JP3349536B2 - 熱可塑性セルロース誘導体組成物およびその製造方法 - Google Patents

熱可塑性セルロース誘導体組成物およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、成形時の加工性が改善
され、しかも各種物性に優れた成形物を提供できる熱可
塑性セルロースアセテート組成物の製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術およびその課題】セルロース誘導体に内部
または外部可塑化を行い、成形性を高め加工しやすくす
るという方法は従来種々に提案されている。例えば、セ
ルロース誘導体にビニル化合物のような不飽和単量体、
および環状エステルなどをラジカル重合およびイオン重
合、とくに開環重合によりグラフト重合することによっ
てセルロース誘導体として更に加工しやすいものを得る
といった方法があるが、これらについても従来数多く提
案されている。例えば、特開昭50−48032 号公報には共
重合可能な不飽和基およびラジカルにより水素を引抜か
れ得る炭素−水素結合よりなる官能基のうちの少なくと
も1種を有するセルロースアセテートブチレートまたは
ニトロセルロースと重合性単量体とを共重合することに
よって得られるグラフト重合体の製造方法が開示されて
いる。また、成書、高分子学会高分子実験学編集委員会
編「高分子実験学第6巻高分子反応」 (共立出版、1978
年発行)p.147〜p.192 には一般のグラフト・ブロック反
応とともにセルロース誘導体へのグラフト・ブロック反
応についても記載されている。しかし、これらの反応は
重合性単量体が主にラジカル重合、イオン重合の付加重
合で重合するものであり、一般にセルロース誘導体との
グラフト重合体またはブロック共重合体の生成率が非常
に小さいことが多い。
【0003】また、セルロースそのものへのグラフト重
合は数多く発表されており、上記の成書「高分子実験学
第6巻高分子反応」 p.147〜p.192 、あるいは成書、大
河原信著「講座重合反応論(10)高分子の化学反応
(上)」(化学同人1972年発行)p.56〜p.74にも記載さ
れている。これらの成書に記載されているセルロースそ
のものへのグラフト重合においてもセルロース誘導体の
場合と同様に主として重合性単量体は付加重合(ラジカ
ル重合、イオン重合等)で重合する化合物であり、その
他の例としては、わずかにセルロースそのものへのエチ
レンオキシド、エチレンイミンあるいはβ−プロピオラ
クトン等を反応させる例が数例あるに過ぎない。
【0004】更に、上記のセルロース誘導体のグラフト
重合物またはブロック重合物とは異なった、産業上有用
な溶解性の優れたセルロース誘導体を得ることを目的と
した研究も行われ、その成果の一例は特開昭59−86621
号公報中にみられる。すなわち、セルロース誘導体の存
在下に環状エステルを開環重合することにより、新規の
グラフト率の高いグラフト重合体の製造に成功したとし
ており、更に該グラフト重合体は透明性、造膜性、溶解
性の良い新規高分子材料であることを見い出している。
しかし、この場合でも、グラフト反応時間が14〜20時間
(反応温度 140〜170 ℃)とかなり長く、工業的製造法
として問題点となっている。また、この反応ではキシレ
ンなど溶剤を多量に用いているが、これも実用的な面か
らは問題点と考えられうる。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記問題点
を解決するために鋭意検討した結果、置換されていない
水酸基を有するセルロースアセテート存在下で、多塩基
酸又はその無水物と、モノエポキシド化合物又は多価ア
ルコールとのエステル化反応を、二軸押し出し機などを
用い、好ましくは60〜250 ℃で5〜40分程度の混練練り
こみ反応により行い、一方ではホモオリゴエステルない
しホモポリエステルを生じせしめ、その一部は外部可塑
剤として残存させると共に、他方では、オリゴエステル
鎖ないしポリエステル鎖を前記セルロースアセテート
に、エステル基、ペンダント基として導入し、内部可塑
化を図ることにより、セルロースアセテートの成形加工
性が高まり、経済性を著しく損なわずに熱可塑性セルロ
ースアセテート組成物が得られることを見い出し、本発
明に到達したものである。
【0006】すなわち本発明は、未置換水酸基を有する
セルロースアセテートの存在下で、多塩基酸又はその無
