JP4353465B2 - 鉄道車両の磁界測定方法および磁界測定装置 - Google Patents

鉄道車両の磁界測定方法および磁界測定装置 Download PDF

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Description

本発明は、鉄道車両の車体の内外部における漏れ磁界を測定する方法および装置に係り、例えば直流磁界測定で優れた磁気検出特性を示す磁気発振型やフラックスゲート型などの磁気センサと、交流磁界測定で優れた磁気検出特性を示す電磁誘導現象を利用したサーチコイル型の磁気センサを組み合わせて、数mTの直流磁界から数10kHzの交流磁界までの広帯域周波数の磁界を、広ダイナミックレンジで連続的にかつ高精度に測定する磁界測定方法および装置に関するものである。
鉄道車両の車体の内外部における漏れ磁界の測定方法は、国際的にも確立されていない状況下にあるが、鉄道車両においては、強力な漏れ磁界を発生する車両の生産が多くなってきている。そして、近年、この漏れ磁界が人体や磁気記録媒体などに影響を与えることが懸念されるようになってきたため、「鉄道車両の漏れ磁界の測定方法」が、日本工業標準調査会の審議を経て制定されている。
JIS E 4018
これによれば測定項目は、車内外の漏れ磁界(磁束密度)および磁界発生機器などの電流と規定され、車両の状態に応じて計測条件を規定している。例えば走行状態では、磁界発生機器の近傍における車内の漏れ磁界を磁界発生機器が最大電流になる車両速度域で測定することなどを規定している。また、発車時における直流磁界の変動では、磁束密度で1〜2mT程度の磁界を測定するので、測定器としてホール素子を使用した測定器を使用することが多い。
具体的には、精度が±5%程度のものを使用して、磁界のX成分、Y成分、Z成分の測定を行い、その各軸成分の合成値を下記(1)式によって計算し、この合成値で表すものと規定している。測定結果の記録においては、磁束密度は合成値と各軸成分を記録するとも規定している。
B=(BX2 +BY2 +BZ21/2 …(1)
社団法人日本建築学会編、「環境磁場の計測技術−現場における計測の事例−」、社団法人日本建築学会、1998年
ところで、磁界測定に際しては、X,Y,Zの各成分を同時に測定することが基本である。しかしながら、従来の測定では、実効値表示あるいは波高値表示の一般的汎用測定器を使用していたため、瞬時波形測定や広帯域周波特性に関する性能保証はされておらず、交流磁界測定時の合成値は、X,Y,Z軸の各実効値あるいは波高値を基にして上記(1)式によって計算していた。
その結果、合成磁界の最大値を計算しても、X,Y,Z各成分間のデータ同時性と位相関係を無視したものであったため、X,Y,Z軸の瞬時値で計算する真の全磁力(磁界ベクトルの大きさあるいは絶対値)とは一致しなかった。
その原因は、実効値表示値あるいは波高値表示値は、変動するX成分、Y成分、Z成分間の位相関係を示す情報が無視されていることによる。例えば波高値表示値によって計算される磁界合成値(合成による磁界ベクトルの大きさ)は、三軸同時計測時のデータから計算される真の全磁力に比べ、特殊な場合を除いては常に大きい値となり、その誤差は数10%以上になるため、測定器の許容精度±5%を遙かに上回る結果、波高値表示値による磁界合成値は、位相無視による誤差によって真の磁界ベクトルの大きさからほど遠いものになるという問題があった。
別の観点からみれば、従来の測定に使用していた実効値表示値あるいは波高値表示値の磁界測定器は、磁界波形のひずみや位相関係を無視して、時間的平均値で磁界の強さを測定するタイプの機器であって、高い周波数成分を含む磁界に対する瞬時応答性や測定された磁界波形の忠実な再現性に関しては、何も保証していなかった。
また、従来のホール素子方式の磁気センサでは、雑音や温度ドリフトによって、数10μT〜数μT程度の変動が常時生じていた。測定レンジによっては時間の経過につれてドリフトが生じ、このため一定時間ごとにゼロ点調整を行うなどの配慮が必要であるなど、温度特性に関する技術的未解決問題もあった。
さらに、ホール素子を使用した磁界測定器の実用有効精度は、一般に雑音レベルの数10μT程度である。1〜2mT程度の強磁界測定では数10μT程度の磁界を無限小として無視できて問題にならないが、人体への影響が懸念されている微弱な数μT以下の漏れ磁界の測定では、雑音レベルが大きくて信号が雑音中に埋もれることになる。
すなわち、従来のホール素子方式の磁気センサでは、微弱磁界測定の分野では、ホール素子自体の雑音レベル(分解能)と温度ドリフトの両面から問題があり、鉄道車両の磁界測定用測定器としては未解決な課題が残っていた。
解決しようとする問題点は、鉄道車両の車体の内外部における漏れ磁界のような数mTの直流磁界から数10kHzの交流磁界までの広帯域周波数の磁界を広ダイナミックレンジで連続的にかつ高精度に測定できない点である。
本発明は、直流磁界〜数10kHzの広帯域周波数の磁界測定と、数mT〜数10nTという広ダイナミックレンジの磁界測定という課題を解決するために、磁気検出方式の異なる二種類の磁気センサで、超低周波領域と高周波領域をそれぞれ分担して測定し、これら各磁気センサの磁気検出特性の間に生じた周波数特性の不整合を、お互いに重なり合う周波数の境界領域内の特定周波数のスペクトルで所要の演算を実施し、その演算によって得た整合係数を該当する集録データに乗算することによって、両磁気センサの特性が連続性を維持しながら整合出来るようにすることを最も主要な特徴としている。
本発明においては、直流磁界、直流変動磁界、数100Hz以下の交流磁界の総称を超低周波特性の磁界あるいは超低周波領域の磁界と定義し、数10Hz以上の交流磁界や商用周波数の磁界の総称を高周波特性の磁界あるいは高周波領域の磁界と定義する。また、超低周波領域と高周波領域が重なり合う数10Hz〜数100Hzの領域を中間周波数領域あるいは境界領域と定義することにする。
本発明によれば、直流磁界〜数10kHzの広帯域周波数の磁界測定と、数mT〜数10nTという広ダイナミックレンジの磁界測定が可能となり、また、各X,Y,Z成分の磁界を瞬時計測するために高速サンプリングによるデータ集録を行うことによって、真の全磁力測定が可能になるという利点がある。
特に、人体への影響が懸念されている数100nT〜数10nT程度の微弱磁界を高精度に測定する技術が確立し、従来の測定精度を飛躍的に改善する真の全磁力測定が可能になって、鉄道車両の磁界測定全体の精度と信頼性が大きく向上するという利点もある。
電気車両から発生する磁界の周波数帯域は、直流磁界からインバータ周波数、さらにスイッチングによる高周波雑音磁界までの広帯域にわたる磁界であるため、電気車両から発生する磁界を測定するには、直流を含む超低周波領域から数10Hz以上の高周波領域に至る広帯域周波数特性を有する磁界の詳細な瞬時波形まで忠実に測定し、データを集録する必要がある。そのために、X,Y,Z成分データの同時性を最重視した高速サンプリング機能と、広い周波数帯域特性を具備した磁界測定器が必要となる。
また、測定器に要求されるダイナミックレンジは、数mT程度の強い磁界から、人体への影響が懸念されている数100nT〜数10nT程度の微弱な磁界まで測定できる広ダイナミックレンジの磁界測定器が必要である。
そこで、本発明の鉄道車両の磁界測定方法では、上記の課題を解決するために、
3個の磁気感応部を互いに直交させた第1の三軸磁気センサにより前記漏れ磁界のうちの超低周波特性の磁界を、また、3個の磁気感応部を互いに直交させた第2の三軸磁気センサにより前記漏れ磁界のうちの高周波特性の磁界をそれぞれ測定し、
