JP3336853B2 - Iil素子の評価方法 - Google Patents

Iil素子の評価方法

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JP3336853B2 JP08652896A JP8652896A JP3336853B2 JP 3336853 B2 JP3336853 B2 JP 3336853B2 JP 08652896 A JP08652896 A JP 08652896A JP 8652896 A JP8652896 A JP 8652896A JP 3336853 B2 JP3336853 B2 JP 3336853B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、IIL素子の実効
駆動能力を評価する評価方法に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】IIL(Integrated I
njection Logic)素子1は、図13に等価回路で示すよ
うに、pnpトランジスタ2のコレクタとnpnトラン
ジスタ3のベースとを接続して半導体基板上に構成した
ものである。図14は、このIIL素子1を半導体基板
上に構成した場合の平面図を示すものである。IIL素
子1は、pnpトランジスタ2のコレクタ2Cとnpn
トランジスタ3のベース3Bとをp形領域4で共有し、
また、通常は接地されて使用されるpnpトランジスタ
2のベース2Bとnpnトランジスタ3のエミッタ3E
とをn形領域5で共有する構造となっている。そして、
素子間の電気的分離を共有しているn形領域5で行うこ
とから高集積化を図ることができ、また、負荷抵抗の代
わりにpnpトランジスタ2を用いることから消費電力
が低いという特徴を有しており、高速性が要求される論
理回路を構成する場合などに用いられている。
【0003】尚、IIL素子1としては、pnpトラン
ジスタ2のエミッタ2EをインジェクタIと称し、np
nトランジスタ3のベース3B,エミッタ3E及びコレ
クタ3Cを夫々ベースB,エミッタE及びコレクタCと
称している。
【0004】従来、このIIL素子1の駆動能力を評価
する一つの方法として、図15に等価回路で示すよう
に、IIL素子1のインジェクタI及びエミッタEを接
地し、ベースB及びコレクタCにバイアスをかけた状態
で、ベース電流Ib及びコレクタ電流Icを測定し、β
eff (実効逆hfe、若しくは、実効βupと云う)=Ic
/Ibを求めて評価するものがある。この場合のコレク
タ電流Icは、npnトランジスタ3の順方向電流増幅
率をβup,pnpトランジスタ2の逆方向電流増幅率を
αr とすると、 Ic=βup(1−αr )Ib …(1) となるので、実効βupたるβeff は、 βeff =Ic/Ib=βup(1−αr ) …(2) として表される。
【0005】このβeff は、図16に示すように、II
L素子1のベースB及びエミッタEを接地し、コレクタ
Cを開放して、インジェクタIにバイアスをかけた場合
に流れるベース電流Ib′を測定し、図17に示すよう
に、IIL素子1のベースBを開放し、エミッタEを接
地し、コレクタCにバイアスをかけた場合に流れるコレ
クタ電流Ic′を測定して、駆動能力Dを求めるのと等
価である。即ち、 D=βeff =Ic′/Ib′ …(3) として表される。
【0006】例えば、この様なIIL素子によって論理
回路を構成した製品について駆動能力Dの評価を行う場
合は、その製品を構成するための半導体基板(ウエハ)
上に、製品とは別個に評価用素子を作成し、その評価用
素子について評価を行うようにしている。即ち、図14
に示すように、単独のIIL素子1からなる評価用素子
6について、図15乃至図17のようにベース及びコレ
クタ電流Ib及びIcを求めて、(2)若しくは(3)
式から駆動能力Dを算出し、D>1であれば、コレクタ
順方向飽和電流Icが負荷電流(ベース電流)Ibを上
回ることにより正常な回路動作が可能である、と評価し
ていた。
【0007】しかしながら、実際の論理回路は、多数の
IIL素子が集積された状態で構成されているので、集
積された状態における各IIL素子のインジェクタ
(p)−ベース(p)間,ベース(p)−ベース(p)
間には、各IIL素子を電気的に分離しているn形領域
