JP3351092B2 - 感熱孔版印刷用スクリーン紗支持体 - Google Patents

感熱孔版印刷用スクリーン紗支持体

Info

Publication number
JP3351092B2
JP3351092B2 JP07499894A JP7499894A JP3351092B2 JP 3351092 B2 JP3351092 B2 JP 3351092B2 JP 07499894 A JP07499894 A JP 07499894A JP 7499894 A JP7499894 A JP 7499894A JP 3351092 B2 JP3351092 B2 JP 3351092B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
melting point
heat
screen gauze
point component
low
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP07499894A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07276840A (ja
Inventor
貴義 恩田
明 木代
基忠 福原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP07499894A priority Critical patent/JP3351092B2/ja
Publication of JPH07276840A publication Critical patent/JPH07276840A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3351092B2 publication Critical patent/JP3351092B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)
  • Treatment Of Fiber Materials (AREA)
  • Multicomponent Fibers (AREA)
  • Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)
  • Woven Fabrics (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は感熱孔版印刷用スクリー
ン紗支持体に関する。特にポリエステルフィルムとの熱
接着性に優れた感熱孔版印刷用スクリーン紗支持体に関
する。
【0002】
【従来の技術】感熱孔版印刷用原紙(以下、単に感熱孔
版用原紙という)の基本構成物はフィルムと多孔性支持
体の2部材であり、これらが互いに緊密に積層接着され
ていることが必須である。その理由は穿孔性を得るため
に通常、フィルムの厚さは10μm以下の極薄品である
ため、単独では強力が低く取扱いが不便であるのみなら
ず、穿孔時の熱による変形や歪み、あるいは非穿孔部の
脱落が生じるため支持体が必要とされるのである。フィ
ルムと多孔性支持体との積層構造を固定するために、接
着剤を使用する必要があった。このため接着剤の選定
と、その塗布方法や両部材の積層の方法が感熱孔版用原
紙の品質を左右する重要な要因となっていた。すなわ
ち、接着剤の量は穿孔感度に影響を与え、穿孔性を左右
するほかに穿孔後に残渣が発生しやすく、インクの通過
性が妨げられ鮮明な印刷物が得難い。また、接着剤は一
般的には耐溶剤性に問題があり、使用可能なインクが制
約されるなどの欠点がある。さらに、フィルムおよび/
または多孔性支持体への接着剤塗布・乾燥が必要であ
り、工程が複雑化することや塗布の均一性を得るための
工程管理上の問題があった。
【0003】また多孔性支持体としては、例えばマニラ
麻、ポリエステル繊維の薄葉紙や不織布が一般に多用さ
れているが、インクの目詰まりが発生しやすいという欠
点がある。
【0004】これらの欠点を解消するため、寸法安定性
が良好でオープニングが均一である特長を生かしてポリ
エステル繊維からなるスクリーン紗が多孔性支持体とし
て使用されるようになってきたが、薄葉紙や不織布に比
較して積層されるフィルム表面との接触面積が小さくな
るため、接着強度が低くなりやすい。このため接着剤の
量を多くする必要から、フィルムの熱穿孔感度が低下す
ると共に穿孔部が残渣等で塞がれるためインクの透過が
