JP3337554B2 - スプリットレザー - Google Patents

スプリットレザー

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、天然皮革から銀面部分
を除いた床革の表面に、ウレタン系樹脂の表皮層を設け
た、所謂スプリットレザーに関し、詳しくは銀面付きの
天然皮革と酷似した外観、風合いを有し、また、銀面付
天然皮革と同様に、折り曲げた時にその折り曲げた部分
の色相が他の部分の色相より白っぽくなる所謂白化調発
色性を有し、さらには型押し加工性に優れたスプリット
レザーに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、銀面を有する天然皮革は、熱
と圧力によるプレス加工で種々の形状に型押しされて
靴、鞄、袋物、雑貨などの本体、あるいは付属品などと
して幅広く用いられている。しかし、銀面を有する天然
皮革は、動物資源が限られていることから、高価であ
り、その代用として天然皮革より銀面を取り除いた床革
の表面にウレタン系樹脂よりなる表皮層を形成した所謂
スプリットレザーが用いられることもあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の床革は、銀面付
の天然皮革の副産物として得られるものであって、比較
的安価に入手することができ、天然皮革よりも安価に上
記の素材として用いることができるが、型押し加工する
と表面に肌荒れを生じ、銀面付天然皮革のように型押し
加工によってシャープな模様を形成することが不可能で
あった。また、銀面付天然皮革は、折り曲げた際に、折
り曲げた部分の色相が他の部分よりも白っぽくなる性質
(以下「白化調発色性」と記すことがある)を有する
が、上記のような従来のスプリットレザーでは、そのよ
うな性質を有するものはなかった。
【0004】本発明は、多量に得られ、かつ安価な天然
素材である床革の優れた特性、例えば裏面のスエード調
の美観や吸放湿性を生かすと共に、表面平滑性、外観の
均一性、風合いに優れ、しかも天然皮革の銀面に酷似し
た高級感のある表皮層を備え、さらには、銀面付天然皮
革と同様に白化調発色性を有し、かつ型押し加工性に優
れたスプリットレザーを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めになされた本発明のスプリットレザーは、床革表面
に、ウレタン系樹脂100重量部に対し、非アルカリ金
属の長鎖脂肪酸塩を10〜70重量部含有するウレタン
系樹脂表皮層を形成してなることを特徴とするものであ
る。上記の非アルカリ金属の長鎖脂肪酸塩としては、ラ
ウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、
リノール酸、およびリノレイン酸から選ばれる少なくと
も一種の脂肪酸と、鉛、亜鉛、カドミウム、バリウム、
マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、リチウム、
およびストロンチウムから選ばれる一種以上金属からな
る化合物で、粒径が3〜50μmのものが好適に使用す
ることができる。
【0006】以下、図面に基づいて本発明を説明する。
図1は、本発明のスプリットレザーの一実施例を示す部
分拡大断面図であり、図中1は本発明のスプリットレザ
ー、2は床革、3は非アルカリ金属の長鎖脂肪酸塩を含
有のウレタン系樹脂表皮層、4は接着剤層である。
【0007】本発明に使用される床革2は、従来のスプ
リットレザーに使用されているものと同様の天然皮革よ
り銀面が除かれ、鞣され、バフ掛けされ、必要に応じて
染色された床革を使用することができる。
【0008】上記の床革2表面に形成されるウレタン系
樹脂表皮層3を構成するウレタン系樹脂としては、従来
よりスプリットレザーの表皮層として用いられているウ
レタン系樹脂、例えば、ポリエステル系ウレタン樹脂、
ポリエーテル系ウレタン樹脂、ポリカプロラクトン系ウ
レタン樹脂、ポリエステル/エーテル共重合系ウレタン
樹脂、ポリカーボネート系ウレタン樹脂、ポリアミノ酸
/ポリウレタン共重合樹脂などの一液型あるいは二液型
(通常は一液型)ウレタン系樹脂を使用することができ
る。また、上記のウレタン系樹脂として、スプリットレ
ザーの諸特性を損なわないものであれば、上記のウレタ
ン系樹脂以外の合成樹脂との共重合体や、ポリ塩化ビニ
ル、合成ゴムなどとの混合物を用いてもよい。
【0009】本発明のウレタン系樹脂には、必要に応じ
て酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、界面活性
剤、帯電防止剤、難燃剤、粘着防止剤、粘着付与剤、充
填剤、架橋剤などの各種添加剤を適宜の量で添加しても
よいし、必要に応じてコラーゲン粉末を添加してもよ
い。
【0010】ウレタン系樹脂に添加される非アルカリ金
属の脂肪酸塩としては、ラウリン酸、パルミチン酸、ス
テアリン酸、オレイン酸、リノール酸、およびリノレイ
ン酸から選ばれる少なくとも一種の脂肪酸と、鉛、亜
鉛、カドミウム、バリウム、マグネシウム、カルシウ
ム、アルミニウム、リチウム、およびストロンチウムか
ら選ばれる一種以上金属からなる化合物が好適であるが
これに限定されるものではない。
【0011】上記の非アルカリ金属の脂肪酸塩として具
体的には、ラウリン酸鉛、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸
カドミウム、ラウリン酸バリウム、ラウリン酸マグネシ
ウム、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸アルミニウ
ム、ラウリン酸リチウム、ラウリン酸ストロンチウム、
パルミチン酸鉛、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸カド
ミウム、パルミチン酸バリウム、パルミチン酸マグネシ
ウム、パルミチン酸カルシウム、パルミチン酸アルミニ
ウム、パルミチン酸リチウム、パルミチン酸ストロンチ
ウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン
酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マ
グネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ア
ルミニウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸スト
ロンチウム、オレイン酸鉛、オレイン酸亜鉛、オレイン
酸カドミウム、オレイン酸バリウム、オレイン酸マグネ
シウム、オレイン酸カルシウム、オレイン酸アルミニウ
ム、オレイン酸リチウム、オレイン酸ストロンチウム、
リノール酸鉛、リノール酸亜鉛、リノール酸カドミウ
ム、リノール酸バリウム、リノール酸マグネシウム、リ
ノール酸カルシウム、リノール酸アルミニウム、リノー
ル酸ストロンチウム、リノレイン酸鉛、リノレイン酸亜
鉛、リノレイン酸カドミウム、リノレイン酸バリウム、
リノレイン酸マグネシウム、リノレイン酸カルシウム、
リノレイン酸アルミニウム、リノレイン酸リチウム、リ
ノレイン酸ストロンチウムなどが挙げられる。
【0012】また、非アルカリ金属の長鎖脂肪酸金属塩
の粒径は、3〜50μmの範囲が好ましい。非アルカリ
金属の長鎖脂肪酸金属塩の粒径が大きすぎると、表皮層
を作製する際に塗布ムラが発生して均一なウレタン系樹
脂表皮層3を形成することが困難となる虞がある。ま
た、粒径が小さすぎると、ウレタン系樹脂表皮層3を形
成するためのウレタン系樹脂溶液配合時の作業性に劣
り、かつ白化調発色性が充分に発揮されず、型押し加工
性も悪化する虞がある。
【0013】また非アルカリ金属の長鎖脂肪酸金属塩の
添加量としては、ウレタン系樹脂100重量部に対し、
10〜70重量部、好ましくは15〜65重量部であ
る。非アルカリ金属の長鎖脂肪酸金属塩の添加量が多過
ぎると、ウレタン系樹脂表皮層3の強度が低下する虞が
あり、添加量が少なすぎると、白化調発色性が充分に発
揮されず、型押し加工性も悪化する虞がある。
【0014】上記のウレタン系樹脂表皮層3は、図1に
示すように、必要に応じて設けられる接着剤層5を介し
て床革2上に積層されている。接着剤層5を形成する接
着剤としては、従来のスプリットレザーに使用されてい
るものであれば、特に制限はないが、通常は二液型のウ
レタン系樹脂製の接着剤が使用される。接着剤として用
いられるウレタン系樹脂としては、表皮層を形成するウ
レタン系樹脂と同様に、例えば、ポリエステル系ウレタ
ン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂、ポリカプロラク
トン系ウレタン樹脂、ポリエステル/エーテル共重合系
ウレタン樹脂、ポリカーボネート系ウレタン樹脂、ポリ
アミノ酸/ポリウレタン共重合樹脂ウレタン系樹脂、あ
るいはこれらとウレタン系樹脂以外の合成樹脂との共重
合体や、ポリ塩化ビニル、合成ゴムなどとの混合物など
が使用できる。また、接着剤層5には、必要に応じて上
記したような各種添加剤を添加してもよい。
【0015】以上の層構成からなる本発明のスプリット
レザー1の製造方法としては、従来のスプリットレザー
と同様の方法が採用される。例えば、離型紙転写法を採
用し、銀面の表面凹凸絞に似せた凹凸模様を表面に有す
る離型紙の該表面凹凸模様形成側に、非アルカリ金属の
長鎖脂肪酸塩を含有するウレタン系樹脂溶液をドクター
ナイフ、コンマドクター、ロールコーター、グラビアコ
ーター、ロータリースクリーン、その他適宜の手段で塗
布し、乾燥させて、ウレタン系樹脂表皮層3を形成させ
る。次いで、上記の表皮層3上に、接着剤層5形成用樹
脂溶液(通常は二液型ウレタン系樹脂溶液)を塗布し、
床革2をウエットラミネート、あるいはドライラミネー
トでもって貼着する。さらに、必要に応じて、熟成工程
に送り、接着剤層5の架橋反応を終了させた後、絞模様
付き離型紙を剥離すれば、該離型紙の表面に形成された
凹凸模様がウレタン系樹脂表面層3に転写され、天然皮
革の表面意匠に近似したウレタン樹脂層3を有する本発
明のスプリットレザー1が得られる。
【0016】本発明のスプリットレザー1は、図1に示
すような、ウレタン系樹脂表皮層3、床革2、接着剤層
5からなるものに限らず、図2に示すように床革2とウ
レタン系樹脂表皮層3の間に中皮層4を設けることもで
きる。
【0017】上記の中皮層4は、通常は表皮層3と同様
に、例えば、ポリエステル系ウレタン樹脂、ポリエーテ
ル系ウレタン樹脂、ポリカプロラクトン系ウレタン樹
脂、ポリエステル/エーテル共重合系ウレタン樹脂、ポ
リカーボネート系ウレタン樹脂、ポリアミノ酸/ポリウ
レタン共重合樹脂ウレタン系樹脂、あるいはこれらとウ
レタン系樹脂以外の合成樹脂との共重合体や、ポリ塩化
ビニル、合成ゴムなどとの混合物などに、必要に応じて
酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、界面活性剤、
帯電防止剤、難燃剤、粘着防止剤、粘着付与剤、充填
剤、架橋剤などの各種添加剤やコラーゲン粉末を添加し
たウレタン系樹脂より構成される。
【0018】中皮層4は、単層であっても、複層であっ
てもよく、複層とする場合はそれぞれが異なる組成から
なるものであってもよい。また表皮層との積層は、接着
剤層5を介在させてもよいし、介在させなくてもよい。
更に、中皮層4は発泡層あるいは微多孔層であってもよ
い。
【0019】
【作用】本発明のスプリットレザーは、ポリウレタン樹
脂表皮層に非アルカリ金属の長鎖脂肪酸塩を含有させる
ことにより、銀面付天然皮革と同様に、白化調発色性を
発現し、また非アルカリ金属の長鎖脂肪酸塩の添加量の
程度に応じてスプリットレザー表面の白化の程度を変え
ることができるため、表面意匠が変化に富んだものとす
ることができる。また、本発明のスプリットレザーは、
熱と圧力を用いて型押し加工した際に、表面に肌荒れが
発生することがなく、銀面付天然皮革と同様に型押し加
工によりシャープな模様を形成することができる。
【0020】
【実施例】以下、具体的な実施例を挙げ、本発明を更に
詳細に説明するが、本発明は以下に挙げる実施例に限定
されるものではない。
【0021】〔実施例1〕毛穴絞模様付離型紙上に、着
色剤を含有し、ポリウレタン樹脂100重量部に対しス
テアリン酸亜鉛(平均粒径3μm)15重量部含有する
一液型のポリエステル系ポリウレタン樹脂溶液(固形分
20%)を、100g/m2 となるように塗布し、10
0℃で3分間の乾燥を行って、乾燥厚み20μmのポリ
ウレタン樹脂表皮層を形成した。得られた表皮層上に、
着色剤を含有しない二液型ポリエステル系ポリウレタン
溶液(固形分50%)を、130g/m2 となるように
塗布し、90℃で3分間乾燥を行った後に、厚さ1.5
mmの床革を貼り合わせた。この後、室温で48時間放
置して、架橋反応を終了させ、離型紙を剥離して、本発
明のスプリットレザーを得た。得られたスプリットレザ
ーは、表面平滑性に優れ、均一な外観を有し、風合いも
ソフトであり、銀面付天然皮革に酷似していた。
【0022】更に、このスプリットレザーを外側に折り
曲げたところ、銀面付天然皮革のように、折り曲げられ
た部分の色相が、他の部分の色相よりも白っぽく変色し
た。また、得られたスプリットレザーに、熱プレス機を
使用して幾何学模様を彫刻したモールドにて型押し加工
を施したところ(加工条件:温度160℃、圧力8kg
/cm2 、時間4秒)、表面の肌荒れもなく、表面に幾
何学模様がシャープに型押しされているスプリットレザ
ーが得られた。
【0023】〔実施例2〕毛穴絞模様付離型紙上に、着
色剤を含有し、ポリウレタン樹脂100重量部に対し
て、ラウリン酸カドミウム(平均粒径10μm)30重
量部含有する一液型ポリエステル系ポリウレタン樹脂溶
液(固形分20%)を、110g/m2 となるように塗
布し、110℃で3分間の乾燥を行って、乾燥厚み22
μmのポリウレタン樹脂表皮層を形成した。得られた表
皮層上に、着色剤を含有しない二液型ポリエステル系ポ
リウレタン溶液(固形分60%)を、120g/m2
なるように塗布し、直後に厚さ1.3mmの床革を貼り
合わせた。この後、室温で48時間放置して架橋反応を
終了させ、離型紙を剥離して、本発明のスプリットレザ
ーを得た。得られたスプリットレザーは、表面平滑性に
優れ、均一な外観を有し、風合いもソフトであり、銀面
付天然皮革に酷似していた。
【0024】更に、このスプリットレザーを外側に折り
曲げたところ、銀面付天然皮革のように、折り曲げられ
た部分の色相が、他の部分の色相よりも白っぽく変色し
た。また、得られたスプリットレザーに、熱プレス機を
使用してパッチワーク模様を彫刻したモールドにて型押
し加工を施したところ(加工条件:温度160℃、圧力
8kg/cm2 、時間4秒)、表面の肌あれもなく、表
面にパッチワーク模様がシャープに型押しされているス
プリットレザーが得られた。
【0025】〔実施例3〕皮絞模様付離型紙上に、着色
剤を含有し、ポリウレタン樹脂100重量部に対して、
ステアリン酸カドミウム(平均粒径10μm)40重量
部含有する一液型ポリエステル系ポリウレタン樹脂溶液
(固形分20%)を、130g/m2 となるように塗布
し、100℃で3分間の乾燥を行って、乾燥厚み26μ
mのポリウレタン樹脂表皮層を形成した。得られた表皮
層上に、着色剤を含有しない二液型ポリエステル系ポリ
ウレタン溶液(固形分50%)を、130g/m2 とな
るように塗布し、90℃で3分間乾燥した後に、厚さ
1.8mmの床革を貼り合わせた。この後、室温で48
時間放置して架橋反応を終了させ、離型紙を剥離して、
本発明のスプリットレザーを得た。得られたスプリット
レザーは、表面平滑性に優れ、均一な外観を有し、風合
いもソフトであり、銀面付天然皮革に酷似していた。
【0026】更に、このスプリットレザーを外側に折り
曲げたところ、銀面付天然皮革のように、折り曲げられ
た部分の色相が、他の部分の色相よりも白っぽく変色し
た。また、得られたスプリットレザーに、熱プレス機を
使用してメッシュ模様を彫刻したモールドにて型押し加
工を施したところ(加工条件:温度160℃、圧力7k
g/cm2 、時間4秒)、表面の肌あれもなく、スプリ
ットレザーの表面にメッシュ模様がシャープに型押しさ
れているスプリットレザーが得られた。
【0027】〔実施例4〕皮絞模様付離型紙上に、着色
剤を含有し、ポリウレタン樹脂100重量部に対して、
ラウリン酸亜鉛(平均粒径10μm)60重量部含有す
る一液型ポリエステル系ポリウレタン樹脂溶液(固形分
20%)を、150g/m2 となるように塗布し、10
0℃で3.5分間の乾燥を行って、乾燥厚み30μmの
ポリウレタン樹脂表皮層を形成した。得られた表皮層上
に、着色剤を含有しない二液型ポリエステル系ポリウレ
タン溶液(固形分50%)を、130g/m2 となるよ
うに塗布し、90℃で3分間乾燥した後に、厚さ1.5
mmの床革を貼り合わせた。この後、室温で48時間放
置して架橋反応を終了させ、離型紙を剥離して、本発明
のスプリットレザーを得た。得られたスプリットレザー
は、表面平滑性に優れ、均一な外観を有し、銀面付天然
皮革に酷似していた。
【0028】更に、このスプリットレザーを外側に折り
曲げたところ、銀面付天然皮革のように、折り曲げられ
た部分の色相が、他の部分の色相よりも白っぽく変色し
た。また、得られたスプリットレザーに、熱プレス機を
使用して花柄模様を彫刻したモールドにて型押し加工を
施したところ(加工条件:温度160℃、圧力8kg/
cm2 、時間4秒)、表面の肌あれもなく、スプリット
レザーの表面に花柄模様がシャープに型押しされている
スプリットレザーが得られた。
【0029】〔比較例1〕ポリウレタン樹脂表皮層を形
成するポリウレタン樹脂溶液に、ステアリン酸亜鉛を含
有させない以外は、実施例1と同様にしてスプリットレ
ザーを得た。得られたスプリットレザーは折り曲げても
白化せず、かつ実施例1と同一条件にて型押し加工した
ところ、表面肌荒れが著しかった。
【0030】〔比較例2〕ポリウレタン樹脂表皮層を形
成するポリウレタン樹脂溶液に、ポリウレタン樹脂10
0重量部に対してステアリン酸亜鉛を5重量部含有させ
る以外は、実施例1と同様にしてスプリットレザーを得
た。得られたスプリットレザーは折り曲げたところ、僅
かに白化したが、その効果が低く、かつ実施例1と同一
条件にて型押し加工したところ、表面肌荒れが発生し
た。
【0031】〔比較例3〕ポリウレタン樹脂表皮層を形
成するポリウレタン樹脂溶液に、ポリウレタン樹脂10
0重量部に対してステアリン酸亜鉛を90重量部含有さ
せる以外は、実施例1と同様にしてスプリットレザーを
得た。得られたスプリットレザーは表皮層の皮膜強度が
弱く、実用に耐えるものではなかった。
【0032】
【発明の効果】本発明のスプリットレザーは、ポリウレ
タン樹脂表皮層中に非アルカリ金属の長鎖脂肪酸塩を添
加することにより、白化調発色性を発現し、従って、銀
面付天然皮革に近い性状を有するスプリットレザーとし
て、靴、鞄、袋物、雑貨などの本体、あるいは付属品な
どとして好適に用いることができる。また、型押し加工
性にも優れるので、銀面付天然皮革と同様に、型押し加
工によってシャープな模様を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスプリットレザーの一実施例を示す部
分拡大断面図である。
【図2】本発明のスプリットレザーの他の一実施例を示
す部分拡大断面図である。
【符号の説明】
1 スプリットレザー 2 床革 3 ウレタン系樹脂表皮層 4 中皮層 5 接着剤層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C14C 9/00 - 11/00 B32B 9/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 床革の表面に、ウレタン系樹脂100重
    量部に対し非アルカリ金属の長鎖脂肪酸塩10〜70重
    量部含有するウレタン系樹脂表皮層を形成させてなるこ
    とを特徴とするスプリットレザー。
  2. 【請求項2】 非アルカリ金属の長鎖脂肪酸塩が、ラウ
    リン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リ
    ノール酸、およびリノレイン酸から選ばれる一種以上の
    脂肪酸と、鉛、亜鉛、カドミウム、バリウム、マグネシ
    ウム、カルシウム、アルミニウム、リチウム、およびス
    トロンチウムから選ばれる一種以上の金属からなる化合
    物である請求項1記載のスプリットレザー。
  3. 【請求項3】 非アルカリ金属の長鎖脂肪酸塩の粒径
    が、3〜50μmの範囲である請求項1または2記載の
    スプリットレザー。
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