を介して寄生pnpトランジスタが形成されており、こ
の寄生pnpトランジスタがIIL素子の動作に影響を
与えている。
【0008】例えば、エミッタとして形成される高濃度
n形領域の拡散深さが不十分であるか、若しくは、低濃
度n形エピタキシャル基板の厚さが過剰である場合に
は、寄生pnpトランジスタの影響が大きくなり、高電
位にあるベースからそのベースに隣接する低電位のベー
スへと電流が流入する。すると、低電位にあるベースに
接続されているnpnトランジスタに流れる負荷電流
(Ib)が増加することになる。
【0009】従って、(2)若しくは(3)式による駆
動能力Dが1を超えていたとしても、上記の様な場合に
は、IIL素子のベースは高電位状態を維持できず正常
な論理回路動作ができなくなる。即ち、従来のIIL素
子の駆動能力評価方法では、実際に集積回路として構成
された場合の寄生pnpトランジスタの影響が考慮され
ていない、という問題があった。
【0010】本発明は上記課題を解決するものであり、
その目的は、実際に集積回路として構成された場合のI
IL素子の駆動能力を適切に評価することができるII
L素子の評価方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1記載のIIL素
子の評価方法によれば、評価対象のIIL素子の周辺に
一つ以上の評価測定用のIIL素子を配置して形成した
評価用素子グループを用いて、ベース電流及びコレクタ
飽和電流を測定して評価対象素子の実効駆動能力を算出
しその評価を行うので、IIL素子が実際に集積回路と
して構成された場合の寄生pnpトランジスタの影響を
考慮した評価を行うことが可能となる。
【0012】請求項2記載のIIL素子の評価方法によ
れば、評価対象素子内部のpnpトランジスタの逆方向
電流増幅率αr 及びnpnトランジスタの順方向電流増
幅率βup並びに寄生pnpトランジスタの順方向電流増
幅率αsbを夫々測定することにより、評価対象IIL素
子の駆動能力を評価する実効駆動能力を、以下の計算式 Deff =βup(1−αr )/(1+n・αsb) によって算出するので、実際の状態に近い実効駆動能力
Deff を得ることができる。
【0013】請求項3記載のIIL素子の評価方法によ
れば、評価対象のIIL素子の周囲を取囲むように評価
測定用のp形領域を配置して形成した評価用素子グルー
プを用いて、ベース電流及びコレクタ飽和電流を測定し
て評価対象素子の実効駆動能力を算出しその評価を行う
ので、評価用素子グループの面積を縮小することができ
る。
【0014】請求項4記載のIIL素子の評価方法によ
れば、評価対象のIIL素子の周囲を取囲むように評価
測定用のp形領域を配置して評価用素子グループを形成
し、評価対象素子内のpnpトランジスタの逆方向電流
増幅率αr 及びnpnトランジスタの順方向電流増幅率
βup並びに寄生pnpトランジスタの順方向電流増幅率
αsbを夫々測定することにより、評価対象素子の実効駆
動能力Deff を、 Deff =βup(1−αr )/(1+αsb) によって算出するので、評価用素子グループの面積を縮
小することができると共に、より実際の状態に近い実効
駆動能力Deff を得ることができる。
【0015】請求項5記載のIIL素子の評価方法によ
れば、実効駆動能力の値が1を超えるか否かによって評
価を行うことにより、IIL素子が最低限必要な駆動能
力を有しているか否かを評価することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1実施例につい
て図1乃至図3を参照して説明する。図1(a)は、I
IL素子を6個配置して構成した評価用素子グループた
るTEG(Test Element Group)10の平面図であり、
同図(b)は、同図(a)におけるX−X′断面(評価
対象IIL素子11の断面)を示す摸式的な断面図、同
図(c)は、同図(a)におけるY−Y′断面(評価測
定用のIIL素子12及び評価対象のIIL素子11に
係る断面)を示す摸式的な断面図である。尚、以下で
は、各素子のインジェクタ(I),ベース(B),コレ
クタ(C)及びエミッタ(E)を表すのに、各素子の符
号に、I,B,C及びEを付して示す。
【0017】評価対象のIIL素子(以下、評価対象素
子と称す)11及び評価測定用のIIL素子(以下、評
価測定用素子と称す)12乃至16は、p形のシリコン
