JPH1147790A - 廃水の処理方法とその方法で得られる凝集物 - Google Patents

廃水の処理方法とその方法で得られる凝集物

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JPH1147790A
JPH1147790A JP21973497A JP21973497A JPH1147790A JP H1147790 A JPH1147790 A JP H1147790A JP 21973497 A JP21973497 A JP 21973497A JP 21973497 A JP21973497 A JP 21973497A JP H1147790 A JPH1147790 A JP H1147790A
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JP
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wastewater
treatment method
aggregate
treating wastewater
culture
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JP21973497A
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English (en)
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Yoshinori Sato
芳範 佐藤
Kunihiko Ketsuen
邦彦 結縁
Hiroto Chaen
博人 茶圓
Toshio Miyake
俊雄 三宅
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Hayashibara Seibutsu Kagaku Kenkyujo KK
Original Assignee
Hayashibara Biochemical Laboratories Co Ltd
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  • Purification Treatments By Anaerobic Or Anaerobic And Aerobic Bacteria Or Animals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 糖質及び蛋白質を含む有機廃水を処理するに
際し、従来の生物処理方式の種々の欠点を解消しうる、
環境に優しい新しい廃水の処理方法の確立とその方法で
得られる凝集物の有用用途を提供する。 【解決手段】 糖質と蛋白質とを含む廃水を培養槽にと
り、これに有機酸産生能を有する微生物を接種し通気す
ることなく培養して、溶解している蛋白質が析出、凝集
現象を示す培養液とし、次いで、該培養液を凝集物と非
凝集液とに分離することを特徴とする廃水の処理方法と
その方法で得られる凝集物の飼料、肥料向け用途を確立
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、廃水の処理方法と
その方法で得られる凝集物に関し、詳細には、糖質と蛋
白質とを含む廃水を処理するに際し、該廃水を培養槽に
とり、これに有機酸産生能を有する微生物を接種し通気
することなく培養して、溶解している蛋白質が析出、凝
集現象を示す培養液とし、次いで、該培養液を凝集物と
非凝集液とに分離することを特徴とする廃水の処理方法
とその方法で得られる凝集物並びに凝集物の飼料、肥料
向け用途に関する。
【0002】
【従来の技術】食品工場等においては、農産、水産及び
畜産原料等に由来する糖質や蛋白質等を含む比較的高濃
度の有機廃水の他、洗浄水、冷却水等比較的低濃度の雑
廃水を大量に発生している。これら廃水の処理方法につ
いては、『食品と開発』、第32巻、第4号、40乃至
43頁(1997年)にも解説されているように、多く
の場合、曝気槽で曝気する活性汚泥方式や絶対嫌気下で
処理するメタン発酵方式等の生物処理方式により行われ
ている。即ち、これらの生物処理方式においては、廃水
を、まず、調整槽でCOD1,000ppm程度に希釈
調整し、次いで、前述の生物処理を行い、更に、沈澱槽
で汚泥を沈澱させて、この上澄を放流している。しかし
ながら、従来行われてきた生物処理方式には、次のよう