前記第1の三軸磁気センサによって測定した超低周波特性の磁界を磁電変換したX軸、Y軸、Z軸成分の各アナログ電圧信号と、前記第2の三軸磁気センサによって測定した高周波特性の磁界を磁電変換したX軸、Y軸、Z軸成分の各アナログ電圧信号を、それぞれの軸成分毎の信号処理部から出力し、
この出力された前記それぞれのアナログ電圧信号を高速サンプリング周期でそれぞれデジタル信号に変換した後、
この変換したデジタル信号から第1の三軸磁気センサと第2の三軸磁気センサに共通する一つの軸成分の瞬時磁界波形データを各々個別に周波数解析するか、
或いは、変換したデジタル信号から第1の三軸磁気センサで測定したX軸、Y軸、Z軸成分の各瞬時磁界成分から計算される真の全磁力波形と、第2の三軸磁気センサで測定したX軸、Y軸、Z軸成分の各瞬時磁界成分から計算される真の全磁力波形を、各々個別に周波数解析し、
その周波数解析したデータを使用して、任意に指定した特定周波数における第1の三軸磁気センサと第2の三軸磁気センサのスペクトル値を一致させるための整合係数を演算し、
この演算した前記整合係数を使用して、補正すべき全てのスペクトル値に対して補正演算し、超低周波特性の磁界と高周波特性の磁界の周波数特性を整合させて、広帯域周波数特性の漏れ磁界を測定することとしている。
そして、上記の本発明方法は、
3個の磁気感応部を互いに直交させた、前記漏れ磁界のうちの超低周波特性磁界測定用の第1の三軸磁気センサと、3個の磁気感応部を互いに直交させた、前記漏れ磁界のうちの高周波特性磁界測定用の第2の三軸磁気センサを一体化させて構成した複合磁気センサと、
前記超低周波特性の磁界を磁電変換してX軸、Y軸、Z軸成分の各アナログ電圧信号を得る前記第1の三軸磁気センサのそれぞれの軸成分毎の信号処理部と、
前記高周波特性の磁界を磁電変換してX軸、Y軸、Z軸成分の各アナログ電圧信号を得る前記第2の三軸磁気センサのそれぞれの軸成分毎の信号処理部と、
これらそれぞれの軸成分毎の信号処理部から出力されたそれぞれの前記アナログ電圧信号をそれぞれデジタル信号に変換する高速サンプリング周期のA/D変換器と、
このA/D変換器で変換した前記デジタル信号から第1の三軸磁気センサと第2の三軸磁気センサに共通する一つの軸成分の瞬時磁界波形データを各々個別に周波数解析するか、
或いは、A/D変換したデジタル信号から第1の三軸磁気センサで測定したX軸、Y軸、Z軸成分の各瞬時磁界成分から計算される真の全磁力波形と、第2の三軸磁気センサで測定したX軸、Y軸、Z軸成分の各瞬時磁界成分から計算される真の全磁力波形を、各々個別に周波数解析し、
この周波数解析したデータを使用して、任意に指定した特定周波数における第1の三軸磁気センサと第2の三軸磁気センサのスペクトル値を一致させるための整合係数を演算し、演算した前記整合係数を使用して、補正すべき全てのスペクトル値に対して補正演算し、前記第1の三軸磁気センサで測定した超低周波特性の磁界と前記第2の三軸磁気センサで測定した高周波特性の磁界の周波数特性を整合させる演算手段を備えた本発明の鉄道車両の磁界測定装置によって実施できる。
そして、上記本発明の鉄道車両の磁界測定装置における演算手段は、
例えば前記高速サンプリング周期のA/D変換器で変換したデジタル信号を、実時間内にデジタル数値として集録し、保管するデータ集録手段と、
このデータ集録手段で集録、保管されたデータに対して、鉄道車両の各走行モードに対応する時間帯から解析対象となる解析時間帯を指定する解析時間帯指定手段と、
この解析時間帯指定手段で指定された解析時間帯毎に周波数解析を実行するデータ解析実行手段と、
第1の三軸磁気センサと第2の三軸磁気センサの周波数特性を整合させる特性整合手段とを備えた構成のものが採用される。
本発明では、鉄道車両の車体の内外部における漏れ磁界の測定に際し、磁気検出可能な周波数帯域を拡大するために、直流を含む超低周波領域の磁界を検出する専用の磁気センサと、数10Hz以上の高周波の交流磁界を検出する専用の磁気センサを複合させて複合磁気センサを構成し、広帯域周波数の磁界を広ダイナミックレンジで高精度に測定できるようにした。
このような超低周波磁界測定に優れた磁気センサと、高周波磁界測定に優れた磁気センサを複合させることによって、新たに各磁気センサの磁気検出特性の間に不整合が生じることになるが、この問題は、例えば独立した二つの手段で補完出来るようにして解決できる。ハード的には整合用増幅器の増幅度を調整することによって解決する。また、ソフト的には境界領域内の特定周波数において整合係数を演算し、集録データに整合係数を乗算することによって解決する。
特に、本発明では、ソフト的な整合手法を確立するために、後述のように高速サンプリング機能を付加して、直流から高い周波数成分までの磁界波形の再現性を高精度に確保するとともに、高速サンプリングされた集録データを使用して整合係数を演算出来るようにして、ソフト的手法を確立した。
特定周波数の変更について言えば、ハード的な整合手段では、校正用専用装置を使用した専門的な調整を必要とするため、磁界測定器の使用前に校正作業によって特定周波数を調整固定させておくことが必要である。それに対して、ソフト的な整合手段では、キーボードからの数値入力だけで特定周波数の変更が可能になるため、特定周波数を変更してデータ解析したい場合など、簡単に変更出来るので、解析時の融通性が増大する。
例えばハード的手段だけの整合で精度が十分であると判断できる磁界測定の場合には、ソフト的な整合手段の整合係数を1として演算すれば良いが、両者の整合手段を磁界測定器に具備させて置くことが望ましい。
また、本発明では、データ解析時において、真の全磁力を演算するために集録データの同時性と交流磁界波形の再生の忠実度を確保すべく、高速サンプリング型のA/D変換器を使用している。
上記の本発明装置において、数mT程度の強い直流成分の磁界あるいは直流成分に近い変動磁界を測定する第1の三軸磁気センサには、磁気発振型磁気センサ、フラックスゲート型磁気センサ、温度や分解能を改善した磁気抵抗型磁気センサなどを直流磁界専用磁気センサとして採用することが望ましい。これらの磁気センサは、磁気特性の温度変化が少ない磁性材料を使用していて、従来より使用されているホール素子の磁気検出原理とは全く異なる磁性材料の非線形特性を利用した磁気検出原理であって、半導体型のホール素子の温度特性に比べ、環境温度変化に対して数桁以上良好な安定度を示し、温度特性の改善が図れる。
また、第2の三軸磁気センサとしては、数100nT〜数10nT程度の微弱な交流磁界、あるいは周波数の高い交流磁界の測定が可能である空心あるいは磁性材料を磁芯とするサーチコイル方式を採用することが望ましい。
この様な2種類の異なる磁気検出方式の磁気センサから集録されるデータは、一体化された測定データとして管理・保管・解析が可能になり、ハードとソフトの両面から電気鉄道用の磁界測定として十分な機能を有するものになる。
以下、本発明の実施例について説明する。
磁気発振型磁気センサやフラックスゲート型磁気センサでは、磁性材料から成る磁芯の非線形磁化特性を利用して磁気検出を行うために磁芯を交流励磁する。その測定磁界領域は、励磁電流の周波数より遙かに低い周波数領域となり、直流を含む超低周波領域専用の磁気センサと言える。裏を返せば、問題点は、測定磁界の周波数が磁芯を励磁する周波数に近くなると測定精度が落ちることであり、交流励磁電流の周波数より高い周波数領域では当然のことながら磁気センサの性能発揮は不能になる。
そこで、高い周波数領域の磁界測定を可能にするために、本発明の実施例では、数10Hz以上の交流磁界の検出が可能である高周波領域磁界測定用のサーチコイル型磁気センサを使用して、磁気発振型磁気センサやフラックスゲート型磁気センサの測定不能領域を補完するのである。
