JP3337314B2 - 直流機 - Google Patents

直流機

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JP3337314B2
JP3337314B2 JP07648494A JP7648494A JP3337314B2 JP 3337314 B2 JP3337314 B2 JP 3337314B2 JP 07648494 A JP07648494 A JP 07648494A JP 7648494 A JP7648494 A JP 7648494A JP 3337314 B2 JP3337314 B2 JP 3337314B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、回転方向等に応じて最
適なブラシ位置を設定するようにした直流機に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、直流モータや直流発電機等の直
流機では、任意の整流子間がブラシを用いて連結されて
整流が行われるよう構成されている。しかし、電機子コ
イルに発生する誘導起電力やコイルのインダクタンス等
により、整流時の電流変化が非常に遅れ、整流終了時に
おいて電流変化が大きくなるため、電機子コイルの中の
短絡コイルのインダクタンスによって大きなリアクタン
ス電圧が発生する。これがブラシと整流子間に火花放電
を発生させ、整流子表面を粗くして凹凸面を形成する。
このため、ブラシの磨耗量が大きくなり、その寿命が著
しく低下するとともに、ブラシ自体の振動音も大きくな
ってしまうという問題が発生する。
【0003】特にモータ等の小型化を実現するために、
高性能マグネットを利用し、マグネットの薄肉化を行う
と、電機子とステータヨーク間の距離が小さくなる。こ
のため、電機子の磁気抵抗が減少し、前記短絡コイルの
誘導起電力による影響が大きくなり、上述した問題がさ
らに顕著に現れる。
【0004】図15は、一般的な直流機において発生す
る磁束を説明するための図である。同図に示すよう、界
磁用マグネット100,102によって矢印a方向の主
磁束が発生する。また、電機子コイルに通電することに
よりこの主磁束と直交するように矢印bの方向に電機子
磁束が発生する。したがって、それらを合成する磁束は
主磁束の向きからずれた方向となる。このようにして磁
束にずれが生じるため、整流時にブラシによって短絡さ
れていた電機子コイルにおいて誘導起電流が生じること
になり、不足整流の原因となっていた。
【0005】図16は、一般的な整流曲線を示す図であ
る。同図に示すように、理想的には点線108で示すよ
うに整流初期から後期にかけて整流コイルに流れる電流
がI/2から−I/2に直線的に変化する。ところが、
上述した不足整流の場合には、整流時に整流コイルと交
差する磁束が存在するためこの整流コイルは誘導電流を
発生し、電流変化を妨げることになる(一点鎖線110
参照)。したがって、整流終了時の電流変化が非常に大
きくなり、−L(di/dt)なるリアクタンス電圧を
発生し、火花が生じることになる。また、この火花が整
流子表面を粗くして、上述したブラシ摩耗やブラシ音の
増大、あるいは火花による電磁ノイズの増大を招くこと
になる。
【0006】また、上述した整流不良によって出力トル
クが低下し、効率が悪化することにもなる。
【0007】そこで、従来はこのような数々の弊害を引
き起こす原因となる整流不良を取り除くために、いわゆ
るブラシシフトを行っていた。このブラシシフトは、図
17に示すように、磁束のずれθだけブラシの位置をず
らすことにより整流時に整流コイルを通る磁束の変化量
を極力低減することにより、良好な整流特性を得ようと
するものである。
【0008】図18は、自動車用小型モータの一例にお
けるブラシのシフト角とモータ出力およびモータ効率と
の関係を示す図であり、ブラシシフトを行うことによ
り、出力と効率が向上していることがわかる。
【0009】また、図19はブラシのシフト角と火花発
