JP3348592B2 - 耐候性鋼およびその製造方法 - Google Patents

耐候性鋼およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は海岸地帯等の厳しい
大気腐食環境中で橋梁、高架道路、街路灯、建造物等に
使用して優れた耐候性を発揮する耐候性鋼およびその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に鋼にP、Cu、Cr、Ni等の元
素を添加することにより、大気中における耐食性を向上
させることができる。これらの低合金鋼は耐候性鋼と呼
ばれるが、屋外において使用を始めて数年間で腐食に対
して保護性のある錆(耐候性錆)を形成する。この耐候
性錆が形成されると、塗装等の耐食処理作業が不要とな
るので、いわゆるメインテナンスフリー鋼として注目を
集めてきた。
【0003】しかしながら、海岸地帯等厳しい大気腐食
環境中においては保護性のある錆が形成され難く、使用
を始めて数年経過した後も赤錆や黄錆等の浮き錆や流れ
錆を生じる場合がある。このような場合は、外見的に好
ましくないばかりでなく周囲の環境汚染の原因にもなる
という問題も有している。
【0004】浮き錆や流れ錆に対する対策としては、た
とえば特開平1−142088号公報にあるように、リ
ン酸塩被膜を形成させる表面処理方法が提案されてい
る。しかし、労働力不足等のため、表面処理や塗装の手
間あるいはコストのかからないメインテナンスフリーの
耐候性鋼の開発が強く望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、海塩粒子の
飛来する場所でも、早期に緻密な耐候性錆が形成され外
見を損なう浮き錆や流れ錆が抑制される耐候性鋼および
その製造方法の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、耐候性錆
の形成される反応を基礎的に調査し下記の事項を確認し
た。
【0007】(a)大気中の腐食反応は、一般に局所的
に無数に存在する微細なアノード部とカソード部の対反
応によって進行する。鋼の組織を制御することにより、
この対反応が制御できる。鋼の組織中に硬さの差異が大
きい部分が近接して存在すると、硬い部分はカソードと
して、軟らかい部分はアノードとして働く傾向がある。
【0008】(b)その傾向は、上記2つの部分の硬さ
の差が一定限度内で大きいほど、また、上記2つの部分
の間隔が微細に均一に入り組んでいるほど使用初期の反
応速度が速く、かつ緻密な耐候性錆を形成しやすい。一
定限度内で反応速度が大きくなっても、硬い部分と軟ら
かい部分が緻密に分布している場合には、形成される錆
のうち浮き錆や流れ錆となって流出するものは少ない。
以後、最も硬さの高い部分(相)を“硬質相”、最も低
い部分(相)を“軟質相”という。
【0009】(c)上記の反応によって緻密な耐候性錆
が形成され始め鋼表面を覆うと、上記のカソードとアノ
ードとからなる対反応は急激に抑制される。
【0010】本発明は、上記の基礎的な調査結果に基づ
き組織を調整した鋼について実際に海岸地帯で長期にわ
たり暴露試験を行い、上記の事項を確認することによっ
て完成された。本発明は、下記の鋼の組成および組織か
らなる耐候性鋼を要旨とする。
【0011】(1)重量%にて、C:0.01〜0.1
%、Si:0.05〜0.5%、Mn:0.3〜2
%、sol.Al:0.005〜0.034%、Cr:0〜
1.5%、Mo:0〜0.6%、Ni:0〜0.5%、
Cu:0〜1%、Nb:0〜0.1%、Ti:0〜0.