な欠点がある。 (イ) 高濃度、高負荷の有機廃水を大量の水で希釈調
整して大容量にすることから、一般に、設備投資が過大
になる。 (ロ) 使用する水、電力等ランニングコストが過大に
なり小規模工場での採用が困難である。 (ハ) 季節、日時によって、廃水の質、量共に大きく
変動する食品工場のような場合には、高度の管理を必要
とするにもかかわらずバルキング、浮遊物の流出等のト
ラブル発生の懸念がぬぐいきれない。 (ニ) 余剰汚泥の発生は、その凝集処理が難しいだけ
でなく、高価な凝集剤を多量必要とし、コストアップの
要因となっている。 (ホ) 廃水処理工程で、とりわけ調整槽等で悪臭が発
生し易い。規模の大小を問わず、環境にやさしい廃水の
処理方法を確立することは、今や地球的レベルで待ち望
まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、糖質及び蛋
白質を含む有機廃水を処理するに際し、従来の生物処理
方式の種々の欠点を解消しうる、低コスト、高効率で環
境に優しい新しい廃水の処理方法の確立とその方法で得
られる凝集物の有用用途を提供しようとするものであ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するために、食品工場等で発生する廃水のCOD
負荷を高めている成分に着目し、その処理方法について
鋭意研究を続けてきた。その結果、糖質と蛋白質とを含
む廃水を培養槽にとり、これに有機酸産生能を有する微
生物を接種し通気することなく培養して、溶解している
蛋白質が析出、凝集現象を示す培養液とすると、凝集物
と非凝集液との分離が容易なこと、及びこの凝集物を分
離除去することにより、廃水のCOD負荷を容易に低減
し、その非凝集液が通常の生物処理方式で容易に処理で
きること、併せて、この生物処理方式において余剰汚泥
の発生を抑制しうること、更に、通常の生物処理方式の
調整槽等で発生しやすい悪臭の発生を抑制しうること等
を見いだし、本発明を完成した。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明は、次のような、廃水の処
理方法とその方法で得られる凝集物を主な構成とする。 (a) 糖質と蛋白質とを含む廃水を培養槽にとり、こ
れに有機酸産生能を有する微生物を接種し通気すること
なく培養して、溶解している蛋白質が析出、凝集現象を
示す培養液とし、次いで、該培養液を凝集物と非凝集液
とに分離することを特徴とする廃水の処理方法。 (b) 前(a)の方法で得られる培養液又は非凝集液
を、生物処理方式で発生する余剰汚泥に加えて該汚泥に
含まれる懸濁浮遊物を凝集及び/又は該汚泥に溶解して
いる蛋白質を析出、凝集し、次いで、凝集物と非凝集液
とに分離することを特徴とする廃水の処理方法。 (c) 前(a)及び(b)の方法で得られる非凝集液
を、更に、生物処理方式により処理することを特徴とす
る廃水の処理方法。 (d) 前(a)乃至(c)の方法で得られる凝集物と
その用途。 (e) 前(a)及び(b)の方法で得られる非凝集液
を、更に、生物処理方式により処理することを特徴とす
る余剰汚泥の発生を抑制する方法。 (f) 前(a)及び(b)の方法で得られる非凝集液
を、更に、生物処理方式により処理することを特徴とす
る悪臭の発生を抑制する方法。
【0006】まず、本発明の一実施形態である廃水の処
理工程を示す図1を用いて、本発明の廃水の基本的処理
方法を説明する。図1において、例えば、食品工場等か
ら発生する糖質と蛋白質とを含む廃水(1)を、培養槽
(2)にとり、これに有機酸産生能を有する微生物を接
種して培養し、溶解している蛋白質が析出、凝集現象を
示すようにした培養液(3)を調製する。該培養液を分
離(4)して凝集物(5)と非凝集液(6)とにする。
分離(4)の操作は、デカンテーション法によって上澄
を抜き取る方法であっても、濾過機や遠心脱水機等を用
いる方法であってもよい。このようにして得られた非凝
集液(6)は、COD高負荷の凝集物(5)を除去した
液であって、例えば、通常の活性汚泥で曝気処理する
か、又は絶対嫌気下でメタン発酵する等の生物処理方式
によって容易に処理できることが判明したことから、こ
れをそのまま、調整槽(7)に送り、次いで、生物処理
槽(8)で生物処理を行い、更に、沈澱槽(9)で沈澱
処理される。この上澄(10)が排水基準を満足してい
ることを確認して河川等に放流される。この際、通常、
沈澱槽(9)から余剰汚泥(11)が発生する。
【0007】次に、この余剰汚泥(11)を処理する本
