JP3337094B2 - 水溶性防錆剤 - Google Patents
水溶性防錆剤Info
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Description
造工程において製造した外輪,内輪,転動体及び保持器
の各部品の中間防錆に使用する水溶性防錆剤に係り、特
に、水溶性であるにもかかわらず優れた防錆力と酸化安
定性を有し、且つ転がり軸受の振動特性,音響特性等の
諸性能を損なうことのない水溶性防錆剤に関する。
部品の加工,加工した部品の組み立て,組み立てた軸受
へのグリース封入等の工程を経て行われており、それら
の加工部品の洗浄と軸受内部の防錆を兼ねて、溶剤希釈
形のNP−3タイプさび止め油や潤滑油形のNP−7〜
9タイプのさび止め油などの油性防錆剤が使用されてき
た。これらの油性防錆剤は一般に、塗布膜の厚さ調整の
ため、CFCl13や1,1,1−トリクロロエタン等
のハロゲン化炭化水素溶剤で希釈したものが使用され、
塗布後に乾燥して溶剤を蒸発させることによりさび止め
被膜を形成させている。
環境保護の見地からCFCl13や1,1,1−トリク
ロロエタン等のハロゲン化炭化水素溶剤の使用に対する
規制が強化される傾向にあり、これに伴って上記防錆剤
の希釈にハロゲン化炭化水素溶剤を使用することができ
なくなってきている。
規制は軸受製造にも及んできており、軸受部品の洗浄を
従来の油性防錆剤の代わりに水溶性防錆剤を使用して行
う水系洗浄システムが考えられているが、現在市販され
ている水溶性防錆剤では防錆性が不十分であり、且つ軸
受の音響特性及び振動特性を著しく低下させてしまうと
いう問題点がある。
点に着目してなされたものであり、防錆性および酸化安
定性に優れると共に、軸受の振動特性や音響特性等の諸
性能を損なうことがない水溶性防錆剤を提供することを
目的としている。
発明は、合成スルホン酸のヒドロキシアルキルアミン塩
および脂肪族カルボン酸のヒドロキシアルキルアミン塩
を含むことを特徴とするものである。ここで、前記合成
スルホン酸のヒドロキシアルキルアミン塩5〜80重量
部に対して、前記脂肪族カルボン酸のヒドロキシアルキ
ルアミン塩を20〜95重量部使用するものとすること
ができる。
ホン酸のヒドロキシアルキルアミン塩は、石油スルホン
酸等のアミン塩とは区別されるものであり、アルキル芳
香族をスルホン化処理し、これをモノエタノールアミ
ン,ジエタノールアミン,N−β−アミノエチルエタノ
ールアミン,ジイソプロパノールアミン等のヒドロキシ
アルキルアミン塩にしたものである。当該アルキル芳香
族としてはポリプロペニルベンゼン,ポリドデシルベン
ゼン及びジノニルナフタレンが特に好ましい。
アミン塩は、本発明の水溶性防錆剤組成物全量に対して
5重量部以上、好ましくは20重量部以上配合される。
5重量部未満では防錆性が不十分であると共に、使用対
象とされた軸受の音響特性および振動特性も低下する。
本発明の水溶性防錆剤に含まれる脂肪族カルボン酸とし
ては、飽和および不飽和のモノカルボン酸,飽和および
不飽和のポリカルボン酸,これらの混合物である天然油
脂からの脂肪酸等を挙げることができる。
酸,2−エチルヘキサン酸,ノナン酸,デカン酸,ドデ
カン酸,テトラデカン酸,ヘキサデカン酸,オクタデカ
ン酸等である。不飽和モノカルボン酸の具体例は、10
−ウンデセン酸,Cis−9−オクタデセン酸,Cis
−11−ドコセン酸等である。
二酸オクタン二酸,ノナン二酸,ドデカン二酸等であ
る。不飽和ポリカルボン酸の具体例は、Cis−9,C
is−12−オクタデカジエン酸,Cis−9,Cis
−15−オクタデカトリエン酸等である。天然油脂から
の脂肪酸の具体例は、アマニ油脂肪酸,コメヌカ油脂肪
酸,ナタネ油脂肪酸,ヤシ油脂肪酸,牛脂脂肪酸,イワ
シ油脂肪酸等である。
8〜18の飽和および不飽和モノカルボン酸の使用が特
に好ましい。また、本発明の水溶性防錆剤に含まれるヒ
ドロキシアルキルアミンとしては、前述のモノエタノー
ルアミン,ジエタノールアミン,N−β−アミノエチル
エタノールアミン,ジイソプロパノールアミン等を挙げ
