JP2012067374A - 金属補強部材、金属補強部材の製造方法、及び金属の熱処理方法 - Google Patents
金属補強部材、金属補強部材の製造方法、及び金属の熱処理方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】溶接物と溶接対象物とを予熱を不要としながら、十分な強度を確保することができる頑丈な補強部材を提供する。
【解決手段】フェライト/パーライト二相構造を有する金属材料に所定の熱処理を施して高熱状態としたオーステナイト/初析フェライト二相構造を有する金属材料に焼入れ処理を実行し、これを焼戻して得られる焼戻マルテンサイト/初析フェライト系二相構造を有する金属補強部材。ここで、所定の熱処理は、金属材料を860〜950℃で加熱する加熱工程と、加熱した金属材料を780〜820℃まで降温する降温工程と、降温した金属材料の温度を維持する維持工程とを包含する。
【選択図】図1
【解決手段】フェライト/パーライト二相構造を有する金属材料に所定の熱処理を施して高熱状態としたオーステナイト/初析フェライト二相構造を有する金属材料に焼入れ処理を実行し、これを焼戻して得られる焼戻マルテンサイト/初析フェライト系二相構造を有する金属補強部材。ここで、所定の熱処理は、金属材料を860〜950℃で加熱する加熱工程と、加熱した金属材料を780〜820℃まで降温する降温工程と、降温した金属材料の温度を維持する維持工程とを包含する。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば、建築用資材、建造物、構造体等を補強するために使用される金属補強部材、及び当該金属補強部材の製造方法に関する。また、本発明は、金属の機械的特性を向上させるための熱処理方法に関する。
建築用資材、建造物、構造体等の分野において、物体の機械的特性を向上させるために、しばしば補強部材が設けられる。例えば、特許文献1に開示されている建設構造物を接続するための溶接継手も補強部材の一つである。特許文献1によれば、溶接継手を作製するに際し、所定の成分を有する溶接材料を使用し、所定の条件で被覆アーク溶接法を行うことにより、溶接継手の強度を確保できるとされている。
補強部材には、取付対象物の強度向上という重要な機能が求められるため、補強部材自身もある程度頑丈に構成する必要がある。ところが、一般に、金属は強度が上がると溶接性が悪化することが知られている。このような溶接性の悪化を防止するためには、溶接前に溶接物と溶接対象物とを予熱しておく必要がある。特許文献1においても、溶接継手を作製するときの条件として、75℃以上120℃未満の温度での予熱が必要なことが開示されている。
しかしながら、実際の作業現場において、その都度、溶接物と溶接対象物とを予熱することは困難な場合が多く、非常に手間が掛かり、作業の遅延にもつながる。
このように、現状においては、作業現場において、十分な強度を保ちつつ、簡単且つ確実に取付可能な補強部材は未だ開発されていない。そして、そのような補強部材を工業的に製造する技術もまだ十分に確立されていない。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、溶接物と溶接対象物とを予熱を不要としながら、十分な強度を確保することができる頑丈な補強部材を提供すること、ならびに当該補強部材の製造方法を確立することを目的とする。さらに、本発明は、上記補強部材に適用可能な金属の熱処理方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明に係る金属補強部材の特徴構成は、
フェライト/パーライト二相構造を有する金属材料に所定の熱処理を施して高熱状態としたオーステナイト/初析フェライト二相構造を有する金属材料に焼入れ処理を実行し、これを焼戻して得られる焼戻マルテンサイト/初析フェライト二相構造を有することにある。
フェライト/パーライト二相構造を有する金属材料に所定の熱処理を施して高熱状態としたオーステナイト/初析フェライト二相構造を有する金属材料に焼入れ処理を実行し、これを焼戻して得られる焼戻マルテンサイト/初析フェライト二相構造を有することにある。
本構成の金属補強部材は、フェライト/パーライト二相構造を有する金属材料に所定の熱処理を施して高熱状態としたオーステナイト/初析フェライト二相構造を有する金属材料に焼入れ処理を実行し、これを焼戻して得られる焼戻マルテンサイト/初析フェライト二相構造を有しているので、金属補強部材の微視的な組織構造が緻密化したものとなる。その結果、金属補強部材の高強度を維持しつつ、耐衝撃性を飛躍的に向上させることができる。
なお、本構成の金属補強部材を溶接対象物に溶接する場合においては、従来必要であった予熱が不要となる。その結果、金属補強部材の使い勝手が良くなり、作業現場における溶接作業の効率を大幅に向上させることができる。