1%およびV:0〜0.1%を含み、残部はFeおよび
不可避不純物からなる鋼であって、その組織は2相以上
の混合相からなり、最も硬さの高い相と最も硬さの低い
相のそれぞれの平均硬さの差がビッカース硬さで80〜
200であり、最も硬さの高い相の隣同士の平均間隔が
50μm以下であることを特徴とする耐候性に優れた耐
候性鋼。
【0012】(2)フェライトとオーステナイトの2相
状態から焼入れる処理を含む上記(1)に記載する耐候
性鋼の製造方法。
【0013】上記(1)においてビッカース硬さは2g
fの荷重での硬さ測定とする。“最も硬さの高い相と最
も硬さの低い相のそれぞれの平均硬さの差”はそれぞれ
の相の数十点以上の硬さ測定により求めた各相の平均硬
さの差をさす。
【0014】硬質相の平均間隔とは、光学顕微鏡で観察
する断面において粒として分布している最も近い硬質相
同士の重心間の平均距離のことをいい、組織の微細さを
あらわす指標である。最も近い硬質相の間には軟質相等
の他の相が介在する。
【0015】上記(2)において、フェライトとオース
テナイトの2相状態は、(イ)熱間圧延後オーステナイ
ト1相からフェライトが生成した状態(非平衡状態)、
(ロ)Ac3 点直上に加熱してオーステナイト化後空冷
して、すなわち焼きならしして、途中フェライトが生成
した状態(非平衡状態)、(ハ)変態を終了した状態か
らフェライトとオーステナイトの2相共存温度に加熱し
た状態(ほぼ平衡状態)、のいずれも該当する。(ハ)
の場合、本発明範囲の化学組成の場合オーステナイトが
存在しない状態をいい、必ずしも室温まで冷却したもの
でなくてもオーステナイトが変態を終了していれば、2
00〜500℃の温度まで冷却した状態から加熱しても
よい。この変態を終了した状態の組織は、圧延時のフェ
ライトとオーステナイトの2相状態の組織の粒度などに
よって変化する。
【0016】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の限定範囲につい
て説明する。
【0017】1.組織 耐候性鋼の組織を2相以上の混合相とするのは、混合相
にしなければ、腐食反応における局所的な無数の対反応
が鋼表面で活性化されないからである。対反応の形成の
しやすさは硬さの差異によって表される。混合相を形成
する相には硬さの差異がなければ、上記の対反応が活性
化されない。
【0018】硬質相の平均硬さと軟質相の平均硬さの差
異が、HV0.002で80未満では対反応が不十分
で、早期に耐候性錆が形成されない。一方、これら相の
硬さの差異がHV0.002で200を超える場合に
は、反応が速すぎて緻密な耐候性錆が形成されず腐食の
抑制が行われないので、硬さの差異は、HV0.002
で80〜200とする。
【0019】硬質相の間隔は、対反応を形成する範囲の
大きさを表す指標であり、この間隔が小さいほど緻密な
耐候性錆が形成される傾向がある。この間隔が50μm
を超えると、対反応によって生成する耐候性錆は緻密な
ものとならず、したがって、早期に浮き錆や流れ錆が抑
制されることはない。より緻密な耐候性錆が生成するた
めには、硬質相の平均間隔は35μm以下であることが
望ましい。
【0020】硬質相の間隔は短いほど緻密な耐候性錆が
生成するので、下限はとくに設けないが、0.1μmよ
り小さくなると対反応が不明確になる傾向が出てくるの
で0.1μm以上とすることが望ましい。
【0021】硬質相の平均間隔を上記のように制限する
と、硬質相の大きさは自然に限定され、硬質相と硬質相
の間に軟質相が介在することから、硬質相の平均的な大
きさは50μmよりは小さいものとなる。軟質相の大き
さについても同様なことが言え、平均距離50μm以下
の硬質相の間に介在する軟質相の平均的大きさは、自然
に50μmより小さいものとなる。両相の平均的な大き
さが50μmより小さいことは、緻密な耐候性錆を早期
に形成させるうえで望ましい。さらに良好な耐候性錆を
得るには、両相のそれぞれの平均的な大きさは35μm
より小さいことが望ましい。
【0022】2.製造方法(加工熱処理方法) 上記の混合組織は、つぎのような方法で製造することが
できる。
【0023】(a)焼入れ (a−1)焼入れ(通常の1回焼入れ) 焼入性の低い鋼をオーステナイト1相状態から焼入れる