生時のブラシ・整流子間電圧(火花電圧)との関係を示
す図であり、ブラシシフトを行うことにより火花電圧が
低くなっていることがわかる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来のブラシシフトを行う場合には、ブラシを磁束のずれ
方向に応じて一定角度θだけずらすことになるため、回
転方向が一方向に限定され、双方向回転の直流機に適用
できないという問題がある。また、上述した磁束のずれ
θは電機子コイルに流す電流の値によって変化するもの
であるが、ブラシシフトを行ってそのブラシ位置を固定
した場合には、負荷が変動して電機子コイルの通電電流
が変化した場合に生じる整流不良に完全に対応すること
はできないことになる。
【0011】また、上述したブラシシフトを双方向回転
の直流機に適用する従来例として、特開平4−2107
54号公報に開示された「直流電動機」がある。この直
流電動機は、電動機内にブラシを回転方向に応じて移動
させるブラシ駆動用電動機を備えており、正転あるいは
逆転方向に回転させる場合にその回転方向に応じてブラ
シ位置をシフトさせるものである。
【0012】ところが、この公報に開示された直流電動
機においては、内部にブラシ駆動用電動機を備える必要
があるため、構造が複雑となり、小型モータ等に適用す
ることは難しかった。また、構造が複雑になることによ
り、大幅なコスト上昇が避けられなかった。
【0013】本発明は、上述した課題に鑑みて創作され
たものであり、その目的は双方向回転に適用可能であ
り、整流特性を改善することができる直流機を提供する
ことにある。
【0014】また、本発明の他の目的は、負荷変動等に
より電機子コイルに流れる電流値が変化した場合にも整
流特性を改善することができる直流機を提供することに
ある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、請求項1の直流機は、回転軸回りに傾斜したブ
ラシ接触面を有する複数の整流子片を含む整流子と、前
記整流子片に部分的に接触するブラシと、回転の向きに
応じて、前記整流子と前記ブラシとの接触位置を前記回
転軸方向に相対的にずらす移動機構と、を備え、前記移
動機構によって前記整流子が移動したときに、前記ブラ
シと接触する前記整流子片を相対的にずらすことを特徴
とする。
【0016】
【0017】請求項の直流機は、請求項1の直流機に
おいて、前記ブラシに対して前記整流子片が接触する回
転方向の位置を相対的にずらすことにより、前記整流子
片に接続された電機子コイルと前記ブラシとの回転方向
の相対的位置を変更し、等価的にブラシシフトを行うこ
とを特徴とする。
【0018】請求項の直流機は、請求項1または2
直流機において、前記移動機構は、前記整流子が取り付
け固定された前記回転軸を、回転軸方向に加わる荷重に
よって移動させることを特徴とする。
【0019】請求項の直流機は、請求項の直流機に
おいて、前記回転軸にはウォームが連結されており、ウ
ォーム歯車から加わる荷重によって前記回転軸を移動さ
せることを特徴とする。
【0020】請求項の直流機は、請求項または
直流機において、空気抜き穴を有する空気シリンダを含
んでおり、前記回転軸の衝突による衝撃を緩和するスラ
スト軸受け部をさらに含むことを特徴とする。
【0021】
【作用】請求項1の発明は、回転軸回りに傾斜して、す
なわち回転軸に沿って回転方向にずれた位置にブラシ接
触面を有するように各整流子片が形成されており、これ
らの整流子片が集まって整流子を構成している。したが
って、移動機構によってこの整流子とブラシとの回転軸
方向の相対的な位置を変更すると、ブラシに接触する整
流子片が相対的に回転方向に沿ってずれたことになり、
等価的にブラシシフトが行われる。
【0022】請求項1の発明によれば、整流子とブラシ
との相対的位置を変えるだけで等価的にブラシシフトを
行っており、この相対的移動方向を変えることにより双
方向回転に適用することができる。また、回転軸方向に
