JP3343996B2 - 空調装置 - Google Patents

空調装置

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JP3343996B2
JP3343996B2 JP13562693A JP13562693A JP3343996B2 JP 3343996 B2 JP3343996 B2 JP 3343996B2 JP 13562693 A JP13562693 A JP 13562693A JP 13562693 A JP13562693 A JP 13562693A JP 3343996 B2 JP3343996 B2 JP 3343996B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、冷凍サイクルのコンプ
レッサを可変速モータにより可変速駆動して空調運転を
制御するようにした空調装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近、例えば電気自動車に搭載する空調
装置は、消費電力節減と空調性能向上を目指して、冷凍
サイクルのコンプレッサを例えばインバータによる可変
速モータにより可変速駆動することが考えられている。
このものでは、車室内の空調状態に応じて、コンプレッ
サの回転速度を、各種センサの出力データに基づいて演
算された制御目標値に追従させるように可変速モータの
インバータ周波数を制御するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、冷凍サイク
ルの運転モードが例えば暖房モードから除湿暖房モード
に切り替えられると、制御目標値を演算するためのデー
タ読込みの対象となるセンサ(以下「対象センサ」とい
う)も、暖房熱源の温度を検出するセンサから、除湿源
であるエバポレータの後側温度を検出するセンサに切り
替えられるものがある。この場合、暖房モードでは、エ
バポレータに冷媒が供給されないため、図15に示すよ
うに、エバポレータ後側温度は常温(例えば25℃前
後)になっている。このため、暖房モードから除湿暖房
モードに切り替えた直後は、エバポレータ後側温度が除
湿暖房モードでの定常状態(例えば8℃)から見て高す
ぎるので、インバータ周波数が急激に上昇して、消費電
力が急増するという問題がある。このような問題は、上
述した運転モードの切替時に限らず、負荷の急変時(例
えば内外気の吸気モードが切り替わったとき)や、設定
温度が切り替えられたとき等、空調状態が急変状態にな
ったときに、発生する。
【0004】本発明はこのような事情を考慮してなされ
たもので、その目的は、空調状態が急変状態になったと
きのコンプレッサ(可変速モータ)の制御方法を改善す
ることによって、消費電力を節減できる空調装置を提供
することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項1記載の空調装置は、冷凍サイクル
のコンプレッサを、複数センサの中のデータ読み込み対
象となる対象センサからの出力データに基づいて演算装
置にて可変速駆動する可変速モータと、制御目標を手動
で設定するための設定器とを備え、前記冷凍サイクルに
よる空調運転状態に応じて前記コンプレッサの回転速度
を制御目標値に追従させるように前記可変速モータの回
転速度を制御するようにし、かつ、内気又は外気からの
空気を切り替えて吸い込み、この吸い込んだ空気を空調
するものからなり、複数の運転モードを持つ空調装置に
おいて、空調状態が定常状態から前記可変速モータの回
転数の急上昇を一時的に招く急変状態になったことを判
断する判断手段と、前記空調状態が前記急変状態になっ
たときには前記コンプレッサの回転速度の変化を、少な
くとも前記空調状態が前記定常状態近くになるまで、タ
イマ手段により一時的に禁止若しくは所定値以下に制限
するように前記可変速モータの回転速度を規制する急変
時制御手段とを前記演算装置に備え、かつ、 前記判断手
段は、前記内気と前記外気との間における吸気モードの
切り替え時に前記急変状態になったと判断するもの、お
よび、 前記運転モードの切り替え時に、前記急変状態に
なったと判断するもの、および、 前記設定器によって前
記制御目標が変更された時に、前記急変状態になったと
判断するもの、および、 前記運転モードが切り替えられ
ると共に、前記センサのうち、読み込み対象として選択
されるものが切り替わった場合に、前記急変状態になっ
たと判断するもののうち何れか1つのものである。 請求
項2記載の空調装置は、前記運転モードは、少なくとも
暖房モードと除湿モードからなり、 前記判断手段は、前
記暖房モードから前記除湿モードへの切り替え時に、前
記急変状態になったと判断することを特徴とする。 請求
項3記載の空調装置では、前記冷凍サイクルは、エバポ
レータを備えて構成され、前記演算装置は、前記暖房モ
ードにおいては暖房熱源の温度を検出するセンサの出力
データに基づいて前記可変速モータの可変速駆動を行
い、前記除湿モードにおいては、前記エバポレータの後
側温度を検出するセンサの出力データに基づいて前記可
変速モータの可変速駆動を行うことを特徴とする。 請求
項4記載の空調装置では、前記演算装置は、 少なくと
も、内気温度と、外気温度と、前記冷凍サイクルを構成
するエバポレータの後側温度と、前記冷凍サイクルを構
成するコンデンサの後側温度とを夫々検出する前記複数
センサより選択的に読み込んだ前記出力データと、前記
制御目標を手動により設定するための前記設定器の出力
データとを読み込むことで、設定温度並びに空調対象室
内を前記設定温度に維持するために必要な熱量を算出す
る手段と、 前記熱量に基づいて風量及び吹出し温度を求
める手段と、 前記内気と前記外気とが吸入される割合を
切り替えるための内外気ダンパの切り替え量を決定する
手段と、 複数の吹出し口の何れから空調された空気を吹
き出させるかによってモードが異なる吹き出しモードを
決定する手段と、 前記冷凍サイクルの運転モードを冷
房、暖房、除湿のいずれにするかを判定する手段と、
記風量と、前記吹き出し温度と、前期運転モードとに基
づいて、前記可変速モータの回転数を決定する手段とを
備えて構成されることを特徴とする。 請求項5記載の空