なお、本構成の金属補強部材を溶接対象物に溶接する場合においては、従来必要であった予熱が不要となる。その結果、金属補強部材の使い勝手が良くなり、作業現場における溶接作業の効率を大幅に向上させることができる。
本発明に係る金属補強部材において、
前記所定の熱処理は、金属材料を860〜950℃で加熱する加熱工程と、加熱した金属材料を780〜820℃まで降温する降温工程と、降温した金属材料の温度を維持する維持工程とを包含することが好ましい。
前記所定の熱処理は、金属材料を860〜950℃で加熱する加熱工程と、加熱した金属材料を780〜820℃まで降温する降温工程と、降温した金属材料の温度を維持する維持工程とを包含することが好ましい。
本構成の金属補強部材では、金属材料を860〜950℃で加熱する加熱工程と、加熱した金属材料を780〜820℃まで降温する降温工程と、降温した金属材料の温度を維持する維持工程とを実行することにより、金属補強部材の高強度を維持しつつ、耐衝撃性をさらに向上させることができる。
本発明に係る金属補強部材において、
前記降温工程は、1〜5℃/分の平均降温速度で行われることが好ましい。
前記降温工程は、1〜5℃/分の平均降温速度で行われることが好ましい。
本構成の金属補強部材では、1〜5℃/分の平均降温速度で降温工程を行うことにより、金属補強部材の高強度を維持しつつ、耐衝撃性をさらに向上させることができる。
本発明に係る金属補強部材において、
前記焼入れ処理は、前記維持工程の後、200〜250℃/分の平均冷却速度で冷却することにより行われることが好ましい。
前記焼入れ処理は、前記維持工程の後、200〜250℃/分の平均冷却速度で冷却することにより行われることが好ましい。
本構成の金属補強部材では、200〜250℃/分の平均冷却速度で焼入れ処理を行うことにより、金属補強部材の高強度を維持しつつ、耐衝撃性をさらに向上させることができる。
本発明に係る金属補強部材において、
前記焼戻しは、前記焼入れ処理をした金属材料を450〜500℃で再加熱することにより行われることが好ましい。
前記焼戻しは、前記焼入れ処理をした金属材料を450〜500℃で再加熱することにより行われることが好ましい。
本構成の金属補強部材では、焼入れ処理をした金属材料を450〜500℃で再加熱することによって焼戻しを行うことで、金属材料中に焼戻マルテンサイト/初析フェライト二相構造が確実に発現する。このため、金属補強部材の高強度を維持しつつ、耐衝撃性をさらに向上させることができる。
本発明に係る金属補強部材において、
溶接対象となる基体に溶接する溶接部材として使用されることが好ましい。
溶接対象となる基体に溶接する溶接部材として使用されることが好ましい。
本構成の金属補強部材であれば、先に述べたように、従来必要であった予熱が不要となるため、溶接部材として好適に使用することができる。
また、上記課題を解決するための本発明に係る金属補強部材の特徴構成は、
焼戻マルテンサイト/初析フェライト=80/20〜90/10の組成比を有する金属で構成されることにある。
焼戻マルテンサイト/初析フェライト=80/20〜90/10の組成比を有する金属で構成されることにある。
本構成の金属補強部材は、焼戻マルテンサイト/初析フェライト=80/20〜90/10の組成比を有する金属で構成されているので、金属補強部材の微視的な組織構造が緻密化したものとなる。その結果、金属補強部材の高強度を維持しつつ、耐衝撃性を飛躍的に向上させることができる。
なお、本構成の金属補強部材を溶接対象物に溶接する場合においては、従来必要であった予熱が不要となる。その結果、金属補強部材の使い勝手が良くなり、作業現場における溶接作業の効率を大幅に向上させることができる。
なお、本構成の金属補強部材を溶接対象物に溶接する場合においては、従来必要であった予熱が不要となる。その結果、金属補強部材の使い勝手が良くなり、作業現場における溶接作業の効率を大幅に向上させることができる。
また、上記課題を解決するための本発明に係る金属補強部材の製造方法の特徴構成は、
原料となるフェライト/パーライト二相構造を有する金属材料に所定の熱処理を施してオーステナイト/初析フェライト二相構造を発現させる第一工程と、
前記第一工程で得られた高熱状態にあるオーステナイト/初析フェライト二相構造を有する金属材料に焼入れ処理を行う第二工程と、
前記第二工程で得られた焼入れ処理後の金属材料を焼戻し、当該金属材料中に焼戻マルテンサイト/初析フェライト二相構造を形成させる第三工程と、
を包含することにある。
原料となるフェライト/パーライト二相構造を有する金属材料に所定の熱処理を施してオーステナイト/初析フェライト二相構造を発現させる第一工程と、
前記第一工程で得られた高熱状態にあるオーステナイト/初析フェライト二相構造を有する金属材料に焼入れ処理を行う第二工程と、
前記第二工程で得られた焼入れ処理後の金属材料を焼戻し、当該金属材料中に焼戻マルテンサイト/初析フェライト二相構造を形成させる第三工程と、
を包含することにある。
