JP3343181B2 - 桂皮酸誘導体 - Google Patents

桂皮酸誘導体

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JP3343181B2 JP26468695A JP26468695A JP3343181B2 JP 3343181 B2 JP3343181 B2 JP 3343181B2 JP 26468695 A JP26468695 A JP 26468695A JP 26468695 A JP26468695 A JP 26468695A JP 3343181 B2 JP3343181 B2 JP 3343181B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光二量化性を有す
る桂皮酸誘導体、光架橋性を有する桂皮酸高分子誘導
体、および架橋桂皮酸高分子誘導体に関するものであ
る。桂皮酸誘導体およびこれを高分子に導入した桂皮酸
高分子誘導体は、高感度の光反応性誘導体であり、紫外
線を照射すると分子間架橋反応(光二量化反応)により
シクロブタン環を形成し、前記桂皮酸高分子誘導体から
不溶性の架橋桂皮酸高分子誘導体が調製できる。これら
の光架橋形成物は、高分子として例えば生体成分である
グリコサミノグリカンを選択すると生体適合性、生体再
吸収性等を有し、有用な医療材料になり得る。
【0002】
【従来の技術】現在、光二量化性を有する光反応性化合
物は多く知られているが、水溶性高分子に光架橋基を
導入した例はあまり多く知られていない。水溶性高分子
であるポリビニルアルコールに各種スチルバゾニウム誘
導体を導入し、光架橋形成物を調製した例(特公昭56
−5762、特公昭56−54155、特公昭61−1
2888)は知られているが、酵素や細菌の固定化を目
的としており、また、光架橋性基が導入される高分子は
化学合成高分子である。これらは、光反応性を向上させ
る目的で光二量化性化合物の構造を種々変化させ、吸収
紫外領域やその感度に変化を与えている。また、天然高
分子であるグリコサミノグリカンに桂皮酸を導入し、紫
外線によって光架橋した例は、特開平6−73102号
公報に記載されている。これは、本発明に先立ち行われ
たものであるが、実施例の多くはグリコサミノグリカン
の水酸基にスペーサーを介することなく直接桂皮酸をエ
ステル結合によって導入して光架橋性グリコサミノグリ
カンを調製し、これに光照射して光架橋形成物を得てお
り、光架橋反応を促進するため非常に高い桂皮酸の導入
率{(DS(%):Degree of substitution=100×
(構成2糖単位当たりの桂皮酸の導入モル数)}を必要
とするばかりでなく、光反応の効率も悪かった。また、
同公報にはジアミン類をスペーサーとしてグリコサミノ
グリカンのカルボキシル基に桂皮酸を導入した例が記載
されているが、この方法は導入時の反応選択性に問題が
あった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、光二量化性化合物である桂皮酸にスペーサーを導入
した桂皮酸誘導体を提供することであり、第2の目的と
して該桂皮酸誘導体をグリコサミノグリカン等の高分子
に導入することにより、光二量化性が高感度かつ高効率
である桂皮酸高分子誘導体、およびそれを光架橋して得
られる架橋桂皮酸高分子誘導体を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは鋭意研究
の結果、上記課題の解決を以下の構成によって達成する
ことに成功した。すなわち、本発明は 下記一般式(1)〜(3)のいずれか一つで表され
る桂皮酸誘導体およびその塩。
【0005】 R1−A−H (1) 2 −C−H (3) 〔式中、R1は下記式(4)で示される基を、
【0006】
【化3】
【0007】(式中、R3 およびR4 は、各々独立に水
素原子、ニトロ基、アミノ基、水酸基、炭素数1〜4の
アルコキシ基を表す。) R2は下記式(5)で示される基を、
【0008】
【化4】
【0009】 (式中、R3 およびR4 は前記と同意義、R5 は低級ア
ルキル基を示す。) A−Hは下記式(6)〜(9)のいずれか一つで示され
る分子内にアミノ基および水酸基を有する化合物の残基
を、 -O-(CH2)n-NH2 (6) (式中、nは3〜18の整数を示す。) -(O-CH2CH2)m-NH2 (7) (式中、mは2〜10の整数を示す。) -O-CHR6CH(COOR7)-NH2 (8) (式中、R6は水素または低級アルキル基を、R7は低級ア
ルキル基をそれぞれ示す。) -O-(CH2)l-NHCO-CHR8-NH2 (9) (式中、lは2〜18の整数を、R8はα−アミノ酸残基
の側鎖をそれぞれ示す。) −Hは下記式(11)または(12)で示されるアミ
ノ酸残基を、 -CO-(CH2)k-NH2 (11) (式中、kは前記と同意義。) -(COCHR8NH)i-H (12) (式中、iは1〜6の整数を示し、R8は前記と同意義で
ある。) それぞれ示す。〕 下記一般式(13)〜(15)のいずれか一つで表
される桂皮酸高分子誘導体。
【0010】 R1−A−P1 (13) R2−C−P1 (15) (式中、R1、R2AおよびCは請求項1記載のものと
同意義である。1はカルボキシル基を有する高分子化
合物の残基を示し、A−P1の結合及びC−P1の結合は
アミド結合をそれぞれ示す。) P1 が多糖類である前記記載の桂皮酸高分子誘導
体。
【0011】 多糖類がグリコサミノグリカンである
前記記載の桂皮酸高分子誘導体。 前記〜記載
の桂皮酸高分子誘導体のR1同士、R2同士あるいはR1
とR2 とが光二量化反応して架橋シクロブタン環を形成
してなる架橋桂皮酸高分子誘導体。
【0012】光二量化性を有する桂皮酸あるいはアミノ
桂皮酸は280nm付近の特定波長の紫外線を吸収し、
トルキシル酸、トルキシン酸あるいはその誘導体に二量
化することが知られている。これら光二量化反応は特定
波長の、ある光量以上の紫外線でのみ進行し、通常の太
陽光等ではこの反応は進行しない。その様な意味からも
桂皮酸をグリコサミノグリカンの官能基に導入したシン
ナモイル化グリコサミノグリカン誘導体に紫外線を照射
して得られる光反応性架橋形成物は、反応選択性が高く
クリーンな光反応により製造されるばかりでなく、その
原料であるシンナモイル化グリコサミノグリカン誘導体
は保存に際しても太陽光や白色光から受ける影響が少な
く、取扱いが容易である。
【0013】しかしながら、先に開発された特開平6−
73102号のシンナモイル化グリコサミノグリカン誘
導体から光架橋形成物を製造するためには、例えば数平
均分子量80万のヒアルロン酸を母体高分子として用い
た場合、2糖単位構造当たり0.1個〜4個(DS10
〜400%)の桂皮酸を導入し、30分以上紫外線を照
射する必要があった。
【0014】本発明者らは、高分子化合物(例えばグリ
コサミノグリカン)と桂皮酸の間にフレキシブルなスペ
ーサーを導入することで光架橋性が大幅に向上し、この
ため、より低い光架橋基の導入率で光架橋反応が進行す
ることを見いだした。このようなスペーサー構造を有す
る桂皮酸誘導体を導入した桂皮酸高分子誘導体である光
架橋性グリコサミノグリカン誘導体は、例えば数平均分
子量が80万のヒアルロン酸を用いた場合には2糖単位
構造当たり0.005個〜0.05個(DS0.5〜5
%)程度の導入率で、しかも紫外線照射時間1〜8分程
度で十分に光架橋反応を起こす。
【0015】従来の桂皮酸高分子誘導体でも、紫外線を
照射すると、光架橋反応により、該桂皮酸高分子誘導体
は架橋基を介して三次元網目構造の巨大分子を形成し、
生成した架橋桂皮酸高分子誘導体は水不溶性となるが、
母体の高分子の分子量が2〜3万の桂皮酸高分子誘導体
(単量体)では、架橋後も網目構造が粗であり、巨大分
子を形成するには至らず、架橋頻度を高めるためにかな
り高いDSの高い桂皮酸高分子誘導体を用いない限り不
溶化しなかった。
【0016】本発明においてスペーサーを架橋基に導入
することによって光架橋性が向上し、分子量2〜3万の
該単量体を用いる場合においてもDSが10%以下であ
っても十分に不溶化させることができる。このような低
い導入率(DS)の桂皮酸高分子誘導体でも光反応性が
十分高いため短時間の紫外線照射で十分架橋し、得られ
た架橋桂皮酸高分子誘導体は水不溶性であると同時に、
高い吸水性と強度を持つ。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、一般式(1)〜(3)で示
される桂皮酸誘導体について詳述する。該一般式(1)
〜(3)のA−H、B−OHまたはC−Hは、上記スペ
ーサーの機能を有する特定の残基である。一般式(1)
において、式(4)で表されるR1 は、光二量化反応に
よりシクロブタン環を形成するビニレン基を有する桂皮
酸残基を示し、R3 およびR4 は、各々独立に水素原
子、ニトロ基、アミノ基、水酸基、炭素数1〜4のアル
コキシ基を示すが、好ましくは水素原子である。アルコ
キシ基としては、具体的にはメトキシ、エトキシ、プロ
ポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、t
−ブトキシ等が例示される。R3 およびR4 のベンゼン
環への結合位置は、置換基同士の相互作用、立体障害等
において問題がない限り任意である。
【0018】A−Hは、式(6)〜(9)のいずれか一
つで示される分子内にアミノ基および水酸基を有する化
合物の残基を示し、スペーサーの機能を担う。 -O-(CH2)n-NH2 (6) 式中、nは3〜18、好ましくは4〜8、更に好ましく
は5か6の整数を示す。nが2以下であると、一般式
(1)で表される化合物を高分子に導入した桂皮酸高分
子誘導体(式(13))の光架橋反応の効率が低下し、
また19以上であると式(1)で表される化合物を高分
子に導入する際の反応効率が低くなる。
【0019】上記式(6)の残基は、具体的には例えば
アミノエタノール、アミノプロパノール、アミノブタノ
ール、アミノペンタノール、アミノヘキサノール、アミ
ノオクタノール、アミノドデカノール等のアミノアルコ
ールに由来する。 -(O-CH2CH2)m-NH2 (7) 式中、mは2〜10、好ましくは2〜5、更に好ましく
は2か3の整数を示す。mが1以下であると、桂皮酸高
分子誘導体の光架橋反応の効率が低下し、また11以上
であると式(1)で表される化合物を高分子に導入する
際の反応効率が低くなる。
【0020】上記式(7)の残基は、具体的には例えば
ジエチレングリコールアミン等のポリエチレングリコー
ルアミンに由来する。 -O-CHR6CH(COOR7)-NH2 (8) 式中、R6は水素または低級アルキル基、好ましくは水素
またはメチル基を示し、R7は低級アルキル基をそれぞれ
示す。
【0021】上記式(8)の残基は、具体的には例えば
セリン、トレオニン等のヒドロキシアミノ酸の低級アル
キルエステルに由来する。 -O-(CH2)l-NHCO-CHR8-NH2 (9) 式中、lは2〜18、好ましくは2〜8、更に好ましく
は2か3の整数を、R8はα−アミノ酸残基の側鎖、好ま
しくは水素、メチル基またはイソブチル基を示す。
【0022】上記式(9)において、-CO-CHR8-NH2の部
分は、具体的には例えばグリシン、アラニン、ロイシン
等に由来し、-O-(CH2)l-NH-は、具体的には例えばアミ
ノエタノール、アミノプロパノール等に由来する。次に
一般式(2)の桂皮酸誘導体について述べる。R1 は前
記と同義であり、B−OHは式(10)で示されるアミ
ノ酸残基を示し、スペーサーの機能を担う。
【0023】-NH-(CH2)k-COOH (10) 式中、kは1〜18、好ましくは1〜11、更に好まし
くは3〜5の整数を示す。 上記式(10)の残基は、
具体的には例えばβ−アラニン(アミノプロピオン
酸)、アミノ酪酸(アミノブタン酸)、アミノカプロン
酸(アミノヘキサン酸)、アミノラウリン酸(アミノド
デカン酸)等のアミノ酸に由来する。
【0024】一般式(3)のR2 は、光二量化反応によ
りシクロブタン環を形成するビニレン基を有し、置換基
を有することもあるアミノ桂皮酸エステル残基を示す。
3およびR4 は前記と同意義であって好ましくは水素
であり、R5 は低級アルキル基、好ましくはメチル基を
示す。R3 およびR4 のベンゼン環への結合位置は、置
