JP3346430B2 - 磁気ひずみ測定方法 - Google Patents

磁気ひずみ測定方法

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JP3346430B2
JP3346430B2 JP27730193A JP27730193A JP3346430B2 JP 3346430 B2 JP3346430 B2 JP 3346430B2 JP 27730193 A JP27730193 A JP 27730193A JP 27730193 A JP27730193 A JP 27730193A JP 3346430 B2 JP3346430 B2 JP 3346430B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、磁性体の特にごく小
さい磁気ひずみの測定を可能にする磁気ひずみ測定方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄、鋼などの磁性体は、定常状態では、
その最小磁石である針状磁区は不規則に配列されてい
て、磁性を示さないが、この磁性体が磁界内に置かれる
と、針状磁区が磁界の方向に沿って整列することにより
磁性体が磁化されて磁石になる。このとき、磁性体に
は、磁気ひずみが生じることが知られている。したがっ
て、磁性体が交番磁界に置かれると、磁気ひずみのた
め、磁性体が振動をすることになる。
【0003】この磁性体の磁気ひずみによる振動は、次
のようにして生じると考えられている。磁性体の磁化
は、これが置かれる磁界の方向に応じて変わる。このた
め、磁性体を、図11Aに示すような交番磁界中に置く
と、この交番磁界の繰り返し周波数の2倍の繰り返し
で、磁性体の磁化の方向が反転する。この磁化の方向の
反転の際、それぞれ針状磁区101は、図11Bに示す
ようにして回転して、その磁極を反転する。
【0004】図11Bから理解されるように、この針状
磁区の反転に伴い、針状磁区が横位置のときと、縦位置
のときが生じるが、針状磁区は、磁性体の最小組織(結
晶)と考えられるので、これらの位置変化により、磁性
体にひずみが生じると考えられる。磁区の回転は、磁界
が交番することにより生じるので、交番磁界に置かれた
磁性体の磁気ひずみは、交番磁界の繰り返し周波数の2
倍の周波数を基本とする振動ひずみとなる。
【0005】従来、この磁性体の磁気ひずみを測定する
方法としては、次のような方法が用いられていた。すな
わち、この方法は、図12に示すように、磁性体を偏平
薄型にして作成した試料102に、傾斜を持たせた鏡1
03を貼り、この鏡付きの試料を、図中点線で示す円筒
状に巻回したコイル(ソレノイドコイル)107の内部
空間内置く。そして、このコイル107には、交番電
流を流して交番磁界(交番磁束φ)を発生させ、試料1
02に磁気ひずみを生じさせる。
【0006】この状態で、試料102に張り付けられて
いる鏡103に対して光源104から光ビーム105を
照射し、その反射光を受光部106で受光して、磁気ひ
ずみ振動の大きさを測定する。その測定原理は、図12
に示すように、磁性体試料102に貼着された鏡103
にビーム105が入射したとき、その反射光は、磁気ひ
ずみ量に応じた広がり角θを有することを利用するもの
である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
磁性体の磁気ひずみによる振動は、モータや変圧器にお
いて、うなり音となって現れたりして、種々の不都合を
生じる。このため、できるだけ、この磁気ひずみが小さ
い材料が望まれており、その開発が進んでいる。そし
て、最近では、磁気ひずみの量が、1m当たり、10-7
〜10-9m程度にまで、押さえられた材料の誕生の可能
性が出てきている。
【0008】ところで、磁性体材料のこのような磁気ひ
ずみの小ささは、その磁気ひずみの大きさを測定するこ
とにより確認しなければならない。そのためには、その
ような極く小さい磁気ひずみの測定ができなければなら
ない。しかしながら、従来の装置では、磁性体試料の1
m当たりについて、最小、10-7m程度までの磁気ひず
みの測定は可能であるが、それより、小さい磁気ひずみ
は正確に測定することができなかった。
【0009】この発明の発明者は、この原因を追及した
ところ、以下の点が判明した。磁性体試料102のコイ
ル107内での設置位置は、このコイル107の巻回方
向の電気的中央位置と、試料102の管軸方向の中央
(電気的中央)位置とが一致するような位置とされなけ
ればならない。電気的中央位置でないときには、交番磁
界により試料3自身が管軸方向に位置を変更移動する状
態になり、磁気ひずみのみを正しく測定することができ
ないからである。
【0010】このため、従来は、コイル107の巻回方
向の物理的中央位置と、磁性体試料102の磁気ひずみ
方向の物理的中央位置とを一致させていた。
【0011】ところが、磁性体試料102が、例えば多
結晶構造である場合には、磁区を構成する結晶は、種々
の大きさを有しており、磁界内に試料が置かれて磁性を
呈するように磁区が整列したときに、その磁区の大きさ
の違いから、電気的中央位置と、試料の物理的中央位置
と一致しない。このため、物理的な中央位置に寸法精度
で、位置合わせをしても、電気的中央位置にならない。
【0012】また、コイル107の側にも線材の巻きむ
らがあったりするとコイル巻回方向の物理的中央位置と
電気的中央位置とは一致しない。図12の従来の測定装
置では、コイル107の外側から光を鏡103に照射
し、反射光を外部の受光部106に導出しなければなら
ないため、これら光の通り道の部分は、隙間を設けなけ
ればならない。このため、コイル107の物理的中央位
置と、電気的中央位置とは一致しにくい。
【0013】以上のようなコイル107と、磁性体試料
102の電気的中央位置の位置合わせがなされていない
状態で、コイル107に磁気ひずみ測定用の交番電流を
流して、交番磁界を発生させた場合、磁気ひずみと共
に、コイル107と、磁性体試料102の電気的中央位
置が一致するように、試料102自身が位置移動(振動
移動)を生じる。この試料102の位置移動は、所定時
間経過後にあっては、電気的中央位置の一致点で停止す
るが、磁気ひずみの測定時の交番磁界は、比較的大き
く、その停止までの時間に長時間がかかる。このため、
従来は、この振動移動が生じている期間内に磁気ひずみ
を測定することになり、正確な、かつ、微小な磁気ひず
みの測定ができなかったのである。
【0014】また、従来の測定装置は、鏡を試料に張り
付けて、鏡に光を照射し、その反射光の広がり角から試
料の磁気ひずみを測定する装置であるため、次のような
問題点がある。
【0015】すなわち、鏡を使用する従来のひずみ測定
装置は、試料の磁気ひずみ自身を直接的に測定する方法
ではなく、いわば間接的に磁気ひずみ量を測定する方法
を用いるものであるため、所定値以下の小さい磁気ひず
みは正確に測定することができなかった。
【0016】また、試料に張り付けた鏡からの光の反射
を受光する方式であるため、試料は、しっかりと固定す
ることが困難である。このため、例えば偏平薄型に切り
出した試料の偏平面方向の磁気ひずみを測定しようとす
る場合に、試料の厚み方向の磁気ひずみの影響を受け
て、試料が横ゆれなどを生じてしまい、小さい磁気ひず
みの測定を不能にしている。
【0017】しかも、試料に鏡を張り付けるため、試料
に生じる磁気ひずみに、張り付けられた鏡の分の影響が
生じ、これも正確な、より小さい磁気ひずみを測定する
ための支障となっていた。
【0018】さらには、図12に示す従来例の場合、試
張り付けた鏡103に、コイル107の外部にある
光源104からの光を照射し、その反射光を、コイル1
07の外部に設けられる受光素子106で受光するよう
にしなければならないため、コイル107には、試料1
02の近傍において、線材を巻回せずに光を導くための
空間を設けなければならない。このため、コイル107
の巻回方向に生じる交番磁界が、試料102の近傍で不
均一となり、正確な磁気ひずみを測定するために重要と
なる試料近傍の磁気特性環境を所期のものとなるように
整えることが困難であった。
【0019】この発明は、以上の点に鑑み、ソレノイド
コイルの内部空間に磁性体試料を配置し、そのコイルに
電流を流して交番磁界を発生させ、その交番磁界により
磁性体試料に発生する磁気ひずみを測定する磁気ひずみ
測定装置において、より高精細に、磁気ひずみの測定を
行うことを可能にする方法を提供することを目的とす
る。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、この発明による方法においては、後述の実施例の参
照符号を対応させると、円筒状に巻回される磁界発生用
の第1のコイル2と、この第1のコイル2の内部空間に
交番磁界を生じさせるために、この第1のコイルに供給
する交番信号を発生する交番信号発生器11と、上記第
1のコイル2の内部空間内に、磁性体試料3を配置する
ための試料保持部材30と、上記試料3の近傍の磁気特
性を検出するための第2のコイル4、5と、上記磁性体
試料3の磁気ひずみによる変位を求める磁気ひずみ検出
手段6とを備え、上記第2のコイル4、5に得られる誘
起電圧出力と、上記磁気ひずみ検出手段6の出力信号と
から、上記磁性体試料の近傍の磁気特性と、その磁気特
性条件下で上記磁性体試料に生じる磁気ひずみの量との
関係を求めるようにした磁気ひずみ測定装置を用いる場
合において、実際の測定のための交番磁界を発生させる
前に、上記第1のコイルに、上記磁性体試料と上記第1
のコイルとの間の、電気的中央位置合わせのための電流
を供給するようにしたことを特徴とする。
【0021】また、この発明は、以下のような磁気ひず
み測定装置をその対象とすると、その効果は顕著であ
る。すなわち、その磁気ひずみ測定装置は、円筒状に巻
回される磁界発生用の第1のコイル2と、この第1のコ
イル2の内部空間に交番磁界を生じさせるために、この
第1のコイルに供給する交番信号を発生する交番信号発
生器11と、磁性体試料3を挟んで保持する1対の非磁
性体板31、32を備え、磁性体試料3の挟持された面
が、第1のコイル2の巻回方向と平行となる状態で、第
1のコイル2により囲まれる空間内のほぼ中央部、か
つ、第1のコイル2の巻回方向のほぼ中央部に、磁性体
試料3を配置するための試料保持部材30と、試料3の
近傍の磁気特性を検出するために、1対の非磁性体板3
1、32の試料3を挟持する部分の周囲において、試料
保持部材30に対して固定される第2のコイル4、5
と、試料保持部材30の1対の非磁性体板31、32間
の磁性体試料3の端面3tあるいはこの端面3tに取り
付けられた反射板に光ビームを照射し、その反射光か
ら、磁性体試料3の端面3tの変位を検出する光変位計
6とを備え、第2のコイル4、5に得られる誘起電圧出
力と、光変位計6の出力信号とから、磁性体試料3の近
傍の磁気特性と、その磁気特性条件下で磁性体試料3に
生じる磁気ひずみの量との関係を求めるようにしたこと
を特徴とする。
【0022】
【作用】上記の構成のこの発明の方法によれば、磁性体
試料の磁気ひずみの実際の測定に先立ち、コイル2に所
定の電流が、所定時間以上、供給される。この結果、コ
イル2内に配置された磁性体試料3の、コイル2の巻回
方向の位置は、磁性体試料3の電気的中央位置と、コイ
ル2の電気的中央位置とが一致する状態で、停止する。
この状態で、実際の測定用電流をコイル2に供給して磁
性体試料の磁気ひずみの測定を行う。
【0023】コイル2と磁性体試料3の電気的中央位置
が一致しているので、磁性体試料がコイル2の巻回方向
に位置変動することがなく、磁気ひずみのみが正しく測
定できる。
【0024】特に、請求項2に記載のような構成の磁気
ひずみ測定装置が対象となる場合には、その効果が大き
い。
【0025】すなわち、この場合の磁気ひずみ測定装置
においては、磁性体試料3は、1対の非磁性体板31、
32により挟持され、その方向の変位が制限された状態
で、第1のコイル2内の交番磁界が生じる空間内に配置
される。交番磁界により、磁性体試料3は、1対の非磁
性体板31、32により挟持された面の方向、つまり第
1のコイル2の巻回方向に平行な方向に磁気ひずみによ
る変位を生じ、その端面3tは、その磁気ひずみによる
変位に応じた振動を呈する。
【0026】光変位計6は、第1のコイル2の巻回方向
の空間から、試料3の端面3tに光ビームを照射し、そ
の反射光を利用して、試料3の端面3tの振動変位量に
応じた出力信号を得る。この発明においては、この変位
には、磁性体試料3の上記電気的中央位置のずれによる
位置変動は含まれず、磁気ひずみのみである。したがっ
て、正確かつ、精細に磁気ひずみの測定ができる。
【0027】
【実施例】以下、この発明による方法の一実施例を、こ
の発明が適用される新規な磁気ひずみ測定装置の一実施
例と共に、図を参照しながら説明する。
【0028】図1は、この例の磁気ひずみ測定装置の機
構部の機械的構成及び信号処理系の全体を示している。
この図1に示した機構部の機械的構成は、原理的構成を
示しており、その詳細な構成例は、図2に示す通りであ
る。図2Aは、この例の測定装置の機構部の平面図(一
部は、断面として示してある)、図2Bは、この例の測
定装置の機構部の側面図(一部は、断面として示してあ
る)である。
【0029】先ず、図1において、1は中空円筒の二重
ガラス管である。このガラス管1は、同心円筒状のガラ
ス壁がその管軸方向の端部において連結された形状を有
している。このガラス管1の外周には、その管軸方向の
両端部を除く部分において、交番磁界発生用のコイル2
が、ソレノイドコイル状に巻回される。そして、ガラス
管1内の円柱状空間内のほぼ中央位置には、磁性体試料
3が置かれる。
【0030】この例の場合、磁性体試料3は、偏平矩形
の薄板状とされ、厚さ、幅、長さが予め求められてい
る。この試料3は、その板面方向がガラス管1の管軸方
向と一致する状態で、後述する試料保持手段30により
保持されて、ガラス管1内に置かれる。
【0031】交番磁界発生用のコイル2には、交番信号
発生器11からの交番電圧がアンプ12を介して供給さ
れる。これにより、コイル2には、交番電流iが流れ、
ガラス管1内の円柱状空間内に管軸方向の交番磁界が生
じる。
【0032】ところで、コイル2には、比較的大きな電
流iを流すために、発熱が生じる。そこで、この例の装
置においては、ガラス管1の2重壁内に冷却水を流すこ
とにより、過度の発熱を防止するようにしている。
【0033】この冷却水を流す構成にするため、ガラス
管1には、その管軸方向の一端側の一部から突出するよ
うに、開口部1aが設けられると共に、管軸方向の他端
側の、前記開口部1aの位置に対して180度角間隔隔
てた位置にも、その部分から突出するように開口部1b
が設けられている。そして、このガラス管1は、図示の
ように、開口部1aが上方、開口部1bが下方になる状
態で横位置に置かれ、開口部1aから冷却水が注入され
る。冷却水は、ガラス管1内のすべての部分を巡って開
口部1bから排水される。
【0034】試料3の磁気ひずみを測定する場合、この
試料3の近傍の磁界あるいは試料3を通る磁束(磁束密
度)を知り、その磁束あるいは磁界の磁気特性条件下に
おいて発生する磁気ひずみとして測定する必要がある。
そこで、試料3の近傍の磁気特性を測定するため、コイ
ルブロックCBが設けられる。
【0035】このコイルブロックCBは、この例では、
後述するように、試料3を通る磁束を測定するためのさ
ぐりコイル4と、試料3のできるだけ近傍の磁界を測定
するための補正コイル5とからなる。詳細な構成は、後
述する。
【0036】以上の構成において、コイル2に交番電流
iを流すと、ガラス管1の管軸方向に交番磁界が誘起さ
れ、この交番磁界により、磁性体試料3には、前述した
ように、電流iの周波数の2倍の周波数で振動する磁気
ひずみが生じる。この場合、試料3は、偏平矩形の薄い
板であるので、この磁気ひずみは、板面方向(管軸方
向)の伸び縮みとして現れる。すなわち、試料3の厚み
部分の端面3tは、管軸方向に、試料3の伸び縮みに応
じて変位する。
【0037】この例においては、試料3の前記端面3t
の変位を光変位計を用いて測定することにより、試料3
の磁気ひずみを直接的に測定する。光を用いて変位を測
定するので、電磁気的影響がほとんどない。
【0038】図1において、6は光変位計を示し、6a
はそのプローブである。このプローブ6aは、非磁性体
で構成されている。この例の光変位計6は、プローブ6
aから光ビーム7を出射すると共に、反射光をこのプロ
ーブ6aから得る。プローブ6aから出射された光ビー
ムは、この例では試料3の端面3tに照射される。光変
位計6は、その端面3tからの反射光をプローブ6aを
介して受光して、その端面3tの変位を電圧変化に変換
して出力信号Vλとして得る。
【0039】なお、試料3の端面3tに、プローブ6a
からの光ビームを反射するための、例えば微小な反射板
を取り付けるようにしてもよい。
【0040】次に、図2〜図4を参照して、以上説明し
た機構部分のさらに詳細な構成について説明する。な
お、図3は、図1のA−A断面図、図4は機構部の中央
部の拡大断面図である。
【0041】図2に示すように、ガラス管1の外側は、
ベークライト製の円筒状の筐体7に覆われている。この
筐体7は、ベース部材8に固定されている。ガラス管1
の冷却水の出入口1a、1bは、筐体7の外側に導出さ
れている。また、筐体7の管軸方向の両端部は、試料3
の出入りのためと、光変位計6のプローブ6aを挿入す
るために、開口とされている。
【0042】磁性体試料3は、試料保持部材30により
保持される。すなわち、図2及び図4に示すように、こ
の例の場合、磁性体試料3は、細長い偏平薄板状とされ
ており、同様に細長い薄板状に構成された1対の非磁性
体板31及び32により挟まれて保持される。この非磁
性体板31及び32は、磁性体試料を確実に保持できる
ように、できるだけ重量の重い方がよく、この例では、
アルミナ磁器が用いられている。
【0043】この例の場合、非磁性体板31、32の寸
法は、それぞれ、例えば、厚さ×幅×長さ=2(mm)
×31(mm)×277(mm)とされている。また、
試料3の寸法は、例えば、厚さ×幅×長さ=1(mm)
×30(mm)×280(mm)とされている。つま
り、試料3は、非磁性体板31、32より若干長く、そ
の分がプローブ6a側に突き出すようになされており、
その突き出した部分の端面3tが磁気ひずみにより変位
する。このため、この端面3tに反射板を取り付けると
よい。
【0044】対の非磁性体板31、32の長さ方向の一
端側は、保持アーム33により固定される。この場合、
保持アーム33は、非磁性体板31、32を、試料3を
挟んだ状態で、例えば捩子などにより固定する。対の非
磁性体板31、32の長さ方向の他端側は、固定され
ず、測定状態においては、筐体7あるいはベース8に固
定されている保持台34の上に載置される。捩子を緩め
て、保持アーム33による対の非磁性体板31、32の
固定保持を解除し、試料3の交換ができる。
【0045】保持アーム33は、試料3をガラス管1外
に導出して、交換等するために、保持アーム受け台35
に対して、ガラス管1の管軸方向に沿って水平方向に摺
動自在に係合されている。保持アーム33と、保持アー
ム受け台35との摺動は、非常に軽快に行えるようにさ
れており、摺動後は、捩子などにより、保持アーム33
が受け台35に固定される。
【0046】保持アーム受け台35は、重量の大きい部
材で構成され、この例ではステンレス製とされている。
そして、水平方向の移動距離をより大きくするため、保
持アーム受け台35も、ベース34に対して、保持アー
ム33と同じ方向に摺動自在に取り付けられており、捩
子などにより固定できるように構成されている。取っ手
36は、保持アーム受け台35の摺動を行う時に使用さ
れる。
【0047】この場合、非磁性体板31、32による挾
持状態では、磁性体試料3は、その板面方向(ガラス管
1の管軸方向)には磁気ひずみによる伸縮が自在とな
る。しかし、非磁性体板31、32により挾持されてい
るため、磁性体試料3の厚み方向には、その伸縮が制限
されるようにされている。
【0048】次に、コイルブロックCBの構成について
説明する。さぐりコイル4は、ガラス管1の管軸方向を
巻回方向とするソレノイドコイル状に巻回され、ガラス
管1内の空間に試料3を設置したとき、試料3は、コイ
ル4のほぼ巻回中心に位置する状態とされるものであ
る。このコイル4は、図1のA−A断面図である図3
と、主要部分の拡大図の図4に示すように、非磁性体か
らなる中空筒状ボビン41に巻回され、測定状態では、
試料3がボビン41の中空部内に挿入される状態とな
る。
【0049】ボビン41の大きさは、その中空部の断面
積が、試料3を挟持した非磁性体板31、32の断面積
より若干大きく選定され、試料3の交換に支障が生じな
いようにされている。そして、ボビン41は、非磁性体
板31、32の一方、例えば板31の長さ方向のほぼ中
央位置に、接着などにより固定される。
【0050】また、試料3のできるだけ近傍の磁界を測
定するための補正コイル5は、例えばマイラーなどの非
磁性体材料をコア51、52として、線材が巻回されて
構成され、さぐりコイル4の外周部分に固定される。こ
の例では、この補正コイル5は、図3に示すように、さ
ぐりコイル4の外周部分の、試料3の上方と、下方とに
おいて、それぞれコア51、52に線材が巻回されたも
のが直列に接続されて構成されている。この補正コイル
5の巻回方向も、ガラス管1の管軸方向に一致してい
る。また、コア51、52の断面積は、磁束密度を求め
るため、予め定められた値Aとされている。なお、補正
コイル5は、非磁性体のコアに線材を巻回したものでは
なく、空心であってもよい。
【0051】また、図2に示すように、コイルブロック
CBからのコイル4及び5のリード線端部4L、5L
は、ガラス管1の内部から筐体7とガラス管1の外壁と
の間の空間に導かれて、筐体7の外部に設けられる出力
端子(図示せず)と接続されている筐体7の内部端子
(図示せず)に接続されている。
【0052】以上のように構成された磁気ひずみ測定装
置により、磁性体試料3の磁気ひずみを実際に測定する
前に、この発明においては、磁性体試料3のガラス管1
内での管軸方向の設置位置が、ガラス管1に巻回された
コイル2の巻回方向の電気的中央位置と、試料3の管軸
方向の中央(電気的中央)位置とが一致するような位置
となるような操作がなされる。
【0053】そこで、この例では、非磁性体板31、3
2で試料3を挾んだ状態で保持アーム33に固定し、ガ
ラス管1内のほぼ物理的中央位置に配置した後、実際の
測定を開始する前に、所定の電流、例えば図5Aに示す
ような正の電流+isあるいは図5Bに示すような負の
電流−isをコイル2に流す。このとき、保持アーム3
3を受け台35に固定する捩子は緩めておき、受け台3
5に対して保持アーム33が摺動自在となるようにして
おく。
【0054】この場合に、位置合わせのためにコイル2
に供給する電流の大きさは、磁気ひずみを測定する場合
のような大電流である必要はなく、試料3を保持する保
持部材30を移動させることができる程度の値であれば
よく、例えば200mAとされる。また、その電流の供
給時間は、例えば10m秒程度でよい。
【0055】上記のように、正あるいは負の電流isを
流すと、試料3は、その電気的中央位置とコイル2の中
央位置とが一致するように、当該一致する位置を中央に
振動移動しようとする。
【0056】上述したように、保持アーム33と、保持
アーム受け台35との摺動が非常に軽快に行えるように
されているため、受け台35にアーム33が固定されて
なければ、この試料3自身の動きに応じて、保持アーム
33を含めて磁性体試料3を挾んだ対の非磁性板31、
32が左右に振動移動し、所定時間後、試料3の電気的
中央位置とコイル2の中央位置とが一致する位置で動き
を停止する。この所定時間の経過後、保持アーム33を
捩子により受け台35に固定する。こうして、試料3の
電気的中央位置を、コイル2の電気的中央位置に合わせ
ることができる。
【0057】次に、この例では、実際の測定の開始前
に、さらに、光変位計6の校正を行う。光変位計6は、
一般に、光を照射させたときの、反射光の強度変化から
光照射された部位の変位を測定するものである。反射光
の強度は、光変位計6のプローブ6aと測定対象部位と
の距離の自乗に反比例するが、変位の測定は、光変位計
6の光電変換出力特性として、直線性が良好な部分を使
用する。図6は、この例の光変位計6の出力特性の一例
で、出力が約5V近傍のときに直線性が良好となる。
【0058】光変位計6の校正は、この直線性のよい位
置に、プローブ6aと測定対象部位である試料3の端面
3tとの距離を設定した状態において、次のようにして
行う。
【0059】すなわち、この例においては、光変位計6
は、図2に示すように、摺動移動部材60に取り付けら
れている。摺動移動部材60は、マイクロメータ61を
備え、このマイクロメータ61を調整することにより、
そのメータに示される距離だけ、プローブ6aの先端
が、ガラス管1の管軸方向に摺動移動できるように構成
されている。そこで、このマイクロメータ61を操作し
て、プローブ6aの先端と試料3の端面3tとの距離を
変え、光変位計6の出力が直線性のよい位置になるよう
に、先ず調整する。
【0060】この場合に、光変位計6の、磁気ひずみに
よる変位の光電変換出力は、数百mVと、5Vの直流分
に対して非常に小さいので、このまま、出力電圧を増幅
しても磁気ひずみによる変位分を適当な値にまで、増幅
することができない。そこで、この例では、マイクロメ
ータ61による出力信号の直線性のよい位置への位置合
わせに伴い、光変位計6の出力の直流分をオフセットと
して除去するようにしている。
【0061】次に、この位置において、マイクロメータ
61を操作してプローブ6aの先端を所定距離移動させ
たときに、出力電圧が幾らになるかを検知して出力の校
正を行う。例えば、200μm移動させたとき、出力が
aボルトであれば、1μm移動させたときには、a/2
00ボルトになるという具合に校正を行う。
【0062】なお、光変位計6としては、試料3の厚さ
よりも太いビームスポット径の光ビームを用いる。ビー
ム径を絞ったものを使用する場合には、ビームが照射さ
れる試料3の端面3tに存在する凹凸も、ひずみとして
検出してしまうおそれがあるからである。
【0063】以上のように、試料3と磁界発生用コイル
2との電気的中央位置の位置合わせと、光変位計6の校
正を終了した後、コイル2に、周波数が、例えば50H
z、200Hz、400Hz、実効値が約1A程度の交
番電流iを流す。すると、ガラス管1の管軸方向に交番
磁界が誘起され、この交番磁界により、磁性体試料3に
は、前述したように、電流iの周波数の2倍の周波数で
振動する磁気ひずみが生じる。この場合、この磁気ひず
みは、試料3の板面方向(管軸方向)の伸び縮みとして
現れ、端面3tが管軸方向に磁気ひずみに応じて変位す
る。光変位計6は、その端面3tからの反射光をプロー
ブ6aを介して受光して、その端面3tの変位を電圧変
化に変換して出力信号Vλとして得る。
【0064】また、さぐりコイル4の両端4a、4b間
には、交番磁界によりボビン41内を通る磁束φの変化
に応じた電圧VBが得られる。ボビン41内を通る磁束
は、ボビン内の試料3を除く部分を通る磁束と、試料3
を通る磁束との和からなっている。
【0065】さらに、補正コイル5の両端5a、5b間
には、コア51、52の断面積Aの和の空間の部分の磁
束変化に応じた電圧VHが得られる。
【0066】光変位計6からの出力信号Vλと、さぐり
コイル4及び補正コイル5に得られる電圧VB及びVH
は、それぞれシグナルコンディショナー21において、
増幅されると共に、不要な高域成分及び低域成分が除去
される。
【0067】このシグナルコンディショナー21で変位
出力Vλ、電圧VB、電圧VHを上記のようにして処理
した結果の出力信号Sλ、SB、SHは、A/Dコンバ
ータ22に供給されて、デジタル信号Dλ、DB、DH
に変換され、バッファメモリ23に、一時蓄えられる。
このメモリ23に蓄えられたデジタル信号Dλ、DB、
DHは、平均化回路24に供給される。
【0068】この平均化回路24は、トリガタイミング
を基準にした平均を求める処理を行う。この例の場合に
は、交番信号発生器11からの交番信号が、トリガ発生
器13に供給されて、交番信号に同期したトリガ信号T
Gがこれより得られ、このトリガ信号TGが平均化回路
24に供給される。
【0069】平均化回路24では、交番信号に同期した
このトリガ信号TGによりトリガされて、各デジタル信
号の平均化処理が行われる。平均化回路24の各入力信
号には、交番信号に同期した目的の変位や電圧以外のノ
イズ成分も含まれるが、この平均化処理により、交番信
号に同期した成分以外の不必要なノイズ成分が除去され
る。
【0070】図7Aは、平均化回路24の入力時の光変
位計6の出力信号であり、図7Bは、その平均化処理後
の出力信号Eλである。また、図7Cは、同じタイムス
ケールにおける、さぐりコイル4からの電圧Bの平均
化処理出力EBの一例である。補正コイル5からの電圧
VHの平均化処理出力EHも、同様にして、ノイズ除去
されたものとなる。
【0071】こうして、平均化回路24において、ノイ
ズ除去された各出力Eλ、EB、EHは、マイコンで構
成される信号処理回路25に供給される。この信号処理
回路25では、出力EHから試料3の近傍の磁界Hが求
められる。すなわち、コイル5の出力電圧VHから得ら
れる平均化出力EHは、コア51、52が占める空間部
分の磁束φの変化(dφ/dt:tは時間)に応じたも
のであり、これよりコア51、52が占める空間部分を
通る磁束φが求められる。コア51、52の部分の断面
積は、既知であるので、この磁束φから、試料3の近傍
の空間の磁束密度Baが求められ、さらに、空間の透磁
率も既知であるから、試料3の近傍の磁界Hが求められ
る。
【0072】また、出力EB及び空間の磁束密度Baか
ら試料3を通る磁束が求められ、試料3の断面積から試
料3の部分の磁束密度Bsが求められる。すなわち、出
力EBは、ボビン41内の空間部分を通る磁束の変化
と、試料3を通る磁束の変化の和と考えることができ
る。ボビン41内の空間部分(断面積は既知)の磁束
は、磁束密度Baから求めることができ、その変化によ
り生じる電圧分も求められる。この結果、試料3の部分
のみを通る磁束の変化に応じた電圧を求めることがで
き、試料3の部分を通る磁束を求めることができる。試
料3の断面積は、既知であるから、試料3の部分の磁束
密度Bsを求めることができる。また、磁界Hと、この
磁束密度Bsとから、試料3の透磁率μを求めることが
できる。
【0073】また、出力Eλからは、磁気ひずみλが求
められる。そして、磁界Hあるいは磁束密度Bと、この
磁気ひずみλとの関係が求められる。その関係は、CR
Tディスプレイやプリンターなどの出力装置26におい
て表示され、あるいは記録紙に出力される。
【0074】図8Aは、求められた磁界Hと、磁束密度
Bsとを示し、図8Bは、両者の関係を示すいわゆる磁
気ヒステリシス曲線である。図9Aは、磁界Hと磁気ひ
ずみλの波形をそれぞれ示し、図9Bは、両者の関係、
つまり磁界−磁気ひずみ(H−λ)の関係を示してい
る。図8及び図9は、交番電流として、200Hz、
0.6Aの電流を、コイル2に流して、新規な珪素綱板
の磁気ひずみを測定した場合である。
【0075】同様に、図10Aは、磁束密度Bsと磁気
ひずみλの波形をそれぞれ示し、図10Bは、両者の関
係、つまり磁束密度−磁気ひずみ(B−λ)の関係を示
している。この図10の例では、400Hz、1.12
Aの交番電流をコイル2に流している。
【0076】この発明の発明者による、上記の磁性体材
料の上記ひずみの測定の結果、この発明によれば、試料
が1mであるとき、10-9mまでの磁気ひずみの測定が
可能であることが判明した。
【0077】
【発明の効果】以上説明したように、この発明において
は、実際の磁気ひずみの測定に先立ち、磁界発生用のコ
イルに所定の電流を、所定時間、供給して、磁性体試料
と、磁界発生用コイルの電気的中央位置合わせを行うよ
うにしたので、測定時には、磁性体試料が、電気的中央
位置からずれている場合のように、位置変動を生じるこ
となく、磁気ひずみのみを変位として生じる。したがっ
て、この変位を測定することで、より精細に磁気ひずみ
を測定することが可能になる。
【0078】そして、この発明の方法を実現する磁気ひ
ずみ測定装置が、従来の磁気ひずみ測定装置のように、
鏡を用いて磁気ひずみを間接的に測定するのではなく、
光変位計を用いて直接的に磁気ひずみを試料の端面の変
位として測定するようにした装置であり、さらに、下記
ような特徴を有する新規な装置である場合には、この発
明の方法を適用することにより、さらに高精細に磁気ひ
ずみを測定することができる。
【0079】この新規な装置においては、従来の試料に
鏡を張り付ける方法のように、試料に余分なものを付け
加えることはしないので、この点でも、より高精度の磁
気ひずみの測定が可能になる。
【0080】また、磁性体試料を非磁性体からなる対の
板で挟んで保持するようにしたので、磁性体試料自身の
位置変動や、光変位計による測定目的の変位方向以外の
変位を制限することができ、この点でも測定精度を向上
させることができる。
【0081】また、試料近傍の磁気特性を測定するため
のコイルブロックを、対の非磁性体板を利用して取り付
けることが可能であり、しかも、光変位計により光ビー
ムを用いて変位測定を行うものであるために、コイル巻
線部分に考慮を払う必要がない。このため、試料近傍の
磁気特性を正確に知ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による磁気ひずみ測定装置の一実施例
の構成を示す図である。
【図2】この発明による磁気ひずみ測定装置の一実施例
の機構部の構成例を示す図である。
【図3】図1の例の要部の構成を詳細に説明するための
図である。
【図4】図1の例の要部の構成の拡大断面図である。
【図5】この発明の磁気ひずみ測定装置において、測定
開始前に磁界発生用コイルに供給する電流の一例を説明
するための図である。
【図6】光変位計の出力特性を説明するための図であ
る。
【図7】この発明による磁気ひずみ測定装置の一実施例
の各部の出力信号波形の例を示す図である。
【図8】この発明による磁気ひずみ測定装置で求められ
た磁界と磁束密度の波形及びその関係の一例を示す図で
ある。
【図9】この発明による磁気ひずみ測定装置で求められ
た磁界と磁気ひずみの波形及びその関係の一例を示す図
である。
【図10】この発明による磁気ひずみ測定装置で求めら
れた磁束密度と磁気ひずみの波形及びその関係の一例を
示す図である。
【図11】磁気ひずみの発生メカニズムを説明するため
の図である。
【図12】従来の磁気ひずみ測定装置の一例を説明する
ための図である。
【符号の説明】
1 ガラス管 2 交番磁界発生用のコイル 3 磁性体試料 4 さぐりコイル 5 補正コイル 6 光変位計 11 交番信号発生器 13 トリガ信号発生器 22 A/Dコンバータ 23 バッファメモリ 24 平均化回路 25 信号処理回路 30 試料保持部材 41 ボビン 31、32 非磁性体板 51、52 コア 61 マイクロメータ

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】円筒状に巻回される磁界発生用のコイルの
    内部空間に磁性体試料を配置し、上記コイルに電流を流
    して交番磁界を発生させ、その交番磁界により上記磁性
    体試料に発生する磁気ひずみを測定する方法において、 実際の測定のための交番磁界を発生させる前に、上記コ
    イルに、上記磁性体試料と上記コイルとの間の電気的中
    央位置合わせのための電流を供給するようにしたことを
    特徴とする磁気ひずみ測定方法。
  2. 【請求項2】円筒状に巻回される磁界発生用の第1のコ
    イルと、 この第1のコイルの内部空間に交番磁界を生じさせるた
    めに、この第1のコイルに供給する交番信号を発生する
    交番信号発生器と、 上記第1のコイルの内部空間内に、磁性体試料を配置す
    るための試料保持部材と、 上記試料の近傍の磁気特性を検出するための第2のコイ
    ルと、 上記磁性体試料の磁気ひずみによる変位を求める磁気ひ
    ずみ検出手段とを備え、 上記第2のコイルに得られる誘起電圧出力と、上記磁気
    ひずみ検出手段の出力信号とから、上記磁性体試料の近
    傍の磁気特性と、その磁気特性条件下で上記磁性体試料
    に生じる磁気ひずみの量との関係を求めるようにした磁
    気ひずみ測定装置を用いた磁気ひずみ測定方法におい
    て、 実際の測定のための交番磁界を発生させる前に、上記第
    1のコイルに、上記磁性体試料と上記第1のコイルとの
    間の電気的中央位置合わせのための電流を供給するよう
    にしたことを特徴とする磁気ひずみ測定方法。
  3. 【請求項3】円筒状に巻回される磁界発生用の第1のコ
    イルと、 この第1のコイルの内部空間に交番磁界を生じさせるた
    めに、この第1のコイルに供給する交番信号を発生する
    交番信号発生器と、 磁性体試料を挟んで保持する1対の非磁性体板を備え、
    上記磁性体試料の挟持された面が、上記第1のコイルの
    巻回方向と平行となる状態で、上記磁界発生用の第1の
    コイルにより囲まれる空間内のほぼ中央部であって、か
    つ、上記第1のコイルの巻回方向のほぼ中央部に、上記
    磁性体試料を配置するための試料保持部材と、 上記試料の近傍の磁気特性を検出するために、上記1対
    の非磁性体板の上記試料を挟持する部分の周囲におい
    て、上記試料保持部材に対して固定される第2のコイル
    と、 上記試料保持部材の1対の非磁性体板間の上記磁性体試
    料の端面あるいはこの端面に取り付けられた反射板に光
    ビームを照射し、その反射光から、上記磁性体試料の上
    記端面の変位を検出する光変位計とを備え、 上記第2のコイルに得られる誘起電圧出力と、上記光変
    位計の出力信号とから、上記磁性体試料の近傍の磁気特
    性と、その磁気特性条件下で上記磁性体試料に生じる磁
    気ひずみの量との関係を求めるようにした磁気ひずみ測
    定装置を用いた磁気ひずみ測定方法において、 実際の測定のための交番磁界を発生させる前に、上記第
    1のコイルに、上記磁性体試料と上記第1のコイルとの
    間の電気的中央位置合わせのための電流を供給するよう
    にしたことを特徴とする磁気ひずみ測定方法。
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