発明の処理方法を述べる。即ち、前述の方法にしたがっ
て、廃水(1)を、培養槽(2)にとり、これに有機酸
産生能を有する微生物を接種して培養して、溶解してい
る蛋白質が析出、凝集現象を示すようにした培養液
(3)を調製する。該培養液を分離(4)して凝集物
(5)と非凝集液(6)とにする。このようにして得た
培養液(3)及び/又は非凝集液(6)を沈澱槽(9)
から発生する余剰汚泥(11)と混合(12)し、次い
で、凝集反応槽(13)で凝集反応を起こさせる。この
際、培養液(3)又は非凝集液(6)量を、余剰汚泥
(11)に対して、通常、10v/v%以上、望ましく
は20v/v%以上混合することにより、余剰汚泥に含
まれる懸濁浮遊物を凝集及び/又は該余剰汚泥に溶解し
ている蛋白質の析出、凝集効果向上の目的を達成するこ
とができる。必要ならば、凝集剤、例えば、キトサン
系、カチオン系やノニオン系等の高分子凝集剤を比較的
少量使用して、凝集反応で生じるフロック形成をより強
固にすることも有利に実施できる。混合(12)の操作
は、培養槽(2)で行うことも、凝集反応槽(13)で
行うことも、必要に応じてこの間に設けることのできる
移送ポンプや配管中で行うことも、更には、混合専用の
槽を設けて行うことも随意である。余剰汚泥(11)の
一部を、必要に応じて、生物処理槽(8)に送り、生物
処理を行うこともできる。余剰汚泥のない場合には、前
述の培養液(3)のみを凝集反応槽(13)で同様に凝
集反応させることも有利に実施できる。凝集反応を完結
させた後、これを分離(4)して、前記と同様に凝集物
(5)と非凝集液(6)とにする。このようにして得ら
れた非凝集液(6)は、前記と同様に通常の生物処理方
式によって容易に処理できることが判明した。
【0008】以下、本発明をより具体的に説明する。
【0009】本発明で用いる廃水としては、糖質及び蛋
白質を含んでいる廃水であって、望ましくは、糖質及び
蛋白質をそれぞれ0.1w/v%(以下、本明細書で
は、特にことわらない限り、w/v%を%と略記す
る。)以上、更に望ましくは、それぞれ0.2%以上を
含む高濃度有機廃水である。糖質としては、有機酸産生
能を有する微生物によって有機酸に変換しうる糖質が望
ましく、また、蛋白質としては、該微生物が産生する有
機酸によって該廃水のpHが酸性側にシフトすることに
より、析出、凝集現象を示す蛋白質、例えば、アルブミ
ン、カゼイン等が望ましい。なお、本明細書でいう糖質
含量及び蛋白質含量は、常法に従って、それぞれ、アン
トロン法、ケールダール法で測定される。
【0010】廃水の具体例としては、例えば、菓子、パ
ン、糖類、酪農製品、酒類、みそ、水産加工品等を生産
する大規模食品工場で発生する高濃度有機廃水のみなら
ず、比較的小規模食品工場で発生する、例えば、豆腐絞
り汁、廃棄豆乳、湯葉廃液、納豆煮汁、廃棄牛乳、米と
ぎ汁、製あん煮汁、うどん煮汁、屠殺場の廃血等少量高
濃度有機廃水等であってもよい。
【0011】本発明に用いる微生物は、有機酸産生能を
有する微生物であれば何を用いてもよく、望ましくは、
乳酸産生能を有する微生物であるか、又は乳酸と共にア
ルコール及び/又は炭酸ガス産生能を有する微生物が好
適である。そのような微生物としては、例えば、乳酸菌
の1種又は2種以上を用いるか、又は該乳酸菌と共に酵
母の1種又は2種以上を用いることも有利に実施でき
る。
【0012】乳酸菌としては、ホモ乳酸菌及びヘテロ乳
酸菌いずれでも用いることができるが、糖質を乳酸、酢
酸などの有機酸と共にアルコール、炭酸ガスに変換する
ことのできるヘテロ乳酸菌の方が廃水のCOD負荷を低
減させる上で有利である。同様に酵母も、アルコールと
共に炭酸ガスを生成することから廃水のCOD負荷低減
に有利に利用できる。具体的には、ホモ乳酸菌として
は、例えば、エンテロコッカス・ファエシウム(Ent
erococcus faecium)FERMBP−
4504、ラクトバチルス・アシドフィラス(Lact
obacillus acidophillus)IF
O 13952、ラクトバチルス・デルブルッキー・サ
ブスピーシーズ・ラクチス(Lactobacillu
s delbrueckii subsp.lacti
s)IFO 3073、ラクトバチルス・ラムノサス
(Lactobacillus rhamnosus)
IFO 3532等が、ヘテロ乳酸菌としては、例え
ば、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacil
lus brevis)IFO 3345、ラクトバチ