整流子とブラシ装置との相対位置をずらすだけであるた
め、比較的簡単な構成により整流特性を改善することが
できる。
【0023】
【0024】また、請求項の発明は、上述した整流子
とブラシ装置との相対的な位置関係をブラシシフトと等
価的に取り扱うことが可能であることを明確にしたもの
である。すなわち、上述したように各整流子片は回転軸
に沿って回転方向にずれた位置にブラシ接触面を有して
いるため、整流子を回転せずに整流子とブラシとの回転
軸方向の相対位置をずらすことにより、ブラシと相対す
る整流子片の回転方向の位置が変更されることになる。
換言すれば、ある整流子片とブラシとが接触している場
合の電機子コイルの回転方向の位置は、回転方向のブラ
シ位置が固定であっても整流子とブラシとの回転軸方向
の相対位置を変えたときに変更されるため、機能的にブ
ラシシフトが行われたことになる。これにより、回転方
向が反転した場合であっても、あるいは負荷変動等によ
り電機子コイルへの通電電流に変化が生じた場合であっ
ても、最適な状態で整流特性の改善を行うことができ
る。
【0025】また、請求項の発明は、回転軸に整流子
を取り付け固定しておいて、この回転軸を軸方向に加わ
る荷重を利用して移動させることにより移動機構を構成
しており、整流子を移動させるための駆動源を要しない
ことから、簡単な構造により整流改善が可能となる。
【0026】また、請求項の発明は、上述した回転軸
にウォームが連結されており、ウォーム歯車から加わる
荷重によってウォームを介して回転軸に加わる荷重を利
用している。特に、ウォーム装置ではウォーム歯車の回
転方向を反転させるとウォームに連結された回転軸に加
わる荷重方向も反転するため、上述した整流子の位置の
変更が容易となる。
【0027】また、請求項の発明は、整流子が取り付
け固定された回転軸を移動させた場合に、その軸方向に
設けられたスラスト軸受け部に加わる衝撃を緩和するた
めに、このスラスト軸受け部に空気抜き穴を有する空気
シリンダを含んだものであり、回転方向が変わって回転
軸を反対方向に移動させた場合にその端部で生じる衝撃
を緩和することにより、衝撃音や衝撃による振動あるい
はそれらに起因する破損等を防止することができる。ま
た、空気シリンダは構造も簡単であることから、この機
構を盛り込むことにより大幅にコストが上昇することも
ない。
【0028】
【実施例】以下、本発明の直流機を適用した一実施例に
ついて、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0029】第1実施例 図1は、本発明の直流機を適用した一実施例の直流モー
タの構造を示す図であり、ウォーム減速機構を有する直
流モータの主に回転子周りが詳細に示されている。
【0030】同図に示すように、本実施例の直流モータ
は、各整流子片が螺旋状に傾斜した形状を有する整流子
16を有する回転子10と、この整流子16を介してコ
イル電流を供給するために用いられる一対のブラシ1
8,20と、減速機構を構成するウォーム14およびウ
ォームホイール28とを含んで構成されている。
【0031】回転子10の回転軸12は、その一部に上
述したウォーム14が形成されており、全体が3つの回
転軸受け22,24,26により回転方向に支持されて
いる。また、この回転軸12の両端は、モータハウジン
グの一部とともにスラスト軸受け30,32を形成して
おり、軸方向の荷重を受けるようになっている。
【0032】このような構造を有する本実施例の直流モ
ータは、整流子16の各整流子片の形状を螺旋状に傾斜
して形成するとともに、この整流子16が回転軸方向に
移動可能に形成されている点に特徴がある。すなわち、
スラスト軸受け30,32を構成するモータハウジング
の間隔が、回転軸12の軸長よりも大きく設定されてい
る。そのため、回転軸12の一部に形成されたウォーム
14を回転させると、ウォーム14の歯のねじり方向に
従って軸方向に回転子10全体が移動するようになって
いる。
【0033】図2は、図1に示した整流子16とブラシ