調装置では、前記判断手段は、 前記暖房モードから前記
除湿モードへの切り替わりに伴い、前記読み込み対象と
して選択されるセンサが前記コンデンサの後側温度を検
出するものから前記エバポレータの後側温度を検出する
ものに切り替わった場合と、前記冷房モードから前記暖
房モードへの切り替わりに伴い、前記読み込み対象とし
て選択されるセンサが前記エバポレータの後側温度を検
出するものから前記コンデンサの後側温度を検出するも
のに切り替わった場合またはその逆の切り替えの場合と
の何れかの場合に、前記急変状態になったと判断するこ
とを特徴とする。請求項6記載の空調装置では、前記制
御手段は、前記内外気ダンパが切り替えられることで、
前記吸気モードが、内気モードと外気モードとの間で切
り替わった場合に、前記急変状態になったと判断するこ
とを特徴とする。
【0006】
【作用】空調制御状態が、例えば冷凍サイクルの運転モ
ードの切替え時等のように急変状態になったときには、
それを判断手段が判断すると、急変時制御手段が働き、
コンプレッサの回転速度の急上昇タイマ手段により
時的に禁止若しくは所定値以下に制限するように可変速
モータの回転速度を規制する。このような一時的な急変
時制御が行われている間に、空調制御状態が徐々に定常
状態に近付いていくので、その後、急変時制御から定
態の空調制御に復帰したときには、回転速度の急上昇
抑えられる。
【0007】
【実施例】
[第1実施例]本発明を電気自動車の空調装置に適用し
た第1実施例について、図1乃至図12を参照して説明
する。まず、図3に基づいて空調装置全体の概略構成を
説明する。送風ケース21の上流側には、車室外の空気
(外気)を吸入する外気吸入口22と、車室内の空気
(内気)を吸入する2つの内気吸入口23,24が設け
られている。一方の内気吸入口23と外気吸入口22と
の中間部位には、内外気ダンパ25が設けられ、この内
外気ダンパ25の開度をサーボモータ26によって調整
することにより、外気吸入口22と内気吸入口23,2
4から吸入する空気の混合割合を可変して吸気温度を調
整するようになっている。この内外気ダンパ25の下流
側と内気吸入口24の下流側には、それぞれブロワ2
7,28が設けられ、これら両ブロワ27,28がブロ
ワモータ29の回転軸に取り付けられている。このブロ
ワモータ29は、駆動回路30により駆動される。
【0008】一方、ブロワ27,28の下流側にはエバ
ポレータ31が配置され、このエバポレータ31の下流
側は仕切板32によって上下2つの通風路33,34に
仕切られている。そして、下側の通風路34にはコンデ
ンサ35が配置され、このコンデンサ35の上部が上側
の通風路33内に突出されている。このコンデンサ35
の上方には強冷ダンパ36が配置され、この強冷ダンパ
36をサーボモータ37によって駆動することにより、
コンデンサ35をバイパスする風量を可変するようにな
っている。また、コンデンサ35の下流側の仕切板32
に設けられた連通口32aには、連通ダンパ38が配置
され、この連通ダンパ38をサーボモータ39によって
駆動することにより、仕切板32の連通口32aを通過
する風量を可変して、単一モード(例えば「VENT」
モード、「FOOT」モード等)時の通風抵抗を低下さ
せるようになっている。
【0009】上側の通風路33の下流側には、デフ吹出
口40とベント吹出通路41が設けられ、このベント吹
出通路41の下流側にはワイド吹出口42とスポット吹
出口43とが設けられている。この場合、ワイド吹出口
42は、図4に示すように、運転席のメータパネル44
の上方部と、助手席側のインストルメントパネル45と
の2箇所に横長な形状に形成され、これら両ワイド吹出
口42から小風量(例えば200m/h,風速3m/
sec)の風を緩やかに吹き出すようになっている。一
方、スポット吹出口43は、インストルメントパネル4
5の中央部と左右両端部に合計4箇所設けられ、これら
のスポット吹出口43から大風量(例えば400m
h,風速10m/sec)の風を吹き出すようになって
いる。尚、小風量(ワイド吹出口42)と大風量(スポ
ット吹出口43)の切り替えは、ベント吹出通路41の
出口側に設けられたスポット/ワイド切替ダンパ46
(図3参照)をサーボモータ47によって駆動すること
により行われる。また、ベント吹出通路41の入口側と
デフ吹出口40にも、それぞれダンパ48,49が設け
られ、これら各ダンパ48,49がサーボモータ50,
51によって駆動されるようになっている。一方、下側
の通風路34の下流側には、風を乗員の足元に向けて吹
き出す足元吹出口52が設けられ、この足元吹出口52
にも、サーボモータ53によって駆動されるダンパ54
が設けられている。各ダンパ36,38,46,25
は、吹出モードに応じて下記の表1のように作動され
る。
【0010】
【表1】
【0011】この表1において、「FACE/スポッ
ト」モードでは、スポット吹出口43から風を吹き出
し、「FACE/ワイド」モードでは、ワイド吹出口4
2から風を吹き出し、「B/L」モードでは、ワイド吹
出口42と足元吹出口52の双方から風を吹き出し、
「FOOT」モードでは、足元吹出口52とデフ吹出口
40とから80:20の割合で風を吹き出し、「FOO
T/DEF」モードでは、足元吹出口52とデフ吹出口
40とから50:50の割合で風を吹き出し、「DE
F」モードでは、デフ吹出口40から風を吹き出すよう
に、各ダンパ46,48,49,54が切り替えられ
る。尚、内外気ダンパ25の開度は後述するようにして
リニア(直線的)に制御される。
【0012】一方、前述したエバポレータ31とコンデ
ンサ35は、ヒートポンプ兼用の冷凍サイクル55の構
成要素となっている。この冷凍サイクル55は、コンプ
レッサ56,四方切替弁57,室外熱交換器58,逆止
弁59,60,キャピラリー61,電磁弁62,63,
64,減圧弁65,アキュムレータ90,エバポレータ
31及びコンデンサ35を配管で接続して構成されてい
る。各電磁弁62,63,64と四方切替弁57は、冷
凍サイクル55の運転モードに応じて下記の表2のよう
に切り替えられる。
【0013】
【表2】
【0014】この表2から明らかなように、冷房モード
では、四方切替弁57が図3に点線で示す位置(オン位
置)に切り替えられて、コンプレッサ56の吐出口56