妨げられ、鮮明な印刷物が得られないという欠点があっ
た。
【0005】また、熱接着性複合フィラメントを印刷ス
クリーン用メッシュ織物として用いた例は、特開平4−
136232号公報などで知られている。この技術はタ
テ糸およびヨコ糸に鞘成分を低融点ポリマとする芯鞘型
複合フィラメントを用いたメッシュ織物であり、交点で
タテ,ヨコの芯糸が互いに密着し、その表面をタテ糸お
よびヨコ糸の鞘成分が一体となって覆い、交点がタテ糸
およびヨコ糸と表面的に一体化されているものである。
そして、その目的はスクリーン用メッシュ織物を構成す
るタテ糸とヨコ糸の交点の熱接着により目ずれを防止せ
んとするものである。
【0006】しかしながら、かかるメッシュ織物をポリ
エステルフィルムと積層熱接着するための感熱孔版用支
持体として用いるには、その織物のタテ糸とヨコ糸の交
点の熱接着が強固でありすぎ、織物としての柔軟性に欠
けるという欠点があった。そのため、フィルムとの積層
熱接着工程において斜行しやすく皺が入り、歩留まりが
極めて悪いという問題があり、一方,ポリエステルフィ
ルムと積層熱接着した後の曲げ剛さが大きく、リソグラ
フ等による印刷時に円筒ドラムへの装着性が悪く、また
使用後の廃棄処分で嵩張るという問題が生じる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
した従来技術の問題点に鑑み、ポリエステルフィルムと
の接着性が良好で、かつ穿孔感度および柔軟性に優れた
印刷用原紙を得るための感熱孔版印刷用スクリーン紗支
持体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記した本発明の目的
は、感熱孔版印刷用スクリーン紗支持体を構成するタテ
糸またはヨコ糸の少なくとも一方が、高融点成分と低融
点成分からなる複合モノフィラメントであって、その複
合モノフィラメントが、それを構成する高融点成分に融
点250℃以上のポリエステルを用いて3カ所以上の凹
部を有する多葉断面形状であり、その高融点成分の凹部
に低融点成分として融点170〜230℃のポリエステ
ルを配置した実質的に円形断面からなり、かつ低融点成
分の複合比率が面積比において10〜50%、外周長比
において40〜85%であることを特徴とする感熱孔版
印刷用スクリーン紗支持体によって達成することができ
る。以下、本発明を詳細に説明する。本発明の感熱孔版
印刷用スクリーン紗支持体(以下、単にスクリーン紗と
いう)は、タテ糸またはヨコ糸の少なくとも一方がポリ
エステルの複合モノフィラメントで構成されている。そ
の複合モノフィラメントの横断面(以下、単に断面とい
う)は図1(イ)〜(ハ)に示すように高融点成分を3
葉以上の多葉断面形状とし、その多葉断面の凹部が低融
点成分で満たされている。そのため複合モノフィラメン
トの全体断面は実質的に円形断面になる。そしてその多
葉断面の凸部をモノフィラメントの表面に露出させるこ
とによって、スクリーン紗を構成するタテ糸とヨコ糸の
交点の熱接着を高融点多葉断面凹部の低融点成分の一部
で行ない、交点の接合状態を調整することによってスク
リーン紗の柔軟性を得ると共に、他の凹部の低融点成分
でスクリーン紗とポリエステルフィルムとの積層熱接着
を行なうものである。
【0009】ここでまず、本発明における複合モノフィ
ラメントについて説明する。すなわち、複合モノフィラ
メントは高融点成分と低融点成分で構成されている。こ
の高融点成分は融点250℃以上、好ましくは後述する
低融点成分の融点に対し30℃以上高くしたポリエステ
ルである。この高融点成分の融点が250℃未満では、
低融点成分との融点差が小さくなることから、低融点成
分を融点近傍の温度で熱処理すると破断強度、弾性率等
の物性が大幅に低下するなどの問題が生じるようにな
る。
【0010】かかる高融点成分としては、一般に衣料
用、産業資材用などとして用いられるポリエチレンテレ
フタレートが最も好ましいが、より高弾性率のポリエチ
レンー2,6−ナフタレートや全芳香族の液晶ポリエス
テルなどを用いることもできる。これらの高融点ポリエ
ステルはホモポリエステルが最も好ましいが、必要に応
じて、例えばアジピン酸、セバシン酸、1,4−シクロ
ヘキサンジカルボン酸などの酸成分および/またはテト
ラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、
ネオペンチルグリコール、ポリオキシアルキレングリコ
ールなどのジオール成分を第3成分として、好ましくは