18(あるいは20)との位置関係を示す図である。同
図(A)は、図1に示すように回転子10がウォーム1
4方向に移動して回転軸12の先端がモータハウジング
の一部(スラスト軸受け30)に接触している場合に対
応するものである。このとき、回転子10は図1の矢印
a1方向に回転し、ウォームホイール28は矢印bの方
向に回転している。ここで、回転子10を図1の矢印a
2方向に回転させると、回転子10はウォーム14の歯
のねじり方向に従って矢印cの方向に移動し、回転軸1
2の後端がスラスト軸受け32と接触した後に、ウォー
ムホイール28は矢印bと反対方向に回転する。このと
き、整流子16とブラシ18(あるいは20)との位置
関係は、図2(B)のようになり、したがってブラシ接
触面が相対的に移動することになる。
【0034】上述したように整流子16は、各整流子片
が傾斜して形成されているため、回転軸12の方向にブ
ラシ接触面が移動した場合には、ブラシ18,20と整
流子16の各整流子片との相対的な回転方向の位置がず
れることになるため、等価的にブラシシフトを行ったと
同様の効果が得られることになる。
【0035】次に、このように等価的にブラシシフトを
行った場合の詳細について説明する。
【0036】図3は、ブラシ18,20が図1に示すX
とY(Xは回転子10が矢印C方向に移動した場合の相
対的なブラシ位置)のほぼ中間にある場合の電機子コイ
ル34との関係を示す図である。同図はブラシシフトを
行わない場合に対応する。したがって、図3(A)に示
す本実施例のブラシ18,20と電機子コイル34との
関係は、一般的な直流モータでいえば同図(B)に示し
たものとなる。すなわち、整流期間のほぼ中間において
は、ブラシ装置が2つの整流子片16−2と16−3と
にほぼ均等に接触しており、これら2つの整流子片16
−2と16−3は等電位となってこれらに接続された電
機子コイル34には電流が流れない。ところが、実際に
はこの電機子コイル34に生じる誘導起電力によって所
定方向に電流が流れるため、不足整流が生じることにな
る。このため、整流終了時においてもこの電機子コイル
34に流れる電流は理想的なI/2にはならず、火花が
発生することになる。
【0037】図4は、回転子10を一方向に回転させた
場合のブラシ18,20と整流子16との関係を示す図
であり、図1のa1方向に回転した場合が示されてい
る。すなわち、この場合には回転子10がウォーム14
の方向に移動するため、ブラシ18,20と整流子16
の回転軸方向の相対的位置が図4(A)に示すように移
動する。これを各整流子片を傾斜させていない一般的な
直流モータに置き換えて考えると同図(B)に示すよう
になり、例えば各整流子片の回転方向の幅の半分に相当
する角度だけブラシ18,20をシフトしたものと等価
となる。
【0038】また、反対方向に回転子10を回転させた
場合にも同様のことがいえる。図5は、図1のa2方向
に回転子10を回転させた場合の整流子16とブラシ1
8,20の接触状態を示す図である。すなわち、a2方
向に回転子10を回転させた場合には、回転子10の全
体がウォーム14とは反対方向に移動することになるた
め、ブラシ18,20の接触位置が図5(A)に示すよ
うになる。これは、一般的な直流モータに置き換えると
同図(B)と等価であり、図4に示した場合とは反対方
向にブラシをシフトさせた場合に相当する。
【0039】このように、本実施例の直流モータは、ウ
ォーム減速機構を有するため、回転子10の回転方向と
ウォーム14の歯のねじり方向に応じて整流子16を含
む回転子10全体が軸方向に移動するようになってい
る。また、整流子16は、各整流子片が傾斜した形状を
有しており、整流子16が軸方向に移動した場合にはブ
ラシ18,20と各整流子片との回転方向の相対的な位
置がずれるようになっており、等価的にブラシシフトが
行われる。したがって、一般的にブラシシフトを行った
場合と同様に、不足整流分を改善することにより整流終
了時の急激な電流変化を抑えることができ、火花の発生
を抑えることができる。特に、本実施例の直流モータ
