JP3341699B2 - 端面反射型表面波装置 - Google Patents
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Description
波を利用した端面反射型の表面波装置及び表面波フィル
タに関し、より詳細にはSHタイプの表面波を反射させ
る端面の位置が改良された端面反射型の表面波装置及び
表面波フィルタに関する。
プの表面波を利用した端面反射型表面波装置が注目され
ている。端面反射型表面波装置では、表面波基板上にI
DTが形成されており、SHタイプの表面波が表面波基
板の対向2端面間で反射されるように構成されている。
従って、IDTの表面波伝搬方向外側に反射器を形成す
る必要がないので、表面波装置の小型化を進めることが
できる。
波基板上にIDTを形成してなる端面反射型表面波装置
であって、IDTが、複数のIDT部を有するように分
割されている構造が開示されている。ここでは、IDT
が、表面波伝搬方向に沿って複数のIDT部を有するよ
うに分割されているので、インピーダンスを高めること
ができ、かつ容量を小さくすることができるとされてい
る。
5−291869号公報に記載の端面反射型表面波装置
では、IDTを複数のIDT部に分割した場合、周波数
特性上に所望でないリップルが生じるおそれがあるた
め、このようなリップルが生じないように、IDTの電
極指の対数を選択することが必要であった。
あり、所望でないリップルを生じさせずに、様々な周波
数特性を実現することは非常に困難であった。本発明の
目的は、IDTを複数のIDT部に分割してなる端面反
射型表面波装置において、IDTの電極指の対数を変化
させて様々な周波数特性を得た場合であっても、周波数
特性上に現れる所望でないリップルを低減することがで
き、良好な共振特性やフィルタ特性を得ることができる
SHタイプの表面波を利用した端面反射型の表面波装置
及び表面波フィルタを提供することにある。
向し合う一対の端面を有する表面波基板と、前記表面波
基板に形成された少なくとも1つのインターデジタルト
ランスデューサとを備え、インターデジタルトランスデ
ューサで励振されたSHタイプの表面波が前記一対の端
面間で反射されるように構成されている端面反射型の表
面波装置であって、前記インターデジタルトランスデュ
ーサが、表面波伝搬方向に沿って複数のIDT部に分割
されており、隣り合うIDT部間で励振されないよう
に、隣り合うIDT部の最も近接し合っている電極指同
士が同電位とされており、インターデジタルトランスデ
ューサの表面波伝搬方向最外側の電極指の幅を、残りの
電極指の幅と同じと仮想した場合に、該最外側の電極指
の表面波伝搬方向中心よりも内側に位置するように前記
端面が形成され、前記仮想の最外側の電極指の表面波伝
搬方向の中心位置に対する前記端面の位置をa、SHタ
イプの表面波の波長λ、IDTの周波数スペクトルによ
り得られる中心周波数f0、該IDTの周波数スペクト
ルにおける減衰極の位置f p 、インターデジタルトラン
スデューサの全体の電極指の対数をNとしたときに、端
面の位置aが、下記の式(1)を満たす値±0.036
λの範囲とされていることを特徴とする。
対の端面を有する表面波基板と、前記表面波基板に形成
された少なくとも1つのインターデジタルトランスデュ
ーサとを備え、該インターデジタルトランスデューサで
励振されたSHタイプの表面波が前記一対の端面間で反
射されるように構成されている端面反射型の表面波装置
であって、前記インターデジタルトランスデューサが、
表面波伝搬方向に沿って複数のIDT部に分割されてお
り、隣り合うIDT部間において励振されるように、隣
り合うIDT部の最も近接し合っている電極指が異なる
電位に接続されており、インターデジタルトランスデュ
ーサの表面波伝搬方向最外側の電極指の幅を、残りの電
極指の幅と同じと仮想した場合に、該最外側の電極指の
表面波伝搬方向中心よりも外側に位置するように前記端
面が形成され、前記仮想の最外側の電極指の表面波伝搬
方向の中心位置に対する前記端面の位置をa、SHタイ
プの表面波の波長λ、IDTの周波数スペクトルにより
得られる中心周波数f0、該IDTの周波数スペクトル
における減衰極の位置f p 、インターデジタルトランス
デューサの全体の電極指の対数をNとしたときに、端面
の位置aが、下記の式(1)を満たす値±0.036λ
の範囲とされていることを特徴とする。
極指の中心位置から端面までの表面波伝搬方向に沿う距
離であり、仮想の最外側の電極指の中心よりも端面が外