aから吐出された冷媒が、逆止弁59→室外熱交換器5
8→キャピラリー61→エバポレータ31→アキュムレ
ータ90→コンプレッサ56の吸入口56bの経路で循
環する。これにより、コンプレッサ56の吐出口56a
から吐出された高温ガス冷媒が室外熱交換器58で放熱
して液化し、この液冷媒がエバポレータ31で蒸発する
ことにより、エバポレータ31を通過する風が冷却され
る。一方、暖房モードでは、四方切替弁57が図3に実
線で示す位置(オフ位置)に切り替えられて、コンプレ
ッサ56の吐出口56aから吐出された冷媒が、コンデ
ンサ35→減圧弁65→逆止弁60→室外熱交換器58
→電磁弁62→アキュムレータ90→コンプレッサ56
の吸入口56bの経路で循環する。これにより、コンプ
レッサ56の吐出口56aから吐出された高温ガス冷媒
がコンデンサ35で放熱して液化し、この放熱によりコ
ンデンサ35を通過する風が暖められる。また、除霜モ
ードでは、四方切替弁57が図3に実線で示す位置で、
電磁弁63が開放され、コンプレッサ56の吐出口56
aから吐出された高温ガス冷媒がコンデンサ35と電磁
弁63を経由して室外熱交換器58にも供給され、室外
熱交換器58の表面に付着している霜を取り除く。
【0015】更に、除湿Hモードでは、四方切替弁57
が図3に実線で示す位置で、電磁弁63が閉で電磁弁6
4が開放され、室外熱交換器58に供給された液冷媒の
一部がエバポレータ31にも供給され、このエバポレー
タ31の弱めの冷却作用により除湿される。また、除湿
Cモードでは、四方切替弁57が図3に実線で示す位置
で、電磁弁63が開放されて、室外熱交換器58もコン
デンサ35と共に凝縮器として機能するようになり、コ
ンデンサ35と室外熱交換器58の双方で液化された冷
媒がエバポレータ31に供給され、このエバポレータ3
1の強めの冷却作用により除湿される。
【0016】尚、室外熱交換器58には、強制冷却用の
室外ファン89が設けられ、この室外ファン89のファ
ンモータ89aは、図6に示すように、冷凍サイクル5
5の運転モードと後述する各種センサの出力データによ
り高速回転“Hi”,低速回転“Lo”,停止“OF
F”に切り替えられるようになっている。例えば、冷房
モードでは、外気温度センサ78により検出された外気
温度Tamが25℃以上で“Hi”となり、22℃以下で
“Lo”となる。一方、暖房モードでは、外気温度Tam
が13℃以下で“Hi”となり、16℃以上で“Lo”
となる。除湿Hモードでは、後述する吹出温度TAOとコ
ンデンサ35通過直後の風温度(以下「コンデンサ後側
温度」という)Tc との温度差[TAO−Tc ]が0℃以
下で停止“OFF”となり、2℃以上で“Hi”とな
り、1℃→2℃と1℃→0℃の範囲で“Lo”となる。
また、除湿Cモードでは、冷媒吐出圧力センサ88によ
り検出されたコンプレッサ56の冷媒吐出圧力Pr ,コ
ンデンサ後側温度Tc ,TAO−Tc により、Hi>Lo
>OFFの優先順位で決定される。例えば、冷媒吐出圧
力Pr が19kgf/cm2 G以上であれば、Tc ,T
AO−Tc がどんな値であろうとも、常に“Hi”とな
り、同様に、TAO−Tc が−2℃以下であれば、仮に、
冷媒吐出圧力Pr が19kg/cm2 Gよりも低くて
も、常に“Hi”となる。
【0017】一方、冷凍サイクル55のコンプレッサ5
6を駆動するモータ66は、インバータ67によって回
転速度がコントロールされる可変速モータである。この
インバータ67,サーボモータ26,37,39,4
7,50,51,53,室外ファン89のファンモータ
89a及びブロワモータ29の駆動回路30は、電子制
御ユニット(以下「ECU」という)68によって制御
される。このECU(演算装置)68は、マイクロコン
ピュータを主体として構成され、CPU69,各種デー
タ等を一時的に記憶するRAM70,図1及び図2の制
御プログラム等が記憶されているROM71,入力デー
タをディジタル値に変換するA/D変換器72,I/O
部73,数MHzの基準信号を発生する水晶振動子74
等を備え、バッテリ75からイグニッションスイッチ7
6を介して電源が供給される。
【0018】このECU68は、内気温度Tr を検出す
る内気温度センサ77,外気温度Tamを検出する外気温
度センサ78,車室内に入り込む日射量Ts を検出する
日射センサ79,エバポレータ31通過直後の冷風温度
(以下「エバポレータ後側温度」という)Te を検出す
るエバポレータ後側温度センサ80,コンデンサ後側温
度Tc を検出するコンデンサ後側温度センサ81,コン
プレッサ56の冷媒吐出圧力Pr を検出する冷媒吐出圧
力センサ88,制御目標となる設定温感Ssetを乗員が
手動設定するための温感設定器82等からの出力信号を
A/D変換器72を介して読み込む。
【0019】上述した温感設定器82は、涼しめキー8
2aと暖かめキー82bとを備え、図4に示すように、
インストルメントパネル45の中央部に配置されたエア
コンコントロールパネル83に設けられている。このエ
アコンコントロールパネル83には、図5に示すよう
に、温感設定器82の上方に複数の発光素子84nを横
一列に配列した温感表示部84が設けられている。この
温感表示部84は涼しめキー82aと暖かめキー82b
により入力された設定温感Sset を表示するものであ
る。この設定温感Sset は、平均的な温度25℃を基準
にしてどの程度涼しくするか又は暖かくするかを示す指
標であり[図7(a)参照]、各キー82a,82bを
操作する前の状態では、温感表示部84の中央の発光素
子84nを点灯させ、涼しめキー82aを1回押すごと
に、設定温感Sset を1ランクずつ低下させて点灯位置
を1つずつ左側にずらし、暖かめキー82bを1回押す
ごとに、設定温感Sset を1ランクずつ上昇させて点灯
位置を1つずつ右側にずらすようになっている。この
他、エアコンコントロールパネル83には、システムオ
ンオフスイッチ85,リアデフォッガスイッチ86及び
フロントデフロスタスイッチ87が設けられている。
【0020】一方、ECU68は、図1のメイン制御プ
ログラムを実行することにより、空調運転全般を制御す
る。更に、このECU68は、図2のインバータ周波数
制御ルーチンを実行することにより、空調状態が定常状