は、整流子16の軸方向の移動量と各整流子片の傾斜角
とにより等価的なブラシシフトの量および方向を任意に
設定することが可能であり、双方向回転に適用すること
ができる。また、ブラシシフト用のモータを別に設ける
必要もなく、構造を複雑化することなく大幅なコスト上
昇を伴うこともない。
【0040】図6は、各整流子片の傾きと等価的なブラ
シシフト量との関係を示す図である。同図に示すOは仮
想的な中心位置であり、これをXあるいはYまで移動さ
せた場合を考える。同図(A)は整流子片の傾きを少な
くした場合であり、反対に同図(B)は整流子片の傾き
を大きくした場合をそれぞれ示している。これらの図に
示すように、同図(B)に示す整流子片の傾きが大きい
場合にはx1に相当する大きなブラシシフト量が確保さ
れる。これに対し、同図(A)に示す整流子片の傾きが
小さい場合には、x1よりも小さなx2に相当するブラ
シシフト量が確保されることになる。
【0041】このように、軸方向の移動量を一定とした
場合には、整流子片の傾き角によって等価的なブラシシ
フト量が決定されることになる。
【0042】図7は、軸方向の移動量と等価的なブラシ
シフト量との関係を示す図である。同図(A)はシフト
量が小さい場合を示しており、反対に同図(B)はシフ
ト量が多い場合を示している。すなわち、軸方向の移動
量が大きい場合には同図(B)に示すように等価的なブ
ラシシフト量y1も大きく、反対に軸方向の移動量が小
さい場合には同図(A)に示すように等価的なブラシシ
フト量y2も小さくなる。
【0043】図8は、本実施例の直流モータにおいて具
体的な等価ブラシシフト量を求める場合の一例を示す図
である。同図において、等価的なブラシシフトを行わな
い場合が点線で示されており、この場合には整流子片1
6−2と16−3の両方にほぼ同等にブラシが接触して
いるものとする。このような状態において、軸方向に整
流子16を移動させた場合の等価的なブラシシフト量
は、同図のθで表されるものとなる。すなわち、整流子
片16−2と16−3との境界をd、整流子片の傾斜方
向に沿ったブラシの中心線をe、回転方向(円周方向)
に沿ったブラシの中心線をfとすると、fと交差するd
およびeとの距離が整流子16の周方向角度θであり、
これが等価的なブラシシフト量θに相当する。
【0044】このように、本実施例においては等価的な
ブラシシフト量θは、整流子片の傾斜角と整流子16の
軸方向の移動量とによって設定されるものであり、不足
整流分を考慮してこれらの値を設定することにより不足
整流を改善することができる。
【0045】図9は、本実施例の変形例を示す図であ
り、整流子16の形状は変えずにブラシ18,20の断
面形状のみを変更した場合が示されている。同図に示す
ブラシ18,20は一般的な直流モータのブラシと同じ
形状を有しており、その断面が長方形(あるいは正方
形)形状となっている。このような形状を有するブラシ
18,20と傾斜した整流子片を有する整流子16とを
組み合わせた場合には、ブラシ18,20が他の整流子
片に接触する整流初期および後期における接触面積の変
化がなだらかになるため、整流終了時における電流変化
もさらになだらかになり、上述した等価的なブラシシフ
トとともに用いることにより整流改善をさらに行うこと
ができる。また、このときの等価的なブラシシフト量θ
は、同図(B)に示すようにfとdおよびeとの各交点
の距離として表すことができる点については図8に示し
た平行四辺形断面を有するブラシの場合とまったく同様
に考えることができる。
【0046】図10はさらに他の変形例を示す図であ
る。同図(A)は整流子片の形状はそのままにしてブラ
シの断面を正方形あるいは長方形としたものであり、図
9に示した場合と同様に一般的な従来のブラシをそのま
ま用いたものである。そして、この長方形断面の対向す
る一辺を各整流子片の傾斜方向に一致させたものであ
る。同図に示す場合であっても整流子を軸方向に移動す
ることにより各整流子片とブラシとの回転方向の相対位