側に位置する場合には、aは正の値となる。
上記式(1)を満たす値±0.018λの範囲とされ
る。さらに好ましくは、端面の位置aが、上述した式
(1)を満たす値とされる。
装置では、好ましくは、表面波伝搬方向最外側の電極指
は、上述のように形成されている端面と、表面波基板の
上面とがなす端縁に至るように形成されている。
ルタは、第1,第2の発明に係る端面反射型表面波装置
を複数備えており、該複数の端面反射型表面波装置がフ
ィルタを構成するように結合されていることを特徴とす
る。
は、例えば帯域フィルタとして好適に用いられる。
挙げることにより、本発明をより詳細に説明する。
例の端面反射型表面波装置を示す平面図及び部分拡大平
面図である。本実施例の端面反射型表面波装置1は、矩
形の表面波基板2を用いて構成されている。表面波基板
2は、圧電基板または絶縁性基板上に圧電薄膜を積層す
ることにより構成されている。圧電基板としては、Li
NbO3 、LiTaO3 または水晶などの圧電単結晶、
あるいはチタン酸ジルコン酸鉛系セラミックスのような
圧電セラミックスにより構成し得る。絶縁性基板上に圧
電薄膜を形成する場合には、絶縁性基板として、アルミ
ナなどの絶縁性材料からなる基板を用いることができ、
圧電薄膜としては、ZnO薄膜やTa2 O5 薄膜などを
用いることができる。
いて構成されている場合には、表面波基板2は、後述の
IDTの電極指の延びる方向と平行な方向に分極処理さ
れている。
電薄膜を形成することにより構成した場合には、後述の
IDTは圧電薄膜の上面及び下面の何れに形成されても
よい。
に、IDT3が形成されている。IDT3は、表面波基
板2上に例えばアルミニウムなどの金属膜を形成し、フ
ォトリソグラフィーなどの適宜の方法によりパターニン
グすることにより形成されている。
個のIDT部4,5に分割されている。IDT部4,5
は、それぞれ、一対のくし歯電極4a,4b及び5a,
5bを有する。くし歯電極4a,4bは、それぞれ、複
数本の電極指6,6a,7,7aを有する。複数本の電
極指6,6aと、複数本の電極指7,7aとは、互いに
間挿し合うように配置されている。
おり、くし歯電極5a,5bが、それぞれ、複数本の電
極指8,8a,9,9aを有する。なお、IDT部4,
5間では励振が生じないように、IDT部4,5の最も
近接し合っている電極指6a,8aは、バスバー10に
接続されている。すなわち、電極指6a,8aは同電位
に接続されるように構成されている。
電極指は、電極指7a及び電極指9aである。すなわ
ち、表面波基板2は、対向し合う一対の端面2b,2c
を有する。この端面2bまたは2cと、上面2aとのな
す端縁に沿うように、最外側の電極指7a,9aが形成
されている。
に略図的に示すように、くし歯電極4b,5b間に交流
電圧を印加することにより駆動され、それによってSH
タイプの表面波が励振される。SHタイプの表面波とし
ては、BGS波、ラブ波、リーキー波などを例示するこ
とができる。
3の電極指と直交する方向に伝搬し、端面2b,2c間
で反射されるため、それによってSHタイプの表面波に
基づく共振特性を取り出すことができる。
れるSHタイプの表面波の波長をλとしたとき、表面波
伝搬方向最外側の電極指の幅がλ/8とされており、残
りの電極指の幅はλ/4とされており、電極指間のギャ
ップの幅もλ/4とされているのが通常であった。従っ
て、表面波装置の製造に際しては、同じ幅の電極指を形
成した後、最外側の電極指の幅がλ/8となるように表
面波基板を切断することにより対向し合う一対の端面が
形成されていた。
は、端面2b,2cの位置は、最外側の電極指の幅を、
残りの電極指の幅と同じと仮想した場合に、最外側の電
極指の表面波伝搬方向中心よりも内側に位置するように
端面2b,2cの位置が定められている。これを、図1
(b)を参照して説明する。表面波装置1の製造に際し
ては、表面波基板上に、同じ幅の電極指を有するように
IDT3を形成し、しかる後、上記のように位置される
ように表面波基板を切断することにより端面2b,2c
が形成される。すなわち、端面2bを例をとると、図1
(b)に示すように、最外側の電極指として、他の電極
指6,7と同じ幅の電極指7Aを形成しておき、電極指
7Aの表面波伝搬方向中心を示す一点鎖線Aよりも内側
の一点鎖線Bに沿って表面波基板2を切断する。このよ
うにして、端面2bが形成されている。端面2cについ
ても同様にして形成されている。
IDT3が、上記のように2個のIDT部3,4を有す
るように分割されているので、特開平5−291869
