JP3346663B2 - 燃料電池セル - Google Patents
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Description
燃料電池セルの空気極に用いられる多孔質セラミック焼
結体に関するものである。
質型燃料電池セルは、りん酸型燃料電池セルや溶融塩電
解質型燃料電池セルに比較して発電効率が高いことから
積極的にその実用化が進められている。この固体電解質
型燃料電池セルとしては、例えば円筒型燃料電池セル
は、図1に示すように、Y2 O3 やCaOなどにより安
定化されたZrO2 からなる固体電解質1の片面にLa
MnO3 系材料からなる空気極2、他方の面にNi−Z
rO2 などからなる燃料極3を形成し、空気極2側に空
気(酸素)、燃料極3側に水素などの燃料ガスを流する
ことにより発電が行われる。また、この単セルはインタ
ーコネクタ(集電部材)4により接続されることにより
発生電力が集電される。
透過性に優れるととに高い電気伝導度を有することが要
求されることから、Laの一部をCaやSrで置換した
多孔質のLaMnO3 系ペロブスカイト型複合酸化物に
より構成されている。
を大きくするには、開気孔率が25%以上の多孔質によ
り構成することが必要となるが、開気孔率が大きくなる
ほど空気極自体の強度は低下する傾向にある。また、図
1に示されるように、空気極の中には、それ自体固体電
解質や燃料極を支持するための支持管として用いるのが
主流になりつつあるため、開気孔率を大きくすると固体
電解質の膜付け時や製造過程での取扱いにおいて破損し
やすいという欠点があった。
りが低下したり、燃料電池の長期使用においての信頼性
を低下させる大きな原因になっていた。
は、高い電気伝導度を有することが必要であり、LaM
nO3 に対してCaやSrでLaの一部を置換すること
により電気伝導度を高めることも行われているものの、
従来の燃料電池では、固体電解質と空気極との間の比抵
抗が小さいという欠点があった。
における空気極が適度の開気孔を有しながらも高い機械
的強度を有するとともに、固体電解質との間の比抵抗の
小さい空気極を具備する円筒型の燃料電池セルを提供す
ることを目的とするものである。
的に対して特に、LaMnO3 系結晶を主結晶とする焼
結体に対して、ガス透過性、強度および固体電解質との
間の比について検討した結果、空気極を構成する焼結体
の細孔の大きさおよび焼結体表面の表面粗さが空気極の
機械的強度とガス透過性、および比抵抗に大きく寄与す
ることを見いだしさらに検討を重ねた結果、焼結体中に
含まれる細孔において、直径4μm以下の細孔の全細孔
体積に占める割合が70%以上、固体電解質と接触する
表面の表面粗さ(Ra)が0.05〜8.8μmの多孔
質焼結体により空気極を構成することにより最も優れた
特性を有することを見いだしたものである。
燃料電池セルにおける空気極は、金属元素として少なく
ともLaとMnを含む酸化物焼結体であって、結晶相と
してはLaMnO3 系ペロブスカイト型酸化物結晶を主
として構成される。このLaMnO3 系結晶としては、
そのLaの10〜50原子%をCaにより、あるいはL
aの10〜50原子%をSrで置換したもの、さらに
は、上記CaあるいはSrによるLaの置換に加え、L
aの一部を周期律表第3a族元素で0.1〜50原子%
の割合で置換したものが特に望ましい。これは、上記L
aの置換によりLaMnO3 系材料の電気伝導度が向上
するためである。
状構造を有する多孔質セラミック焼結体からなるもの
で、前記LaMnO3 系ペロブスカイト型酸化物結晶
は、この多孔質焼結体の骨格を形成する 本発明における空気極によれば、焼結体中に含まれる細
孔において、直径4μm以下の細孔の全細孔体積に占め
る割合が70%以上であることが重要である。
決定する要因であり、直径4μm以下の細孔の全細孔体
積に占める割合が70%を下回ると、直径4μmより大
きい細孔数が増加することから所望の強度が得られな
い。特に直径4μm以下の細孔は90%以上であること
が望ましい。この細孔の分布は、例えば水銀圧入法によ
り容易に測定することができる。
質と接触する表面の表面粗さ(Ra)が0.05〜8.