5モル%以下共重合させることができる。
【0011】また低融点成分は融点170〜230℃、
好ましくは180〜220℃のポリエステルである。こ
の低融点成分の融点が170℃未満では、延伸熱処理温
度で低融点成分が軟化し、延伸操作が困難になるばかり
ではなく、巻き取られた延伸モノフィラメントの解舒性
が劣るものとなり、スクリーン紗に製織した時にタテ
筋、ヨコ段、パーン引けなどの問題点が生じるようにな
る。一方、その融点が230℃を越えると、良好な熱接
着性を得ることができない。また、ポリエステルフィル
ムとの積層熱接着温度を高くすることが必要となり、ス
クリーン紗およびポリエステルフィルムの熱収縮が大き
くなり、感熱孔版用原紙にシワが発生しやすくなる。こ
のためサーマルヘッド等による穿孔性が得られないなど
の問題点が生じるようになる。
【0012】ここでいう、高融点成分および低融点成分
の融点とは、使用ポリマの粉末10mgを採取し、示差
走査熱量計(パーキンエルマー社製:DSC−7型)を
用いて、10℃/分で昇温しつつ、昇温過程で発現する
融解に伴う吸熱ピークをパーキンエルマー社のデータ処
理システムで処理し、融点(Tm,℃)を求めたもので
ある。
【0013】かかる低融点成分としては、上記高融点成
分に酸成分として、例えばイソフタル酸、アジピン酸、
ダイマ酸、セバシン酸などのジカルボン酸類を、一方,
ジオール成分として、例えばネオペンチルグリコール、
ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールな
どのジオール類を、好ましくは15〜40モル%、より
好ましくは20〜30モル%共重合することによって得
られる。
【0014】むろん、上記高融点および/または低融点
成分には、必要に応じて二酸化チタン、紫外線吸収剤、
有機ケイ酸化合物など、公知の添加剤を用いることがで
きる。特に上記高融点および/または低融点成分に酸化
チタンを0.1〜0.4重量%の範囲で添加すると、糸
表面の摩擦係数を小さくすることができ、均一性に優れ
た複合モノフィラメントを得ることができる。しかも製
織にあたりスカムが抑制できるので好ましい。
【0015】上記複合モノフィラメントは、高融点成分
と低融点成分を複合紡糸によって、高融点成分が多葉断
面のモノフィラメントとする。本発明の最大の特徴はこ
の複合モノフィラメントを図1(イ)〜(ハ)に示すよ
うに、高融点成分を3葉以上、好ましくは4〜8葉の多
葉断面形状とする。従って、各葉の間には3カ所以上、
好ましくは4〜8カ所の凹部が生じる。そしてその凹部
を低融点成分で埋めるように形成させている。このと
き、高融点成分は凹部のカ所が3カ所未満では、ポリエ
ステルフィルムとの積層熱接着において安定した接着性
が得られず、部分的に剥離するなどの問題が生じる。
【0016】また、高融点および/または低融点全成分
に対する低融点成分の複合比率、即ち,複合モノフィラ
メント断面積に対する低融点全成分の面積割合は10〜
50%、好ましくは20〜40%である。この複合比率
は50%を越えると、複合モノフィラメントの高破断強
伸度、高モジュラスおよび寸法安定性などの物性が保持
できないようになる。またスクリーン紗とポリエステル
フィルムとの積層熱接着において熱による収縮が大きく
なり、そのためスクリーン紗とポリエステルフィルムと
の良好な接着性が得られない。一方、複合比率が10%
未満では、上記積層熱接着において、十分な接着面積が
得られず、接着強力の低いものしか得られない。
【0017】さらに、低融点成分の外周長比、即ち,糸
断面の全外周長に対して低融点成分の外周長の割合は、
40〜85%、好ましくは50〜80%である。この低
融点成分の外周長比は85%を越えると、スクリーン紗
の熱処理において、タテ糸とヨコ糸の交点での熱接着力
が大きくなりすぎ、このため曲げ剛さが大きくなる。フ
ィルムとスクリーン紗との積層熱接着にて得られる感熱
孔版用原紙としては、曲げ剛さの小さい柔軟性のあるも
のが要求されるが、そのためには低融点成分の外周長は
85%が許される上限値である。一方、低融点成分の外
周長比は40%未満ではスクリーン紗とポリエステルフ
ィルムとの積層熱接着で十分な接着性が得られず、その
熱接着性を確実なものとするためには、40%が許され
る下限値である。
【0018】なお、複合モノフィラメントの説明を補足
すれば、本発明における複合モノフィラメントは、低融
点成分として融点170〜230℃のポリエステルを用