号公報に記載の先行技術と同様に、インピーダンスを高
めることができ、かつ静電容量を小さくすることができ
る。
記載の先行技術では、周波数特性上に所望でないリップ
ルが生じる恐れがあったのに対し、本実施例では、端面
2b,2cが上記のように位置されているので、周波数
特性上に現れる所望でないリップルを効果的に抑制する
ことができ、良好な共振特性を得ることができる。この
理由を、具体的な実験例に基づき説明する。
ように分割されたIDTが形成されている端面反射型表
面波装置1において、端面2b,2cの位置を種々異な
らせて、伝送特性における挿入損失−周波数特性を測定
した。結果を図2〜図8に示す。なお、図2〜図8に示
す特性は、励振されるBGS波の波長がλ=53.08
μmであり、IDT3の全体の電極指の対数を21.5
対、電極指交差幅を6.0λとした端面反射型表面波装
置の特性である。
(b)の一点鎖線Aと一点鎖線Bとの間の距離aを種々
異ならせることにより異ならせた。すなわち、一点鎖線
Aは、前述したように最外側の電極指の幅を残りの電極
指の幅と同じとした場合の最外側の電極指の表面波伝搬
方向中心位置に相当し、一点鎖線Bは端面が切り出され
る位置を示す。従って、距離aは、従来の端面反射型表
面波装置における端面から、実際に形成されている端面
2b,2cの位置までの長さ、すなわち端面の位置を示
すこととなる。
面の位置a=0とした場合を示し、図3に示す特性はa
=−1.2μm(−0.023λ)の場合を、図4に示
す特性はa=−1.5μm(−0.028λ)、図5に
示す特性は、a=−2.0μm(−0.038λ)、図
6に示す特性はa=−2.7μm(−0.051λ)、
図7に示す特性はa=−3.4μm(−0.064
λ)、並びに図8に示す特性はa=−3.9μm(−
0.073λ)の場合の結果である。
MHzの端面反射型表面波装置では、矢印Cで示す大き
なリップルが、45.9MHz付近に現れている。これ
に対して、図3〜図8に示す特性では、共振周波数に近
い位置に現れる上記リップルC1 〜C4 が小さくなって
いることがわかる。従って、端面反射型表面波装置1に
おいては、端面2b,2cの位置を、最外側の電極指の
幅を残りの電極指の幅と同じとした場合の幅方向中心よ
りも内側に位置することにより、良好な共振特性の得ら
れることがわかる。
波装置1に代えて、IDTの分割数及び分割の態様を種
々異ならせ、図9〜図13に示す端面反射型表面波装置
を作製し、これらの端面反射型表面波装置においても端
面の位置と共振特性との関係を調べた。
T部4,5を有するように、かつ隣り合うIDT部4,
5の最も近接し合っている電極指が同電位に接続される
ように構成されていた。以下、説明を簡略化するため
に、端面反射型表面波装置1の分割の態様を、2分割0
励振型とする。
は、表面波基板2上にIDT23が形成されているが、
このIDT23は、表面波伝搬方向に沿って3個のID
T部24〜26を有するように3分割されている。ま
た、IDT部24,25間の最も近接し合っている電極
指24a,25aは、何れもバスバー27に接続されて
いる。従って、電極指24a,25a間では表面波は励
振されない。同様に、IDT25,26の最も近接し合
っている電極指25b,26aもバスバー28に接続さ
れており、すなわち同電位に接続されている。従って、
電極指25b,26a間でも表面波は励振されない。よ
って、端面反射型表面波装置21におけるIDT23の
分割の態様は、3分割0励振型である。
は、IDT33が4個のIDT部34〜37を有するよ
うに分割されている。ここでも、隣り合うIDT部の近
接し合っている電極指が同電位に接続されており、従っ
てIDT33は4分割0励振型とされている。
は、表面波基板2上において、IDT43が形成されて
おり、IDT43は、表面波伝搬方向に沿って2個のI
DT部44,45を有する。従って、表面波装置1と同
様にIDT43は2分割型とされている。しかしなが
ら、IDT部44,45の近接し合っている電極指44
a,45aは、異なる電位に接続されている。すなわ
ち、電極指44aは、バスバー46に接続されており、
電極指45aはバスバー47に接続されている。バスバ
ー46,47は、略図的に示されているように、端面反
射型表面波装置41を駆動するための交流電圧が印加さ
れる部分である。
に沿うように共通バスバー48が形成されている。従っ
て、電極指44a,45a間に加わる電圧は、他の隣り
合う電極指間に加わる電圧の2倍とされている。このよ
