JP2008178841A - 「ゆ」の処理方法及びそれにより得られる液肥・脱臭液 - Google Patents
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Abstract
【課題】豆腐・凍り豆腐・油揚げ類の生産に伴い、大量に排出される「ゆ」の液肥化・脱臭液化処理又は河川放流が可能な程度までの浄化処理を行う。
【解決手段】豆腐・凍り豆腐・油揚げ生地などを製造する過程で排出される「ゆ」を栄養源にして、強力曝気を行いつつ、pHを上げる能力のあるバチルス菌により分解させる。バチルス菌としては、「バチルス・サブチルス」又は「バチルス・チューリンゲンシス」を主体としたものを使用することができる。
【選択図】なし
【解決手段】豆腐・凍り豆腐・油揚げ生地などを製造する過程で排出される「ゆ」を栄養源にして、強力曝気を行いつつ、pHを上げる能力のあるバチルス菌により分解させる。バチルス菌としては、「バチルス・サブチルス」又は「バチルス・チューリンゲンシス」を主体としたものを使用することができる。
【選択図】なし
Description
本発明は、豆腐・凍り豆腐・油揚げ生地などを製造するときに大量に排出される「ゆ」の処理方法に関する。処理後の製品は、液肥や脱臭液として使用可能であり、また、河川放流が可能な程度まで浄化されている。
例えば、木綿豆腐及び焼き豆腐等は次のようにして製造される。すなわち、先ず、大豆から豆乳を製造する。この豆乳に、ニガリ、塩化マグネシウム、グルコノデルタラクトン、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、及び塩化カルシウム等の凝固剤等を添加することにより、豆乳を凝固させる。得られる凝固物を重し又は圧搾装置で加圧することにより余分な液をその凝固物から絞り出す。絞り出しを終えて取り出された固形物が豆腐である。
この凝固物から絞り出された液を「ゆ」という。この「ゆ」を凝固物から絞り出す工程において、木綿豆腐の製造においては、水分量比で10〜20重量%の「ゆ」が絞り出され、厚揚げの製造においては、水分量比で20〜30重量%の「ゆ」が絞り出され、凍り豆腐の製造においては、水分量比で約70%重量%の「ゆ」が絞り出され、油揚げ類の製造においては、水分量比で70〜80重量%もの「ゆ」が絞り出されている。
豆腐・凍り豆腐・油揚げ類の製造工程から大量に排出される「ゆ」は、現状では、再利用もされずに、他の処理水などとともに汚水処理設備に送られ、廃棄処理されている。
このような事情に鑑み、下記特許文献1は、三段階の発酵工程で刈草を堆肥化し、同堆肥から浸出液を回収発酵処理して液肥とする発明を提案している。刈草の発酵には発酵微生物を使用し、刈草に不足する成分を補うため食品不要物と木材不要物の何れかもしくは双方を使用している。「食品不要物」として、おからが例示されている([0021])。
特許第3417556号
この特許文献1の従来技術では、次のような問題がある。
(1)この従来技術は、出発原料として、刈草、食品不要物及び/又は木材不要物を使用する。これらの原料は、一定品質なものを提供・保持することは難しいため、原料のバラツキが起こる。さらに、原料の中には、発酵しやすいもの、しにくいもの、等が雑多に含まれるため、それらの原料の1次・2次発酵の条件の組合せによる違いから、浸出液にもバラツキが生じる。そのため、最終製品である液肥成分にもバラツキが生じる。
(2)この従来技術は、1次・2次・3次に渡る長期の発酵技術である。1次2次発酵から出る浸出液は腐敗に近いもので、嫌気性発酵部分から流出した液が大半である。したがって、嫌気的なため臭気が強い。悪臭の源は、インドールやスカトール・アンモニア・硫化水素などの発生によるものである。脱臭のためには、さらに長期に曝気しなければならない。
(3)3次発酵後、製品はリグニン由来の茶色が濃く出て、簡単には消えない。また、製品には生物化学的酸素要求量(BOD)、窒素が高いままで残存している。これらの理由により、そのままでは、河川に放流することができない。
