JP4172176B2 - 光反応性ヒアルロン酸およびその製造方法ならびに光架橋ヒアルロン酸および医用材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光反応性ヒアルロン酸およびその製造方法ならびに光架橋ヒアルロン酸および医用材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ヒアルロン酸の生体内での滞留性を高めるために、ヒアルロン酸を架橋させて生分解性を制御する技術が知られている(特表平3−503704号公報など)。先に、簡便な操作で架橋することが可能で、未反応の架橋基の除去を容易として安全性を担保した、光反応性残基を有する架橋基(光架橋基)を使用して架橋する方法が提案されている(特開平6−73102号公報、同8−143604号公報、同9−86336号公報)。
【0003】
ところで、ヒアルロン酸に光架橋基を結合させて光反応性ヒアルロンに変換すると、ヒアルロン酸のヒドロキシル基やカルボキシル基に光架橋基が置換するため、ヒアルロン酸が本来有している親水性の低下を伴う。そして、光反応性ヒアルロン酸の親水性の低下は、その水性溶液中における分子分散特性に影響を及ぼす。ところが、光反応性ヒアルロン酸を光架橋して医薬や医療用具として使用するに際し、予めその水性溶液をマイクロフィルター等により濾過し、水性溶液の滅菌、除菌、異物除去などを行うことが望ましく、そのためには、光反応性ヒアルロン酸が十分に溶解した水性溶液を調製する必要がある。従って、光反応性ヒアルロン酸に変換した際に惹起される親水性の低下は好ましいことではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、親水性が高められ、その水性溶液の濾過性が改善された光反応性ヒアルロン酸およびその製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、上記の光反応性ヒアルロン酸を光架橋して得られる光架橋ヒアルロン酸およびそれを含む医用材料を提供することにある。
【0005】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、ヒアルロン酸に光架橋基を結合した光反応性ヒアルロン酸は、例えば炭酸水素ナトリウム等のアルカリによる処理でその親水性が高められるとの意外な知見を得た。アルカリ処理された光反応性ヒアルロン酸は、未処理の光反応性ヒアルロン酸に比し、親水性が高いため、その水性溶液中における分子分散特性が高いと言う意外な物性的特徴を備えている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の知見に基づき達成されたものであり、複数の発明から成り、各発明の要旨は次の通りである。
【0007】
本発明の第1の要旨は、ケイ皮酸もしくは置換ケイ皮酸またはそれらの誘導体である光架橋基が結合したヒアルロン酸の水性溶液をアルカリで処理することによって得ることができる光反応性ヒアルロン酸であって、1.0重量%の当該光反応性ヒアルロン酸水性溶液が24℃の温度条件下、5.0Kg/cm2の加圧下で多孔質フィルター(孔径(ポアサイズ)が0.45μmで直径が25mm)を1分間に2ml以上通過可能であることを特徴とする光反応性ヒアルロン酸に存する。
【0008】
本発明の第2の要旨は、ケイ皮酸もしくは置換ケイ皮酸またはそれらの誘導体である光架橋基が結合したヒアルロン酸の水性溶液をアルカリで処理することを特徴とする光反応性ヒアルロン酸の製造法に存する。
【0009】
本発明の第3の要旨は、前記の光反応性ヒアルロン酸に紫外線を照射して得られることを特徴とする光架橋ヒアルロン酸に存する。
【0010】
本発明の第4の要旨は、前記の光反応性ヒアルロン酸の水性溶液に紫外線を照射して得られる光架橋ヒアルロン酸溶液であって、濃度1.0重量%で温度24℃の条件下において、23ゲージの注射針より水平方向から45°の斜め下方に向けて0.2mL/秒の速度で押し出した際、切れることなく3cm以上の長さのものが注射針先端開口部から垂れ下がる性質(高曳糸性)を有していることを特徴とする光架橋ヒアルロン酸溶液に存する。
【0011】
本発明の第5の要旨は、上記の光反応性ヒアルロン酸を含む医用材料に存し、そして、本発明の第6の要旨は、上記の光架橋ヒアルロン酸を含む医用材料に存する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。先ず、説明の便宜上、本発明の光反応性ヒアルロン酸の製造法について説明する。
