JP6606698B1 - アモルファスワイヤのbh曲線測定装置 - Google Patents
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Abstract
Description
市販の直流式BH曲線測定装置では、通常、試料は直径4mm、長さ10mm程度、重量1g程度の大きさに加工されて測定に供されている。しかし、測定対象であるアモルファスワイヤは重量が1μg程度と通常の重量の100万分の1の大きさのために市販の直流式BH曲線測定装置では検出力が小さく測定はできない。つまりアモルファスワイヤ測定のためには、100万倍の検出力アップが必要である。
交流式BH曲線測定装置は、励磁磁界の周波数を10Hzから10MHzにした時の試料の交流磁気特性、すなわち位相遅れを伴うBH曲線を測ることができる。試料内に渦電流が発生し、励磁磁界Hに対して磁束密度Bの発生に位相遅れが生じ、BH曲線は位相遅れを含んだものとなる。位相遅れを含む交流BH曲線を測定することで一周期当たりの損失量コアロスを測定することを目的とする装置である。
通常、試料内に渦電流が発生するために、直流BH曲線の測定には使用することはできない。さらに直流式BH曲線測定装置と同様、通常の試料の大きさは1g程度で、0.1〜10μgと100万分の1程度の極小アモルファスワイヤの磁気特性の測定には適用できない。
測定は、薄膜試料を検出コイルに設置し、差動式検出コイルの出力をゼロに調整になるように、位置を調整し測定する(非特許文献3)。直流式BH曲線測定装置は0.02Hzの交流磁場中で測定するが、薄膜の場合は50Hzの交流磁場中で測定する違いがあるが、渦電流による位相遅れのない直流BH曲線を測定する点では同じである。
言い換えれば、一般的に使用されている直流式BH曲線測定装置の100万倍、薄膜用BH曲線測定装置の100倍以上も優れた検出力を有する直流式BH曲線測定装置の開発が求められていた。
ヘルムホルツコイルに流す励磁電流の周波数を1kHzと増加させ、図1に示すように、検出コイルの出力電圧を10倍程度大きくすることができることを実施例1により確認した。ここで、200Hz以下の場合にはコイル電圧の増加が不十分で、1kHz以上とすると渦電流損失によるBH曲線の歪みを生じてくるので好ましくない。
BH曲線測定装置は、電源回路部、測定部、検出回路部および表示部から構成される。
電源回路部は、測定部のヘルムホルツコイルに交流電流を供給するもので、交流電流の周波数は200Hz〜1kHzとする。通常、薄膜用BH曲線測定装置で広く使用されている50Hzの励磁周波数の正弦波形に比べて10程度大きなコイル電圧を得ることができる。100Hz以下の場合には、十分大きなコイル電圧を得ることができない。1kHz以上になると、渦電流の影響でBH曲線に歪みを生じてくるので好ましくない。
60mm〜200mmと小型のものが望ましい。一様磁界の強度は10〜100Oeが望ましい。
この設計は、これまでに確立されている技術であるが、コイルの抵抗とインダクタンスのバランス、インピーダンスによる電流の位相遅れと電源電圧の強さなどを考慮してできるだけ小さな電源、例えば音響機器で大量生産されているような安価な電源で制御を可能にすべきである。
使用電源としては、消費電力100W以下が望ましい。
ヘルムホルツコイルの発生する磁界は、一様磁界の強度は10〜100Oeでその周波数は100Hz〜1kHzである。
検出コイルと補償コイルの二つのコイルは内径3〜10mm程度で、その内部にワイヤを挿入することができる中空構造となっている。コイルの長さは20〜40mm、直径は3〜10mm、巻き数は20〜200回、抵抗は10〜50Ωである。
試料固定台は試料を搭載して固定し、試料を搭載・固定した試料固定台をレール上で移動させ、ヘルムホルツコイルの中央部にある差動式検出コイルの中央に試料を挿入し設置する。ヘルムホルツコイルの中央部の磁界が一様の位置であり、かつ差動式検出コイルを構成している検出コイルの中央は試料の測定方向と磁界の方向を平行に保って設置されている。
ここで、試料の測定方向と磁界の方向を測定時に安定的に平行に保つことができる。測定時に試料を安定的に保持することが可能で、測定後は速やかに取り出すことが可能である。
安定化回路は、積分した電圧値つまり磁束密度Bを500〜1,000回平均化して表示回路に出力する。
差動増幅器および平均化回路で1,000倍程度ノイズを小さくできる。積分回路で積分した電圧値は磁束密度Bに比例する。
表示回路は、電源回路部から供給される磁界強度Hに比例した電圧値と検出回路部から供給される磁束密度Bに比例する電圧を受け取る。表示器は、磁界強度Hに比例した電圧値をX軸とし、検出回路から供給される磁束密度Bに比例する電圧をY軸として、極小のアモルファスワイヤのBH曲線を測定値として表示する。
電源回路部は、ヘルムホルツコイルに交流電流を供給するものである。ヘルムホルツコイルの大きさはコイル径で90mm、コイル間隔は50mmである。交流電流の周波数は500Hzである。一様磁界の強度は40Oe、一様磁界の範囲はヘルムホルツコイルの中央部において直径10mm、長さ10mmである。使用電源としては、消費電力100Wの市販の電源である。
ヘルムホルツコイル21の発生する磁界は、一様磁界の強度は40Oe、その周波数は500Hzである。
検出コイルと補償コイルの二つのコイルは、長さ23mm、内径6mm、外径8mmで単位磁界検出素子1からなる試料232を挿入することができる中空構造である。そのコイルの巻き数は23回、抵抗は10mΩである。
表示回路は、電源回路部から供給される磁界強度Hに比例した電圧値と検出回路から供給される磁束密度Bに比例する電圧を受け取る。表示器は、磁界強度Hに比例した電圧値をX軸とし、検出回路から供給される磁束密度Bに比例する電圧をY軸として、図6に示すように、BH曲線を測定値として表示する。ここでHkはワイヤの異方性磁界、μは透磁率で、BH曲線から求めることができるワイヤの磁気特性値を示してものである。
11:基板、12:アモルファスワイヤ、13:コイル、14:コイル端子、15:コイル電極、
16:ワイヤ端子、17:ワイヤ電極、18:コイル電極接続配線、19:ワイヤ電極接続配線
2:測定部
21:ヘルムホルツコイル、22:差動式検出コイル、221:検出コイル、222:補償コイル、23:試料駆動ステージ、231:試料固定台、232:レール、233:試料、24:架台
Claims (2)
- 電源回路部、測定部、検出回路部および表示部からなるBH曲線測定装置において、
測定部は、直径30μm以下にて比抵抗100μΩcm以上のアモルファスワイヤからなる試料と200Hz〜1kHzの周波数の磁界を発生するヘルムホルツコイルと検出コイルおよび補償コイルからなる並列式一体構造の差動式検出コイルとを備え、
検出回路部は、1000倍以上の増幅度を有する差動増幅器と積分回路と安定化回路とを備えていることを特徴とするBH曲線測定装置。 - 請求項1において、
前記測定部は、前記試料を駆動する試料駆動ステージを備え、
前記試料駆動ステージは、前記試料と前記試料を搭載して固定する試料固定台、前記試料固定台を検出コイル内に搬送するレールおよび差動式検出コイルを磁界と垂直方向に微小移動させる位置決め調整装置とからなり、
前記試料固定台に搭載・固定されている前記試料は、測定のために前記ヘルムホルツコイルの中央部付近の磁界が一様の位置であって前記試料の測定方向と前記磁界の方向を平行に保って設置されている前記検出コイルに挿入され、測定時には前記試料が安定的に保持することが可能であって、測定後は速やかに取り出すことが可能であることを特徴とするBH曲線測定装置。
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