基板17上に形成されている。図1(b)において、p
形のシリコン基板17にアンチモン(Sb)を拡散して
高濃度n形の埋込み層18が形成され、その埋込み層1
8上に低濃度n形のエピタキシャル層19が形成されて
いる。
【0018】評価対象素子11は、エピタキシャル層1
9にボロン(B)を拡散させて高濃度p形のインジェク
タ領域20(11I)を形成し、同じくエピタキシャル
層19にボロン(B)を拡散させてp形のベース領域2
1(11B)を形成し、更に、このベース領域21内に
燐(P)を拡散させて高濃度n形のコレクタ領域22
(11C)を形成してなるものである。尚、評価測定用
素子12乃至16についても、評価対象素子11と同様
に形成されている。
【0019】加えて、エピタキシャル層19には、燐
(P)を深く拡散させて高濃度n形のエミッタ領域23
(E)が形成されており、その先端部分は、埋込み層1
8の一部分とオーバーラップしている。この、エミッタ
領域23は、図1(a)に網目状斜線で示すように、各
素子11乃至16相互間に形成されており、評価対象素
子11及び評価測定用素子12乃至16を夫々電気的に
分離するようになっている。
【0020】また、実際は、上記各領域にはコンタクト
部が設けてあり、そのコンタクト部に蒸着などによるア
ルミニウム配線が施されているが、図1(a)において
は図示を省略している。以上がTEG10を構成してい
る。尚、このTEG10は、IIL素子によって実際に
集積回路を製品として構成するための半導体基板上に、
製品とは別個に構成されているものである。
【0021】次に、上記構成のTEG10において、本
発明において新たに定義する評価対象素子11の実効駆
動能力Deff の算出及び評価方法について図2及び図3
をも参照して説明する。 負荷電流(ベース電流)Ibの測定 図2は、評価対象素子11の負荷電流Ibを測定する場
合における、等価回路で表されたTEG10の結線状態
を示すものである。評価対象素子11のベース11B及
び各素子11乃至16のエミッタ11E乃至16Eを接
地し、各素子11乃至16のコレクタ11C乃至16C
を全て開放(オープン)する。そして、評価測定用素子
12乃至16のベース12B乃至16B及び各素子11
乃至16のインジェクタ11I乃至16Iを高電位(シ
リコンpn接合の拡散電位相当である約0.7V)にバ
イアスする。
【0022】この状態で、評価対象素子11のベースに
流込む負荷電流Ibを測定するが、このTEG10に
は、図2において接続を破線で示すように、評価対象素
子11のベース11Bと評価測定用素子12及び13の
インジェクタ12I及び13Iとの間に寄生pnpトラ
ンジスタ24及び25が存在し、評価対象素子11のベ
ース11Bと評価測定用素子12乃至16のベース12
B乃至16Bとの間に寄生pnpトランジスタ26及び
30が存在している。
【0023】これらの寄生pnpトランジスタ24乃至
30の影響を考慮して、負荷電流Ibを式で表すと、次
式のようになる。 Ib=αf ・Ii +2αsi・Ii +n・αsb・IB …(4) 但し、Ii :各素子11乃至16のインジェクタ注入電
流 IB :評価測定用素子12乃至16のベース注入電流 αf :評価対象素子11のpnpトランジスタの順方向
電流増幅率 αsi:寄生pnpトランジスタ24及び25の順方向電
流増幅率 αsb:寄生pnpトランジスタ24乃至30の順方向電
流増幅率 n:ベース−ベース間寄生pnpトランジスタ数
【0024】尚、この場合nは、寄生pnpトランジス
タ24乃至30の数の5であり、また、実際の順方向電
流増幅率αsbは、評価対象素子11と評価測定用素子1
2乃至16との配置関係により異なる値を示す。よっ
て、例えば(4)式において評価する場合に、ベース−
ベース間寄生pnpトランジスタについては、評価対象
素子11のベース領域21に対して対向長の長いベース
領域を有しており、影響が大きいと思われる評価測定用
素子12及び13との間に存在する寄生pnpトランジ
スタ26及び27のみを考慮しても良い。その場合
(4)式は、 Ib=αf ・Ii +2αsi・Ii +2・αsb・IB …(5) となる。
【0025】コレクタ飽和電流Icの測定 図3は、評価対象素子11のコレクタ飽和電流Icを測
定する場合における、等価回路で表されたTEG10の