態であるか急変状態であるかを判断する判断手段として
機能すると共に、空調状態が急変状態のときにはコンプ
レッサ56の回転速度の変化を一時的に禁止するように
可変速モータ66の回転速度を規制する急変時制御手段
としても機能する。この第1実施例では、空調状態が急
変状態であるか否かの判断基準として、運転モードの切
替及び対象センサの切替の有無を採用している。
【0021】以下、このECU68による制御内容を図
1及び図2のフローチャートに従って説明する。まず、
ステップ100で、以降の演算処理に使用するカウンタ
やフラグを初期設定する初期化処理を実行した後、ステ
ップ110に移行して、温感設定器82の操作により入
力された設定温感Sset を読み込むと共に、内気温度セ
ンサ77,外気温度センサ78,日射センサ79,エバ
ポレータ後側温度センサ80及びコンデンサ後側温度セ
ンサ81により検出された内気温度Tr ,外気温度Ta
m,日射量Ts ,エバポレータ後側温度Te 及びコンデ
ンサ後側温度Tcの各データを読み込む。
【0022】次いで、ステップ120に移行して、設定
温感Sset ,外気温度Tam及び日射量Ts から設定温度
Tset を次の(1)式により求める。 Tset =f(Sset ,Tam,Ts ) =Tset ’+ΔTam+ΔTs ……(1) ここで、Tset ’=25+0.4Sset ……図7
(a)参照 ΔTam=(10−Tam)/20 ……図7(b)参照 ΔTs =−Ts /1000 ……図7(c)参照
【0023】以上のようにして、設定温度Tset を算出
した後、ステップ130に移行して車室内を設定温度T
set に維持するために必要な熱量QAOを次の(2)式に
より算出する。 QAO=K1 ×Tset −K2 ×Tr −K3 ×Tam−K4 ×Ts +C ……(2) ここで、K1,K2,K3,K4 は係数、Cは定数である。こ
の(2)式は、見掛上、従来と同じであるが、各係数K
1,K2,K3,K4 と定数Cは従来よりもかなり大きな値に
設定され(例えばK1 =170,K2 =170,K3 =
35,K4 =130,C=1150)、後述する吹出風
量VAOと吹出温度TAOの自由度が大きくなっている。
【0024】上記(2)式により必要熱量QAOを算出し
た後、ステップ140に移行して、その時点の空調状態
が定常状態であるか過渡状態であるかを次のようにして
判断する。まず、設定温度Tset と内気温度Tr との温
度差|Tset −Tr |を算出し、この|Tset −Tr |
が所定値δ(例えばδ=3℃)以下であるか否かを判断
し、|Tset −Tr |≦δであれば定常状態と判断し、
|Tset −Tr |>δであれば過渡状態と判断するもの
である。
【0025】定常状態のときには、ステップ141に移
行し、図8に示されている定常時の必要熱量QAOに対す
る風量特性から風量VB を求めて、この風量VB を吹出
風量VAOとする。更に、図8に示されている定常時の必
要熱量QAOに対する温度特性から吹出温度TAOを求める
(ステップ142)。尚、図8は、本実施例の風量・温
度特性を実線で示し、従来のオートエアコンの風量・温
度特性を一点鎖線で示している。この図8から明らかな
ように、本実施例の風量特性は、冷凍サイクル55のC
OP向上を狙って、必要熱量QAOが少ない領域で風量V
B を従来よりも増加させているが、この風量増加は乗員
が風を不快に感じない程度に設定されている。このよう
な風量特性を採用することによって、本実施例の温度特
性は、吹出温度TAOが冷房時には従来よりも例えば5℃
高く、暖房時には従来よりも例えば15℃低くなるよう
に設定されている。
【0026】一方、前述したステップ140で過渡状態
と判断された場合には、ステップ143に移行して、吹
出風量VAOを次の(3)式により算出する。 VAO=VB +ΔV ……(3) ここで、VB は図8に示されている定常時の必要熱量Q
AOに対する風量特性から求められる。また、ΔVは補正
風量であり、図9に示されているTr −Tsetに対する
補正風量特性から求められる。本実施例では、補正風量
ΔVは、暖房時に“0”となるように設定されている。
この理由は、暖房時に吹出風量VAOを大幅に増加させる
と、吹出温度TAOが低下し過ぎて、吹出風に当たる乗員
が感じる暖かみが却って少なくなってしまうからである
(但し、後述するように暖房時にも乗員に不快感を与え
ない範囲内でΔV>0となるように設定しても良い)。
【0027】上記(3)式により吹出風量VAOを算出し
た後、ステップ144に移行して、過渡時の吹出温度T
AOを次の(4)式により算出する。 TAO=QAO/(Cp ・γ・VAO)+Tr =3.57×QAO/VAO+Tr ……(4) [Cp :空気の比熱、γ:空気の比重(25℃)]
【0028】このような制御による作動例を図10に示
し、図11に吹出風量VAOと冷凍サイクル55のCOP
との関係を示している。これら図10及び図11から明
らかなように、過渡時には吹出風量VAOを補正風量ΔV
だけ増加させて、冷凍サイクル55のCOPを向上させ
る一方、定常時には吹出風量VAOを低下させて、吹出風
による不快感を乗員に感じさせないようにして、快適な
空調環境を作り出す。しかも、過渡時・定常時のいずれ
の場合でも、予め必要熱量QAOを求め、この必要熱量Q
AOを発生するように吹出風量VAOと吹出温度TAOを決定
するため、冷暖房が過剰になるようなことはなく、上述
した過渡時のCOP向上と相俟って、省電力化が可能と
なる。
【0029】一方、前述したステップ142又はステッ
プ144の処理を終了すると、ステップ150に移行
し、内気吸入口23,24と外気吸入口22から吸入さ
れる空気の温度(以下「吸気温度」という)Tinと吹出
温度TAOとの温度差を小さくする方向に内外気ダンパ2
5の開度を次のようにして算出する。ここで、吸気温度
Tinは次の(5)式により求められる。 Tin=α・Tam+(1−α)・Tr ……(5) (α:外気の混合割合) この関係を利用して、まず、完全内気時(α=0)の吹
出温度TAOと吸気温度Tin(=Tr )との温度差の絶対
値Tdiを次の(6)式により算出する。 Tdi=|TAO−Tr | ……(6) 次いで、外気最大取り入れ時(αが最大)の吹出温度T