本構成の金属補強部材の製造方法を実行すれば、最終的に得られる金属補強部材中に焼戻マルテンサイト/初析フェライト二相構造を発現させることができるため、金属補強部材の微視的な組織構造が緻密化したものとなる。その結果、高強度を維持しつつ、耐衝撃性を飛躍的に向上させた金属補強部材を製造することができる。
なお、本構成の金属補強部材の製造方法により得られた金属補強部材を溶接対象物に溶接する場合においては、従来必要であった予熱が不要となる。その結果、金属補強部材の使い勝手が良くなり、作業現場における溶接作業の効率を大幅に向上させることができる。
なお、本構成の金属補強部材の製造方法により得られた金属補強部材を溶接対象物に溶接する場合においては、従来必要であった予熱が不要となる。その結果、金属補強部材の使い勝手が良くなり、作業現場における溶接作業の効率を大幅に向上させることができる。
本発明に係る金属補強部材の製造方法において、
前記所定の熱処理は、金属材料を860〜950℃で加熱する加熱工程と、加熱した金属材料を780〜820℃まで降温する降温工程と、降温した金属材料の温度を維持する維持工程とを包含することが好ましい。
前記所定の熱処理は、金属材料を860〜950℃で加熱する加熱工程と、加熱した金属材料を780〜820℃まで降温する降温工程と、降温した金属材料の温度を維持する維持工程とを包含することが好ましい。
本構成の金属補強部材の製造方法では、金属材料を860〜950℃で加熱する加熱工程と、加熱した金属材料を780〜820℃まで降温する降温工程と、降温した金属材料の温度を維持する維持工程とを実行することにより、高強度を維持しつつ、耐衝撃性をさらに向上させた金属補強部材を製造することができる。
本発明に係る金属補強部材の製造方法において、
前記降温工程は、1〜5℃/分の平均降温速度で行われることが好ましい。
前記降温工程は、1〜5℃/分の平均降温速度で行われることが好ましい。
本構成の金属補強部材の製造方法では、1〜5℃/分の平均降温速度で降温処理を行うことにより、高強度を維持しつつ、耐衝撃性をさらに向上させた金属補強部材を製造することができる。
本発明に係る金属補強部材の製造方法において、
前記焼入れ処理は、前記維持工程の後、200〜250℃/分の平均冷却速度で冷却することにより行われることが好ましい。
前記焼入れ処理は、前記維持工程の後、200〜250℃/分の平均冷却速度で冷却することにより行われることが好ましい。
本構成の金属補強部材の製造方法では、200〜250℃/分の平均冷却速度で焼入れ処理を行うことにより、高強度を維持しつつ、耐衝撃性をさらに向上させた金属補強部材を製造することができる。
本発明に係る金属補強部材の製造方法において、
前記焼戻しは、前記焼入れ処理をした金属材料を450〜500℃で再加熱することにより行われることが好ましい。
前記焼戻しは、前記焼入れ処理をした金属材料を450〜500℃で再加熱することにより行われることが好ましい。
本構成の金属補強部材の製造方法では、焼入れ処理をした金属材料を450〜500℃で再加熱することによって焼戻しを行うことで、金属材料中に焼戻マルテンサイト/初析フェライト二相構造が確実に発現する。その結果、高強度を維持しつつ、耐衝撃性をさらに向上させた金属補強部材を製造することができる。
さらに、上記課題を解決するための本発明に係る金属の熱処理方法の特徴構成は、
フェライト/パーライト二相構造を有する金属に所定の熱処理を施してオーステナイト/初析フェライト二相構造を発現させる第一工程と、
前記第一工程で得られた高熱状態にあるオーステナイト/初析フェライト二相構造を有する金属に焼入れ処理を行う第二工程と、
前記第二工程で得られた焼入れ処理後の金属を焼戻し、当該金属中に焼戻マルテンサイト/初析フェライト二相構造を形成させる第三工程と、
を包含することにある。
フェライト/パーライト二相構造を有する金属に所定の熱処理を施してオーステナイト/初析フェライト二相構造を発現させる第一工程と、
前記第一工程で得られた高熱状態にあるオーステナイト/初析フェライト二相構造を有する金属に焼入れ処理を行う第二工程と、
前記第二工程で得られた焼入れ処理後の金属を焼戻し、当該金属中に焼戻マルテンサイト/初析フェライト二相構造を形成させる第三工程と、
を包含することにある。
本構成の金属の熱処理方法を実行すれば、最終的に得られる金属中に焼戻マルテンサイト/初析フェライト二相構造を発現させることができるため、金属の微視的な組織構造が緻密化したものとなる。その結果、金属補強部材の高強度を維持しつつ、耐衝撃性を飛躍的に向上させることができる。
なお、本構成の金属の熱処理方法により得られた金属を溶接対象物に溶接する場合においては、従来必要であった予熱が不要となる。その結果、金属の使い勝手が良くなり、作業現場における溶接作業の効率を大幅に向上させることができる。
なお、本構成の金属の熱処理方法により得られた金属を溶接対象物に溶接する場合においては、従来必要であった予熱が不要となる。その結果、金属の使い勝手が良くなり、作業現場における溶接作業の効率を大幅に向上させることができる。