(1)この従来技術は、出発原料として、刈草、食品不要物及び/又は木材不要物を使用する。これらの原料は、一定品質なものを提供・保持することは難しいため、原料のバラツキが起こる。さらに、原料の中には、発酵しやすいもの、しにくいもの、等が雑多に含まれるため、それらの原料の1次・2次発酵の条件の組合せによる違いから、浸出液にもバラツキが生じる。そのため、最終製品である液肥成分にもバラツキが生じる。
(2)この従来技術は、1次・2次・3次に渡る長期の発酵技術である。1次2次発酵から出る浸出液は腐敗に近いもので、嫌気性発酵部分から流出した液が大半である。したがって、嫌気的なため臭気が強い。悪臭の源は、インドールやスカトール・アンモニア・硫化水素などの発生によるものである。脱臭のためには、さらに長期に曝気しなければならない。
(3)3次発酵後、製品はリグニン由来の茶色が濃く出て、簡単には消えない。また、製品には生物化学的酸素要求量(BOD)、窒素が高いままで残存している。これらの理由により、そのままでは、河川に放流することができない。
本発明は、これらの問題を解決することを目的とし、豆腐・凍り豆腐・油揚げ類の生産に伴い、大量に排出される「ゆ」の液肥化・脱臭液化処理又は河川放流が可能な程度までの浄化処理を行うことを目的とする。
本発明に係る「ゆ」の処理方法は、豆腐・凍り豆腐・油揚げ生地などを製造する過程で排出される「ゆ」を栄養源にして、強力曝気を行いつつ、pHを上げる能力のあるバチルス菌を主体とする微生物により分解させることを特徴とする。
本発明では、原材料の「ゆ」を一段階だけの発酵で直接液肥にすることができるので処理時間が短縮される。また、原料に一定品質の「ゆ」だけを使うことで、成分が安定し一定品質の液肥が得られる。また、ミネラルを添加することによりバチルス菌の高濃度胞子化も促進できる。
本発明によって得られる、バチルス菌とその代謝産物を含んだ液肥は、作物の成長促進・病害虫の防除・食味の改善・雑草除外・土中の切り株の分解促進・消臭などの効果がある。
さらに、本発明製品は、曝気を停止して脱窒素運転を行うことにより、生物化学的酸素要求量(BOD)、窒素含有量は低くなるので、そのまま河川放流することも十分可能である。
1.栄養源
「ゆ」には、原料大豆の5〜6%の物質が移行しており、その内の60〜65%が粗タンパク質で、残りの35〜40%が糖質であるといわれている。「ゆ」には、糖質に含まれるポリフェノール類やタンパク質を分解してできるアミノ酸が豊富に含まれている。タンパク質は、リジン・ロイシン・イソロイシン・バリン・スレオニン・トリプトファン・芳香族アミノ酸・含硫アミノ酸などであり、糖質は約50%がイソフラボンとその配糖体・サポニンである。
「ゆ」には、原料大豆の5〜6%の物質が移行しており、その内の60〜65%が粗タンパク質で、残りの35〜40%が糖質であるといわれている。「ゆ」には、糖質に含まれるポリフェノール類やタンパク質を分解してできるアミノ酸が豊富に含まれている。タンパク質は、リジン・ロイシン・イソロイシン・バリン・スレオニン・トリプトファン・芳香族アミノ酸・含硫アミノ酸などであり、糖質は約50%がイソフラボンとその配糖体・サポニンである。
この「ゆ」の濃度は、一般的にBx1〜4%程度の非常に低い濃度のものであるが、その内容は、上記のようにタンパク質と糖質の多様な成分が含まれており、微生物が分解するには大変バランスの良い培地になっている。
原料の「ゆ」は、豆腐・凍り豆腐・油揚げ類の生産工程から排出されるとき、40℃以上の水温があるので、この水温を利用して発酵を行わせることが好ましいが、常温で行うこともできる。
2.使用するバチルス菌
自然界にあるバチルス菌には、ばらつきがあるので、次のような菌を使用することが好ましい。
A)糖質・タンパク質の分解能力の高いバチルス菌
B)pHを上げる能力のあるバチルス菌
C)抗カビ作用のあるバチルス菌
D)殺虫効果のあるバチルス菌など。
自然界にあるバチルス菌には、ばらつきがあるので、次のような菌を使用することが好ましい。
A)糖質・タンパク質の分解能力の高いバチルス菌
B)pHを上げる能力のあるバチルス菌
C)抗カビ作用のあるバチルス菌
D)殺虫効果のあるバチルス菌など。
