JP3347822B2 - キナ酸の抽出、精製方法 - Google Patents

キナ酸の抽出、精製方法

Info

Publication number
JP3347822B2
JP3347822B2 JP17849993A JP17849993A JP3347822B2 JP 3347822 B2 JP3347822 B2 JP 3347822B2 JP 17849993 A JP17849993 A JP 17849993A JP 17849993 A JP17849993 A JP 17849993A JP 3347822 B2 JP3347822 B2 JP 3347822B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
quinic acid
acid
solution
exchange resin
sodium hydroxide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP17849993A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH078169A (ja
Inventor
時久 服部
紀 藤元
正司 藤本
康 渡辺
Original Assignee
株式会社不二家
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社不二家 filed Critical 株式会社不二家
Priority to JP17849993A priority Critical patent/JP3347822B2/ja
Publication of JPH078169A publication Critical patent/JPH078169A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3347822B2 publication Critical patent/JP3347822B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Tea And Coffee (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、キナ酸の抽出、精製方
法に関するものであり、更に詳細には、天然物から高純
度のキナ酸を効率的に、しかも有機溶媒を使用すること
なく、低コストで短時間に抽出、精製する方法に関する
ものである。
【0002】キナ酸は生薬であるキナ皮に発見され、植
物界に広く分布しその植物体の保護機能から抗菌性・抗
ウイルス性に関する研究が続けられている。飲食品分野
においては天然の果物や果汁に存在して、微量ではある
がそれぞれの風味に特有の影響を与えていることがわか
った。本発明は、植物体から天然のキナ酸を経済的に有
利に抽出・精製する方法に関するものであって、得られ
たキナ酸は、例えば天然の風味改良剤等として有効であ
り、飲食品のみならず、医薬品や化粧品、各種工業薬品
等の技術分野において広く有効利用されるものである。
【0003】
【従来の技術】キナ酸の製法に関しては化学大辞典(昭
37,p761,vol 2 共立出版)に、遊離では
キナ皮に、またコーヒー豆中にはクロロゲン酸として存
在し、上記材料から抽出するほか、4−クロロシクロヘ
キサノンから出発して合成することが知られている。ま
た、その分別・精製法については一般的な有機酸の分別
法として揮発度及び溶解度差を利用する方法、イオン交
換クロマトグラフィーによる方法等(実験化学講座2
5,昭41,p46 丸善株式会社、実験農芸化学下巻
昭47,p502 朝倉書店)があり、目的の有機酸に
応じて種々の方法を組み合わせて適用すると良いとして
いる。しかしながら、いずれも水蒸気蒸留やエーテルな
どの有機溶媒を使用し、時間がかかり、高価な費用がか
かるという欠点は避けられない。
【0004】効率的にキナ酸を製造するための工業的方
法の開発が当業界において強く要望されているが、これ