うな分割構造を、2倍励振型とする。従って、図11に
示す端面反射型表面波装置41におけるIDT43の分
割態様は2分割2倍励振型である。
は、IDT部54〜56を有するようにIDT53が3
分割されている。ここでも、隣り合うIDT部間におけ
る最も近接し合っている電極指には、残りの電極指間に
比べて2倍の電圧が印加されるので、端面反射型表面波
装置51は、3分割2倍励振型の分割構造を有する。
は、4分割2倍励振型の分割構造を有するIDT63を
有する。すなわち、IDT63は、IDT部64〜67
を有するように4分割されている。また、図11に示し
た2分割2倍励振型と同様に、隣り合うIDT部間の最
も近接し合っている電極指間に、残りの電極指間の電圧
の2倍の電圧が印加されるように構成されている。
基板2の端面2b,2cは最外側の電極指の外側端縁よ
りも外側に位置しているが、最外側の電極指は、端面2
b,2cと上面2aとのなす端縁に至っていてもよい。
置1において、端面の位置aを異ならせた場合の共振周
波数の変化を示し、図15は、端面の位置を異ならせた
場合の共振周波数に最も近い大きなリップルの現れる周
波数位置の変化を示す図である。図14及び図15から
明らかなように、端面反射型表面波装置1において、端
面位置aをマイナス方向にずらすほど、共振周波数が高
くなり、かつリップルの現れる周波数位置も高くなるこ
とがわかる。これは、端面位置aをマイナス方向にずら
すほど、端面2b,2c間の距離が短くなり、それによ
って共振周波数が高められるためであり、該共振周波数
の上昇に伴って共振周波数の低域側近傍に現れるリップ
ルの位置もより高い周波数位置にシフトしているものと
考えられる。
装置1では、端面の位置を、図1(b)に示した一点鎖
線Aで示す位置よりも内側に設定した場合、共振周波数
の低域側近傍の大きなリップルを抑圧し得ることがわか
ったため、この理由を検討した。
面反射型表面波装置71(図17)では、上記のような
共振周波数近傍に大きなリップルは現れていなかった。
これは、IDTの周波数スペクトルにおけるメインロー
ブに最も近い減衰極の周波数位置が、表面波基板の対向
2端面間の距離により決定されるモードの共振周波数と
ほぼ一致しているため、基板の対向2端面間の距離によ
り決定されるモードがリップルとして現れていないため
と考えられる。
合、図1に示した端面反射型表面波装置、すなわちID
T3が2分割0励振型の場合、並びに図9〜図13に示
した各端面反射型表面波装置の場合のIDTの周波数ス
ペクトル(いずれも中心周波数50MHz、11.5
対)を示す図である。図16において、実線Dは、ID
Tが分割されていない端面反射型表面波装置71のID
T自体の周波数スペクトルを示す。また、破線Eは、2
分割0励振型の場合、すなわち図1に示した端面反射型
表面波装置1におけるIDTの周波数スペクトルを示
す。2点鎖線Fは、3分割0励振型の場合、すなわち図
9に示した端面反射型表面波装置21の場合のIDTの
周波数スペクトルを示す。3点鎖線Gは、図10に示し
た4分割0励振型のIDTを有する端面反射型表面波装
置31におけるIDTの周波数スペクトルを示す。
T(図11)の周波数スペクトルを示す。一点鎖線Iは
3分割2倍励振型IDT(図12)の周波数スペクトル
を示す。さらに、破線Jは4分割2倍励振型のIDT6
3(図13)の周波数スペクトルを示す。
が、メインローブの低域側においてメインローブに最も
近い減衰極を示す。図16から明らかなように、分割数
の如何に関わらず、0励振型のIDTでは、メインロー
ブに最も近い低域側の減衰極は、分割により、分割しな
い場合に比べて高周波数側にシフトしていることがわか
る。他方、分割数の如何に関わらず、2倍励振型のID
Tを構成した場合には、分割していない場合に比べて、
上記減衰極の位置が低周波数側にずれていることがわか
る。
ていない場合と同じとした場合には、上記のように分割
によりIDTの周波数スペクトル上における上記減衰極
のずれにより、対向2端面間の距離で決定されるモード
の振動が前述したリップルCとして現れているものと考
えられる。
ように、2分割0励振型のIDT3を有する場合、端面
2b,2cの位置を、図1(a)に示した一点鎖線Aで
示す位置から一点鎖線Bで示す位置まで内側にずらした
場合には、対向2端面間の距離で決定されるモードの周
波数が高域側にシフトされ、それによってIDTの周波
数スペクトル上の減衰極に、対向2端面間の距離で決定
されるモードの周波数が一致もしくは近接され、それに
よって上記リップルCの低減が果たされると考えられ