【0013】
本発明においては、光架橋基が結合したヒアルロン酸の水性溶液をアルカリ処理することで光反応性ヒアルロン酸を得ることが出来る。
【0014】
ヒアルロン酸の由来は、特に限定されないが、一般的には天然物、好ましくは脊椎動物または微生物由来である。ヒアルロン酸の重量平均分子量は、通常は概ね40万〜1000万、好ましくは60万〜600万である。また、そのカルボキシル基は、塩の形態でもよく、この際、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の何れの形でもよいが、特にナトリウム塩またはカリウム塩が好ましい。
【0015】
光架橋基(すなわち光反応性残基を有する架橋基)のヒアルロン酸における結合部位(ヒアルロン酸の官能基)は、光架橋基の導入反応の容易性からカルボキシル基の方が好ましいが、ヒドロキシル基であってもよい。光反応性残基としては、紫外線照射によって光二量化反応または光重合反応を生じる化合物の残基であればよく、その化合物の具体例としては、ケイ皮酸、置換ケイ皮酸(例えばアミノケイ皮酸(ベンゼン環のいずれかの水素がアミノ基に置換したケイ皮酸:好ましくはp−アミノケイ皮酸)、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ソルビン酸、クマリン、チミン等が挙げられる。これらの中では、光によりシクロブタン環を形成可能なビニレン基を有したものであることが好ましく光反応性および安全性の面からケイ皮酸又は置換ケイ皮酸(特にアミノケイ皮酸)が好ましい。また、光反応性残基のヒアルロン酸に対する影響を極力低下させるために光架橋基がスペーサーを含んでいて、該スペーサーを介してヒアルロン酸に結合していることが好ましい。従って、ケイ皮酸又は置換ケイ皮酸にスペーサーが結合した誘導体が光架橋基としては最も好ましい。
【0016】
上記の最も好ましい光架橋基としては、例えば、ケイ皮酸のカルボキシル基にアミノアルコール(H2N−(CH2)n−OH:n=1〜18、H2N−(CH2−O)m−CH2−OH:m=1〜9)がエステル結合したケイ皮酸アミノアルキルエステル誘導体、(Ph−CH=CH−CO−O−(CH2)n−NH2,Ph−CH=CH−CO−O−CH2−(OCH2)m−NH2:n、mは上記と同じ、−Phはフェニル基を表す)、ジアミン(H2N−(CH2)l−NH2:l=1〜10)、ジオール(HO−(CH2)k−OH:k=1〜10)が導入された誘導体、(Ph−CH=CH−CO−NH−(CH2)l−NH2,Ph−CH=CH−CO−O−(CH2)k−OH:l、k、−Phは上記と同じ)、アミノ酸(HOOC−(CHR)j−NH2:j=1〜10、Rはアミノ酸の側鎖を示す)、ペプチド等を置換ケイ皮酸(アミノケイ皮酸)に導入した誘導体(OC−CH=CH−Ph−NH−CO−(CHR)j、OC−CH=CH−Ph−NH−(ペプチド):R、jは上記と同じ、−Ph−はフェニレン基を表す)等が挙げられるが、好ましくはケイ皮酸のカルボキシル基にアミノアルコールが導入された誘導体(ケイ皮酸アミノアルキルエステル)であり、アミノアルコールは上記一般式においてnが1〜18が好ましく、特に3〜6が好ましく、3〜4が極めて好ましい。特にケイ皮酸アミノアルキルエステルを光架橋基として使用する場合には、アミノアルキルのアミノ基とヒアルロン酸のカルボキシル基とがアミド結合することによって光架橋基がヒアルロン酸に結合される。
【0017】
光架橋基が結合したヒアルロン酸を得る方法としては、例えば、水溶性カルボジイミド(例えば、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDCI・HCl)、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリノエチル)カルボジイミド−メト−p−トルエンスルホネート、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリノエチルカルボジイミド塩酸塩など)等の水溶性の縮合剤を使用する方法、N−ヒドロキシコハク酸イミド(HOSu)やN−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)等の縮合補助剤と上記の縮合剤とを使用する方法、活性エステル法、酸無水物法などが挙げられる。これらの中では、水性媒体の存在下の反応として、水溶性の縮合剤を使用する方法または反応補助剤と水溶性の縮合剤とを使用する方法が好ましい。水性媒体としては、水の単独溶媒の他、水と水可溶性有機溶媒、例えば、ジオキサン、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、アルコール(メタノール、エタノール等)等との混合溶媒が挙げられる。