換基同士の相互作用、立体障害等において問題がない限
り任意である。
【0025】C−Hは式(11)または(12)で示さ
れるアミノ酸残基を示し、スペーサーの機能を担う。 -CO-(CH2)k-NH2 (11) 式中、kは前記と同意義である。上記式(11)の残基
は、基本的には式(10)の残基と同様のアミノ酸に由
来する。
【0026】-(COCHR8NH)i-H (12) 式中、iは2〜6、好ましくは2〜4、更に好ましくは
2か3の整数を示し、R8は前記と同意義であり、好まし
くは水素を示す。上記式(12)の残基は、具体的には
通常のα−アミノ酸またはそのオリゴマー(例:グリシ
ン、グリシルグリシン、トリグリシンなど)が挙げられ
る。 〔1〕桂皮酸誘導体の合成 次に式(1)〜(3)の桂皮酸誘導体の製法について述
べる。 〔1−1〕 式(1)の桂皮酸誘導体は例えば以下に示
す反応により製造される。
【0027】なお、以下の説明において、式(1)の−
A−Hで表される部分を、反応の説明のために−O−A
1−NH2と表記することもある。一般式R1−OHで表
される桂皮酸誘導体のカルボキシル基を、アミノ基と水
酸基を有する化合物(H2N−A1−OH)の水酸基のみ
と選択的に反応させれば一般式(1)の目的物を得るこ
とができる。通常、効率良く水酸基とのみ選択的に反応
させるためには予めアミノ基が保護された化合物(Ra
NH−A1−OH)を用いることが好ましく、該化合物
の無保護の水酸基とエステル結合を形成させてRa−N
H−A1−O−R1、すなわちアミノ基が保護された化合
物(1)を得ることができ、この得られた化合物のアミ
ノ保護基を適当な条件で除去すれば目的化合物を得るこ
とができる。上述のようにエステル化、脱保護の2工程
により効率よく目的物であるアミノ基がフリーあるいは
塩である桂皮酸エステルを得ることができる。以下にそ
の合成スキームを記す。
【0028】 R1 −X+RaNH−A1−OH ↓エステル化反応 RaNH−A1−O−R1 ↓脱保護 H2N−A1−OR1〔式(1):R1−A−H〕 あるいはその塩 各工程を具体的に記す。 第1工程 一般式R1 −OHで表される桂皮酸誘導体のカルボキシ
ル基を活性化し(例えば、R1 −Xで表される桂皮酸ハ
ロゲン化物(例、桂皮酸塩化物);(R12Oで表さ
れる桂皮酸の酸無水物;R1 −O−R’で表される混合
酸無水物)、アミノ基と水酸基を有する化合物(H2
−A1−OH)のアミノ基が保護された化合物(RaNH
−A1−OH)の無保護の水酸基と前記の活性化された
カルボキシル基を反応させエステル結合を形成させてR
aNH−A1−O−R1 、すなわちアミノ基が保護され
た、化合物(1)を得る。反応の際にN,N−ジアルキ
ルアミノピリジン(例、4−ジメチルアミノピリジン、
4−ピロリジノピリジン)等のアシル化触媒、および反
応によって生成する酸の中和剤(例、ピリジン、トリエ
チルアミンなどの3級アミン、炭酸水素ナトリウムなど
の無機塩基)を反応系に共存させることが好ましい。
【0029】ここでアミノ基の保護基としては、第2工
程の脱保護に際し桂皮酸エステルを切断しない条件下で
脱保護できるものならば特に制限はない。 第2工程 第1工程で得た化合物(RaNH−A1−O−R1 )のア
ミノ保護基を前記の桂皮酸エステルが切断されない条件
下で脱保護する。保護基の例としてはt−ブトキシカル
ボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、9−フルオレ
ニルメトキシカルボニル基等が挙げられる。酸で切断可
能なt−ブトキシカルボニル基等を用いれば塩化水素、
臭化水素、トリフルオロ酢酸等の酸を用いて処理するこ
とによって、アミノ保護基を除去し、同時に酸との塩を
形成させることが可能である。
【0030】より具体的には、例えばR1−A−Hの塩
酸塩は、以下のように合成される。アミノ保護基として
酸で除去できるt−ブトキシカルボニル基(Boc−)
を用いた化合物(Boc−NH−A1−OH)にクロロ
ホルム等の有機溶媒を加え、氷冷下、トリエチルアミン
等の有機塩基、R1−OHの酸ハロゲン化物(R1
X)、および4−ジメチルアミノピリジン等の塩基触媒
(アシル化触媒)を順次加える。室温で攪拌した後、こ
の反応液に酢酸エチル等の有機溶媒を加え、弱酸性水溶
液等で数回、水、弱アルカリ水溶液で数回、水、飽和食
塩水等で分液洗浄した後、有機相を無水硫酸ナトリウム
等で乾燥する。無水硫酸ナトリウム等を濾取し、濾液を
減圧濃縮して化合物(RaNH−A1−O−R1)を得る
(第1工程)。 次いで化合物(RaNH−A1−O−R
1)に1〜5M塩化水素/ジオキサン等の酸の有機溶媒
溶液を氷冷下に加えて攪拌し、アミノ基の保護基を除去
するとともに生成したアミンと塩化水素との塩とし、エ
ーテル等の結晶化有機溶媒を加え、析出した結晶を濾取
し、更に必要に応じて有機溶媒で洗浄し、減圧乾燥し、
化合物(R1−A−H塩酸塩)を得ることができる(第
2工程)。 〔1−2〕 式(2)の桂皮酸誘導体は例えば以下に示
す反応により製造される。
【0031】なお、以下の説明において、式(2)の−
B−OHで表される部分を、反応の説明のために−HN
−B1−COOHと表記することもある。一般式R1−O
Hで表される桂皮酸誘導体のカルボキシル基を、アミノ
基とカルボキシル基を有するアミノ酸(H2N−B1−C
OOH)のアミノ基のみと選択的に反応させ、アミド結
合を形成させれば一般式(2)で表される目的物を得る
ことができる。アミノ酸のアミノ基のみを選択的に反応
させるためには、アミノ酸をアルカリ溶液に溶解させ、
1−OHのカルボキシル基を活性化させた化合物を加
える方法(合成法1)、または予めアミノ酸のカルボキ
シル基が保護されたアミノ酸エステル(H2N−B1−C
OORb)を用い、R1−OHのカルボキシル基とアミノ
酸エステルのアミノ基とを反応させた後、カルボキシル
基の保護基を通常の方法で除去する方法(合成法2)の
2通りが考えられる。各合成法を以下のスキームに記
す。 合成法1 R1−X + H2N−B1−COOM (M:アルカリ金属) ↓アミド化反応、アルカリ条件下 ↓酸処理 R1−HN−B1−COOH [式(2):R1−B−OH] 合成法2 R1−X+H2N−B1−COORb ↓アミド化反応 R1−NH−B1−COORb ↓脱保護 R1−B−OH 以下、各合成法について具体的に記す。 [合成法1]アミノ酸(H2N−B1−COOH)を水に
溶解させ、氷冷下、R1−OHで表される桂皮酸誘導体
のカルボキシル基を活性化した化合物(例えば、R1
Xで表される桂皮酸ハロゲン化物(例、桂皮酸塩化
物);(R12Oで表される桂皮酸の酸無水物;R1
O−R’で表される混合酸無水物)およびアルカリ溶液
を反応液がアルカリ性を維持できるようゆっくりと滴下
する。この時疎水性の高い桂皮酸誘導体が析出しないよ
う有機溶媒を混合しておくことが好ましい。具体的には
ジオキサンやジメチルホルムアミド等が好ましく、特に
ジオキサンが好ましい。また、アルカリ溶液としては水
酸化ナトリウムや水酸化カリウムの水溶液が好ましい。
これらのアルカリ溶液で反応液をアルカリ性に保つこと
によりアミノ酸のカルボキシル基はこれらアルカリ金属
と塩を形成し、また、同時にアミノ基が脱プロトン化す
るため選択的にアミノ基とのみ反応することができる。
反応液は有機溶媒で分液洗浄後、酸性にし、抽出操作に
より目的化合物R1−B−OHを単離することができ
る。 [合成法2]アミノ酸のカルボキシル基を適当な保護基
で保護したアミノ酸エステル(H2N−B1−COOR
b)を無水の有機溶媒に溶解あるいは懸濁させ、氷冷下
で、R1−OHで表される桂皮酸誘導体のカルボキシル
基を活性化した化合物(上記と同義)と有機塩基を順次
加えて反応させる。カルボキシル基の保護基としては生
成物に影響を及ぼさなければ特に制限はなく、具体的に
はメチルエステル、エチルエステル、t−ブチルエステ
ル、ベンジルエステル等が挙げられる。反応液を酸、ア
ルカリで分液洗浄することにより未反応物を除去でき、
場合によっては再結晶等の精製をすることが望ましい。
【0032】この様にして得られた化合物(R1−NH
−B1−COORb )のカルボキシル保護基を適当な条
件で切断すれば目的化合物R1−B−OHを得ることが
できる。例えばメチルエステル、エチルエステルであれ
ばアルカリによって、t−ブチルエステルであれば酸に
よって、また、ベンジルエステルであれば水素添加によ
って除去できる。
【0033】より具体的には以下の各合成法により化合
物R1−B−OHを合成できる。 [合成法1]アミノ酸を水に溶解し、氷冷下、アミノ酸
と当量のR1−OHのハロゲン化物(R1−X)のジオキ
サン溶液および水酸化ナトリウム水溶液を反応液がアル
カリ性を保つようにゆっくり滴下する。滴下後反応液を
室温で一昼夜攪拌し、ジオキサンを減圧留去した後、酢
酸エチルで該水相を数回洗浄し、原料を除去する。水相
をくえん酸等の酸で酸性に変えた後、酢酸エチルを加え
て数回抽出、得られた有機相を無水硫酸ナトリウム水溶
液で乾燥した後、溶液を減圧濃縮すれば目的物R1−B
−OHを得ることができる。 [合成法2]例えばアミノ酸のメチルエステルもしくは
エチルエステル等の低級アルキルエステル(H2N−B1
−COORb)あるいはその塩を用いる場合、まずそれ
ら化合物をクロロホルムに溶解あるいは懸濁させ、氷冷
下で中性条件を保てるようにトリエチルアミン等の有機
塩基を加え、アミノ酸エステルと当量のR1−OHのハ
ロゲン化物(R1−X)のクロロホルム溶液を加え、室
温で一昼夜攪拌する。酢酸エチルを加え、弱酸性水溶液
で数回、水、弱アルカリ性水溶液で数回、水、飽和食塩
水の順で分液洗浄し、無水硫酸ナトリウムで有機相を乾
燥する。硫酸ナトリウムを濾取し、濾液を減圧濃縮する
と化合物R1−NH−B1−COORbを得ることができ
る。
【0034】この化合物をメタノールに溶解させ、氷冷
下で水酸化ナトリウム水溶液を過剰に加え、室温で一昼
夜攪拌する。反応液を減圧濃縮し、クロロホルムと水を
加え、目的物を水相に抽出し、水相にくえん酸等の酸を
酸性になるまで加え、酢酸エチルで数回抽出し、有機相
を飽和食塩水で洗浄する。有機相を無水硫酸ナトリウム
で乾燥し、硫酸ナトリウムを濾取し、濾液を減圧濃縮す
れば目的物R1−B−OHを得ることができる。 〔1−3〕 式(3)の桂皮酸誘導体は例えば以下に示
す反応により製造される。
【0035】なお、以下の説明において、式(3)の−
C−Hで表される部分を、反応の説明のために−CO−
1−NH2と表記することもある。一般式R2−Hで表
されるアミノ桂皮酸エステルのアミノ基と、アミノ酸
(H2N−C1−COOH)のカルボキシル基を選択的に
反応させアミド結合を形成させれば目的化合物R2−C
−Hを得ることができる。アミノ酸のカルボキシル基を
選択的に反応させるためには、通常、予めアミノ基が保
護されたN−保護アミノ酸(RaNH−C1−COOH)
を用いることが好ましく、R2 −Hのアミノ基とRaN
H−C1−COOHのカルボキシル基とによってアミド
結合を形成させてRaNH−C1−CO−R2、すなわち
アミノ基が保護された、R2−C−Hを得(第1工
程)、これを適当な条件下で脱保護すれば目的化合物を
得ることができる(第2工程)。上記アミド化反応、脱
保護の2工程により目的物を得ることができ、以下にそ
の合成スキームを記す。 以下に各工程を具体的に記す。 [第1工程]予めアミノ基が保護されたN−保護アミノ
酸(RaNH−C1−COOH)のカルボキシル基を活性
化し(例えば、RaNH−C1−CO−Xで表されるN−
保護アミノ酸ハロゲン化物;(RaNH−C1−CO)2
Oで表されるN−保護アミノ酸の酸無水物;RaNH−
1−CO−O−R’で表される混合酸無水物)、有機
塩基の存在下、アミノ桂皮酸エステルR2−Hのアミノ
基と反応させる。N−保護アミノ酸のアミノ保護基とし
ては、保護基の切断条件でアミノ桂皮酸エステルのエス
テル部が切断されなければ特に制限はなく、例えばt−
ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、
9−フルオレニルメトキシカルボニル基等が挙げられる
が、t−ブトキシカルボニル基が好ましい。反応液を
酸、アルカリによって分液洗浄することにより化合物R
aNH−C1−CO−R2を得ることができる。場合によ
っては再結晶、カラム精製などの通常の精製手段で、さ
らに精製を行うことが好ましい。 [第2工程]第1工程で得た化合物(RaNH−C1−C