ルス・フェルメンツム(Lactobacillus
fermentum)IFO 3071、ラクトバチル
ス・プランタラム(Lactobacilluspla
ntarum)IFO 3070、ラクトバチルス・ビ
リデセンス(Lactobacillus virid
escens)IFO 3949、ロイコノストック・
メセンテロイデス(Leuconostoc mese
nteroides)IFO 3424等が、酵母とし
ては、例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Sacc
haromyces cerevisiae)IFO
0203、チゴサッカロミセス・ルーキシ(Zygos
accharomycesrouxii)IFO 03
20、カンジダ・ウティリス(Candidautil
is)IFO 0396、ピヒア・ファリノーサ(Pi
chia farinosa)IFO 0193等が有
利に利用できる。
【0013】本発明の廃水処理方法は、食品工場等で発
生する糖質及び蛋白質を含有する高濃度有機廃水を、ま
ず、培養槽にとり、これに前記有機酸産生能を有する微
生物を接種して、通気することなく、該微生物を培養す
ればよい。培養槽としては、高濃度有機廃水を貯めるこ
とができ、該微生物を通気することなく生育させること
のできる槽であればよく、発生する高濃度有機廃水の量
にもよるが、従来の生物処理方式に比較して小容量の培
養槽であればよく、その設置場所も小さくてよいという
特徴がある。また、この培養槽は曝気の必要がなく、設
置費、運転経費がきわめて少なく、しかも、培養して得
られる微生物を処理するための特別な設備を必要としな
い特徴をも有している。
【0014】廃水の温度は、微生物が培養できる温度で
あればよく、通常、約5乃至50℃、望ましくは、約1
0乃至40℃の範囲が好ましい。培養期間は、有機酸を
生成し、廃水のpHを酸性側にシフトして溶解している
蛋白質が析出、凝集現象を示すに足る期間であればよ
く、通常0.1乃至10日間である。また、培養液の一
部を、連続的又は間欠的に抜き、これに相当する量の廃
水を補充する連続又は半連続培養方式を採用することも
有利に実施できる。
【0015】このようにして有機酸を生成し、溶解して
いる蛋白質が析出、凝集現象を示した培養液は、凝集反
応槽に導いて凝集効果を高めた後、適宜の分離方法、例
えば、上澄抜き取り法、濾過法、遠心分離法等によって
凝集物と非凝集液とに分離すればよい。
【0016】また、このようにして得られる有機酸でp
Hが酸性側になっている培養液又はそれから分離して得
られる非凝集液を生物処理方式で発生する余剰汚泥に加
えて、汚泥に含まれる懸濁浮遊物を凝集及び/又は該汚
泥に溶解している蛋白質を析出、凝集させ強固なフロッ
クを形成し、凝集力を向上させて沈澱を促進させること
も有利に実施できる。この場合には、従来から使用して
きた凝集剤、例えば、高分子凝集剤等の使用量を大幅に
削減できる特徴も有している。更に、本発明の廃水の処
理方法は、凝集物を除去することによりCOD負荷を低
減している非凝集液が、有機酸の生成により酸性側に大
きくシフトしているにもかかわらず、このまま、生物処
理方式の原水として容易に処理できるという特徴を有し
ている。
【0017】更に、この非凝集液を原水の一部として、
生物処理方式による廃水処理を、望ましくは1ヶ月間以
上運転することにより、明らかに余剰汚泥の発生を抑制
することができることが判明し、3カ月間以上運転すれ
ば、実質的に余剰汚泥の発生がなくなることが判明し
た。また、この非凝集液を原水として用いる本発明の廃
水の処理方法は、調整槽等における悪臭原因物質、例え
ば、アンモニア、スカトール、アミン類等の産生量及び
/又は揮散量が大幅に低減しうることも判明し、悪臭発
生を起こさない特徴をも有している。
【0018】更に、本発明により得られる有機酸でpH
が酸性側になっている凝集物は、該微生物及び蛋白質等
高い栄養分を含んでおり、異臭もなく長期間安定で、こ
れをそのままで、又は更に脱水、乾燥して、家畜、ペッ
ト等飼育動物のための飼料又はその原料に利用すること
も有利に実施できる。また、該凝集物は、果樹、作物等
植物のための有機質肥料、堆肥、又はその原料等として
も有利に利用できる。
【0019】以下、本発明の廃水の処理方法を実施例A
で、その処理方法で得られる凝集物の有用用途を実施例
Bで、具体的に説明する。
【0020】
【実施例A−1】豆腐製造の工場で発生する豆腐絞り汁
は、糖質約2.5%、蛋白質約0.8%、水分約95.