いること以外に、スクリーン紗の織密度およびオープニ
ング(目開き)エリアの関係から、繊度の範囲は通常1
0〜70デニール(d)、好ましくは20〜50デニー
ル(d)とするのがよい。またこの複合モノフィラメン
トが支持体として十分機能するためには、破断強伸度は
高いほど好ましいが、製織時の削れなどのトラブルを未
然に防止する上からは、破断強度4.5〜7g/d、破
断伸度30〜50%の範囲が好ましい。
【0019】さらに複合モノフィラメントは収縮率が大
きいと、製織後のスクリーン紗が熱処理によって破れた
り、スクリーン紗の織密度(メッシュ)や厚さが不均一
になりやすい。このため複合モノフィラメントは160
℃×15分乾熱処理での自由収縮率を好ましくは25%
以下、より好ましくは20%以下とするのがよい。また
低融点ポリエステルは融点近傍の温度での熱処理を受け
るとき、大きな収縮を発現しようとする。その収縮発現
を抑制するためには高融点成分に低収縮性のポリエステ
ルを用いると、複合モノフィラメント全体としての収縮
率を低く保持することができる。このように、収縮特性
の異なるポリマを複合する際の、複合形態は高融点成分
の多葉断面を正多葉形にするのが好ましい。そしてその
複合モノフィラメントの断面形状は実質的に円形である
ことが必要である。この理由は円形断面糸は変形断面糸
に比較してカールし難く、オープニングの均一なスクリ
ーン紗が得られやすいためである。
【0020】次に、本発明のスクリーン紗について説明
する。本発明のスクリーン紗は、それを構成するタテ糸
またはヨコ糸の少なくとも一方が複合モノフィラメント
でなければならない。その糸構成を例示すると次のとお
りである。 .タテ糸とヨコ糸が共に複合モノフィラメント .タテ糸が従来公知のポリエステルモノフィラメント
で、ヨコ糸が複合モノフィラメント .タテ糸が複合モノフィラメントで、ヨコ糸が従来公
知のポリエステルモノフィラメント 上記の糸構成において、特にタテ糸として通常のポリエ
ステル糸本来の高破断強伸度が利用できるとするのが
好ましい。これはスクリーン紗のタテ糸に高破断強伸度
糸である通常のポリエステルを用いると、スクリーン紗
の好ましい熱処理態様として後述する、スクリーン紗製
織後の所定張力下での熱処理を容易に行うことができ
る。また通常スクリーン紗のタテ方向はフィルムとの積
層熱接着工程で大きな張力が作用する方向であり、スク
リーン紗の取扱い性および印刷精度等の面からタテ方向
の破断強伸度は高レベルが望まれるが、その破断強伸度
を高レベルの状態に確保することができるからである。
【0021】ところで、感熱孔版用原紙の製造工程では
フィルムとの積層接着に当って、フィルムおよび支持体
の強度や寸法安定性等の物性をできるだけ保持する観点
から、150℃以下の比較的低温で良好な熱接着性を有
することが求められている。一方、上述したように、本
発明における複合モノフィラメントは、製糸性やパッケ
ージの解舒性等の観点から、低融点成分が必要とする融
点範囲を170〜230℃としており、両者間の温度に
は開きがある。
【0022】この点、本発明者らの検討によれば、本発
明における複合モノフィラメントが150℃以下の熱接
着温度で十分な熱接着力を得るためには、スクリーン紗
に対して特定の熱処理条件を採用することが効果的であ
ることがわかった。すなわち、上記複合モノフィラメン
トをスクリーン紗に製織後、フィルムとの積層熱接着に
先立ち、低融点成分の融点近傍の温度、即ち,低融点成
分の融点−30℃〜同融点+10℃の温度範囲で、好ま
しくは0〜10%、より好ましくは0.1〜8%伸長す
る張力下で熱処理し、続いて冷却(より好ましくは冷風
吹付けなどによる急速冷却)する。これによって、フィ
ルムとの熱接着可能温度が大幅に低下すると共に、熱処
理ないし糸相互の熱接着に伴うスクリーン紗の破断強伸
度の低下を十分抑制することができる。
【0023】かかる熱処理がポリエステルフィルムとの
熱接着可能温度を低下させる理由としては、スクリーン
紗の低融点成分を熱処理によって一旦軟化もしくは溶融
し、続いて冷却する。この段階でスクリーン紗のタテ糸
とヨコ糸が熱接着するため、スクリーン紗の織りクリン
プが小さくなり、スクリーン紗表面に低融点成分が浮き
出るようになる。これによってフィルムとの熱接着面積
が大きくなる。またスクリーン紗の織りクリンプが小さ
くなると、高融点成分の自由度が小さくなり、フィルム
と熱接着する際のプレス圧が効率よく熱圧着力として作
用する等、を挙げることができる。