本発明の実施形態について説明する。以下の説明では、便宜上、先ず、本発明の金属補強部材の製造方法について説明する。次いで、当該方法によって得られた本発明の金属補強部材を説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることを意図せず、それらと均等な構成も含む。
〔金属補強部材の製造方法〕
本発明の金属補強部材は、本発明者らによる鋭意研究の結果、従来、熱処理を施すことなく使用されていた金属材料に対し、敢えて熱処理を施すことによって強度を大幅に向上させることに成功したものであり、その製造方法は本発明独特の特徴を有する。なお、本発明の金属補強部材は、炭素含有量が0.3%以下であるため、溶接時に予熱が不要である。図1は、本発明の金属補強部材の製造方法の手順を説明するフローチャートである。フローチャート中の記号「S」はステップを表している。本発明の金属補強部材は、大きく分けて、以下の「第一工程」、「第二工程」、及び「第三工程」を実行することにより製造される。
本発明の金属補強部材は、本発明者らによる鋭意研究の結果、従来、熱処理を施すことなく使用されていた金属材料に対し、敢えて熱処理を施すことによって強度を大幅に向上させることに成功したものであり、その製造方法は本発明独特の特徴を有する。なお、本発明の金属補強部材は、炭素含有量が0.3%以下であるため、溶接時に予熱が不要である。図1は、本発明の金属補強部材の製造方法の手順を説明するフローチャートである。フローチャート中の記号「S」はステップを表している。本発明の金属補強部材は、大きく分けて、以下の「第一工程」、「第二工程」、及び「第三工程」を実行することにより製造される。
<第一工程>
第一工程は、原料となるフェライト/パーライト二相構造を有する金属材料に所定の熱処理を施してオーステナイト/初析フェライト二相構造を発現させる工程である。金属材料は、例えば、鉄をベースとし、炭素0.1〜0.2wt%、マンガン1.6〜2.0wt%、ニッケル<0.3wt%、クロム0.6〜0.9wt%、バナジウム0.05〜0.15wt%を含有する鍛造鋼を使用する。この金属材料に所定の熱処理を施す。図2に、製造時の温度パターンの例を示す。熱処理は、加熱炉に金属材料を投入し、第1温度での加熱(S1:加熱工程)、炉中での緩やかな冷却(S2:降温工程)、及び第1温度より低温である第2温度での保温維持(S3:維持工程)を行うことで達成される。出発材料であるフェライト/パーライト二相構造を有する金属材料に対して加熱工程を行うと、金属材料中にオーステナイト相が発現する。次いで、降温工程に入ると、金属材料中のオーステナイト相の中に徐々に初析フェライト相が発生する。そして、維持工程に入ると、オーステナイト相と初析フェライト相との割合が固定され、組織は安定化する。
第一工程は、原料となるフェライト/パーライト二相構造を有する金属材料に所定の熱処理を施してオーステナイト/初析フェライト二相構造を発現させる工程である。金属材料は、例えば、鉄をベースとし、炭素0.1〜0.2wt%、マンガン1.6〜2.0wt%、ニッケル<0.3wt%、クロム0.6〜0.9wt%、バナジウム0.05〜0.15wt%を含有する鍛造鋼を使用する。この金属材料に所定の熱処理を施す。図2に、製造時の温度パターンの例を示す。熱処理は、加熱炉に金属材料を投入し、第1温度での加熱(S1:加熱工程)、炉中での緩やかな冷却(S2:降温工程)、及び第1温度より低温である第2温度での保温維持(S3:維持工程)を行うことで達成される。出発材料であるフェライト/パーライト二相構造を有する金属材料に対して加熱工程を行うと、金属材料中にオーステナイト相が発現する。次いで、降温工程に入ると、金属材料中のオーステナイト相の中に徐々に初析フェライト相が発生する。そして、維持工程に入ると、オーステナイト相と初析フェライト相との割合が固定され、組織は安定化する。
ここで、加熱工程における第1温度は、860〜950℃とすることが好ましく、より好ましくは900℃である。第1温度が860℃より低い場合は金属材料の相構造がオーステナイト単相となり難くなるため好ましくなく、950℃より高くなると結晶粒が粗大化するため好ましくない。また、加熱工程の時間は、1〜3時間が好ましく、より好ましくは2時間である。加熱時間が1時間未満の場合は金属材料のオーステナイト化が不十分となるため好ましくない。
降温工程では、加熱した金属材料を780〜820℃まで、より好ましくは800℃まで緩やかに降温する。780℃より低い温度にまで降温すると初析フェライト率が過多となるため好ましくなく、また、820℃より高い場合は初析フェライト率が不足するため好ましくない。降温工程における平均降温速度は、1〜5℃/分とすることが好ましく、より好ましい平均降温速度は3℃/分である。平均降温速度が1℃/分より小さい場合はエネルギー効率が悪いため好ましくなく、5℃/分より大きくすると初析フェライト率が不足するため好ましくない。