置がずれることになるため、等価的なブラシシフトを行
うことができる。
【0047】また、同図(B)は、長方形断面を有する
ブラシと回転方向に段付き形状を有する整流子片とを組
み合わせた場合が示されている。すなわち、本発明にお
いては整流子16を回転軸方向に移動させた場合にブラ
シ18,20と各整流子片との回転方向の相対位置がず
れればよいことから、同図(B)に示すような段付き形
状とすることもできる。すなわち、整流子16を回転軸
方向にずらして同図の点線に示す位置にブラシが接触し
た場合には、例えば整流子片1枚分に相当する等価的な
ブラシシフトが行われたことになる。
【0048】図11は、スラスト軸受け30,32をさ
らに改善した詳細構造を示す図である。本実施例の直流
モータは回転軸12の軸方向に回転子10の全体が移動
するため、回転方向を変えた直後に回転軸12の先端が
各スラスト軸受け30,32に衝突して衝撃が加わる可
能性がある。そのため、材質等によっては衝撃音を発生
するとともに各スラスト軸受け30,32が破損し易く
なる。図11はその対策の一例を示したものであり、例
えば一方のスラスト軸受け32の詳細構造が示されてい
る。
【0049】このスラスト軸受け32は、ハウジング3
6に設けられた円形断面を有する凹部に円盤状のシール
材38を組み合わせることにより空気シリンダ42が形
成されている。また、このシール材38には、図12に
示すように1つあるいは複数個(例えば4つ)の空気抜
き穴が設けられており、回転軸12によって急激な荷重
が加わった場合であっても、徐々にシール材38が移動
するようになっている。
【0050】例えば、図1に示すようなウォーム14側
に回転子10が移動していた状態においては、図11
(A)に示すようにスプリング40が伸びた状態にあ
る。このときシール材38の端面が回転軸12の端面に
接している。このとき回転子10の回転方向を変える
と、回転子10がスラスト軸受け32側に急に動こうと
するが空気シリンダ42があるため徐々に移動し、同図
(B)に示す位置に最終的に到達する。このような状態
においてさらに回転方向が反転すると、スプリング40
によってシール材38が押出され、同図(A)に示す状
態に復帰する。
【0051】このようにスラスト軸受け30,32を構
成することにより、回転方向が変わった場合であっても
回転軸12の端部がハウジング等に衝突することがなく
なるため、衝突による衝撃音や破損を防止することがで
きる。
【0052】第2実施例 次に、本発明を適用した第2実施例について説明する。
【0053】上述した実施例においては双方向回転の直
流モータにおいて等価的なブラシシフトを行う場合を説
明したが、本実施例は、一方向回転であって負荷の大小
に応じて等価的なブラシシフト量を変更する点に特徴が
ある。すなわち、直流モータの負荷が変われば電機子コ
イルに流れる電流値も変わるため、正確にはこの電流値
に応じて等価的なブラシシフト量を設定することが好ま
しい。
【0054】図13は、VベルトとVプーリを用いた無
段変速機構に本発明の直流モータを適用した場合の概略
を示す図である。
【0055】同図に示すように、上述した無段変速機構
は、Vプーリを構成するプーリ52aと52bの回転軸
方向の距離を可変に制御することにより、Vベルト54
の接触半径を変え、これにより減速比を変化させるもの
である。したがって、このVプーリ52の回転軸方向の
移動を利用して回転子10の全体を回転軸方向に移動さ
せることにより、減速比に応じた等価的なブラシシフト
量の設定を行うことができる。ところで、減速比が変わ
れば直流モータの負荷も変わるため、電機子コイルに通
電する電流量も変化することになる。したがって、この
電流変化に応じて最適なブラシシフト位置も変わること
になり、この位置に等価的なブラシシフト位置を一致さ
せるために整流子16の各整流子片の傾斜や回転子10
の軸方向の移動量を決定すればよい。
【0056】このように、本実施例の直流モータにおい
ては、モータ負荷(すなわち電機子コイルに流れる電流