【0024】また、かかる熱処理後のスクリーン紗は、
フィルムとの積層熱接着時の取扱い性、感熱孔版印刷の
際の寸法安定性および耐久性等の観点から、破断強度2
0Kg/5cm以上が好ましく、25Kg/5cm以上がより好
ましく、破断伸度12%以上が好ましく、15%以上が
より好ましい。むろん、この破断強伸度値は、複合モノ
フィラメントにおける低融点成分の複合比率と密接な関
係があり、前述した低融点成分の複合比率が10〜50
%の範囲に保たれていることが前提となる。
【0025】なお、スクリーン紗の破断強度および破断
伸度は、定速緊張型引張試験機を用いてJIS 106
8−1964に記載のラベルド・ストリップ法により、
試料幅5cm、掴み間隔20cm、引張速度20cm/分で測
定したものであり、繰り返し5回の平均値である。
【0026】また本発明のスクリーン紗は、通常,織密
度50〜300本/インチ(即ち、50〜300メッシ
ュ)、好ましくは80〜250本/インチ(即ち、80
〜250メッシュ)の平織または綾織とされるが、これ
らの織密度や織組織は感熱孔版用原紙としての用途に応
じて、即ち,インクの供給量や絵柄の線幅などに応じて
適宜選択すればよい。
【0027】上記した複合モノフィラメントおよびスク
リーン紗は、例えば次のようにして製造することができ
る。すなわち、まず、本発明の複合モノフィラメント
は、例えば特公昭53−22170号公報に開示されて
いるような複合紡糸法が好ましく適用できる。すなわ
ち、高融点成分ポリマおよび低融点成分ポリマをそれぞ
れ独立に溶融計量し、口金背面で複合構造となるように
合流させ、同一吐出孔から吐出し、従来公知の繊維処理
剤を付与して未延伸糸とする。得られた未延伸糸は、例
えば加熱ロ−ラからなる延伸装置で延伸し、複合モノフ
ィラメントとして巻き取られる。この際、未延伸糸は一
旦巻き取った後、延伸してもよく、また未延伸糸を一旦
巻き取ることなく直接延伸することもできる。
【0028】次に、本発明のスクリーン紗は、上記複合
モノフィラメントをタテ糸またはヨコ糸の少なくとも一
方に使用し、例えばスルーザ織機を用いて製織する。得
られた生機は60〜90℃の非イオンまたはアニオン系
界面活性剤水溶液で洗浄した後、セット工程で170〜
230℃に加熱し熱処理する。その際,好ましくは生機
のタテまたはヨコ方向に2〜10Kg/5cmのテンション
をかけて,所望の厚みとメッシュ数に0〜10%の伸長
下で熱セットし、つづいて冷却(より好ましくは急速冷
却)を施す。このセット工程ではスクリーン紗の低融点
成分を実質的に軟化ないし溶融させると同時に、スクリ
ーン紗に寸法安定性が付与され、またシワが除去され、
所望する織密度のスクリーン紗となる。また上記のセッ
ト工程は、1工程でもよいが、好ましくは2工程以上と
し、そのセット温度を1工程目より2工程目を高くする
と、より安定したセット性と良好な熱接着性をもつスク
リーン紗を得ることができる。
【0029】得られたスクリーン紗は、例えば金属加熱
ローラと硬質ゴムローラからなるカレンダローラ等を用
いて、フィルムと積層熱接着させるが、そのフィルムと
しては、テレフタル酸とエチレングリコールからなるポ
リエチレンテレフタレートフィルムを用いるのがよく、
酸成分および/またはジオール成分として30モル%以
下の第三成分を共重合したフィルムであってもよい。そ
の第三成分を特にスクリーン紗の低融点成分と類似の成
分とすると、積層熱接着性をさらに強固なものとするこ
とができる。
【0030】またそのポリエステルフィルムは、厚さが
通常10μm以下であり、好ましくは1〜4μmであ
る。1μmより薄いとスクリーン紗と積層し熱接着させ
る際に破れやすく、また10μmより厚くなると穿孔感
度が低下するようになる。
【0031】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
する。なお、本例中、スクリーン紗とポリエステルフィ
ルムとの積層熱接着における接着性は、JIS K68
54に従い、スクリーン紗とポリエステルフィルムの両
面を粘着テープで補強して試料幅10mm、剥離速度10
mm/分でのT形剥離試験を行い、剥離強度として求め
た。
【0032】実施例1 オルソクロルフェノール25℃中で測定した極限粘度
[η]が0.65、融点が260℃のポリエチレンテレ
フタレートを高融点成分とする。一方、ポリエチレンテ
レフタレート重合時にイソフタール酸を酸成分として2
2モル%添加して得た極限粘度[η]が0.65、融点