AOと吸気温度Tinとの温度差の絶対値Tdoを次の(7)
式により算出する。 Tdo=|TAO−{α・Tam+(1−α)・Tr }| ……(7) この後、TdiとTdoとを比較してその大小を判断し、T
di≦Tdoであれば内気モード(α=0)とし、内外気ダ
ンパ25により外気吸入口22を全閉する。
【0030】一方、Tdi>Tdoであれば外気モードと
し、外気の混合割合xを次の(8)式により算出する。 x=(TAO−Tr )/(Tam−Tr ) ……(8) この(8)式により算出したxが、外気最大取り入れ時
のαの値(αmax )と内気モード時のαの値(α=0)
との範囲内にあるとき、即ち0≦x≦αmax のときに
は、このxを目標外気混合割合とし、この目標外気混合
割合xを実現するように内外気ダンパ25の開度をリニ
ア(直線的)に可変する内外気併用モードとなる。
【0031】このような制御を行うことにより、吹出温
度TAOと吸気温度Tinとの差を小さくする方向に内外気
ダンパ25の開度が自動的に調節され、吸入した空気に
与える熱量(必要熱量QAO)が少なくて済み、一層の省
電力化が可能となる。
【0032】前述したステップ150で内外気ダンパ2
5の開度を算出し終えると、ステップ160に移行し、
吹出温度TAOと吹出風量VAOに基づいて、各ダンパ3
6,38,46,48,49,54の開度を決定し、吹
出モードを「FACE(スポット)」,「FACE(ワ
イド)」,「B/L」,「FOOT」,「FOOT/D
EF」,「DEF」のいずれかに決定する。この吹出モ
ードの詳細は、前掲した表1に表されている。
【0033】このようにして吹出モードを判定した後、
ステップ170に移行して、冷凍サイクル55の運転モ
ードを冷房・暖房・除湿暖房・除湿冷房のいずれのモー
ドにするかを次のようにして判定する。まず、前述した
(5)式により吸気温度Tinを算出する。この場合、外
気の混合割合αとして前述したステップ150で算出さ
れたxを用いて、吸気温度Tinを算出する。次いで、吹
出温度TAOと吸気温度Tinとの温度差TM を次の(9)
式により算出する。
【0034】TM =TAO−Tin ……(9) そして、TM ≧+θ(例えばθ=2℃)のときには暖房
モードとし、TM ≦−θのときには冷房モードとし、−
θ<TM <+θのときには冷凍サイクル55のコンプレ
ッサ56を停止する。また、フロントデフロスタスイッ
チ87がオンされている場合には、除湿モードとし、除
湿暖房にするか除湿冷房にするかは上述した判断により
決定する。
【0035】このようにして冷凍サイクル55の運転モ
ードを判定した後、ステップ180に移行し、インバー
タ67の目標周波数を決定するインバータ周波数制御ル
ーチン(図2参照)を次のようにして実行する。まず、
ステップ181で、車室内を設定温度Tset に維持する
のに必要な吹出温度TAOを、内気と外気の混合のみによ
って作り出せるか否かを判断する。この判断方法として
は、ステップ150で算出した外気の混合割合xを用い
て、0≦x≦αmax であるか否かによって判断する。つ
まり、0≦x≦αmax のときには、必要吹出温度TAOが
外気温度Tamと内気温度Tr の範囲内にある(Tr ≦T
AO≦Tam又はTam≦TAO≦Tr )ので、内外気の混合の
みによって必要吹出温度TAOを作り出すことができる。
従って、この場合には、ステップ181の判断が「YE
S」となり、ステップ182に進んで、インバータ67
(可変速モータ66)を停止し、コンプレッサ56を停
止させる。
【0036】一方、ステップ181で「NO」の場合、
つまりx<0又はx>αmax の場合には、必要吹出温度
TAOが外気温度Tamと内気温度Tr の範囲内にないの
で、内気と外気の混合だけでは必要吹出温度TAOを作り
出すことができない。従って、この場合には、コンプレ
ッサ56の運転制御を行うべく、ステップ183に移行
する。この実施例では、このステップ183と次のステ
ップ184によって、空調状態が定常状態であるか急変
状態であるかを、運転モードの切替の有無及び対象セン
サ(データ読込みの対象となるセンサ)の切替の有無に
より次のように判断する。
【0037】まず、ステップ183で、運転モードが切
り替わったか否かを判断する。ここでは、前述したステ
ップ170で判断した冷凍サイクル55の運転モードが
前回(1回前)の判断と変わっているとき(例えば暖房
→冷房、暖房→除湿暖房等)には、ステップ183の判
断が「YES」となり、ステップ184へ進む。このス
テップ184では、対象センサが切り替わったか否かを
判断する。例えば、暖房から除湿暖房への切替に伴って
対象センサがコンデンサ後側温度センサ81(コンデン
サ後側温度Tc )からエバポレータ後側温度センサ80
(エバポレータ後側温度Te )に切り替わった場合や、
その逆の切替の場合、或は、冷房から暖房への切替に伴
ってエバポレータ後側温度センサ80(エバポレータ後
側温度Te )からコンデンサ後側温度センサ81(コン
デンサ後側温度Tc )に切り替わった場合や、その逆の
切替の場合等には、上記ステップ184の判断が「YE
S」となり、ステップ185に進む。
【0038】このステップ185では、対象センサの切
替時から所定時間(例えば3分間)が経過したかをタイ
(タイマ手段)の計時動作により判断し、「NO」の
場合には、ステップ186に進み、インバータ67の周
波数変化量Dfn を“0”に設定して、インバータ67
の周波数を現状のまま維持し(ステップ188)、その
周波数信号をインバータ67に出力する(ステップ18
9)。これにより、可変速モータ66(コンプレッサ5
6)の回転速度の変化を禁止して、現状の回転速度を維
持(ホールド)する。この回転速度のホールドは、対象
センサの切替から所定時間(例えば3分間)が経過する
まで継続される(ステップ185)。この間に、空調状
態が徐々に定常状態に近付いていくので、上記所定時間
の計時動作が終了(タイムアップ)する頃には、可変速
モータ66の回転速度(インバータ67の周波数)と制
御目標値との差が相当に狭まっており、回転速度の急変
が避けられる。そして、上記所定時間が経過してステッ
プ185の判断が「YES」となれば、ステップ187
に移行して、インバータ67の周波数変化量Dfnを算
