JP3338329B2 - 光触媒フィルム及びその製造方法 - Google Patents

光触媒フィルム及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光触媒フィルム及
びその製造方法に関し、特に自動車、船舶、航空機、建
築物等の汚染防止や防曇用に窓ガラスや鏡等に貼付する
のに好適な光触媒フィルム及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】最近酸
化チタンの光活性が注目され、空気清浄化用、殺菌用、
脱臭用、防曇用、水浄化用、セルフクリーニング用等の
種々の用途への使用が提案されている。酸化チタンの結
晶構造には、正方晶系に属する高温型のルチル型及び低
温型のアナターゼ型、並びに斜方晶系のブルッカイト型
の3種類があるが、一般的に使用されているのは正方晶
系の2つの結晶型であり、なかでもルチル型の酸化チタ
ンが広く使用されているが、光触媒活性に関してはアナ
ターゼ型の方が高い。
【0003】このような光活性を有する酸化チタンは、
400 nm以下の紫外線を吸収すると表面に強い酸化力を示
し、その表面に接触した化合物を分解する。そのため、
例えば酸化チタンを含む表面に汚染物質や匂い物質が付
着すると、それらの物質を酸化分解し、汚れ防止や消臭
の効果を発揮する。また紫外線等の光線を吸収すると表
面が超親水化して水滴が形成されなくなるため、防曇性
を発揮する。
【0004】光触媒活性を有する酸化チタン粒子を基材
表面に固定する方法として、ゾルーゲル法による製膜方
法が提案されている。ゾルーゲル法による製膜方法は一
般に焼成工程を要し、 強固な酸化チタン層の形成が可能
であるので、 セラミックスや金属等の耐火性材料からな
る基材に対しては有効である。 しかしながら、 プラスチ
ックフィルム等のように高温での加熱処理を施すことが
できない基材では、 従来のゾルーゲル法をそのまま適用
することはできない。
【0005】基材表面に酸化チタン層を形成する代わり
に、基材内に酸化チタンを混入させることにより、光触
媒活性を付与しようとする試みもある。例えば、プラス
チックに酸化チタンを混練し、均一に分散させた後でフ
ィルム化すれば、光触媒活性を有するプラスチックフィ
ルムが得られる。しかしながら、大部分の酸化チタン粒
子はプラスチック内に埋没しているので、光触媒活性を
十分に発揮できないという問題がある。また酸化チタン
粉末を均一に分散させた塗料を基材表面に塗布すること
により光触媒塗膜を形成する方法も提案されているが、
この場合も酸化チタンは塗膜中に埋没しているので、同
様に光触媒活性を十分に発揮できないという問題があ
る。
【0006】その上、プラスチック基材上に直接酸化チ
タン層を形成すると、酸化チタンの強い酸化作用によ
り、プラスチックが分解されて臭気や変色、着色等の問
題が生じるおそれがある。このようにプラスチックフィ
ルム等のような基材に酸化チタン系光触媒層を形成する
とともに、臭気、変色、着色等の問題なくその光活性を
十分に発揮できるようにすることが望まれている。
【0007】従って、本発明の目的は、これらの欠点を
解消し、プラスチックフィルム基材を劣化させることな
く形成されたクラックのない光触媒層を有する光触媒フ
ィルム、及びその製造方法を提供することであり、特に
透明で可撓性を有するプラスチックフィルムからなる基
材の片面に光触媒層を形成し他面に粘着剤層を形成する
ことにより、窓ガラスや鏡等に貼付可能な光触媒フィル
ム及びその製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み鋭意検討
の結果、本発明者等は、プラスチックフィルム基材の表
面に酸化チタンからなる光触媒層を形成する前に、基材
上に緻密でかつ酸化チタンとの親和性が良好なバリアー
層を形成しておくことにより、プラスチックフィルム基
材を劣化することなく光活性を十分に発揮させられるこ
とを発見し、本発明に想到した。
【0009】すなわち本発明の光触媒フィルムは、プラ
スチックフィルムからなる基材の一方の面に蒸着した
化珪素からなるバリアー層と、前記バリアー層上に形成
した酸化チタン及び酸化珪素を含有する光触媒層とを
し、前記基材の他方の面に粘着剤層を介して着脱自在な
剥離層を有することを特徴とする。
【0010】また本発明の光触媒フィルムの製造方法
は、(a) 前記プラスチックフィルム基材の一方の面に前
酸化珪素からなるバリアー層を蒸着法により形成し、
(b) 前記基材の他方の面に粘着剤層を形成し、(c) 前記
粘着剤層上に剥離紙を貼付し、(d) 酸化チタン及び珪素