る。
型の分割構造を有するIDTの場合には、IDTの周波
数スペクトルにおける上記減衰極が分割していない場合
に比べて低周波数側にシフトされているので、対向2端
面間の距離を大きくするように端面の位置を決定すれ
ば、上記と同様に対向2端面間の距離で決定されるモー
ドの共振周波数をIDTの共振周波数スペクトル上の減
衰極と一致もしくは近接させることができ、それによっ
て上記のようなリップルを抑制し得ると考えられる。
型、3分割0励振型、4分割0励振型及び2分割2倍励
振型、3分割2倍励振型、4分割2倍励振型の各IDT
を有する端面反射型表面波装置を種々作製し、端面の位
置を、上記の考えのもとに種々変更し、共振特性を測定
した。その結果、0励振型のIDTを有する場合には、
端面の位置をIDTを分割していない場合に比べて内側
に位置させることにより、2倍励振型のIDTを有する
場合には、対向2端面の位置を分割していない場合に比
べて外側とすることにより、上述したリップルCの抑圧
を果たし得ることを確認した。
様で分割されたIDTを有する端面反射型表面波装置に
おいて、電極指の対数により、上述したリップルの大き
さがどのように変化するかを調べた。結果を、図18〜
図27を参照して説明する。
装置におけるリップルCを抑制し得る端面の位置と、電
極指の対数との関係を示す図である。図18において、
実線Kは、2分割0励振型、3分割0励振型及び4分割
0励振型の場合の結果を示す。すなわち、0励振型の分
割構造を有する場合には、分割数の如何に関わらず、リ
ップルCを抑圧し得る電極指の対数と端面位置との関係
は同様であった。
には分割数によって異なり、2分割2倍励振型の場合に
は、破線Lで示す結果となり、3分割2倍励振型の場合
には破線Mで示す結果となり、4分割2倍励振型の場合
には破線Nで示す結果となった。
の如何に関わらず、電極指の対数が増加するにつれてリ
ップルを抑圧し得る端面位置は、分割しない場合に比べ
て近づき、言い換えれば、電極指の対数が少なくなる
程、端面の位置は、分割しない場合に比べてより外側と
することが必要であることがわかる。
に関わらず、電極指の対数が少なくなるにつれて、端面
2b,2cの位置をより内側に位置させることが必要で
あることがわかる。
る位置とは、図19〜図24に示す結果等により求めら
れたものである。すなわち、図19は、2分割0励振型
の端面反射型表面波装置1おいて、電極指の対数を9.
5とした場合の端面の位置とリップルとの大きさとの関
係を示す図である。ここでは、端面の位置がa=−0.
03λ付近の場合、リップルが最も小さくなっているこ
とがわかる。すなわち、図18における実線Kにおい
て、電極指の対数が9.5付近では、リップルを効果的
に抑圧し得るには、端面の位置を−0.03λ付近とす
れば良いことが、図19よりわかる。
反射型表面波装置41において、電極指の対数を9.5
対とした場合の端面の位置とリップルとの大きさとの関
係を示す。図20から、端面の位置を0.03λ付近と
すればリップルを効果的に抑圧し得ることがわかる。
反射型表面波装置1において、電極指の対数を15.5
対とした場合の結果を示し、図22は、2分割2倍励振
型のIDTを有する端面反射型表面波装置41におい
て、電極指の対数を15.5対とした場合の結果を示
す。また、図23は、2分割0励振型のIDTを有する
端面反射型表面波装置1において、電極指の対数を2
1.5対とした場合の結果を示し、図24は、2分割2
倍励振型のIDTを有する端面反射型表面波装置41に
おいて、電極指の対数を21.5とした場合の結果を示
す。
きさは反射特性における位相周波数特性で表されている
が、図25に示すように、位相周波数特性上に現れるリ
ップルの大きさと、伝送特性における挿入損失−周波数
特性上に現れるリップルの大きさとは相関関係がある。
に現れるリップルの大きさを抑圧し得る端面位置によ
り、図2に示したような挿入損失周波数特性上のリップ
ルCを同様に抑制し得ることがわかる。
をもとに、さらに、挿入損失−周波数特性上において、
リップルの大きさが0.5dB以下となる範囲を求め
た。同様に、リップルCの大きさが0.2dB以下とな
る範囲を求めた。結果を図26及び図27に示す。
る端面反射型表面波装置1において、電極指の対数を変
化させた場合、リップルCの大きさが0.5dB以下の
範囲及び0.2dB以下の範囲とするための端面位置を
表す図である。
で挟まれた領域となるように端面の位置を決定すれば、
リップルCの大きさを0.5dB以下とすることがで