3.1 バチルス菌の選定方法
使用するバチルス菌は、糖質分解や肉片の分解能力の高さを調べて選定を行う。発明者らは、長年活性汚泥由来のバチルス菌の研究にたずさわっており、この中で分解酵素活性・拮抗作用の強い性質を持ち、栄養豊富な中で定着性が非常に高い菌を確保することができるようになった。
使用するバチルス菌は、糖質分解や肉片の分解能力の高さを調べて選定を行う。発明者らは、長年活性汚泥由来のバチルス菌の研究にたずさわっており、この中で分解酵素活性・拮抗作用の強い性質を持ち、栄養豊富な中で定着性が非常に高い菌を確保することができるようになった。
このような菌の能力評価は、特許第3174518号の方法によって行っている。
(1)分解能力試験
有機廃水の成分としては、大きく分けて糖質、タンパク質、脂質であり、バチルス菌がこれらを分解できるか、できないかで液肥の良し悪しが決まる。
有機廃水の成分としては、大きく分けて糖質、タンパク質、脂質であり、バチルス菌がこれらを分解できるか、できないかで液肥の良し悪しが決まる。
一般的に、菌の数はよく言われるが、分解の能力の大小を言う診断方法は無く、同じバチルス・サブチルスであればどれでも能力は同じと考えられている。しかし、澱粉・クックドミートを分解する速度と分解する量は、菌によってそれぞれ違うため、菌の分解速度・分解量を測定して、能力の高いバチルス菌を選んで、使用することが好ましい。
(2)抗菌、抗カビ能力試験
寒天培地に菌またはカビを塗り、その上に滅菌したデイスクを置き、デイスクに廃水処理の活性汚泥と良質な堆肥から単離したバチルス菌をしみ込ませて培養する。
寒天培地に菌またはカビを塗り、その上に滅菌したデイスクを置き、デイスクに廃水処理の活性汚泥と良質な堆肥から単離したバチルス菌をしみ込ませて培養する。
デイスクの周りに細菌及びカビが生育しない阻止円ができていると、抗菌・抗カビの能力があるバチルス菌と判断する。
(3)消臭効果試験
生成液を散布して、現場で行う臭気測定試験である。試験結果は下記のそれ自体公知の下記方法により測定及び表示することができる。
1)機器分析法
・ガスクロマトグラフ法
・検知管法(高濃度の場合)
2)官能試験法
・六段階臭気強度表示法
・三点比較式臭袋法
生成液を散布して、現場で行う臭気測定試験である。試験結果は下記のそれ自体公知の下記方法により測定及び表示することができる。
1)機器分析法
・ガスクロマトグラフ法
・検知管法(高濃度の場合)
2)官能試験法
・六段階臭気強度表示法
・三点比較式臭袋法
(4)好ましいバチルス菌
現時点において、本発明の目的にふさわしいと考えられる微生物は、バチルス属(Genus Bacillus)に属する1種以上である。このバチルス属に属する微生物としては、特に、バチルス・サブチルス(Bacillus subtilis)、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)、バチルス・メガトリウム(Bacillus megaterium)のうち一種以上を用いることが、本発明には好ましい。この中においても、バチルス・サブチルスは、特に、発酵を促進させる発酵分解力の高いものとされる。そこで、発酵微生物として、バチルス・サブチルスの一種もしくは、少なくともバチルス・サブチルスを含むバチルス属に属する2種以上のものを主体として用いることが特に望ましい。
現時点において、本発明の目的にふさわしいと考えられる微生物は、バチルス属(Genus Bacillus)に属する1種以上である。このバチルス属に属する微生物としては、特に、バチルス・サブチルス(Bacillus subtilis)、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)、バチルス・メガトリウム(Bacillus megaterium)のうち一種以上を用いることが、本発明には好ましい。この中においても、バチルス・サブチルスは、特に、発酵を促進させる発酵分解力の高いものとされる。そこで、発酵微生物として、バチルス・サブチルスの一種もしくは、少なくともバチルス・サブチルスを含むバチルス属に属する2種以上のものを主体として用いることが特に望ましい。