を特許文献の面からみてみると、キナ酸を有効成分とす
る消臭剤が特開昭61−8054に開示されているが、
キナ酸の製造に関しては、わずかに、バラ、クヌギ等か
ら溶媒抽出し、更にクロマトグラフィーによって分別す
る旨が開示されているにすぎず、詳細な記載はなく、ま
してや本発明のように有機溶媒を一切使用することなく
効率的にキナ酸を製造する方法については全く何の開示
もない。
【0005】また一方、キナ酸の関連物質であるクロロ
ゲン酸については、モレキュラーチューブを用いたゲル
濾過クロマトグラフィーによって抽出、精製する方法が
特公昭63−502434に開示され、また、合成吸着
剤を用いて抽出、精製する方法が特開平4−14504
9に開示されている。
【0006】キナ酸は、このようにして得られたクロロ
ゲン酸を加水分解しても製造することができるが、この
方法ではクロロゲン酸を一旦抽出した後に更に加水分解
する必要があるため、工程が複雑となり、収率も低下
し、工業的な方法とはなり得ない。
【0007】以上のように、原料から経済的に有利な方
法で、直接、高純度のキナ酸を抽出、精製する方法の開
発に成功した例は未だ知られていないのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】キナ酸の効率的抽出方
法が未だ確立されていないことは上述のとおりである
が、キナ酸の用途に関する特許文献の面からみても、キ
ナ酸の効率的製法については格別の開示は何もなされて
いない。
【0009】すなわち、既述のようにキナ酸を有効成分
とする消臭剤に係る特開昭61−8054にも、キナ酸
の具体的製法については何の開示もないし、また、キナ
酸を用いる有機酸含有食品の呈味改善法に係る特公昭5
6−50555においても、それに使用するキナ酸の製
法については全く触れていない。
【0010】キナ酸としては、試薬として市販されてい
るものを入手し、これを各用途に使用することは一応は
可能であるが、高価であるし、また、飲食品分野で使用
するには食品添加物としての許可も必要である。したが
って、キナ酸を各種の用途に使用するには、安全性の面
からして、天然物から抽出する方法が好適であるとの観
点にたち、先ずはじめに、好適な抽出源を選択すること
を、第一の技術課題として設定した。
【0011】次に、このようにして選択した抽出源の処
理方法、換言すれば、どのような処理を行えば効率的に
高純度の天然キナ酸が得られるか、その方法を新たに開
発することを、第二の技術課題として設定した。
【0012】天然物化学の常法にしたがって抽出液を陰
イオン交換樹脂に吸着させ、その溶出液をみると天然物
中には、キナ酸、クエン酸、リンゴ酸、蟻酸、酢酸など
有機酸の他に塩酸、硝酸、リン酸などの無機酸が混在し
ていることが一般的であるが、これらから風味改善物質
としてのキナ酸をそのあと、どのように処理して、有効
に回収するかも課題であった。水蒸気蒸留で酢酸、蟻酸
など揮発酸を逸散させ、カルシウム、エーテル、バリウ
ムを使用して沈殿・溶解を繰り返させるのも一方法であ
り、またイオン交換樹脂クロマトグラフィーからクロロ
フォルム抽出も考えられるが、いずれも繁雑な工程を必
要とするし、有機溶媒の使用も避けられない。
【0013】本発明は、このような技術の現状に鑑みて
なされたものであって、好適な抽出源を選択し、繁雑な
工程を省き、有機溶媒を使用することなく、短時間にし
かも高純度の天然キナ酸を製造することを目的としてな
されたものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するためになされたものであって、先ず、キナ酸の抽
出源について検討した。
【0015】本発明者らの分析によれば、自然界の植物
体中には遊離のキナ酸として、クランベリーの実1.1
%、サンザシの完熟果1.6%、モモピューレ0.2
%、ウーロン茶の乾燥葉1.0%、緑茶の乾燥葉1.1
%、ヨモギ乾燥葉0.5%、コーヒー生豆0.3%含ま
れている。その量は最大1.6%で、しかも生育時期に
よって異なるためバラツキが多い。これらを抽出原料と