き、破線Q,Rで挟まれた領域に位置させれば、リップ
ルの大きさを0.2dB以下とすることができる。
DTを有する端面反射型表面波装置の場合には、好まし
くは、図26の破線O,P間の位置、より好ましくは破
線Q,R間の位置とすれば、上記リップルを効果的に抑
圧し得ることがわかる。
有する場合を説明したが、3分割0励振型及び4分割0
励振型のIDTを有する場合も同様である。図26の破
線O,Pで囲まれた範囲及び破線Q,Rで囲まれた範囲
は、上述した式(1)に基づいて表すことができる。
数スペクトルS(f)はデルタ関数モデルを用いると、
下記の式(2)により求められる。
音速、λ0 =IDTにより定まる波長、A(i)=co
s(iπ)、N=電極指の対数である。他方、基板の対
向2端面間の距離により現れる2Nモードの周波数は次
の式(3)で定まる。
の波長を示し、L=対向2端面間の距離である。従っ
て、リップルとなる2N−2モードの周波数は、下記の
式(4)で表され、分割されていないIDTのスペクト
ルの減衰極の周波数fp と一致する。
は、式(2)がcos(iπ)と等しくならないため、
IDTのスペクトルが変化する。従って、前述したよう
に、2N−2のモードの周波数が減衰極の周波数fp と
一致しなくなり、リップルとなって現れる。このリップ
ルを抑圧するには、前述したように対向2端面間の距離
を変化させ、2N−2モードの周波数を減衰極の周波数
fp と一致すれば良いと考えられる。前述した基板端面
をずらす量、すなわち図1(b)の一点鎖線A,B間の
距離をaとした場合、基板端面間の距離は、L+2aと
なる。
aとし、f2N-2=fp としてaについて式(3)を解く
と、
Tの波長λ0 で規格化すると、下記のように式(1)が
得られる。
は、IDTの対数Nと、f0 /fp の関数となる。式
(2)において、IDTのスペクトルS(f)はfの関
数であり、f/f0の関数でもある。すなわち、分割方
法及び電極指の対数が一定の場合には、IDTのスペク
トルの周波数軸をf0 で規格化することができ、f0 と
fp の比f0/fp が一定となる。よって、式(1)
は、電極指の対数Nが一定の場合には定数となることが
わかる。
端面間の距離を変化させれば、すなわち前述した端面の
位置aを変化させれば、2N−2モードのリップルを抑
圧し得ることがわかる。
を満たすことになるので、図26より、好ましくは、式
(1)で表される値±0.036λの範囲とすれば、メ
インローブよりも低域側において大きく現れるリップル
を0.5dB以下とすることができ、より好ましくは、
式(1)で表される値±0.018λとすれば、リップ
ルの大きさを0.2dB以下とすることができ、それに
よってより一層良好な共振特性の得られることがわか
る。
する端面反射型表面波装置において、リップルを抑圧し
得る電極指の対数と端面位置との関係を示す。破線S,
Tで挟まれた範囲が、リップルの大きさが0.5dB以
下の領域であり、破線U,Vで挟まれた領域がリップル
の大きさが0.2dB以下の領域である。この場合に
も、実線Xが式(1)を満たすため、0励振型のIDT
を有する場合と同様に、式(1)±0.036λ、より
好ましくは、式(1)を満たす値±0.018λとなる
ように端面の位置を決定すれば、同様に、良好な共振特
性を得ることができる。
いため、3分割2倍励振型及び4分割2倍励振型のID
Tを構成した場合にも、式(1)を満たす値を中心と
し、±0.036λの範囲内、好ましくは、式(1)を
満たす値±0.018λの範囲内とすることにより、よ
り一層良好な共振特性を得ることができる。
は、上述した表面波共振子だけでなく、表面波フィルタ
にも適用することができる。すなわち、例えば図28に
回路図で示すラダー型フィルタを構成するにあたり、本
発明に係る端面反射型表面波装置を用いて直列腕共振子
S1〜S3及び並列腕共振子P1〜P3を構成すること
ができる。この場合、直列腕共振子と並列腕共振子とで
は、静電容量を異ならせることが必要であるが、本発明
によれば、IDTの分割数を異ならせることにより静電
容量を容易に異ならせることができる。
ルタとしては、同一の表面波基板上において複数の端面
反射型表面波共振子を構成し、複数の端面反射型表面波
共振子を縦結合または横結合させることにより表面波フ
ィルタを構成してもよい。このような表面波フィルタの
一例を、図29に示す。
1では、表面波基板82上において、端面反射型表面波
共振子83,84が形成されている。端面反射型表面波
共振子83,84は、表面波伝搬方向と直交する方向に