と、通常の焼入れを行っても初析フェライトを生成し残
部がベイナイトまたはベイナイトとマルテンサイトにな
る。さらに焼入性の低い鋼では初析フェライトの生成の
後、パーライトのみまたはパーライトおよびベイナイト
が生成しフェライトとパーライトの2相組織またはフェ
ライト、パーライトおよびベイナイトの3相混合組織に
なる。どのような組成の場合にどの組織が生成するか
は、市販のデータ集等(鉄鋼協会発行)に掲載されてい
る連続冷却変態曲線(CCT曲線)により容易に知るこ
とができる。
【0024】上記組織においては、フェライトとベイナ
イトもしくはフェライトとマルテンサイトまたはフェラ
イトとパーライトの硬さの差異はHV0.002にて8
0以上となる。硬さの差異がHV0.002で200を
超える場合、または200を超えなくても、焼入れ後焼
戻しを行うことにより強度と靭性のバランスを良好にす
ることが望ましい。ただし、フェライトとパーライトの
場合は通常焼戻しは行わず、また、焼戻しを行うと硬さ
の差異がHV0.002で80未満になるおそれが出て
くる。
【0025】焼入れは、圧延オフラインでバッチ式の加
熱炉により再加熱して焼入れてもよいし、圧延ライン上
で圧延に続いて直接焼入れを行ってもよい。
【0026】(a−2)焼入れ後2相域から焼入れ 通常焼入れによってベイナイトを主体にした組織が形成
され、それを730〜830℃のオーステナイトとフェ
ライトの2相域に加熱するとベイナイトの微細なラスに
沿ってオーステナイト化が進行するためベイナイトラス
数個単位の微細に入り組んだオーステナイトとフェライ
ト組織となる。このような2相域から焼入れるとオース
テナイトの部分はマルテンサイトまたはベイナイトとい
った硬質相となり、フェライトは高温で焼戻された状態
のものがそのままもち来されるので軟質相となり、上記
の硬さの差異を満足させることができる。また、微細に
入り組んだマルテンサイトとフェライト、またはベイナ
イトとフェライトとなるので硬質相の平均間隔は容易に
50μm以下にすることができる。この後、焼戻しを行
うことが望ましいことは上記した通りである。
【0027】(b)焼ならし後2相域から焼入れ 焼ならしは、通常、圧延ままの粗大な組織を微細化する
ために行われる。この後、2相域に加熱すると、圧延ま
まのものを2相域に加熱した場合よりも微細なオーステ
ナイトとフェライトの2相組織となる。このため、硬質
相の平均間隔50μm以下および硬さの差異80〜20
0(HV0.002)を容易に達成できる。どのような
温度から焼入れればフェライトと硬質相(マルテンサイ
トまたはベイナイト)の比率がどの程度となるかは、前
記のデータ集から予測することができる。この場合も、
この後、焼戻しを行うことができ、強度と靭性の調整を
とるうえで望ましい。
【0028】(c)焼ならし途中からの焼入れ 本発明の対象とする鋼に含まれる合金の含有率程度で
は、焼きならしによって最初に生成する組織はフェライ
トである。目的とする比率だけフェライトを生成させた
後、そのまま焼入れを行えば残りのオーステナイトはマ
ルテンサイトまたはベイナイトに変態する。この熱処理
を行って得られる組織の硬質相(マルテンサイトまたは
ベイナイト)と軟質相(フェライト)の硬さの差異はビ
ッカース硬さで80以上となる。この後、焼戻しを行う
ことが望ましいことは上記した他の熱処理と同様であ
る。
【0029】3.化学組成 つぎに化学組成の限定理由について述べる。
【0030】C: Cは、強度を確保し、硬質相の硬さを上記硬さの条件を
満たすようにするために必要である。Cが0.01%未
満では、強度および硬質相と軟質相の硬さの差を80以
上とすることができず、一方、0.18%を超えると溶
接割れが発生しやすくなるので、0.01〜0.18
とする。
【0031】Si:Siは脱酸のために使用し、また強
度を確保するのに有効である。0.05%未満ではこれ
らの効果は十分ではなく、一方、0.5%を超えると靭
性が劣化するので0.05〜0.5%とする。さらに十
分な強度上昇と良好な靭性を確保するには0.25〜
0.4%とするのが望ましい。
【0032】Mn:Mnは、強度と靭性の両方を確保す
るために添加する。0.3%未満では、強度および靭性