する場合には、原料入手や価格に難点がある。しかし多
くの場合、生育のある時期をとらえると、キナ酸はクロ
ロゲン酸としてカフェ酸、クマール酸とエステル結合し
ていて、植物体の中で自己消化により加水分解されて遊
離のキナ酸になる。したがって、例えばヨモギの葉・コ
ーヒー生豆を加水分解すると約10倍以上の5%量に達
する。加水分解するには市販のリパーゼを使用した酵素
による方法、塩酸を使用した酸分解、水酸化ナトリウム
を使用したアルカリ分解による方法があるが、表1に見
るように本発明者らはこのうちアルカリ加水分解が最も
有効で、原料100g当り水酸化ナトリウムを4〜8g
の少量で、しかも、常温でも時間をかければ容易に分解
せしめることがわかり、コーヒーはもとより、特に缶コ
ーヒーの廃棄物であるコーヒー抽出滓も、本法によれ
ば、乾燥物中、キナ酸を0.8〜1.2%も残存してい
ることをつきとめ、無償に近い原料も抽出源とすること
ができ、また廃棄物の有効利用の観点からも、まことに
有意である。
【0016】
【表1】
【0017】次いで、この加水分解液を遠心濾過して濾
液を強塩基性樹脂に接触させると、陰イオンは樹脂に吸
着され、これを水酸化ナトリウムで溶出するとキナ酸を
はじめクエン酸、リンゴ酸、酢酸、蟻酸のほかに塩酸、
硝酸、クエン酸の各ナトリウム塩が得られる。これらか
らキナ酸を回収するには陽イオン交換樹脂に接触させて
酸性側としたあと、水蒸気蒸留して揮発性の酢酸、蟻酸
を逸散させ、残液の溶解度差を利用してカルシウム処
理、エーテル溶解、バリウム処理して順次、無機塩やク
エン酸を除去していくか、あるいは陽イオン交換処理液
を、再度、陰イオン交換樹脂に接触させて吸着させ、酢
酸などでキナ酸を含む弱酸を溶出させ、クロロフォルム
を使って精製して行く方法があるが、いずれも工程が繁
雑で使用する有機溶媒や再生剤に費用がかかる。
【0018】本発明によれば、前述の強塩基性陰イオン
交換樹脂のアルカリ溶出液、あるいは、これを、さら
に、強酸性陽イオン交換樹脂に接触させて、酸性側にし
た処理液を、イオン交換膜電気透析装置で処理すること
により、かかる問題が一挙に解決されたのである。イオ
ン交換膜による電気透析装置は1956年アメリカで開
発され、国内でも製塩、ホエーの脱塩、糖蜜の脱塩に実
用化されている。その原理は、スチレン・ジビニルベン
ゼン共重合体に、陽イオン交換膜にはスルホン酸基、陰
イオン交換膜には四級アモニウム基を導入させ、これら
の膜を交互に組み合わせた電解槽中に試料を通過させ、
両側から直流通電させることにより、試料中の陽イオン
は(−)極に引かれ、陽イオン交換膜を通して(−)電
極側に移り、陰イオンは(+)極に引かれ、陰イオン交
換膜を通して(+)電極側に移る。交互に組み合わせた
交換膜の間に試料の通る脱塩室、その隣りに廃液室を設
けてやれば試料中の電解質は常に脱塩され、隣の廃液室
に回収されることを原理としている。交換膜も目的に応
じて分子量100、300、1000ぐらいの選択が可
能となり、限外濾過では不可能な低分子の電解質の分別
・分離が可能となった。本発明による陰イオン交換樹脂
のアルカリ溶出液を、さらに、強酸性陽イオン交換樹脂
に接触させて、酸性側にした処理液を、分子量100を
標準とする陽イオン交換膜、陰イオン交換膜を使用して
本装置に通過させることにより、図1のグラフに示すよ
うに、塩酸、硝酸の無機塩はもちろんのこと、酢酸、蟻
酸などの低分子の有機酸を除去することができたのであ
る。
【0019】上記したように、本発明方法によれば、抽
出源としてコーヒー生豆はもとよりその抽出滓が有利に
使用することができ、また、本法によれば、水蒸気蒸
留、カルシウム・バリウム処理、エーテル抽出等も不要
で、換言すれば繁雑な工程や有機溶媒の使用等を必要と
せず、しかも、異味や異臭のない高純度のすぐれた天然
キナ酸が効率的に得られるという、きわめて有用な新知
見が得られたのである。
【0020】本発明は、上記した新知見に基いてなされ
たものであって、コーヒー生豆およびコーヒー抽出滓か
ら天然のキナ酸を経済的に有利に抽出・精製する方法に