が210℃の共重合ポリエチレンテレフタレートを低融
点成分とする。この両ポリマを複合紡糸機を用いて高融
点成分が正4葉体の円形断面複合モノフィラメント未延
伸糸を得た。この未延伸糸の低融点成分の複合比率は3
0%であり、低融点成分の糸断面における外周長比は6
0%であった。この未延伸糸を加熱ローラを有する延伸
機で、延伸倍率4倍で延伸、熱セットして、単糸繊度2
0デニールの複合モノフィラメントAを得た。この複合
モノフィラメントAの糸物性を表1に示した。次に、極
限粘度[η]が0.65、融点が260℃のポリエチレ
ンテレフタレートからなる単糸繊度20デニールの通常
のモノフィラメントBを準備した。糸物性を表1に示し
た。
【0033】次に、複合モノフィラメントAをヨコ糸と
し、通常のモノフィラメントBをタテ糸になるようにし
て、スルーザ織機で平織スクリーン紗の生機を製織し
た。
【0034】その生機を常法によって精練した後、拡布
式の布帛セッタでタテ方向に4%、ヨコ方向に1%伸長
しつつ180℃、30秒間、連続的に熱処理(通常の中
間セット)し、30℃以下の冷風を吹き付けて生機を急
速冷却した。この生機をさらに、拡布式の布帛セッタで
タテ方向に0.2%、ヨコ方向に0.1%伸長しつつ2
10℃、30秒間、連続的に熱処理(通常の仕上げセッ
ト)し、30℃以下の冷風を吹き付けて生機を急速冷却
し、織密度200本/インチ、厚さ70μmのスクリー
ン紗を得た。このスクリーン紗の物性を表2に示した。
熱処理した平織スクリーン紗の組織点でタテ糸とヨコ糸
が熱接着していることを走査型電子顕微鏡で拡大倍率5
00倍で確認した。
【0035】このスクリーン紗を支持体としてポリエチ
レンテレフタレートからなる厚さ2μmのフィルムと積
層し、金属鏡面加熱ロ−ラと硬質ゴムローラからなるカ
レンダローラを用いて、加熱ローラ130℃、シリンダ
ー圧力5Kgf/cm2 、処理時間約1秒で熱接着させ、
感熱孔版用原紙とした。
【0036】この感熱孔版用原紙の剥離強度は20g/
cmであり、本発明のスクリー紗は支持体として優れた接
着性を有するものであり、またフィルムと積層熱接着さ
せる際の取扱い性に優れ、スクリーン紗の破れ、浮き、
シワ、タルミ等によるトラブルは皆無であった。この感
熱孔版用原紙を用いて感熱式謄写製版印刷機によって6
ポイントサイズの文字を製版、印刷を行ったところ、極
めて鮮明な印刷物が得られた。
【0037】
【表1】
【表2】 比較例1. 実施例1のスクリーン紗生機を用いて中間セット温度、
仕上げセット温度を160℃として、伸長することなく
熱処理を行ない、他の仕上げ加工条件は実施例1と同一
としてスクリーン紗を得た。このスクリーン紗とポリエ
チレンテレフタレートからなる厚さ2μmのフィルムと
積層熱接着させ、実施例1と同様に感熱孔版用原紙とし
た。この感熱孔版用原紙の剥離強度は5g/cmであり極
めて剥離しやすく、したがって、上記スクリーン紗を支
持体として使用するには不適当であった。
【0038】実施例2 極限粘度[η]が0.65、融点が260℃のポリエチ
レンテレフタレートを高融点成分とし、一方,ポリエチ
レンテレフタレート重合時にイソフタール酸を酸成分と
して添加して得た極限粘度[η]が0.65の共重合ポ
リエチレンテレフタレートを低融点成分とする。この両
ポリマを複合紡糸機を用いて高融点成分が正6葉体の円
形断面複合モノフィラメント未延伸糸を得た。この未延
伸糸を加熱ローラを有する延伸機で、延伸倍率4倍で延
伸、熱セットして、単糸繊度20デニールの複合モノフ
ィラメントA−1〜A−8を得た。この複合モノフィラ
メントの糸物性を表3に示した。
【0039】次に、複合モノフィラメントA−1、A−
3または実施例1の通常のモノフィラメントBをタテ糸
とし、上記複合モノフィラメントA−1〜A−8がヨコ
糸になるようにして、スルーザ織機で平織スクリーン紗
の生機を製織した。それらの生機を常法によって精練し
た後、拡布式布帛セッタでタテ方向に8%、ヨコ方向に
2%伸長しつつ30秒間、連続的に熱処理(1stセッ
ト)し、30℃以下の冷風を吹き付けて生機を冷却し
た。これらの生機をさらに拡布式布帛セッタでタテ方向
およびヨコ方向に0.1%伸長しつつ30秒間、連続的
に熱処理(2ndセット)し、30℃以下の冷風を吹き
付けて生機を冷却し、織密度200本/インチのスクリ
ーン紗を得た。これらのスクリーン紗の加工条件および
物性を表4に示した。
【0040】熱処理した平織スクリーン紗の組織点でタ