の改善は十分でなく、一方、2%を超えると逆に溶接熱
影響部(HAZ)の靭性を低下させるので0.3〜2%
とする。母材およびHAZの靭性および強度をさらに安
定して確保するには、0.7〜1.4%とするのが望ま
しい。
【0033】sol.Al: sol.Alは組織の微細化に有効である。0.005%未
満では組織の微細化が十分でなく、焼きならし途中焼入
れ等の場合、上記硬質相の間隔を50μm以下とするこ
とができない場合がある。一方、0.034%を超える
とHAZの靭性が低下するので0.005〜0.034
%とした。
【0034】Cr:Crは添加しなくてもよい。Crは
耐候性錆をより緻密なものにする効果があるのでこの効
果を得るために添加する。しかし、1.5%を超えると
緻密化の効果が飽和するばかりか、鋼の強度が上がりす
ぎ靭性を損なうので、含ませる場合でも1.5%以下と
する。錆の十分な緻密化と良好な靭性を確保するには、
0.15〜1%とするのが望ましい。
【0035】Mo:Moは添加しなくてもよい。しか
し、添加すると上記の錆を緻密化しやすくする効果が得
られるので、一層、良好な耐候性錆を得る場合には添加
する。しかし、0.6%を超えると効果が飽和するばか
りか、強度が上がりすぎ靭性を損なうので、含有させる
場合でも0.6%以下とする。さらに良好な靭性と耐候
性錆を得るには、0.1〜0.4%とするのが望まし
い。
【0036】Ni:Niは添加しなくてもよい。Niは
生成する耐候性錆を緻密にすることができるので、さら
に耐候性錆を緻密にする場合には添加する。しかし、
0.5%を超えると熱間圧延中に生成する酸化スケール
の脱スケールが困難になり押し込み疵などの原因になる
ので、含ませる場合でも0.5%以下とする。より一層
良好な耐候性錆と表面性状を得るには、0.2〜0.4
%とすることが望ましい。
【0037】Cu:Cuは添加しなくてもよい。Cuは
耐候性錆を緻密にする効果があるので、その効果を得る
ためには添加する。しかし、1%を超えるとその効果が
飽和するばかりか、強度が上がりすぎ靭性を損なうので
含有させる場合でも1%以下とする。さらに良好な耐候
性錆と靭性を確保するには、0.15〜0.5%とする
のが望ましい。
【0038】Nb:Nbは添加しなくともよい。Nbは
母材の強度を高め、耐候性錆を緻密にするので、高強度
を確保する場合には添加する。しかし、0.1%を超え
ると連続鋳造スラブの表面に横ひび割れを発生しオフラ
インでの手入れが必要になり生産性を著しく阻害するの
で含ませる場合でも0.1%以下とする。より良好な連
続鋳造スラブの表面と耐候性錆を得るには0.01〜
0.03%とするのが望ましい。
【0039】Ti:Tiは添加しなくてもよい。Tiは
耐候性錆を緻密にし、HAZ靭性を改善する働きがある
ので溶接入熱を高めて溶接する場合等に添加する。しか
し、0.1%を超えるとこの効果が飽和するばかりか、
鋼の強度が上がりすぎ母材靭性を損なうので含有させる
場合でも0.1%以下とする。より良好な耐候性錆並び
に母材およびHAZ靭性を確保するには、0.01〜
0.03%とすることが望ましい。
【0040】V:Vは添加しなくてもよい。Vは錆を緻
密化する効果があるのでこの効果を得る場合には添加す
る。しかし、0.1%を超えると効果が飽和するばかり
か、鋼の強度が上がりすぎ靭性を損なうので含ませる場
合でも0.1%以下とする。より良好な耐候性錆と靭性
を確保するには0.02〜0.05%とするのが望まし
い。
【0041】
【実施例】つぎに本発明の効果を実施例に基づき詳説す
る。
【0042】表1は、本発明の実施例に用いた供試鋼の
化学組成である。
【0043】
【表1】
【0044】表2は、硬さの条件を満足する組織を得る
ために行った加工熱処理条件である。これら熱処理は板
厚15mmの圧延された板を用いて行い、熱処理後、板
の表面から100mm長さ×60mm幅×3mm厚さの
試験片を切りだした。試験片の表面はエメリー紙研磨お
よびバフ研磨が施されて鏡面仕上げとなっている。
【0045】
【表2】
【0046】表3〜表6は、それぞれの試験片(試験番
号)の組織、硬質相の間隔および硬質相と軟質相の硬さ
の差(硬度差△HV0.002)を示す一覧表である。
硬度差は、各試験番号についてそれぞれ100箇所のビ