9%及び脂質、灰分等その他の成分約0.8%からなる
pH5.6の廃水であった。この廃水100lをステン
レス製培養槽にとり、37℃に冷却した。別に、この廃
水1lにグルコースを0.5%になるように添加溶解し
たものにラクトバチルス・フェルメンツム(Lacto
bacillus fermentum)IFO 30
71、ラクトバチルス・プランタラム(Lactoba
cillus plantarum)IFO 3070
及びロイコノストック・メセンテロイデス(Leuco
nostoc mesenteroides)IFO
3424を接種し、37℃で20時間培養して種培養液
とし、この種培養液を前記培養槽にとった廃水に接種
し、37℃で16時間通気することなく静置条件下で本
培養した。得られた本培養液は産生された有機酸により
pH3.5になっており、蛋白質の析出、凝集現象を示
すものであった。一方、この工場の活性汚泥方式によ
る、沈澱槽で発生した余剰汚泥は、全活性汚泥濃度(以
下、「MLSS」という。)13,500ppm、pH
5.6であった。予備試験として、該余剰汚泥の凝集力
に与える該培養液の混合割合の影響を調べた。即ち、余
剰汚泥7乃至9lに、培養液(0乃至3l)、水(0又
は3l)及び高分子凝集剤(オルガノ製、商品名『オル
フロック OX−100S』)2.5乃至20gを所定
の割合で混合し、その組み合わせの違いによる凝集性の
強さを調べた。凝集性の強さの判定は、肉眼観察による
フロック形成の大きさと上澄量の大きさから、凝集なし
(−)、弱い凝集(±)、やや強い凝集(+)及び強い
凝集(++)の4段階に分けた。結果は表1にまとめ
た。
【0021】
【表1】
【0022】表1の結果中、テストNo.7とNo.1
2に示すように、余剰汚泥8lに、培養液を2l加える
場合には、強い凝集作用を示すには高分子凝集剤の使用
量が10gでは不充分で、20gを必要とするのに対
し、テストNo.8とNo.13に示すように、余剰汚
泥7lに、培養液を3l加える場合には、高分子凝集剤
の使用量がわずか10gで充分強い凝集反応を示すこと
が判明した。ちなみに、該高分子凝集剤の使用量は、該
余剰汚泥だけを凝集させるには、通常、余剰汚泥10l
当り30g以上を必要とする。
【0023】このように、糖質と蛋白質とを含む廃水に
有機酸産生能を有する微生物を培養して得られる培養液
を余剰汚泥に加えると、汚泥に含まれる懸濁浮遊物を凝
集及び/又は該汚泥に溶解している蛋白質の析出、凝集
させる作用効果が著しく向上し、高価な高分子凝集剤の
使用量を大幅に低減することが判明した。予備試験の結
果に基づいて、余剰汚泥70lに、前記培養方法で得た
本培養液30l及び高分子凝集剤(オルガノ製、商品名
『オルフロック OX−100S』)を100gの割合
で混合し、凝集反応させて強固なフロックを形成し、次
いで、濾過、脱水し、凝集物と非凝集液とを容易に分離
することができた。凝集物は、密封保存することで長期
間(1ヶ月以上)の使用が可能であり、有機質肥料又は
その原料として有利に利用できた。また、非凝集液は、
活性汚泥方式の調整槽に送り、次いで、常法に従って、
活性汚泥方式により曝気槽で曝気処理することにより容
易に処理できた。
【0024】
【実施例A−2】煮豆製造の工場で発生する三色煮豆の
煮汁は、糖質約1.8%、蛋白質約0.7%、水分約9
7.4%及び脂質、灰分等その他の成分約0.1%から
なるpH6.1の廃水であった。この廃水100lを培
養槽にとり、36℃に冷却した。別に、この廃液1lに
エンテロコッカス・ファエシウム(Enterococ
cus faecium)FERM BP−4504、
ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillu
s brevis)IFO 3345及びサッカロミセ