水物と、モノエポキシド化合物又は多価アルコールとを
混練練り込み反応させることを特徴とする熱可塑性セル
ロースアセテート組成物の製造方法に係るものである。
本発明の混練練り込み反応においては、エステル化反応
により、オリゴエステルないしポリエステルを生じせし
めると共に、該オリゴエステルないしポリエステルの一
部が前記セルロースアセテート中により導入されること
により、優れた性能を有する熱可塑性セルロースアセテ
ート組成物が得られる。
【0007】本発明の熱可塑性セルロースアセテート
成物の出発物質として用いられる未置換水酸基を有する
セルロースアセテートは、セルロースジアセテート、セ
ルロースモノアセテートなどのセルロースアセテートで
あり、特に、セルロースジアセテートが好ましい
【0008】また、本発明に用いられる多塩基酸無水物
としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水コハ
ク酸、無水アジピン酸、無水グルタコン酸、無水グルタ
ル酸、無水ジグリコール酸、無水シトラコン酸、無水ジ
フェン酸、無水ニトロフタル酸、無水フタル酸、無水フ
タロン酸などが挙げられ、好ましくは無水マレイン酸、
無水コハク酸、無水イタコン酸、無水アジピン酸が使用
される。また、これらの酸が使用できる。
【0009】また、モノエポキシ化合物としては、アリ
ルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、
スチレンオキシド、ブチルグリシジルエーテル、アルキ
ルフェノールグリシジルエーテル、クレジルグリシジル
エーテル、多官能グリシジルエーテル、3級脂肪酸モノ
グリシジルエーテル、グリシジルメタクリレートなどエ
ポキシアクリレート、ブチルグリシジルエーテルアクリ
レートなどが挙げられるが、アリルグリシジルエーテ
ル、フェニルグリシジルエーテル、スチレンオキシド、
グリシジルメタクリレートなどが好ましいものである。
【0010】更に、多価アルコールとしては、エチレン
グリコール、1,4 −ブタンジオール、1,6 −ヘキサンジ
オール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプ
ロピレングリコールなどが挙げられ、特に、エチレング
リコール、グリセリン、ポリエチレングリコールが好ま
しい。
【0011】本発明は成形性に優れた熱可塑性セルロー
アセテート組成物に関するものであるが、成形物を得
る最終段階で3次元硬化する形のものも含み得る。その
場合には、前出のモノエポキシ化合物の一部ないし全部
をジエポキシ化合物またはポリエポキシ化合物に替え
て、あるいは多価アルコールとして3官能以上のものを
厳しい反応条件とともに用い、組成物を製造すればよ
く、それらは成形時には可塑剤として働き、最終硬化時
には架橋剤として働き、3次元硬化成形物を与えること
になる。
【0012】ジエポキシ化合物としては、ビスフェノー
ルAジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリ
シジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエ
ーテル、ポリエチレングリコールグリシジルエーテル、
トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリ
プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペン
チルグリコールジグリシジルエーテル、1,6 −ヘキサン
グリコールジグリシジルエーテル、脂肪族ジグリシジル
エーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテルア
クリレート、テレフタル酸ジグリシジルエステルアクリ
レート、フタル酸ジグリシジルエステル、スピログリコ
ールジグリシジルエーテルなどを挙げることが出来、ま
た、ポリエポキシ化合物としては、グリセロールポリグ
リシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエー
テル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセリ
ンポリグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジ
ルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエ
ーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテ
ルポリアクリレートなどを挙げることが出来る。
【0013】次に、本発明の熱可塑性セルロースアセテ
ート組成物を製造する際の各成分の配合割合は特に限定
されるものでないが、製造された熱可塑性セルロース
セテート組成物を用いて最終的に得られる成形物の強度
特性や成形性に関連する熱流動特性などを考慮して定め
ることが望ましい。以下に一般的な配合割合を示すが、
もちろんこれに限定されるものではない。 (1) 未置換水酸基を有するセルロースアセテート 100重量部 (2) 多塩基酸又はその無水物 3〜60重量部 (3) モノエポキシド化合物又は多価アルコール 3〜60重量部 (4) 任意成分 任意 なお、多塩基酸又はその無水物、モノエポキシド化合物
及び多価アルコールの使用量についていえば、その量に
特に制限はないが、仕込み時原料中の重量%で、それぞ
れ3〜60重量%、好ましくは5〜40重量%の範囲で使用
するのが物性的に好ましい組成物が得られる。
【0014】本発明の組成物を製造するに際し、各成分
の配合方法には特に制限がなく、通常各成分をニーダ
ー、バンバリミキサー、押出機、高速回転ミキサー等で
溶融、混練するなどの方法で行なわれるが、特に押し出
し機で行うのが好ましい方法である。また、各成分は予
め混合し、これらの装置で混練練り込みを行なう前に3
〜12時間静置することにより試薬の拡散により反応性の
向上が期待でき、好ましい。
【0015】本発明の製造方法は、未置換水酸基を有す
るセルロースアセテートと、多塩基酸又はその無水物
と、モノエポキシド化合物又は多価アルコールとを上記
の装置に仕込み、好ましくは60〜250 ℃の温度で混練練
り込み反応を行い、多塩基酸又はその無水物と、エポキ
シド化合物又は多価アルコールとのエステル化反応を行
い、オリゴエステルないしポリエステルを生じせしめる
と共に、該オリゴエステルないしポリエステルの一部を
前記セルロースアセテートに導入するものである。ここ
で、多塩基酸又はその無水物と、エポキシド化合物又は
多価アルコールとのオリゴエステル或いはポリエステル
の分子量は特に限定されず、原料や成形物の特性等を考
慮して適宜決定される。また、原料セルロースアセテー
へオリゴエステル或いはポリエステルが導入されてい
ることを確認することは容易ではないが、溶解性の変化
や分解物中のグルコース量の定量等により、本発明で得
られる組成物中のセルロースアセテートが該化学結合を
有することが推測できる。
【0016】本発明の熱可塑性セルロースアセテート
成物の製造方法では、従来の方法と異なり、セルロース
アセテートへのオリゴエステル鎖ないしポリエステル鎖
の導入を溶剤を用いることなく行うことができる。ま
た、反応時間は一般に5〜40分で充分であり、従来の方
法に比べ非常に短い。
【0017】このようにして製造された熱可塑性セルロ
ースアセテート組成物は、常法により、フィルム等の各
種成形物の製造に用いられる。なお、本発明の熱可塑性
セルロースアセテート組成物には所望により、難燃剤、
安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、本発明に係るオリ
ゴエステルないしポリエステル以外の可塑剤、滑剤、あ
るいは分解、劣化促進剤などの各種添加剤、顔染料その
他の成分を適宜配合することができ、これらの任意成分
は、前述した各必須成分の反応段階で仕込んでも、ま
た、反応後に添加しても良い。
【0018】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。
【0019】実施例1 全乾したセルロースジアセテート(ダイセル化学工業
(株)製、L-40;酢化度55%)100 重量部と無水コハク
酸(分子量100 )11.0重量部を乳鉢に秤りとり、室温で
5分間混合したのち、フェニルグリシジルエーテル33.8
重量部を加え、15分間をかけてよく混合した。その後、
この混合物を 120℃に調温されているラボプラストミル
(東洋精機(株)製;バッチ式混練ニーダー)中に、混
練ブレッド(回転数)を30rpm で回転させた状態で5分
間をかけて投入、引続きブレッド回転数を90rpm にあげ
て20分間加熱混練し練りこみ反応を行った。この混練物
を東洋精機(株)製10トン試験用ホットプレスを用いて