関するものである。以下にその詳細を述べる。
【0021】抽出源となるコーヒー生豆はアラビカ種、
ロブスタ種、リベリカ種のいづれでもよく、その種類、
産地を問わずいかなるコーヒー生豆でも利用することが
できる。また、コーヒー抽出滓も缶コーヒーで得られる
スラッジ、喫茶店や家庭でコーヒーを抽出した残り滓で
もその種類を問わず湿性、乾性いづれの状態でも良い。
【0022】これらのコーヒー生豆、又は抽出滓は、ア
ルカリ加水分解する。アルカリとしては、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリ
ウム、酸化カルシウムその他加水分解に使用できるアル
カリであれば、粗製物や精製物を問わずすべてのものが
使用できる(なお、以下において、アルカリとしては水
酸化ナトリウムをひとつの代表例として用いることとす
る。)。
【0023】まずこれら原料をコーヒーミル等で磨砕
し、生豆の場合はその1部に対し0.4%〜0.8%の
水酸化ナトリウム水溶液を10部加え、40℃×20分
滞留させて分解を終了する。コーヒー抽出滓はコーヒー
生豆を焙炒し、コーヒー風味呈味物質を水又は熱水で抽
出した残滓であり、未抽出部分はその起を同じくしてい
ることから基本的には生豆と同じと考えられる。ただし
抽出直後においては湿性で水分70%近く含み、加水分
解の対象となる基質も少ない。したがって、コーヒー抽
出滓1部に対し0.4%の水酸化ナトリウム液5部が例
示され、温度・時間、例えば30℃×30分間の条件を
示すことができる。
【0024】加水分解液は固液分離し、濾液を、予め、
水酸化ナトリウムで再生させ水洗しておいた強塩基性陰
イオン交換樹脂に接触させる。これに用いる樹脂は市販
の例えば、Amberlite IRA−400(オル
ガノ(株)扱い)、DOWEX SBR(室町化学工業
(株)扱い)があげられる。樹脂に接触させる方式は回
分式、カラム式いづれでも良いが、生産規模ではカラム
方式の方が一般的で、SV=3・温度20〜30℃があ
げられる。次いでこの溶出液をそのままか、あるいは、
さらに強酸性陽イオン交換樹脂に接触させて、酸性側に
した液を、イオン交換膜電気透析装置で脱塩処理する。
【0025】強酸性陽イオン交換樹脂は、例えば、Am
berlite IRA−120B(オルガノ(株)扱
い)、DOWEX HCR−W2(室町化学工業(株)
扱い)があげられ、その使用法も強塩基性陰イオン交換
樹脂と同じく回分式、カラム式いづれでも良いが、カラ
ム方式の方が一般的で、常温でSV=3の条件があげら
れる。
【0026】イオン交換膜電気透析装置は、陽イオンを
通過させる陽イオン交換膜と、陰イオンを通過させる陰
イオン交換膜を、能力に応じて交互に組み合わせ、その
間隙に脱塩しようとする脱塩室と、回収されたイオンの
集まる脱塩廃液室を設け、両端の電極室から直流通電さ
せるもので、試料を脱塩室に送り込むポンプと、電極液
を電極室に送り込むポンプを備えたものである。本発明
において利用する装置は特に限定するものでなく、例え
ば旭化成工業(株)製のS−1型(膜面積20cm2
G−3型(膜面積400cm2)G−4型(膜面積40
00cm2)が挙げられる。
【0027】脱塩効果は、試料中の電導度(mS/cm
又はμS/cm)や、目当ての物質の濃度を分析するこ
とによって判断する。例えば、強酸性陽イオン交換樹脂
に接触させた液1Lは、電導度で2.2mS/cmであ
り、これを陽イオン交換膜、陰イオン交換膜共に分画分
子量100相当のG−3型電気透析装置に通液させる
と、75分後に電導度0.6mS/cmとなり高速液体
クロマトグラフィー(HPLC)による有機酸分析を行
なったところ、所望の脱塩効果が得られた。
【0028】本液の強酸性陽イオン交換樹脂処理前の
液、つまり強塩基性陰イオン交換樹脂のアルカリ溶出液
を、電気透析装置にかけることも、当然考えられるが、
水酸化ナトリウムを3%含んでいる為、電導度も130
mS/cmと高く、分画分子量100相当のイオン交換
膜による電気透析は非常に時間がかかり、所望の脱塩効