しかし、磁気検出性能の一つを示す周波数特性では、2種類の磁気センサの周波数特性が異なるため、その整合をとる必要が生じてくる。これの解決のために、本発明では高速サンプリング機能を付加して、超低周波領域から高周波数領域までの磁界波形のデータ集録と、集録データによる磁界波形の忠実な再現機能を備えさせるとともに、サンプリングされた集録データを使用して、本発明の複合磁気センサとしての周波数特性が、超低周波領域から高周波数領域へと一体性を持って整合されるように周波数特性の整合手段を開発し、この課題を解決した。
本発明で使用する磁気センサの磁気感応部は、磁気検出感度に関して指向性を有するものを使用するので、測定磁界に対して最大の磁気検出感度を示す方向を磁気感応部の最大磁気感応軸と呼ぶことにする。また、磁気感応部を互いに直交させることと、磁気感応部の最大磁気感応軸を互いに直交させることは、同意義として使用することにする。
図1に、第1の三軸磁気センサ1と第2の三軸磁気センサ2を一体的に実装した場合の複合磁気センサの基本構成を示す。
複合磁気センサの主構成は、第1の三軸磁気センサ1と、第2の三軸磁気センサ2と、複合磁気センサケース3、および、複芯信号ケーブル4から成る。
第1の三軸磁気センサ1は3個の磁気感応部を有し、その最大磁気感応軸SA(X軸,Y軸,Z軸)は互いに直交するように実装する。この第1の三軸磁気センサ1は、3個の磁気感応部とこれらの磁気感応部を励磁するセンサ駆動部を主構成とする。
採用するセンサの種類としては三軸磁気発振型磁気センサや三軸フラックスゲート型磁気センサなどがある。磁気感応部に使用する高透磁率磁性材料の磁芯形状には、励磁磁束回路が薄板状、薄膜状、フープ状、線状の開磁路のものと、励磁磁束が磁性材料内部のみを通るリング状、角形、扁平な楕円状などの形状をした閉磁路のものとがある。例外的には、イオンプレーティングなどの特殊薄膜生成技術で作成される磁性薄膜型の磁気抵抗素子は、印加する磁界によって磁性薄膜の抵抗値が変化するものであり、磁性薄膜パターンと測定条件次第では本発明でも使用可能である。
第1の三軸磁気センサ1の代表的な例として、3個の一軸磁気センサで構成した場合について詳細に説明する。3個の一軸磁気センサの磁気感応部X1,Y1,Z1は、最大磁気感応軸SA(X軸、Y軸、Z軸)を互いに直交させて配置する。この際、第2の三軸磁気センサ2の磁気感応部X2,Y2,Z3の各最大磁気感応軸SA(X軸、Y軸、Z軸)とも一致する方向あるいは平行する方向でなければならない。
複合磁気センサケース3が図1に示すように直方体の場合には、複合磁気センサケース3の各平面に対して垂直方向にX軸、Y軸、Z軸を設定して最大磁気感応軸SA(X軸、Y軸、Z軸)を直交する関係に配置すれば、外観から複合磁気センサの各軸方向が把握できるので、磁界測定作業時の取り扱いが非常に便利になる。また、磁気感応部の中心位置が一直線上に分散配置あるいは複合磁気センサケース3内部で任意の位置に分散配置されていても良いことは自明である。
各磁気感応部の磁芯には必要な励磁巻線や検出巻線などを巻き、実装基板上には必要な配線や電子回路を実装するが、図では煩雑さをさけるために磁芯の巻線、電子回路、配線状況を省略している。
複合磁気センサケース3の内部に実装する回路部は、磁気感応部だけの場合と、磁気感応部とセンサ駆動部から成る磁気センサの場合と、磁気感応部とセンサ駆動部と信号処理部まで実装する場合があり、その実装状態に応じて複芯信号ケーブル4に流れる信号の種類は異なってくる。
最後の実装組み合わせのように、磁気感応部とセンサ駆動部から成る磁気センサに、磁気センサの出力信号を処理する信号処理部が共に複合磁気センサケース3の内部に実装された場合には、複芯信号ケーブル4は、磁電変換されたX,Y,Z軸成分のアナログ信号の信号出力ライン、電子回路を動作させための直流電源供給ラインとして機能する。
ところが、複合磁気センサの小型軽量化のために、複合磁気センサケース3の内部には磁気感応部のみを実装し、センサ駆動部を分離して構成する必要がある場合(図示省略)には、両者を結合する伝送路ケーブルで、誘導ノイズを拾って磁気検出の分解能が劣化することが懸念される。この場合には、複芯信号ケーブル4に流れる磁芯励磁用の励磁電流や磁電変換された変調信号に、不要な外乱誘導ノイズが混入しないように十分注意する必要があり、通常、複芯信号ケーブル4は各導線とも電磁シールドされた信号ケーブルを使用する。
図2は磁気発振型磁気センサの磁気感応部の構成例として、開磁路タイプの磁芯5の周囲に巻かれた励磁巻線6から成る磁気感応部と、さらに検出巻線9を付加した磁気感応部の例を同時に図示している。第1の三軸磁気センサ1で使用する磁気発振型磁気センサは、センサ駆動回路の構成によってマルチバイブレータ型と、共振型に分けられる。
図5に示すマルチバイブレータ型の磁気発振型磁気センサは、端子7,8を有する励磁巻線6から成る磁気感応部MXとオペアンプ31に数個の抵抗32〜34を付帯して構成されるセンサ駆動部からなる。
この場合、励磁巻線6は、磁気感応部MXの端子電圧変化を検出する検出巻線としても同時に機能する兼用巻線であって、励磁巻線6の端子7,8間の電圧は検出信号としてオペアンプ31の非反転入力端子に入力される。磁気検出特性の向上のために、抵抗32にコンデンサを並列接続すると、入出力特性の直線性は改善され、ダイナミックレンジは拡大する。
雑音レベルを抑制するように改善した共振型(図6参照)では、励磁巻線6に乗っている雑音成分が直接オペアンプ31に入力されないようにするために励磁巻線6の兼用使用を避け、励磁巻線6以外に新たな検出専用の検出巻線9を巻き(図2参照)、さらに、その検出巻線9の端子10,11間にコンデンサ43を付加した回路として構成する。また、特性改善のために、抵抗32にコンデンサを並列接続することもある。
次に、磁気発振型磁気センサの磁気検出原理について説明する。
磁芯5のB−H曲線は、正方向に励磁しても負方向に励磁しても、磁性材料のB−H曲線を表現する座標軸の原点を中心に、正負対称性を有していることを前提とする。この点、高透磁率磁性材料のパーマロイでは問題はない。その他の磁芯材料としては、フェライトやアモルファス合金以外に、保磁力の小さい高透磁率のコバルト系合金などがある。万一、このB−H曲線の正負対称性が保証できない磁性材料は、本発明で使用する磁気センサ材料としては不適である。
従って、本発明で採用する例えば磁気発振型磁気センサにおける磁気感応部の磁芯5を励磁巻線6に流す正負の交番励磁電流によって磁化すると、磁芯が正方向、あるいは負方向に励磁されるわけであるが、正方向に励磁しても負方向に励磁しても、正方向に磁気飽和するタイミングまでの励磁時間と、逆に負の方向に励磁して磁気飽和するタイミングまでの励磁時間は、B−H曲線の正負対称性から同じになる。別の観点から言い換えれば、動作原点がB−H曲線の座標軸原点であるため、磁芯が正方向と負方向に磁気飽和するまでの正負の励磁時間は等しく、その時間差は零である。
ところが、直流の外部磁界が磁芯5に印加すると交流励磁磁界に直流分の磁界が重畳されて動作点が直流磁界の強さ分だけずれるため、正負に磁気飽和するタイミングにもずれが生じる。このずれによる正負の励磁時間差は、外部磁界の強さに比例する。また、正の励磁時間が短くなって負の励磁時間が長くなる場合と、その逆に、正の励磁時間が長くなって負の励磁時間が短くなる場合の二つの状態に別れるが、前者になるか後者になるかは外部磁界の印加方向(極性)で決まる。