ス・セレビシエ(Saccharomyces cer
evisiae)IFO 0203を接種し36℃で2
0時間培養して種培養液を調製し、これを前記培養槽に
とった廃水に接種し、36℃で24時間静置条件下で本
培養した。得られた本培養液は、産生された有機酸等に
よりpH3.5になっており、溶解している蛋白質の析
出、凝集現象を示すものであった。一方、この工場の活
性汚泥方式による沈澱槽で発生した余剰汚泥は、MLS
S14,900ppm、pH6.9であった。
【0025】まず、実施例A−1の方法に準じて予備試
験を行った。即ち、該余剰汚泥9lに該培養液0又は1
l、水0又は1l及び高分子凝集剤(東亜合成化学工業
製、商品名『アロンフロック C−601』)2.5乃
至10gを所定の割合で混合し、それらの組み合わせの
違いにより、凝集性の強さを調べた。凝集性の強さの判
定は、実施例A−1と同様に行った。結果は表2にまと
めた。
【0026】
【表2】
【0027】表2の結果から明らかなように、とりわ
け、テストNo.2、No.4及びNo.6に示すよう
に余剰汚泥9lに、培養液1lを加える場合、強い凝集
作用を示すには、高分子凝集剤の使用量が2.5gでは
不充分であるが、5gあれば充分足りていることが判明
した。ちなみに、該凝集剤の使用量は、該余剰汚泥だけ
を充分凝集させるには、通常、余剰汚泥10l当り20
g以上を必要とする。
【0028】予備試験の結果に基づいて、該余剰汚泥9
0lに、前記培養方法で得た本培養液10l及び高分子
凝集剤(東亜合成化学工業製、商品名『アロンフロック
C−601』)を50gの割合で混合し、凝集反応さ
せて強固なフロックを形成し、次いで、濾過、脱水し、
凝集物と非凝集液とにきわめて容易に分離することがで
きた。凝集物は、このままで、又は乾燥して有機質肥料
又はその原料として有利に利用できた。また、非凝集液
は、調整槽に送り、次いで、実施例A−1と同様に曝気
槽で曝気処理することにより容易に処理できた。
【0029】
【実施例A−3】湯葉製造工場で発生する湯葉廃液は、
糖質約4.8%、蛋白質約3.5%、水分約87.5%
及び脂質、灰分等その他成分約4.2%からなるpH
5.0の廃水であった。この廃水20lを培養槽にと
り、35℃に冷却し、これに実施例A−1と同様に培養
して調製した種培養液200mlを接種し35℃で24
時間静置条件下で本培養した。得られた本培養液は、産
生された有機酸によりpH3.5になっており、溶解し
ている蛋白質の析出、凝集現象を示すものであった。該
培養液10lに高分子凝集剤(オルガノ製、商品名『オ
ルフロック OX−100S』)15gを加え、混合後
静置して凝集反応させて強固なフロックを形成し、これ
を濾過して、凝集物約3.7Kgと非凝集液約6.3l
とに容易に分離できた。凝集物は、このままで、又は、
乾燥して有機質飼料又はその原料として有利に利用でき
る。また、非凝集液は、水分約96%で調整槽に送り、
常法に従って、絶対嫌気下でメタン発酵処理し、容易に
処理できた。一方、この工場のメタン発酵処理方式によ
る沈澱槽で発生した余剰汚泥は、MLSS10,000
ppm、pH7.1であった。
【0030】該余剰汚泥5lに、前記培養方法で得た本
培養液5l及び高分子凝集剤(東亜合成化学工業製、商
品名『アロンフロック N−107』)10gの割合で
加えて混合し、凝集反応させて強固なフロックを形成
し、次いで、濾過、脱水し、凝集物と非凝集液とにきわ
めて容易に分離できた。凝集物は、このままで、又は乾
燥して、有機質肥料又はその原料として有利に利用でき
た。また、非凝集液は、前述と同様に調整槽に送り、メ
タン発酵による生物処理方式により処理することにより
容易に処理できた。
【0031】
【実施例A−4】牛乳加工工場で発生する濃厚洗浄液
は、糖質約3.2%、蛋白質約2.0%、水分約92.