O−R2)のアミノ保護基を適当な条件で脱保護するこ
とにより目的物R2−C−Hを得ることができる。脱保
護に際し、アミノ桂皮酸エステルのエステル部が低級ア
ルキル基であるため、アルカリケン化による脱保護は好
ましくはない。酸による脱保護、あるいは水素添加等に
よる脱保護が好ましく、より好ましくは脱保護と同時に
塩形成可能な酸による脱保護が挙げられる。さらに具体
的には、例えばt−ブトキシカルボニル基を保護基に用
いた場合、塩化水素、臭化水素、トリフルオロ酢酸等の
酸による脱保護、塩形成が挙げられるが、次の工程であ
る高分子への導入を考慮するとトリフルオロ酢酸等のカ
ルボキシル基を有する酸との塩形成は好ましくなく、ハ
ロゲン化水素、特に塩化水素による脱保護、塩形成がよ
り好ましい。
【0036】化合物(R2−C−H)のより具体的合成
法は、以下の通りである。化合物(RaNH−C1−CO
OH)をクロロホルム等の有機溶媒に溶解し、氷冷下ト
リエチルアミン等の有機塩基、塩化ジメチルホスフィノ
チオイルあるいは塩化ピバロイル等の縮合試薬を順次加
え、室温で攪拌する。この溶液に化合物R2−Hあるい
はその塩、トリエチルアミン等の塩基を氷冷下加え、室
温で数十分〜数十時間攪拌する。反応終了後、有機溶媒
を減圧留去し、酢酸エチル等の有機溶媒を加え、弱酸性
水溶液等で数回、水、弱アルカリ水溶液で数回、水、飽
和食塩水等で分液洗浄した後、有機相を無水硫酸ナトリ
ウム等で乾燥する。無水硫酸ナトリウム等を濾取し、濾
液を減圧濃縮して化合物(RaNH−C1−CO−R2
を得る。次いで化合物(RaNH−C1−CO−R2)に
1〜5M塩化水素/ジオキサン等の酸の有機溶媒溶液等
を氷冷下加え攪拌する。反応終了後エーテル等の有機溶
媒を加え、析出した結晶を濾取し、更に有機溶媒で洗浄
し、減圧乾燥し、化合物(R2−C−H)の塩酸塩を得
る。 〔2〕桂皮酸高分子誘導体の合成 上記スペーサーを導入した式(1)〜(3)の桂皮酸誘
導体は、すべて新規物質であり、該誘導体の官能基と反
応し得る所定の官能基を有する高分子化合物と反応させ
ることにより下記式(13)〜(15)で示される桂皮
酸高分子誘導体を得ることができる。
【0037】R1−A−P1 (13) R1−B−P2 (14) R2−C−P1 (15) 式中、R1、R2、A、BおよびCは前記のものと同意義
であり、P1はカルボキシル基を有する高分子化合物の
残基を、P2はアミノ基または水酸基を有する高分子化
合物の残基をそれぞれ示し、A−P1の結合は式(6)
〜(9)の残基の末端のアミノ基とP1のカルボキシル
基とのアミド結合を、B−P2の結合は式(10)の残
基の末端のカルボキシル基とP2のアミノ基または水酸
基とのアミド結合またはエステル結合を、C−P1の結
合は式(11)または(12)の残基の末端のアミノ基
とP1のカルボキシル基とのアミド結合をそれぞれ示
す。
【0038】P1またはP2を含む高分子化合物として
は、カルボキシル基、アミノ基および/または水酸基を
有する多糖類(例えばグリコサミノグリカン、ポリアミ
ノ糖、酸性多糖など)、合成高分子(例えば、ポリアク
リル酸、ポリイミン、ポリヒドロキシ酸(例、ポリグリ
コール酸、ポリ乳酸など))等が挙げられる。そのなか
でも多糖類が好ましく、特にグリコサミノグリカンが好
ましい。グリコサミノグリカンとしてはヒアルロン酸、
コンドロイチン硫酸(A,C,D,E,K)、デルマタ
ン硫酸(コンドロイチン硫酸B)、コンドロイチン、ヘ
パリン、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸が例示され、とり
わけ入手が容易なヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸
A、コンドロイチン硫酸Cおよびヘパリンが好ましい。
また、キチン、キトサン等のポリアミノ糖も好ましい。
【0039】反応後の精製はエタノール沈澱法、透析と
いった常法にて行われ、乾燥後プロトンNMR(核磁気
共鳴)の積分強度または280nmにおける吸光度を測
定することによりDSを求めることができる。
【0040】〔2−1〕 上記式(13)または(1
5)で表される桂皮酸高分子誘導体は、P1で表される
残基を有する高分子化合物を、水単独または水混和性有
機溶媒を含んだ水溶液に溶解し、例えば、水溶性カルボ
ジイミドと縮合補助剤の存在下、式(1)で表される桂
皮酸誘導体または式(3)で表される桂皮酸誘導体を反
応させることにより製造することができる。桂皮酸誘導
体の導入は、具体的には上記のような高分子化合物を水
単独または水混和性有機溶媒を含んだ水溶液に溶解し、
その溶液に、ゆっくりと攪拌しながら0℃〜40℃程度
(通常、0℃〜35℃)温度に保持して、水溶性カルボ
ジイミド、縮合補助剤、ならびに上記の桂皮酸誘導体を
順次加えることにより行うことができる。
【0041】水混和性有機溶媒としては、ジオキサン、
ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリド
ン、アセトアミド、アルコール(メタノール、エタノー
ル等)またはピリジン等が例示される。ここで、水混和
性有機溶媒を含んだ水溶液の水混和性有機溶媒の割合
(有機溶媒混和率=ΔO)は、次式で表せる。
【0042】ΔO(%)=100×水混和性有機溶媒容
量/水混和性有機溶媒を含んだ水溶液の容量 ΔOは、約0〜75%、好ましくは、30〜50%であ
る。縮合補助剤としては、N−ヒドロキシスクシンイミ
ド(HOSu)、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール
(HOBt)等が挙げられる。この縮合補助剤の機能
は、高分子化合物のカルボキシル基を活性化するばかり
でなく、不要なO→N−アシル転位を防ぐものである。
【0043】水溶性カルボジイミド(WSC)として
は、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)
−カルボジイミド塩酸塩(EDC)、1−エチル−3−
(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドメチオ
シド、1−シクロヘキシル−3−(2−モルフォリノエ
チル)カルボジイミド塩酸塩等が挙げられる。 〔2−2〕 上記式(14)で表される桂皮酸高分子誘
導体は、P2で表される残基を有する高分子化合物と式
(2)で表される桂皮酸誘導体を反応させることによっ
て合成することができる。その反応方法はB−P2の結
合様式、すなわちP2で表される高分子化合物の官能基
によって異なる。 〔2−2−1〕 結合様式がアミド結合であるとき、す
なわち該高分子化合物のアミノ基と式(2)で表される
桂皮酸誘導体のカルボキシル基とを反応させる場合は、
該カルボキシル基を活性化して該高分子化合物と反応さ
せてアミド結合を形成させる。
【0044】具体的には、アミノ基をもつ高分子化合物
を、酸性水単独あるいはアルコール等の有機溶媒を含有
する酸性水溶液に溶解し、その溶液に式(2)で表され
る桂皮酸誘導体のカルボキシル基を予め活性化させたも
のを0℃〜室温でゆっくり添加することにより行うこと
ができる。カルボキシル基の活性化法は、アミノ基とア
ミド結合を形成しうる方法であれば特に制限はなく、例
えば、酸ハロゲン化法、酸無水物法、活性エステル法等
が挙げられる。例えば、上記桂皮酸誘導体の有機溶媒
(例、DMF)溶液に、氷冷下縮合剤(例、塩化ジメチ
ルホスフィノチオイル等)と塩基(例、トリエチルアミ
ン等)を添加してカルボキシル基を混合酸無水物法によ
り活性化し、これを高分子化合物の酸性アルコール水溶
液(例、メタノール−酢酸)に加えて0℃〜室温でゆっ
くり添加して反応させることによって目的とする桂皮酸
高分子誘導体を得ることができる。 〔2−2−2〕 結合様式がエステル結合であるとき、
すなわち該高分子化合物の水酸基と式(2)で表される
桂皮酸誘導体のカルボキシル基とを反応させる場合は、
該カルボキシル基を活性化して該高分子の水酸基と反応
させてエステル結合を形成させる。その際、触媒を反応
系に存在させると、更に効率よく導入することができ
る。
【0045】具体的には、水酸基をもつ高分子化合物を
有機溶媒に溶解し、その溶液に式(2)で表される桂皮
酸誘導体のカルボキシル基を予め活性化したものを、触
媒存在下、0℃〜室温でゆっくり添加することによって
行うことができる。桂皮酸誘導体のカルボキシル基の活
性化は前記〔2−2−1〕と同様に行うことができる。
上記有機溶媒としては、エステル化反応を阻害せず、該
高分子化合物を溶解するものならよく、例えば、DM
F、N−メチルピロリドン、ジオキサン、ジメチルスル
ホキシド(DMSO)等が挙げられる。また、触媒とし
ては、エステル化を促進するものであれば特に制限はな
く、4−ジメチルアミノピリジン等が望ましい。
【0046】〔3〕架橋桂皮酸誘導体の調製 〔3−1〕 本発明の桂皮酸高分子誘導体を光架橋に付
す際に、種々の形態に調製することができる。具体的に
は、溶液、フィルム、ゲル、微粒子等の形態が例示され
る。なお、使用する高分子化合物がグリコサミノグリカ
ンのような、親水性が高く、生体適合性の良い化合物で
ある場合は、桂皮酸高分子誘導体を光架橋した架橋桂皮
酸高分子誘導体は種々の医療目的(生体組織の癒着防止
剤、人工血管の素材もしくはコーティング剤、医薬品の
徐放性製剤の基剤、コンタクトレンズの素材、バンデー
ジの素材等)に適しているが、桂皮酸高分子誘導体を、
このような目的に応じた形態に加工した後、紫外線を照
射して光架橋を行うことができる。
【0047】本発明の桂皮酸高分子誘導体をこれら種々
の形態に加工するために任意の公知技術が適用できる。
すなわち、桂皮酸高分子誘導体溶液または固形状の該誘
導体に含まれる水あるいは水混和性有機溶媒の量(有機
溶媒混和率)、温度、加圧力等を目的に応じて選定し、
これらを適宜調整することによって加工することができ
る。
【0048】また、このような医療目的に適した架橋桂
皮酸高分子誘導体の調製にあたり、前記の原料の合成に
使用する試薬、水および容器、ならびに桂皮酸高分子誘
導体の加工、光架橋に使用する水および容器等に注意を
払い、無菌に保つことで目的とする光架橋桂皮酸高分子
誘導体を無菌でしかも実質的にエンドトキシンフリーと
することができる。
【0049】具体的には、桂皮酸高分子誘導体を生成し
た反応液をそのまま利用すること、桂皮酸高分子誘導体
を反応液から一度分離、精製し、水等に再溶解すること
等により溶液として調製することができる。フィルムの
場合は、桂皮酸高分子誘導体溶液(例えば、水溶液)
を、例えば流延(キャスト)法に従って溶液から溶媒を
除去することによって調製することができる。ゲルの場
合は、該フィルムのものを水に浸漬する等の方法によっ
て調製することができ、微粒子の場合は、フィルムまた
はゲルのものを物理的に粉砕することによって調製する
ことができる。
【0050】〔3−2〕 本発明の架橋桂皮酸高分子誘
導体は、桂皮酸高分子誘導体の光二量化性架橋基同志が
架橋シクロブタン環を形成してなるものであり、桂皮酸
高分子誘導体に紫外線を照射することにより得られる。
ここで、紫外線照射手段としては、高圧水銀灯またはメ
タルハライドランプ等を光源とする照射方法が挙げら
れ、通常、上記の桂皮酸高分子誘導体のフィルム、ゲ
ル、微粒子等に数分間の照射を行う。これは、例えば従
来の高DSの光架橋性ヒアルロン酸誘導体を光架橋する
ためには通常、30分の照射が必要であったことからす
ると格段に照射時間が短縮されたことになるが、この効
果は特に桂皮酸にスペーサー(式(1)〜(3)の桂皮
酸誘導体におけるA、BまたはCの残基)が導入された
ものを使用することにより高められるものと考えられ
る。
【0051】式(1)〜(3)で表される桂皮酸誘導体
は、通常、トランス体で存在し、分子間距離が4オング
ストローム(Å)距離にある時に特定波長の紫外線を照
射されると二量化し、それ以外の分子間距離では二量化
せず、例え分子が励起されても光反応に不活性な幾何異
性体であるシス体に異性化する。本発明における桂皮酸
誘導体は、高分子化合物に導入されると桂皮酸高分子誘
導体を形成するが、例えば、導入されたグリコサミノグ
リカン等の高分子化合物鎖上での光二量化反応も前記と
原理的には同様で、光二量化反応時にまず桂皮酸誘導体
が二量化可能な分子間距離にあることが重要となる。