(5)バチルス菌以外に使用可能な微生物
バチルス菌の他には、バチルス菌と共生するシュードモナス属菌(Pseudomonas)も植物育成促進根圏細菌(PGPR)であり、本発明の方法に使用可能である。シュードモナス属菌は抗菌性物質トロポロン(tropolone)を産生する。
バチルス菌の他には、バチルス菌と共生するシュードモナス属菌(Pseudomonas)も植物育成促進根圏細菌(PGPR)であり、本発明の方法に使用可能である。シュードモナス属菌は抗菌性物質トロポロン(tropolone)を産生する。
3.添加するミネラル類
菌と同時にミネラル類を添加することで、発酵の速度を上げ、バチルス菌の増殖と高濃度胞子化を一層促進することができる。ミネラルを添加しないとバチルス菌の胞子数は103個/ml程度にしかならないが、適切なミネラルを添加すると、105個/ml以上、さらに処理条件、ミネラルの成分、添加量によっては、1010個/ml以上の高濃度となる。
菌と同時にミネラル類を添加することで、発酵の速度を上げ、バチルス菌の増殖と高濃度胞子化を一層促進することができる。ミネラルを添加しないとバチルス菌の胞子数は103個/ml程度にしかならないが、適切なミネラルを添加すると、105個/ml以上、さらに処理条件、ミネラルの成分、添加量によっては、1010個/ml以上の高濃度となる。
ミネラル類としては、鉄、カルシウム、ケイ酸、ナトリウム、カリウム、マグネシウムなどが菌の増殖を促進させる物質として欠かせないものである。これらは、原料の「ゆ」の中にもあるが、量的に不足するものもあり、それらを検討した上で別途添加することが好ましい。
4.液肥の作り方
原料の「ゆ」、バチルス菌を主体とする有用細菌、ミネラルをタンクに入れて、曝気を行う。pHが低かったり、酸素が少なかったりすると乳酸菌が発生して、液肥化を妨げる。そのため、発泡が激しくなるが、最初に強力曝気を行うと共に、pHを上げる能力のあるバチルス菌を入れる。
原料の「ゆ」、バチルス菌を主体とする有用細菌、ミネラルをタンクに入れて、曝気を行う。pHが低かったり、酸素が少なかったりすると乳酸菌が発生して、液肥化を妨げる。そのため、発泡が激しくなるが、最初に強力曝気を行うと共に、pHを上げる能力のあるバチルス菌を入れる。
強力曝気は少なくとも24時間以上、好ましくは48時間以上行う。強力曝気の時間が短いと酸素不足となり、乳酸菌の増殖が促進されるので、分解が遅くなって、処理ができなくなるおそれがある。強力曝気は、槽1m3に対して1時間当たり1m3以上の空気を送って行う。好ましくは、1時間当たり3m3以上の空気を送り、溶存酸素(DO)を1mg/l以上に保つ。
発酵のために好ましいpHの範囲は7〜8であるので、pHを上げる能力のあるバチルス菌を入れることにより、酸性の栄養源を使用していてもpHを7以上の中性又はアルカリ性に上げられるようにする。
好気性発酵においては、負荷の高い物を入れると、嫌気性となり液肥になりにくい状況が生まれたり、乳酸菌が発生したりして発酵が停止してしまう事態が起きる可能性がある。
時間が経つと、栄養源である「ゆ」が分解されて、発泡が収まってくる。発泡が収まってきたら、曝気量を減らす。バチルス菌は栄養源を消費するとミネラルのある状況下で胞子化するため、位相差顕微鏡でバチルス菌の胞子を確認して胞子化していれば、液肥の完成である。胞子化の割合として30%以上あれば完成とするが、長期保存の場合は80%が好ましい。
バチルス菌は、胞子を形成する時に殺虫効果のあるタンパク質などを形成するので、そのために胞子の形成が必要となる。また、完成した液肥に中のバチルス菌が、胞子の形で保存されることにより、菌が減ることも死滅することもなくなる。
バチルス菌が高濃度化・胞子化することにより、10年以上長期保存が可能になる。もし菌が腐敗・死滅した場合、機能効果にバラツキが生じるため、胞子化することは重要である。
液肥の完成は、経験的には、液肥の臭い・色などで判断することができる。「臭気が消える」ということは、廃液の持っている栄養分が、ほぼ完全に分解されてしまうために起こることである。「色」は、分解が進み完成すると、液の透明度が高まり、添加されたバチルス由来の色素が若干見られる状況になる。