系ゾルを含有する塗布液を前記バリアー層上に塗布する
ことを特徴とする。
【0011】特に好ましい本発明の光触媒フィルムの製
造方法は、(a) 前記プラスチックフィルム基材の一方の
面に前記酸化珪素からなるバリアー層を蒸着法により形
成し、(b) 前記基材の他方の面に粘着剤層を形成し、
(c) 前記粘着剤層上に剥離紙を貼付し、(d) 前記基材全
体を酸化チタン及び珪素系ゾルを含有する塗布液中に浸
漬することにより、前記バリアー層上に酸化チタンを含
有する光触媒層を形成することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 [1] 光触媒フィルムの構成 本発明の光触媒フィルムは、図1に示すように、プラス
チックフィルムからなる基材1の一方の面に酸化物系セ
ラミックスの蒸着層からなるバリアー層2と、前記バリ
アー層2上に形成した酸化チタンを含有する光触媒層3
を有し、好ましい実施例ではさらに基材1の他方の面に
粘着剤層4及び剥離層5を有する。
【0013】(A) 基材 基材1としてはプラスチックフィルムを使用し、特に可
撓性を有する熱可塑性樹脂のフィルムが好ましい。窓ガ
ラスや鏡等に貼付する目的に光触媒フィルムを使用する
場合には、実質的に透明なプラスチックフィルムを使用
するのが好ましい。このような目的及び引張強さや引裂
強さ等の機械的強度の点から、ポリエステル系樹脂フィ
ルムが好ましく、特にポリエチレンテレフタレート樹脂
フィルムが好ましい。プラスチックフィルム基材1の厚
さは必ずしも限定されないが、実用的には50〜200 μm
程度であれば良い。
【0014】(B) バリアー層 上記基材1の少なくとも一方の面に蒸着するバリアー層
2は一般的に酸化物系セラミックスからなる。特に上に
形成する光触媒層中の成分との親和性を考慮して、酸化
珪素(SiO2)又は酸化チタン(TiO2)が好ましい。酸化
珪素の蒸着フィルムはガス不透過性フィルムとして市販
されているので、市販品をそのまま使用してもよい。
【0015】バリアー層2の蒸着方法としては、例えば
スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法、イオンプレ
ーティング法等を挙げることができる。酸化珪素等の酸
化物系セラミックスはプラスチックフィルムに対して特
に親和性を有さないので、バリアー層2の緻密性及びフ
ィルム基材への密着性を向上させるためには、蒸着法を
利用する必要がある。また酸化物系セラミックスの蒸着
層は非常に薄くできるので、バリアー層2の形成後にプ
ラスチックフィルム基材1に変形応力をかけることはな
く、基材1の変形が防止できる。
【0016】バリアー層2の厚さは30〜300 nmであるの
が好ましい。バリアー層2の厚さが30nm未満であると、
基材1のプラスチックフィルムと光触媒層3の分離(プ
ラスチックフィルムの保護)が不十分であり、光触媒フ
ィルム全体に微細なクラックが発生する。またバリアー
層2の厚さを300 nm超としてもフィルム保護効果のさら
なる向上が得られないだけでなく、プラスチックフィル
ム基材1を変形させるおそれがあるので好ましくない。
バリアー層2のより好ましい厚さは50〜100 nmである。
【0017】(C) 光触媒層 光触媒層3は酸化チタンを光活性成分として含有する
が、酸化チタンを固定するためのバインダーを含有する
のが好ましい。
【0018】(1) 酸化チタン微粒子 光触媒層3は酸化チタンの微粒子を含有する。酸化チタ
ン微粒子の粒径が小さいほど光触媒活性が高いので、微
細な酸化チタン粒子を得るために、ゾル−ゲル法により
生成した酸化チタン微粒子を使用するのが好ましい。し
かし、酸化チタンの一次粒子が小さくなるにつれて二次
粒子(一次粒子の凝集体)が大きくなる傾向があるの
で、代わりに酸化チタンゾルを使用してもよい。
【0019】(2) バインダー 酸化チタン微粒子をバリアー層2上に強固に密着させる
ために、光触媒層3は酸化チタン微粒子を均一に分散さ
せるバインダーを含有するのが好ましい。酸化チタンの
活性の維持、下地密着性及び光触媒層の強度の向上のた
めに、バインダー自身もセラミックスゾルであるのが好
ましい。バインダー用セラミックスゾルとしては、一般
式:M(OR)n (ただしMはチタン以外の金属元素で
あり、Rはアルキル基であり、nは金属元素の酸化数で
ある。)により表される金属アルコキシドからゾル−ゲ
ル法により得られたものが好ましい。バインダー用の金
属アルコキシドとしては珪素アルコキシドが好ましく、
例えばSi(OCH3 ) 4、Si(OC2 5 ) 4 、S
i(i−OC3 7 ) 4 、Si(t−OC4 9 )4
が挙げられる。またアルミニウムのアルコキシド(例え
ばAl(OCH3 3 、Al(OC2 5 )3、Al(i
−OC3 7 ) 3 、Al(t−OC4 9 ) 3 等を使用
しても良い。バインダー中のチタン以外の金属成分はバ
リアー層2中の金属成分と同じにすると、親和性が良い
ので、光触媒層3の密着性が良好になる。
【0020】(3) 配合比 酸化チタン微粒子とバインダーとの配合比(重量比)
は、50/50〜80/20程度が好ましい。酸化チタン微粒子
の割合が50重量%未満であると、光触媒活性が不十分で
あり、また80重量%を超えると光触媒層3の強度が不十
分になる。
【0021】(4) 厚さ 光触媒層3の厚さは0.3 〜2μmであるのが好ましい。
0.3 μm 未満では光触媒活性が無く、2μm 以上では光
触媒層表面にクラックが発生する。
【0022】(D) 接着層 光触媒フィルムを他の物体の表面に着脱自在に貼付する
ためには、基材1の他方の面に粘着剤層4を形成する。
粘着剤としては従来から公知の市販品を使用することが
できる。好ましい粘着剤としては、天然ゴム、SBR、
ポリイソブチレン、ポリアクリル酸エステル等が好まし
く、これに粘着付与剤、軟化剤等を添加しても良い。ま
た基材1と粘着剤層4との接着強度を向上させるため
に、基材1の接着面にプライマー層を形成したり、ある
いはコロナ放電や電子線照射等により表面処理しても良
い。
【0023】(E) 剥離層 粘着剤層4に貼付する剥離層5としては、公知のシリコ
ーンコーティングした剥離紙を使用することができる。
【0024】[2] 光触媒フィルムの製造方法 (A) 光触媒層形成用塗布液 光触媒層3を形成するための塗布液としては、酸化チタ
ンゾルとバインダーを形成するセラミックスゾルとの混
合物を主成分とするものが好ましい。酸化チタンゾルは
チタンアルコキシドのゾル−ゲル法による加水分解中間
生成物である。ゾル−ゲル法では、チタンアルコキシド
を出発物質とし、溶液中での化合物の加水分解・重合に
より金属酸化物又は水酸化物のゾル微粒子とする。チタ
ンアルコキシドの好ましい例としては、Ti(OC
3 ) 4 、Ti( OC2 5 ) 4 、Ti( i−OC3
7 ) 4 、Ti(t−OC4 9 ) 4 等が挙げられる。
【0025】チタンアルコキシド及びバインダー生成用
の他の金属のアルコキシドを有機溶媒又は水若しくはこ
れらの混合溶媒に溶解する。有機溶媒としては、メタノ
ール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアル
コールや、エチレングリコール、エチレンオキサイド、
トリエタノールアミン等が挙げられる。得られた溶液に
所定量の加水分解用の触媒を添加する。触媒の例として
は、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸等の酸の他、アルカリ金属
の水酸化物、アンモニア、アミン等が挙げられる。触媒
量は、チタンアルコキシドを100 重量部として、0.01〜
5重量部程度で良い。チタンアルコキシド及び他の金属
のアルコキシドの加水分解は、室温〜80℃の温度で数時
間以上放置しておけば完了する。加水分解により、チタ
ンアルコキシド及び他の金属のアルコキシドは水酸化物
及び/又は酸化物の微粒子となる。ただしアルコキシド
が全てゾル化している必要はなく、一部のアルコキシド
基が残留していてもよい。
【0026】酸化チタンを含む塗布液をバリアー層2上
に均一に塗布するために、ロールコーティング法、スピ
ンコーティング法、ドクターブレードコーティング法、
ディップ法、スプレー法等を利用する。塗布後は、極め
て短時間であれは加熱処理することによりゲル化を促進
させることができるが、その場合にはプラスチックフィ
ルム基材1の変形が起こらないように注意しなければな
らない。
【0027】ディップ法の場合の好ましい態様を図2に
示す。予めプラスチックフィルム基材1の各面にバリア
ー層2、粘着剤層4及び剥離層5を設けてある積層フィ
ルムFを一旦送り出しロール10に巻回し、塗布液Lを収
容する容器12内に送り出す。容器12内にはロール14が浸
漬されているので、積層フィルムFの両面に塗布液Lが
塗布される。塗布液Lが塗布された積層フィルムFをロ
ールを介して乾燥ゾーンDに送給する。乾燥ゾーンDで
は大気中での自然乾燥により光触媒塗布液Lを乾燥させ
ても良いが、必要に応じて基材1の変形が起こらない程
度に低温度又は短時間の加熱を行っても良い。塗布液L
中の酸化チタンゾル及びバインダー(シリカゾル等)は
乾燥工程でゲル化する。大気中での自然乾燥の場合、乾
燥時間はほぼ24時間以上である。得られた光触媒フィル