【0018】
なお、本発明におけるヒアルロン酸への光架橋基の導入率(実施例記載の方法により測定することが出来る)は、0.3〜30%、好ましくは1〜20%、最も好ましくは2〜10%であり、この値は反応させるヒアルロン酸のモル数と光架橋基のモル数とを調節することにより、適宜変更、調節することが可能である。この様な光反応性ヒアルロン酸の分子量は、光架橋基の導入率によって変化するが、概ね40万〜1000万、好ましくは60万〜600万となる。
【0019】
光架橋基が結合したヒアルロン酸の水性溶液、好ましくはヒアルロン酸に光架橋基を導入する反応を行った後の反応液をアルカリで処理して光反応性ヒアルロン酸の水性溶液を得ることが出来る。アルカリの種類は、特に制限されず、有機塩基または無機塩基のいずれでもよい。しかしながら、水性媒体中での処理を考慮すれば無機塩基の方が好ましい。そして、無機塩基の中では、ヒアルロン酸の低分子化や架橋基の分解などに影響を及ぼす恐れがない点で水酸化ナトリウムの様な強アルカリよりも炭酸水素ナトリウムや炭酸ナトリウムの様な弱アルカリの方が好ましい。ここで、アルカリ処理のpH条件は、7.2〜11、好ましくは7.5〜10が例示される。
【0020】
アルカリの使用量や処理時間は目的とする親水性の程度(すなわち後述のフィルター通過性の有無)に応じて適宜調節される。例えばヒアルロン酸1g相当量に対し炭酸水素ナトリウム500mg(ヒアルロン酸のモル数に対して10倍量以上)を使用する場合は2〜3時間撹拌処理することにより親水性が十分に高められた光反応性ヒアルロン酸が得られる。
【0021】
上記の様にして調製された光反応性ヒアルロン酸は、場合により、酢酸などの有機酸または無機酸による中和を行った後、エタノール沈殿、エタノール洗浄、乾燥の各処理を適用することにより固体状態として単離することが出来る。
【0022】
次に、本発明の親水性が高められた光反応性ヒアルロン酸について説明する。本発明の光反応性ヒアルロン酸の化学構造は、光架橋基を使用する前述の従来技術によって得られた光反応性ヒアルロン酸と同じであるが、高次構造(立体構造)は異っていると考えられ、これは物性の相違に現れる。
【0023】
従って、本発明の光反応性ヒアルロン酸は、その水性溶液中における分子分散特性が高いという物性によって従来の光反応性ヒアルロン酸と明確に区別される。すなわち、本発明の光反応性ヒアルロン酸は、固形の状態の光反応性ヒアルロン酸を1.0重量%で水性溶媒に溶解して得られる水性溶液が24℃の温度条件下、5.0kg/cm2の加圧下で多孔質フィルター(孔径(ポアサイズ)が0.45μmで直径が25mm)を1分間に2mL以上通過可能であることを特徴とし、このフィルター通過性の高さは上記の分子分散特性の高さを示す。なお、上記フィルター通過性は、多孔質フィルターを通過した前後の水性溶液中の光反応性ヒアルロン酸の濃度を比較することにより確認することが可能であり、上記条件で本発明の光反応性ヒアルロン酸水溶液を通過させた場合、通過前後で水性溶液中の光反応性ヒアルロン酸の濃度の変化がない。そして、斯かる本発明の光反応性ヒアルロン酸は次の様な主要な性質を備えている。
【0024】
光架橋基を使用する前述の従来技術によって得られた光反応性ヒアルロン酸は、光架橋基の導入反応後に、水性媒体反応液に対し、エタノール沈殿、エタノール洗浄、乾燥の各処理を行うことによって固形物として得られる。ところが、これを水性媒体に再度溶解しようとすると、その溶解性は原料のヒアルロン酸より著しく低く、時には十分に溶解しないことがある。この場合は、勿論、前記の分子分散特性を確認するための多孔質フィルター通過試験では全く通過しないという結果を与える。これに対し、本発明の光反応性ヒアルロン酸の場合、その溶解性は原料のヒアルロン酸とほぼ同等であり、水性媒体に再度溶解しようとした際に不溶化やゲル化することがないので、フィルターを使用した除菌・殺菌を容易に行なうことが出来る。この様な光反応性ヒアルロン酸は、そのまま術中または術後の癒着を防止するための医用材料(癒着防止材)、生体内の空間を保持するための医用材料(空間保持材)及び人工体液(人工関節液、人工涙液、眼科用手術補助材など)として利用することが出来、必要に応じて生体内において紫外線を照射して光架橋させ、不溶化して使用することが出来る。