【0052】本発明においては、一般式(13)〜(1
5)から選択される1種以上の桂皮酸高分子誘導体、す
なわち、化合物(13)同士、化合物(14)同士、化
合物(15)同士、化合物(13)と(14)、化合物
(13)と(15)、化合物(14)と(15)、化合
物(13)〜(15)のR1同士、R2同士あるいはR1
とR2とが光二量化反応して架橋シクロブタン環を形成
してなる架橋桂皮酸高分子誘導体を形成することができ
る。そして、化合物(13)〜(15)の同一一般式の
化合物において光架橋が行われる場合、反応に供される
具体的化合物は同一でも異なってもよい。
【0053】また、本発明における架橋桂皮酸高分子誘
導体の架橋シクロブタン環としては、通常、トルキシン
酸誘導体とトルキシル酸誘導体の2種の構造異性体が存
在し、それぞれ複数の立体異性体が存在するが、本発明
の架橋桂皮酸誘導体はいずれの構造であってもよい。例
えば、桂皮酸高分子誘導体の光架橋反応は、桂皮酸高分
子誘導体を流延(キャスト)法によりフィルム化した
後、紫外線を照射して行うことができるが、このフィル
ム加工時の分子配向によって光架橋反応における反応性
が決まると考えられる。
【0054】図1に本発明の架橋桂皮酸高分子誘導体生
成のための光反応の概念図を示すが、これらの光二量化
反応性は、スペーサーの導入により直接高分子化合物鎖
に桂皮酸を導入したものに較べ、スペーサーの持つ自由
度により向上するが、それ以外にスペーサーの持つ疎水
性も光反応に特に大きな影響を及ぼす。図1は本発明の
光架橋の反応を概念的に示すものであるが、同図におい
て、1は、桂皮酸高分子誘導体を示し、桂皮酸高分子誘
導体1は高分子化合物2に桂皮酸誘導体を結合したもの
であり、桂皮酸誘導体はスペーサー3にトランス−桂皮
酸4を結合してなる。この桂皮酸高分子誘導体1に紫外
線(UV)を照射するとトランス−桂皮酸の光架橋基同
士が結合してシクロブタン環を形成し、二量体化体6と
なり、桂皮酸高分子誘導体1は架橋桂皮酸高分子誘導体
5に変化する。この光架橋反応に関与しないでシス−桂
皮酸7として残存しているものもある。
【0055】グリコサミノグリカンのような親水性の高
分子に桂皮酸誘導体を導入し、これを脱水成形(フィル
ム化等)する場合、桂皮酸誘導体の疎水性が高いと、成
形時にこれらは疎水結合により互いに引きつけ合い凝集
するため、光二量化し易い分子配向を取り易いと考えら
れる。このため桂皮酸誘導体の疎水性の増加は、光二量
化反応性向上の一因となる。桂皮酸高分子誘導体上の該
架橋基同士の光二量化反応は、架橋シクロブタン環によ
る桂皮酸高分子誘導体の三次元網目構造の構築をもたら
し、これら網目構造の架橋密度は光架橋基、すなわち桂
皮酸誘導体の光二量化反応性により決定される。架橋密
度の違いはその架橋体の吸水率や強度に影響を及ぼす。
通常、架橋密度が高いと吸水率は低下するが強度は向上
する。従って高分子化合物に同じ導入率でこれら架橋基
を導入し、同じ時間紫外線照射してもスペーサーの違い
により種々の物性に違いが生じる。このため適当なスペ
ーサーを選択することによっても架橋桂皮酸高分子誘導
体の物性のコントロールが可能である。
【0056】桂皮酸誘導体を導入する高分子化合物に生
体成分であるグリコサミノグリカンを用いることは、医
療材料への応用を考える際、その本来の特性を生かせる
意味で望ましく、また、生体に対するダメージもほとん
ど考慮しなくてよい。また、スペーサーの導入により高
感度の桂皮酸誘導体を得られたことは、より低い架橋基
の導入率、短い紫外線照射時間で架橋桂皮酸高分子誘導
体が得られることを可能にし、このことは架橋基の生体
への影響が無視できる程度での導入率で架橋桂皮酸高分
子誘導体の物性のコントロールができ、故に導入高分子
化合物、例えばグリコサミノグリカン本来の性質をほと
んど損なわず維持できる。
【0057】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を説明するが、
本発明は、これに限定されるものではない。 〔桂皮酸誘導体の合成〕尚、t−ブトキシカルボニルを
Bocと記す。
【0058】〔1−1〕実施例1〜6:式(1)および
(6)からなる下記式で示される化合物の合成
【0059】
【化5】
【0060】(R1において、R3=R4=H、R1a=H
あるいはアミノ保護基) 実施例1:桂皮酸3−アミノプロピルエステル[化合物
(1a−1),n=3,R1a=H]塩酸塩の合成 1−1:[化合物(1−1),n=3,R1a=Boc]の
合成 t−ブトキシカルボニル3−アミノプロパノール1.2
1g(6.9mmol)にクロロホルム6mlを加え、
氷冷下、トリエチルアミン956μl(6.9mmo
l)、桂皮酸クロリド1.15g(6.9mmol)、
4−ジメチルアミノピリジン253mg(2.1mmo
l)を順次加えた。室温で20分攪拌した後、この反応
液に酢酸エチルを加え、5%クエン酸水溶液で2回、
水、5%炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、水、飽和食
塩水で分液洗浄した後、有機相を無水硫酸ナトリウムで
乾燥した。該硫酸ナトリウムを濾取し、濾液を減圧濃縮
し後、析出した白色固体をヘキサンで洗浄、減圧乾燥
し、化合物(1−1)を1.38g(収率65%)得
た。
【0061】1−2:桂皮酸3−アミノプロピルエステ
ル[化合物(1a−1),n=3,R1a=H]塩酸塩の
合成 化合物(1−1)860mg(2.8mmol)に4M
塩化水素/ジオキサン溶液6mlを氷冷下加え35分室
温で攪拌した。エーテルを加え、析出した結晶を濾取し
エーテルで洗浄した。減圧乾燥し、白色結晶として化合
物(1a−1)を得た。収率76%。融点115.2−
116.3℃1 H-NMR(400MHz,D2O)δ(ppm)=2.16(2H,quant,H2NCH 2CH 2C
H2O-),3.21(2H,t,H2NCH 2CH2CH2O-),4.37(2H,t,H2NCH2CH
2CH 2O-),6.62(1H,d,-CH= CHCO-),7.52(3H,m,Aromatic H
3,4,5位),7.72(2H,dd,Aromatic H 2,6位),7.80(1H,d,-
CH=CHCO-) 実施例2:桂皮酸4−アミノブチルエステ
ル[化合物(1a−2),n=4,R1a=H]塩酸塩の
合成 2−1:[化合物(1−2),n=4,R1a=Boc]の
合成 実施例1−1に準じ、標記化合物を合成した。収率93
%。
【0062】2−2:桂皮酸4−アミノブチルエステル
[化合物(1a−2),n=4,R1a=H]塩酸塩の合
成 実施例1−2に準じ、標記化合物を合成した。収率88
%。融点91.2−92.41 H-NMR(400MHz,D2O)δ(ppm)=1.85(4H,m,H2NCH2(CH2 )2CH
2O-),3.10(2H,t,H2NCH2 (CH2)3O-),4.30(2H,t,H2N(CH2) 3
CH2 O-),6.83(1H,d,-CH=CHCO-),7.53(3H,m,Aromatic H
3,4,5位),7.70(2H,dd,Aromatic H 2,6位),7.80(1H,d,-C
H=CHCO-) 実施例3:桂皮酸5−アミノペンチルエステ
ル[化合物(1a−3),n=5,R1a=H]塩酸塩の
合成 3−1:[化合物(1−3),n=5,R1a=Boc]の
合成 実施例1−1に準じ、標記化合物を合成した。収率約1
00%。
【0063】3−2:桂皮酸5−アミノペンチルエステ
ル[化合物(1a−3),n=5,R1a=H]塩酸塩の
合成 実施例1−2に準じ、標記化合物を合成した。収率88
%。融点150.3−153.4℃1 H-NMR(400MHz,D2O)δ(ppm)=1.52(2H,quant,H2NCH2CH 2C
H2 CH2CH2O-),1.70-1.86(4H,m,H2NCH 2CH2 CH 2CH2 CH2O-),
3.05(2H,t,H2NCH2 (CH2)4O-),4.29(2H,t,H2N(CH2) 4CH2 O
-),6.61(1H,d,-CH=CHCO-),7.51(3H,m,Aromatic H 3,4,5
位),7.69(2H,d,Aromatic H 2,6位),7.78(1H,d,-CH=CHCO
-) 実施例4:桂皮酸6−アミノヘキシルエステル[化合物
(1a−4),n=6,R1a=H]塩酸塩の合成 4−1:[化合物(1−4),n=6,R1a=Boc]の
合成 実施例1−1に準じ、標記化合物を合成した。収率99
%。
【0064】4−2:桂皮酸6−アミノヘキシルエステ
ル[化合物(1a−4),n=6,R1a=H]塩酸塩の
合成 実施例1−2に準じ、標記化合物を合成した。収率86
%。融点98.8−100.4℃1 H-NMR(400MHz,D2O)δ(ppm)=1.48-1.53(4H,m,H2NCH2CH2
(CH2 )2CH2CH2O-),1.63-1.83(4H,m,H2NCH 2CH2 (CH2) 2CH2 C
H2O-),3.02(2H,t,H2NCH2 (CH2)5O-),4.28(2H,t,H2N(CH2)
5CH2 O-),6.60(1H,d,-CH=CHCO-),7.53(3H,m,Aromatic H
3,4,5位),7.68(2H,d,Aromatic H 2,6位),7.76(1H,d,-CH
=CHCO-) 実施例5:桂皮酸8−アミノオクチルエステル[化合物
(1a−5),n=8,R1a=H]塩酸塩の合成 5−1:[化合物(1−5),n=8,R1a=Boc]の
合成 実施例1−1に準じ、標記化合物を合成した。収率87
%。
【0065】5−2:桂皮酸8−アミノオクチルエステ
ル[化合物(1a−5),n=8,R1a=H]塩酸塩の
合成 実施例1−2に準じ、標記化合物を合成した。収率88
%。融点86.5−87.3℃1 H-NMR(400MHz,D2O)δ(ppm)=1.31-1.48(8H,m,H2NCH2CH2
(CH2 )4CH2CH2O-),1.62-1.79(4H,m,H2NCH 2CH2 (CH2) 4CH2 C
H2O-),2.99(2H,t,H2NCH2 (CH2)7O-),4.26(2H,t,H2N(CH2)
7CH2 O-),6.58(1H,d,-CH=CHCO-),7.52(3H,m,Aromatic H
3,4,5位),7.68(2H,d,Aromatic H 2,6位),7.76(1H,d,-CH
=CHCO-) 実施例6:桂皮酸12−アミノドデシルエステル[化合
物(1a−6),n=12,R1a=H]塩酸塩の合成 6−1:[化合物(1−6),n=12,R1a=Boc]
の合成 実施例1−1に準じ、標記化合物を合成した。収率約1
00%。
【0066】6−2:桂皮酸12−アミノドデシルエス
テル[化合物(1a−6),n=12,R1a=H]塩酸
塩の合成 実施例1−2に準じ、標記化合物を合成した。収率82
%。融点90.7−93.1℃1 H-NMR(400MHz,D2O)δ(ppm)=1.24-1.50(16H,m,H2NCH2CH
2(CH2 )8CH2CH2O-),1.64(2H,quant,H2NCH 2CH2 (CH2)10O
-),1.76(2H,quant,H2N(CH2) 10CH2 CH2O-),2.96(2H,t,H2N
CH2 (CH2)11O-),4.28(2H,t,H2N(CH2) 11CH2 O-),6.61(1H,
d,-CH=CHCO-),7.53(3H,m,Aromatic H 3,4,5位),7.68(2
H,d,Aromatic H 2,6位),7.76(1H,d,-CH=CHCO-) 〔1−2〕式(1)および(7)からなる下記式で示さ
れる化合物の合成
【0067】
【化6】
【0068】(R1において、R3=R4=H) 実施例7:桂皮酸2−(2−アミノエトキシ)エチルエ
ステル[化合物(1a−7),m=2,R1a=H]塩酸
塩の合成 7−1:[化合物(1−7),m=2,R1a=Boc]の
合成 実施例1−1に準じ、Boc-NH(CH2)3OHをBoc-NH(CH2CH
2O)2Hに代え標記化合物を合成した。収率85% 7−2:桂皮酸2−(2−アミノエトキシ)エチルエス
テル[化合物(1a−7),m=2,R1a=H]塩酸塩
の合成 実施例1−2に準じ、化合物(1−1)を化合物(1−
7)に代え標記化合物を合成した。収率約100%。融
点80.8−82.5℃1 H-NMR(400MHz,D2O)δ(ppm)=3.26(2H,t,H 2CH2 CH2O-),3.
84(2H,t,H2NCH 2CH2 O-),3.88(2H,t,-0CH2 CH2OCO-),4.40
(2H,t,-OCH2 CH2OCO-),6.54(1H,d,-CH=CHCO-),7.49(3H,
m,Aromatic H 3,4,5位),7.64(2H,m,Aromatic H 2,6位),
7.73(1H,d,-CH=CHCO-) 〔1−3〕式(1)および(8)からなる下記式で示さ
れる化合物の合成
【0069】
【化7】
【0070】(R1において、R3=R4=H、式(8)
においてR6=H、R7=CH3 ) 実施例8:O−シン
ナモイルセリンメチルエステル[化合物(1a−8),
1a=H]塩酸塩の合成 8−1:[化合物(1−8),R1a=Boc]の合成 t−ブトキシカルボニルセリンメチルエステル 1.9
3g(8.8mmol)をクロロホルム9mlに溶解さ
せ氷冷下、桂皮酸無水物2.94g(10.6mmo
l)のクロロホルム10ml溶液、トリエチルアミン
1.46ml(10.6mmol)、4−ジメチルアミ
ノピリジン645mg(4.4mmol)のクロロホル
ム2ml溶液を順次加えた。室温で35分攪拌後、減圧
濃縮により液量を減少させた後、酢酸エチルを加えた。
この溶液を5%クエン酸溶液で2回、水で1回、5%炭
酸水素ナトリウム水溶液で2回、水で1回、飽和食塩水
で2回洗浄した後、有機相を無水硫酸ナトリウムにより
1時間脱水した。硫酸ナトリウムを濾過した後濾液を減
圧濃縮した。エーテルを加え結晶化した後、酢酸エチル
−石油エーテルにより再結晶し、白色結晶として化合物
(1−8)を2.10g(収率68%)で得た。構造は
H1−NMRで確認した。1 H-NMR(400MHz,CDCl3) δ(ppm)=1.45(9H,s,Boc-),3.80
(3H,s,-COOCH3),4.51(2H,dd,β-CH2),4.65(1H,br,α-C
H),5.38(1H,br,CONH),6.40(1H,d,PhCH=CH-),7.45(5H,m,
Ph-),7.70(1H,s,PhCH=CH-) 8−2:O−シンナモイルセリンメチルエステル[化合
物(1a−8),R1a=H]塩酸塩の合成 化合物(1−8)1.48g(4.2mmol)に氷冷
下でトリフルオロ酢酸を結晶が浸るまで加え30分放置
した。更に4M塩化水素/ジオキサン溶液1.1mlを
加え、次いでヘキサンを加え結晶化した後、結晶を濾取
しガラスフィルター上でエーテル−ヘキサンで洗浄し白
色結晶として化合物(1a−8)を1.39g(収率9
1%)で得た。融点144.5−147.0℃1 H-NMR(400MHz,D2O) δ(ppm)=3.92(3H,s,-COOCH3),4.58
-4.75(3H,dd,Ser α-H,β-H),6.80(1H,d,-CH=CHCO-),7.
50(3H,m,Aromatic H 3,4,5位),7.68(2H,d,Aromatic H
2,6位),7.82(1H,d,-CH=CHCO-) 〔1−4〕実施例9〜11:式(1)および(9)から
なる下記式で示される化合物の合成
【0071】
【化8】
【0072】(R1において、R3=R4=H) 実施例9:[化合物(1a−9),l=2,R1a=H,
8=H]塩酸塩の合成 t−ブトキシカルボニルグリシン175mg(1.0m
mol)をクロロホルム2mlに溶解させ、トリエチル
アミン139μl(1.0mmol)、1M塩化ジメチ
ルホスフィノチオイル/クロロホルム溶液1.0ml
(1.0mmol)を氷冷下で加え、室温で20分攪拌
した。再度トリエチルアミン139μl(1.0mmo
l)と予め調製した桂皮酸2−アミノエチルエステル塩
酸塩/トリエチルアミン139μl(1.0mmol)
/クロロホルム2ml溶液を氷冷下で加えた後、室温で
2時間攪拌した。反応終了後、メタノール4mlとアン
モニア水1mlを加え、30分攪拌した後、溶液を一度
減圧濃縮し、酢酸エチルを加え、水、5%炭酸水素ナト
リウム水溶液で2回、水、5%くえん酸溶液で2回、
水、飽和食塩水で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウ
ムで乾燥させた後、減圧濃縮し[化合物(1−9),l
=2,R1a=Boc,R8 =H]を得た。次いで得られた
化合物に4M塩化水素/ジオキサン溶液を氷冷下で3m
l加え、室温で30分攪拌した後、減圧濃縮し白色固体
として目的の化合物(1a−9)106mg(収率35
%)を得た。融点162.5−165.8℃1 H-NMR(400MHz,D2O) δ(ppm)=3.83(2H,s,-NHCH2 CO-),3.
66(2H,t,-NHCH2 CH20-),4.38(2H,t,-NHCH 2CH2 0-),6.62(1
H,d,-CH=CHCO-),7.53(3H,m,Aromatic H 3,4,5位),7.70
(2H,d,Aromatic H 2,6位),7.81(1H,d,-CH=CHCO-) 実施例10:[化合物(1a−10),l=2,R1a
H,R8=CH3]塩酸塩の合成 実施例9に準じ、t−ブトキシカルボニルグリシンをt
−ブトキシカルボニルアラニンに代え標記化合物を合成
した。収率45%。1 H-NMR(400MHz,D2O) δ(ppm)=2.53(3H,d,-CH3),3.55(1
H,dt,-NHCH2 CH20-),3.72(1H,dt,-NHCH2 CH20-),4.08(1H,
qualt,Ala α-H),4.36(2H,t,-NHCH 2CH2 0-),6.58(1H,d,-
CH=CHCO-),7.50(3H,m,Aromatic H 3,4,5位),7.67(2H,d,
Aromatic H 2,6位),7.76(1H,d,-CH=CHCO-) 実施例11:[化合物(1a−11),l=2,R1a
H,R8=(CH32CHCH2−]塩酸塩の合成 実施例9に準じ、t−ブトキシカルボニルグリシンをt
−ブトキシカルボニルロイシンに代え標記化合物を合成
した。収率58%。1 H-NMR(400MHz,D2O) δ(ppm)=0.90(6H,dd,-CH(CH3)2 ),
1.55-1.80(3H,m,-CH2CH(CH3)2),3.44(1H,dt,-NHCH2 CH20
-),3.88(1H,dt,-NHCH2 CH20-),3.99(1H,t,Lue α-H),4.3
9(2H,t,-NHCH 2CH2 0-),6.60(1H,d,-CH=CHCO-),7.51(3H,
m,Aromatic H 3,4,5位),7.70(2H,d,Aromatic H 2,6位),
7.78(1H,d,-CH=CHCO-) 〔2〕実施例12〜15:式(2)および(10)から
なる下記式で示される化合物の合成
【0073】
【化9】
【0074】(R1において、R3=R4=H) 実施例12:シンナモイルグリシン[化合物(2−
1),k=1,R1b=H]の合成 12−1:シンナモイルグリシンメチルエステル[化合
物(2−1b),k=1,R1b=CH3 ]の合成 グリシンメチルエステル塩酸塩1.26g(10mmo
l)をクロロホルム10mlに懸濁させ、氷冷下でトリ
エチルアミン2.77ml(20mmol)、桂皮酸無
水物2.78g(10mmol)/クロロホルム溶液1
0mlを順次加え、室温で一昼夜攪拌した。酢酸エチル
を50ml加え、5%くえん酸水溶液で2回、水、5%
炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、水、飽和食塩水で洗
浄した後、無水硫酸ナトリウムで有機相を乾燥した。硫
酸ナトリウムを濾取し、濾液を減圧濃縮した後、酢酸エ
チル−石油エーテルで再結晶し、板状結晶として化合物
(2−1b)を1.67g(収率71%)で得た。 構
造は1H−NMRで確認した。1 H-NMR(400MHz,CDCl3) δ(ppm)=3.80(3H,s,-OCH3),4.20
(2H,s,-NHCH2 CO-),6.15(1H,br,-CONH-),6.45(1H,d,-CH=
CHCO-),7.45(5H,dd,Aromatic H),7.75(1H,d,-CH=CHCO-) 12−2:シンナモイルグリシン[化合物(2−1),
k=1,R1b=H]の合成 化合物(2−1b)402mg(1.7mmol)をメ
タノール10mlに溶解させ、氷冷下で4M水酸化ナト
リウム水溶液468μl(1.87mmol)を加え、
室温で一昼夜攪拌した。反応液を減圧濃縮し、クロロホ
ルムと水を加え、目的物を水相に抽出した。水相にくえ
ん酸を酸性になるまで加え、酢酸エチルで3回抽出し、
有機相を飽和食塩水で洗浄した。有機相を無水硫酸ナト
リウムで乾燥した後、硫酸ナトリウムを濾取し、濾液を
減圧濃縮した。得られた結晶をガラスフィルター上でエ
ーテル洗浄した後、減圧乾燥し化合物(2−1)を32
4mg(収率86%)で得た。融点194.7−19
7.3℃1 H-NMR(400MHz,CDCl3-DMSO) δ(ppm)=4.11(2H,dd,-NHCH
2 CO-),6.60(1H,dd,-CH=CHCO-),7.05(1H,br,-CONH-),7.3
7(3H,m,Aromatic H 3,4,5位),7.52(2H,dd,Aromatic H
2,6位),7.61(1H,d,-CH=CHCO-) 実施例13:シンナモイル−β−アラニン[化合物(2
−2),k=2,R1b=H]の合成 13−1:シンナモイル−β−アラニンエチルエステル
[化合物(2−2b),k=2,R1b=C25 ]の合
成 実施例12−1に準じ、グリシンメチルエステル塩酸塩
をβ−アラニンエチルエステル塩酸塩に代え標記化合物
を合成した。収率58%。
【0075】13−2:シンナモイル−β−アラニン
[化合物(2−2),k=2,R1b=H]の合成 実施例12−2に準じ、化合物(2−1b)を化合物
(2−2b)に代え標記化合物を合成した。収率85
%。融点140.2−143.7℃1 H-NMR(400MHz,CDCl3-DMSO) δ(ppm)=2.78(2H,t,-NHCH 2
CH2 CO-),3.63(2H,dd,-NHCH2 CH2CO-),6.43(1H,d,-CH=CHC
O-),6.80(1H,br,CONH),7.35(3H,m,Aromatic H 3,4,5
位),7.50(2H,d,Aromatic H 2,6位),7.59(1H,d,-CH=CHCO
-) 実施例14:シンナモイル−γ−アミノ酪酸[化合物
(2−3),k=3,R1b=H]の合成 γ−アミノ酪酸1.03g(10mmol)を水2ml
に溶解させた後、氷冷下4M水酸化ナトリウム水溶液
2.5ml、桂皮酸クロリド1.58ml/ジオキサン
溶液3mlを各々3回に分けアルカリ条件を保つ様に滴
下した。滴下後反応液を室温で一昼夜攪拌し、ジオキサ
ンを減圧留去した後、酢酸エチルで該水相を2回洗浄
し、原料を除去した。水相をくえん酸で酸性に変えた
後、酢酸エチルを加え目的物を抽出した。得られた有機
相を無水硫酸ナトリウム水溶液で乾燥した後、溶液を減
圧濃縮し結晶を得た。この結晶をエタノール/エーテル
/ヘキサンより再結晶し、化合物(2−3)を白色結晶
として1.98g(収率85%)で得た。融点82.2
−83.6℃1 H-NMR(400MHz,CDCl3) δ(ppm)=1.93(2H,quant,-NHCH 2C
H2 CH2CO-),2.45(2H,t,-NHCH2CH 2CH2 CO-),3.48(2H,qual
t,-NHCH2 CH2CH2CO-),5.97(1H,br,CONH),6.40(1H,d,-CH=
CHCO-),7.33(3H,m,Aromatic H 3,4,5位),7.49(2H,d,Aro
matic H 2,6位),7.64(1H,d,-CH=CHCO-) 実施例15:シンナモイル−6−アミノカプロン酸[化
合物(2−4),k=5,R1b=H]の合成 実施例14に準じ、γ−アミノ酪酸を6−アミノカプロ
ン酸に代え標記化合物を収率77%で得た。融点91.