テ糸とヨコ糸の交点の熱接着有無は走査型電子顕微鏡で
拡大倍率500倍で確認した。
【0041】これらのスクリーン紗を支持体としてポリ
エチレンテレフタレートからなる厚さ4μmのフィルム
と積層し、金属鏡面加熱ローラと硬質ゴムローラからな
るカレンダローラを用いて、加熱ローラ135℃、シリ
ンダー圧力5Kgf/cm2 、処理時間約1秒で熱接着さ
せ、感熱孔版用原紙とした。これらのスクリーン紗の熱
セット条件、破断強度、破断伸度および感熱孔版用原紙
の接着性(剥離強度)の測定結果を表4に示した。
【0042】表3および表4から明らかなように、本発
明のスクリーン紗(実験 No.1、2、4、5、11、1
2)はタテ糸とヨコ糸の交点で熱接着しており、ポリエ
ステルフィルムと積層熱接着した際に良好な接着性が得
られた。さらにそれらにスクリーン紗の破断強伸度が高
いことから積層熱接着工程での取扱い性が極めて良好で
あった。
【0043】一方、比較例である、 No.3については交
点熱接着、積層熱接着共に認められなかった。 No.6お
よび No.10についてはスクリーン紗のの破断強伸度が
低く、積層熱接着工程での取扱い性、孔版印刷時の耐久
性および寸法安定性に劣るものであった。 No.7および
No.9については、セット温度が低く、積層熱接着工程
で熱収縮によるシワが発生した。 No.8については積層
熱接着や破断強伸度が低いものであった。また、 No.6
および No.7に示したように、破断強度または破断伸度
が低く、ポリエステルフィルムとの積層熱接着性を有し
ているだけでは、支持体としての使用は困難である。
【0044】
【表3】
【表4】
【0045】
【発明の効果】本発明のスクリーン紗は、それを構成す
るタテ糸またはヨコ糸のいずれか一方に、高融点ポリエ
ステルを多葉断面形状とし、その多葉断面の凹部に低融
点ポリエステルを配した複合モノフィラメントを用いる
ことにより、ポリエステルフィルムとの積層熱接着性に
優れており、従来の接着剤を塗布する湿式積層に比較し
て積層工程を簡略化することができると共に、積層工程
での浮き、シワが極めて少なく、歩留まりを大幅に向上
させることができる。また本発明のスクリーン紗は耐溶
剤性が優れているためインキおよびインキ溶剤等により
接着面が侵されることがなく、耐久性に優れている。
【0046】さらに本発明のスクリーン紗から得られる
感熱孔版用原紙は、穿孔感度および柔軟性が優れてい
る。しかも接着剤を塗布することがなく、ポリエステル
フィルムで覆われたスクリーン紗のオープニング部には
実質的に接着剤が存在しないため、サーマルヘッド等で
加熱穿孔製版する際に、穿孔部に残る残砂物が極めて少
ない。このためインキ通過性に優れていることから、特
にリソグラフによる精密印刷に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における複合モノフィラメントの断面形
状を例示する概略図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−286354(JP,A) 特開 平6−286353(JP,A) 特開 昭62−184888(JP,A) 特開 昭51−92311(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41N 1/24 102

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 感熱孔版印刷用スクリーン紗支持体を構
    成するタテ糸またはヨコ糸の少なくとも一方が、高融点
    成分と低融点成分からなる複合モノフィラメントであっ
    て、その複合モノフィラメントが、該高融点成分に融点
    250℃以上のポリエステルを用いて3カ所以上の凹部
    を有する多葉断面形状であり、高融点成分の凹部に融点
    170〜230℃のポリエステルを低融点成分として配
    置した実質的に円形断面からなり、かつ該低融点成分の
    複合比率が面積比において10〜50%、外周長比にお
    いて40〜85%であることを特徴とする感熱孔版印刷
    用スクリーン紗支持体。
  2. 【請求項2】 スクリーン紗が、低融点成分の融点近傍
    の温度で0〜10%伸長する張力下で熱処理し、冷却し
    た後の破断強度が20Kg/5cm以上、破断伸度が12%
    以上であることを特徴とする請求項1項記載の感熱孔版
    印刷用スクリーン紗支持体。