【0025】
次に、本発明の光架橋ヒアルロン酸について説明する。本発明の光架橋ヒアルロン酸(架橋物)は、上記の本発明の光反応性ヒアルロン酸に紫外線を照射することにより得られる。
【0026】
本発明の親水性が高められた光反応性ヒアルロン酸は原料のヒアルロン酸と同等の溶解性を有しているため、紫外線照射の際、成形したい型に流し込んだり、シリンジ等の容器への充填を容易にすることが出来る。また、本発明で使用する光反応性ヒアルロン酸は、分子分散特性で説明した様に多孔質フィルターを容易に通過することが出来るため、紫外線照射による架橋前に濾過することにより、異物を除去したり、除菌や滅菌したりすることが出来、これを光架橋することにより、クリーンな光架橋ヒアルロン酸を容易に得ることが出来る。
【0027】
照射する紫外線としては、ヒアルロン酸のグリコシド結合を切断せず且つ光架橋基に光架橋反応(二量化)を生じさせる波長(例えば200〜600nm)の紫外線が選択される。紫外線ランプとしては、高圧水銀ランプ又はメタルハライドランプが好ましく、更には、それらランプにより発生した紫外線の不要波長光を例えばカットフィルターで除去することが好ましい。カットフィルターとしては、専用の加工フィルターが好ましいが、硬質ガラスでも十分に対応できる。
【0028】
本発明の光架橋ヒアルロン酸は、その濃度や架橋率により様々な形態を採り得る。ここで、光反応により二量体を形成するケイ皮酸又は置換ケイ皮酸の様な光反応性残基を使用する場合の架橋率は、ヒアルロンに導入された光架橋基のモル数に対する二量体のモル数の2倍の数の比(百分率)として表すことが出来る。
【0029】
上記光架橋ヒアルロン酸の代表的な形態としては、不定形状態としては溶液またはゲルであり、定形状態としては、弾性体(シート、フィルム、ペレット、チューブ等)の様々な形態を採り得る。そして、上記の光架橋ヒアルロン酸ゲルは、原料(光反応性ヒアルロン酸の水性溶液)の濃度が1.0〜3.0重量%に高められている場合に一層容易に得ることが出来る。また、上記の弾性体は、高濃度(3.0〜10重量%)の光反応性ヒアルロン酸に紫外線照射することにより得られる。すなわち、上記の様な高濃度の光反応性ヒアルロン酸の水性溶液を架橋すると、固形状態に近くなり、水性媒体を含有した弾性体となる。なお、ゲルとは、あらゆる溶媒に不溶の三次元網目構造を持つ高分子およびその膨潤体と定義されている(1988年11月25日、朝倉書店発行「新版高分子辞典」、第129頁)が、本明細書においては、温度24℃の条件下で、23ゲージの注射針から5.0kg/cm2の押出圧により押出可能なものを「溶液」、押出不可能のものを「ゲル」と定義して使用する。
【0030】
次に、本発明に係る高曳糸性を有する光架橋ヒアルロン酸溶液について説明する。ここに高曳糸性とは、専ら溶液が有する性質であり、濃度1.0重量%の光架橋ヒアルロン酸溶液とした際、温度24℃の条件下において、23ゲージの注射針より水平方向から45°の斜め下方に向けて0.2mL/秒の速度で押し出した際、切れることなく3cm以上の長さのものが注射針先端開口部から垂れ下がる性質を意味する。ヒアルロン酸溶液は、ヒアルロン酸の高分子性により曳糸性を有するとされているが、上記の様な本発明の光架橋ヒアルロン酸溶液の高曳糸性は従来のヒアルロン酸溶液の曳糸性とは著しく異なる。上記の高曳糸性における、注射針先端開口部から垂れ下がる長さは、好ましくは5cm以上であり、更に好ましくは7cm以上である。一方、ヒアルロン酸の1.0重量%溶液の場合は、1cm未満である。
【0031】
上記の高曳糸性は、原料(光反応性ヒアルロン酸の水性溶液)の濃度や、これに紫外線を照射することによって得られた架橋物(光架橋ヒアルロン酸溶液)における架橋率を適切に調節することにより付与される。通常、濃度が0.1〜1.0重量%で架橋率が3〜40%の範囲、好ましくは、濃度が0.3〜1.0重量%で架橋率が4〜35%の範囲、更に好ましくは、濃度が0.3〜1.0重量%で架橋率が5〜30%の範囲とされる。