出する。
【0039】このインバータ67の周波数変化量Dfn
の算出は、空調状態が定常状態であるとき、つまり、運
転モード又は対象センサの切替が行われていない場合
(ステップ183,184のいずれかが「NO」の場
合)、又はこれらの切替後にタイムアップしたとき(ス
テップ185が「YES」の場合)に次のようにして行
われる。
【0040】インバータ67の周波数を、冷房モードで
は、エバポレータ後側温度センサ80により検出された
エバポレータ後側温度Te を対象にしてPI制御又はフ
ァジィ制御によりフィードバック制御し、また、暖房モ
ードでは、コンデンサ後側温度センサ81により検出さ
れたコンデンサ後側温度Tc を対象にしてPI制御又は
ファジィ制御によりフィードバック制御する。
【0041】例えば、PI制御を行う場合には、まず、
次の(10)式により温度偏差Enを算出する。 En =TAOn −Tn ……(10) ここで、各変数の添字n は、n番目のサンプル値である
ことを示し、TAOn はステップ142,144で求めた
吹出温度を示し、Tn は、冷房モード或は除湿モードで
はエバポレータ後側温度Te 、暖房モードではコンデン
サ後側温度Tcを示す。
【0042】次いで、インバータ67の周波数変化量D
fn を次の(11)式により算出する。 Dfn =Kp {(En −En-1 )+t/TI ・En } ……(11) ここで、Kp は比例ゲイン、tはサンプルタイム、TI
は積分時間である。
【0043】この後、ステップ188へ進み、前述した
ステップ186又は187で求めた周波数変化量Dfn
からインバータ67の目標周波数fn を次の(12)式
により算出する。 fn =fn-1 +Dfn ……(12) この後、ステップ189へ進み、この目標周波数fn を
インバータ67に出力してコンプレッサ56の回転速度
を制御するものである。
【0044】以上のようにして決定された各種の制御デ
ータを各機器へ出力し(ステップ190)、以後、前述
したステップ110に戻って処理を繰り返すことによ
り、空調運転を制御する。この際、ステップ141,1
43で求めた吹出風量VAOを実現するために、ブロワモ
ータ29に印加するブロワ電圧は、図12の電圧特性に
より吹出モードに応じて決定される。
【0045】以上説明した第1実施例によれば、空調状
態が急変状態(運転モードの切替及び対象センサの切替
が行われてから所定時間以内)のときには、コンプレッ
サ56の回転速度の変化を一時的に禁止するように可変
速モータ66の回転速度(インバータ67の目標周波
数)をホールドするので、その間に、空調状態が徐々に
定常状態に近付いていくようになり、その後、この急変
時制御から通常(定常状態)の空調制御に復帰したとき
には、可変速モータ66の回転速度と制御目標値との差
が相当に狭まっており、回転速度の急上昇抑えられ
て、消費電力が節減されるようになる。
【0046】[第2実施例]第1実施例では、空調状態
が急変状態のときには、コンプレッサ56の回転速度の
変化を一時的に禁止する(インバータ67の目標周波数
をホールドする)ようにしたが、コンプレッサ56の回
転速度の変化を所定値以下に制限するようにインバータ
67の目標周波数の変化に制限(リミッタ)をかけるよ
うにしても良い。これを具体化した第2実施例を図13
に示しており、以下、第1実施例と異なる部分について
説明する。
【0047】空調状態が急変状態と判断されるとき、つ
まり、運転モードの切替及び対象センサの切替が行われ
たとき(ステップ183,184の判断が共に「YE
S」のとき)には、ステップ200に移行し、ステップ
187と同じく、インバータ67の周波数変化量Dfn
を前述した(10),(11)式により算出する。この
後、ステップ201へ進み、算出した周波数変化量Df
n にリミッタをかけるため、|Dfn |≧a(例えばa
=100Hz)であるか否かを判断し、「YES」であ
れば、ステップ202に進む。このステップ202で
は、ステップ200で求めたDfn が正の値であれば、
Dfn =aに設定し、Dfn が負の値であれば、Dfn
=−aに設定する。この後、ステップ188に進み、上
記Dfn の値を用いてインバータ67の目標周波数fn
を前述した(12)式により算出するものである。
【0048】一方、前述したステップ201の判断が
「NO」の場合(−a<Dfn <aの場合)には、可変
速モータ66の回転速度(インバータ67の周波数)と
制御目標値との差が少ないので、ステップ200で算出
した周波数変化量Dfn をそのまま用いてインバータ6
7の目標周波数fn を算出する(ステップ188)。
【0049】このような第2実施例では、空調状態が急
変状態と判断されるときにインバータ67の周波数変化
量Dfn にリミッタをかけるようにしたので、第1実施
例と同じく、可変速モータ66(コンプレッサ56)の
回転速度の急上昇抑えられ、消費電力が節減される。
【0050】[第3実施例]第1実施例では、空調状態
が急変状態であるか否かの判断基準として、運転モード
の切替及び対象センサの切替の有無を採用したが、これ
に限定されず、例えば、負荷の急変時(例えば内外気の
吸気モードが切り替えられたとき)や、設定温感Sset
(又は設定温度)が切り替えられたとき等、インバータ
67の目標周波数fn が急変する要因になる種々の条件
を採用するようにしても良い。
【0051】以下、内外気の吸気モードが切り替えられ
たときに急変時制御を行うようにした第3実施例を図1
4に基づいて説明する(ここでは主として第1実施例と
異なる部分について説明する)。内外気の混合だけでは
必要吹出温度TAOを作り出せない場合(ステップ181
で「NO」の場合)には、ステップ210に移行し、内
外気ダンパ25が切り替わったか否かを判断する。ここ
で、「YES」と判断されれば、ステップ185に進
み、内外気ダンパ25の切替から所定時間(例えば3分
間)が経過するまで、インバータ67の周波数変化量D
fn を“0”にする(ステップ185,186)。一
方、内外気ダンパ25が切り替わっていない場合は、ス
テップ210で「NO」と判断され、ステップ187に
移行して、インバータ67の周波数変化量Dfn を算出
する。
【0052】この場合も、前記第2実施例と同じく、イ