ることができるが、これらのヒドロキシアルキルアミン
は前記脂肪族カルボン酸に対して1.2 〜1.8 当量配合す
ることが好ましい。
ルボン酸のヒドロキシアルキルアミン塩は、水溶性防錆
剤組成物全量に対して20重量部以上、好ましくは40
重量部以上配合される。20重量部未満では防錆性が不
十分であると共に、使用対象とされた軸受の音響特性お
よび振動特性も低下する。本発明の水溶性防錆剤には、
酸化安定性を向上させるために2,6−ジ−第三ブチル
−p−クレゾール,ブチルヒドロキシアニソール,α−
ナフチルアミン,ジステアリルチオジプロピオネート等
の酸化防止剤を使用ことができる。
で、必要に応じて鉱物油,界面活性剤,酸化防止剤,防
腐剤,防かび剤,非鉄金属防食剤,硬水軟化剤等を添加
することができる。本発明の水溶性防錆剤は、清浄な水
で1〜10%に希釈して使用できる。
いて研究を重ねた結果、特定のスルホン酸アミン塩とカ
ルボン酸アミン塩とを組み合わせた水溶性組成物が防錆
性に優れ、しかも軸受の諸特性を損なうことがないこと
を実験的に見いだした。
体的に説明する。 (A)試料の調整:合成スルホン酸のヒドロキシアルキ
ルアミン塩としてジノニルナフタレンスルホン酸トリエ
タノールアミン塩(キング社製、NA−SUL TBA
−LB,商品名)を使用し、これに脂肪族カルボン酸と
して飽和モノカルボン酸および不飽和モノカルボン酸を
添加すると共にヒドロキシアルキルアミンとしてモノエ
タノールアミン,トリエタノールアミン等を添加し、ま
た酸化防止剤として少量の2,6−ジ−第三ブチル−p
−クレゾール(住友化学社製、スミライザーBHT,商
品名)を添加して表1に示す実施例1〜7の試料を調整
した。
ジノニルナフタレンスルホン酸トリエタノールアミン塩
に酸化防止剤だけを添加したもの、及び合成スルホン酸
のヒドロキシアルキルアミン塩に代わりジノニルナフタ
レンスルホン酸バリウム塩(キング社製、NA−SUL
BSN,商品名),石油スルホン酸カルシウム塩(ウ
イトコケミカル製、ブライトンC300,商品名),石
油スルホン酸ナトリウム塩(モルコ社製、M−70,商
品名),酸化パラフィン系防錆剤(アロック社製,Al
ox2268,商品名),鉱物油(粘度,50mm2 /
s,40℃)等を使用しこれに各種脂肪族カルボン酸お
よびヒドロキシアルキルアミンを添加し又は添加しない
ものを調整して、表2に示す比較例1〜5の試料とし
た。
を用いて1,1,1−トリクロロエタンで2回、その後
温メタノールで1回の順で各5分間洗浄し、室内放置で
乾燥した。
で2重量%に希釈した溶液中に、玉軸受外輪を1分間浸
漬した。 軸受外輪を浸漬溶液から取り出し、60℃,10T
orr以下の減圧乾燥器で30秒間乾燥して水分を除去
した。 こうして防錆剤を塗布した軸受外輪をプログラム恒
温恒湿槽に入れて、相対湿度90%,温度20℃および
50℃の条件で各3時間保持するサイクル試験を7日間
行い、さびの発生状況を観察した。
を超音波洗浄器を用いて1,1,1−トリクロロエタン
で2回、その後温メタノールで1回の順で各5分間洗浄
し、室内放置して乾燥した。
で2重量%に希釈した溶液中に、玉軸受を1分間浸漬し
た。 軸受外輪を浸漬溶液から取り出し、60℃,10T
orr以下の減圧乾燥器で30秒間乾燥して水分を除去
した。 こうして防錆剤を塗布した軸受にエステル−リチウ
ム石けん系グリースを注射器を用いて0.035 g封入し、
グリースノイズ試験機(1800rpm,2分間)で軸
受の音響特性および振動特性を調べた。
に準ずる。
を超音波洗浄器を用いて1,1,1−トリクロロエタン
で2回、その後温メタノールで1回の順で各5分間洗浄
し、室内放置して乾燥した。 表1に示した防錆剤組成物を清浄な水で2重量%に
希釈した溶液中に、玉軸受を1分間浸漬した。
0℃,10Torr以下の減圧乾燥器で30秒間乾燥し
て水分を除去した。 乾燥した玉軸受を1試料につき3個作り、同一試料
毎に3個の玉軸受を上下3段に重ねてポリエチレンシー
トで包んだ後、包装材の所々に小さな孔を開けた。
ボンベ(JIS K2220)に入れて、酸素封入圧7.