【0032】
本発明の親水性が高められた光反応性ヒアルロン酸は、光架橋反応の効率がよく、高架橋率(10%以上、好ましくは20%以上)にすることが容易であるため、光架橋ヒアルロン酸(溶液、ゲル、弾性体)とした場合、通常のヒアルロン酸や従来の光架橋ヒアルロン酸に比して高い耐熱性を有する。具体的には、医薬品や医療用具での滅菌保証の一つの条件である121℃で20分の湿熱滅菌を施してもその形状や高曳糸性を損なうことがない。斯かる耐熱性は、より高い架橋率を有するもの程、高い傾向を示し、通常5〜70%(好ましくは10〜80%)の架橋率の場合に高い耐熱性を示す。
【0033】
通常、ヒアルロン酸は、耐熱性が低く、121℃の湿熱処理を施すとグルコシド結合の解裂が起き、ヒアルロン酸は低分子化を起こし、高分子量のヒアルロン酸が有していた形状や性質は、ヒアルロン酸の低分子化に伴って低減または消滅する。ところが、本発明の光架橋ヒアルロン酸の持つ形状や性質は、熱によってグルコシド結合が解裂しても低減または消失しない。すなわち、ゲルの形状を有する光架橋ヒアルロン酸は、湿熱滅菌後においてもゲルの形状を呈し、シート状の光架橋ヒアルロン酸は、湿熱滅菌後においてもシート状態を呈する。斯かる耐熱性は、光架橋によるグルコシド結合以外の他の結合様式による分子間の結合によって生じる3次元網目構造によるところが大きいと考えられる。この様な光架橋ヒアルロン酸は、術中または術後の癒着を防止するための医用材料(癒着防止材)、生体内の空間を保持するための医用材料(空間保持材)及び人工体液(人工関節液、人工涙液、眼科用手術補助材など)として利用することが出来る。
【0034】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0035】
(1)フィルター通過性試験:
5mMリン酸緩衝生理食塩水によって濃度が1.0重量%に調整された被検物質を調製する。24℃条件下5.0kg/cm2の加圧下で多孔質フィルター(孔径が0.45μmで直径が25mm)に上記の被検物質を通過させ、1分間当たりの通過量(mL)を測定する。2mL以上通過した場合を○、2mL未満通過した場合を△、通過しない場合を×で表す。
【0036】
(2)形状試験:
温度24℃の条件下において、23ゲージの注射針(25mm)を備えた5mLシリンジに被検物質(24℃)を充填し、5.0kg/cm2の押出圧により押し出す。押出可能なものを溶液、押出不可能のものをゲルとする。
【0037】
(3)曳糸性評価試験:
5mMリン酸緩衝生理食塩水によって濃度が1.0重量%に調整された被検物質を調製する。温度24℃の条件下において、23ゲージの注射針(25mm)を備えた5mLシリンジに被検物質(24℃)を充填し、水平方向から45°の斜め下方に向けて0.2mL/秒の速度で押し出す。被検物質が切れることなく注射針から垂れ下がった長さを測定する。長さが7cm以上の場合を++、長さが3cm以上で7cm未満の場合を+、長さが3cm未満の場合を−で表した。
【0038】
(4)架橋剤の導入率:
架橋剤の導入率は、ヒアルロン酸の繰り返し二糖単位当たりに導入された光架橋基の数を百分率で表した値を意味する。導入率の算出に必要なヒアルロン酸の量は、検量線を利用したカルバゾール測定法により測定し、光架橋基の光反応性残基としてケイ皮酸又はアミノケイ皮酸を使用した場合のケイ皮酸の量は、検量線を利用した吸光度測定法(測定波長269nm)により測定した。
【0039】
(5)架橋率:
架橋率は、1M水酸化ナトリウム1mLで被検物質1gを1時間鹸化した後、得られた溶液を酸性にして酢酸エチルで光架橋基由来物(単量体、二量体)を抽出し、HPLCにより解析し、検量線法によって二量体の量を測定する。そして、ヒアルロン酸に導入された光架橋基に対する二量体となった光架橋基のモル数を百分率で算出した。
【0040】
(6)粘度:
E型回転粘度計を使用し、3℃×R14、1rpm(25℃)の条件で測定し、Pa・sで表す。
【0041】
実施例1(アミノケイ皮酸誘導体結合ヒアルロン酸)
重量平均分子量約90万のヒアルロン酸ナトリウム400mgを水60mLに溶解させ、ジオキサン30mLを加えて撹拌した。室温でN−ヒドロキシコハク酸イミド34mg/水1mL、EDCI・HCl 29mg/水1mL、4−(6−アミノヘキサンアミド)ケイ皮酸エチル塩酸塩(HCl・H2N(CH2)5CONH−Ph−CH=CH−COOCH2CH3:− Ph −はフェニレン基を示す)51mg/水1mLを順次に加えて3時間撹拌した。