5.最終製品の機能
(1)液肥
本発明の液肥には、植物成長促進、病害虫防除及び土中の切り株分解促進効果が認められる。
(イ)植物成長促進
本発明の液肥には窒素分はほとんどない。菌による代謝産物だけの効果で、成長促進ができる。
(ロ)病害虫防除
本発明の液肥にはポリフェノールによる同様の抗菌効果はあるが、それは大豆イソフラボンなどに由来するものと、バチルス・チューリンゲンシスの生産する殺虫性のタンパク質との相乗効果のためであると考えられる。
(1)液肥
本発明の液肥には、植物成長促進、病害虫防除及び土中の切り株分解促進効果が認められる。
(イ)植物成長促進
本発明の液肥には窒素分はほとんどない。菌による代謝産物だけの効果で、成長促進ができる。
(ロ)病害虫防除
本発明の液肥にはポリフェノールによる同様の抗菌効果はあるが、それは大豆イソフラボンなどに由来するものと、バチルス・チューリンゲンシスの生産する殺虫性のタンパク質との相乗効果のためであると考えられる。
(2)脱臭液
脱臭効果が生じるのは次の理由によるものと考えられる。
(イ)菌の分解によるもの
臭気成分の硫化水素・アンモニアは、菌が増殖するためのタンパク質合成の硫黄源・窒素源として菌自体が取り込む。
(ロ)酵素によるもの
上記の菌が有機物の分解のため自ら酵素を生産する。この代謝産物としての酵素があると、廃液の分解が即始まる。
(ハ)処理水の吸着効果によるもの
菌自体が持っている凝集性のあるタンパク質が、水に溶けて吸着性のある水に変化し、吸着消臭効果が得られる。
脱臭効果が生じるのは次の理由によるものと考えられる。
(イ)菌の分解によるもの
臭気成分の硫化水素・アンモニアは、菌が増殖するためのタンパク質合成の硫黄源・窒素源として菌自体が取り込む。
(ロ)酵素によるもの
上記の菌が有機物の分解のため自ら酵素を生産する。この代謝産物としての酵素があると、廃液の分解が即始まる。
(ハ)処理水の吸着効果によるもの
菌自体が持っている凝集性のあるタンパク質が、水に溶けて吸着性のある水に変化し、吸着消臭効果が得られる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明を限定するものではない。
豆腐製造工場で発生する豆腐絞り汁(ゆ)は、糖質約2.5%、タンパク質約0.8%、脂質・灰分等その他成分約0.8%、水分95.9%からなるpH5.6、BOD約15000mg/lの廃水であった。
この廃水を300リットル液肥製造装置に入れ、廃水処理施設の活性汚泥と良質な堆肥から単離した、糖質・タンパク質の分解能力が高く、pHを上げる性質があり、抗カビ・殺虫効果のあるバチルス・サブチルス、バチルス・チューリンゲンシスの培養液を100ml、ミネラル剤50mg添加して、曝気装置で曝気をおこない、好気性処理により液肥化をおこなった。
「ゆ」は腐敗しやすいため最初に曝気強度を3立米/H以上に設定して、腐敗を抑え、48時間以上経過後、曝気強度を下げて曝気を継続した。最初の段階では、有機物の分解に伴い発泡が激しいため消泡装置を稼動させた。
廃水の性質上自然界からの乳酸菌が発生しやすく、液肥化を妨げるため、pHを上げる効果のあるバチルス・サブチルスを添加して、乳酸菌が増殖しないようにした。
液肥の完成判断は、バチルス菌は栄養分を分解するとミネラルの存在下で胞子化する事が知られており、位相差顕微鏡で胞子の確認を行ったほか、廃水の臭いが無くなり液肥の色の変化をもって、判断基準とした。完成した液肥のpHは7.4で弱アルカリ性であった。
液肥の完成期間は、廃水のBOD濃度・曝気風量・温度にも左右されるが、およそ2週間以上を目安とした。
完成した液肥を農作物に散布することにより、生育促進効果、カビに起因するうどん粉病などに効果が認められた。
こまつ菜による生育調査結果
1、試験方法
サンプリングしてきた畑の土壌、土壌に市販されている堆肥を混ぜたもの、土壌に市販されている堆肥を混ぜその上から本発明の液肥を散布したもの、の三通りのポット各2個に、こまつ菜の種を蒔き15日後の生育調査を行った。市販堆肥は、豚糞発酵肥料で、窒素全量2.7%、リン酸全量6.2%、カリ全量2.2%、C/N比8のものを使用した。施肥量は各ポットとも窒素の量が50mg/ポットとなる。
2.試験結果
3.結果
こまつ菜の生育試験の結果、畑の土壌に何も混ぜないものを100とした場合、畑の土壌に市販の堆肥を混ぜたものは113であるが、堆肥と本発明の液肥を使つたものは120となり、明らかに生育促進の効果が認められた。堆肥は窒素を2.7%含有するので成長促進効果は窒素が要因であると考えられる。液肥は窒素が0.002%程度と少ないため、窒素が原因ではなく、バチルス菌の代謝産物に含まれる物質が成長促進効果をもたらしたと考えられる。
1、試験方法
サンプリングしてきた畑の土壌、土壌に市販されている堆肥を混ぜたもの、土壌に市販されている堆肥を混ぜその上から本発明の液肥を散布したもの、の三通りのポット各2個に、こまつ菜の種を蒔き15日後の生育調査を行った。市販堆肥は、豚糞発酵肥料で、窒素全量2.7%、リン酸全量6.2%、カリ全量2.2%、C/N比8のものを使用した。施肥量は各ポットとも窒素の量が50mg/ポットとなる。
2.試験結果
こまつ菜の生育試験の結果、畑の土壌に何も混ぜないものを100とした場合、畑の土壌に市販の堆肥を混ぜたものは113であるが、堆肥と本発明の液肥を使つたものは120となり、明らかに生育促進の効果が認められた。堆肥は窒素を2.7%含有するので成長促進効果は窒素が要因であると考えられる。液肥は窒素が0.002%程度と少ないため、窒素が原因ではなく、バチルス菌の代謝産物に含まれる物質が成長促進効果をもたらしたと考えられる。
また、畑に散布することにより、土壌の団粒構造に改善、除草効果が認められた。
豆腐製造工場で発生する豆腐絞り汁(ゆ)は、糖質約2.5%、タンパク質約0.8%、脂質・灰分等その他成分約0.8%、水分95.9%からなるpH5.6、BOD約15000mg/lの廃水であった。
この廃水を300リットル液肥製造装置に入れ、廃水処理施設の活性汚泥と良質な堆肥から単離した、糖質・タンパク質の分解能力が高く、pHを上げる性質があり、抗カビ・殺虫効果のあるバチルス・サブチルス、バチルス・チューリンゲンシスの培養液を100ml、ミネラル剤50mg添加して、曝気装置で曝気をおこない、好気性処理により液肥化をおこなった。
「ゆ」は腐敗しやすいため最初に曝気強度を3立米/H以上に設定して、腐敗を抑え、48時間以上経過後、曝気強度を下げて曝気を継続した。最初の段階では、有機物の分解に伴い発泡が激しいため消泡装置を稼動させた。
廃水の性質上自然界からの乳酸菌が発生しやすく、液肥化を妨げるため、pHを上げる効果のあるバチルス・サブチルスを添加して、乳酸菌が増殖しないようにした。
タンパク質分解過程で発生したアンモニアが、硝酸に酸化されるため、硝酸濃度が上ったところで曝気を停止して脱窒運転を行い、硝酸を窒素ガスにして大気に放出させた。
単に液肥目的で使うには何ら問題はないが、脱臭目的で使用するために、脱窒を行い脱臭液として使える品質を確保するための処置である。
液肥の完成判断は、バチルス菌は栄養分を分解するとミネラルの存在下で胞子化する事が知られており、位相差顕微鏡で胞子の確認を行ったほか、パックテストで硝酸値を検査した。また、廃水の臭いが無くなり、液肥の色の変化なども判断基準とした。
液肥の完成期間は、廃水のBOD濃度・曝気風量・温度にも左右されるが、およそ5日以上、好ましくは2週間以上を目安とした。
完成した液肥を家庭からゴミとして出る廃プラスチック処理工場のストックヤードにおいて、選別ラインの臭気対策目的で廃プラスチックに噴霧した。その結果、腐敗臭が減少して、ベトベトして床に堆積していた汚泥が段々溶け出して、コンクリートの床が見えるほどにきれいになった。また、夏場に多かったハエが減少した。
廃プラスチック処理工場臭気測定結果
試験場所:ストックヤード
北川式検知管による測定 (臭気の単位 ppm)
測定中、廃プラスチックの投入があり、途中で臭気が高くなったが、散布前と比較すると明らかに臭気は低くなっている。
試験場所:ストックヤード
北川式検知管による測定 (臭気の単位 ppm)