6−92.3℃1 H-NMR(400MHz,CDCl3) δ(ppm)=1.44(2H,quant,-NHCH2C
H 2CH2 CH2CH2CO-),1.61(2H,quant,-NHCH 2CH2 CH2CH2CH2CO
-),1.69(2H,quant,-NHCH2CH2CH 2CH2 CH2CO-),2.38(2H,t,
-NH(CH2) 4CH2 CO-),3.40(2H,qualt,-NHCH2 (CH2)4CO-),5.
68(1H,br,CONH),6.37(1H,d,-CH=CHCO-),7.35(3H,m,Arom
atic H 3,4,5位),7.48(2H,d,Aromatic H 2,6位),7.61(1
H,d,-CH=CHCO-) 〔3−1〕実施例16〜18:式(3)および(11)
からなる下記式でで示される化合物の合成
【0076】
【化10】
【0077】(R2において、R3=R4=H、R5=CH
3 ) 実施例16:4−(4−アミノブタンアミド)桂皮酸メ
チルエステル塩酸塩[化合物(3a−1),k=3,R
1a=H]の合成 16−1:[化合物(3−1),k=3,R1a=Boc]
の合成 t−ブトキシカルボニル−γ−アミノ酪酸2.02g
(10mmol)をクロロホルム3mlに溶解させ、氷
冷下トリエチルアミン1.38ml(10mmol)、
塩化ジメチルホスフィノチオイル1.28g(10mm
ol)を順次加え、室温で10分間攪拌させた。この溶
液にp−アミノ桂皮酸メチルエステル塩酸塩532mg
(3mmol)、トリエチルアミン417μl(3mm
ol)のクロロホルム溶液3mlを氷冷下加え、再びト
リエチルアミン417μl(3mmol)を加え、室温
で一昼夜攪拌した。反応終了後クロロホルムを減圧留去
し、酢酸エチルを加えた後、5%くえん酸水溶液2回、
水、5%炭酸水素ナトリウム2回、水、飽和食塩水の順
で分液洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し
た。 硫酸ナトリウムを濾取した後、濾液を減圧乾燥し化合物
(3−1)を収量483mg、収率44%で得た。
【0078】16−2:4−(4−アミノブタンアミ
ド)桂皮酸メチルエステル塩酸塩[化合物(3a−
1),k=3,R1a=H]の合成 化合物(3−1)409mg(1.13mmol)に氷
冷下、4N塩化水素/ジオキサン4ml加え、30分室
温で攪拌した。反応終了後、無水エーテル30mlを加
え、析出した沈澱物をグラスフィルターで濾取し、エー
テルで2、3度洗浄した。得られた固体を減圧乾燥し、
白色固体として化合物(3a−1)を収率92%で得
た。融点206.0−208.0℃1 H-NMR(400MHz,D2O)δ(ppm)=2.07(2H,quant,H2NCH 2CH2 C
H2CO-),2.62(2H,t,H2NCH2CH 2CH2 CO-),3.10(2H,t,H2NCH2
CH2CH2CO-),3.82(3H,s,-COOCH3),6.53(1H,m,-CH=CHCO
-),7.53(2H,m,Aromatic H 2,6位),7.58-7.76(3H,m,Arom
atic H 3,5位、-CH=CHCO-) 実施例17:4−(6−アミノヘキサンアミド)桂皮酸
メチルエステル塩酸塩[化合物(3a−2),k=5,
1a=H]の合成 17−1:[化合物(3−2),i=5,R1a=Boc]
の合成 実施例16−1に準じ、標記化合物を合成した。収率4
0%。
【0079】17−2:4−(6−アミノヘキサンアミ
ド)桂皮酸メチルエステル塩酸塩[化合物(3a−
2),k=5,R1a=H]の合成 実施例16−2に準じ、標記化合物を合成した。収率9
7%。 融点215.4−219.6℃1 H-NMR(400MHz,D2O)δ(ppm)=1.47(2H,quant,H2NCH2CH 2C
H2 CH2CH2CO-),1.72(4H,m,H2NCH 2CH2 CH 2CH2 CH2CO-),2.48
(2H,t,H2NCH2CH2CH2CH 2CH2 CO-),3.03(2H,t,H2NCH 2 CH2CH
2CH2CH2CO-),3.82(3H,s,-COOCH3),6.53(1H,m,-CH=CHCO
-),7.51(2H,d,Aromatic H 2,6位),7.61-7.76(3H,m,Arom
atic H 3,5位、-CH=CHCO-) 実施例18:4−(12−アミノドデカンアミド)桂皮
酸メチルエステル[化合物(3a−3),k=11,R
1a=H]塩酸塩の合成 18−1:[化合物(3−3),i=11,R1a=Bo
c]の合成 実施例16−1に準じ、標記化合物を合成した。収率7
2%。
【0080】18−2:4−(12−アミノドデカンア
ミド)桂皮酸メチルエステル[化合物(3a−3),k
=11,R1a=H]塩酸塩の合成 実施例16−2に準じ、標記化合物を合成した。収率9
4%。210.2−217.0℃1 H-NMR(400MHz,CDCl3-DMSO-D2O)δ(ppm)=1.20-1.38(14
H,m,H2NCH2CH2(CH2 )7CH2CH2CO-),1.53-1.69(4H,m,H2NCH
2CH2 (CH2) 7CH2 CH2CO-),2.34(2H,t,H2N(CH2) 10CH2 CO-),
2.80(2H,t,H2NCH2 (CH2)10CO-),3.73(3H,s,-COOCH3),6.3
8(1H,d,-CH=CHCO-),7.52(2H,d,Aromatic H 2,6位),7.58
(1H,d,-CH=CHCO-),7.68(2H,m,Aromatic H 3,5位) 〔3−2〕実施例19〜21:式(3)および(12)
からなる下記式で示される化合物の合成
【0081】
【化11】
【0082】(R2において、R3=R4=H、R5=CH
3、式(12)においてR8=H) 実施例19:グリシルアミノ桂皮酸メチルエステル[化
合物(3a−4),i=1,R1a=H]塩酸塩の合成 19−1:[化合物(3−4),i=1,R1a=Boc]
の合成 実施例16−1に準じ、t−ブトキシカルボニル−γ−
アミノ酪酸をt−ブトキシカルボニルグリシンに代え標
記化合物を収率73%で得た。
【0083】19−2:グリシルアミノ桂皮酸メチルエ
ステル[化合物(3a−4),i=1,R1a=H]塩酸
塩の合成 実施例16−2に準じ、化合物(3−1)を化合物(3
−4)に代え標記化合物(3a−4)を収率98%で得
た。融点218.6−225.6℃1 H-NMR(400MHz,D2O)δ(ppm)=3.86(3H,s,-COOCH3),4.02
(2H,s,Gly α-H),6.63(1H,d,-CH=CHCO-),7.66(2H,m,Aro
matic H 2,6位),7.75(2H,m,Aromatic H 3,5位、-CH=CHCO
-) 実施例20:グリシルグリシルアミノ桂皮酸メチルエス
テル[化合物(3a−5),i=2,R1a=H]塩酸塩
の合成 19−1:[化合物(3−5),i=2,R1a=Boc]
の合成 t−ブトキシカルボニルグリシン526mg(3mmo
l)をクロロホルム3mlに溶解し、トリエチルアミン
416μl(3mmol)、塩化ジメチルホスフィノチ
オイル386mg(3mmol)のクロロホルム溶液1
mlを氷冷下、順次加えた。 室温で15分攪拌した
後、トリエチルアミン416μl(3mmol)と予め
調製した化合物(3a−4)812mg(3mmo
l)、トリエチルアミン416μl(3mmol)のク
ロロホルム溶液10mlを氷冷下加え、室温で20分攪
拌した。反応液を減圧濃縮し、酢酸エチルを加え、5%
クエン酸水溶液で2回、水、5%炭酸水素ナトリウム水
溶液で2回、水、飽和食塩水で分液洗浄した後、有機相
を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。該硫酸ナトリウムを
濾取し、濾液を減圧濃縮し後、析出した白色結晶をエー
テルで洗浄、減圧乾燥し、化合物(3−5)を986m
g(収率84%)得た。構造は1H−NMRで確認し
た。1 H-NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm)=1.45(9H,s,Boc-),3.80(3
H,s,-COOCH3),3.85(2H,s,BocGly α-H),4.15(2H,s,-Gly
Gly- α-H),5.15(1H,br,BocNH-),6.40(1H,d,-CH=CHCO
-),7.55(4H,dd,Aromatic H ),7.65(1H,d,-CH=CHCO-),8.