8μmであることが重要である。この表面粗さは、強度
および固体電解質間の比抵抗を決定する要因であり、こ
の表面粗さが0.05μmより小さいと、固体電解質と
の接触面積が小さくなるため、比抵抗が大きくなり、
8.8μmを越えると強度が低下してしまう。この表面
粗さの測定においては、焼結体自体に気孔が存在するこ
とから本質的な表面粗さの測定は難しい。従って、本発
明における表面粗さは、JISB0601に基づく測定
による実測値より規定したものである。特に、表面粗さ
は0.6〜5.0μmが望ましい。
上記分布を有することに関連して、開気孔率は20〜4
0%であることが望ましい。この開気孔率はアルキメデ
ス法により測定されるものである。
結体を作製するには、例えば、出発原料としてLa2 O
3 、MnO2 などの酸化物粉末に加え、Ca,Srなど
の酸化物や炭酸塩、硝酸塩などの化合物を用いて、これ
らを前述したような組成に調合した後、これを900〜
1500℃の温度にて固相反応させペロブスカイト型固
溶体し、これを粉砕して平均粒径が0.5〜20μmの
粉末を作製する。そしてこれを用いて所望の成形手段、
例えば、金型プレス,冷間静水圧プレス,押出し成形、
ドクターブレード成形などにより所定の形状に成形す
る。
℃、特に1450〜1650℃の大気などの酸化性雰囲
気中で焼成する。焼成にあたっては、前述したように適
度の細孔および開気孔率を有するように緻密化するに十
分な時間よりも短い時間で焼成を終了する。
方法として、LaMnO3 系固溶体粉末に対して、適当
な平均粒径を有する細孔形成用の低密度ポリエチレンな
どの樹脂粉末を添加混合した後に上記と同様に成形、焼
成すればよい。
加工することによりその表面粗さを0.05〜8.8μ
mの範囲に調整すればよい。
するLaMnO3 系ペロブスカイト型酸化物からなる多
孔質セラミック焼結体において、細孔分布および固体電
解質と直接接触する焼結体表面の表面粗さを前述した特
定の範囲に限定することにより、適度のガス透過性を維
持しながらも、高い強度を有するために、固体電解質の
膜付け時や製造過程での取扱い時においても破損しにく
く、セル製造時の歩留りを向上することができ、燃料電
池の長期使用における信頼性を高めることができる。し
かも、固体電解質と空気極との間の比抵抗が低いために
セルとしての発電効率を高めることができる。
aCO3 、MnOの各粉末を用いて、La0.4 Y0.2 C
a0.4 MnO3 の組成となるように秤量混合した後、1
500℃で3時間熱処理して固溶体化処理した後に粉砕
処理後、メッシュパスにより粉末を得た。なお、固溶体
の生成はX線回折測定によりペロブスカイト型結晶であ
ることを確認した。
を添加するとともに、直径が7〜12μmの低密度ポリ
エチレンからなるポア剤を粉末量の20体積%の割合で
混合した。そして、この混合粉末を押出成形により外径
22mm、内径20mm、長さ1000mmのパイプ状
成形体を作製した。その後、このパイプ状成形体を大気
中で1450℃の温度で3時間焼成した。得られたパイ
プ状焼結体から約20mmの長さにカットし、実験用サ
ンプルとした。
孔率を測定するとともに、水銀圧入型ポロシメータを用
いて細孔構造の解析を行い焼結体中の細孔の分布を調
べ、全細孔体積に対する直径4μm以下の細孔の体積比
率を求めた。さらに、サンプルに対してオートグラフを
用いてパイプの側面より荷重を印加しサンプルが破壊し
た時の荷重を読み取り、その値から圧環強度を求めた。
ぞれ#200〜#1500のサンドペーパーと、#40
00のダイヤモンドペーストを用いてサンプルの外表面
を研磨し、その後、表面粗さJISB0601に基づ
き、万能表面形状測定器を用いて表面粗さ(Ra)を測
定した。その時の測定条件としては、触針を2μmRの
ダイヤモンドとし、カットオフ値0.8mm、測定長さ
2.5mmとした。
O3 を10モル%含有するZrO2をテープ成形を行
い、このテープを70μmの厚みで接着した後、空気
中、1000℃の温度で固体電解質と空気極間の比抵抗
を測定した。
た。
m以下の細孔の全細孔体積に占める割合が、70%未満
の試料No.1、2は実用に耐えうる強度を有しなかっ
た。また表面粗さが0.05μmより小さい試料No.6
では固体電解質間との比抵抗は大きいものであった。表
面粗さが8.8μmを越える試料No.16、17では強
度が低いものであった。
いずれも圧環強度3kg/mm2 以上の高い強度を有す
るとともに、比抵抗0.013Ω−cm以下の低い抵抗
を有するものであった。
ルによれば、高いガス透過性を有しつつ、高い機械的強
度を有するとともに、固体電解質との間の比抵抗が小さ
いことから、固体電解質の膜付け時や製造過程での取扱
い時においても破損しにくく、セル製造時の歩留りを向
上することができ、燃料電池の長期使用における信頼性
を高めることができ、しかもセルとしての発電効率を高
めることができる。
である。
Claims (1)
- 【請求項1】固体電解質の片面に空気極を、他方の面に
燃料極を形成してなる円筒型の燃料電池セルにおいて、
前記空気極がLaMnO3系ぺロブスカイト型複合酸化
物結晶を骨格とする多孔質セラミック焼結体からなり、
該焼結体中に含まれる気孔のうち、直径が4.0μm以
下の細孔の全細孔体積に占める割合を70%以上とし、
且つ焼結体の固体電解質と接触する表面の表面粗さ(R
a)が0.05〜8.8μmであることを特徴とする燃
料電池セル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26652294A JP3346663B2 (ja) | 1994-10-31 | 1994-10-31 | 燃料電池セル |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26652294A JP3346663B2 (ja) | 1994-10-31 | 1994-10-31 | 燃料電池セル |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH08130017A JPH08130017A (ja) | 1996-05-21 |
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Family
ID=17432066
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP26652294A Expired - Fee Related JP3346663B2 (ja) | 1994-10-31 | 1994-10-31 | 燃料電池セル |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP3997874B2 (ja) | 2002-09-25 | 2007-10-24 | 日産自動車株式会社 | 固体酸化物形燃料電池用単セル及びその製造方法 |
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US10355282B2 (en) | 2012-05-31 | 2019-07-16 | Kyocera Corporation | Cell, cell stack unit, electrochemical module, and electrochemical apparatus |
-
1994
- 1994-10-31 JP JP26652294A patent/JP3346663B2/ja not_active Expired - Fee Related
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