おいて近接されており、それによって横結合型の端面反
射型表面波フィルタが構成されている。
においても、本発明に従って対向2端面82b,82c
の位置を決定することにより、リップルの少ない良好な
フィルタ特性を得ることができる。
割された例のみを示したが、これに限定されるものでは
なく、分割された各IDT部の対数が異なっていてもよ
い。
波装置では、IDTが複数のIDT部に分割されてお
り、隣り合うIDT部間の最も近接し合っている電極指
同士が同電位とされて、該電極指間では励振されないよ
うに構成されており、IDTの表面波伝搬方向の最外側
の幅を残りの電極指の幅と同じと仮想した場合に、該最
外側の電極指の表面波伝搬方向中心よりも内側に位置す
るように表面波基板の対向2端面が形成されているの
で、IDTを分割したことによるIDTの周波数スペク
トル上の2N−2モードの周波数が、対向2端面間の距
離で決定されるモードの周波数と近接され、それによっ
て不要リップルを効果的に抑圧することができる。
や静電容量を高めることができるだけでなく、電極指の
対数の制限をあまり受けることなく、良好な共振特性を
有する端面反射型表面波装置を提供することが可能とな
る。
装置では、IDTが複数のIDT部に分割されており、
隣り合うIDT部間の最も近接し合っている電極指同士
が異なる電位に接続されて該電極間では2倍励振される
ように構成されており、IDTの表面波伝搬方向の最外
側の幅を残りの電極指の幅と同じと仮想した場合に、該
最外側の電極指の表面波伝搬方向中心よりも外側に位置
するように表面波基板の対向2端面が形成されているの
で、IDTを分割したことによるIDTの周波数スペク
トル上の2N−2モードの周波数が、対向2端面間の距
離で決定されるモードの周波数と近接され、それによっ
て不要リップルを効果的に抑圧することができる。
や静電容量を高めることができるだけでなく、電極指の
対数の制限をあまり受けることなく、良好な共振特性を
有する端面反射型表面波装置を提供することが可能とな
る。また、第1,第2の発明に係る端面反射型表面波装
置では、端面の位置を示すaが、式(1)を満たす値±
0.036λの範囲とされているので、不要リップルを
0.5dB以下とすることができ、より一層良好な共振
特性を得ることができる。
す値±0.018λの範囲とした場合には、上記リップ
ルの大きさを0.02dB以下とすることができ、さら
に良好な共振特性を得ることができる。
表面波基板の端面と上面とのなす端縁に至るように形成
されている場合にも、同様の効果が得られる。本発明
は、上記のように、複数のIDT部を有するように分割
されたIDTが設けられた端面反射型表面波装置である
が、本願発明に係る端面反射型表面波装置を複数用意
し、該複数の端面反射型表面波装置を結合してフィルタ
を構成した場合には、IDTの分割によりインピーダン
ス及び静電容量を高めることができるので、インピーダ
ンスや容量が異なる端面反射型表面波装置を容易に構成
することができる。従って、例えばラダー型フィルタを
構成した場合には、直列腕共振子及び並列腕共振子とし
て最適な構成を本発明に係る端面反射型表面波装置を用
いて構成することができるので、良好なフィルタ特性を
容易に得ることができる。
は、帯域フィルタとして用いることができ、その場合、
不要リップルが少ない、良好なフィルタ特性を得ること
が可能となる。
端面反射型表面波装置を説明するための図であり、
(a)は平面図、(b)は端面の位置を説明するための
部分切欠平面図。
面反射型表面波装置1の挿入損失−周波数特性を示す。
λ)の場合の端面反射型表面波装置1の挿入損失−周波
数特性を示す。
λ)の場合の端面反射型表面波装置1の挿入損失−周波
数特性を示す。
λ)の場合の端面反射型表面波装置1の挿入損失−周波
数特性を示す。
λ)の場合の端面反射型表面波装置1の挿入損失−周波
数特性を示す。
λ)の場合の端面反射型表面波装置1の挿入損失−周波
数特性を示す。
λ)の場合の端面反射型表面波装置1の挿入損失−周波
数特性を示す。
施例に係る端面反射型表面波装置を示す平面図。
に他の実施例の端面反射型表面波装置を示す平面図。
他の実施例に係る端面反射型表面波装置を示す平面図。
他の実施例に係る端面反射型表面波装置を示す平面図。
他の実施例に係る端面反射型表面波装置を示す平面図。
の位置と共振周波数との関係を示す図。
の位置とリップルの現れる位置との関係を示す図。
るIDTの周波数スペクトルを示す図。
反射型表面波装置を説明するための平面図。
置との関係を示す図。
数が9.5対の場合の端面位置とリップルの大きさとの
関係を示す図。
対数が9.5対の場合の端面位置とリップルの大きさと
の関係を示す図。
数が15.5対の場合の端面位置とリップルの大きさと
の関係を示す図。
対数が15.5対の場合の端面位置とリップルの大きさ
との関係を示す図。
数が21.5対の場合の端面位置とリップルの大きさと
の関係を示す図。
対数が21.5対の場合の端面位置とリップルの大きさ
との関係を示す図。
特性の位相特性上に現れたリップルの大きさと、伝送特
性の挿入損失−周波数特性上に現れたリップルの大きさ
との関係を示す図。
面反射型表面波装置におけるリップルの大きさが0.5
dB以下及び0.2dB以下の範囲となる端面位置を説
明するための図。
端面反射型表面波装置における、リップルの大きさが
0.5dB以下及び0.2dB以下の端面位置を説明す
るための図。
ラダー型フィルタを説明するための回路図。
例を示す平面図。
Claims (7)
- 【請求項1】 対向し合う一対の端面を有する表面波基
板と、 前記表面波基板に形成された少なくとも1つのインター
デジタルトランスデューサとを備え、インターデジタル
トランスデューサで励振されたSHタイプの表面波が前
記一対の端面間で反射されるように構成されている端面
反射型の表面波装置であって、 前記インターデジタルトランスデューサが、表面波伝搬
方向に沿って複数のIDT部に分割されており、隣り合
うIDT部間で励振されないように、隣り合うIDT部
の最も近接し合っている電極指同士が同電位とされてお
り、 インターデジタルトランスデューサの表面波伝搬方向最
外側の電極指の幅を、残りの電極指の幅と同じと仮想し
た場合に、該最外側の電極指の表面波伝搬方向中心より
も内側に位置するように前記端面が形成され、 前記仮想の最外側の電極指の表面波伝搬方向の中心位置
に対する前記端面の位置をa、SHタイプの表面波の波
長λ、IDTの周波数スペクトルにより得られる中心周
波数f0、該IDTの周波数スペクトルにおける減衰極
の位置f p 、インターデジタルトランスデューサの全体
の電極指の対数をNとしたときに、端面の位置aが、下
記の式(1)を満たす値±0.036λの範囲とされて
いることを特徴とする 、端面反射型表面波装置。【数1】 - 【請求項2】 対向し合う一対の端面を有する表面波基
板と、 前記表面波基板に形成された少なくとも1つのインター
デジタルトランスデューサとを備え、該インターデジタ
ルトランスデューサで励振されたSHタイプの表面波が
前記一対の端面間で反射されるように構成されている端
面反射型の表面波装置であって、 前記インターデジタルトランスデューサが、表面波伝搬
方向に沿って複数のIDT部に分割されており、隣り合
うIDT部間において励振されるように、隣り合うID
T部の最も近接し合っている電極指が異なる電位に接続
されており、 インターデジタルトランスデューサの表面波伝搬方向最
外側の電極指の幅を、残りの電極指の幅と同じと仮想し
た場合に、該最外側の電極指の表面波伝搬方向中心より
も外側に位置するように前記端面が形成され、 前記仮想の最外側の電極指の表面波伝搬方向の中心位置
に対する前記端面の位置をa、SHタイプの表面波の波
長λ、IDTの周波数スペクトルにより得られる中心周
波数f0、該IDTの周波数スペクトルにおける減衰極
の位置f p 、インターデジタルトランスデューサの全体
の電極指の対数をNとしたときに、端面の位置aが、下
記の式(1)を満たす値±0.036λの範囲とされて
いることを特徴とする、請求項1または2に記載の 端面
反射型表面波装置。【数2】 - 【請求項3】 前記端面の位置aが、式(1)を満たす
値±0.018λの範囲とされている、請求項1または
2に記載の端面反射型表面波装置。 - 【請求項4】 前記端面の位置aが、式(1)を満たす
値とされている、請求項1または2に記載の端面反射型
表面波装置。 - 【請求項5】 前記表面波伝搬方向最外側の電極指が、
表面波基板の端面と上面とのなす端縁に至るように形成
されている、請求項1〜4の何れかに記載の端面反射型
表面波装置。 - 【請求項6】 請求項1〜5に記載の端面反射型表面波
装置を複数備え、該複数の端面反射型表面波装置がフィ
ルタを構成するように結合されていることを特徴とす
る、端面反射型表面波フィルタ。 - 【請求項7】 帯域フィルタである、請求項6に記載の
端面反射型表面波フィルタ。
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