果が得られなかった。しかし、分画分子量300相当の
両イオン交換膜を使って、S−1型で、その電導度と電
解質の経時変化を見ると、図2に示すように、水酸化ナ
トリウムは脱塩初期に急激に減少し、電導度30mS/
cm付近で既に80%近く廃液されるのに対し、キナ酸
(分子量192)の損失はほとんど皆無である。
【0029】したがって、陰イオン交換樹脂のアルカリ
溶出液を、そのままイオン交換膜分画分子量300相当
の電気透析で、水酸化ナトリウムを3%から0.6%ま
で脱塩してから、陽イオン交換樹脂に接触させ、これ
を、今度はイオン交換膜分画分子量100相当の電気透
析で、最終脱塩する方法も可能である。電気透析が2ユ
ニットになる欠点はあるが、これにより第一段階の脱塩
廃液である水酸化ナトリウムは、加水分解用に再利用で
き、また、次の陽イオン交換樹脂に対する負荷は、著し
く小さくなる利点がある。脱塩が終ったならば、所望に
応じて逆浸透装置や、普遍的な真空濃縮装置を用いて適
宜な濃縮液とする。
【0030】
【実施例】以下本発明による実施例をあげ、更に詳しく
述べる。
【0031】実施例1 コーヒーミルで微粉砕したコーヒー生豆(ロブスタ種)
300gに、0.8%水酸化ナトリウム水溶液3000
gを加えて攪拌しながら、40℃×20分間加熱する。
分解後、300メッシュの遠心濾過で固液分離を行な
い、濾液を、予め、OH-型にしておいた強塩基性陰イ
オン交換樹脂(Amberlite IRA−400)
800mlを充填したカラムにSV=3で接触させる。
樹脂を良く水洗した後、4%水酸化ナトリウムで溶離さ
せ(SV=3)1600mlを得る。これをH+型強酸
性陽イオン交換樹脂(DOWEX HCR−W2)を8
00ml充填したカラムにSV=3で接触させ、酸性液
1600mlを得る。これをG−3型の両イオン共分画
分子量100相当のAC−110カートリッジを使用し
て、電気透析装置(旭化成工業(株))で脱塩した。初
発時の電導度は、2.2mS/cmで、終了時は0.6
mS/cmで、所要時間は120分であった。この約1
500mlを濃縮して、天然キナ酸25%液36gを得
た。本品は、固形分中、キナ酸を80%以上含み、その
0.5%溶液は、異味、異臭もなく、まろやかな酸味で
あった。
【0032】実施例2 コーヒーミルで微粉砕したコーヒー生豆(ロブスタ種)
800gに、0.6%水酸化ナトリウム水溶液8000
gを加えて攪拌しながら、30℃×30分間、加水分解
する。分解液を、110メッシュ、400メッシュの遠
心濾過で、固液分離を行ない、濾液を予め、OH-型に
した強塩基性陰イオン交換樹脂を3L充填したカラムに
SV=3で接触させ、樹脂を水洗した後、4%水酸化ナ
トリウム7Lで溶離(SV=3)させる。この溶出液
を、陽イオン陰イオン共に、分画分子量300相当のA
C−220カートリッジを使用して、G−4型電気透析
装置(旭化成工業(株))で、電導度を130mS/c
mから、30mS/cmまで40分間脱塩し、次いでH
+型にしておいた強酸性陽イオン交換樹脂(Amber
lite IR−120B)800mlを充填したカラ
ムにSV=3で通し、酸性液とし、これを両イオン共に
分画分子量100のAC−110を使用したG−4型電
気透析装置で電導度1.6mS/cmから約60分間か
けて0.7mS/cmとする。得られた脱塩液6.5L
を濃縮して、天然キナ酸25%液80gを得た。本品
は、キナ酸を固形分中、75%以上含み、その0.5%
溶液は温和な、フルーツ味のある風味であった。
【0033】実施例3 缶コーヒー製造時に廃棄されたコーヒー抽出滓(水分6
6%)5kgを0.4%水酸化ナトリウム水溶液25k
gに混ぜ、ボリトロン(スイス、KINEMATIKA
社)で微細化し、30℃×30分間、加水分解する。分
解液を110メッシュで固液分離し、さらに、8000
rpmの連続遠心分離にかけ、上澄み液を、予めOH-
型にしておいた強塩基性陰イオン交換樹脂を3L充填し
たカラムに接触させ、よく水洗してから、4%水酸化ナ
トリウム液6Lで溶離(SV=3)させる。溶出液6.