維持工程における第2温度は、上記降温工程における降温後の温度、すなわち、780〜820℃とすることが好ましく、より好ましくは800℃である。第2温度が780℃より低い場合は初析フェライト率が過多となるため好ましくなく、820℃より高い場合は初析フェライト率が不足するため好ましくない。また、維持工程を実行する時間は、15〜50分が好ましく、より好ましくは30分である。加熱時間が15分未満の場合は初析フェライト率が不足するため好ましくなく、50分を超えると初析フェライト率が過多となるため好ましくない。
<第二工程>
第二工程は、上記第一工程で得られた高熱状態(ここでは、維持工程の第2温度に維持された状態)にあるオーステナイト/初析フェライト二相構造を有する金属材料に焼入れ処理を行う工程(S4)である。焼入れ処理を行うことにより、オーステナイト/初析フェライト二相構造を有する金属材料中のオーステナイト相がマルテンサイト相に変態し、マルテンサイト/初析フェライト二相構造を有する金属材料となる。
第二工程は、上記第一工程で得られた高熱状態(ここでは、維持工程の第2温度に維持された状態)にあるオーステナイト/初析フェライト二相構造を有する金属材料に焼入れ処理を行う工程(S4)である。焼入れ処理を行うことにより、オーステナイト/初析フェライト二相構造を有する金属材料中のオーステナイト相がマルテンサイト相に変態し、マルテンサイト/初析フェライト二相構造を有する金属材料となる。
焼入れ処理は、上記第一工程における維持工程の後、高熱状態となっている金属を200〜250℃/分の平均冷却速度で冷却することにより行われる。最も好ましい平均冷却速度は、230℃/分である。冷却速度が200℃/分より小さい場合はマルテンサイト率が不足するため好ましくなく、250℃/分より大きい場合はクラック発生のおそれがあるため好ましくない。また、焼入れ処理は、水又は油の何れの媒体も使用可能であるが、特に水を使用して焼入れ処理を行うと、金属組織を微視的なレベルにおいて緻密化し易くなる。その結果、金属補強部材の高強度を維持しつつ、耐衝撃性が飛躍的に向上する。また、媒体は、水又は油を単独で使用することもできるが、媒体に溶剤や添加剤等の任意成分を混合したものを使用しても構わない。
なお、本明細書では、上記第二工程(すなわち、高熱状態にあるオーステナイト/初析フェライト二相構造を有する金属材料を冷却してマルテンサイト/初析フェライト二相構造を得る工程)を「焼入れ処理」と称しているが、第一工程と第二工程とを合わせて広義の「焼入れ処理」とする場合もあり、そのような場合も本発明の範囲に含まれる。
<第三工程>
第三工程は、上記第二工程で得られた焼入れ処理後の金属材料を焼戻し、当該金属材料中に焼戻マルテンサイト/初析フェライト二相構造を形成させる工程(S5)である。焼戻しを行うことにより、マルテンサイト/初析フェライト二相構造を有する金属材料中のマルテンサイト相が焼戻しマルテンサイト相に変態し、焼戻しマルテンサイト/初析フェライト二相構造を有する金属材料となる。この焼戻しマルテンサイト/初析フェライト二相構造を有する金属材料が、最終製品である金属補強部材を構成する。
第三工程は、上記第二工程で得られた焼入れ処理後の金属材料を焼戻し、当該金属材料中に焼戻マルテンサイト/初析フェライト二相構造を形成させる工程(S5)である。焼戻しを行うことにより、マルテンサイト/初析フェライト二相構造を有する金属材料中のマルテンサイト相が焼戻しマルテンサイト相に変態し、焼戻しマルテンサイト/初析フェライト二相構造を有する金属材料となる。この焼戻しマルテンサイト/初析フェライト二相構造を有する金属材料が、最終製品である金属補強部材を構成する。
焼戻しは、上記焼入れ処理をした金属材料を450〜500℃で再加熱することにより行われる。最も好ましい再加熱温度は、470℃である。再加熱温度が450℃より低い場合は焼戻しマルテンサイト相が脆くなるため好ましくなく、500℃より高い場合は焼戻しマルテンサイト相の引張強度が低下するため好ましくない。また、再加熱時間は、2〜6時間が好ましく、より好ましくは4時間である。再加熱時間が2時間未満の場合は焼戻しマルテンサイト相が脆くなるため好ましくなく、6時間を超える場合はエネルギー効率が悪化するため好ましくない。
焼戻し後は、金属材料を冷却するために空冷工程(S6)を実行することが好ましい。これにより、緻密化された焼戻しマルテンサイト/初析フェライト二相構造が安定化するとともに、金属補強部材の高強度を維持しつつ、耐衝撃性をさらに向上させることができる。また、金属補強部材を、例えば、建設用資材等の溶接対象物に溶接する場合においては、従来必要であった予熱が不要となる。その結果、金属補強部材の使い勝手が良くなり、作業現場における溶接作業の効率を大幅に向上させることができる。