55(1H,br,GlyNHAr-) 20−2:グリシルグリシルアミ
ノ桂皮酸メチルエステル[化合物(3a−5),i=
2,R1a=H]塩酸塩の合成 化合物(3−5)543mg(1.4mmol)に4M
塩化水素/ジオキサン溶液4mlを氷冷下加え、40分
攪拌した。エーテルを加え、析出した結晶を濾取しエー
テルで洗浄した。減圧乾燥し、白色結晶として化合物
(3a−5)を199mg(収率61%)得た。融点2
19.3−231.0℃1 H-NMR(400MHz,D2O)δ(ppm)=3.83(3H,s,-COOCH3),3.94
(2H,s,GlyGly- α-H),4.19 ,2H,s,GlyGly- α-H),6.54
(1H,d,-CH=CHCO-),7.54(2H,d,Aromatic H 2,6位),7.68
(2H,d,Aromatic H 3,5位),7.73(1H,d,-CH=CHCO-) 実施例21:トリグリシルアミノ桂皮酸メチルエステル
[化合物(3a−6),i=3,R1a=H]塩酸塩の合
成 21−1:[化合物(3−6),i=3,R1a=Boc]
の合成 t−ブトキシカルボニルグリシン88mg(0.5mm
ol)をジオキサン1mlに溶解し、トリエチルアミン
69.5μl(0.5mmol)、塩化ジメチルホスフ
ィノチオイル64mg(0.5mmol)のジオキサン
溶液1mlを氷冷下、順次加えた。室温で25分攪拌し
た後、トリエチルアミン69.5μl(0.5mmo
l)と予め調製した化合物(3a−5)163mg
(0.5mmol)、トリエチルアミン69.5μl
(0.5mmol)のジオキサン溶液1mlを氷冷下加
え、室温で1時間攪拌した。この反応液にアンモニア水
1ml加え20分攪拌した。 この溶液を減圧濃縮し、
酢酸エチルを加え、5%クエン酸水溶液で2回、水、5
%炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、水、飽和食塩水で
分液洗浄した後、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し
た。該硫酸ナトリウムを濾取し、濾液を減圧濃縮し後、
析出した白色結晶をエーテルで洗浄、減圧乾燥し、化合
物(3−6)を153mg(収率89%)得た。
【0084】21−2:トリグリシルアミノ桂皮酸メチ
ルエステル[化合物(3a−6),i=3,R1a=H]
塩酸塩の合成 化合物(3−6)137mg(0.4mmol)に4M
塩化水素/ジオキサン溶液3mlを氷冷下加え、2時間
攪拌した。エーテルを加え、析出した結晶を濾取しエー
テルで洗浄した。減圧乾燥し、白色結晶として化合物
(3a−6)を110mg(収率98%)得た。融点2
27.3−235.8℃1 H-NMR(400MHz,D2O)δ(ppm)=3.83(3H,s,-COOCH3),3.94
(2H,s,GlyGlyGly- α-H),4.12(2H,s,GlyGlyGly- α-H),
4.14(2H,s,GlyGlyGly- α-H),6.54(1H,dd,-CH=CHCO-),
7.55(2H,d,Aromatic H 2,6位),7.66(2H,d,Aromatic H
3,5位),7.72(1H,dd,-CH=CHCO-) 〔桂皮酸高分子誘導体および架橋桂皮酸高分子誘導体の
合成〕本発明に用いられた紫外線照射前の桂皮酸高分子
誘導体を紫外線照射時の形状と合わせ、光架橋性フィル
ムとし、紫外線照射後の架橋桂皮酸高分子誘導体は架橋
フィルムとした。尚、実施例上記載されているゲル化率
は以下により算出した。
【0085】ゲル化率(%)=(フィルム再乾燥重量/
フィルム乾燥重量)×100 フィルム再乾燥重量=フィルム重量に対し1万倍量の水
に室温、24時間浸した後、フィルムを濾取、減圧乾燥
して得られる重量 フィルム乾燥重量=フィルムを湿潤させる前に減圧乾燥
して得られる重量 化合物中のケイ皮酸誘導体置換率、いわゆるDS(Degr
ee of Substitution)は、ヒアルロン酸あるいはコンド
ロイチン硫酸の構成2糖単位当たりに導入されている桂
皮酸誘導体のモル比をNMRまたは吸光度により次式で
算出した。
【0086】DS(%)=100×(構成2糖単位当た
りの桂皮酸誘導体の導入モル数) 実施例22〜32 一般式(13)に対応する桂皮酸高分子誘導体およびそ
の架橋桂皮酸高分子誘導体の生成で、P1としてヒアル
ロン酸を使用した例。 実施例22 22−1:化合物(1a−1)を導入した光架橋性フィ
ルム[化合物(1a−1−HA)]の作成。
【0087】平均分子量80万のヒアルロン酸400m
g(1.0mmol 2糖単位)を水60mlに溶解さ
せた後、1,4−ジオキサンを30ml加えた。 氷冷
下、0.2M N−ヒドロキシスクシンイミド水溶液3
00μl、0.1M水溶性カルボジイミド水溶液300
μlを順次加え、5分間攪拌した後、0.1M化合物
(1a−1)水溶液300μlを加えた。室温で4時間
攪拌した後、飽和酢酸ナトリウム/エタノール溶液35
0mlを加え、目的物を沈澱させ、遠心分離した(2500
R.P.M.×5min)。80%エタノール溶液で洗浄を3回し
た後、得られた沈澱を水175mlに溶解させた後、9
0mm×62mmの角型シャーレ2個にキャストした。
45℃のオーブンで乾燥、フィルム化し、収量350m
g、吸光度によるDS0.58%のフィルムを得た。
【0088】22−2:化合物(1a−1−HA)の光
架橋性フィルムの紫外線による架橋フィルムの作成 実施例22−1で作成したフィルムを厚さ2.4mmの
パイレックスガラス板に挟み込み、片面4分ずつ合計8
分間紫外線照射装置(光源:メタルハライドランプ 3
kW,照射距離:125mm,コンベア速度:1m/m
in)にて紫外線を照射した。
【0089】ゲル化率 107% 実施例23〜28、30〜32 実施例22に準じ表1の桂皮酸誘導体を用い光架橋性フ
ィルムおよび架橋フィルムを作成した。 実施例29 29−1:化合物(1a−8)を導入した光架橋性フィ
ルム[化合物(1a−8−HA)]の作成 平均分子量80万のヒアルロン酸200mg(0.5m
mol 2糖単位)を水50mlに溶解させた後、1,
4−ジオキサンを10ml加えた。 氷冷下、0.5M
N−ヒドロキシスクシンイミド/ジオキサン溶液20
0μl、0.25M水溶性カルボジイミド水溶液200
μlを順次加え、5分間攪拌した後、化合物(1a−
8)14mg(0.05mmol)水溶液1mlを加え
た。室温で2時間攪拌した後、飽和酢酸ナトリウム/エ
タノール溶液350mlを加え、目的物を沈澱させ、遠
心分離した(2500R.P.M.×5min)。水−エタノール混合
液洗浄を3回した後、得られた沈澱を水80mlに溶解
させた後、90mm×62mmの角型シャーレにキャス
トした。45℃のオーブンで乾燥、フィルム化し、収量
201mg、吸光度によるDS0.7%のフィルムを得
た。
【0090】29−2:化合物(1a−8−HA)の光
架橋性フィルムの紫外線による架橋フィルムの作成 実施例29−1で作成したフィルムを厚さ2.4mmの
パイレックス板に挟み込み、片面2分ずつ合計4分間紫
外線照射装置(光源:メタルハライドランプ3kW,照
射距離:125mm,コンベア速度:1m/min)に
て紫外線を照射した。
【0091】ゲル化率 94% 実施例33〜36 一般式(14)に対応する桂皮酸高分子誘導体およびそ
の架橋桂皮酸高分子誘導体の生成で、P2としてキトサ
ンを使用し、B−P2結合としてアミド結合を使用した
例。
【0092】実施例33 33−1:化合物(2−1)を導入した光架橋性フィル
ム[化合物(2−1−CHS)]の作成。 化合物(2−1)44mg(0.2mmol)をジメチ
ルホルムアミド(DMF)1mlに溶解させ、氷冷下
0.5M塩化ジメチルホスフィノチオイル/DMF溶液
400μl、トリエチルアミン28μl(0.2mmo
l)を加えた。室温で10分間攪拌した後、キトサン
(生化学工業株式会社製)290mg(2.0mmol
/GlcN)の2%の酢酸50ml/メタノール50ml混
合溶液に加えた。室温で一昼夜攪拌した後、1M水酸化
ナトリウム水溶液1mlを加えエタノール250mlに
注ぎ込み、遠心分離(2500r.p.m×5min)した。80%エ
タノール溶液で3回洗浄した後、水150mlに溶解さ
せ96mm×137mmの角型シャーレにキャストし
た。45℃のオーブンで乾燥させ、320mgの透明フ
ィルムを得た。
【0093】33−2:化合物(2−1−CHS)の光
架橋性フィルムの紫外線による架橋フィルムの作成。 実施例33−1で作成したフィルムを厚さ2.4mmの
パイレックスガラス板に挟み込み、片面4分ずつ合計8
分間紫外線照射装置(光源:メタルハライドランプ 3
kW,照射距離:125mm,コンベア速度:1m/m
in)にて紫外線を照射し、水不溶性フィルムを得た。
【0094】実施例34〜36 実施例33に準じ、表1の桂皮酸誘導体を用い光架橋性
フィルムおよび架橋フィルムを作成した。 実施例37〜42 一般式(15)に対応する桂皮酸高分子誘導体およびそ
の架橋桂皮酸高分子誘導体の生成で、P1 としてヒアル
ロン酸を使用した例。
【0095】実施例37 37−1:化合物(3a−1)を導入した光架橋性フィ
ルム[化合物(3a−1−HA)の作成 平均分子量80万のヒアルロン酸200mg(0.5m
mol 2糖単位)を水50mlに溶解させた後、1,
4−ジオキサンを10ml加えた。 氷冷下、0.5M
N−ヒドロキシスクシンイミド/ジオキサン溶液200
μl、0.25M水溶性カルボジイミド水溶液200μ
lを順次加え、2分間攪拌した後、化合物(3a−1)
12mg(0.05mmol)水溶液1mlを加えた。
室温で3時間40分攪拌した後、飽和酢酸ナトリウム/
エタノール溶液350mlを加え、目的物を沈澱させ、
遠心分離した(2500R.P.M.×5min)。水−エタノール混
合液洗浄を3回実施した後、得られた沈澱を水40ml
に溶解させた後、90mm×62mmの角型シャーレに
キャストした。45℃のオーブンで乾燥、フィルム化
し、収量182mg、吸光度によるDS1.7%のフィ
ルムを得た。
【0096】37−2:化合物(3a−1−HA)の光
架橋性フィルムの紫外線による架橋フィルムの作成 実施例37−1で作成したフィルムを厚さ2.4mmの
パイレックスガラス板に挟み込み、片面2分ずつ合計4
分間紫外線照射装置(光源:メタルハライドランプ 3
kW,照射距離:125mm,コンベア速度:1m/m
in)にて紫外線を照射した。 ゲル化率99% 実施例38〜42 実施例37に準じ、表1の桂皮酸誘導体を用い光架橋性
フィルムおよび架橋フィルムを作成した。
【0097】実施例43 一般式(13)に対応する桂皮酸高分子誘導体およびそ
の架橋桂皮酸高分子誘導体の生成で、P1としてコンド
ロイチン硫酸を使用し、A−P1結合は、P1のカルボキ
シル基または硫酸基とのアミド結合。 43−1:化合物(1a−4)を導入した光架橋性コン
ドロイチン硫酸フィルム[化合物(1a−4−CS)]
の作成 実施例25−1に準じ、ヒアルロン酸ナトリウムをコン
ドロイチン硫酸ナトリウムに代え、標記化合物を調製し
た。DS0.79% 43−2:化合物(1a−4−CS)の光架橋性フィル
ムの紫外線による架橋フィルムの作成。
【0098】実施例43−1で作成したフィルムを厚さ
2.4mmのパイレックス板に挟み込み、片面2分ずつ
合計4分間紫外線照射装置(光源:メタルハライドラン
プ3kW,照射距離:125mm,コンベア速度:1m
/min)にて紫外線を照射した。 実施例44 一般式(14)に対応する桂皮酸高分子誘導体およびそ
の架橋桂皮酸高分子誘導体の生成で、P2としてコンド
ロイチン硫酸を使用し、B−P2結合は、P2の水酸基と
のエステル結合。
【0099】44−1:化合物(2−1)を導入した光
架橋性コンドロイチン硫酸フィルム[化合物(2−1−
CS)]の作成。 本実施例はコンドロイチン硫酸(分子量3万)の水酸基
に化合物(2−1)をエステル結合で導入したものであ
る。化合物(2−1)13mg(0.06mmol)を
ジメチルホルムアミド(DMF)0.5mlに溶解さ
せ、氷冷下0.5M塩化ジメチルホスフィノチオイル/
DMF溶液120μl、トリエチルアミン10μl
(0.06mmol)を加えた。室温で10分間攪拌し
た後、予め調製したコンドロイチン硫酸トリブチルアミ
ン塩150mg(0.3mmol)/DMF17ml溶
液に加え、次いで4−ジメチルアミノピリジン7mg
(0.06mmol)を加え、室温で一昼夜攪拌した。
5%炭酸水素ナトリウム水溶液2mlを加え飽和酢酸ナ
トリウムエタノール150mlに注ぎ込み、遠心分離(2
500r.p.m×5min)した。80%エタノール溶液で3回洗
浄した後、水70mlに溶解させ35mm×65mmの
角型シャーレにキャストした。45℃のオーブンで乾燥
させ、DS18%の174mgの透明フィルムを得た。
【0100】44−2:化合物(2−1−CS)の光架