結線状態を示すものである。評価対象素子11のベース
11Bを開放し、評価測定用素子12乃至16のベース
12B乃至16B及び各素子11乃至16のエミッタ1
1E乃至16Eを接地し、評価測定用素子12乃至16
のコレクタ12C乃至16Cを全て開放する。そして、
各素子11乃至16のインジェクタ11I乃至16Iを
図2と同様に高電位にバイアスし、評価対象素子11の
コレクタ11Cを高電位(約0.1V〜0.7V)にバ
イアスする。
【0026】この状態で、評価対象素子11のコレクタ
飽和電流Icを測定する。また、この場合のコレクタ飽
和電流Icを、寄生pnpトランジスタ24乃至27の
影響を考慮して式で表すと、次のようになる。先ず、こ
の場合の評価対象素子11のnpnトランジスタのベー
スに流込むベース電流Ib′は、 Ib′=(1−αr )IB …(6) となる。ここで、αr は評価対象素子11のpnpトラ
ンジスタの逆方向電流増幅率である。
【0027】また、評価対象素子11のベース11Bに
注入される電流IB は、 IB =αf ・Ii +2αsi・Ii …(7) であり、コレクタ飽和電流Icは、 Ic=βup・Ib′=βup(1−αr )IB …(8) と表される。但し、βupは、評価対象素子11における
npnトランジスタの順方向電流増幅率である。尚、こ
の場合、寄生pnpトランジスタ28乃至30の影響は
小さいため無視している。
【0028】実効駆動能力Deff の評価 及びで得られた負荷電流Ib及びコレクタ飽和電流
Icから、評価測定用素子11の実効駆動能力Deff
を、以下のように求める。
【0029】 Deff =Ic/Ib=βup(1−αr )IB /(IB +n・αsb・IB ) =βup(1−αr )/(1+n・αsb) …(9)
【0030】ここで、実効駆動能力Deff の値をどのよ
うに評価するかについて述べる。IIL素子の論理ハイ
レベルVh と出力反転電位Vthとは、次式で表される。 Vh =Vi +(kT/q)ln(αf ) …(10) Vth=Vi +(kT/q) ×ln[αf (1+n・αsb)/{βup(1−αr )}]…(11) 但し、 Vi :インジェクタ供給電圧(V) k:ボルツマン定数(1.38E−23J/K) T:絶対温度(K) q:電子の電荷量(1.6E−19C)
【0031】IIL素子のノイズマージンをδVとする
と、そのδVは、論理ハイレベルVh と出力反転電位V
thとの差で表されるので、 δV=Vh −Vth =(kT/q)ln[βup(1−αr )/(1+n・αsb)] =(kT/q)ln(Deff ) …(12) となる。論理ハイレベルを維持するためには、ノイズマ
ージンδVは正となる必要がある。従って、(12)式
において、δV>0を満たすためにはDeff >1がその
条件となる。
【0032】即ち、及びで得られた負荷電流Ib及
びコレクタ飽和電流Icから、評価測定用素子11の実
効駆動能力Deff をIc/Ibから求め、その実効駆動
能力Deff が1を超えるか否かによって、実際に集積回
路として構成した場合の寄生pnpトランジスタの影響
をも考慮した評価測定用素子11の駆動能力(実効駆動
能力)を評価することができる。
【0033】以上のように本実施例によれば、評価対象
素子11の周辺に形成された5つの評価測定用素子12
乃至16のベース12乃B至16B及び全素子11乃至
16のインジェクタ11I乃至16Iを高電位にバイア
スして、評価対象素子11の接地されたベース11Bに
流入するベース電流Ibを測定し、評価測定用素子12
乃至16のベース12B乃至16Bを接地し、且つ、評
価対象素子11のベース11Bを開放した状態で評価対
象素子11のコレクタ11Cに流れるコレクタ飽和電流
Ic測定して、Ic/Ibを実効駆動能力Deff として
求め、その実効駆動能力Deff が1を超えるか否かによ
って評価対象素子11の駆動能力を評価した。
【0034】従って、評価対象素子11が、実際に集積
回路として構成された場合の寄生pnpトランジスタの
影響を考慮した上で、評価対象素子11が最低限必要な
駆動能力を有しているか否かを評価することができる。
また、この評価方法を用いることによって、評価対象素
子11を高集積化する場合における集積度の限界を見極
めることも可能である。
【0035】図4は、本発明の第2実施例を示すもので
あり、第1実施例と異なる部分のみ説明する。TEG3