本発明の金属補強部材の適用例としては、建築用資材の接続具がある。図3に、接続具の斜視図を示す。この接続具は、上記実施形態で説明した熱処理を施しているため、高強度を維持しつつ、耐衝撃性が向上したものとなっている。また、この接続具を使用する場合、従来必要であった予熱は不要である。
〔金属補強部材の構造〕
次に、上記製造方法により得られた本発明の金属補強部材の構造(特に、μmオーダーの微視的構造)を、実施例及び比較例に基づいて説明する。なお、以下の実施例及び比較例では、金属材料として、鉄をベースとし、炭素0.14wt%、マンガン1.8wt%、ニッケル0.03wt%、クロム0.71wt%、バナジウム0.1wt%を含有する鍛造鋼を使用した。
次に、上記製造方法により得られた本発明の金属補強部材の構造(特に、μmオーダーの微視的構造)を、実施例及び比較例に基づいて説明する。なお、以下の実施例及び比較例では、金属材料として、鉄をベースとし、炭素0.14wt%、マンガン1.8wt%、ニッケル0.03wt%、クロム0.71wt%、バナジウム0.1wt%を含有する鍛造鋼を使用した。
<実施例>
図4は、本発明の実施例による金属補強部材の組織を撮影した光学顕微鏡写真である。本実施例の金属補強部材は、以下の条件で製造されたものである。
(1)熱処理条件
・加熱工程:加熱温度(第1温度)900℃、加熱時間2時間
・降温工程:降温速度2.2℃/分
・維持工程:維持温度(第2温度)800℃、維持時間30分
(2)焼入れ処理
・冷却媒体:水
・冷却速度:250℃/分
(3)焼戻し
・再加熱温度:480℃
・再加熱時間:4時間
生成した金属補強部材の分析は、焼戻マルテンサイト/初析フェライト組成比について、光学顕微鏡写真の画像解析から行った。具体的には、光学顕微鏡で観察した金属補強部材の組織の表面写真(図4)において、焼戻マルテンサイト及び初析フェライトが夫々占める面積比から組成比を算出した。
分析の結果、上記実施例の金属補強部材は、焼戻マルテンサイト/初析フェライト=82.3/17.7の組成比を有していることが判明した。図4の光学顕微鏡写真では、旧オーステナイト相の粒界に析出した初析フェライト相を明確に確認することができた。そして、初析フェライト相の面積率は17.7%であった。本実施例で使用した鋼材成分に比較的近いSCM415鋼のCCT曲線より推察すると、900℃から800℃までを2.2℃/分の降温速度で徐冷すると、理論上は約13.3%の初析フェライト相が析出すると予測される。本実施例における初析フェライト率は理論値よりも若干高いが、実操業においては800℃の維持工程の終了から冷却開始までに約25秒を要するため、この間、処理品の表面温度は10℃程度低下すると考えられる。従って、本実施例における初析フェライト率17.7%は妥当な値と考えられる。
なお、本実施例で得られた金属補強部材は、肉厚150〜210mmを有する試験サンプルにおいて、750MPa以上の強度を有することが確認された。
図4は、本発明の実施例による金属補強部材の組織を撮影した光学顕微鏡写真である。本実施例の金属補強部材は、以下の条件で製造されたものである。
(1)熱処理条件
・加熱工程:加熱温度(第1温度)900℃、加熱時間2時間
・降温工程:降温速度2.2℃/分
・維持工程:維持温度(第2温度)800℃、維持時間30分
(2)焼入れ処理
・冷却媒体:水
・冷却速度:250℃/分
(3)焼戻し
・再加熱温度:480℃
・再加熱時間:4時間
生成した金属補強部材の分析は、焼戻マルテンサイト/初析フェライト組成比について、光学顕微鏡写真の画像解析から行った。具体的には、光学顕微鏡で観察した金属補強部材の組織の表面写真(図4)において、焼戻マルテンサイト及び初析フェライトが夫々占める面積比から組成比を算出した。
分析の結果、上記実施例の金属補強部材は、焼戻マルテンサイト/初析フェライト=82.3/17.7の組成比を有していることが判明した。図4の光学顕微鏡写真では、旧オーステナイト相の粒界に析出した初析フェライト相を明確に確認することができた。そして、初析フェライト相の面積率は17.7%であった。本実施例で使用した鋼材成分に比較的近いSCM415鋼のCCT曲線より推察すると、900℃から800℃までを2.2℃/分の降温速度で徐冷すると、理論上は約13.3%の初析フェライト相が析出すると予測される。本実施例における初析フェライト率は理論値よりも若干高いが、実操業においては800℃の維持工程の終了から冷却開始までに約25秒を要するため、この間、処理品の表面温度は10℃程度低下すると考えられる。従って、本実施例における初析フェライト率17.7%は妥当な値と考えられる。
なお、本実施例で得られた金属補強部材は、肉厚150〜210mmを有する試験サンプルにおいて、750MPa以上の強度を有することが確認された。
<比較例>
図5は、比較例による金属補強部材の組織を撮影した光学顕微鏡写真である。本比較例の金属補強部材は、従来の金属補強部材の一つに相当し、以下の条件で製造されたものである。
(1)熱処理条件
・加熱工程:加熱温度(第1温度)900℃、加熱時間2時間
