JP6606654B1 - 透磁率測定装置 - Google Patents
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Abstract
Description
本装置(以下、現行品という。)は、1本の磁性ワイヤに巻かれた1つの励磁コイルとそれを挟むように差動式に配置された2つの検出コイルからなる差動変圧器構成のプローブ型検出器と励磁コイルを励磁する交流信号を発信する発信回路と、検出器の一端を被測定試料に接触させることにより被測定試料の透磁率と導電性の影響を出力信号として検出する差動式信号処理回路とその出力信号を位相解析して、被測定試料の透磁率に基づく出力信号をのみを取り出して直流変換する位相検波回路と、基準信号発生回路からなるものである。基準信号発生回路は上記検出器の励磁コイルを励磁する単一の励磁交流信号と其の交流信号の位相を調整して基準信号を位相検波回路に供給する位相回路とからなるものである。差動式検出コイルからの出力電圧Eは、非磁性試料の渦電流の影響による出力電圧Ecと試料の磁性成分の影響による電圧Emの二つの成分からなっている。両者の位相の違いに注目して、位相検波回路の基準電圧を渦電流の影響による電圧Ecに直角になるように付与して、その電圧成分を取り除くことによって、被測定試料の透磁率の比例する出力信号を出力することができる。
この中で、励磁コイルの巻き数N1と検出コイルの巻き数N2と励磁電流の強さI(A)を
N1×N2×Iの値を1000以上とすると検出力は透磁率1.002を検出することができることを明らかにしている。しかも、2つの検出コイルの間隔を3.5mm程度と小さくすることで、直径2mm以下の小さな試料の透磁率1.002を測定できることが明らかになっている。
第1実施形態の透磁率測定装置(以下、測定装置という。)は、検出器と電子回路と表示器からなっている。
検出器は、1本の磁性ワイヤに巻かれた1つの励磁コイルとそれを挟むように差動式に配置された2つの検出コイルとを備える直径1mm以下の大きさの差動変圧器構成のプローブ型検出器であって、検出器の一端を被測定試料に接触させることにより被測定試料の透磁率と導電性の影響を出力信号として検出する機能を有する。
磁性ワイヤの直径は5μm〜100μmであり、励磁コイルおよび検出コイルはコイルピッチ10μm以下で内径10μm〜120μmのマイクロコイルからなり、その巻き数は100回〜1000回であり、2つの検出コイルの間隔は3.5mm以下である。
発信回路は、励磁コイルを励磁する100kHz〜10MHzの周波数で電流強さ10mA以下からなる交流信号を発信する。
信号処理回路は、検出器の一端を被測定試料に接触させていない状態において、その出力信号を0Vに調整するゼロ点補正機能を有する差動増幅回路と、補正後の差動増幅回路の出力信号を位相解析して被測定試料の透磁率に基づく出力信号のみを取り出して直流変換することができる位相角度調整機能を有する位相検波回路および位相検波回路による検波後の被測定試料の透磁率に比例する電圧を出力する出力回路からなる。
基準信号発生回路は、検出器の励磁コイルを励磁する正弦波を発生する正弦波発生回路およびその正弦波の位相を調整した基準ベクトル信号を発生する位相回路とからなる。
表示器は、被測定資料の透磁率に基づく直流信号を表示する。
検出器の構成と検出原理について、図1の検出原理を用いて説明する。
検出器1の構成は、1本の磁性芯棒である磁性ワイヤ11に巻かれている1つの励磁コイル12と、それを挟むように差動式に配置されている2つの検出コイル13(13aおよび13b)からなる差動変圧器構成のプローブ型検出器である。
小型サイズの検出器1を構成する部品は、Co系アモルファスの磁性ワイヤ11からなりその直径(d)は5μm〜100μmと微細化する一方で、その比透磁率(μ)は5,000〜50,000と大きくし、比抵抗率は50μΩcm〜150μΩcmとする。
励磁コイル12および検出コイル13の単位長さ当たりのコイル巻き数は、両者のコイルをマイクロ化することにより50回/mm〜500回/mmと大きくすることができる。また、励磁コイル12のコイル巻き数(N1)および検出コイル13のコイル巻き数(N2)は、100回〜1000回と大きくする。さらに二つの検出コイル12の間隔を3.5mm以下と小さくして、直径2mm以下の小さな試料の透磁率の測定を可能にする。
電子回路は、発信回路(図示せず)、信号処理回路30および基準信号発生回路40からなり、出力結果を表示する表示器50を備えている。
発信回路は、励磁コイル12を励磁する交流信号、つまりその周波数(f)を100kHz〜10MHzと大きくし、電流強さ(I)は2mA〜10mAである交流信号を発信する。
差動増幅回路31は、検出器の一端を被測定試料20に接触させることにより被測定試料20の透磁率と導電性の影響を出力信号として検出すると同時に、検出器の一端を被測定試料に接触させない状態において出力する出力信号を0Vに調整するゼロ点補正機能を有する。
位相検波回路32は、差動増幅回路31による補正後の出力信号を位相解析して被測定試料の透磁率に基づく出力信号をのみを取り出して直流変換すると同時に位相角度調整機能を有する。
図3に位相検波回路32の機能を示す。図3のIは励磁電流の強度を示し、以下、Eは出力電圧、Ecは非磁性試料の渦電流によって生じる電圧、Emは磁性試料の磁性によって生じる電圧、Eyは基準信号、φは基準信号の位相角をそれぞれ示す。位相検波回路は出力信号Eの基準信号Eyへの射影成分EmcosΦを電圧として出力し、その出力電圧は資料の磁性の強さ、つまり透磁率に比例する。
出力回路33は、位相検波回路32および検波回路による検波後の被測定試料2の透磁率に比例する電圧を出力する。
なお、上記の基本回路と検出原理は先に本発明者が開示した特許文献1(特開平3−255380号公報)および非特許文献1に詳細は記載しているとおりである。
第2実施形態は、第1実施形態のデジタル出力タイプにおいて、計測データの出力間隔時間を測定モード時間とスリープモード時間に二分し、測定時間を測定間隔の1/10以下として、信号電圧をデジタル出力するもので、測定に要する消費電力を少なくとも1/10以下に低減することを図る好ましい実施形態である。
第3実施形態は、第1実施形態および第2実施形態の測定装置をペンシル型のケースに内蔵するものである。図4を用いて説明する。
先端部に検出器61を取り付け、電子回路65と電池66を内蔵し、外装部に表示器67、測定器の電源スイッチ62、ゼロ点調整つまみ63、位相角調整つまみ64を取り付ける。先端部のサイズは、直径0.5mm〜1mmで長さは4mm〜6mmの末広がりの紡錘形状とする。測定装置6の本体の長さは全体で10cm〜16cm、直径は8mm〜14mmとする。
本発明の実施例1は、実施形態1と実施形態3を組み合わせたもので、図4に示すように、検出器10と電子回路と電源およびそれらすべてをペンシル型のケースに内蔵する超小型透磁率測定装置60である。測定装置60の先端部に検出器61を取り付け、電子回路65と電池66を内蔵し、外装部に表示器67、電源スイッチ62ゼロ点調整つまみ63、位相角調整つまみ64を取り付けた。先端部のサイズは直径1mmで長さ6mmの紡錘形状とする。測定装置60の本体の長さは全体で14cm、直径は10mmとする。
その検出器61については、まず大きさは、直径0.5mm、長さ6mmとする。これによってペンシルサイズの超小型透磁率測定装置が可能になる。検出器61(1)の構成部品は、まず磁性ワイヤ10の直径は10μmで、その比透磁率は8,000および比抵抗率は130μΩcmとする。励磁コイル11は直径18μm、長さ2mmのマイクロコイルで、直径10μmの磁性ワイヤ10の中央部に配置する。検出コイル12は内径18μm、コイルピッチ5μm、長さ2mmのマイクロコイルで、励磁コイル11の両側に差動式に配置する。単位長さ当たりのコイル巻き数は200回/mmとする。励磁コイル11(N1)および検出コイル12(N2)のコイル巻き数は300回とする。さらに2つの検出コイル(12aおよび12b)の間隔Lを3.5mm(図2)と小さくして、直径2mm以下の小さな試料の透磁率の測定を可能にする。
また被測定試料2のサイズに影響を避けるために、2つの検出コイル(13aおよび13b)の間隔は、3.5mm以下とする。
次に、図6では透磁率1.005の被測定試料2の透磁率を測定した結果を示し、「測定可」とは、測定装置60の表示器67に現われた透磁率の値が測定できた場合をいい、「測定不可」とは測定誤差が1.005と同程度あった場合をいう。図6は、K≧3×107 を満足するときは、測定装置6が被測定試料の透磁率を正確に測定することが可能であることを示している。
実施例2は、実施例1をベースにして、図7に示すように、計測データの測定間隔時間20m秒を、測定モード時間0.2m秒とスリープモード時間19.8m秒に二分し、測定時間を測定間隔の1/100として、測定に要する消費電力を1/100程度に低減することを図ったものである。そのために、電子回路をON−OFFする制御回路と取り付け、それと同期して位相検波後の出力をホールドするホールド回路を設けて、ON状態で測定し、その信号電圧をホールドして出力し、OFF状態になっても、同じ信号電圧を出力することになるので、その結果50Hzの測定間隔の間は同じ信号電圧を出力するようにしている。
11:磁性芯棒(磁性ワイヤ)、12:励磁コイル、13a:検出コイル:13b:検出コイル、14:検出器の先端
20:被測定試料
30:信号処理回路
31:差動増幅回路(ゼロ点調整器付き)、32:位相検波回路(位相角調整器付き)、33:出力回路(デジタル変換他)
40:基準信号発生回路
41:正弦波発生回路、42:位相回路
50:表示器
60:超小型透磁率測定装置(測定装置)
61:検出器、62:電源スイッチ、63:ゼロ点補正用つまみ、64:位相角補正つまみ、
65:電子回路(内蔵)、66:電池(内蔵)、67:表示器
Claims (3)
- 検出器は、1本の磁性ワイヤに巻かれた1つの励磁コイルとそれを挟むように差動式に配置された2つの検出コイルとを備える直径1mm以下の大きさの差動変圧器構成のプローブ型検出器であって、検出器の一端を被測定試料に接触させることにより前記被測定試料の透磁率と導電性の影響を出力信号として検出する機能を有し、
前記磁性ワイヤの直径は5μm〜100μmであり、
前記励磁コイルおよび前記検出コイルは内径10μm〜120μmのマイクロコイルからなり、その巻き数は100回〜1000回であり、
前記2つの検出コイルの間隔は3.5mm以下であり、
電子回路は、発信回路、信号処理回路および基準信号発生回路を備えてなり、
前記発信回路は、前記励磁コイルを励磁する100kHz〜10MHzの周波数で電流強さ10mA以下からなる交流信号を発信し、
前記信号処理回路は、前記検出器を前記被測定試料に接触させていない状態において出力する出力信号を0Vに調整するゼロ点補正機能を有する差動増幅回路と、補正後の前記差動増幅回路の出力信号を位相解析して前記被測定試料の透磁率に基づく出力信号のみを取り出して直流変換することができる位相角度調整機能を有する位相検波回路および前記位相検波回路による検波後の前記被測定試料の透磁率に比例する電圧を出力する出力回路からなり、
前記基準信号発生回路は、前記検出器の前記励磁コイルを励磁する正弦波を発生する正弦波発生回路およびその正弦波の位相を調整した基準ベクトル信号を発生する位相回路とからなり、
表示器は、前記被測定試料の透磁率に基づく直流信号を表示することを特徴とする透磁率測定装置。 - 請求項1において、
計測データの測定間隔時間を測定モード時間とスリープモード時間に二分し、測定モード時間を測定間隔の1/10以下として信号電圧をデジタル出力とすることを特徴とする透磁率測定装置。 - 請求項1または2において、
前記検出器の大きさは直径1mm以下で長さ6mm以下とし、前記電子回路のサイズは巾10mm以下とし、測定装置の形状はペンシル型であることを特徴とする透磁率測定装置。
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