5Lを、両イオン共に、分画分子量300相当のAC−
220カートリッジを使用したG−4型電気透析装置
(旭化成工業(株))で、電導度を132mS/cmか
ら、30mS/cmまで45分間一部脱塩し、次いでH
+型の強酸性陽イオン交換樹脂(DOWEX HCR−
2)800mlに通し、7Lを得る。これを両イオン
共、分画分子量100相当のAC−100カートリッジ
を使用したG−4型電気透析装置(旭化成工業(株))
で脱塩する。
【0034】電導度は、1.2mS/cmから0.5m
S/cmまで下がるのに75分間要した。この脱塩液に
活性炭を0.5%添加して、脱色、脱香し、次いで、濃
縮し、天然キナ酸25%液27gを得た。本品は、キナ
酸を固形分中、75%以上含み、その0.5%溶液は、
異味、異臭のない、まろやかな酸味であった。
【0035】
【発明の効果】以上、本発明の開示のとおり、コーヒー
生豆及びコーヒー抽出滓から天然風味改良剤として純度
の高いキナ酸を得ることができた。これは、従来食品添
加物法下の飲食品分野では、利用できなかった分析試薬
の世界から、はじめて食品素材としての道が開かれたこ
とになる。その工程も容易で、労力も要らず、イオン交
換処理、イオン交換膜電気透析処理を基幹としているた
め、装置産業的規模での生産が可能である。特にコーヒ
ー抽出滓のように無償に近い原料を抽出源としているの
で、その経済効果はいうまでもなく、資源の再利用の観
点からも、その意義は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】イオン交換膜電気透析による脱塩効果を示す。
【図2】AC−220カートリッジを使用した電気透析
装置による電導度と電解質の経時変化を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 康 神奈川県秦野市曽屋228番地 株式会社 不二家 研究開発部内 (56)参考文献 特開 平9−3000(JP,A) 特開 平9−94080(JP,A) 国際公開86/1508(WO,A1) Journal of Food S cience(1982),Vol.47,N o.3,p.774−778 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23F 5/00 - 5/50 JICSTファイル(JOIS) FOODLINE/WPI/FOOD A dlibra/Food Sci & Technology(DIALOG) 食品関連文献情報(食ネット)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コーヒー生豆及び/又はコーヒー抽出滓
    をアルカリ加水分解し、得られた分解液を強塩基性陰イ
    オン交換樹脂処理した後これをアルカリで処理し、得ら
    れた溶出液をイオン交換膜電気透析装置で脱塩精製する
    こと、を特徴とする有機溶媒を使用することのないキナ
    酸の抽出、精製方法。
  2. 【請求項2】 該溶出液を更に強酸性陽イオン交換樹脂
    処理することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 アルカリ加水分解が水酸化ナトリウムを
    用いる加水分解であることを特徴とする請求項1に記載
    の方法。
  4. 【請求項4】 コーヒー生豆及び/又はコーヒー抽出滓
    1部に対し0.4〜0.8%水酸化ナトリウム水溶液を
    5部〜10部加えて、30℃以上で15分〜30分滞留
    させて加水分解し、固液分離後、分解液を強塩基性陰イ
    オン交換樹脂に接触させ、次いで該樹脂にアルカリ水溶
    液で処理した溶出液等を、イオン交換膜電気透析装置で
    脱塩精製すること、を特徴とする有機溶媒を使用するこ
    とのないキナ酸の抽出、精製方法。
JP17849993A 1993-06-28 1993-06-28 キナ酸の抽出、精製方法 Expired - Fee Related JP3347822B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17849993A JP3347822B2 (ja) 1993-06-28 1993-06-28 キナ酸の抽出、精製方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17849993A JP3347822B2 (ja) 1993-06-28 1993-06-28 キナ酸の抽出、精製方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH078169A JPH078169A (ja) 1995-01-13
JP3347822B2 true JP3347822B2 (ja) 2002-11-20

Family

ID=16049534