・降温工程:なし
・維持工程:なし
(2)焼入れ処理
・冷却媒体:水
・冷却速度:250℃/分
(3)焼戻し
・再加熱温度:550℃
・再加熱時間:4時間
上記比較例の金属補強部材について、上記実施例と同様の分析を試みたが、光学顕微鏡で観察した金属補強部材の組織の表面写真(図5)において、旧オーステナイト相の粒界には初析フェライト相を明確に確認することができなかった。
図5は、比較例による金属補強部材の組織を撮影した光学顕微鏡写真である。本比較例の金属補強部材は、従来の金属補強部材の一つに相当し、以下の条件で製造されたものである。
(1)熱処理条件
・加熱工程:加熱温度(第1温度)900℃、加熱時間2時間
・降温工程:なし
・維持工程:なし
(2)焼入れ処理
・冷却媒体:水
・冷却速度:250℃/分
(3)焼戻し
・再加熱温度:550℃
・再加熱時間:4時間
上記比較例の金属補強部材について、上記実施例と同様の分析を試みたが、光学顕微鏡で観察した金属補強部材の組織の表面写真(図5)において、旧オーステナイト相の粒界には初析フェライト相を明確に確認することができなかった。
以上のように、実施例の金属補強部材では、旧オーステナイト相の粒界に初析フェライト相が析出し、微視的な組織構造が緻密化したものとなった。一方、比較例の金属補強部材は、旧オーステナイト相の粒界に初析フェライト相が析出しないため、金属組織の緻密化が十分ではなかった。
〔金属補強部材の物性評価〕
次に、本発明の金属補強部材の物性を評価するため、折れ曲げ強度の指標の一つとなるシャルピー衝撃値の測定を行った。この測定は、JIS B 7740に基づくシャルピー振子式衝撃試験により実施した。具体的には、所定の試験片の一側面にVノッチの切り欠きを設け、試験温度0℃にて、当該切り欠きとは反対側の他側面に高速で衝撃を付与することで試験片を破壊し、破壊に要したエネルギーを算出した。
さらに、本発明の金属補強部材が従来品と同等以上の高い強度を維持していることを確認するため、引張強さの計測(引張試験)も併せて実施した。
次に、本発明の金属補強部材の物性を評価するため、折れ曲げ強度の指標の一つとなるシャルピー衝撃値の測定を行った。この測定は、JIS B 7740に基づくシャルピー振子式衝撃試験により実施した。具体的には、所定の試験片の一側面にVノッチの切り欠きを設け、試験温度0℃にて、当該切り欠きとは反対側の他側面に高速で衝撃を付与することで試験片を破壊し、破壊に要したエネルギーを算出した。
さらに、本発明の金属補強部材が従来品と同等以上の高い強度を維持していることを確認するため、引張強さの計測(引張試験)も併せて実施した。
<シャルピー衝撃試験>
図4に示した本発明の方法により製造された金属補強部材について、当該金属補強部材中に存在する結晶のフローに平行な方向(Sx)及び垂直な方向(Sy)についてシャルピー衝撃値を6回測定した。試験結果を表1の実施例に示す。
また、図5に示した比較例として製造された金属補強部材についても、当該金属補強部材中に存在する結晶のフローに平行な方向(Rx)及び垂直な方向(Ry)についてシャルピー衝撃値を6回測定した。試験結果を表1の比較例に示す。
図4に示した本発明の方法により製造された金属補強部材について、当該金属補強部材中に存在する結晶のフローに平行な方向(Sx)及び垂直な方向(Sy)についてシャルピー衝撃値を6回測定した。試験結果を表1の実施例に示す。
また、図5に示した比較例として製造された金属補強部材についても、当該金属補強部材中に存在する結晶のフローに平行な方向(Rx)及び垂直な方向(Ry)についてシャルピー衝撃値を6回測定した。試験結果を表1の比較例に示す。
<引張試験>
本発明の金属補強部材及び比較例の金属補強部材について、強度測定の一つとして引張強さの計測(引張試験)を行った。なお、引張強さについては、規格として740N/mm2以上が定められている。
本発明の金属補強部材における引張強さは、平行方向(Sx)で平均803.2N/mm2、垂直方向(Sy)で平均813.0N/mm2であった。
また、比較例の金属補強部材における引張強さは、平行方向(Rx)で平均796.8N/mm2、垂直方向(Ry)で平均799.2N/mm2であった。
本発明の金属補強部材及び比較例の金属補強部材について、強度測定の一つとして引張強さの計測(引張試験)を行った。なお、引張強さについては、規格として740N/mm2以上が定められている。
本発明の金属補強部材における引張強さは、平行方向(Sx)で平均803.2N/mm2、垂直方向(Sy)で平均813.0N/mm2であった。
また、比較例の金属補強部材における引張強さは、平行方向(Rx)で平均796.8N/mm2、垂直方向(Ry)で平均799.2N/mm2であった。
<考察>
シャルピー衝撃試験の結果から、本発明の金属補強部材は、比較例の金属補強部材に対して、金属補強部材中に存在する結晶のフローに平行な方向で約45%の耐衝撃性の向上が見られた。また、結晶のフローに垂直な方向でも約39%の耐衝撃性の向上が見られた。このように、本発明の金属補強部材は、従来の金属補強部材よりも高い耐衝撃性を有することが確認された。