【0042】
1M水酸化ナトリウム水溶液1mLを加えて1時間30分撹拌した後、25重量%塩化ナトリウム水溶液1.6mLを加えた。この反応溶液を300mLのエタノールに投入し、沈殿物を析出させ、この沈殿物を80%エタノールで2回、エタノールで2回洗浄した後、40℃で一晩乾燥させ、360mgの目的化合物の白色固体(4−(6−アミノヘキサンアミド)ケイ皮酸エチルエステル導入ヒアルロン酸:「アミノケイ皮酸誘導体導入ヒアルロン酸」と記載する)を得た。ヒアルロン酸繰り返し二糖単位当たりのアミノケイ皮酸誘導体の導入率は4.5%であった。この被検物質のフィルター通過性試験の結果を表1に示す。なお、1M水酸化ナトリウム水溶液1mLを加える処理を行なわない以外は、上記と同様に調製したアミノケイ皮酸誘導体導入ヒアルロン酸(アミノケイ皮酸誘導体の導入率4.5%)を対照1として使用した。
【0043】
次いで、ヒアルロン酸換算濃度が0.2〜2.5重量%となる様に、上記のアミノケイ皮酸誘導体導入ヒアルロン酸を5mMリン酸緩衝生理食塩液に溶解した。更に、これら溶液を内径15mmのパイレックス(登録商標)製ガラス試験管に入れ、また、パイレックス(登録商標)製ガラス板2枚の間隙2mmで挟み込み、水冷式紫外線照射装置(3kWメタルハライドランプ使用)に20分照射し、架橋体の形状および形状が溶液の場合は曳糸性の有無を調べた。結果を表2に示す。なお、以下の記載において、HAの略語でヒアルロン酸を表すことがある。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
実施例2(ケイ皮酸誘導体導入ヒアルロン酸)
1重量%ヒアルロン酸ナトリウム(重量平均分子量90万)水溶液500gに、水/ジオキサン=250mL/375mLの混合溶液を加えて撹拌した。室温でN−ヒドロキシコハク酸イミド860mg/水2mL(0.6当量/HA二糖単位(mol/mol))、EDCI・HCl 717mg/水2mL(0.3当量/HA二糖単位(mol/mol))、ケイ皮酸アミノプロピル塩酸塩(HCl・H2N(CH2)3OCO−CH=CH−Ph:− Phはフェニル基を示す)903mg/水2mL(0.3当量/HA二糖単位(mol/mol))を順次に加え、2時間30分撹拌した。炭酸水素ナトリウム2.5g/水50mLを加えて一昼夜撹拌した後、塩化ナトリウム30gを加えた。この反応溶液に2Lのエタノールを投入し、沈殿物を析出させ、この沈殿物を80%エタノールで2回、エタノールで2回洗浄した後、室温で一晩乾燥させ、5.24gの白色固体(ケイ皮酸3−アミノプロピルエステル導入ヒアルロン酸:「ケイ皮酸誘導体導入ヒアルロン酸」と記載する)を得た。ヒアルロン酸繰り返し二糖単位当たりのケイ皮酸導入率は8.4%であった(表3中のNo.5)。また、N−ヒドロキシコハク酸イミド(HOSu)、EDCI・HCl、ケイ皮酸アミノプロピル塩酸塩の当量を変え、表3に示す異なる導入率のケイ皮酸誘導体導入ヒアルロン酸(No.1〜4)を合成した。
【0047】
次いで、上記No.1〜5のケイ皮酸誘導体導入ヒアルロン酸をヒアルロン酸濃度が1.0重量%となる様に5mMリン酸緩衝生理食塩液に溶解し、フィルター通過性を調べた。結果を表3に示す。なお、対照として、原料のヒアルロン酸ナトリウム(重量平均分子量:約90万)と、炭酸水素ナトリウム(2.5g/水50mL)の添加を行わない以外はNo.1−5と同様に調製したケイ皮酸誘導体導入ヒアルロン酸とを対照としてフィルター通過性を調べた。また、原料のヒアルロン酸のフィルター通過性評価は○であった。
【0048】
【表3】
【0049】
表3に示す様に、アルカリ(炭酸水素ナトリウム)処理されないケイ皮酸誘導体導入ヒアルロン酸はフィルター通過性を有さないのに対し、アルカリ処理されたケイ皮酸誘導体導入ヒアルロン酸は高いフィルター通過性を示し親水性が高められていることが分かる。
【0050】
因に、ケイ皮酸誘導体導入率が高くなる(疎水性が高められる)に従い、水性媒体に対する不溶部分が増加し、溶液が不透明となるが、高いフィルター通過性を示し親水性が高められた本発明のケイ皮酸誘導体導入ヒアルロン酸の溶液は高い透明性を示す。
【0051】
実施例3(種々の架橋ヒアルロン酸)
上記実施例2の1.0重量%濃度のケイ皮酸誘導体導入ヒアルロン酸/リン酸緩衝生理食塩液に水冷式紫外線照射装置により紫外線照射した。結果を表4に示す。