この現象を生起させるためには、正方向にあるいは負方向に磁気飽和するタイミングを自動的に精確に検出する必要がある。併せて、磁気飽和のタイミングと同時に逆方向に励磁電流を瞬時に切り替えて流し、磁芯に逆方向の励磁磁界を印加させる仕掛けが必要となる。さらに、これを自動的に繰り返して持続させる仕掛けが必要になる。
この仕掛けは、発振器で作った励磁電流を磁芯に流すフラックスゲート型磁気センサの駆動方式では、実現不可能である。すなわち、フラックスゲートでは磁芯が磁気飽和してもそれ以上の励磁時間をとって励磁する外部の交流発振器による過励振方式であるため、励磁電流の正の励磁時間も負の励磁時間も発振器の正の半サイクルと負の半サイクルで決まり、印加する外部磁界には無関係だからである。
そこで、図5にこの仕掛けを具体化した三軸磁気発振型磁気センサの回路構成の実施例を示す。MX,MY,MZは、磁芯5と励磁巻線6で構成された各X,Y,Z軸の磁気感応部である。37,39,41は、各センサ駆動および信号処理部で、磁電変換信号出力手段である。38,40,42は各アナログ信号出力端子である。
磁気感応部MXは、磁芯5と端子7,8を有する励磁巻線6からなり、その端子7,8はMXの端子でもある。磁気感応部MXの端子電圧の変化は、磁芯5の交流励磁中の磁化状態の変化、すなわち、励磁巻線6のインピーダンス変化によって生じる。32は励磁電流の大きさを調整するための抵抗である。
図5に示した磁気発振型磁気センサの回路構成上の最重要ポイントは、マルチバイブレータ回路のコンデンサの端子間電圧の変化を、磁気感応部のインピーダンスの変化による端子間電圧変化に置き換えた点である。言い換えれば、磁気感応部MXの端子7,8間における瞬時電圧が正方向にあるいは負方向に磁気飽和するタイミングの電圧に到達した瞬間を精確に検出するようにしたことである。
そして、この磁気飽和タイミングの瞬時電圧を検出したと同時に、極性を反転させた電圧を磁気感応部に印加するようにしたのである。反転出力電圧を出力するオペアンプ31の出力端子に分圧抵抗として33,34を接続し、抵抗34の端子間電圧を基準電圧としてオペアンプ31の反転端子に入力すれば、オペアンプ31の出力電圧の極性は、磁気飽和のタイミング電圧を境として瞬時に切り替わることになり、直前までの極性とは異なる反転電流、すなわち反対方向に流れる励磁電流を抵抗32を介して磁気感応部MXの端子7,8へ流すことが出来る。
以下に、磁気発振型磁気センサの磁気検出原理を説明する。
オペアンプ31の増幅率を非常に大きく選定するので、その入力端子間に生じる非常に微弱な電圧差も正あるいは負の飽和電圧まで増幅する。オペアンプ31は、磁気感応部MXの端子電圧が変化して磁気飽和電圧に到達するごとに、逆極性の飽和電圧を出力すると同時に、抵抗33,34に流れる電流の方向が逆転するので、抵抗34の端子間電圧の極性も反転する。
正の飽和電圧に成るか、あるいは負の飽和電圧に成るかのタイミングは、抵抗33と抵抗34によって規定される基準電圧によって決まる。抵抗34の抵抗値が低いと磁気飽和が深く進んだタイミングでオペアンプ31の出力電圧の極性反転を繰り返し、抵抗32を通して流れる励磁電流によって磁芯5は正方向あるいは負方向へと磁気飽和を繰り返す。
このように、以上の動作を周期的に繰り返すことになるのである。これは磁性材料の非線形磁化特性を利用して起きた発振回路であるため、磁気発振現象という。この磁気発振現象が持続している時に、外部磁界を磁気感応部の最大磁気感応軸SAに沿って印加すると、励磁電流による磁界に外部磁界が加算されるため、オペアンプ31の出力端子では、外部印加磁界の強さとその印加方向によって正あるいは負の磁気飽和電圧に達するまでの励磁期間に差が生じて正電圧の期間と負電圧の期間に差が生じる方形波の出力電圧が観測されることになる。
35は磁気発振周波数成分や高調波雑音成分を除去して、オペアンプ31の出力電圧から正電圧の期間と負電圧の期間に生じた期間差信号を直流信号に変換し、その直流信号の大きさと極性から外部印加磁界の強さと印加方向(極性)を抽出する働きをするローパスフィルタである。36は抽出された直流成分が、X軸に印加された校正用標準磁界の強さに精確に一致するように、磁電変換レベルを校正するための校正用増幅器であり、このローパスフィルタ35と校正用増幅器36で信号処理部が構成される。
本発明で重要なことは、本発明の磁界測定が、国家標準に対するトレーサビリティが確立されていることである。現状では、核磁気共鳴現象を利用する量子標準が導入されて、標準磁界は0.01%以上の高精度で確立されている。標準磁界が直流磁界であるために、超低周波専用磁気センサでトレーサビリティを確立する必要がある。すなわち、トレーサビリティの確立は、第1の三軸磁気センサ1の校正用増幅器36のアナログ出力電圧に対して確立させる。
そこで、本発明の磁界測定においては、校正された第1の三軸磁気センサ1の校正用増幅器36の出力電圧を基準にして、第2の三軸磁気センサ2の整合用増幅器の出力電圧を調整する。以上、X軸成分に関して詳細に説明したが、残りのY軸成分、Z軸成分に関する場合も同様なので省略する。
図6は三軸磁気発振型磁気センサの共振型回路の構成例である。
MXW,MYW,MZWは、磁芯5と励磁巻線6以外に新たに検出巻線9を付加して構成した各X,Y,Z軸の磁気感応部である。46,48,50は、各センサ駆動および信号処理部で、磁電変換信号出力手段である。47,49,51は各校正用増幅器のアナログ信号の出力端子である
図5との違いは、低ノイズ化、高感度化を図ったもので、磁気感応部MXに検出巻線9を励磁巻線6から分離独立させて新たに追加した点と、検出巻線9の端子10,11の端子間電圧がオペアンプ31の入力端子に接続され、その端子間にコンデンサ43が接続された点である。
抵抗32は前述のような励磁電流調整用の抵抗で、磁気感応部MXWの端子7に接続し、出力回路からの雑音が入力側に直接入り込まないようにオペアンプ31の入力端子とは切り離している。磁気感応部MXWの端子8はアースに接続する。コンデンサ43は検出巻線9と共振回路を構成し、周波数成分の高い雑音をオペアンプ31に入力されないようにするとともに、磁気発振現象の安定化のために使用する。反転動作を引き起こすための基準電圧は、抵抗44と抵抗45の抵抗比で規定する。
端子10,11から見た磁気感応部MXWのインピーダンス変化は、励磁巻線6と検出巻線9は電磁的に結合しているので、前述と同様に端子10,11の端子間電圧の変化は、磁芯5の交流励磁中の磁化状態の変化、すなわち、励磁巻線6のインピーダンス変化によって生じる。
オペアンプ31の増幅率は非常に大きいので、その入力端子10,11間に生じる非常に微弱な電圧差も正あるいは負の飽和電圧まで増幅するため、オペアンプ31の出力端子には、方形波の出力電圧が出現する。なお、磁気発振現象は、前述と同様であるので説明を省略する。
図6中の35はローパスフィルタであり、交流磁気発振周波数成分や高調波成分を除去して磁電変換された超低周波領域の磁電変換信号として抽出して、校正用増幅器36に入力する。校正用増幅器36では、出力電圧校正のために、標準磁界発生装置を使って校正用増幅器36の増幅度を調整して、校正出力電圧として出力する。そして、これらローパスフィルタ35と校正用増幅器36で信号処理部を構成する。なお、Y,Z軸成分は、X軸成分と同様であるので説明を省略する。
次に、フラックスゲート型磁気センサについて説明する。
フラックスゲートには2種類あり、励磁磁界と検出巻線の最大磁気感応軸SAの方向と一致するように構成した平行フラックスゲート型磁気センサと、励磁磁界と最大磁気感応軸SAの方向とが直交するように構成した直交フラックスゲート型磁気センサがある。
図3は開磁路平行フラックスゲートの磁気感応部を示す。
12,13は幅の狭い薄い紙状のリボン形状の高透磁率磁性材料からなる磁芯で、これら2個の磁芯12,13で一軸用磁気感応部を構成し、各磁芯12,13の周囲にはそれぞれ励磁巻線14,15が巻かれている。
端子16と端子17には外部の交流発振器から交流励磁電流が供給され、交流励磁磁界を発生させて磁芯12,13を励磁する。交流励磁磁界によって生じた励磁巻線14の磁芯12内部の磁束の向きと励磁巻線15の磁芯13内部の磁束あるいは交流励磁磁界の向きは、励磁巻線14と励磁巻線15の中間位置Pで図3に示したように接続されているため、最大磁気感応軸SAの軸方向に対して、互いに打ち消し合う逆方向になる。
それゆえ、検出巻線18の内部における磁束変化の総和は、プラスマイナス打ち消されて零になるため、端子19、端子20の間には誘起電圧は発生しない。換言すれば、このような状態では、両磁芯12,13の磁気飽和、磁気不飽和のタイミングが一致するので、検出巻線18の端子19,20の間には誘起電圧は発生しない。
ところが、この状態に外部磁界を磁芯12,13に重畳して印加すると、両磁芯12,13の磁気飽和、磁気不飽和のタイミングに微妙にずれが生じて、検出巻線18の端子19,20間に誘起電圧が生じる。
外部磁界が強くなるに従いそのずれが大きくなり、検出巻線18の端子19,20間には外部磁界に比例した誘起電圧が観測されるようになる。この誘起電圧波形は、倍周波電圧波形で交流励磁周波数fの2倍の周波数成分2fを有し、その大きさと位相が外部から印加される磁界の強さと極性に対応する。
それ故、検出巻線18の端子19,20の間に生じる誘起電圧を位相検波器で検波すれば、超低周波領域の磁界を磁電変換した出力電圧となり、出力電圧の大きさと極性が、外部磁界の強さと方向ということになる。
磁気感応部の特殊な構成例として、励磁磁界が閉磁路を形成するリング状磁芯では、2つの検出巻線をそれぞれ直交させて巻くことにより、一個の磁芯で直交する二軸成分を検出する二軸成分同時測定用の磁気センサとして構成することもできる。
図4に閉磁路平行フラックスゲートの磁気感応部を示す。
端子23,24の励磁巻線22は、磁芯21を一様に励磁するために、その円周方向に沿って一様に分布巻きするが、図ではその一部を図示するにとどめる。
端子26,27の検出巻線25は、その最大磁気感応軸SA(X軸)がX軸方向に一致するように磁芯21の外部から巻き、端子29,30の検出巻線28は、その最大磁気感応軸SA(Y軸)がY軸方向に一致するように巻く。三軸磁気センサの残り一軸成分の磁芯は、これとは別に、新たにリング状の閉磁路磁芯で追加構成するか、あるいは、開磁路磁芯で追加構成することになる。
各軸の磁気感応部は、磁芯と接している検出巻線25の直下の磁芯部分2カ所と、検出巻線28の直下の磁芯部分2カ所がこれに対応する。磁気検出は、検出巻線25,28の内側における磁気感応部位を、磁芯12,13に置き換えて考えれば、前述の説明と同様に説明できるので省略する。
図3、図4に示したフラックスゲート型磁気センサは、磁気感応部とセンサ駆動部から構成し、センサ駆動部は、後述のように発振器52、励磁電流増幅器53、信号増幅器54、位相検波器55からなる。また、信号処理部はローパスフィルタ56と校正用増幅器57から成る。磁電変換信号出力手段は、センサ駆動部および信号処理部で構成される。
図7は、図3のフラックスゲート磁気感応部FX,FY,FZを、それぞれの磁電変換信号出力手段を構成するセンサ駆動部および信号処理部58,60,62に接続したときの回路ブロック図である。
図7中の52は発振器であり、この発振器52の特徴は、励磁周波数fと倍周波2fの信号を個別に同時に生成する機能を有することである。具体的には、水晶振動子を使用して数MHzから数10MHzの高い高周波のクロック信号を分周しながら励磁周波数fと倍周波2fを生成する方法などを採用する。発振器52の励磁周波数f成分の出力は、励磁電流増幅器53にて整形増幅され、磁気感応部FXの端子16,17へ入力されて、磁芯12,13を励磁する。
一方、検出巻線18に誘起した微弱な磁気検出信号成分は、検出巻線18の端子19,20から信号増幅器54に入力されて増幅される。この際、信号成分を大きく増幅させるには、倍周波2f成分に同調させて同調増幅させることが望ましい。信号増幅器54で増幅された信号は位相検波器55にて直流分に変換される。位相検波するために必要な基準信号には、発振器52で生成された倍周波2f成分を使用する。倍周波2f基準信号は発振器52より出力され、位相検波器55に入力されて位相検波が行われる。
56はローパスフィルタであり、ここで不要な倍周波2f成分や高調波成分が除去され、磁電変換された磁界の強さと極性に関する必要な超低周波領域の信号電圧のみが抽出される。57は校正用増幅器、59はその出力端子である。
なお、ここでは磁気感応部FXに関して詳述したが、残りの磁気感応部FY,FZの各軸成分も同様な構成であるので説明を省略する。60,62はセンサ駆動および信号処理部、61,63はその出力端子である。
図7において、1個の発振器と1個の励磁電流増幅器で、3個の磁気感応部FX,FY,FZを同時に励磁することも可能である。この場合、各磁気感応部FX,FY,FZの計3個の励磁巻線は各磁気感応部FX,FY,FZ間で直列接続して励磁電流を流すことになる。
例えば、図7のX軸成分用の発振器52と励磁電流増幅器53を三軸共通の発振器と励磁電流増幅器とすれば、磁気感応部FX,FY,FZ間で3個の励磁巻線が直列接続された最端部の両端は、励磁電流増幅器53に接続される。これは丁度、端子16,17に結線する関係になる。X軸成分用の検出巻線および信号増幅器54、位相検波器55、ローパスフィルタ56、校正用増幅器57は、Y軸およびZ軸との共用は出来ないので各軸個別に必要とする回路部である。
また、図4と図7の関係においては、図4の励磁巻線22が磁気感応部FX,FYの各励磁巻線2個を直列接続した機能構成に対応するので、1個の発振器と1個の励磁電流増幅器で、2個の磁気感応部を同時に励磁する関係に相当することになる。
次に、第2の三軸磁気センサ2について説明する。第2の三軸磁気センサ2は、空芯コイルあるいは有磁芯コイルによって構成する。
サーチコイル自身は、温度特性や磁気検出特性も良い受動素子であるので最適な磁気検出素子である。
図8には、サーチコイルの形状を円形にしてコイル中心を一致させた場合の三軸円形サーチコイル型磁気センサの構成例を示す。この事例では、磁気感応部と検出コイルは同意語である。端子64,65のX軸磁気感応部X2、端子66,67のY軸磁気感応部Y2、端子68,69のZ軸磁気感応部Z2の各磁気感応軸SA(X2,Y2,Z2)は、互いに直交させて構成する。3個の磁気感応軸SA(X2,Y2,Z2)が直交しておれば、各検出コイルX2,Y2,Z2の中心点が一致せずに、一直線上にあるいは任意の位置に分散配置されていても良いことは自明である。
検出コイルX2,Y2,Z2の最大磁気感応軸SA(X2,Y2,Z2)の方向は、検出コイルX2,Y2,Z2の開口部平面に対して垂直な方向である。そこで、各検出コイルX2,Y2,Z2の最大磁気感応軸SA(X2,Y2,Z2)を、第1の三軸磁気センサ1の各磁気感応部の最大磁気感応軸と同じように、複合磁気センサケース3のX軸、Y軸、Z軸の各方向に一致させて配置する。
図9は別の実施例として、角形形状の場合の三軸角形サーチコイル型磁気センサを示したものである。この実施例では、端子70,71のX軸磁気感応部X2、端子72,73のY軸磁気感応部Y2、端子74,75のZ軸磁気感応部Z2の各磁気感応軸SA(X2,Y2,Z2)は、互いに直交させて構成する。
図10では、図8に示した三軸円形サーチコイル型磁気センサを例にとって説明する。 サーチコイル型磁気センサの磁気感応部X2は、外部磁界の中から磁束変化による電磁誘導成分のみを検出し、検出された電圧信号は、端子64,65を介してバンドパスフィルタ76に入力される。高調波を含めて信号処理したいときには、バンドパスフィルタ76をハイパスフィルタとして機能させることも可能である。77はレベル整合用増幅器である。78,80,82は信号処理機能だけの磁電変換信号出力手段であり、その各出力端子79,81,83はレベル整合用増幅器の出力端子である。
ところで、数10Hzから10kHz程度の周波数特性の表現では、通常、実効値で取り扱うことが慣例として多い。しかし、超低周波領域と高周波領域が重なる領域では、波高値表示すべきか、実効値表示すべきか、あるいは、1/√2倍の数値なのか、√2倍された数値なのか、その区別は測定数値からは判断できず、混然としていて混乱がしばしば生じていた。
そこで、本発明では、複合磁気センサの周波数特性の整合処理段階では、超低周波領域と高周波領域が重なる中間周波数領域を含めて全周波数帯域を波高値(振幅値)で統一し、高周波領域の周波数解析結果を表示する段階で、実効値換算して表示するものとする。
図11は複合磁気センサに直流磁界から10kHz程度の試験磁界を印加した時、第1の三軸磁気センサおよび第2の三軸磁気センサの信号処理部出力電圧の応答性を表現した周波数特性図である。
実線で示す周波数特性84は、磁気発振型磁気センサの校正済み信号処理部の出力電圧波高値に基づく周波数応答特性である。直流磁界から1kHz程度までの交流電圧に対しては波高値表示(振幅値表示)することによって、第1の三軸磁気センサの各周波数における応答特性を表現する。
また、二点鎖線で示す周波数特性85は、複合磁気センサに数10Hzから10kHz程度の試験磁界を印加したときの第2の三軸磁気センサの信号処理部の出力電圧波高値に基づく周波数応答特性の一例である。信号処理部の出力電圧レベルは未調整のままであるため、複合磁気センサとしての周波、数特性は不整合状態であり、全周波数帯域に対して整合をとる必要がある。
複合磁気センサを構成する第1の三軸磁気センサと第2の三軸磁気センサの周波数特性の具体的な整合手段には、アナログ信号形態で実時間内で整合させるハード的整合手段と、集録されたデータを解析して一括処理するソフト的整合手段がある。
アナログ信号形態で実時間内に整合させるハード的整合手段は、レベル整合用増幅器77でレベル調整する方法である。すなわち、電子回路的整合手段であるため、瞬時応答型の整合手段である。この手法は整合のための複合磁気センサに特定周波数の交流磁界を印加し、第2の三軸磁気センサのレベル整合用増幅器77の出力端子79の電圧波高値を、第1の三軸磁気センサの校正済みの校正用増幅器の出力電圧波高値に一致させるように、レベル整合用増幅器77の増幅度を調整して整合をとる。
アナログ信号形態で実時間内の整合手段における問題点は、整合作業を実施としている作業環境における環境磁界雑音チェックや標準磁界発生装置の校正・点検に始まり、予め決めておいた特定周波数の標準磁界を均一な磁束密度で平行に発生させる技術と設備、その標準磁界中に複合磁気センサを設置して信号処理回路の出力電圧を見ながら部品定数を調整するという調整技術などは、かなりの専門技術を必要とするものであり、少なからず面倒な専門的作業になる。
以上、X軸成分に関して説明したが、残りのY,Z軸成分に対する整合作業も、X成分の場合と同様に実施すればよいので説明を省略する。
次に、ソフトウエアによる整合方法について説明する。この手法は、ハード的整合手段で生じる上述の種々の問題を解決する有望な手段である。
ソフトウエアによる整合方法は、図11に示した超低周波領域の周波数特性曲線84と高周波領域の周波数特性曲線85が重なる中間周波数領域において、整合のための特定周波数fsを選定し、その特定周波数fsにおける電圧波高値Bを校正された電圧値波高値Aに一致させるための整合係数を計算し、その整合係数を前記高周波領域の周波数特性曲線85の数値データに乗算して整合がとれた整合特性曲線86を算出するものである。
そして、複合磁気センサの周波数特性全体を表現するために使用するデータは、周波数帯域を特定周波数fsを境にして上下の周波数帯に二分割し、直流から特定周波数fsまでの低い周波数領域を第1の三軸磁気センサの周波数特性84で表現し、特定周波数fs以上の高い周波数領域は、整合演算された整合特性曲線86で表現することにより、直流から10kHz程度の全周波数帯に対して、連続性を失うことなく、一体化された統合周波数特性として表現できるようにするのである。
以下に、試作した鉄道車両の磁界測定装置で採用したソフト的整合方法の一例を、図12〜図14を使って説明する。
試作装置の主な仕様は次の通りである。
複合磁気センサ:
第1の三軸磁気センサとして三軸磁気発振型磁気センサを使用
第2の三軸磁気センサとして三軸円形サーチコイル型磁気センサを使用
信号処理部出力:アナログ電圧信号、6チャンネル
最大出力 ±10V
A/D信号入力:測定周波数DC〜10kHz、最大入力 ±1000μT
A/D変換 16bit
データ集録機能:集録全容量 100GB
連続集録時間 最大2時間(6ch同時集録)
集録サンプル数 30k/秒
トレンドグラフ表示(時間軸表示)
データ解析機能:FFT解析
周波数特性の整合
FFTグラフ表示(周波数軸表示)
レポート印刷 :測定条件、解析結果、トレンドグラフ、FFTグラフ等
図12に試作装置のハード構成を示す。
87は第1の三軸磁気センサと第2の三軸磁気センサで構成される複合磁気センサと、磁気センサ駆動部および信号処理部から成る複合磁気センサ用磁界測定器、88はA/D変換器89を内蔵したパソコンである。複合磁気センサのX1,Y1,Z1,X2,Y2,Z2の各磁気感応部によって検出された鉄道車両の磁界成分は、計6個のアナログ電圧信号として前記磁界測定装置87の信号処理部から出力される。
それらのアナログ信号は、パソコン本体90に実装するA/D変換器89によってデジタル信号におのおの変換され、生データファイルに保存される。そして、生データはインストールされたソフトウエアによって加工され、測定条件や解析結果、トレンドグラフ、FFTグラフ等を報告書形式で、プリンタ91で印刷する。
図13にソフトウエアのシステム構成を示す。
A/D変換器89を実装したパソコン88にインストールされている主なソフトウエア92の構成は、データを集録するデータ集録ソフト93と、このデータ集録ソフト93によって集録された生データを保管する生データファイル94と、この生データファイル94のデータを読み込んでデータ解析するデータ解析ソフト95と、このデータ解析ソフト95による解析データを保管するCSVファイル96と、測定結果を整理して報告書98としてまとめて印刷するレポート作成ソフト97とで構成されている。
図14にソフトウエアの構造を示す。
99は前述のソフトウエア92を起動させる起動手段であり、セキュリティチェックも同時に実施する。100はソフトウエア92のシステムメニューであり、このシステムメニュー100では、データ集録作業に進むか、あるいは、すでに集録されているデータ解析作業に入るかを選択する。
例えばデータ集録作業に進む場合には、データ保存先指定手段101において、集録データの保存先・ファイル名を指定し、次の第1データ集録手段102においてサンプリング周波数、入力換算係数、集録時間を設定する。サンプリング周波数は、解析対象の周波数帯域の上限周波数を考慮して、A/D変換器の性能を決定する必要がある。
本事例では、周波数帯域DC〜10kHzの真の全磁力波形データを対象としたFFT解析であったため、A/D変換器は、最大サンプリング周波数が200kHzであるものを選定し、6チャンネル使用時の最大サンプリング周波数を30kHz/chとして、10kHzの信号に関して約3ポイント/Hzのサンプリングを実施した。
103はデータ集録機能を有する第2データ集録手段であり、三軸磁気発振型磁気センサのX,Y,Z各軸成分、および三軸サーチコイル型磁気センサのX,Y,Z各軸成分を、A/D変換器89の各チャンネルにそれぞれ割り当てる。設定が完了すれば集録開始ボタン(図示省略)を押してデータ集録を開始する。
ところで、従来の鉄道車両の磁界測定は走行状態と定置状態に分類し、走行状態では磁界発生機器などが最大電流となる速度域で漏れ磁界を測定するように規定されていた。しかしながら、鉄道車両の直流磁界の様相や交流磁界の様相は、走行モードによって大きく異なるため、従来方法では、不十分な測定や解析しか出来なかった。
そこで、本実施例では、走行状態の磁界をさらに詳細に解析できるように、走行状態をPoweringモード、Coastingモード、Breakingモードの3つに分類し、各モードごとに直流磁界および交流磁界について解析が出来るようにしたものを示している。
鉄道車両の各走行モードの中で、FFT解析の対象となる解析時間帯は、トレンドグラフの時間軸上を開始マーカーと終了マーカーを移動させて指定する。例えば三軸磁気センサの各磁界成分のトレンドグラフの画面上で、Poweringモード、Coastingモード、Breakingモードがそれぞれ開始する時刻にそれぞれの開始マーカーを設定し、その終了時刻にそれぞれの終了マーカーを設定することによって各解析時間帯を指定する。この際、X,Y,Zの軸成分の同時表示、真の全磁力波形表示や、開始マーカーと終了マーカーの設定が、X,Y,Zの三軸同時に連動して設定出来るようにしておくと大変便利である。
また、別のマーカー設定方法としてPoweringモードの開始時刻と終了時刻、Coastingモードの開始時刻と終了時刻、Breakingモードの開始時刻と終了時刻を、各数値で入力することも可能であり、各モードの時間長をそれぞれ数値入力する方法でも可能である。当然のことながら、一軸成分だけを選択してFFT解析すること、第1の三軸磁気センサのデータあるいは第2の三軸磁気センサのデータを磁気センサ別にFFT解析することなども可能である。
集録されたデータをFFT解析するためには、システムメニュー100から図14に示す右側のデータ解析ルートに入る。104は保存データ読込み手段で、ここで、これから解析しようとしているデータが保存されているファイル名を選択あるいは入力する。そしてデータ解析実行手段105において、データ解析に必要なFFTサンプル数、FFT解析の対象となる解析時間帯、解析時間帯を区割する解析単位時間、FFT窓関数などを選択入力して、FFT解析を実行する。106はFFT解析したデータを基にして周波数特性の整合を取る特性整合手段である。
ここで、FFT解析方法をデータサンプリング周波数30kHzの試作装置を実施例として詳細に説明する。
1)生データを移動平均処理するために、移動平均を計算するデータ数を設定する。移動平均は平滑する機能であるため、超低周波磁界を測定する第1の三軸磁気センサのノイズ除去に有効である。移動平均処理を必要としない場合は、生データをそのままFFT解析に使用するので、移動平均処理データ数は1となり、これをデフォルト値(=1)とする。
2)解析単位となる時間間隔を指定する。試作機器では、0.1〜1秒の範囲内で指定し、デフォルト値を0.1秒とした。例えば解析単位時間間隔を0.5秒に設定した場合、FFTサンプル数の上限は15000個になる。FFT解析では、0.5秒間隔をひとつの解析単位として解析することになる。
3)FFTサンプル数を指定する。FFTサンプル数と周波数間隔は連動しているので、FFTサンプル数が決まると分割される周波数間隔が自動的に連動して決まる。
4)トレンドグラフ上で、解析しようとする解析時間帯の開始時刻と解析終了時刻で指定する。鉄道車両の各走行モード毎に解析する解析時間帯は、最長で各々5分間までとした。
5)窓関数を指定する。窓関数には、ハニング、ハミング、ブラックマン、方形の4種類があり、この中から選択する。
6)解析時間帯を解析単位時間で区割する。
7)真の全磁力波形データに対して区割された解析単位時間毎にFFT解析を実行する。
8)FFT解析結果を分割された周波数間隔毎のピーク値を一時保管する。
9)解析単位時間の区割の数に応じて、前記7)、8)の処理を繰り返し、周波数間隔毎に最大のピーク値を一時保管する。
10)解析時間帯の解析単位時間毎の処理が全て終了した後は、一時保管していた分割周波数毎の最大のピーク値データを実効値に換算し、FFT解析グラフとして画面に描画する。必要に応じて、実効値換算前の波高値表示(振幅表示)によるFFT解析グラフ描画も可能とする。
11)次に、前記8)で最終保管されたスペクトル値のピーク値データを基にして周波数特性の整合をとるために、第2の三軸磁気センサの特定周波数fsにおけるスペクトル値を特定周波数fsにおける第1の三軸磁気センサのスペクトル値に一致させるために整合係数を演算し、その整合係数を第2の三軸磁気センサの分割周波数毎に一時保管されたピーク値に乗算して整合性をとる。整合演算された分割周波数の値は実効値に換算して、FFT解析グラフとして画面に描画する。必要に応じて、実効値換算前の波高値表示(振幅表示)によるFFT解析グラフ描画も可能とする。
波高値表示(振幅表示)によるFFT解析グラフの描画に際しては、DC〜fsまでの周波数領域は第1の三軸磁気センサの分割周波数の値で表示し、特定周波数fsより高い周波数領域は第2の三軸磁気センサの分割周波数の値で表示する。このようにして、複合磁気センサの周波数特性は特定周波数で、二つのFFT解析グラフを統合させた統合周波数特性として表示が可能になり、また数値的にも信頼性のある周波数特性として算出されたことになる。
この際、FFTサンプル数と周波数間隔が連動する関係にあるので、分割周波数の中に特定周波数fsに丁度一致する周波数があれば問題はないが、一致しないときには特定周波数fsに最も近い分割周波数で前述のように整合係数を演算して、統合周波数特性を算出する。本発明でいう特定周波数fsには、このような場合も想定しているので、前後に多少の幅を持たせている。
試作装置では、特定周波数fsを120Hzに選定したが、厳密には120Hzの直近の分割周波数が自動的に選択されて、その分割周波数で整合係数を演算し、統合周波数特性を算出している。別の整合方法としては、三軸磁気センサの一軸成分に関して整合係数を演算し、その整合係数を残りの二つの軸成分にも適用して、前述と同じ方法で統合周波数特性を算出することも出来る。
107は報告書作成条件設定手段で、測定条件、諸事項、諸項目等、報告書に記載必要事項を入力する。108は報告書印刷条件設定手段で、報告書の表題、測定条件、報告すべき必要事項等を入力し、報告書様式で印刷できるようプリンタを制御する。109は測定データ印刷条件設定手段で、鉄道車両の磁界トレンドグラフやFFT解析結果等が記載必要事項と併せて印刷できるようにプリンタを制御する。
本発明は、交通・公共施設等(ここでは、民家、オフイス、工場、病院、地下鉄、駅、鉄道沿線における建造物内部・外部を含むものとする)における電磁環境の磁界測定用や、電力施設周辺(送電線、電車線、変電施設、電源室の周辺を含むものとする)の環境磁界測定用にも適用可能である。
複合磁気センサの基本構成を説明する図である。 磁気発振型磁気センサの磁気感応部を説明する図である。 平行フラックスゲート型磁気センサの磁気感応部(開磁路)を説明する図である。 平行フラックスゲート型磁気センサの磁気感応部(閉磁路)を説明する図である。 三軸磁気発振型磁気センサのマルチバイブレータ型回路構成を説明する図である。 三軸磁気発振型磁気センサの共振型回路構成を説明する図である。 三軸平行フラックスゲート型磁気センサの回路構成を説明する図である。 三軸円形サーチコイルを説明する図である。 三軸角形サーチコイルを説明する図である。 三軸サーチコイル型磁気センサの回路構成を説明する図である。 周波数特性を説明する図である。 磁界測定装置のシステム構成を説明する図である。 ソフトウエアのシステム構成を説明する図である。 ソフトウエアの構造を説明する図である。
符号の説明
1 第1の三軸磁気センサ
2 第2の三軸磁気センサ
3 複合磁気センサケース
5,12,13,21 磁芯
6,14,15,22 励磁巻線
9,25,28 検出巻線
31 オペアンプ
35,56 ローパスフィルタ
36,57 校正用増幅器
52 発振器
55 位相検波器
76 バンドパスフィルタ
77 レベル調整用増幅器
84,85 周波数特性曲線
87 複合磁気センサ用磁界測定器
88 A/D変換器内蔵パソコン
91 プリンタ
92 ソフトウエア
93 データ集録ソフト
94 生データファイル
95 データ解析ソフト
96 CSVファイル
97 報告書作成ソフト
98 報告書
99 起動手段
100 システムメニュー
101 データ保存先指定手段
102 第1データ集録手段
103 第2データ集録手段
104 保存データ読込み手段
105 データ解析実行手段
106 特性整合手段
107 報告書作成条件設定手段
108 報告書印刷条件設定手段
109 測定データ印刷設定手段
SA 最大磁気感応軸
MX,MY,MZ,MXW,MYW,MZW 磁気発振型磁気センサの磁気感応部
FX,FY,FZ フラックスゲート型磁気センサの磁気感応部

Claims (7)

  1. 鉄道車両で生じる漏れ磁界を測定する方法であって、
    3個の磁気感応部を互いに直交させた第1の三軸磁気センサにより前記漏れ磁界のうちの超低周波特性の磁界を、また、3個の磁気感応部を互いに直交させた第2の三軸磁気センサにより前記漏れ磁界のうちの高周波特性の磁界をそれぞれ測定し、
    前記第1の三軸磁気センサによって測定した超低周波特性の磁界を磁電変換したX軸、Y軸、Z軸成分の各アナログ電圧信号と、前記第2の三軸磁気センサによって測定した高周波特性の磁界を磁電変換したX軸、Y軸、Z軸成分の各アナログ電圧信号を、それぞれの軸成分毎の信号処理部から出力し、
    この出力された前記それぞれのアナログ電圧信号を高速サンプリング周期でそれぞれデジタル信号に変換した後、
    この変換したデジタル信号から第1の三軸磁気センサと第2の三軸磁気センサに共通する一つの軸成分の瞬時磁界波形データを各々個別に周波数解析し、
    その周波数解析したデータを使用して、任意に指定した特定周波数における第1の三軸磁気センサと第2の三軸磁気センサのスペクトル値を一致させるための整合係数を演算し、
    この演算した前記整合係数を使用して、補正すべき全てのスペクトル値に対して補正演算し、超低周波特性の磁界と高周波特性の磁界の周波数特性を整合させて、広帯域周波数特性の漏れ磁界を測定することを特徴とする鉄道車両の磁界測定方法。
  2. 鉄道車両で生じる漏れ磁界を測定する装置であって、
    3個の磁気感応部を互いに直交させた、前記漏れ磁界のうちの超低周波特性磁界測定用の第1の三軸磁気センサと、3個の磁気感応部を互いに直交させた、前記漏れ磁界のうちの高周波特性磁界測定用の第2の三軸磁気センサを一体化させて構成した複合磁気センサと、
    前記超低周波特性の磁界を磁電変換してX軸、Y軸、Z軸成分の各アナログ電圧信号を得る前記第1の三軸磁気センサのそれぞれの軸成分毎の信号処理部と、
    前記高周波特性の磁界を磁電変換してX軸、Y軸、Z軸成分の各アナログ電圧信号を得る前記第2の三軸磁気センサのそれぞれの軸成分毎の信号処理部と、
    これらそれぞれの軸成分毎の信号処理部から出力されたそれぞれの前記アナログ電圧信号をそれぞれデジタル信号に変換する高速サンプリング周期のA/D変換器と、
    このA/D変換器で変換した前記デジタル信号から第1の三軸磁気センサと第2の三軸磁気センサに共通する一つの軸成分の瞬時磁界波形データを各々個別に周波数解析し、この周波数解析したデータを使用して、任意に指定した特定周波数における第1の三軸磁気センサと第2の三軸磁気センサのスペクトル値を一致させるための整合係数を演算し、演算した前記整合係数を使用して、補正すべき全てのスペクトル値に対して補正演算し、前記第1の三軸磁気センサで測定した超低周波特性の磁界と前記第2の三軸磁気センサで測定した高周波特性の磁界の周波数特性を整合させる演算手段を備えたことを特徴とする鉄道車両の磁界測定装置。
  3. 請求項1記載の鉄道車両の磁界測定方法において、
    前記変換したデジタル信号から第1の三軸磁気センサと第2の三軸磁気センサに共通する一つの軸成分の瞬時磁界波形データを各々個別に周波数解析するのに代えて、
    前記変換したデジタル信号から第1の三軸磁気センサで測定したX軸、Y軸、Z軸成分の各瞬時磁界成分から計算される真の全磁力波形と、第2の三軸磁気センサで測定したX軸、Y軸、Z軸成分の各瞬時磁界成分から計算される真の全磁力波形を、各々個別に周波数解析することを特徴とする鉄道車両の磁界測定方法。
  4. 請求項2記載の鉄道車両の磁界測定装置において、
    前記演算手段を、
    A/D変換したデジタル信号から第1の三軸磁気センサと第2の三軸磁気センサに共通する一つの軸成分の瞬時磁界波形データを各々個別に周波数解析するのに代えて、
    A/D変換したデジタル信号から第1の三軸磁気センサで測定したX軸、Y軸、Z軸成分の各瞬時磁界成分から計算される真の全磁力波形と、第2の三軸磁気センサで測定したX軸、Y軸、Z軸成分の各瞬時磁界成分から計算される真の全磁力波形を、各々個別に周波数解析するようにしたことを特徴とする鉄道車両の磁界測定装置。
  5. 前記第1の三軸磁気センサは、
    磁気発振型又はフラックスゲート型の磁気センサ、あるいは磁気抵抗素子の何れかの、 3個の磁気感応部を互いに直交させて構成したことを特徴とする請求項2又は4に記載の鉄道車両の磁界測定装置。
  6. 前記第2の三軸磁気センサは、
    空芯の三軸サーチコイル型磁気センサ又は磁性体を磁芯とする三軸サーチコイル型磁気センサで構成したことを特徴とする請求項2,4,5の何れかに記載の鉄道車両の磁界測定装置。
  7. 前記演算手段は、
    前記高速サンプリング周期のA/D変換器で変換したデジタル信号を、実時間内にデジタル数値として集録し、保管するデータ集録手段と、
    このデータ集録手段で集録、保管されたデータに対して、鉄道車両の各走行モードに対応する時間帯から解析対象となる解析時間帯を指定する解析時間帯指定手段と、
    この解析時間帯指定手段で指定された解析時間帯毎に周波数解析を実行するデータ解析実行手段と、
    第1の三軸磁気センサと第2の三軸磁気センサの周波数特性を整合させる特性整合手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項2,4〜6の何れかに記載の鉄道車両の磁界測定装置。
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