ッカース硬さを測定し、各相のそれぞれの平均硬さから
最も硬い相と軟らかい相を決め、両者の平均硬さの差を
求めた結果である。したがって、フェライト、ベイナイ
トおよびマルテンサイトの3相混合組織の場合は、フェ
ライトとマルテンサイトの平均硬さの差である。
【0047】組織の“TM”は焼戻しマルテンサイトを
表すが、このときベイナイトが焼入れによって生成して
いればベイナイトも当然焼戻されるが、通常、ベイナイ
トは変態当初から炭化物を含むものであるため、焼戻し
によって炭化物の析出が生じるマルテンサイトと異な
り、焼戻しベイナイトとはいわない。
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】
【表5】
【0051】
【表6】
【0052】各試験片(試験番号)を同一条件のもと
に、厳しい大気腐食環境にある福岡県北九州市の海岸地
帯(海から5mの位置)に南向きに水平面より30゜傾
斜させて3年間暴露した。暴露地の飛来塩分量はガ−ゼ
法を用いて測定した結果、NaCl換算で0.46mg
/dm2/dayであった。試験終了後表面のさび層を
除去し、板厚減少(表裏両面の平均腐食深さの平均)を
測定した。
【0053】浮き錆および流れ錆の発生は、試験片の下
端部から10mm下方に20mm×60mm×10mm
厚さのコンクリート板を水平に設置し、試験片から流出
した浮き錆および流れ錆を受けることにより調査した。
この評価は、暴露試験前後のコンクリート板の色を比較
して、JIS規格の色差表示方法(JIS Z 8730)△Eに
よりおこなった。
【0054】上記表3〜表6に試験結果である板厚減少
を示す。表3〜表5に示すように本発明例である試験番
号1〜72では板厚減少およびコンクリート板色差が非
常に小さい。これら試験片の試験後の表面は色調の均一
な黒褐色のさび層でおおわれていた。これに対し表6に
示す比較例である試験番号73〜96でははるかに多く
の板厚減少およびコンクリート板色差が確認された。こ
れら比較例の表面の色調は赤茶色でありさらに点状に赤
錆が分布していた。
【0055】これらの結果より、本発明例では海岸地帯
での暴露であるにもかかわらず、(a)早期に耐候性錆
が安定に生成すること、および(b)その耐候性錆が腐
食の進行を有効に防止すること、の2点が明らかであ
る。
【0056】
【発明の効果】本発明は、赤錆や黄錆等の浮き錆や流れ
錆をほとんど生じることなく海岸地帯等の厳しい大気腐
食環境中でも安定な耐候性錆を早期に形成し、優れた耐
候性を有する鋼材を提供できる。本発明の耐候性鋼を用
いた構造物は、メインテナンスフリーであり、その効果
を現在のみならず後世の社会にももたらすことができ
る。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 301 C21D 6/00 C22C 38/58

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%にて、C:0.01〜0.18%、
    Si:0.05〜0.5%、Mn:0.3〜2%、sol.
    Al:0.005〜0.034%、Cr:0〜1.5
    %、Mo:0〜0.6%、Ni:0〜0.5%、Cu:
    0〜1%、Nb:0〜0.1%、Ti:0〜0.1%お
    よびV:0〜0.1%を含み、残部はFeおよび不可避
    不純物からなる鋼であって、その組織は2相以上の混合
    相からなり、最も硬さの高い相と最も硬さの低い相のそ
    れぞれの平均硬さの差がビッカース硬さで80〜200
    であり、最も硬さの高い相の隣同士の平均間隔が50μ
    m以下であることを特徴とする耐候性に優れた耐候性
    鋼。
  2. 【請求項2】フェライトとオーステナイトの2相状態か
    ら焼入れる処理を含むことを特徴とする請求項1に記載
    する耐候性鋼の製造方法。
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JPH09302442A (ja) 1997-11-25

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