JP3339885B2 - 磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents

磁気共鳴イメージング装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、傾斜磁場駆動電流に起
因する静磁場変動により生じる画像ボケをなくし、鮮明
な画像を得ることのできる磁気共鳴イメージング装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】磁気共鳴イメージング(以下、MRIと
略記する。)は、均一な磁場空間内に置かれた被検体に
磁気共鳴を起こさせる高周波パルスを印加する。この時
の微弱な共鳴信号を受信し、傾斜磁場により付加された
位置情報により、2次元的な断層像を得るものであり、
臨床的に実用化されている。このようなMRI装置で
は、静磁場の均一度や、安定度に高い精度が要求され
る。均一度が良くないと一般に再構成画像に歪を生じ、
安定度の低下、すなわち計測中の静磁場強度のふらつき
があると、再構成した画像にボけを生じさせる。これら
の均一度や、安定度はMRI計測において10-5〜10
-6程度が要求される。
【0003】静磁場の安定度は、超電導磁石は比較的安
定であるが、常電導磁石や永久磁石のものは比較的良く
ない。特にイメージングのために傾斜磁場を発生させる
が、この傾斜磁場を発生させるために巻回したコイルに
電流を流す。この電流値が数10A〜数100Aにもな
り、相当の発熱がある。この発熱により、静磁場強度が
変化し、画像ボケを起こす原因となることがある。この
ため、従来は、特開平3−292934 号公報「核磁気共鳴を
用いた検査方法」に記載されているように、計測前と計
測後に静磁場強度を測定し、これを補正するアルゴリズ
ムにより補正していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、計測
前と計測後に静磁場強度を測定する手段を必要とし、構
成が複雑となる問題点があった。また、変動が一次関数
的なものは補正できるが、これ以上高次の変動は補正が
困難である。さらに、スライス切断面に相当する方向の
磁場強度が変化するときには、従来技術では補正できな
いという問題点があった。特に永久磁石方式のMRIで
は、永久磁石の温度係数が比較的大きく、かつ高機能情
報を得るパルスシーケンスでは、傾斜磁場強度が大きく
なり、必然的に強い傾斜磁場電流を必要とし、これによ
る発熱は静磁場変動を起す原因となる。このため、特に
永久磁石方式のMRI装置では、傾斜磁場駆動による静
磁場変動が顕著になるため、この安定化技術が、良い画
像を得るための重要な課題である。
【0005】本発明の目的は上記問題に鑑み、計測パル
スシーケンスにより必要とされる傾斜磁場強度から発熱
量を推定して、これによる静磁場変動分を補正して、安
定な静磁場を得て、ボケのない鮮明な画像を得ることに
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的は、静磁場発生
手段と傾斜磁場発生手段と磁気共鳴のための送受信系と
画像再構成系よりなる磁気共鳴イメージング装置におい
て、静磁場発生手段の磁場変動の起因となる傾斜磁場の
駆動による静磁場強度の変化を検知する静磁場強度変化
検知手段又は傾斜磁場電源電流を検知する傾斜磁場電源
電流検知手段と、この静磁場強度変化検知手段又は傾斜
磁場電源電流検知手段からの検知信号及び静磁場強度の
時間的変化の情報に基づいて静磁場強度を補正する静磁
場強度補正手段とを設けることにより達成される。
【0007】
【作用】静磁場強度変化検知手段は傾斜磁場の駆動によ
る静磁場強度の変化を検知し、また、傾斜磁場電源電流
検知手段は傾斜磁場電源電流を検知する。これらの検知
手段からの信号に加え、静磁場強度の時間的変化(時遅
れ)の情報に基づいて静磁場強度補正手段により、静磁
場強度が補正される。これにより、傾斜磁場の駆動によ
る発熱に起因した静磁場強度の変動が補正され、画像ボ
ケをなくして鮮明な画像を得られることになる。
【0008】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。図1,図2は、各々本発明によるMRI装置の実
施例の要部を示す構成図、図3は、MRI装置の全体構
成を示すブロック図である。MRI装置は、一般に静磁
場系,傾斜磁場系,高周波送信系,高周波受信系,シー
ケンス制御系及び画像再構成表示系で主構成をなす。
【0009】図3において、静磁場系は、被検体1の入
る空間(ガントリ内)に強力で均一な静磁場を発生する
磁気回路、ここでは永久磁石磁気回路2から構成されて
いる。傾斜磁場系は、前記空間に位置情報を付与するた
めの、X,Y,Z方向に勾配をもつ傾斜磁場を発生する
3組の傾斜磁場コイル3と、これに電流を流す傾斜磁場
電源4とから構成されている。高周波送信系は、被検体
1に磁気共鳴現象を起こさせるために高周波磁場を印加
するための送信コイル5と、これを駆動する電力増幅器
6と、基本の高周波を発振する高周波発振器7と、後述
シーケンサ9からの信号により所望の照射波形を発生さ
せるための変調器8とから構成されている。高周波受信
系は、磁気共鳴信号を受信する受信コイル10と、この
信号を増幅する増幅器11と、直交検波器12と、A/
D変換器13とから構成されている。シーケンス制御系
は、後述中央処理装置14からの情報により、磁気共鳴
現象や傾斜磁場強度を制御するシーケンサ9から構成さ
れている。画像再構成表示系は、画像の再構成演算を行
う中央処理装置14と、メモリ16と、再構成された画
像を表示するディスプレイ15とから構成されている。
なお図3中、破線で囲んだ部分はシールドルームを示
す。
【0010】次に、図1を参照して本発明装置の一例を
詳細に説明する。永久磁石磁気回路2中の永久磁石に近
い所にサーミスタ等の温度センサ17を取り付け、その
出力信号を信号変換器18に接続し電気信号を得て、こ
れを関数発生器19に接続する。関数発生器19は前記
永久磁石の温度と磁場強度の関係(特性)より、永久磁
石の温度変化による磁場強度変動を補正するための信号
を発生するものである。このため関数発生器19は、あ
らかじめ出来上った永久磁石磁気回路2について、温度
と磁場強度の関係についてデータを採取し、磁場強度を
一定にするための補正コイル21に流す電流の値を求
め、これを出力可能に設定したものである。この関数発
生器19はアナログ的な折線近似や、A/D変換器とR
OMメモリとD/A変換器により構成することができ
る。この関数発生器19の信号は静磁場補正用パワーア
ンプ20に送られ静磁場を発生するためのコイル21へ
流す電流の信号を発生する。コイル21は静磁場をB0
方向に発生するために巻回されたものであり、通常のヘ
ルムホルツ形のコイルを用いることができる。このよう
な構成により傾斜磁場駆動により温度上昇等の温度差が
検出され、この信号により関数発生器19であらかじめ
決められた信号により補正電流を発生し、静磁場を一定
に保つことが可能である。この方式は温度センサ17の
精度に高い精度を必要とする。実用的なMRI用の永久
磁石磁気回路2は、その永久磁石の材料により、温度係
数が1000ppm/℃ 位である。従ってこれを前述の如
くMRIの計測中に、10ppm 程度に安定させるために
は、0.01℃ 位の検知能力が必要となってくる。
【0011】図2は、温度センサ17を用いない他の実
施例を示す図である。傾斜磁場電源23から傾斜磁場コ
イル22へ電流を流す。この電流は検知器24で検知さ
れ、その検知信号は信号処理器25に与えられる。これ
により信号処理器25は以下のような機能を有澄る。傾
斜磁場電流は傾斜磁場コイル22の抵抗ロスによって発
熱されるが、この発熱と前記永久磁石の温度上昇との関
係は複雑である。すなわち、実際に使用される磁気回路
2は、その永久磁石に10ton 近くもある鉄等で出来た
磁路と接続され一体となって構成されている。さらに、
磁気回路2は図では示していないが、周囲温度の影響を
受けないように断熱構造となっている。このため、相当
な熱時定数を有しており、傾斜磁場駆動電流と静磁場変
化との間には、相当な時遅れが存在する。この関係をあ
らかじめ実験的に求めておく。
【0012】図4はこのような実験により得られた特性
曲線である計測シーケンスを使用した時の静磁場強度の
時間的な変化を示したものである。この例では計測シー
ケンス開始後、αの時間遅れで静磁場強度が変化し始め
ている。このように、傾斜磁場駆動電流の平均値と磁場
変動の関係が解る。この結果より、信号処理器25は主
に時遅れをもつ低域フィルタより構成され、単純な1次
フィルタでも実用的にその機能は達成できる。この信号
処理器25の出力により、静磁場補正用パワーアンプ2
0を駆動し、補正電流を補正巻線コイル21に流すこと
により、傾斜磁場駆動電流により変動する静磁場を補正
し、常に安定な静磁場を得ることが可能となり、ボケの
少ない画像を得ることが出来る。
【0013】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、簡
易な構成で、特に永久磁石を用いた磁気共鳴イメージン
グ装置の計測中の傾斜磁場発生による静磁場変動を補正
でき、静磁場変動に起因する画像ボケをなくし、鮮明な
画像を得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置の一実施例の要部を示す構成図であ
る。
【図2】本発明装置の他の実施例の要部を示す構成図で
ある。
【図3】MRI装置の全体構成を示すブロック図であ
る。
【図4】ある計測シーケンスによりMRI装置を作動し
たときの静磁場強度の時間的変化を示した図である。
【符号の説明】
17 温度センサ 18 信号変換器 19 関数発生器 20 静磁場補正用パワーアンプ 21 静磁場補正用のコイル 22 傾斜磁場コイル 23 傾斜磁場用電源 24 電流検知器 25 信号処理器

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 静磁場発生手段と傾斜磁場発生手段と磁
    気共鳴のための送受信系と画像再構成系よりなる磁気共
    鳴イメージング装置において、静磁場発生手段の磁場変
    動の起因となる傾斜磁場の駆動による静磁場強度の変化
    を検知する静磁場強度変化検知手段又は傾斜磁場電源電
    流を検知する傾斜磁場電源電流検知手段と、この静磁場
    強度変化検知手段又は傾斜磁場電源電流検知手段からの
    検知信号及び静磁場強度の時間的変化の情報に基づいて
    静磁場強度を補正する静磁場強度補正手段とを具備する
    ことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
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