0%及び脂質、灰分質等その他成分約2.8%からなる
pH6.8の廃水であった。この廃水100lに実施例
A−1と同様に培養して調製した種培養液1lを接種
し、37℃で24時間静置条件下で本培養した。得られ
た本培養液は、産生された有機酸によりpH4.0にな
っており、溶解している蛋白質の析出、凝集現象を示す
ものであった。該培養液を連続遠心して凝集物と非凝集
液とに分離した。凝集物は、蛋白質約21w/w%、糖
質約3w/w%、脂質、灰分等その他成分約1w/w%
及び水分約75w/w%からなる沈殿物で、これは、こ
のままで、又は乾燥して有機質飼料又はそれの原料とし
て有利に利用できた。また、非凝集液は、実施例A−1
と同様に調整槽に送り、生物処理方式により容易に処理
できた。
【0032】
【実施例A−5】実施例A−4に記載する方法と同様に
して得た本培養液に、高分子凝集剤(オルガノ製、商品
名『オルフロック OX−100S』)を1l当たり1
gの割合で添加したものは、該培養液の凝集性を向上
し、実施例A−4の場合とは違って遠心分離するまでも
なく、単に濾布を用いた濾過方法により容易に凝集物と
非凝集液とに分別することが出来た。凝集物は、実施例
A−4の場合と同様に、有機質飼料又はその原料として
有利に利用でき、非凝集液も、実施例A−4の場合と同
様に生物処理方式により容易に処理できた。
【0033】
【実施例A−6】鶏肉加工工場で発生する血液を含む濃
厚洗浄液は、糖質約0.8%、蛋白質約7.2%、水分
約90.3%及び脂質、灰分等その他成分約1.7%か
らなるpH7.2の廃水であった。この廃水50lに、
実施例A−2と同様に培養して調製した種培養液500
mlを接種し、35℃で24時間静置条件下で本培養し
た。得られた本培養液は、産生された有機酸によりpH
4.2になっており、溶解している蛋白質の析出、凝集
現象を示すものであった。該培養液を濾過して、凝集物
と非凝集液とに分離した。凝集物を温風乾燥して、蛋白
質約87.7w/w%、乳酸約0.6w/w%及び脂質
及び灰分等その他成分約1.7w/w%及び水分約10
w/w%の乾燥物を得た。本品は、室温条件で保存安定
性良好で、このままで有機質飼料又はそれの原料として
有利に利用できた。また、非凝集液は、実施例A−2と
同様に調整槽に送り、生物処理方式により容易に処理で
きた。
【0034】
【実施例B−1】実施例A−3の方法で得た湯葉廃液の
本培養液から調製した凝集物10重量部、末粉26.3
重量部、麸26.3重量部、豆腐粕26.0重量部、米
糠8.6重量部、リジン0.3重量部、炭酸カルシウム
1.2重量部、ビタミン剤0.3重量部及びマルトース
1.0重量部を混合して濃厚配合飼料を製造した。本品
は、豚の肥育用飼料として有利に利用できる。
【0035】
【実施例B−2】実施例A−2の方法で、濾過、脱水し
て製造された凝集物20重量部、澱粉糖製造工程で発生
する脱色濾過ケーキ50重量部、菌床粕25重量部及び
市販の牛糞堆肥5重量部を混合し、屋内に堆積し、1週
間に1回の切り返しを3度行った後6カ月間放置し、堆
肥化した有機質肥料を製造した。本品は、花、野菜、果
樹、作物等のための肥料として有利に利用できる。ま
た、本品を乾燥して、粒、球、棒等の形状に成形して利
用することも有利に実施できる。なお、原料である凝集
物のみを、ポリエチレン製袋に脱気して詰めたものは、
室温下で3カ月間経過後も腐敗を起こさず、安定であっ
た。
【0036】
【発明の効果】以上述べてきたように、本発明は、糖質
と蛋白質とを含む廃水を培養槽にとり、これに有機酸産
生能を有する微生物を接種し、通気することなく培養し
て、該廃水に有機酸を生成せしめ、該廃水のpHを酸性
側にシフトして溶解している蛋白質が析出、凝集現象を
示す培養液とし、次いで、該培養液を凝集物と非凝集液
とに分離することを特徴とする廃水処理方法であり、又
は、該培養液又は非凝集液を生物処理方式で発生する余
剰汚泥に加えて、汚泥に含まれる懸濁浮遊物の凝集力及
び/又は該汚泥に溶解している蛋白質の析出、凝集力を
高めることにより、また、前記のCOD高負荷の凝集物
を除去した非凝集液を原水として生物処理方式により廃
水処理することにより、廃水、とりわけ、高濃度有機廃
水の処理能力を著しく向上させることができ、低コス
ト、高効率で処理しうるだけでなく、余剰汚泥の発生を
抑制したり、悪臭の発生を抑制するなど、従来の生物処
理方式の欠点を解消できるのに加えて、この方法で得ら