【0052】
【表4】
【0053】
実施例4(アルカリによる影響/時間)
1重量%ヒアルロン酸ナトリウム(重量平均分子量90万)水性溶液1Lに、水/ジオキサン=500mL/750mLの混合溶液を加え撹拌した。室温でN−ヒドロキシコハク酸イミド1.721g/水4mL(0.6当量/HA二糖単位(mol/mol))、EDCI・HCl 1.433g/水4mL(0.3当量/HA二糖単位(mol/mol))、ケイ皮酸アミノプロピル塩酸塩(HCl・H2N(CH2)3OCO−CH=CH−Ph:− Phはフェニル基を示す)1.807g/水4mL(0.3当量/HA二糖単位(mol/mol))を順次に加え、2時間30分撹拌した。
【0054】
そして、炭酸水素ナトリウム2.0g/水40mLを加えた(0.2g/HA1g)。この溶液より炭酸水素ナトリウム添加後、2、3、4、6、8、20時間後毎に225mLづつ採取し、採取した溶液に塩化ナトリウム6gを加え、2Lのエタノールを投入し、それぞれケイ皮酸誘導体導入ヒアルロン酸の沈殿物を析出させた。各沈殿物を80%エタノールで2回、エタノールで2回洗浄した後、室温で一晩乾燥させ、白色固体のケイ皮酸誘導体導入ヒアルロン酸をそれぞれ得た。また、炭酸水素ナトリウムを添加しない以外は同様の処理を施したケイ皮酸誘導体導入ヒアルロン酸を対照とした。これらの試料のそれぞれについてフィルター通過性を調べた。
【0055】
また、ヒアルロン酸濃度が1.5重量%となる様に上記で得られた各試料をリン酸緩衝生理的食塩水に溶解した。炭酸水素ナトリウムの添加量を1g(0.1g/HA1g)及び5g(0.5g/HA1g)に変更した以外は、上記と同様にして調製した誘導体についても同様の測定を行なった。結果を表5に示した。
【0056】
【表5】
【0057】
上記の表5に示す様に、アルカリ(炭酸水素ナトリウム)処理されないケイ皮酸誘導体導入ヒアルロン酸はフィルター通過性を有さないのに対し、アルカリ処理されたケイ皮酸誘導体導入ヒアルロン酸はフィルター通過性が飛躍的に向上して親水性が高められていることが分かる。
【0058】
実施例5(沈殿処理方法のフィルター通過性への影響)
光反応性ヒアルロン酸の水溶液からの分離の方法がフィルター通過性に影響を与えないことを確認するために、異なる沈殿処理方法によって得た光反応性ヒアルロン酸のフィルター通過性を比較した。
【0059】
すなわち、塩化ナトリウム添加後エタノールによる沈殿によって分離した本発明物質(A)、酢酸ナトリウム飽和のエタノールによる沈殿によって分離した本発明物質(B)及びアルカリ処理を行わずに酢酸ナトリウム飽和のエタノールによる沈殿によって分離した対照物質のフィルター通過性を調べた(表6)。この結果から、アルカリ処理を行わずに、酢酸ナトリウム飽和のエタノールで沈殿を行ったとしても、被検物質のフィルター通過性に変化は見られないことが判明した。
【0060】
【表6】
【0061】
なお、本発明物質(A)、本発明物質(B)、対照物質の調製は以下の通り行った。
【0062】
(1)本発明物質(A)の調製
(i)2.0gのヒアルロン酸ナトリウム(重量平均分子量100万)を蒸留水300mLに溶解し、ジオキサン150mLを加え、N−ヒドロキシコハク酸イミド 344mg(0.6当量/HA二糖単位(mol/mol))、EDCI・HCl 286mg(0.3当量/HA二糖単位(mol/mol))、及びケイ皮酸アミノプロピル塩酸塩(HCl・H2N(CH2)3OCO−CH=CH−Ph:− Phはフェニル基を示す)362mg(0.3当量/HA二糖単位(mol/mol))を順次加え、室温で2時間30分撹拌した。
(ii)その後、炭酸水素ナトリウム1.0gを加えて3時間撹拌した。反応液に2.25Mの酢酸水溶液0.2mLを添加して中和した。
(iii)塩化ナトリウム12gを添加し、更にエタノール1Lを加えて光反応性ヒアルロン酸を析出させた。この沈殿物を80%エタノールで2回、エタノールで2回洗浄した後、減圧乾燥して、本発明物質(A)とした。
【0063】
(2)本発明物質(B)の調製
本発明物質(A)の調製工程の(ii)を終了後、100mLをサンプリングして飽和酢酸ナトリウム/エタノールに投入し、光反応性ヒアルロン酸を析出させた。沈殿物を80%エタノールで2回、エタノールで2回洗浄後、減圧して乾燥し、これを本発明物質(B)とした。
【0064】
(3)対照物質の調製
本発明物質(A)の調製工程の(i)を終了後、100mLをサンプリングして飽和酢酸ナトリウム/エタノールに投入し、光反応性ヒアルロン酸を析出させた。沈殿物を80%エタノールで2回、エタノールで2回洗浄後、減圧乾燥し、これを対照物質とした。
【0065】
実施例6(湿熱処理後の架橋ヒアルロン酸ゲル)
1重量%ヒアルロン酸ナトリウム(重量平均分子量90万)水性溶液500gに、水/ジオキサン=250mL/375mLの混合溶液を加えて撹拌した。室温でN−ヒドロキシコハク酸イミド860mg/水2mL(0.6当量/HA二糖単位(mol/mol))、EDCI・HCl 717mg/水2mL(0.3当量/HA二糖単位(mol/mol))、ケイ皮酸アミノプロピルエステル塩酸塩(HCl・H2N(CH2)3OCO−CH=CH−Ph:− Phはフェニル基を示す903mg/水2mL(0.3当量/HA二糖単位(mol/mol))を順次に加え、2時間30分撹拌した。
【0066】
そして、炭酸水素ナトリウム2.5g/水50mLを加え一昼夜撹拌した後、酢酸0.676gを加え、塩化ナトリウム30gを加えた。2Lのエタノールを投入し、沈殿物を析出させ、この沈殿物を80%エタノールで2回、エタノールで2回洗浄した後、室温で一晩乾燥させ、4.93gの白色固体を得た。ヒアルロン酸繰り返し二糖単位当たりのケイ皮酸誘導体導入率は8.8%であった。
【0067】
次いで、濃度1.5重量%となる様に、上記のケイ皮酸誘導体導入ヒアルロン酸を5mMリン酸緩衝生理食塩液に溶解した後、ガラスシリンジに充填し、そのシリンジを水冷式紫外線照射装置にて1時間紫外線照射した。架橋率22.2%、粘度127Pa・sのゲル状物質となった。更に、得られた架橋ヒアルロン酸ゲルを121℃、20分間の湿熱滅菌処理をしたが、上記と同様のゲル状を維持した。粘度136Pa・sであった。これらの結果は、上記の架橋ヒアルロン酸ゲルが湿熱滅菌処理によっても実質的に分解されることがないことを意味している。
【0068】
【発明の効果】
以上説明した本発明によれば、親水性の高められた光反応性ヒアルロン酸およびその製造方法が提供され、本発明はヒアルロン酸を利用した医用材料分野に寄与するところが大きい。
Claims (12)
- ケイ皮酸もしくは置換ケイ皮酸またはそれらの誘導体である光架橋基が結合したヒアルロン酸の水性溶液をアルカリで処理することによって得ることができる光反応性ヒアルロン酸であって、1.0重量%の当該光反応性ヒアルロン酸水性溶液が24℃の温度条件下、5.0Kg/cm2の加圧下で多孔質フィルター(孔径(ポアサイズ)が0.45μmで直径が25mm)を1分間に2ml以上通過可能であることを特徴とする光反応性ヒアルロン酸。
- 光架橋基がヒアルロン酸のカルボキシル基に結合している請求項1に記載の光反応性ヒアルロン酸。
- 光架橋基がケイ皮酸アミノアルキルエステル残基である請求項1又は2に記載の光反応性ヒアルロン酸。
- 重量平均分子量が40万〜1000万である請求項1〜3の何れかに記載の光反応性ヒアルロン酸。
- ケイ皮酸もしくは置換ケイ皮酸またはそれらの誘導体である光架橋基が結合したヒアルロン酸の水性溶液をアルカリで処理することを特徴とする光反応性ヒアルロン酸の製造法。
- アルカリ処理の後、更に水性溶液を中和する請求項5記載の光反応性ヒアルロン酸の製造法。
- 請求項1〜4の何れかに記載の光反応性ヒアルロン酸に紫外線を照射して得られることを特徴とする光架橋ヒアルロン酸。
- 請求項1〜4の何れかに記載の光反応性ヒアルロン酸の濃度が0.1〜10重量%である水溶液に紫外線を照射して得られることを特徴とする光架橋ヒアルロン酸。
- 請求項1〜4の何れかに記載の光反応性ヒアルロン酸の水性溶液に紫外線を照射して得られる光架橋ヒアルロン酸溶液であって、濃度1.0重量%で温度24℃の条件下において、23ゲージの注射針より水平方向から45°の斜め下方に向けて0.2ml/秒の速度で押し出した際、切れることなく3cm以上の長さのものが注射針先端開口部から垂れ下がる性質を有していることを特徴とする光架橋ヒアルロン酸溶液。
- 請求項1〜4の何れかに記載の光反応性ヒアルロン酸を含む医用材料。
- 請求項7又は8に記載の光架橋ヒアルロン酸を含む医用材料。
- 請求項9に記載の光架橋ヒアルロン酸溶液を含む医用材料。
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