ムP(ゲル化した光触媒層3を有する積層フィルムF)
は、巻き取りロール18に巻き取る。この方法では剥離紙
上にも光触媒層が形成されるが、剥離紙の剥離により除
去されるので、問題にならない。
【0028】[3] 光触媒層の作用 以上の方法により形成された光触媒層3は下記の作用を
有する。 (イ) 光触媒層3の表面に付着した汚染物質、臭気物質、
菌類等の分解による汚染防止作用、消臭作用及び殺菌作
用。 (ロ) 光触媒層3の表面に付着した水分子(水酸基)によ
る超親水化作用(防曇作用)。 (ハ) 酸化チタンの紫外線吸収による紫外線の透過量の低
減作用。
【0029】その上、基材1上にバリアー層2を介して
光触媒層3が形成されているため、光触媒層3の形成時
に基材1にクラックが発生したり、光触媒層3によりプ
ラスチック製基材1が劣化することがない。
【0030】また基材1が可撓性を有するプラスチック
フィルムからなるので、曲面状の表面に容易に貼付する
ことができる。また容易に任意の形状に切断したり加工
したりすることができる。さらに透明プラスチックフィ
ルム基材とすれば、窓ガラスや鏡に着脱自在に貼付する
のに好適である。
【0031】
【実施例】本発明を以下の具体的実施例によりさらに詳
細に説明するが、本発明はそれらの実施例に限定される
ものではない。
【0032】実施例1 厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート製フィルムの
表面に、真空蒸着法によりそれぞれ厚さ20nm及び80nmの
酸化珪素の薄膜を形成した。次いで各フィルムの酸化珪
素の蒸着層上に、酸化チタンゾルと酸化珪素ゾルとの混
合液(重量比:50/50)をスピンコーティング法によ
り、0.4 〜1.2 μmの厚さに形成した。得られた光触媒
フィルムにロングライフフェードメータにより紫外線を
400 時間照射した後、その性状を顕微鏡(35倍)により
観察し、下記基準により評価した。結果を下記の表1に
示す。 ◎:全くクラックがなかった。 ○:僅かなクラックしかなかった。 △:多くの微細なクラックがあった。 ×:大きなクラックが多数あった。
【0033】
【0034】以上のデータから明らかなように、バリア
ー層がないと光触媒層の形成により微細なクラックが多
く発生し、またバリアー層が厚くなるにつれてクラック
の発生が防止されることが分かる。またバリアー層の厚
さが同じ場合には、光触媒層が厚くなるにつれてクラッ
クの発生量が多くなることが分かる。
【0035】実施例2 厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート製フィルムの
表面に真空蒸着法により厚さ80nmの酸化珪素の薄膜(バ
リアー層)を形成し、また裏面に厚さ20μmのアクリル
系特殊感圧型粘着剤層を介して剥離紙を貼付した。得ら
れた積層フィルムを図2に示すディップ法を適用した。
使用した塗布液Lは、50重量%の酸化チタンゾル及び50
重量%の酸化珪素ゾルを含有する溶液であった。
【0036】塗布液Lに浸漬した後、室温に24時間保持
して塗布層を乾燥・固化させた。形成された光触媒層の
厚さは0.6 μmであった。得られた光触媒フィルムにロ
ングライフフェードメータにより紫外線を400 時間照射
した後、その光触媒層を顕微鏡(35倍)により観察した
ところ、クラックは全く認められなかった。また剥離紙
を剥離した後で透明ガラスの表面に貼付して試験片Aと
し、下記の実験をした。
【0037】(1) 防曇性 試験片Aの光触媒層の表面に呼気を当てて曇りが発生す
るか否かを調べ、次に90℃の温水の蒸気を1時間接触さ
せたところ、いずれも曇りが発生しなかった。
【0038】(2) 汚染防止性 光触媒層を形成した試験片Aと形成していない試験片B
とをそれぞれ屋外に1か月間放置し、表面を肉眼で観察
したところ、試験片Aの方が試験片Bより著しく汚れが
少なかった。またそれぞれの試験片にホースで水を噴射
したところ、試験片Aの汚れは簡単に除去できた。
【0039】(3) 消臭性 微量のアンモニアガスを含む室内に試験片Aを1週間放
置した後で、臭気を調べたところ、室内のアンモニア臭
は非常に低減していた。
【0040】(4) 殺菌性 試験片A及び試験片Bの表面に黴を散布し、高湿気の条
件に1カ月間放置したところ、試験片Bの表面には黴の
コロニーが認められたが、試験片Aの表面には実質的に
黴はなかった。
【0041】(5) 紫外線遮蔽性 試験片A及び試験片Bに紫外線を照射して透過率を測定
したところ、試験片Aの透過率は試験片Bの透過率の7
%であった。
【0042】以上の結果から、本発明の光触媒フィルム
は優れた防曇作用、汚染防止作用、消臭作用、殺菌作用
及び紫外線遮蔽作用を有することが分かる。
【0043】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の光触媒フ
ィルムでは、酸化物系セラミックスからなるバリアー層
を介して光触媒層がプラスチックフィルム基材上に形成
されているため、光触媒層の密着力が著しく向上してお
り、またプラスチックフィルム基材の劣化が防止され
る。そのため光触媒層にクラックが発生しない。また酸
化物系セラミックスからなるバリアー層は緻密な蒸着層
であるため、プラスチックフィルム基材の変形が防止さ
れる。
【0044】基材として透明なプラスチックフィルムを
使用し、片面に粘着剤層を設ければ、窓ガラスや鏡等の
種々の部材に容易に貼付することができ、防曇性、汚染
防止性、セルフクリーニング性、消臭性、殺菌性、紫外
線遮蔽性等を向上させることができる。また光触媒フィ
ルムは着脱自在であるので、かかる特性が低下したら簡
単に張り替えることができるので、便利である。このよ
うな特徴を有する本発明の光触媒フィルムは、自動車、
船舶、航空機、建築物等の窓ガラス等に貼付して使用す
るのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光触媒フィルムの層構成を示す部分
断面図である。
【図2】 光触媒層をディップ法により形成する様子を
示す概略図である。
【符号の説明】
1・・・プラスチックフィルム基材 2・・・バリアー層 3・・・光触媒層 4・・・粘着剤層 5・・・剥離層 10・・・送り出しロール 12・・・容器 14、16・・・ロール 18・・・巻き取りロール D・・・乾燥ゾーン F・・・積層フィルム L・・・光触媒塗布液 P・・・光触媒フィルム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 B01J 35/02

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチックフィルムからなる基材の一
    方の面に蒸着した酸化珪素からなるバリアー層と、前記
    バリアー層上に形成した酸化チタン及び酸化珪素を含有
    する光触媒層とを有し、前記基材の他方の面に粘着剤層
    を介して着脱自在な剥離層を有することを特徴とする光
    触媒フィルム。
  2. 【請求項2】 請求項に記載の光触媒フィルムにおい
    て、前記基材が、厚さ10〜500 μmの実質的に透明なプ
    ラスチックフィルムからなることを特徴とする光触媒フ
    ィルム。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の光触媒フィルム
    において、前記バリアー層の厚さが30〜300 nmであり、
    前記酸化チタン及び酸化珪素を含有する光触媒層の厚さ
    が0.3 〜2μmであることを特徴とする光触媒フィル
    ム。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の光触媒
    フィルムの製造方法において、(a) 前記プラスチックフ
    ィルム基材の一方の面に前記酸化珪素からなるバリアー
    層を蒸着法により形成し、(b) 前記基材の他方の面に粘
    着剤層を形成し、(c) 前記粘着剤層上に剥離紙を貼付
    し、(d) 酸化チタン及び珪素系ゾルを含有する塗布液を
    前記バリアー層上に塗布することを特徴とする光触媒フ
    ィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項に記載の光触媒フィルムの製造
    方法において、前記塗布液を塗布後大気中で自然乾燥す
    ることを特徴とする光触媒フィルムの製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜3のいずれかに記載の光触媒
    フィルムの製造方法において、(a) 前記プラスチックフ
    ィルム基材の一方の面に前記酸化珪素からなるバリアー
    層を蒸着法により形成し、(b) 前記基材の他方の面に粘
    着剤層を形成し、(c) 前記粘着剤層上に剥離紙を貼付
    し、(d) 前記基材全体を酸化チタン及び珪素系ゾルを含
    有する塗布液中に浸漬することにより、前記バリアー層
    上に酸化チタンを含有する光触媒層を形成することを特
    徴とする光触媒フィルムの製造方法。
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