ンバータ67の周波数変化量Dfnにリミッタをかける
ようにしても良いことは言うまでもない。
【0053】[第4実施例]第1実施例のステップ15
0における内外気ダンパ25の開度の算出方法を次のよ
うに変更しても良い。まず、吹出温度TAOと吸気温度T
inとの温度差の絶対値Toαを次の(13)式により算
出する。 Toα=|TAO−Tin| =|TAO−{α・Tam+(1−α)・Tr }| ……(13) ここで、αは外気の混合割合であり、このαを0≦α≦
αmax (αmax は外気最大取り入れ時のαの値)の範囲
内で変化させて、吹出温度TAOと吸気温度Tinとの温度
差の絶対値Toαが最小となるαを求め、このαを目標
外気混合割合として内外気ダンパ25の開度をリニア
(直線的)に可変するものである。
【0054】[第5実施例]第1実施例では、温感設定
器82の手動操作により温感Sset を設定し、この設定
温感Sset と外気温度Tam及び日射量Ts から設定温度
Tset を算出するようにしているが、温感設定器82に
代えて、設定温度Tset を手動設定する設定温度スイッ
チ(図示せず)を設け、この設定温度スイッチを手動操
作することにより、設定温度Tset を設定するようにし
ても良い。この場合には、図1のステップ120が不要
となる。
【0055】[その他の実施例]第1実施例の場合、冷
房時には、過渡時に、吹出風量VAOを補正風量ΔVだけ
定常時よりも増加させて、冷凍サイクル55のCOPを
向上させるようにしているが、暖房時には、補正風量Δ
Vが“0”に設定されているため(図9参照)、過渡時
でも定常時と同じ風量特性となる。この理由は、暖房時
に吹出風量VAOを大幅に増加させると、吹出温度TAOが
低下し過ぎてしまい、吹出風に当たる乗員が感じる暖か
みが却って少なくなってしまうからである。
【0056】しかしながら、暖房時にも、補正風量ΔV
を、ΔV>0に設定して、過渡時に吹出風量VAOを乗員
に不快感を与えない程度に増加させるようにしても良
い。この場合、吹出風量VAOの増加量に応じて吹出温度
TAOが低下するが、車室内に与える熱量は風量増加によ
り必要熱量を確保できるので、暖房能力を低下させるよ
うなことはなく、暖房時の過渡時も、冷凍サイクル55
のCOPを向上させることができる。
【0057】また、第1実施例は、本発明を電気自動車
の空調装置に適用したものであるが、エンジン駆動式自
動車の空調装置や家屋の空調装置等、各種の空調装置に
本発明を適用しても良いことは言うまでもない。エンジ
ン駆動式自動車の空調装置の場合には、暖房時の熱源と
して、エンジン冷却水が循環するヒートコアを用いても
良く、また、一般の空調装置では、暖房時の熱源として
電気ヒータを用いる構成としても良い。
【0058】また、第1実施例では、大風量のときにス
ポット吹出口43から風を強く吹き出し、小風量のとき
にワイド吹出口42から風を緩やかに吹き出すようにな
っているが、これら両吹出口42,43の双方から同時
に風を吹き出すようにしても良い。勿論、スポット/ワ
イドの切り替えのない構成としても良く、この場合に
は、スポット/ワイド切替ダンパ46が不要となる。
【0059】また、温感設定器82は、キー入力方式の
ものに限定されず、例えばダイヤルスイッチを用いて構
成しても良い。その他、本発明は、送風関係の構成や温
感表示部84の構成を適宜変更しても良い等、種々変更
して実施できることは言うまでもない。
【0060】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、前記内気と前記外気との間における吸気モー
ドの切り替え時、又は、前記運転モードの切り替え時、
又は、前記設定器によって前記制御目標が変更された
時、又は、前記運転モードが切り替えられると共に、前
記センサのうち、読み込み対象として選択されるものが
切り替わった時に、空調制御装置が急変状態になったと
判断してコンプレッサの回転速度の急上昇をタイマ手段
により一時的に禁止もしくは所定値以下に制限するよう
に可変速モータの回転速度を規制するので、可変速モー
タの回転速度と制御目標値との差が少なくなるのを待っ
て、可変速モータ(コンプレッサ)の速度制御を行うこ
とが出来、回転速度の急上昇を抑えることができて、消
費電力を節減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示すメイン制御プログラ
ムを示すフローチャート
【図2】インバータ周波数制御ルーチンを示すフローチ
ャート
【図3】空調装置全体の概略構成図
【図4】自動車のインストルメントパネル部分の正面図
【図5】エアコンコントロールパネルの正面図
【図6】冷凍サイクルの運転モードと室外ファンの運転
モードとの関係を示す図
【図7】(a)は設定温感Sset とTset ’との関係を
示す図、(b)は外気温度TamとΔTamとの関係を示す
図、(c)は日射量Ts とΔTs との関係を示す図
【図8】定常時の風量・温度特性を示す図
【図9】Tr −Tset と補正風量ΔVとの関係を示す図
【図10】過渡時の作動例を説明する図
【図11】吹出風量VAOとCOP,吸入・吹出の温度差
ΔTとの関係を示す図
【図12】吹出風量VAOとブロワ電圧との関係を示す図
【図13】本発明の第2実施例におけるインバータ周波
数制御ルーチンを示すフローチャート
【図14】本発明の第3実施例におけるインバータ周波
数制御ルーチンを示すフローチャート
【図15】運転モード切替時の消費電力、インバータ周
波数及びエバポレータ後側温度の過渡的変化を示す図
【符号の説明】
22…外気吸入口、23,24…内気吸入口、25…内
外気ダンパ、31…エバポレータ、35…コンデンサ、
40…デフ吹出口、42…ワイド吹出口、43…スポッ
ト吹出口、46…スポット/ワイド切替ダンパ、52…
足元吹出口、55…冷凍サイクル、56…コンプレッ
サ、57…四方切替弁、58…室外熱交換器、61…キ
ャピラリ、62〜64…電磁弁、65…減圧弁、66…
可変速モータ、67…インバータ、68…ECU(判断
手段,急変時制御手段,演算装置)、77…内気温度セ
ンサ、78…外気温度センサ、79…日射センサ、80
…エバポレータ後側温度センサ、81…コンデンサ後側
温度センサ、82…温感設定器、82a…涼しめキー、
