乳酸
菌を接種し、乳酸発酵を行ってL−乳酸を得る。
上述の馬鈴薯から澱粉を製造する際に副生する馬鈴薯搾
汁液やこの馬鈴薯搾汁液を凍結乾燥法等の乾燥法により
乾燥した馬鈴薯搾汁液乾燥粉末に馬鈴薯蛋白質が含まれ
ているので、これらを乳酸発酵に必要な窒素量を満たす
ようL−乳酸生産培地に添加すれば良い。そして、この
L−乳酸生産培地を滅菌(121℃、15分間) した後、乳酸
菌を接種し、乳酸発酵を行ってL−乳酸を得る。
【0009】なお、L−乳酸生産培地については、乳糖
を1〜30%含有しており、かつ乳酸菌の生育に適した栄
養素を含有しているものであれば特に限定されないが、
乳ホエーを分画分子量50,000程度の限外濾過(UF)膜で処
理して得られたパーミエイトの乳糖濃度が4〜15%とな
るよう調整し、蛋白質濃度が 0.4%程度となるよう馬鈴
薯蛋白質を添加したものを使用すると良い。また、蛋白
質濃度が 0.4%以上となるよう馬鈴薯蛋白質を添加して
も、L−乳酸の生産性は向上しない。
を1〜30%含有しており、かつ乳酸菌の生育に適した栄
養素を含有しているものであれば特に限定されないが、
乳ホエーを分画分子量50,000程度の限外濾過(UF)膜で処
理して得られたパーミエイトの乳糖濃度が4〜15%とな
るよう調整し、蛋白質濃度が 0.4%程度となるよう馬鈴
薯蛋白質を添加したものを使用すると良い。また、蛋白
質濃度が 0.4%以上となるよう馬鈴薯蛋白質を添加して
も、L−乳酸の生産性は向上しない。
【0010】また、乳酸発酵の条件については特に制限
はなく、例えば、上記のL−乳酸生産培地に、ストレプ
トコッカス(Streptococcus) 属、ペディオコッカス(Ped
iococcus) 属、ラクトバチルス(Lactobacillus) 属等の
乳酸菌を1%程度接種し、ジャーファーメンター等の培
養器を使用して72時間程度培養すれば良い。
はなく、例えば、上記のL−乳酸生産培地に、ストレプ
トコッカス(Streptococcus) 属、ペディオコッカス(Ped
iococcus) 属、ラクトバチルス(Lactobacillus) 属等の
乳酸菌を1%程度接種し、ジャーファーメンター等の培
養器を使用して72時間程度培養すれば良い。
【0011】そして、培養終了後、乳酸菌の菌体を除去
した培養液を濾過して濾過液を回収し、濃縮してL−乳
酸を回収すれば良い。このようにして得られたL−乳酸
は、生分解性プラスチック等の原料として有用である。
した培養液を濾過して濾過液を回収し、濃縮してL−乳
酸を回収すれば良い。このようにして得られたL−乳酸
は、生分解性プラスチック等の原料として有用である。
【0012】ところで、馬鈴薯搾汁液や馬鈴薯搾汁液乾
燥粉末を添加したL−乳酸生産培地を滅菌すると、馬鈴
薯搾汁液中に含まれている馬鈴薯蛋白質の一部が熱変性
し、馬鈴薯蛋白質の1/2程度が不溶化するという問題
が生じる。この不溶化馬鈴薯蛋白質は、乳酸菌に資化さ
れずに廃棄されることになる。したがって、馬鈴薯搾汁
液や馬鈴薯搾汁液乾燥粉末をL−乳酸生産培地に添加す
るに際しては、この点を考慮しておく必要がある。な
お、馬鈴薯搾汁液を予め加熱処理し、不溶化馬鈴薯蛋白
質を除去した馬鈴薯搾汁液や馬鈴薯搾汁液乾燥粉末を使
用することもできるし、また、不溶化馬鈴薯蛋白質をプ
ロテアーゼ処理した可溶化馬鈴薯蛋白質を使用すること
もできるが、本発明では少なくとも馬鈴薯搾汁液中に含
まれる馬鈴薯蛋白質が用いられる。
燥粉末を添加したL−乳酸生産培地を滅菌すると、馬鈴
薯搾汁液中に含まれている馬鈴薯蛋白質の一部が熱変性
し、馬鈴薯蛋白質の1/2程度が不溶化するという問題
が生じる。この不溶化馬鈴薯蛋白質は、乳酸菌に資化さ
れずに廃棄されることになる。したがって、馬鈴薯搾汁
液や馬鈴薯搾汁液乾燥粉末をL−乳酸生産培地に添加す
るに際しては、この点を考慮しておく必要がある。な
お、馬鈴薯搾汁液を予め加熱処理し、不溶化馬鈴薯蛋白
質を除去した馬鈴薯搾汁液や馬鈴薯搾汁液乾燥粉末を使
用することもできるし、また、不溶化馬鈴薯蛋白質をプ
ロテアーゼ処理した可溶化馬鈴薯蛋白質を使用すること
もできるが、本発明では少なくとも馬鈴薯搾汁液中に含