れる凝集物は異臭もなく長期間安定で、価値のある飼
料、肥料向け用途に有利に提供できる。従って、本発明
の与える影響は大きく、とりわけ、高濃度有機廃水を発
生しその処理に難渋している農産、水産、畜産加工にか
かわる食品業界のみならず、産業廃棄物処理業界、水処
理業界、飼料業界、肥料業界はもちろんのこと、広く、
河川、海洋を含めた環境関連産業に与える工業的意義は
きわめて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である廃水の代表的処理工
程を示す図である。
【符号の説明】
1 廃水 2 培養槽 3 培養液 4 分離 5 凝集物 6 非凝集液 7 調整槽 8 生物処理槽 9 沈澱槽 10 上澄 11 余剰汚泥 12 混合 13 凝集反応槽

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 糖質と蛋白質とを含む廃水を培養槽にと
    り、これに有機酸産生能を有する微生物を接種し通気す
    ることなく培養して、溶解している蛋白質が析出、凝集
    現象を示す培養液とし、次いで、該培養液を凝集物と非
    凝集液とに分離することを特徴とする廃水の処理方法。
  2. 【請求項2】 廃水が、糖質と蛋白質とをそれぞれ0.
    1w/v%以上含有する廃水である請求項1記載の廃水
    の処理方法。
  3. 【請求項3】 廃水が、食品工場で発生する高濃度有機
    廃水である請求項1又は2記載の廃水の処理方法。
  4. 【請求項4】 有機酸産生能を有する微生物が、乳酸産
    生能を有する微生物であるか、又は、乳酸と共にアルコ
    ール及び/又は炭酸ガス産生能を有する微生物である請
    求項1、2又は3記載の廃水の処理方法。
  5. 【請求項5】 微生物として、乳酸菌の1種又は2種以
    上を用いるか、又は該乳酸菌と共に酵母の1種又は2種
    以上を用いることを特徴とする請求項1、2、3又は4
    記載の廃水の処理方法。
  6. 【請求項6】 乳酸菌が、ホモ乳酸菌及び/又はヘテロ
    乳酸菌である請求項5記載の廃水の処理方法。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6記載の廃水の処理方法で
    得られる培養液又は非凝集液を生物処理方式で発生する
    余剰汚泥に加えて、汚泥に含まれる懸濁浮遊物を凝集及
    び/又は該汚泥に溶解している蛋白質を析出、凝集し、
    次いで、凝集物と非凝集液とに分離することを特徴とす
    る廃水の処理方法。
  8. 【請求項8】 培養液又は非凝集液を余剰汚泥に対して
    10v/v%以上混合することを特徴とする請求項7記
    載の廃水の処理方法。
  9. 【請求項9】 凝集剤を使用して凝集効果を更に高めて
    凝集物と非凝集液とに分離することを特徴とする請求項
    1乃至8記載の廃水の処理方法。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至9記載の廃水の処理方法
    で得られる非凝集液を、更に、生物処理方式により処理
    することを特徴とする廃水の処理方法。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至9記載の処理方法で得ら
    れる非凝集液を、更に、生物処理方式により処理して余
    剰汚泥の発生を抑制することを特徴とする廃水の処理方
    法。
  12. 【請求項12】 請求項1乃至9記載の処理方法で得ら
    れる非凝集液を、更に、生物処理方式により処理して悪
    臭の発生を抑制することを特徴とする廃水の処理方法。
  13. 【請求項13】 請求項1乃至12記載の廃水の処理方
    法で得られる凝集物。
  14. 【請求項14】 請求項13の凝集物を原料とする有機
    質飼料又は有機質肥料。
  15. 【請求項15】 請求項1乃至9記載の処理方法で得ら
    れる非凝集液を、更に、生物処理方式により処理するこ
    とを特徴とする余剰汚泥の発生を抑制する方法。
  16. 【請求項16】 請求項1乃至9記載の処理方法で得ら
    れる非凝集液を、更に、生物処理方式により処理するこ
    とを特徴とする悪臭の発生を抑制する方法。
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