熱圧成形し(180 ℃または 190℃;150kgf/cm2;30
秒)、厚さ 0.4mmのシートを作成した。これらシートよ
り短冊型試験片を切り出し、(株)島津製作所製オート
グラフDCS-R-500 型を用いて引張特性を測定した。な
お、ヤング率は20℃のもので、また破壊伸張率は2〜5
mm/min で測定した。得られたシートは 180℃で熱圧成
形したものも 190℃で熱圧成形したものも透明で全く平
滑(成形時によく熱流動したことを示す)で、下記の表
1の様な引張り特性を有し、物性も優れたものであっ
た。
【0020】
【表1】
【0021】実施例2 実施例1の場合と、セルロースジアセテート、無水コハ
ク酸およびフェニルグリシジルエーテルの乳鉢混合後、
ラボプラストミルで混練する前に、3、6、9又は12時
間の静置(放置)時間を設ける以外は全く同様に可塑化
セルロースアセテートフィルムを調製した。得られたフ
ィルムは全て透明、平滑であり、それぞれより短冊型試
片を切り出し、引張り特性を測定したところ、下記の表
2の様な実施例1と同様な結果が得られた。
【0022】
【表2】
【0023】実施例3 全乾セルロースジアセテート 100重量部に対して、無水
コハク酸 8.8重量部とフェニルグリシジルエーテル27.0
重量部を秤りとって用いる以外には、実施例1の場合と
全く同様に可塑化セルロースアセテートフィルムを調製
した。ただし、熱圧によるフィルム成形温度は 190℃の
みを用いた。得られたフィルムは透明平滑であり、引張
強度39MPa、ヤング率 1.108GPa、また破壊伸張率41%
なる引張特性をもつ物性も優れたものであった。
【0024】実施例4 全乾セルロースジアセテート 100重量部に対して、無水
コハク酸 7.7重量部とフェニルグリシジルエーテル23.7
重量部を秤りとって用いる以外には、実施例3の場合と
全く同様に可塑化セルロースアセテートフィルムを調製
した。得られたフィルムは透明平滑であり、引張強度42
MPa、ヤング率 1.167GPa、また破壊伸張率45%なる引
張特性を示した。
【0025】これに対して、旭化成工業 (株) 製「スタ
イロン666 」(ポリスチレン)から製造したフィルム
は、引張強度30MPa、ヤング率0.99Gpa、破壊伸張率4
%であり、本例のセルロースジアセテート可塑化物は、
可塑化の方法が至って簡便であるにも拘わらず、優れた
物性を示すものであることが指摘出来る。
【0026】実施例5 セルロースジアセテート 100重量部に対して、無水コハ
ク酸 5.5重量部、フェニルグリシジルエーテル16.9重量
部を秤りとって用いる以外には、実施例3の場合と全く
同様に可塑化セルロースアセテートフィルムを調製し
た。得られたフィルムは透明、平滑であり、引張強度43
MPa、ヤング率 1.353GPa、破壊伸張率8%と強度が大
きく剛直な物性を示した。
【0027】実施例6 全乾した酢化度44.7%(置換度1.76)のセルロースアセ
テート(ダイセル化学工業(株)製、LL-10 )100 重量
部と無水コハク酸11.0重量部を乳鉢に秤りとり、室温で
5分間混合したのち、フェニルグリシジルエーテル33.8
重量部を加え、15分間をかけてよく混合した。そのの
ち、この混合物を 120℃に調温されているラボプラスト
ミル(東洋精機(株)製)中に、混練ブレッド(回転
翼)を30rpmで回転させた状態で5分間をかけて投入、
引続きブレッド回転数を90rpm にあげて20分間加熱混練
し、練りこみ反応を行った。この混練物を東洋精機
(株)製10トン試験用ホットプレスを用いて熱圧成形し
(190 ℃、150kgf/cm2;30秒)、厚さ0.4mm のシートを
作成した。これらシートより短冊型試験片を切り出し、
(株)島津製作所製オートグラフDCS-R-500 型を用いて
引張特性を測定した。得られたフィルムは透明で、平滑
(成形時によく熱流動したことを示す) で、下記の表3
の様な引張特性を有し、実施例1の対応試片より、強度
が大で剛直なものであった。
【0028】
【表3】
【0029】実施例7 全乾セルロースジアセテート 100重量部に対して、無水
マレイン酸24.8重量部と、グリセリン 8.3重量部を用
い、最初の混合時に60〜70℃の加温をする以外には、実
施例3ないし6の場合と全く同様に可塑化セルロースア
セテートフィルムを調製した。この場合も得られたフィ
ルムは透明、平滑であり、引張強度33MPa、ヤング率