Claims (10)
- 豆腐・凍り豆腐・油揚げ生地などを製造する過程で排出される「ゆ」を栄養源にして、強力曝気を行いつつ、バチルス菌を主体とする微生物により分解させることを特徴とする「ゆ」の処理方法。
- 豆腐・凍り豆腐・油揚げ生地などを製造する過程で排出される高温の「ゆ」をそのまま使用する請求項1記載の方法。
- 最初の段階で強力曝気を少なくとも24時間以上行う請求項1又は2記載の方法。
- 栄養源である「ゆ」が分解されて、発泡が収まってきたら、曝気量を減らす請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
- 前記バチルス菌によりpHを7〜8に上げて分解を行う請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
- 前記バチルス菌が、「バチルス・サブチルス」又は「バチルス・チューリンゲンシス」を主体としたものである請求項1ないし5のいずれかに記載の方法。
- 前記バチルス菌と同時にミネラル類を添加する請求項1ないし6のいずれかに記載の方法。
- 請求項1ないし7の何れかの方法により製造される処理液。
- 液肥である請求項8記載の処理液。
- 脱臭液である請求項8記載の処理液。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007015928A JP2008178841A (ja) | 2007-01-26 | 2007-01-26 | 「ゆ」の処理方法及びそれにより得られる液肥・脱臭液 |
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---|---|---|---|
JP2007015928A Pending JP2008178841A (ja) | 2007-01-26 | 2007-01-26 | 「ゆ」の処理方法及びそれにより得られる液肥・脱臭液 |
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JP (1) | JP2008178841A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011200765A (ja) * | 2010-03-24 | 2011-10-13 | Prima Meat Packers Ltd | 微生物を用いた排水処理方法 |
CN104673675A (zh) * | 2013-11-28 | 2015-06-03 | 天津工业大学 | 一种绿色微生态复合肥及其制备方法 |
JP2017024973A (ja) * | 2015-07-17 | 2017-02-02 | 株式会社アイエイアイ | 有機肥料養液の製造方法及び製造装置 |
Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS4926481A (ja) * | 1972-07-10 | 1974-03-08 | ||
JPH09234454A (ja) * | 1995-12-31 | 1997-09-09 | Tsutomu Nishimura | 生ごみの処理方法及び処理機 |
JPH1147790A (ja) * | 1997-08-01 | 1999-02-23 | Hayashibara Biochem Lab Inc | 廃水の処理方法とその方法で得られる凝集物 |
JP2002001384A (ja) * | 2000-06-15 | 2002-01-08 | Shinko Pantec Co Ltd | 有機性廃水の処理方法及びその処理装置 |
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-
2007
- 2007-01-26 JP JP2007015928A patent/JP2008178841A/ja active Pending
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