82b…暖かめキー、84…温感表示部、88…冷媒圧
力センサ、89…室外ファン。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 裕司 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本 電装株式会社内 (72)発明者 寒川 克彦 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本 電装株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−266515(JP,A) 特開 昭62−52344(JP,A) 特開 昭56−75209(JP,A) 特開 昭55−137438(JP,A) 特開 平4−353010(JP,A) 特開 平2−231220(JP,A) 実開 昭60−6609(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60H 1/00 B60H 1/32 622 B60H 1/32 623 B60H 1/32 624 B60H 1/00 101

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 冷凍サイクルのコンプレッサを、複数セ
    ンサの中のデータ読み込み対象となる対象センサからの
    出力データに基づいて演算装置にて可変速駆動する可変
    速モータと、制御目標を手動で設定するための設定器と
    を備え、前記冷凍サイクルによる空調運転状態に応じて
    前記コンプレッサの回転速度を制御目標値に追従させる
    ように前記可変速モータの回転速度を制御するように
    し、かつ、内気又は外気からの空気を切り替えて吸い込
    み、この吸い込んだ空気を空調するものからなり、冷
    房、暖房、除湿の複数の運転モードを持つ空調装置にお
    いて、 空調状態が定常状態から前記可変速モータの回転数の急
    上昇を一時的に招く急変状態になったことを判断する判
    断手段と、 前記空調状態が前記急変状態になったときには前記コン
    プレッサの回転速度の変化を、少なくとも前記空調状態
    が前記定常状態近くになるまで、タイマ手段により一時
    的に禁止若しくは所定値以下に制限するように前記可変
    速モータの回転速度を規制する急変時制御手段とを前記
    演算装置に備え、かつ、 前記判断手段は、前記内気と前記外気との間における吸
    気モードの切り替え時に前記急変状態になったと判断す
    るもの、および、 前記運転モードの切り替え時に、前記急変状態になった
    と判断するもの、および、 前記設定器によって前記制御目標が変更された時に、前
    記急変状態になったと判断するもの、および、 前記運転モードが切り替えられると共に、前記センサの
    うち、読み込み対象として選択されるものが切り替わっ
    た場合に、前記急変状態になったと判断するもののうち
    何れか1つのものからなる ことを特徴とする空調装置。
  2. 【請求項2】 前記運転モードは、少なくとも暖房モー
    ドと除湿モードからなり、 前記判断手段は、前記暖房モードから前記除湿モードへ
    の切り替え時に、前記急変状態になったと判断すること
    を特徴とする請求項1記載の空調装置。
  3. 【請求項3】 前記冷凍サイクルは、エバポレータを備
    えて構成され、前記 演算装置は、前記暖房モードにおい
    ては暖房熱源の温度を検出するセンサの出力データに基
    づいて前記可変速モータの可変速駆動を行い、前記除湿
    モードにおいては、前記エバポレータの後側温度を検出
    するセンサの出力データに基づいて前記可変速モータの
    可変速駆動を行うことを特徴とする請求項2に記載の空
    調装置。
  4. 【請求項4】 前記演算装置は、 少なくとも、内気温度と、外気温度と、前記冷凍サイク
    ルを構成するエバポレータの後側温度と、前記冷凍サイ
    クルを構成するコンデンサの後側温度とを夫々検出する
    前記複数センサより選択的に読み込んだ前記出力データ
    と、前記制御目標を手動により設定するための前記設定
    器の出力データとを読み込むことで、設定温度並びに空
    調対象室内を前記設定温度に維持するために必要な熱量
    を算出する手段と、 前記熱量に基づいて風量及び吹出し温度を求める手段
    と、 前記内気と前記外気とが吸入される割合を切り替えるた
    めの内外気ダンパの切り替え量を決定する手段と、 複数の吹出し口の何れから空調された空気を吹き出させ
    るかによってモードが異なる吹き出しモードを決定する
    手段と、 前記冷凍サイクルの運転モードを冷房、暖房、除湿のい
    ずれにするかを判定する手段と、 前記風量と、前記吹き出し温度と、前期運転モードとに
    基づいて、前記可変速モータの回転数を決定する手段と
    を備えて構成されることを特徴とする請求項1記載の空
    調装置。
  5. 【請求項5】 前記判断手段は、 前記暖房モードから前記除湿モードへの切り替わりに伴
    い、前記読み込み対象として選択されるセンサが前記コ
    ンデンサの後側温度を検出するものから前記エバポレー
    タの後側温度を検出するものに切り替わった場合と、 前記冷房モードから前記暖房モードへの切り替わりに伴
    い、前記読み込み対象として選択されるセンサが前記エ
    バポレータの後側温度を検出するものから前記コンデン
    サの後側温度を検出するものに切り替わった場合または
    その逆の切り替えの場合との何れかの場合に、前記急変
    状態になったと判断することを特徴とする請求項に記
    載の空調装置。
  6. 【請求項6】 前記制御手段は、前記内外気ダンパが切
    り替えられることで、前記吸気モードが、内気モードと
    外気モードとの間で切り替わった場合に、前記急変状態
    になったと判断することを特徴とする請求項4に記載の
    空調装置。
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