0.863GPa、破壊伸張率15%と強度が高く、良好な力学
特性を有するものであった。
【0030】実施例8 全乾セルロースジアセテート 100重量部に対して、無水
マレイン酸21.7重量部とグリセリン11.7重量部を用い、
最初の混合時に60〜70℃の加温をする以外には、実施例
3ないし6の場合と全く同様に可塑化セルロースアセテ
ートフィルムを調製した。この場合も得られたフィルム
は透明、平滑であり、引張り強度33MPa、ヤング率 0.9
51GPa、破壊伸張率 7.8%と強度が高く、やや剛直な物
性を示すものであった。
【0031】実施例9 全乾のセルロースジアセテート 100重量部に対して、無
水コハク酸11.0重量部とスチレンオキシド27.0重量部を
秤りとって用いる以外には、実施例3ないし6の場合と
全く同様に可塑化セルロースアセテートフィルムを調製
した。この場合も得られたフィルムは透明、平滑であ
り、引張強度57MPa、ヤング率 1.344GPa、破壊伸張率
16%と、強度が非常に強く、剛直でタフな物性を有する
ものが得られた。
【0032】比較例1 全乾の市販試薬メチルセルロース(置換度1.72)100 重
量部に対し、無水コハク酸11重量部を乳鉢に秤りとり、
室温で5分間混合したのち、フェニルグリシジルエーテ
ル33.8重量部を加え、15分間をかけてよく混合した。そ
ののち、この混合物を 120℃に調温されているラボプラ
ストミル(東洋精機(株)製)中に、混練ブレッド(回
転翼)を30rpm で回転させた状態で5分間をかけて投
入、引続きブレッド回転数を90rpm にあげて、表4に記
載の10〜20分間加熱混練し、練りこみ反応を示した。
【0033】この混練物を東洋精機(株)製10トン試験
用ホットプレスを用いて、やはり表4記載の条件で 300
秒間熱圧成形し、厚さ0.4mm のシートを作成した。これ
らのシートより短冊型試験片を切り出し、(株)島津製
作所製オートグラフDCS-R-500 型を用いて引張り特性を
測定した。得られたフィルムは若干着色しているものの
透明で平滑であり、引張強度等の引張特性は、表4に示
されるように一応のレベル以上で実用に供しうるもので
あり、製造条件に依存するものでもあった。
【0034】
【表4】
【0035】比較例2 全乾のメチルセルロース(置換度1.72;市販試薬)100
重量部に対し、コハク酸16.5重量部、フェニルグリシジ
ルエーテル50.7重量部とする以外には比較例1の場合と
同様に可塑化メチルセルロースを調製した。ただし、ラ
ボプラストミル混練条件およびホットプレスによるフィ
ルム成形条件は比較例1-3 と同様にした。得られたフィ
ルムは透明、平滑であり、引張強度26MPa、ヤング率
0.545GPa、破壊伸張率23.6と、比較例1-3 で得られた
ものより、強度および破壊伸張率が多く、ヤング率はや
や低い、より可塑化されたエラストマー的性質を有する
ものであった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−34618(JP,A) 特開 昭60−153838(JP,A) 特開 昭60−188835(JP,A) 特開 昭64−66232(JP,A) 特開 平4−275301(JP,A) 特開 平6−199901(JP,A) 特開 平6−329701(JP,A) 特開 平6−49275(JP,A) 特開 昭50−48032(JP,A) 特開 昭59−86621(JP,A) 特開 昭57−117516(JP,A) 特開 昭57−207608(JP,A) 特開 昭57−119910(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 1/00 - 1/32 C08B 3/12 C08G 63/00 - 63/91

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 未置換水酸基を有するセルロースアセテ
    ートの存在下で、多塩基酸又はその無水物と、モノエポ
    キシド化合物又は多価アルコールとを混練練り込み反応
    させることを特徴とする熱可塑性セルロースアセテート
    組成物の製造方法。
  2. 【請求項2】 混練練り込み反応の反応温度が60〜250
    ℃である請求項1記載の熱可塑性セルロースアセテート
    組成物の製造方法。
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