まれる馬鈴薯蛋白質が用いられる。
【0013】不溶化馬鈴薯蛋白質を除去した馬鈴薯搾汁
液や馬鈴薯搾汁液乾燥粉末は、例えば、馬鈴薯搾汁液を
60〜 130℃で5〜60分間程度加熱処理して生じた沈澱を
遠心分離 (3,000rpm、15分間) して除去し、凍結乾燥す
ることにより得ることができる。
液や馬鈴薯搾汁液乾燥粉末は、例えば、馬鈴薯搾汁液を
60〜 130℃で5〜60分間程度加熱処理して生じた沈澱を
遠心分離 (3,000rpm、15分間) して除去し、凍結乾燥す
ることにより得ることができる。
【0014】また、可溶化馬鈴薯蛋白質は、例えば、馬
鈴薯搾汁液を60〜130 ℃で5〜60分間程度加熱処理して
生じた沈澱を遠心分離 (3,000rpm、15分間) して回収
し、プロテアーゼ処理した後、凍結乾燥することにより
得ることができる。
鈴薯搾汁液を60〜130 ℃で5〜60分間程度加熱処理して
生じた沈澱を遠心分離 (3,000rpm、15分間) して回収
し、プロテアーゼ処理した後、凍結乾燥することにより
得ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明では、乳酸菌を利用し、乳
糖を糖質源としてL−乳酸を製造する際に、L−乳酸生
産培地中の窒素源として馬鈴薯蛋白質を使用する。L−
乳酸生産培地に窒素源として添加する馬鈴薯蛋白質は、
馬鈴薯搾汁液、馬鈴薯搾汁液乾燥粉末、あるいは馬鈴薯
搾汁液から加熱により沈殿する成分を除いた残りの液か
ら得られる乾燥粉末という形態として使用され、L−乳
酸生産培地中の蛋白質濃度が0.4%程度となるよう添加
すれば良い。また、L−乳酸生産培地中には、乳糖が1
〜30%、好ましくは4〜15%含まれていれば良い。そし
て、実用的には、乳ホエーを限外濾過膜で処理して得ら
れる乳ホエーパーミエートを使用すると良い。
糖を糖質源としてL−乳酸を製造する際に、L−乳酸生
産培地中の窒素源として馬鈴薯蛋白質を使用する。L−
乳酸生産培地に窒素源として添加する馬鈴薯蛋白質は、
馬鈴薯搾汁液、馬鈴薯搾汁液乾燥粉末、あるいは馬鈴薯
搾汁液から加熱により沈殿する成分を除いた残りの液か
ら得られる乾燥粉末という形態として使用され、L−乳
酸生産培地中の蛋白質濃度が0.4%程度となるよう添加
すれば良い。また、L−乳酸生産培地中には、乳糖が1
〜30%、好ましくは4〜15%含まれていれば良い。そし
て、実用的には、乳ホエーを限外濾過膜で処理して得ら
れる乳ホエーパーミエートを使用すると良い。
【0016】このようにして調製したL−乳酸生産培地
を使用し、ストレプトコッカス(Streptococcus) 属、ペ
ディオコッカス(Pediococcus) 属、ラクトバチルス(Lac
tobacillus) 属等の乳酸菌を1%程度接種し、ジャーフ
ァーメンター等の培養器を使用して72時間程度培養すれ
ば良い。
を使用し、ストレプトコッカス(Streptococcus) 属、ペ
ディオコッカス(Pediococcus) 属、ラクトバチルス(Lac
tobacillus) 属等の乳酸菌を1%程度接種し、ジャーフ
ァーメンター等の培養器を使用して72時間程度培養すれ
ば良い。
【0017】以下に参考例及び実施例を示し、本発明を
詳しく説明する。
詳しく説明する。
【参考例1】約2cm角に切断した馬鈴薯約10kgをミキサ
ーで粉砕した後、2000メッシュの袋に入れて搾汁し回収
した液を遠心分離(3000rpm、15分間) し、残存する澱粉
を除去することにより馬鈴薯搾汁液約5kgを調製した。
ーで粉砕した後、2000メッシュの袋に入れて搾汁し回収
した液を遠心分離(3000rpm、15分間) し、残存する澱粉
を除去することにより馬鈴薯搾汁液約5kgを調製した。
【0018】
【参考例2】参考例1のようにして得られた馬鈴薯搾汁
液3kgを凍結乾燥して馬鈴薯搾汁液乾燥粉末約200gを得
た。なお、この馬鈴薯搾汁液乾燥粉末は、水分12.9%、
蛋白質27.6%、灰分17.4%であった。
液3kgを凍結乾燥して馬鈴薯搾汁液乾燥粉末約200gを得
た。なお、この馬鈴薯搾汁液乾燥粉末は、水分12.9%、
蛋白質27.6%、灰分17.4%であった。
【0019】
【参考例3】参考例1のようにして得られた馬鈴薯搾汁
液2kgを 100℃で15分間加熱処理して生じた沈澱を濾過
することにより除去した後、濾過液を回収し、この濾過
液を凍結乾燥して不溶化馬鈴薯蛋白質を除去した馬鈴薯
搾汁液乾燥粉末約100gを得た。なお、この不溶化馬鈴薯
蛋白質を除去した馬鈴薯搾汁液乾燥粉末は、水分15.1
%、蛋白質18.2%、灰分19.8%であった。
液2kgを 100℃で15分間加熱処理して生じた沈澱を濾過
することにより除去した後、濾過液を回収し、この濾過
液を凍結乾燥して不溶化馬鈴薯蛋白質を除去した馬鈴薯
搾汁液乾燥粉末約100gを得た。なお、この不溶化馬鈴薯
蛋白質を除去した馬鈴薯搾汁液乾燥粉末は、水分15.1
%、蛋白質18.2%、灰分19.8%であった。
【0020】
【参考例4】参考例1のようにして得られた馬鈴薯搾汁
液2kgを 100℃で15分間加熱処理して生じた沈澱を回収
し、この沈澱を凍結乾燥して不溶化馬鈴薯蛋白質の乾燥
粉末約 30gを得た。なお、この不溶化馬鈴薯蛋白質の乾
燥粉末は、水分 8.1%、蛋白質52.4%、灰分10.9%であ
った。
液2kgを 100℃で15分間加熱処理して生じた沈澱を回収
し、この沈澱を凍結乾燥して不溶化馬鈴薯蛋白質の乾燥
粉末約 30gを得た。なお、この不溶化馬鈴薯蛋白質の乾
燥粉末は、水分 8.1%、蛋白質52.4%、灰分10.9%であ
った。
【0021】
【実施例1】参考例2〜4で得られた各試料を窒素源と
して乳酸発酵を行った。すなわち、2リットル容のジャ
ーファメンターを使用し、乳糖を 8.3%含有する乳ホエ
ーパーミエート 1.4リットルに最終の蛋白質濃度が 0.4
%となるよう各試料を添加して溶解した培地を 121℃、
15分間の条件で滅菌してL−乳酸の生産培地とした。そ
して、この生産培地に乳酸菌としてラクトバチルス・ラ
ムノーサス(Lactobacillus rhamnosus) SBT2257 (FERM
P-11922) を1%接種し、40℃、pH 5.5の条件で乳酸発
酵を行った。その結果を図1に示す。
して乳酸発酵を行った。すなわち、2リットル容のジャ
ーファメンターを使用し、乳糖を 8.3%含有する乳ホエ
ーパーミエート 1.4リットルに最終の蛋白質濃度が 0.4
%となるよう各試料を添加して溶解した培地を 121℃、
15分間の条件で滅菌してL−乳酸の生産培地とした。そ
して、この生産培地に乳酸菌としてラクトバチルス・ラ
ムノーサス(Lactobacillus rhamnosus) SBT2257 (FERM
P-11922) を1%接種し、40℃、pH 5.5の条件で乳酸発
酵を行った。その結果を図1に示す。
【0022】L−乳酸の生産性は、窒素源として不溶化
馬鈴薯蛋白質を除去した馬鈴薯搾汁液乾燥粉末を使用し
た場合が最も高く、次いで、馬鈴薯搾汁液乾燥粉末を使
用したものであった。一方、不溶化馬鈴薯蛋白質乾燥粉
末を使用した場合の生産性は良くなかった。また、乳酸
発酵終了後、L−乳酸生産培地を遠心分離(3000rpm、15
分間) したところ、沈澱中の蛋白質量は、不溶化馬鈴薯
蛋白質を除去した馬鈴薯搾汁液乾燥粉末を使用した場
合、遠心分離処理液100g当たり0gであったのに対し、馬
鈴薯搾汁液乾燥粉末を使用した場合、0.2gであった。し
たがって、不溶化馬鈴薯蛋白質を除去した馬鈴薯搾汁液
乾燥粉末を窒素源として使用することにより、乳酸発酵
終了後の廃液処理の負荷を軽減できることが判った。
馬鈴薯蛋白質を除去した馬鈴薯搾汁液乾燥粉末を使用し
た場合が最も高く、次いで、馬鈴薯搾汁液乾燥粉末を使
用したものであった。一方、不溶化馬鈴薯蛋白質乾燥粉
末を使用した場合の生産性は良くなかった。また、乳酸
発酵終了後、L−乳酸生産培地を遠心分離(3000rpm、15
分間) したところ、沈澱中の蛋白質量は、不溶化馬鈴薯
蛋白質を除去した馬鈴薯搾汁液乾燥粉末を使用した場
合、遠心分離処理液100g当たり0gであったのに対し、馬
鈴薯搾汁液乾燥粉末を使用した場合、0.2gであった。し
たがって、不溶化馬鈴薯蛋白質を除去した馬鈴薯搾汁液
乾燥粉末を窒素源として使用することにより、乳酸発酵
終了後の廃液処理の負荷を軽減できることが判った。
【0023】
【参考例5】参考例4のようにして得られた不溶化馬鈴
薯蛋白質乾燥粉末4.3gを水 100mlで溶解した後、蛋白質
1g当たりプロテアーゼ 1000Uとなるようエンドプロテア
ーゼ(プロテアーゼP;10000U/g 、天野製薬製)226mg
を添加し、45℃、pH 7.5で24時間反応させた。次に 100
℃で15分間加熱して酵素を失活させた後、蛋白質1g当た
りプロテアーゼ 1000Uとなるようエキソプロテアーゼ
(プロテアーゼM;5500U/g、天野製薬製)411mg を添加
し、50℃、pH 3.0で24時間反応させた。そして、100℃
で15分間加熱して酵素を失活させた後、凍結乾燥して可
溶化した馬鈴薯蛋白質乾燥粉末4.3gを得た。なお、この
酵素分解により総蛋白質量の約94%が可溶化した。
薯蛋白質乾燥粉末4.3gを水 100mlで溶解した後、蛋白質
1g当たりプロテアーゼ 1000Uとなるようエンドプロテア
ーゼ(プロテアーゼP;10000U/g 、天野製薬製)226mg
を添加し、45℃、pH 7.5で24時間反応させた。次に 100
℃で15分間加熱して酵素を失活させた後、蛋白質1g当た
りプロテアーゼ 1000Uとなるようエキソプロテアーゼ
(プロテアーゼM;5500U/g、天野製薬製)411mg を添加
し、50℃、pH 3.0で24時間反応させた。そして、100℃
で15分間加熱して酵素を失活させた後、凍結乾燥して可
溶化した馬鈴薯蛋白質乾燥粉末4.3gを得た。なお、この
酵素分解により総蛋白質量の約94%が可溶化した。
【0024】
【実施例2】参考例5で得られた可溶化馬鈴薯蛋白質の
乾燥粉末を窒素源とし、実施例1と同様の条件で乳酸発
酵を行った。その結果を図2に示す。なお、比較対照の
為、窒素源として不溶化馬鈴薯蛋白質を除去した馬鈴薯
搾汁液乾燥粉末を使用したものも図2に示した。
乾燥粉末を窒素源とし、実施例1と同様の条件で乳酸発
酵を行った。その結果を図2に示す。なお、比較対照の
為、窒素源として不溶化馬鈴薯蛋白質を除去した馬鈴薯
搾汁液乾燥粉末を使用したものも図2に示した。
【0025】窒素源として不適当であった不溶化馬鈴薯
蛋白質でも、プロテアーゼ処理して可溶化することによ
り、不溶化馬鈴薯蛋白質を除去した馬鈴薯搾汁液乾燥粉
末を使用したものと同等の効果を示すことが判った。
蛋白質でも、プロテアーゼ処理して可溶化することによ
り、不溶化馬鈴薯蛋白質を除去した馬鈴薯搾汁液乾燥粉
末を使用したものと同等の効果を示すことが判った。
【0026】
【発明の効果】本発明によると、従来廃棄されていた馬
鈴薯搾汁液中含まれている馬鈴薯蛋白質を有効に利用し
てL−乳酸を製造することができる。しかも、乳酸発酵
終了後の処理負荷を大幅に軽減することもできる。そし
て、このことは、L−乳酸の製造コストを低減すること
になり、生分解性プラスチック等の原料としてのL−乳
酸の利用性を高めることになる。
鈴薯搾汁液中含まれている馬鈴薯蛋白質を有効に利用し
てL−乳酸を製造することができる。しかも、乳酸発酵
終了後の処理負荷を大幅に軽減することもできる。そし
て、このことは、L−乳酸の製造コストを低減すること
になり、生分解性プラスチック等の原料としてのL−乳
酸の利用性を高めることになる。
【図1】実施例1におけるL−乳酸の生産を示す。
○:窒素源として馬鈴薯搾汁液乾燥粉末を使用 ●:窒素源として不溶化馬鈴薯蛋白質を除去した馬鈴薯
搾汁液乾燥粉末を使用 □:窒素源として不溶化馬鈴薯蛋白質乾燥粉末を使用
搾汁液乾燥粉末を使用 □:窒素源として不溶化馬鈴薯蛋白質乾燥粉末を使用
【図2】実施例2におけるL−乳酸の生産を示す。
○:窒素源として可溶化馬鈴薯蛋白質乾燥粉末を使用 ●:窒素源として不溶化馬鈴薯蛋白質を除去した馬鈴薯
搾汁液乾燥粉末を使用
搾汁液乾燥粉末を使用
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−217897(JP,A) 特開 昭54−141271(JP,A) 特開 昭61−285953(JP,A) 特開 昭61−108396(JP,A) 微生物実験法,第1版,1992年3月23 日発行,株式会社東京化学同人,p. 15,16 九州農業の新技術(1995),No. 8,p.203−209 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12P 3/00 - 11/00 BIOSIS(DIALOG) JICSTファイル(JOIS) WPI(DIALOG)
Claims (5)
- 【請求項1】 乳酸菌を利用し、乳糖を糖質源としてL
−乳酸を製造するに際し、生産培地中の窒素源として馬
鈴薯搾汁液中に含まれる馬鈴薯蛋白質を使用することを
特徴とするL−乳酸の製造法。 - 【請求項2】 前記馬鈴薯蛋白質を含有する馬鈴薯搾汁
液を前記生産培地に添加する請求項1記載のL−乳酸の
製造法。 - 【請求項3】 前記馬鈴薯蛋白質を含有する馬鈴薯搾汁
液の乾燥粉末を前記生産培地に添加する請求項1または
2に記載のL−乳酸の製造法。 - 【請求項4】 前記馬鈴薯蛋白質を含有する馬鈴薯搾汁
液を加熱処理することにより沈澱する熱変性馬鈴薯蛋白
質を除去した馬鈴薯搾汁液に含まれる馬鈴薯蛋白質を前
記生産培地に添加する請求項1〜3のいずれかに記載の
L−乳酸の製造法。 - 【請求項5】 前記馬鈴薯蛋白質を含む加熱処理後の馬
鈴薯搾汁液の乾燥粉末を前記生産培地に添加する請求項
4に記載のL−乳酸の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25267695A JP3352858B2 (ja) | 1995-09-29 | 1995-09-29 | L−乳酸の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25267695A JP3352858B2 (ja) | 1995-09-29 | 1995-09-29 | L−乳酸の製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0994093A JPH0994093A (ja) | 1997-04-08 |
JP3352858B2 true JP3352858B2 (ja) | 2002-12-03 |
Family
ID=17240694
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25267695A Expired - Fee Related JP3352858B2 (ja) | 1995-09-29 | 1995-09-29 | L−乳酸の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3352858B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1520011A2 (en) * | 2002-07-01 | 2005-04-06 | Novozymes A/S | Sterilisation of a fermentation medium comprising hydrolysed n-source |
JP4732112B2 (ja) * | 2005-01-20 | 2011-07-27 | サッポロビール株式会社 | 発泡アルコール飲料の製造方法及びその方法を用いて製造された発泡アルコール飲料 |
-
1995
- 1995-09-29 JP JP25267695A patent/JP3352858B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (2)
Title |
---|
九州農業の新技術(1995),No.8,p.203−209 |
微生物実験法,第1版,1992年3月23日発行,株式会社東京化学同人,p.15,16 |
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---|---|
JPH0994093A (ja) | 1997-04-08 |
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