JP07499894A 1994-04-13 1994-04-13 感熱孔版印刷用スクリーン紗支持体 Expired - Fee Related JP3351092B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP07499894A JP3351092B2 (ja) 1994-04-13 1994-04-13 感熱孔版印刷用スクリーン紗支持体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP07499894A JP3351092B2 (ja) 1994-04-13 1994-04-13 感熱孔版印刷用スクリーン紗支持体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07276840A JPH07276840A (ja) 1995-10-24
JP3351092B2 true JP3351092B2 (ja) 2002-11-25

Family

ID=13563457

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP07499894A Expired - Fee Related JP3351092B2 (ja) 1994-04-13 1994-04-13 感熱孔版印刷用スクリーン紗支持体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3351092B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7292151B2 (ja) * 2019-08-23 2023-06-16 理想科学工業株式会社 感熱孔版原紙用支持体及び感熱孔版原紙

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07276840A (ja) 1995-10-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3351092B2 (ja) 感熱孔版印刷用スクリーン紗支持体
KR100288729B1 (ko) 감열공판인쇄용 원지
JP4130035B2 (ja) 多分割性中空ポリエステル繊維並びにこの繊維を用いてなる織編物、人工皮革及び不織布
JP3419077B2 (ja) 感熱孔版印刷用原紙
JP2000118163A (ja) 感熱孔版印刷原紙用不織布
JPH10187045A (ja) 表示ラベル用基布
JP3313177B2 (ja) 孔版印刷機用円筒状版胴
JP3611744B2 (ja) 孔版印刷用原紙
JP2834628B2 (ja) 粘着テ−プ
US6811866B1 (en) Heat-sensitive stencil sheet
JP2005047020A (ja) スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント
JP3299500B2 (ja) スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント
JP2505588B2 (ja) 熱孔版印刷用ポリエステル不織布
JP3418422B2 (ja) 感熱孔版印刷方法
JP2623947B2 (ja) ポリエステル粘着テープ基布の製造方法
JP3329144B2 (ja) 感熱孔版印刷用原紙
JP2001130162A (ja) 感熱孔版印刷用原紙
JP2000318336A (ja) 感熱孔版印刷用原紙
JP2000094850A (ja) 感熱孔版印刷用原紙
JP3039292B2 (ja) 感熱孔版印刷用原紙
JP2001030648A (ja) 感熱孔版印刷用原紙
JPH05200949A (ja) 積層シートおよびその製造方法
JP2001310383A (ja) フィルム−不織布複合シートおよびその製造方法
JP2000335135A (ja) 感熱孔版印刷用原紙
JP2000343851A (ja) 感熱孔版印刷用原紙

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070920

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080920

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees