JPH08194041A - 磁気ひずみ測定装置 - Google Patents

磁気ひずみ測定装置

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JPH08194041A
JPH08194041A JP2344395A JP2344395A JPH08194041A JP H08194041 A JPH08194041 A JP H08194041A JP 2344395 A JP2344395 A JP 2344395A JP 2344395 A JP2344395 A JP 2344395A JP H08194041 A JPH08194041 A JP H08194041A
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magnetic
sample
magnetic material
magnetic field
coil
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JP2344395A
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Kiyoshi Tsuboi
淨 坪井
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Iwatsu Electric Co Ltd
Original Assignee
Iwatsu Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 外部残留磁界の存在しても、高精細に磁気ひ
ずみの測定を行える磁気ひずみ測定装置を提供する。 【構成】 円筒状に巻回される磁界発生用のコイル2の
内部空間に磁性体試料3を配置し、コイル2に正弦波状
電流を流して正弦波状交番磁界を発生させ、その交番磁
界により磁性体試料3に発生する磁気ひずみを、変位計
6を用いて直接的に測定する。磁性体試料3を含んで閉
磁路70を形成するように構成されたヨーク部材を設け
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、円筒状に導体の線材
を巻回して構成する磁界発生用コイル内に磁性体試料を
配設し、この磁性体試料に発生する磁気ひずみを測定す
る磁気ひずみ測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄、鋼などの磁性体は、定常状態では、
その最小磁石である針状磁区は不規則に配列されてい
て、磁性を示さないが、この磁性体が磁界に置かれる
と、針状磁区が磁界の方向に沿って整列することにより
磁性体が磁化されて磁石になる。このとき、磁性体に
は、磁気ひずみが生じることが知られている。したがっ
て、磁性体が交番磁界に置かれると、磁気ひずみのた
め、磁性体が振動をすることになる。この磁性体の磁気
ひずみによる振動は、次のようにして生じると考えられ
ている。
【0003】磁性体の磁化は、これが置かれる磁界の方
向に応じて変わる。このため、磁性体を、図19Aに示
すような交番磁界中に置くと、この交番磁界の繰り返し
周波数の2倍の繰り返しで、磁性体の磁化の方向が反転
する。この磁化の方向の反転の際、それぞれ針状磁区1
01は、図19Bに示すようにして回転して、その磁極
を反転する。
【0004】図19Bから理解されるように、この針状
磁区の反転に伴い、針状磁区が横位置のときと、縦位置
のときが生じるが、針状磁区は、磁性体の最小組織(結
晶)と考えられるので、これらの位置変化により、磁性
体にひずみが生じると考えられる。磁区の回転は、磁界
が交番することにより生じるので、交番磁界に置かれた
磁性体の磁気ひずみは、交番磁界の繰り返し周波数の2
倍の周波数を基本とする振動ひずみとなる。
【0005】従来、この磁性体の磁気ひずみを測定する
方法としては、次のような方法が用いられていた。すな
わち、この方法は、図20に示すように、磁性体を偏平
薄型にして作成した試料102の表面に、傾斜を持たせ
た鏡103を貼り、この鏡付きの試料を、円筒状に導体
線材を巻回したコイル(ソレノイドコイル)107の内
部空間内の置く。そして、このコイル107の両端間に
は、交番信号発生器108からの正弦波状交番電圧をア
ンプ109を介して供給する。これにより、コイル10
7には、正弦波状交番電流が流れ、コイル107の円柱
状内部空間内には、ソレノイドコイルの中心線方向であ
って、図示の方向及びその逆方向の交番磁界φが生じ
る。
【0006】この状態で、試料102に張り付けられて
いる鏡103に対して光源104から光ビーム105を
照射し、その反射光を受光部106で受光して、試料1
02の磁気ひずみ振動の大きさを測定する。その測定原
理は、図20に示すように、試料102に貼着された鏡
103にビーム105が入射したとき、その反射光は、
磁気ひずみ量に応じた広がり角θを有することを利用す
るものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、磁性体の磁
気ひずみによる振動は、モータや変圧器において、うな
り音となって現れたりして、種々の不都合を生じる。こ
のため、できるだけ、この磁気ひずみが小さい材料が望
まれており、その開発が進んでいる。そして、最近で
は、磁気ひずみの量が、1m当たり、10-7〜10-9
程度にまで、押さえられた材料の誕生の可能性が出てき
ている。
【0008】磁性体材料のこのような磁気ひずみの小さ
さは、その磁気ひずみの大きさを測定することにより確
認しなければならない。そのためには、そのような極く
小さい磁気ひずみの測定ができなければならない。
【0009】ところが、図20に挙げた従来例を含め
て、従来の磁気ひずみ測定装置においては、材料の1m
当たりについて、10-7m程度までの磁気ひずみの測定
は可能であったが、それより、小さい磁気ひずみは正確
に測定することができなかった。
【0010】本願の発明者は、この原因を追及したとこ
ろ、その原因の一つとして、磁気ひずみ測定装置の近傍
の外部残留磁界の影響を確認した。すなわち、測定装置
の近傍に外部残留磁界が存在すると、これと、磁界発生
用のソレノイドコイル107により発生する交番磁界と
の間の磁気相互作用により、本来、交番磁界の繰り返し
周波数の2倍の周波数の振動ひずみとなる磁気ひずみの
成分に、交番磁界の周波数と等しい成分が乗ってしまう
のである。
【0011】この現象は次のように説明することができ
る。すなわち、図21Bに示すような交番磁界HAが磁
界発生用のソレノイドコイル107により発生している
場合に、図21Aに示すような残留磁界HRが近傍に存
在すると、磁極が同じ場合には、互いに反発し合う磁力
が生じ、また、磁極が異なるときには、吸引し合う磁力
が生じることになる。つまり、残留磁界HRにより、発
生磁界HAと同じ周波数で変化をする磁力が生じる。
【0012】したがって、磁性体試料を含む磁気回路に
漏れ磁束があると、この磁力は、磁性体試料の針状磁区
の回転に影響を及ぼし、図21Cに示すように、本来、
交番磁界の繰り返し周波数の2倍の周波数の振動ひずみ
となる磁気ひずみλ0 (図の実線の曲線)は、この本来
の磁気ひずみに、点線の曲線で示す交番磁界の繰り返し
周波数の成分Nzが重畳されて、図20Dの曲線に示す
ような、歪曲された波形λzとなってしまう。このた
め、本来の磁気ひずみλ0 が、正確に測定することがで
きなくなるのである。
【0013】この発明の主たる目的は、上述した外部残
留磁界の影響を除去することができる磁気ひずみ測定装
置を提供することである。
【0014】ところで、上述した図20に示した従来の
ひずみ測定装置は、試料の磁気ひずみ自身を直接的に測
定する方法ではなく、反射光が、磁気ひずみの量に応じ
て所定の広がり角θを有することを利用して測定する、
いわば間接的に磁気ひずみ量を測定する方法を用いるも
のであるため、磁性体試料の1m当たりについて、10
-7m程度までの磁気ひずみの測定は可能であるが、それ
より、小さい磁気ひずみは正確に測定することができな
かった。
【0015】また、試料の平面に張り付けた鏡からの光
の反射を受光する方式であるため、試料は、しっかりと
固定することが困難である。このため、例えば偏平薄型
に切り出した試料の偏平面方向の磁気ひずみを測定しよ
うとする場合に、試料の厚み方向の磁気ひずみの影響を
受けて、試料が横ゆれなどを生じてしまい、小さい磁気
ひずみの測定を不能にしている。
【0016】しかも、試料の偏平平面に比較的大きな鏡
を張り付けるため、試料に生じる磁気ひずみに、張り付
けられた鏡の分の影響が生じ、これも正確な、より小さ
い磁気ひずみを測定するための支障となっていた。
【0017】さらには、図20に示した従来例の場合、
試料に張り付けた鏡103に、コイル107の外部にあ
る光源104からの光を照射し、その反射光を、コイル
107の外部に設けられる受光素子106で受光するよ
うにしなければならないため、コイル107には、試料
102の近傍において、線材を巻回せずに光を導くため
の空間を設けなければならない。このため、コイル10
7の巻回方向に生じる交番磁界が、試料102の近傍で
不均一となり、正確な磁気ひずみを測定するために重要
となる試料近傍の磁気特性環境を所期のものとなるよう
に整えることが困難であった。
【0018】この発明の第2の目的は、第1の目的を達
成すると共に、磁性体試料に生じる磁気ひずみを直接的
に測定できるようにして、さらに、より小さい磁気ひず
みの測定を可能にした磁気ひずみ測定装置を提供するこ
とである。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記の第1の目的を達成
するためには、磁性体試料を含む磁気回路の漏れ磁束を
できるだけ小さくすればよい。請求項1に記載の発明
は、このことに基づいて創作されたもので、この請求項
1に記載の発明による磁気ひずみ測定装置は、後述する
実施例の参照符号を対応させると、円筒状に導体の線材
が巻回されて構成される磁界発生用のコイル2と、この
磁界発生用のコイル2の内部空間に交番磁界を生じさせ
るために、この磁界発生用のコイル2に供給する交番信
号を発生する交番信号発生器11と、磁界発生用のコイ
ル2の内部空間内に、磁性体試料3を配置するための試
料保持部材33と、上記交番磁界により発生する、上記
磁性体試料の磁気ひずみによる変位を求める磁気ひずみ
検出手段と、磁性体試料3を含んで閉磁路を形成するよ
うに構成されたヨーク部材33、35、71、73とを
備えることを特徴とする。
【0020】また、上記の第2の目的である、より小さ
い磁気ひずみを測定することができるようにするため、
請求項2に記載の発明による磁気ひずみ測定装置におい
ては、後述する実施例の参照符号を対応させると、円筒
状に導体の線材が巻回されて構成される磁界発生用のコ
イル2と、この磁界発生用のコイル2の内部空間に交番
磁界を生じさせるために、この磁界発生用のコイル2に
供給する交番信号を発生する交番信号発生器11と、偏
平な板状の磁性体試料3を、この磁性体試料3の長手方
向の両端面が外部に露呈する状態で挟んで保持する1対
の非磁性体板31、32を備え、磁性体試料3の長手方
向が、磁界発生用のコイル2の巻回方向と一致する状態
で、磁界発生用のコイル2により囲まれる空間内のほぼ
中央部に、磁性体試料3を配置するようにする試料保持
部材30と、試料保持部材30の1対の非磁性体板3
1、32間の磁性体試料3の一方の端面の、この磁性体
試料3の長手方向の変位を検出することにより、磁性体
試料3の磁気ひずみを検出する変位計6と、変位計6で
磁性体試料3の変位を検出する方とは反対側の磁性体試
料3の端面側において磁性体試料3と直接的に接触した
状態で試料保持部材30を保持する第1の部分33と、
上記変位計で磁性体試料3の変位を検出する方の端面側
で磁性体試料3と試料保持部材30の非磁性体板31、
32の厚さ分を介して対向するようにされた第2の部分
71とを含んで閉磁路70を形成するヨーク部材33、
35、71、73とを備えてなる。
【0021】
【作用】上記の構成の請求項1に記載の発明の磁気ひず
み測定装置においては、磁性体試料3を含む磁気回路が
閉磁路を形成するようにヨーク部材が構成されているの
で、磁性体試料を含む磁気回路からの漏れ磁束は微小、
あるいはほとんど零である。したがって、磁気ひずみ測
定装置の外部に、残留磁界が存在しても、その影響はほ
とんど受けず、磁気ひずみを正確に測定することが可能
になる。
【0022】請求項2に記載の磁気ひずみ測定装置にお
いては、上記のように磁性体試料3を含む磁気回路が閉
磁路を形成するように構成されたヨーク部材が設けられ
ると共に、磁性体試料3は、1対の非磁性体板31、3
2により挟持され、その挟持された方向の変位が制限さ
れた状態で、第1のコイル2内の交番磁界が生じる空間
内に配置される。そして、交番磁界により、磁性体試料
3は、1対の非磁性体板31、32により挟持された面
の方向、つまり磁界発生用のコイル2の巻回方向に磁気
ひずみによる変位を生じ、その端面は、その磁気ひずみ
による変位に応じた振動を呈する。変位計6は、この試
料3の端面の振動変位量に応じた出力信号を得る。した
がって、この発明においては、磁性体試料3の磁気ひず
みのみを正確に測定することができ、精細に磁気ひずみ
の測定が行われる。
【0023】
【実施例】以下、この発明の一実施例を、図を参照しな
がら説明する。図1は、この例の磁気ひずみ測定装置の
機構部の機械的構成及び信号処理系の全体を示してい
る。この図1に示した磁気ひずみ測定装置の機構部の機
械的構成は、原理的構成を示しており、その詳細な構成
例は、図2に示す通りである。図2Aは、この例の測定
装置の機構部の平面図(一部は、断面として示してあ
る)、図2Bは、この例の測定装置の機構部の側面図
(一部は、断面として示してある)である。
【0024】先ず、図1において、1は中空円筒の二重
ガラス管である。このガラス管1は、同心円筒状のガラ
ス壁がその管軸方向の端部において連結された形状を有
している。このガラス管1の外周には、その管軸方向の
両端部を除く部分において、交番磁界発生用のコイル2
が、ソレノイドコイル状に巻回される。そして、ガラス
管1内の円柱状空間内のほぼ中央位置には、磁性体試料
3が置かれる。
【0025】ところで、従来、上述のような磁気ひずみ
測定装置においては、交番磁界を発生させるコイル2
は、磁性体試料3が収容される空間内に、コイル巻回方
向に平行な磁束を発生させるようにすることが、印加磁
束と磁気ひずみとの関係を正確に測定するために重要で
ある。
【0026】しかしながら、ソレノイドコイルの場合、
図20に示したように、その内部空間のコイル巻回方向
の中央部では、磁束φは平行になっているが、コイル両
端近傍においては、反磁界の影響を受けるため、図示の
ように、曲線状になってしまい、平行磁束にならない。
【0027】このため、従来は、磁界発生用のソレノイ
ドコイルの巻回方向の長さを、磁性体試料の長さに対し
て十分に長くして、磁性体試料の部分では、磁束は、す
べて平行磁束になるようにしている。しかし、このよう
に、磁界発生用のコイルの巻回方向の長さを長くする
と、磁気ひずみ測定装置が大型化してしまう問題があ
る。
【0028】ところで、磁界発生用の円筒状コイルの両
端付近の磁束の流れを調査すると、磁束が描く曲線は、
指数関数曲線的に変化することが分かった。そこで、こ
の例の磁界発生用のコイル2は、図3に示すように、多
層巻きとされ、コイル巻回方向の単位長さ当たりの巻き
数が、コイルの巻回方向の中心から、巻回方向の両端部
に近付くにしたがってほぼ指数関数(エクスポネンシャ
ル)曲線的に増加するように構成されている。なお、コ
イルの巻回方向の中心付近では、コイル巻回方向の単位
長さ当たりの巻き数は均一でもよい。
【0029】これにより、コイル2に交番電流を流した
時に発生するガラス管1内の管軸方向の磁束は、ガラス
管1の管軸方向の一方の端部から他方の端部にまで渡っ
てほぼ平行にすることができる。つまり、コイル2の両
端部においても、反磁界の影響を軽減してほぼ平行磁束
とすることができる。
【0030】そして、この例の場合、試料3は、偏平矩
形の薄板状とされ、厚さ、幅、長さが予め求められてい
る。この試料3は、その板面方向がガラス管1の管軸方
向と一致する状態で、後述する試料保持手段30により
保持されて、ガラス管1内に置かれる。
【0031】交番磁界発生用のコイル2の両端間には、
交番信号発生器11からの正弦波状交番電圧がアンプ1
2を介して供給される。これにより、コイル2には、交
番電流iが流れ、ガラス管内1の円柱状空間内に管軸方
向の交番磁界が生じる。この場合、アンプ12は差動ア
ンプであり、交番信号発生器11からの正弦波状交番電
圧は、その一方の入力端子に供給される。そして、アン
プ12の他方の入力端子には、後述するオフセット電圧
ODが供給されて、一方の入力端子に供給される正弦波
状交番電圧の直流オフセットが除去されるようになる。
【0032】ところで、コイル2には、比較的大きな電
流iを流すために、発熱が生じる。そこで、この例の装
置においては、ガラス管1の2重壁内に冷却水を流すこ
とにより、過度の発熱を防止するようにしている。
【0033】この冷却水を流す構成にするため、ガラス
管1には、その管軸方向の一端側の一部から突出するよ
うに、開口部1aが設けられると共に、管軸方向の他端
側の、前記開口部1aの位置に対して180度角間隔、
隔てた位置にも、その部分から突出するように開口部1
bが設けられている。そして、このガラス管1は、図示
のように、開口部1aが上方、開口部1bが下方になる
状態で横位置に置かれ、開口部1aから冷却水が注入さ
れる。冷却水は、ガラス管1内のすべての部分を巡って
開口部1bから排水される。
【0034】ところで、試料3の磁気ひずみを測定する
場合、この試料3の近傍の磁界あるいは試料3を通る磁
束(磁束密度)を知り、その磁束あるいは磁界の磁気特
性条件下において発生する磁気ひずみとして測定する必
要がある。そこで、試料3の近傍の磁気特性を測定する
ため、コイルブロックCBが設けられる。
【0035】このコイルブロックCBは、この例では、
後述するように、試料3を通る磁束を測定するためのさ
ぐりコイル4と、試料3のできるだけ近傍の磁界を測定
するための補正コイル5とからなる。詳細な構成は、後
述する。
【0036】以上の構成において、コイル2に交番電流
iを流すと、ガラス管1の管軸方向に交番磁界が誘起さ
れ、この交番磁界により、磁性体試料3には、前述した
ように、電流iの周波数の2倍の周波数で振動する磁気
ひずみが生じる。この場合、試料3は、偏平矩形の薄い
板であるので、この磁気ひずみは、板面方向(管軸方
向)の伸び縮みとして現れる。すなわち、試料3の厚み
部分の端面は、管軸方向に、試料3の伸び縮みに応じて
振動変位する。
【0037】この例においては、試料3の前記端面の変
位を光変位計を用いて測定することにより、試料3の磁
気ひずみを直接的に測定する。光を用いて変位を測定す
るので、電磁気的影響がほとんどない。この例において
は、変位を容易にピックアップできるように、試料3の
端面には微小な反射板3tが取り付けられている。ただ
し、この反射板3tは必須ではない。この反射板3t
は、例えばチタンからなり、試料3の変位に対する影響
が少ない薄い板状のものであって、鏡面仕上げされて構
成されている。
【0038】図1において、6は光変位計を示し、6a
はその光プローブである。光プローブ6aの先端側は、
非磁性体例えばガラスで構成されている。この例の光変
位計6は、プローブ6aから光ビーム7を出射すると共
に、反射光をこのプローブ6aで受光して得る。プロー
ブ6aから出射された光ビームは、この例では試料3の
端面の反射板3tに照射される。光変位計6は、その反
射板3tからの反射光をプローブ6aを介して受光し
て、その反射板3tの変位を電圧変化に変換して出力信
号Vλとして得る。
【0039】次に、図2〜図5をも参照して、以上説明
した機構部分のさらに詳細な構成について説明する。な
お、図3は、図1のA−A断面図、図4は機構部の中央
部の拡大断面図である。
【0040】図2に示すように、ガラス管1の外側は、
ベークライト製の円筒状の筐体7に覆われている。この
筐体7は、ベース部材8に固定されている。ガラス管1
の冷却水の出入口1a、1bは、筐体7の外側に導出さ
れている。また、筐体7の管軸方向の両端部には、試料
3の出入りのためと、コイルブロックCBからのコイル
線材の端部を導出するためと、光変位計6のプローブ6
aを挿入するために、開口部が設けられている。
【0041】磁性体試料3は、試料保持部材30により
保持される。すなわち、図2及び図5に示すように、こ
の例の場合、磁性体試料3は、細長い偏平薄板状とされ
ており、同様に細長い薄板状に構成された1対の非磁性
体板31及び32により挟まれて保持される。この非磁
性体板31及び32は、磁性体試料3を確実に保持でき
るように、できるだけ重量の重い方がよく、この例で
は、アルミナ磁器が用いられている。
【0042】この例の場合、非磁性体板31、32の寸
法は、それぞれ、例えば、厚さ×幅×長さ=2(mm)
×31(mm)×277(mm)とされている。また、
試料3の寸法は、例えば、厚さ×幅×長さ=1(mm)
×30(mm)×280(mm)とされている。つま
り、試料3は、非磁性体板31、32より若干長く、そ
の分がプローブ6a側に突き出すようになされており、
その突き出した部分の端面が磁気ひずみにより変位す
る。そして、この試料の、その突き出した端面に反射板
3tが取り付けられる。なお、反射板3tの裏側には、
図5に示すように、例えばプラスチックからなる補強部
材3Pが取り付けられている。
【0043】そして、コイル2の巻回方向の長さは、約
390mmとされ、ガラス管1の外径は、40mm、長
さは400mmとされている。また、コイル2の線材の
太さは、例えば直径が0.5mmとされ、巻き数は、全
体で1500〜2000回とされている。
【0044】対の非磁性体板31、32の長さ方向の一
端側は、保持アーム33により固定される。この場合、
保持アーム33は、試料3を挟んだ状態の非磁性体板3
1、32を、例えばねじ(図示せず)などにより固定す
る。対の非磁性体板31、32の長さ方向の、反射板3
tが取り付けられる他端側は固定されず、測定状態にお
いては、筐体7あるいはベース8に固定されている保持
台34の上に載置される。ねじを緩めて、保持アーム3
3による対の非磁性体板31、32の固定保持を解除
し、試料3の交換ができる。
【0045】保持アーム33は、試料3をガラス管1の
外に出して、交換等するために、保持アーム受け台35
に対して、ガラス管1の管軸方向に沿って水平方向に摺
動自在に係合されている。保持アーム33と、保持アー
ム受け台35との摺動は、非常に軽快に行えるようにさ
れており、摺動して試料3のガラス管1内での位置決め
が成された後は、例えばねじにより、保持アーム33が
受け台35に固定される。
【0046】保持アーム受け台35は、重量の大きい部
材で構成される。そして、試料3および対の非磁性体板
31、32の水平方向の移動距離をより大きくするた
め、保持アーム受け台35も、ベース8に対して、保持
アーム33と同じ方向に摺動自在に取り付けられてい
る。さらに、保持アーム受け台35は、ねじなどにより
ベース8に固定できるように構成されている。取っ手3
6は、保持アーム受け台35および保持アーム33の摺
動を行う時に使用される。
【0047】この場合、非磁性体板31、32による挾
持状態では、磁性体試料3は、その板面方向(ガラス管
1の管軸方向)には磁気ひずみによる伸縮が自在とな
る。しかし、試料3は、非磁性体板31、32により挾
持されているため、この試料3の厚み方向には、その伸
縮が制限されるようにされている。
【0048】そして、この例においては、以下に説明す
るように、磁性体試料3を含んで、できるだけ閉磁路を
形成するように構成されている。
【0049】すなわち、保持アーム33は、磁気ヨーク
部材の一部を構成するもので、この例の場合には、透磁
率が磁性体試料3と等しいか、それより大きい材料で構
成される。例えば試料3と同じ材料で、保持アーム33
を構成すればよい。
【0050】非磁性体板31、32により磁性体試料3
を挟持する際に、磁性体試料3の保持アーム33側の端
面は、非磁性体板31、32の端面と同一面あるいは非
磁性体板31、32の端面より僅かに突出するようにさ
れている。そして、磁性体試料3を挟持する非磁性体板
31、32を保持アーム33に固定した状態では、試料
3は保持アーム33と接触する状態になる。したがっ
て、保持アーム33に取り付けた状態では、保持アーム
33と試料3とは、磁気的に接続されている。
【0051】保持アーム受け台35も、磁気ヨーク部材
の一部を構成するもので、保持アーム33と同一の磁性
体材料で構成されている。したがって、保持アーム33
と保持アーム受け台35とは、磁気的に接続されてい
る。
【0052】一方、光変位計6のプローブ6aは、磁気
ヨーク部材の一部を構成する保持部材71に保持されて
いる。この保持部材71は保持アーム33および保持ア
ーム受け台35と同一材料で構成されている。そして、
試料3の端面が光変位計6のプローブ6aに対向する側
は、図1および図2に示すように、保持部材71に設け
られている嵌合凹溝72内に、試料3を挟持する非磁性
体板31、32が挿入されて、嵌合凹溝72により、試
料3を挟持する非磁性体板31、32が挟まれるように
構成されている。この場合、嵌合凹溝72の幅は、でき
るだけ、試料3を挟持した状態の非磁性体板31、32
の厚み方向の大きさに近い方がよい。この構成により、
試料3は、非磁性体板31あるいは32の厚みの分だけ
のわずかな間隙を介して保持部材71と対向する。つま
り、前記のわずかな間隙を介して磁気的に試料3と保持
部材71とは、接続される。
【0053】そして、保持アーム受け台35と、光変位
計6のプローブ6aの保持部材71との間は、これらと
同じ磁性体材料からなる連結部材73により磁気的に接
続されている。連結部材73は、ベース8自体でもよい
し、その一部であってもよい。こうして、磁性体試料3
−保持アーム33−保持アーム受け台35−連結部材7
2−プローブ6aの保持部材71−磁性体試料3の閉磁
路70(図1では特に斜線を付して示してある)が形成
される。つまり、保持アーム33、保持アーム受け台3
5、連結部材73、プローブ6aの保持部材71のそれ
ぞれは、ヨーク部材を構成するものである。
【0054】このように、磁性体試料3を含んで閉磁路
70を構成するようにヨーク部材が設けられているの
で、この例の磁気ひずみ測定装置の周辺に外部残留磁界
が存在しても、閉磁路70からの漏れ磁束は極く僅かで
あるので、その影響は非常に少なくなる。
【0055】次に、コイルブロックCBの構成について
説明する。さぐりコイル4は、試料3を流れる磁束変化
(dφ/dt;tは時間)を検出するためのコイルであ
って、このコイル4に誘起される電圧から磁束密度Bを
求めるものである。このさぐりコイル4は、ガラス管1
の管軸方向を巻回方向とするソレノイドコイル状に巻回
され、ガラス管1内の空間に試料3を設置したとき、試
料3は、このコイル4のほぼ巻回中心に位置する状態と
されるものである。このコイル4は、図1のA−A断面
図である図3と、主要部分の拡大図の図4に示すよう
に、非磁性体例えばマイラーからなる中空筒状ボビン4
1に巻回され、測定状態では、試料3がボビン41の中
空部内に挿入される状態となる。
【0056】ボビン41の大きさは、その中空部の断面
積が、試料3を挟持した非磁性体板31、32の断面積
より若干大きく選定され、試料3の交換に支障が生じな
いようにされている。そして、ボビン41は、非磁性体
板31、32の一方、例えば板31の長さ方向のほぼ中
央位置に、接着などにより固定される。このさぐりコイ
ル4は、例えば、直径が0.15mmの導体の線材が、
巻回長さ31mmとして、30回程度、ボビン41に巻
回されて構成される。
【0057】また、試料3のできるだけ近傍の磁界(空
間の磁界)を測定するための補正コイル5は、例えばマ
イラーなどの非磁性体材料をコア51、52として、線
材が巻回されて構成され、さぐりコイル4の外周部分に
固定される。この例では、この補正コイル5は、図3に
示すように、さぐりコイル4の外周部分の、試料3の上
方と、下方とにおいて、それぞれコア51、52に線材
が巻回されたものが直列に接続されて構成されている。
【0058】この補正コイル5の巻回方向も、ガラス管
1の管軸方向に一致している。また、コア51、52の
断面積は、予め定められた値Aとされている。この補正
コイル5としては、例えば、直径が0.07〜0.15
mmの導体の線材が、巻回長さ29mmとして、160
〜200回程度巻回されている。なお、補正コイル5
は、非磁性体のコアに線材を巻回したものではなく、空
心であってもよい。
【0059】なお、図2に示すように、コイルブロック
CBからのコイル4及び5のリード線端部4L、5L
は、ガラス管1の内部から筐体7とガラス管1の外壁と
の間の空間に導かれて、筐体7の外部に設けられる出力
端子と接続されている筐体7の内部端子に接続されてい
る。
【0060】以上のように構成された磁気ひずみ測定装
置により、磁性体試料3の磁気ひずみを実際に測定する
前に、この例においては、磁性体試料3のガラス管1内
での管軸方向の設置位置が、ガラス管1に巻回されたコ
イル2の巻回方向の電気的中央位置と、試料3の管軸方
向の中央(電気的中央)位置とが一致するような位置と
なるような操作がなされる。電気的中央位置に一致して
いないときには、交番磁界により試料3自身が管軸方向
に位置を変更移動する状態になり、磁気ひずみのみを正
しく測定することができないからである。
【0061】すなわち、磁性体試料3が、例えば多結晶
構造である場合には、磁区を構成する結晶は、種々の大
きさを有しており、磁界内に試料が置かれて磁性を呈す
るように磁区が整列したときに、その磁区の大きさの違
いから、電気的中央位置と、試料の物理的中央位置とが
一致しないのが一般的である。このため、物理的な中央
位置に寸法精度で、位置合わせをしても、電気的中央位
置にならない。
【0062】また、コイル2に巻きむらがあったりする
とコイル巻回方向の物理的中央位置と電気的中央位置と
は一致しない。特に、この例の場合には、光変位計6の
プローブ6aの先端と試料3の端面の反射板3tとの間
の間隙を、筐体7に設けられた覗き窓7Wから見ること
ができるように、コイル2の巻回方向の覗き窓7Wに対
応する部分は、隙間を空けるように巻線するため、コイ
ル2の物理的中央位置と、電気的中央位置とは、一致し
ない。このことは、前述した従来の鏡による方法の場合
も同様である。
【0063】そこで、この例では、非磁性体板31、3
2で試料3を挾んだ状態で保持アーム33に固定し、ガ
ラス管1内のほぼ物理的中央位置に配置した後、実際の
測定を開始する前に、所定の電流、例えば図6Aに示す
ような正の電流+isあるいは図6Bに示すような負の
電流−isをコイル2に流す。このとき、保持アーム3
3を受け台35に固定するねじは緩めておき、受け台3
5に対して保持アーム33が摺動自在となるようにして
おく。
【0064】この場合に、位置合わせのためにコイル2
に供給する電流の大きさは、磁気ひずみを測定する場合
のような大電流である必要はなく、試料3を保持する保
持部材30を移動させることができる程度の値であれば
よく、例えば200mAとされる。また、その電流の供
給時間は、例えば10m秒程度でよい。
【0065】上記のように、正あるいは負の電流isを
流すと、試料3は、その電気的中央位置とコイル2の中
央位置とが一致するように、当該一致する位置を中央に
振動移動しようとする。
【0066】上述したように、保持アーム33と、保持
アーム受け台35との摺動が非常に軽快に行えるように
されているため、受け台35にアーム33が固定されて
なければ、この試料3自身の動きに応じて、保持アーム
33を含めて試料3を挾んだ対の非磁性板31、32が
左右に振動移動し、所定時間後、試料3の電気的中央位
置とコイル2の中央位置とが一致する位置で動きを停止
する。この所定時間の経過後、保持アーム33をねじに
より受け台35に固定する。
【0067】こうして、磁性体試料3の電気的中央位置
を、コイル2の電気的中央位置に合わせることができ
る。
【0068】次に、この例では、実際の測定の開始前
に、光変位計6と、試料3との間の距離を、光変位計6
の出力変化と、試料3及び光変位計6のプローブ6a間
の距離変化とが直線性を有する状態の位置となるように
調整すると共に、光変位計6の直流オフセット除去を行
う。
【0069】光変位計6は、一般に、光を照射させたと
きの、反射光の強度変化から光照射された部位の変位を
測定するものである。反射光の強度は、光変位計6のプ
ローブ6aと測定対象部位との距離の自乗に反比例する
が、変位の測定を正確に行うためには、光変位計6の光
電変換出力特性として、直線性が良好な部分を使用する
必要がある。
【0070】すなわち、試料3の変位(伸び、縮み)を
測定するときに、光変位計6の光プローブ6aの先端部
と試料3の測定端面との間の距離に対する光変位計の出
力(静的な出力電圧SE)は、一般に図7Aの曲線aに
示すようなものとなる。
【0071】この図7Aに示すように、光変位計6の静
的な出力電圧SEは、プローブ6aの先端が試料3の測
定端面(当該端面に反射板が取り付けられている場合に
は、その反射板)に接した時点で0ボルトとなり、プロ
ーブ6aの先端が試料端面から離れるにしたがって増大
し、最大100ボルトに達する。ここまでを前縁とい
う。さらにプローブ6aの先端が試料端面から遠ざかる
と減少し、0ボルトに戻る。この暫時に下がる区間を後
縁という。
【0072】この例の場合、0ボルトから100ボルト
というように、非常に大きい範囲の静的出力電圧を得る
ような光変位計を用いなければならないのは、この程度
の静的直流電圧範囲にしないと、非常に微小な磁気ひず
みを光変位計6の出力として検出できないからである。
【0073】この光変位計6の静的出力電圧SEにおい
て、試料の変位を測定するのに最適な直線性を保持でき
る領域は、電圧値で40〜60ボルト程度の範囲であ
り、光変位計6のプローブ6aの先端と、試料3の端面
この例では端面の反射板3tとの距離が、この直線性の
良い部分となるように調整される。光変位計6の出力と
して使用する直線性が良好となる部分としては、前縁と
後縁のどちらを用いてもよい。
【0074】光変位計6の出力は、この直線性の良い部
分の直流電圧(例えば50ボルト)に、図7Aで曲線b
の振動波形として示す磁気ひずみによる交流的変化分が
重畳されるものとなる。光変位計6の出力は、(直流分
+変化分)=(約50ボルト±変化分の電圧)となるた
め、試料の伸び、縮みの変位振動が微小で、光変位計6
の出力としての変化が例えば数百mボルトと小さいと、
上記の直流分のために変化分の測定が困難になる。
【0075】この場合の直流分はオフセット電圧と呼ば
れ、この発明の磁気ひずみ測定装置のような微小な変位
を測定する場合には、測定の支障となるので、この直流
オフセット電圧は除去する必要がある。
【0076】光変位計6の上記の位置調整と、オフセッ
ト調整のために、この例においては、光変位計6は、図
2に示すように、摺動移動部材60に取り付けられてい
る。摺動移動部材60は、マイクロメータ61を備え、
このマイクロメータ61を調整することにより、そのメ
ータに示される距離だけ、プローブ6aの先端が、ガラ
ス管1の管軸方向に摺動移動できるように構成されてい
る。
【0077】また、この例においては、図1に示すよう
に、光変位計6の出力側には、オフセット除去回路60
0が設けられている。このオフセット除去回路600の
一実施例を、図8に示す。
【0078】すなわち、この例では、光変位計6の直流
オフセット電圧を含む出力は、直流オフセット電圧除去
用の減算回路を構成する差動アンプ601の正側入力端
子(非反転入力端子)に入力される。また、この差動ア
ンプ601の負側入力端子(反転入力端子)にオフセッ
ト電圧発生器としてのアナログ直流信号発生器605か
らのオフセット電圧が供給されて、正側入力端子に入力
された信号から減算される。この結果、差動アンプ60
1の出力として、変位計6の光電変換出力から直流オフ
セット電圧が除去された出力信号Vλ(図7Aの波形c
参照)が得られる。
【0079】アナログ直流電圧発生器605からのオフ
セット電圧は、次のようにして設定される。すなわち、
差動アンプ601の出力に対して直流電圧弁別回路60
2が設けられ、この弁別回路602で、減算回路601
の出力中の直流電圧が弁別される。弁別された電圧の値
は、電圧計603によって表示される。そして、直流電
圧弁別回路602で弁別された直流電圧は、スイッチ6
04を介してアナログ直流信号発生器605に供給され
る。このアナログ直流信号発生器605からは、弁別さ
れた直流電圧と等しい直流電圧がオフセット電圧として
出力され、差動アンプ601の負側入力端子に供給され
る。
【0080】このスイッチ604は、光変位計6を、出
力の上記前縁の部分で使用するか、上記後縁の部分で使
用するかを定めるときは、減算回路601の出力端から
負側入力端までのループを「断」としておく必要がある
からである。
【0081】以上のようなオフセット除去回路600を
用いてオフセット設定及び除去をしながら、出力の直線
性の良い位置になるように、光変位計6の位置を、マイ
クロメータ61を用いて調整する。この例の場合には、
図7Aに示すように、距離変位に対して出力変位が大き
い前縁の直線性の良い部分を使用する。
【0082】すなわち、実際の測定に先立ち、マイクロ
メータ61を操作して、プローブ6aの先端を、試料3
の端面の反射板3tに近付けてゆく。電圧計603で減
算回路601の出力電圧をチェックすると、光変位計6
の光電変換出力電圧は、次第に上昇し、最大に達する。
さらに近付けて行くと出力電圧は減少してゆく。この減
少してゆく途中で測定を行う。光電変換出力の振幅変化
と距離変化の直線性が良くなった時点、例えば50ボル
トとなった時点で、スイッチ604をオンにする。
【0083】すると、直流電圧弁別回路602で、減算
回路601の出力中の直流成分が弁別され、電圧計60
3にその電圧値が表示されると共に、その電圧値の直流
電圧がアナログ直流信号発生器605から発生し、減算
回路601に供給され、減算回路601の出力からオフ
セット電圧が除去されて、磁気ひずみ変位分の信号Vλ
のみが得られる。
【0084】なお、以上の例では、減算回路601は光
変位計6の外部に設けたが、内部に設けても良い。ま
た、オフセット除去回路600の全体を光変位計6の内
部に設けても良い。
【0085】また、光変位計6がドリフト等が少ないも
のである場合には、マイクロメータ61による光変位計
のプローブ6aの先端の移動方向及び移動距離に連動し
て直流電圧を発生する直流電圧発生器を設け、その出力
をオフセット電圧として減算回路601の負側入力端子
に供給するようにしてもよい。
【0086】この場合、予め、マイクロメータ61を操
作して、そのときに減算回路601の出力に現れる直流
電圧を、直流電圧発生器に記憶しておくようにすること
により、直流電圧発生器から目的のオフセット電圧を得
ることができる。なお、この場合にも、オフセット電圧
の差動アンプ601への供給路を断続することができる
のが望ましい。
【0087】以上のようにして、光変位計6の適正な位
置制御及び直流オフセット電圧の除去制御が行われた状
態において、光変位計6の校正を行う。この光変位計6
の校正は、光変位計6の出力が直線性のよい位置におい
て、マイクロメータ61を操作してプローブ6aの先端
を所定距離移動させたときに、出力電圧が幾らになるか
を検知して行う。例えば、200μm移動させたとき、
出力がaボルトであれば、1μm移動させたときには、
a/200ボルトになるという具合に校正を行う。
【0088】なお、光変位計6としては、細く絞ったビ
ームよりも太いビームスポット径の光ビームを用いる。
ビームを微細に絞ったものを使用する場合には、ビーム
が照射される面に存在する凹凸も、ひずみとして検出し
てしまうおそれがあるからである。
【0089】以上のように、試料3と磁界発生用コイル
2との電気的中央位置の位置合わせと、光変位計6の校
正を終了した後、コイル2に、周波数が、例えば50H
z、200Hz、400Hz、実効値が約1A程度の交
番電流iを流す。すると、ガラス管1の管軸方向に交番
磁界が誘起され、この交番磁界により、磁性体試料3に
は、前述したように、電流iの周波数の2倍の周波数で
振動する磁気ひずみが生じる。この場合、この磁気ひず
みは、試料3の板面方向(管軸方向)の伸び縮みとして
現れ、試料3の端面に取り付けられた反射板3tが管軸
方向に磁気ひずみに応じて変位する。光変位計6は、そ
の反射板3tからの反射光をプローブ6aを介して受光
して、試料3の端面の振動変位を電圧変化に変換し、オ
フセット除去回路600からその変化分だけを出力信号
Vλとして得る。
【0090】また、さぐりコイル4の両端4a、4b間
には、交番磁界によりボビン41内を通る磁束φの変化
に応じた電圧VBが得られる。ボビン41内を通る磁束
は、ボビン内の試料3を除く部分を通る磁束と、試料3
を通る磁束との和からなっている。
【0091】さらに、補正コイル5の両端5a、5b間
には、コア51、52の断面積Aの和の空間の部分の磁
束変化に応じた電圧VHが得られる。コア51、52は
非磁性体であり、電圧VHは、このコア51、52部分
の空間の磁界に対応したものとなる。
【0092】オフセット除去回路600からの出力信号
Vλと、さぐりコイル4及び補正コイル5に得られる電
圧VB及びVHは、それぞれシグナルコンディショナー
21において、増幅されると共に、不要な高域成分及び
低域成分が除去される。
【0093】このシグナルコンディショナー21で変位
出力Vλ、電圧VB、電圧VHを上記のようにして処理
した結果の出力信号Sλ、SB、SHは、A/Dコンバ
ータ22に供給されて、デジタル信号Dλ、DB、DH
に変換され、バッファメモリ23に、一時蓄えられる。
このメモリ23に蓄えられたデジタル信号Dλ、DB、
DHは、平均化回路24に供給される。
【0094】この平均化回路24は、トリガタイミング
を基準にした平均を求める処理を行う。この例の場合に
は、交番信号発生器11からの交番信号が、トリガ発生
器13に供給されて、交番信号に同期したトリガ信号T
Gがこれより得られ、このトリガ信号TGが平均化回路
24に供給される。
【0095】平均化回路24では、交番信号に同期した
このトリガ信号TGによりトリガされて、各デジタル信
号の平均化処理が行われる。平均化回路24の各入力信
号には、交番信号に同期した目的の変位や電圧以外のノ
イズ成分も含まれるが、この平均化処理により、交番信
号に同期した成分以外の不必要なノイズ成分が除去され
る。
【0096】こうして、平均化回路24において、ノイ
ズ除去された各出力Eλ、EB、EHは、マイコンで構
成される信号処理回路25に供給され、試料3の近傍の
空間の磁界H、試料3の部分の磁束密度B、これら磁界
H及びBの条件下における試料3の磁気ひずみλが求め
られる。
【0097】すなわち、コイル5の誘起起電力から得ら
れる平均化電圧EHは、コア51、52が占める空間部
分の磁束の変化(dφ/dt:tは時間)に応じたもの
であり、これを積分することによりコア51、52が占
める空間部分を通る磁束φが求められる。コア51、5
2の部分の断面積は、既知であるので、この磁束φか
ら、試料3の近傍の空間の磁束密度Baが求められ、さ
らに、空間の透磁率は約1であるので、H≒Baとな
り、試料3の近傍の磁界Hが求められる。
【0098】また、出力EBから試料3を通る磁束が求
められ、試料3の断面積から試料3の部分の磁束密度B
が求められる。すなわち、出力EBは、ボビン41内の
空間部分を通る磁束の変化と考えることができる。ボビ
ン41内の磁束は、試料3の透磁率が空間の透磁率に比
較して非常に大きいので、試料3の部分(断面積は既
知)にほぼ集中する。試料3の断面積は、既知であるか
ら、試料3の部分の磁束密度Bを求めることができる。
また、磁界Hと、この磁束密度Bとから、試料3の透磁
率μを求めることができる。
【0099】図9は、この信号処理回路25の演算処理
の流れを機能ブロックで表現した図である。以下、この
図9を参照しながら信号処理回路25の演算処理を説明
する。
【0100】この信号処理回路25では、平均化回路2
4からの電圧EHが、H補正手段201に供給されると
共に、平均化回路24からの電圧EBがB−H補正定数
算出手段211に供給される。これらの手段201及び
211は、コイル4とコイル5との間の相互誘導による
電圧EH及び電圧EBについての波形補正を行う。
【0101】すなわち、コイル4及びコイル5には、冒
頭で述べたように、コイル2に交番電流iが流れること
により発生する交番磁界によって起電力が誘起され、こ
れによりそれぞれのコイル4、5に電流が流れる。この
ため、これらのコイル4及び5間においても、電磁誘導
が生じる。この相互誘導のため、電圧EHにはコイル4
に流れる電流による誘導成分が乗る。
【0102】図10Aは、コイル5により検出される磁
界を示し、これは電流iをコイル2に供給したことによ
り発生する正弦波状磁界成分301に、コイル4により
検出される磁束密度Bに対応した成分302が重畳され
た状態のものとなる。この成分302は、図10Bの波
形303に示す磁束密度Bの検出出力とは逆相である
が、磁束密度Bと相似波形を有している。B−H補正定
数算出手段211は、磁束密度Bが成分302に等しい
振幅となるようにするための乗算係数K1を平均化出力
電圧EBから算出し、その乗算係数を磁束密度の検出出
力に乗算した値に対応した補正信号CsをH補正手段2
01に供給する。
【0103】値K1は、コイル5の巻き数及びコア5
1、52の断面積、コイル4の巻き数及び巻回部分の断
面積などに基づいて求めることができる。
【0104】H補正手段201では、この補正信号Cs
が電圧EHに加算されて、成分302が相殺されて除去
される。この結果、H補正手段201からは、図10C
に示すような正弦波状成分301のみからなる電圧EH
1が得られる。この電圧EH1は、平均値算出手段20
2に供給される。
【0105】この平均値算出手段202は、コイル2に
供給される電流iは、一般に歪みに伴うオフセットを有
するため、電圧EH1も、直流オフセットを有するもの
となってしまうので、その直流オフセット分を補償する
ために設けられている。
【0106】すなわち、この例のように、磁界検出用コ
イル5を設けて、その誘起起電力から磁界を検出する場
合に、得られた磁界は正弦波状交番信号にならず、検出
した磁束密度を縦軸に取り、磁界を横軸に取って作成す
るヒステリシスループが縦軸及び横軸を対称軸として対
称にはならないことを、この発明の発明者は確認した。
【0107】発明者は、その理由を追及したところ、コ
イル2に供給される界磁電流が、正しく正弦波状交番電
流になっておらず、ひずみを有し、このため、直流オフ
セットが界磁電流に含まれていることを突き止めた。こ
のようにコイル2に供給される界磁電流が、正しく正弦
波状交番電流になっていない時には、磁気ひずみの測定
などの磁気的な測定を正確に行うことができない。
【0108】この問題を解決するには、交番信号発生器
11からひずみのない正弦波状交番信号を発生させれば
よいが、交番信号発生器11からこのような信号を得る
ことは一般に困難である。また、仮に正確な正弦波状交
番信号を交番信号発生器11から得ることができたとし
ても、その後段のアンプを無歪みアンプの構成とするこ
とは困難であり、コイル2に無歪みの正弦波状交番電流
を流すことは非常に困難である。そこで、この例では、
次のようにして、この欠点を補償するようにしている。
【0109】すなわち、平均値算出手段202では、H
補正手段201からの電圧EH1の直流オフセット電圧
ODが算出される。この直流オフセット電圧ODは、図
1に示した差動アンプ12の他方の入力端子に供給され
る。これにより、磁界発生用コイル2に供給される電流
iの直流オフセット分が除去されるようにフィードバッ
ク制御がかかる。
【0110】こうして、平均値算出手段202からは、
直流オフセットのない正弦波状磁界に応じた出力電圧E
H2が得られる。この電圧EH2は定数乗算手段203
に供給され、電圧値から磁界の値(ケスラー)への変換
が行われる。
【0111】この定数乗算手段203の出力は、積分手
段204に供給され、前述した磁束変化分を積分するこ
とにより、磁界Hが求められる。この積分手段204
は、図11に示すように、FFT(ファースト・フーリ
エ・変換)手段2041と、1/jω(ただし、ω=2
πf)の乗算手段2042と、IFFT(インバートF
FT=逆FFT)手段2043とが縦続接続されて構成
される。
【0112】この積分手段204の出力信号は、補正曲
線算出手段205に供給される。この補正曲線算出手段
205は、積分手段204でFFT方式の積分を行う場
合には、積分出力の平均値が例えば図12に示すように
漸減あるいは漸増するような傾斜を有してしまうので、
その傾斜分に対応した低周波数の成分を補正曲線として
求めるものである。この補正曲線算出手段205からの
補正曲線成分は、減算手段206に供給され、積分手段
204の積分出力から減算されて除去され、図13に示
すようにされる。
【0113】しかし、図13に示す減算手段206の出
力は、漸増あるいは漸減の傾向は除去されたものとなる
が、直流オフセットは残留する。この減算手段206の
出力中の直流オフセットは、直流キャンセル手段207
において除去される。こうして、この直流キャンセル手
段207から試料3の近傍の空間の磁界Hの検出値出力
が得られる。
【0114】また、平均値回路24からの電圧EBは、
前述したB−H補正定数算出手段211において、コイ
ル5からの誘導による影響を除去した後、定数乗算手段
212に供給され、電圧値が磁束変化の単位系の値、す
なわち、dφ/dtの値に変換された後、積分手段21
3に供給されて、磁束密度Bが求められる。この積分手
段213は、上述の積分手段204と全く同様に、FF
T手段と、1/jωの乗算手段と、逆FFT手段とが縦
続接続されて構成される。
【0115】この積分手段213の出力信号は、補正曲
線算出手段214に供給され、前述の磁界の検出の場合
と同様にして、積分手段213の積分出力の漸減あるい
は漸増するような傾斜に対応した低周波数の成分が補正
曲線として求められる。そして、この補正曲線算出手段
214からの補正曲線成分は、補正曲線算出手段205
とは逆極性となっているので、加算手段215に供給さ
れ、積分手段213の積分出力に加算されて除去され
る。さらに、この加算手段215の残留直流オフセット
は、直流キャンセル手段216において除去される。こ
うして、この直流キャンセル手段216から試料3の部
分の磁束密度Bの検出値出力が得られる。
【0116】また、平均化回路24からの出力Eλから
は、磁気ひずみλが求められる。すなわち、電圧Eλは
定数乗算手段221に供給されて、前述した光変位計6
の校正に対応した定数等が乗算されて、電圧値からひず
み値に変換される。この定数乗算手段221の出力は、
デジタルスムーシング処理手段222を通じて補正曲線
算出手段223に供給されると共に、加算手段224に
供給され、さらに、補正曲線算出手段223の出力が加
算手段224に供給され、この加算手段224から磁気
ひずみλの検出値出力が得られる。
【0117】そして、直流キャンセル手段207及び2
16からの磁界H及び磁束密度Bの検出値と、加算手段
224からの磁気ひずみλとが出力装置26に供給され
る。そして、この出力装置26においては、磁界Hと磁
束密度Bとの関係、磁界Hと磁気ひずみλとの関係、磁
束密度Bと磁気ひずみλとの関係が、図9に示すよう
に、その一方がX軸、他方がY軸としてCRTディスプ
レイに表示される。また、磁界H、磁束密度B、ひずみ
λの、各値がそれぞれ表示される。さらに、ユーザーの
操作などにより、プリンターによりこれらの関係のグラ
フや、各値が記録紙に出力される。
【0118】図14Aは、求められた磁界Hと、磁束密
度Bとを示し、図14Bは、両者の関係を示すいわゆる
磁気ヒステリシス曲線である。図15Aは、磁界Hと磁
気ひずみλの波形をそれぞれ示し、図15Bは、両者の
関係、つまり磁界−磁気ひずみ(H−λ)の関係を示し
ている。同様に、図16Aは、磁束密度Bと磁気ひずみ
λの波形をそれぞれ示し、図16Bは、両者の関係、つ
まり磁束密度−磁気ひずみ(B−λ)の関係を示してい
る。図14〜図16の例は、交番電流として、400H
z、0.5Aの電流を、コイル2に流して、新規な珪素
綱板の磁気ひずみを測定した場合である。
【0119】この発明の発明者による、上記の磁性体材
料の上記ひずみの測定の結果、この例の測定装置によれ
ば、試料が1mであるとき、10-9mまでの磁気ひずみ
の測定が可能であることが判明した。従来例として説明
した図20の測定装置では、磁性体試料の1m当たりに
ついて、最小、10-7m程度までの磁気ひずみの測定し
かできなかったので、この実施例の測定装置によれば、
この従来例に比べて2桁小さい磁気歪みを測定すること
が可能になったことが分かる。
【0120】すなわち、図20の従来例は、試料102
に張り付けた鏡103からの光の反射を受光する方式で
あるため、試料102は、しっかりと固定することが困
難である。このため、例えば偏平薄型に切り出した試料
の偏平面方向の磁気ひずみを測定しようとする場合に、
試料の厚み方向の磁気ひずみの影響を受けて、試料が横
ゆれなどを生じてしまい、小さい磁気ひずみの測定を不
能にしている。
【0121】しかも、試料102をしっかりと固定しな
い状態で試料102に鏡103を張り付けるため、試料
102に生じる磁気ひずみに、張り付けられた鏡103
の分の影響が生じ、これも正確な、より小さい磁気ひず
みを測定するための支障となっていた。
【0122】この点、上述した実施例の場合には、非磁
性体板31、32で試料3を挟んで、保持アーム33に
固定する方式であるので、試料3をしっかりと固定する
ことができ、より精度の良い測定を可能にしている。
【0123】また、図20の従来例の場合、試料102
の張り付けた鏡103に、コイル107の外部にある光
源104からの光を照射し、その反射光を、コイル10
7の外部に設けられる受光素子106で受光するように
しなければならないため、コイル107には、試料10
2の近傍において、線材を巻回せずに光を導くための空
間を設けなければならない。このため、コイル107の
巻回方向に生じる交番磁界が、試料102の近傍で不均
一となり、正確な磁気ひずみを測定するために重要とな
る試料近傍の磁気特性環境を所期のものとなるように整
えることが困難であった。
【0124】これに対して、上述した実施例の場合に
は、磁界発生用コイル2の巻回方向の磁気歪みを光変位
計により直接的に測定するようにする方式であるため、
コイル2に光を導くための空間を設ける必要はなく、試
料を均一な磁界内に置くことが可能であり、この点で
も、より精度の良い測定を可能にしている。
【0125】また、上述の実施例においては、試料近傍
の磁界を検出するコイル5に、試料を通る磁束密度を検
出するコイル4から相互誘導される成分を除去した後、
このコイル5の誘起起電力出力の平均値をオフセットと
して磁界発生用コイル2に印加する電圧から除去するよ
うにしたので、より正確な磁気的空間内で試料の磁気的
特性を測定することができる。そして、このような正確
な交番磁界中において、試料の磁気ひずみを測定するよ
うにしたので、従来より正確で、精細な磁気ひずみ測定
をすることができる。
【0126】ところで、以上の例では、磁性体試料3を
含む閉磁路70は、試料3とプローブ6aの保持部材7
1との間隙を有するので、若干の漏れ磁束が存在する。
しかし、以下に示すような他の閉磁路の実施例に示すよ
うにすることにより、磁性体試料3を含む閉磁路からの
漏れ磁束を、より少なくすることができる。
【0127】図17は、非磁性体板31、32に挟持さ
れた試料3のプローブ6a側と、プローブ6aの保持部
材71の磁気的結合状態の他の例を示すもので、この例
では、試料3の非磁性体板31、32の端面よりも突出
した端面に磁性体板74を接合する。この磁性体板74
は、透磁率が試料3と等しいか、それ以上のものとさ
れ、この例では、試料3と同一の材料からなる磁性体板
74を接合する。この磁性体板74は、試料3を挟持し
た非磁性体板31、32が、保持部材71の嵌合凹溝7
2に挿入された状態で、保持部材71の凹溝72の壁に
接触するような大きさとされる。この場合、好ましく
は、磁性体板74と凹溝73の壁との接触の度合いは、
試料3の磁気ひずみ振動に影響を与えない程度の僅かな
接触となるようにされている。もっとも、接触しなくて
もよい。
【0128】こうして、磁性体板74をできるだけ磁性
体のヨークである保持部材71に近付けることにより、
試料3と保持部材71との間の磁気的結合を密接にし
て、漏れ磁束をより少なくすることができる。
【0129】図18A、Bは、非磁性体板31、32に
挟持された試料3のプローブ6a側と、プローブ6aの
保持部材71の磁気的結合状態のさらに他の例を示すも
のである。図18Bは、図18AのB−B断面図であ
る。この例では、凹溝72の壁から非磁性体板31及び
32に向かって、これら非磁性体板31、32や試料3
の厚み方向に弾性的に容易に変形が可能なようにされた
磁性体片75、76、77、78を設ける。これらの磁
性体片75〜78も、透磁率が試料3と等しいか、それ
以上のものとされる。そして、これらの磁性体片75〜
78は、例えば図示の例の場合には、保持部材71と同
じ材質の薄板が、いわゆる蛇腹状に形成されて弾性を有
するように構成されている。
【0130】したがって、この例の場合には、試料3を
挟持した非磁性体板31、32が嵌合凹溝72内に挿入
されると、図18に示すように、磁性体片75〜78が
非磁性体板31、32から突出している磁性体試料3の
面に接触し、磁気的に結合する。この場合、弾性磁性体
片75〜78は、試料3と僅かに接触するような大きさ
にしておけばよい。
【0131】以上のような実施例の場合には、閉磁路7
0中の磁気的な間隙の大きさが前述の例に比べて非常に
小さくなり、その分、漏れ磁束も少なくなるため、試料
の磁気ひずみ振動に対する外部残留磁界の影響をさらに
少なくすることができ、より正確な磁気ひずみの測定が
可能になる。
【0132】
【発明の効果】以上説明したように、この発明において
は、磁界発生コイルに交番電流を流して交番磁界を発生
させ、この交番磁界中に磁性体試料を配置して磁気ひず
みを測定する装置において、磁性体試料を含んで閉磁路
を形成する磁気ヨークを設けたので、上記交番磁界によ
る磁性体試料の磁気ひずみ振動に対する外部残留磁界の
影響を除去することができる。このため、試料の磁気ひ
ずみを、より正確に測定することが可能になる。
【0133】また、この発明の磁気ひずみ測定装置は、
従来の磁気ひずみ測定装置のように、鏡を用いて磁気ひ
ずみを間接的に測定するのではなく、例えば光変位計な
どを用いて直接的に磁気ひずみを試料の端面の変位とし
て測定するようにした装置であるので、より高精細に磁
気ひずみを測定することができる。
【0134】また、磁性体試料を非磁性体からなる対の
板で挟んで保持するようにしたので、磁性体試料自身の
位置変動や、測定目的の変位方向以外の変位を制限する
ことができ、この点でも測定精度を向上させることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による磁気ひずみ測定装置の一実施例
の構成を示す図である。
【図2】この発明による磁気ひずみ測定装置の一実施例
の機構部の構成例を示す図である。
【図3】図1の例の磁気ひずみ測定装置における交番磁
界発生部の一実施例の要部の構成を説明するための図で
ある。
【図4】図1の例のA−A断面図である。
【図5】図1の例の磁気ひずみ測定装置の要部の構成を
詳細に説明するための図である。
【図6】図1の例の磁気ひずみ測定装置において、測定
開始前に磁界発生用コイルに供給する電流の一例を説明
するための図である。
【図7】図1の例の磁気ひずみ測定装置に用いられる光
変位計の出力特性を説明するための図である。
【図8】図1の例の磁気ひずみ測定装置に用いられる光
変位計の直流オフセット電圧除去回路の一実施例のブロ
ック図である。
【図9】である。図1の例の信号処理回路の機能ブロッ
ク図である。
【図10】図9の動作の説明のための波形図である。
【図11】図9の積分手段の構成例を示す図である。
【図12】図9の動作を説明するための図である。
【図13】図9の動作を説明するための図である。
【図14】この発明による磁気ひずみ測定装置で求めら
れた磁界と磁束密度の波形及びその関係の一例を示す図
である。
【図15】この発明による磁気ひずみ測定装置で求めら
れた磁界と磁気ひずみの波形及びその関係の一例を示す
図である。
【図16】この発明による磁気ひずみ測定装置で求めら
れた磁束密度と磁気ひずみの波形及びその関係の一例を
示す図である。
【図17】この発明による磁気ひずみ測定装置において
閉磁路を構成する磁気ヨーク部材の他の例を説明するた
めの図である。
【図18】この発明による磁気ひずみ測定装置において
閉磁路を構成する磁気ヨーク部材の他の例を説明するた
めの図である。
【図19】磁気ひずみの発生メカニズムを説明するため
の図である。
【図20】従来の磁気ひずみ測定装置の一例を説明する
ための図である。
【図21】磁気ひずみ測定装置に対する外部残留磁界の
影響を説明するための図である。
【符号の説明】
1 ガラス管 2 交番磁界発生用のコイル 3 磁性体試料 3t 反射板 4 さぐりコイル 5 補正コイル 6 光変位計 6a 光プローブ 11 交番信号発生器 12 オフセット除去用アンプ 13 トリガ信号発生器 22 A/Dコンバータ 23 バッファメモリ 24 平均化回路 25 信号処理回路 30 試料保持部材 41 ボビン 31、32 非磁性体板 33 保持アーム 35 保持アーム受け台 51、52 コア 61 マイクロメータ 70 閉磁路 71 光変位計のプローブの保持部材 73 磁気ヨーク部材の一部を構成する連結部材 74 磁性体板 75〜78 磁性体片

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】円筒状に導体の線材が巻回されて構成され
    る磁界発生用のコイルと、 この磁界発生用のコイルの内部空間に交番磁界を生じさ
    せるために、この磁界発生用のコイルに供給する交番信
    号を発生する交番信号発生器と、 上記磁界発生用のコイルの内部空間内に、磁性体試料を
    配置するための非磁性体からなる試料保持部材と、 上記交番磁界により発生する、上記磁性体試料の磁気ひ
    ずみによる変位を求める磁気ひずみ検出手段と、 上記磁性体試料を含んで閉磁路を形成するように構成さ
    れたヨーク部材とを備える磁気ひずみ測定装置。
  2. 【請求項2】円筒状に導体の線材が巻回されて構成され
    る磁界発生用のコイルと、 この磁界発生用のコイルの内部空間に交番磁界を生じさ
    せるために、この磁界発生用のコイルに供給する交番信
    号を発生する交番信号発生器と、 偏平な板状の磁性体試料を、この磁性体試料の長手方向
    の両端面が外部に露呈する状態で挟んで保持する1対の
    非磁性体板を備え、上記磁性体試料の長手方向が、上記
    磁界発生用のコイルの巻回方向と一致する状態で、上記
    磁界発生用のコイルにより囲まれる空間内のほぼ中央部
    に、上記磁性体試料を配置するようにする試料保持部材
    と、 上記試料保持部材の1対の非磁性体板間の上記磁性体試
    料の一方の端面の、この磁性体試料の長手方向の変位を
    検出することにより、上記磁性体試料の磁気ひずみを検
    出する変位計と、 上記変位計で上記磁性体試料の変位を検出する方とは反
    対側の上記磁性体試料の端面側において上記磁性体試料
    と直接的に接触した状態で上記試料保持部材を保持する
    第1の部分と、上記変位計で上記磁性体試料の変位を検
    出する方の端面側で上記磁性体試料と上記試料保持部材
    の上記非磁性体板の厚さ分を介して対向するようにされ
    た第2の部分とを含んで閉磁路を形成するヨーク部材と
    を備えてなる磁気ひずみ測定装置。
  3. 【請求項3】上記変位計は、上記試料保持部材の1対の
    非磁性体板間の上記磁性体試料の端面あるいはこの端面
    に取り付けられた反射板に光ビームを照射し、その反射
    光から、上記磁性体試料の上記端面の変位を検出する光
    変位計で構成されてなる請求項2に記載の磁気ひずみ測
    定装置。
  4. 【請求項4】上記変位計で変位を検出する方の上記磁性
    体試料の端面は、上記試料保持部材よりも上記長手方向
    に飛び出した状態とされており、この飛び出している磁
    性体試料部分に、磁性体部材を、上記ヨーク部材と接触
    するように設けてなる請求項2または請求項3に記載の
    磁気ひずみ測定装置。
  5. 【請求項5】上記変位計で変位を検出する方の上記磁性
    体試料の端面は、上記試料保持部材よりも上記長手方向
    に飛び出した状態とされており、上記ヨーク部材に、磁
    性体部材を、上記磁性体試料の上記飛び出した部分と接
    触するように設けてなる請求項2または請求項3に記載
    の磁気ひずみ測定装置。
  6. 【請求項6】上記ヨーク部材および上記磁性体部材が、
    上記磁性体試料の透磁率と等しいか、それ以上の透磁率
    の磁性体で構成されることを特徴とする請求項1、2、
    3、4または5に記載の磁気ひずみ測定装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100361167B1 (ko) * 2000-02-11 2002-11-18 사공건 초투자율 측정 시스템

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