7 kgf/cm2 ,試験温度100℃,試験時間192
時間で酸化試験(軸受固化試験)を行った。 192時間経過後ボンベより包みを取り出し、室温
まで放冷してから玉軸受を包みから取り出して防錆被膜
の状態,玉軸受の回転状態(手回し),腐食の状態を観
察した。
し ×:被膜固化、玉軸受回転しない、玉軸受腐食あり 以上の試験の結果を表1,2に示す。表1,2から以下
のことが明らかになった。 (a)実施例の水溶性防錆剤を塗布したものは、優れた
防錆性と酸化安定性を有すると共に、軸受の音響特性お
よび振動特性も損なわれない。 (b)合成スルホン酸のヒドロキシアルキルアミン塩に
酸化防止剤を添加しただけの比較例1の場合は、防錆性
と軸受の音響特性および振動特性が不十分である。 (c)脂肪族カルボン酸のヒドロキシアルキルアミン塩
のみを用い界面活性剤で水中に分散させた比較例2の場
合は、防錆性が不十分であり、軸受の音響特性および振
動特性と耐酸化劣化性が劣る。 (d)酸化パラフィン系防錆剤と鉱物油の混合物を界面
活性剤で水中に分散させた比較例3は軸受の音響特性お
よび振動特性が劣り、油性防錆剤である比較例4,5は
防錆性,軸受の音響特性および振動特性,耐酸化劣化性
の全ての点で劣っている。
合成スルホン酸のヒドロキシアルキルアミン塩および脂
肪族カルボン酸のヒドロキシアルキルアミン塩を含むも
のとしたことにより、水溶性防錆剤であるにもかかわら
ず優れた防錆性,酸化安定性を有しており、かつ軸受の
音響特性および振動特性も損なわないことから、軸受の
水系洗浄システムに好適な防錆剤として従来の溶剤希釈
形あるいは油状防錆剤に替わり使用でき、ハロゲン化炭
化水素溶剤の使用規制に対応することができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 合成スルホン酸のヒドロキシアルキルア
ミン塩および脂肪族カルボン酸のヒドロキシアルキルア
ミン塩を含むことを特徴とする水溶性防錆剤。 - 【請求項2】 前記合成スルホン酸のヒドロキシアルキ
ルアミン塩5〜80重量部に対して、前記脂肪族カルボ
ン酸のヒドロキシアルキルアミン塩を20〜95重量部
使用することを特徴とする請求項1記載の水溶性防錆
剤。
Priority Applications (1)
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JP00477594A JP3337094B2 (ja) | 1994-01-20 | 1994-01-20 | 水溶性防錆剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP00477594A JP3337094B2 (ja) | 1994-01-20 | 1994-01-20 | 水溶性防錆剤 |
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JPH07207472A JPH07207472A (ja) | 1995-08-08 |
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JP00477594A Expired - Fee Related JP3337094B2 (ja) | 1994-01-20 | 1994-01-20 | 水溶性防錆剤 |
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Families Citing this family (2)
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---|---|---|---|---|
JP3702069B2 (ja) * | 1997-05-07 | 2005-10-05 | 東洋アルミニウム株式会社 | アルミニウム顔料組成物 |
JP4730432B2 (ja) * | 2001-07-17 | 2011-07-20 | 日本精工株式会社 | 転がり軸受 |
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1994
- 1994-01-20 JP JP00477594A patent/JP3337094B2/ja not_active Expired - Fee Related
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