さらに、引張試験の結果から、本発明の金属補強部材は、従来の金属補強部材と同等以上の強度を有しており、しかも規格値(740N/mm2以上)を十分に満たす高強度を維持していることが確認された。
シャルピー衝撃試験の結果から、本発明の金属補強部材は、比較例の金属補強部材に対して、金属補強部材中に存在する結晶のフローに平行な方向で約45%の耐衝撃性の向上が見られた。また、結晶のフローに垂直な方向でも約39%の耐衝撃性の向上が見られた。このように、本発明の金属補強部材は、従来の金属補強部材よりも高い耐衝撃性を有することが確認された。
さらに、引張試験の結果から、本発明の金属補強部材は、従来の金属補強部材と同等以上の強度を有しており、しかも規格値(740N/mm2以上)を十分に満たす高強度を維持していることが確認された。
本発明に係る金属補強部材は、優れた力学的特性を有しているため、特に、建築用資材、建造物、構造体等を補強するために使用される金属補強部材として好適に利用可能である。
Claims (13)
- フェライト/パーライト二相構造を有する金属材料に所定の熱処理を施して高熱状態としたオーステナイト/初析フェライト二相構造を有する金属材料に焼入れ処理を実行し、これを焼戻して得られる焼戻マルテンサイト/初析フェライト二相構造を有する金属補強部材。
- 前記所定の熱処理は、金属材料を860〜950℃で加熱する加熱工程と、加熱した金属材料を780〜820℃まで降温する降温工程と、降温した金属材料の温度を維持する維持工程とを包含する請求項1に記載の金属補強部材。
- 前記降温工程は、1〜5℃/分の平均降温速度で行われる請求項2に記載の金属補強部材。
- 前記焼入れ処理は、前記維持工程の後、200〜250℃/分の平均冷却速度で冷却することにより行われる請求項2又は3に記載の金属補強部材。
- 前記焼戻しは、前記焼入れ処理をした金属材料を450〜500℃で再加熱することにより行われる請求項1〜4の何れか一項に記載の金属補強部材。
- 溶接対象となる基体に溶接する溶接部材として使用される請求項1〜5の何れか一項に記載の金属補強部材。
- 焼戻マルテンサイト/初析フェライト=80/20〜90/10の組成比を有する金属で構成される金属補強部材。
- 原料となるフェライト/パーライト二相構造を有する金属材料に所定の熱処理を施してオーステナイト/初析フェライト二相構造を発現させる第一工程と、
前記第一工程で得られた高熱状態にあるオーステナイト/初析フェライト二相構造を有する金属材料に焼入れ処理を行う第二工程と、
前記第二工程で得られた焼入れ処理後の金属材料を焼戻し、当該金属材料中に焼戻マルテンサイト/初析フェライト二相構造を形成させる第三工程と、
を包含する金属補強部材の製造方法。 - 前記所定の熱処理は、金属材料を860〜950℃で加熱する加熱工程と、加熱した金属材料を780〜820℃まで降温する降温工程と、降温した金属材料の温度を維持する維持工程とを包含する請求項8に記載の金属補強部材の製造方法。
- 前記降温工程は、1〜5℃/分の平均降温速度で行われる請求項9に記載の金属補強部材の製造方法。
- 前記焼入れ処理は、前記維持工程の後、200〜250℃/分の平均冷却速度で冷却することにより行われる請求項9又は10に記載の金属補強部材の製造方法。
- 前記焼戻しは、前記焼入れ処理をした金属材料を450〜500℃で再加熱することにより行われる請求項8〜11の何れか一項に記載の金属補強部材の製造方法。
- フェライト/パーライト二相構造を有する金属に所定の熱処理を施してオーステナイト/初析フェライト二相構造を発現させる第一工程と、
前記第一工程で得られた高熱状態にあるオーステナイト/初析フェライト二相構造を有する金属に焼入れ処理を行う第二工程と、
前記第二工程で得られた焼入れ処理後の金属を焼戻し、当該金属中に焼戻マルテンサイト/初析フェライト二相構造を形成させる第三工程と、
を包含する金属の熱処理方法。
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CN114324081A (zh) * | 2021-12-30 | 2022-04-12 | 中国航空工业集团公司金城南京机电液压工程研究中心 | 马氏体型不锈钢晶粒形成和显示方法 |
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-
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- 2010-09-27 JP JP2010215343A patent/JP2012067374A/ja active Pending
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