量の大小)に応じて最適な等価ブラシシフト量を設定す
ることができ、常に最適な整流改善を行うことができ
る。したがって、どのような負荷状態においても整流終
了の際の急激な電流変化を最少限に抑えることができ、
火花の発生あるいはこれに起因する振動および騒音ある
いはブラシの異常摩耗等を防止することができる。
【0057】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が
可能である。
【0058】例えば、上述した第1実施例においては、
ウォーム減速機構から加わる回転軸方向の荷重を利用し
て回転子10の全体を移動させるようにしたが、回転方
向に応じて軸方向の異なる向きに荷重がかかるようなも
のであればこれ以外に適用することもできる。例えば、
図14ははすば歯車が回転軸に取り付けられた場合の直
流モータを示したものである。同図(A)に示すよう
に、回転軸60に一方のはすば歯車62が取り付けられ
ており、これに噛み合うように負荷装置側にはすば歯車
64が取り付けられている。同図(B)はそれぞれのは
すば歯車の1枚の歯に着目した場合を示しており、モー
タ側のはすば歯車62を同図R方向に回転した場合に
は、負荷装置側のはすば歯車64から同図S方向の回転
軸方向の荷重が加わることになる。したがって、回転軸
60を含む回転子の全体をS方向に移動させることがで
きる。また、Rと反対方向にモータを回転させた場合に
はSと反対方向に回転軸方向の荷重が加わるため、回転
軸60を含む回転子の全体がSと反対方向に移動するこ
とができる。
【0059】また、上述した各実施例においては上述し
た直流機として直流モータを考えたが、直流発電機に本
発明を適用することができる。すなわち、直流発電機に
おいてブラシシフトを行う場合のシフト量およびそのシ
フト方向を考慮して各整流子片の傾き量および傾き方向
を設定するとともに回転子の移動量を設定するだけで最
適な整流改善を行うことができる。
【0060】
【発明の効果】上述したように請求項1の発明によれ
ば、整流子とブラシとの回転軸方向の相対的位置を変え
るだけで等価的にブラシシフトを行っており、この相対
的な移動方向を変えるだけでシフト方向を変えることが
できるため双方向回転の直流機に容易に適用することが
できる。また、回転軸方向に回転子とブラシとの相対位
置をずらすだけであるため、比較的簡単な構成により整
流特性を改善することができる。
【0061】また、請求項2の発明によれば、上述した
移動機構が回転の向きに応じて整流子とブラシとの接触
位置を相対的にずらしていたのに対し、電機子コイルへ
の通電電流の大小に応じてこの相対的位置をずらすよう
にしたものであり、負荷変動等により電機子コイルへの
通電電流に変化が生じた場合であっても常に最適な整流
特性の改善を行うことができる。また、請求項1の発明
と同様にこの整流特性の改善はブラシと整流子との回転
軸方向の相対的な位置をずらすだけで実現しているた
め、比較的簡単な構成とすることができる。
【0062】また、請求項3の発明によれば、上述した
整流子とブラシとの相対的な位置関係をブラシシフトと
等価的に取り扱うことが可能であることを明確にしたも
のであり、これにより回転方向が反転した場合であって
も、あるいは負荷変動等により電機子コイルへの通電電
流に変化が生じた場合であっても、等価的なブラシシフ
トを行って最適な状態で整流特性の改善を行うことがで
きることは明らかである。
【0063】また、請求項4の発明によれば、回転軸に
整流子を取り付け固定しておいて、この回転軸を軸方向
に加わる荷重を利用して移動させることにより移動機構
を構成しており、整流子を移動させるための駆動源を要
しないことから、簡単な構造により整流改善が可能とな
る。
【0064】また、請求項5の発明によれば、上述した
回転軸にウォームが連結されており、ウォーム歯車から
加わる荷重によってウォームを介して回転軸に加わる荷
重を利用しており、ウォーム歯車の回転方向を変えると
回転軸方向に加わる荷重方向も反転するため、上述した
整流子の位置の変更が容易となる。
【0065】また、請求項6の発明によれば、スラスト
軸受けに空気抜き穴を有する空気シリンダを含んでお
り、整流子が取り付け固定された回転軸が移動してスラ
スト軸受けに加わる衝撃を緩和することができ、この衝
撃により生じる衝撃音や振動あるいはそれに起因する破
損等を防止することができる。また、空気シリンダは構
造も簡単であることから、この機構を盛り込むことによ
り大幅にコストが上昇することもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例のウォーム減速機構付き直流モータ
の構造を示す図である。
【図2】整流子とブラシとの接触部分を拡大した図であ
る。
【図3】ブラシと電機子コイルとの相対的な位置を示す
図である。
【図4】ブラシと電機子コイルとの相対的な位置を示す
図である。
【図5】ブラシと電機子コイルとの相対的な位置を示す
図である。
【図6】整流子片の傾斜と等価的なブラシシフト量との
関係を示す図である。
【図7】軸方向の移動量と等価的なブラシシフト量との
関係を示す図である。
【図8】等価的なブラシシフト量を求めるための一例を
示す図である。
【図9】第1実施例の変形例を示す図である。
【図10】第1実施例の他の変形例を示す図である。
【図11】スラスト軸受けをさらに改善した一例を示す
図である。
【図12】図11に示したシール材の形状を示す図であ
る。
【図13】無段変速機構に適用した第2実施例の直流モ
ータの構造を示す図である。
【図14】第1実施例の他の変形例を示す図である。
【図15】電機子コイルへの通電による磁束の偏りを説
明するための図である。
【図16】一般的な直流モータの整流曲線を示す図であ
る。
【図17】従来のブラシシフトを説明するための図であ
る。
【図18】従来のブラシシフトとモータ出力および効率
との関係を示す図である。
【図19】従来のブラシシフトとブラシ先端における火
花電圧の関係を示す図である。
【符号の説明】
10 回転子 12 回転軸 14 ウォーム 16 整流子 18,20 ブラシ 22,24,26 回転軸受け 28 ウォームホイール 30,32 スラスト軸受け

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電機子の回転軸回りに傾斜したブラシ接
    触面を有する複数の整流子片を含む整流子と、 前記整流子片に部分的に接触するブラシと、 前記電機子の回転の向きに応じて、前記整流子と前記ブ
    ラシとの接触位置を前記回転軸方向に相対的にずらす移
    動機構と、 を備え、前記移動機構によって前記整流子が移動したと
    きに、前記ブラシと接触する前記整流子片を相対的にず
    らすことを特徴とする直流機。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記ブラシに対して前記整流子片が接触する回転方向の
    位置を相対的にずらすことにより、前記整流子片に接続
    された電機子コイルと前記ブラシとの回転方向の相対的
    位置を変更し、等価的にブラシシフトを行うことを特徴
    とする直流機。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項において、 前記移動機構は、前記整流子が取り付け固定された前記
    回転軸を、回転軸方向に加わる荷重によって移動させる
    ことを特徴とする直流機。
  4. 【請求項4】 請求項において、 前記回転軸にはウォームが連結されており、ウォーム歯
    車から加わる荷重によって前記回転軸を移動させること
    を特徴とする直流機。
  5. 【請求項5】 請求項または請求項において、 空気抜き穴を有する空気シリンダを含んでおり、前記回
    転軸の衝突による衝撃を緩和するスラスト軸受け部をさ
    らに含むことを特徴とする直流機。
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