橋性フィルムの紫外線による架橋フィルムの作成 実施例44−1で作成したフィルムを厚さ2.4mmの
パイレックスガラス板に挟み込み、片面4分ずつ合計8
分間紫外線照射装置(光源:メタルハライドランプ 3
kW,照射距離:125mm,コンベア速度:1m/m
in)にて紫外線を照射した。ゲル化率21% 実施例45〜50 一般式(15)に対応する桂皮酸高分子誘導体およびそ
の架橋桂皮酸高分子誘導体の生成で、P1としてコンド
ロイチン硫酸を使用し、C−P1結合は、P1のカルボキ
シル基または硫酸基とのアミド結合。
【0101】実施例45 45−1:化合物(3a−1)を導入した光架橋性コン
ドロイチン硫酸フィルム[化合物(3a−1−CS)]
の作成。 実施例37−1に準じ、ヒアルロン酸ナトリウムをコン
ドロイチン硫酸ナトリウムに代え、標記化合物を調製し
た(DS6%)。
【0102】45−2:化合物(3a−1−CS)の光
架橋性フィルムの紫外線による架橋フィルムの作成。 実施例37−1で作成したフィルムを厚さ2.4mmの
パイレックス板に挟み込み、片面2分ずつ合計4分間紫
外線照射装置(光源:メタルハライドランプ3kW,照
射距離:125mm,コンベア速度:1m/min)に
て紫外線を照射した。
【0103】ゲル化率 73% 実施例46〜50 実施例45に準じ、表1の桂皮酸誘導体を用い光架橋性
フィルムおよび架橋フィルムを作成した。上記実施例2
2〜50までの結果を表1,2に纏めた。
【0104】
【表1】
【0105】
【表2】
【0106】光架橋ヒアルロン酸フィルムの架橋基の違
いによる挙動 以下の実施例は、H2N-(CH2)n-OCOCH=CH-Ph(1−A)
(Phはフェニル基)の構造式で表される桂皮酸誘導体
を導入したヒアルロン酸誘導体の上記構造式のnの違い
によって生じるフィルム特性の違いを中心に検討した。 実施例51 本実施例は、上記化合物(1−A)のnの違いによる同
一条件下での桂皮酸誘導体導入の際のヒアルロン酸への
反応性の違いをみたものである(図2)。図2は横軸に
下記条件における桂皮酸誘導体のヒアルロン酸2糖単位
当たりの仕込量、縦軸は導入率DSを表した。
【0107】 [反応条件] 母体化合物:ヒアルロン酸ナトリウム(MW80万) 溶媒:水−ジオキサン(2:1) 縮合試薬:N−ヒドロキシスクシンイミド 2倍モル/(1−A) 水溶性カルボジイミド 等モル/(1−A) 反応温度:室温 反応時間:一昼夜 図2よりメチレン鎖が長くなるほど、つまりnが大きい
ほど反応性は低くなる。水系溶媒を用いた反応では、こ
のようにnの増加は、わずかではあるが化合物(1−
A)自身の疎水性を高くし、溶媒あるは基質との親和性
を減少させるため、反応性が低下する。
【0108】実施例52 本実施例は、該化合物(1−A)のnの異なる各種桂皮
酸誘導体を導入し、紫外線を4分間照射した架橋ヒアル
ロン酸フィルムのDSの違いによる吸水率をみたもので
ある。吸水率は下記の式より算出される(図3)。 吸水率(%)=(フィルムの湿潤重量−フィルムの乾燥重量)/
フィルムの乾燥重量×100 フィルムの乾燥重量:架橋フィルムの乾燥後の重量 フィルムの湿潤重量:架橋フィルムを水に一時間湿潤さ
せた後の重量 全ての架橋フィルムはDSが低くなるとある特定DS以
下で急激な吸水率の上昇を示す。これはDSが低くなる
ほど架橋密度は低下するため、網目構造が粗くなり多く
の水を吸収できるが、これ以上架橋密度が低下するとフ
ィルム自体が不溶化できなくなる。nの違いによる挙動
をみるとnが大きくなるほどグラフは低DS側にシフト
している。これはnが大きいほど、より低いDSで保
水、不溶化できる網目構造を保てる事を意味している。
網目構造の構築は、紫外線照射による光架橋反応により
達成されるが、この結果は同じDSでもnの大きい桂皮
酸誘導体を持つ光反応性ヒアルロン酸の方が網目構造を
構成し易いこと示唆しており、桂皮酸誘導体の光反応性
が架橋フィルムの特性に影響を与えていることが分か
る。
【0109】実施例53 本実施例は、該化合物(1−A)のnの異なる各種桂皮
酸誘導体を導入し、紫外線を4分間照射した架橋ヒアル
ロン酸フィルムのDSの違いによる引っ張り強度をみた
ものである。引っ張り強度は、全て水に湿潤させたフィ
ルムを用い、レオメーターにより測定した(図4)。
【0110】図4から分かるようにDSが大きくなるほ
ど架橋密度は高くなるため引っ張り強度は大きくなる。
nの違いによる挙動をみるとnの大きい方がグラフは低
DS側にシフトしており、同じDSでもnの大きいもの
の方が引っ張り強度は大きい。実施例52でもみられる
ように同じDSでもnの大きいものの方が光反応におけ
る反応効率が高く、より高い架橋密度のフィルムを形成
する。引っ張り強度は架橋密度が高い方が大きいと考え
られるため、nが大きい方が引っ張り強度は強い。
【0111】実施例54 本実施例は、該化合物(1−A)のnの異なる各種桂皮
酸誘導体を導入し、紫外線を4分間照射した架橋ヒアル
ロン酸フィルムの吸水率の違いによる引っ張り強度を測
定したものである(図5、図6)。図5は、横軸に吸水
率、縦軸に引っ張り強度をとったグラフであり、nに関
係なく吸水率と引っ張り強度が逆比例の関係にあるのが
分かる。図6は、縦軸に引っ張り強度の逆数をとったも
のであり直線関係になっている。
【0112】実施例55 本実施例は、該化合物(1−A)のnの異なる各種桂皮
酸誘導体を導入し、紫外線を8分間照射した架橋ヒアル
ロン酸フィルムの不溶化の限界点を測定したものである
(図7)。横軸はn数、縦軸はDSをとっている。グラ
フ上の□のプロットは溶解したDSを、+のプロットは
不溶化し始めるDSを表し、この間に不溶化の限界点が
きている。不溶化限界点はフィルムからゲル形状への相
転移点でもある。
【0113】実施例56 本実施例は、化合物(1−A)以外の、具体的には式
(7)および(9)で表される構造式を有する桂皮酸誘
導体の影響について検討したものである。下記に記載さ
れている構造の架橋性化合物について、実施例51に準
じヒアルロン酸ナトリウム(MW80万)への反応性を
検討した。下記の桂皮酸誘導体は、スペーサーのアミノ
基からシンナモイル基までの主鎖の原子数が同じである
が、スペーサーの構造中にメチレン鎖以外にエーテル結
合、アミド結合、枝分かれ構造を持つものについて比較
した。 H2N-CH2CH2CH2CH2CH2-OCOCH=CH-Ph [化合物(1a−3)] H2N-CH2CH2ーO-CH2CH2-OCOCH=CH-Ph [化合物(1a−7)] H2N-CH2-CONH-CH2CH2-OCOCH=CH-Ph [化合物(1a−9)] H2N-CH(CH3)−CONH-CH2CH2-OCOCH=CH-Ph [化合物(1a−10)] H2N-CH[CH2CH(CH3)2]−CONH-CH2CH2-OCOCH=CH-Ph [化合物(1a−11)] 結果を図8に示すが横軸に桂皮酸誘導体のヒアルロン酸
2糖単位当たりの仕込量、縦軸は導入率DSを表した。
【0114】スペーサー中アミド結合を有するものは特
に反応性に富み、中でも枝分かれ構造の少ない上記化合
物(1a−9)、(1a−10)が良好な反応性を示し
た。これはスペーサー構造の持つ親水性の影響によるも
のと考えられる。 実施例57 実施例56記載の5つの化合物について実施例52と同
様の方法によりDSと吸水率の関係を調べた。
【0115】図9にその結果を示す。スペーサー構造に
おいて親水性の高い化合物でありアミド結合持ち、枝分
かれの少ない化合物(1a−9−HA)、(1a−10
−HA)は、他と比較し高いDSで大きな吸水率を示し
ている。吸水率は、架橋密度により大きく影響を受け、
このように吸水率の高いものは架橋密度が他と比較し低
い。実施例52にも記載したように架橋構造は光反応に
より構成されるが親水性の高いスペーサー構造を持つ上
記化合物を導入したヒアルロン酸誘導体は、本光反応に
おける反応性が低下すると考えられ、逆に疎水性の高い
構造を持つものの方が光反応における反応性は高い。
【0116】本光反応は、光反応性ヒアルロン酸誘導体
水溶液をキャストフィルム化した後、紫外線を照射する
ことにより行われるがフィルム形成時には疎水性の高い
桂皮酸誘導体ほど凝集、配向し易くなり光反応の場を提
供し易いと考えられる。上記化合物の疎水性の強さは、 化合物(1a−3)>化合物(1a−7)>化合物(1
a−11)>化合物(1a−10)>化合物(1a−
9) となり、光反応における反応性は上記疎水性の強さの順
に、実施例56のヒアルロン酸への反応性は逆に上記疎
水性の弱さの順に増加する。
【0117】
【発明の効果】以上説明したように、スペーサーを導入
した桂皮酸誘導体の発明は、高感度かつ高効率の桂皮酸
高分子誘導体、特に桂皮酸グリコサミノグリカン誘導体
の合成を可能にし、このことによりグリコサミノグリカ
ン本来の生体再吸収性、生体適合性、無毒性、非抗原
性、高吸水性等といった優れた性質を保持した架橋桂皮
酸グリコサミノグリカン誘導体の提供ができる様になっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の桂皮酸誘導体同志の光架橋反応の概念
図を示す。
【図2】実施例51の結果を示し、スペーサー炭素数に
よる反応性を示す。
【図3】実施例52の結果を示し、スペーサー炭素数の
違いによるDSと吸水率の関係を示す。
【図4】実施例53の結果を示すもので、引っ張り強度
−DSの関係を示す。
【図5】実施例5の結果を示すもので、引っ張り強度
−吸水率の関係を示す。
【図6】実施例54の結果を示すもので、引っ張り強度
の逆数−吸水率の関係を示す。
【図7】実施例55の結果を示すもので、不溶化限界点
を示す。
【図8】実施例56の結果を示すもので、メチレン鎖以
外のスペーサーの反応性を示す。
【図9】実施例57の結果を示すもので、メチレン鎖以
外のスペーサーのDS−吸水率の関係を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−143604(JP,A) 特開 平6−73102(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 219/10 C07C 229/22 C07C 237/12 C08B 37/00 C08L 71/02 CA(STN) CAOLD(STN) REGISTRY(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)または(3)で表され
    る桂皮酸誘導体およびその塩。 R1−A−H (1) 2 −C−H (3) 〔式中、R1は下記式(4)で示される基を、 【化1】 (式中、R3 およびR4 は、各々独立に水素原子、ニト
    ロ基、アミノ基、水酸基、炭素数1〜4のアルコキシ基
    を表す。) R2は下記式(5)で示される基を、 【化2】 (式中、R3 およびR4 は前記と同意義、R5 は低級ア
    ルキル基を示す。) A−Hは下記式(6)〜(9)のいずれか一つで示され
    る分子内にアミノ基および水酸基を有する化合物の残基
    を、 -O-(CH2)n-NH2 (6) (式中、nは3〜18の整数を示す。) -(O-CH2CH2)m-NH2 (7) (式中、mは2〜10の整数を示す。) -O-CHR6CH(COOR7)-NH2 (8) (式中、R6は水素または低級アルキル基を、R7は低級ア
    ルキル基をそれぞれ示す。) -O-(CH2)l-NHCO-CHR8-NH2 (9) (式中、lは2〜18の整数を、R8はα−アミノ酸残基
    の側鎖をそれぞれ示す。) −Hは下記式(11)または(12)で示されるアミ
    ノ酸残基を、 -CO-(CH2)k-NH2 (11) (式中、kは前記と同意義。) -(COCHR8NH)i-H (12) (式中、iは1〜6の整数を示し、R8は前記と同意義で
    ある。) それぞれ示す。〕
  2. 【請求項2】 下記一般式(13)又は(15)のいず
    れか一つで表される桂皮酸高分子誘導体。 R1−A−P1 (13) R2−C−P1 (15) (式中、R1、R2AおよびCは請求項1記載のものと
    同意義である。1はカルボキシル基を有する高分子化
    合物の残基を示し、A−P1の結合及びC−P1の結合は
    アミド結合をそれぞれ示す。)
  3. 【請求項3】 P1 が多糖類である請求項2記載の桂皮
    酸高分子誘導体。
  4. 【請求項4】 多糖類がグリコサミノグリカンである請
    求項3記載の桂皮酸高分子誘導体。
  5. 【請求項5】 請求項2〜4のいずれか1項に記載の桂
    皮酸高分子誘導体のR1同士、R2同士あるいはR1 とR
    2 とが光二量化反応して架橋シクロブタン環を形成して
    なる架橋桂皮酸高分子誘導体。
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