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP17849993A Expired - Fee Related JP3347822B2 (ja) 1993-06-28 1993-06-28 キナ酸の抽出、精製方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3347822B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2916415B2 (ja) * 1996-08-05 1999-07-05 小川香料株式会社 フレーバー用熱劣化抑制剤
JP4921630B2 (ja) * 2000-05-10 2012-04-25 小川香料株式会社 ビタミン臭抑制剤
JP4739036B2 (ja) * 2006-01-26 2011-08-03 長谷川香料株式会社 風味の改善された茶抽出処理物の製造方法
JP5172095B2 (ja) * 2006-02-14 2013-03-27 ユーシーシー上島珈琲株式会社 コーヒー豆または/およびコーヒー抽出残渣より多糖類を製造する方法
CN103429097B (zh) * 2011-03-10 2016-02-24 高砂香料工业株式会社 呈味改善剂
JP5033255B2 (ja) * 2011-07-11 2012-09-26 小川香料株式会社 不快なビタミン臭が抑制された飲食品
CN113511967B (zh) * 2020-04-10 2024-03-22 江苏得乐康生物科技有限公司 一种从银杏叶提取物层析废水中提取奎宁酸的方法

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
Journal of Food Science(1982),Vol.47,No.3,p.774−778

Also Published As

Publication number Publication date
JPH078169A (ja) 1995-01-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
SU1834646A3 (ru) Способ выделения стевиозидов
JP2003522539A (ja) 酪農水流の濾過方法
JP2013537888A5 (ja)
JP3295696B2 (ja) 脱塩を目的とするホエーの処理方法
HUP0003016A2 (hu) Eljárás cukorszirup előállítására cukortartalmú anyagokból
JPH0330892A (ja) アミンの除去方法
JP3347822B2 (ja) キナ酸の抽出、精製方法
CN111574372B (zh) 电渗析法从中草药中提取绿原酸的方法
PL196961B1 (pl) Sposób jednoczesnego oczyszczania i oddzielania pektyny i pektynowych cukrów/oligomerów w wieloetapowym procesie prowadzonym w roztworze wodnym z wysłodków buraków cukrowych
CN106831894A (zh) 一种脱乙酰基耦合吸附分离d‑氨基葡萄糖盐酸盐的方法
JPH0994080A (ja) コーヒー豆加水分解抽出物からなる呈味改善剤
AU733296B2 (en) Method of producing fructose syrup from agave plants
DE3410180C2 (ja)
JPH1135591A (ja) オキナワモズクから分離したフコイダンからのl−フコ ースの製造とそれの製造法
JP3546592B2 (ja) フィチン酸の精製方法
JP3497205B2 (ja) コーヒー抽出滓の処理方法
JPH06145186A (ja) α,α−トレハロースの製造法
JP3383193B2 (ja) 液体甘味料及びその製造方法
EP0781264B1 (en) Process for recovering citric acid
JP2899844B2 (ja) シアル酸の精製法
US20030000894A1 (en) Process for treating liquid
JP5856619B2 (ja) イヌリンの製造方法
SU654612A1 (ru) Способ выделени цитохрома
SU957835A1 (ru) Способ получени смеси аминокислот и низших пептидов
JP3920954B2 (ja) 抗潰瘍剤の製造法

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080906

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees