JP3344005B2 - 無菌フラワーペーストの製造法 - Google Patents

無菌フラワーペーストの製造法

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、食感良好で長期保存可
能なフラワーペーストの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】カスタードクリーム等に代表されるフラ
ワーペーストは、一般的には小麦粉、ミルク、砂糖、卵
黄、水などを原料とし、これらの混合物を煮上げること
で得られる。これは、主として小麦粉中のでんぷん粒、
でんぷん破片などが加熱によりα化され糊状になること
でクリームとしての可塑性(ボディー)を得るものだ
が、でんぷんの糊状のテクスチャーを特徴とする食品で
あるために、製造工程においても一般に高い粘性を示
す。
【0003】このような高粘性品の殺菌には通常、掻取
り式熱交換器による加熱殺菌が採用されるが、掻取り式
熱交換器による殺菌でも、フラワーペーストの高い粘性
のために、殺菌装置伝熱面に焦げ付きを生じるため、U
HT殺菌条件(135℃以上,1秒以上の殺菌)を確保
することが困難である。現実には焦げ付きを生じない程
度まで殺菌温度を下げざるを得ず、無菌といえる程に殺
菌が十分には行われないことが多い。
【0004】以上のように、無菌のフラワーペーストの
製造は困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、食感良
好で長期保存可能な無菌フラワーペーストを製造するこ
とを目的とした。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記目的を
達成すべく鋭意研究をおこなった結果、殺菌工程以前に
澱粉の糊化を行う従来の発想を転換し、UHT殺菌より
後で糊化を行うことにより高粘性品の殺菌に伴う殺菌装
置内部の焦げ付き等の問題を解決し、食感良好な無菌フ
ラワーペーストが製造できるという知見を得て本発明を
完成するに至った。
【0007】即ち、本発明は澱粉類を含む水分散相を
接加熱方式の装置で実施される超高温短時間殺菌(UH
T殺菌)した後、70〜100℃で30秒以上保持し糊
化処理することを骨子とする無菌フラワーペーストの製
造法である。
【0008】このフラワーペーストを製造するには、ま
ず澱粉類を含んだ水分散相を調整する。澱粉類はこの水
分散相全量に対して0.1〜40重量%、好ましくは1
〜10重量%使用する。澱粉含量が0.1%以下では充
分な可塑性をもつ組成物が得られず、40%以上では充
分な糊化がおこなわれず風味、食感的に好ましくない。
【0009】本発明で使用できる澱粉類としてはトウモ
ロコシ、ジャガイモ、米、さつまいも、化工澱粉等の公
知の澱粉類が含まれ、これらを単独または2種以上併用
することもできる。水分散相を調製するときの水性成分
としては単に水であってもよいが、脱脂粉乳や全脂粉乳
を水に溶解ないし分散させた水性成分または天然の生ク
リーム類、牛乳、濃縮乳または従来種々開発されてきた
動植物性油脂等を使用した合成クリーム類等の乳成分を
含む水性成分か、または糖類を含む水性成分を利用する
のが好ましい。
【0010】カスタードクリームの場合は、卵黄を添加
するが、凍結変性卵黄や加糖加熱変性卵黄、酵素処理卵
黄など、予め変性させた卵黄を使用しても良い。
【0011】本発明に使用できる糖類としてはブドウ
糖、果糖などの単糖類;ショ糖、乳糖、麦芽糖等の二糖
類;ソルビトール、マルチトール等の糖アルコール;オ
リゴ糖;澱粉加水分解物;異性化糖(ブドウ糖・果糖液
糖、ハイフラクトースコーンシロップ)等公知の糖類が
含まれ、これらを単独または2種以上併用することもで
きる。
【0012】必要により油脂、乳化剤、安定剤を混合し
て用いることができる。
【0013】本発明に用いる油脂は特に限定するもので
はないが、液体油はそのまま、固体脂は加熱融解してお
き、これに必要であれば乳化剤などを添加混合して油相
を調製することができる。例えば油脂は、その油脂原料
として例えば、菜種油、大豆油、ひまわり種子油、綿実
油、落花生油、米ぬか油、コーン油、サフラワー油、オ
リーブ油、カポック油、ゴマ油、月見草油、パーム油、
シア脂、サル脂、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油等の植
物性油脂並びに乳脂、牛脂、ラード、魚油、鯨油、など
の動物性油脂が例示でき、上記油脂類の単独または混合
油あるいはそれらの硬化、分別、エステル交換等を施し
た加工油脂を使用することができる。なお市販のバタ
ー、マーガリンまたはショートニングあるいはハードバ
ターなどを使用することもできる。
【0014】必要により安定剤を用いることができる。
安定剤としてガム類、例えばキサンタンガム、ローカス
トビーンガム、グァーガム、アラビアガム、ファーセラ
ン、CMC、微結晶セルロース等のガム類、ペクチン、
寒天、カラギーナン、ゼラチンなども必要に応じて使用
する。
【0015】本発明においては必要に応じて乳化剤を含
有する。乳化剤としては、従来より公知のものが例示で
き、例えばレシチン、グリセリン脂肪酸エステル、プロ
ピレングリコール脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステ
ル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮
合リシノール酸エステル等が列挙できる。
【0016】本発明においては、以上の原材料の他に、
リン酸塩、呈味剤、香料等を適宜添加使用してもよい。
【0017】本発明の一般的な製法としては、油脂を添
加する場合は、水中油滴型の乳化物を製造する公知方法
に準じて実施すればよく、例えば、澱粉成分を含み適度
に加温した水性成分に加温融解した油組成分を混合また
は乳化剤の存在下で公知の乳化及び混合手段を用いて乳
化物として水分散相を調製する。油脂を特に用いない場
合は公知の混合手段により水分散相を調製する。この水
分散相の調製においては高温で長時間おこなうと澱粉の
糊化が促進し高粘度となり好ましくない。なお、乳化剤
は予め水性成分及び/又は油脂成分に添加しておいても
よい。乳化及び混合の手段は特に限定するものではない
が、両性分を合わせた後は速やかに全体が均一になるよ
うに混合攪拌するのが好ましい。
【0018】この水分散相を公知の均質化装置で好まし
くは1kg/cm2以上、より好ましくは200〜80
0kg/cm2で均質化処理する。この均質化処理によ
り、後のUHT殺菌後のでんぷんの糊化処理が容易にな
る。これは、水分散相中のでんぷん粒が均質化装置によ
り剪断力を受けて部分的に損傷し、糊化のための膨潤が
容易になるためだと考えられる。
【0019】次に公知のUHT殺菌装置を用いて殺菌を
行うが、水分散相がUHT殺菌温度(135℃以上)に
至るまでの溶液が受ける熱履歴は小さくなければならな
い。この熱履歴の大きさはUHT殺菌時間も含め、澱粉
の糊化温度以上(澱粉の種類によって大きく異なり40
℃以上〜90℃以上)の熱履歴が30秒以下であること
が好ましい。熱履歴が大きいと、溶液の糊化が進行しす
ぎて粘度上昇し装置内伝熱面にコゲ付き等を生じてしま
う。
【0020】UHT殺菌装置は大きく直接加熱方式と間
接加熱方式とに分けることができるが、一般に間接加熱
方式ではUHT殺菌温度に至るまでの昇温速度が小さ
く、通常1〜5分程度の時間を要するので昇温速度が大
きい直接加熱方式を用いるほうが有利である。
【0021】間接加熱方式を採用するときは、装置内滞
留時間が短くなるように溶液の流量及び熱源の大きさを
調整することが必要となる。
【0022】なお、直接加熱方式のUHT殺菌装置とし
ては、ユーベリゼーション滅菌装置(テトラパック・ア
ルファラバル社製)、VTIS滅菌装置(テトラパック
・アルファラバル社製)、ラギアーUHT殺菌装置(ラ
ギアー社製)、パラリゼーター(パッシュアンド・シル
ケボーグ社製)、C.P.Vac−Heat・UHT殺
菌装置(クリマティー・パッケージ社製)等が、間接加
熱方式は、APVプレート式UHT処理装置(APV社
製)、CP−UHT殺菌装置(クリマティ・パッケージ
社製)、ストルク・チューブラー型滅菌装置(ストルク
社製)、コンサーム掻取式UHT滅菌装置(テトラパッ
ク・アルファラバル社製)等が例示できる。
【0023】UHT殺菌の後、でんぷんの糊化処理のた
めに糊化温度以上で30秒以上保持する。好ましくは7
0℃以上100℃未満の温度域で5分程度ホールディン
グする。保持温度が糊化温度以下あるいは、保持時間が
30秒以下だと充分にペースト状にならない。処理温度
が高い程保持時間は短時間で糊化が完了するが、処理温
度が高過ぎるとホールディング装置内に焦げ付きなどを
生じるので好ましくない。
【0024】このため、通常約140℃であるUHT殺
菌後の水分散相は、減圧法、熱交換装置による方法など
の公知の冷却方法により適度な温度(70℃〜100
℃)へ冷却し、ホールディングすることが好ましい。ホ
ールディング方法は特に限定するものではないが、連続
処理を考慮した場合は装置ラインとなる。
【0025】糊化処理後、容器に無菌充填/冷却し製品
とする。かくして得られるフラワーペーストは、食感良
好で長期保存可能である。
【0026】なお、この発明においては種々の風味材な
いし香料を添加して、オレンジ、レモン、バナナ、イチ
ゴ、グレープ等各種の果実タイプ或いはコーヒータイ
プ、カスタードタイプ、バニラタイプ等のバラエティー
に富んだフラワーペースト類を得ることができる。
【0027】
【実施例】以下に実施例及び比較例を例示するが、部及
び%はいずれも重量基準を意味する。
【0028】〔実施例1〕化工澱粉5部と砂糖14部、
脱脂粉乳6部、水50部で水相をつくり60℃に加熱し
油脂10部と卵黄15部を加え、品温60℃にて予備乳
化した。次にホモゲナイザー(2段式)にて一次圧40
0kg/cm2で均質化しVTIS殺菌装置(アルファ
ラバル社製)で144℃4秒の殺菌工程後、真空度を調
整して90℃で5分間保持し澱粉の糊化を促進させカス
タードクリームを得た。このものは組織、食感良好であ
った。また、焦げの混入や微生物学的汚染も認められな
かった。
【0029】
【比較例1】前述の実施例1の方法に従い、条件を変え
て製品の食感の比較をおこなった。表1に示すように、
本発明の保持温度と時間によって食感良好のフラワーペ
ーストが得られることがわかる。又、均質化により澱粉
の糊化が容易になることも示唆される。
【表1】 〔表1〕 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 澱粉量(部) 5 5 5 5 5 5 5 10 10 均質化圧力(kg/cm2) 0 0 0 500 500 500 500 0 0 保持温度(℃) 30 80 80 80 30 30 80 30 80 保持時間(s) 300 5 300 300 300 5 5 5 300 レオメーター値(g/7.1cm2) 0 0 70 100 30 5 30 0 100 食感 × × ○ ◎ △ × △ × ◎ −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 食感はパネラー20人よる官能評価結果であり、◎は食
感良好、○は実用に耐えうる食感、△はやや食感悪く、
×は悪いとした。
【0030】
【比較例2】実施例1と同配合のものを同一の条件で予
備乳化して均質化したものをプレート式UHT殺菌装置
で140℃4秒の殺菌を行った。伝熱面に発生した焦げ
がフラワーペーストに混入して満足な品質の製品を得る
ことができなかった。尚、昇温プレート中の溶液の滞留
時間は3分であった。プレート内の昇温速度が一定であ
ると仮定するとUHT殺菌以前に糊化温度(この澱粉で
は70℃)以上の熱履歴を受けた時間は約160秒と見
積もられる。
【0031】
【効果】以上のごとく、この発明により食感良好で長期
保存可能な無菌のフラワーペーストを得ることが可能と
なった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23G 3/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】澱粉類を含む水分散相を直接加熱方式の装
    置で実施される超高温短時間殺菌(UHT殺菌)した
    後、70〜100℃で30秒以上保持し糊化処理する
    とを特徴とする無菌フラワーペーストの製造法。
  2. 【請求項2】UHT殺菌以前の糊化温度以上の熱履歴が
    30秒以下である請求項1記載のフラワーペーストの製
    造法。
  3. 【請求項3】 UHT殺菌前に澱粉類を含む水分散相を均
    質化処理する請求項1又は請求項2記載のフラワーペー
    ストの製造法。
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