1の平面図を示す図4において、評価素子グループたる
TEG31では、評価対象素子32の周囲に第1実施例
と同様の配置で評価測定用素子33乃至37を配置して
いるが、インジェクタ領域38,39及び40は、左側
に配置されている評価対象素子32,評価測定用素子3
3及び34と右側に配置されている評価測定用素子3
5,36及び37との間に形成されており、左右両側の
素子間で共通化されている。また、評価対象素子32
は、3個のコレクタ領域32c1,32c2及び32c
3を有するマルチコレクタ構成となっており、評価測定
用素子33乃至37も同様に構成されている。
【0036】以上のように構成されたTEG31におい
ても、第1実施例と同様の手順で評価対象素子32の実
効駆動能力Deff を求めて評価を行うことにより、第1
実施例と同様の効果を得ることができる。
【0037】図5は、本発明の第3実施例を示すもので
あり、第2実施例と異なる部分のみ説明する。TEG4
1の平面図を示す図5において、TEG41は、図4に
おけるTEG31の左側に配置された3個の素子を削除
し、右側にのみ3個の素子を配置した構成となってい
る。それら3個の素子のうちで中間に配置されているの
が評価対象素子42であり、その上下に配置されている
のが評価測定用素子43及び44である。
【0038】また、インジェクタ領域45は、図4に示
すインジェクタ領域38,39及び40を一つに共通化
した構成になっている。斯様に構成されたTEG41に
おいて、第1実施例と同様の手順で評価対象素子42の
実効駆動能力Deff を求めて評価を行うことにより、第
1実施例と略同様の効果を得ることができると共に、よ
り小さい面積でTEG41を構成することができ、同一
の半導体基板上に作成される製品用チップの面積をより
多く取ることができる。
【0039】図6乃至図9は、本発明の第4実施例を示
すものであり、第3実施例と異なる部分のみ説明する。
TEG46の平面図を示す図6において、評価測定用素
子グループたるTEG46は、図5におけるTEG41
の評価対象素子42の上下に配置されている2個の評価
測定用素子のうちの1個を省略して更に面積を縮小した
構成であり、評価対象素子47及び評価測定用素子48
は共通のインジェクタ領域49を有する。
【0040】斯様に構成されたTEG46に対して、第
1実施例と同様の手順で評価対象素子47の実効駆動能
力Deff を求めて評価を行ってもよいが、各パラメータ
αr,αsb及びβupを個別に測定することにより、
(9)式に従って演算により実効駆動能力Deff を求め
ても良い。即ち、次の手順に従って求める。 評価対象素子47のインジェクタ47Iを接地し、コ
レクタ47Cを開放し、且つ、ベース47Bを高電位に
バイアスした状態で流れるベース電流Ib1とインジェク
タ電流Ii1とを測定して、pnpトランジスタの逆方向
電流増幅率αr=Ii1/Ib1を得る(図7参照)。
【0041】評価対象素子47のエミッタ47E及び
ベース47Bを接地し、インジェクタ47I及びコレク
タ47Cを開放し、且つ、評価測定用素子48のエミッ
タ48Eを接地し、インジェクタ48I及びコレクタ4
8Cを開放し、ベース48Bを高電位にバイアスした状
態で、評価測定用素子48のベース48Bに流れるベー
ス電流Ib2と評価対象素子47のベース47Bに流れる
ベース電流Ib3とを測定し、ベース−ベース間寄生pn
pトランジスタ50の順方向電流増幅率αsb=Ib3/I
b2を得る(図8参照)。
【0042】評価対象素子47のエミッタ47Eを接
地し、インジェクタ47Iを開放し、ベース47B及び
コレクタ47Cを高電位にバイアスした状態で流れるベ
ース電流Ib4とコレクタ電流Ic1とを測定し、評価対象
素子47のnpnトランジスタの順方向電流増幅率βup
=Ic1/Ib4を得る(図9参照)。 ,及びで測定した各パラメータαr ,αsb及び
βupを(9)式に代入して、また、n=2として実効駆
動能力Deff を求めて評価する。
【0043】第4実施例において、第1実施例と同様に
ベース電流Ib及びコレクタ飽和電流Icを測定してI
c/Ibにより実効駆動能力Deff を求めると、ベース
−ベース間寄生pnpトランジスタの数は1個だけしか
考慮されないが、上記のように各パラメータαr ,αsb
及びβupを(9)式に代入して実効駆動能力Deff を求
めることにより、前記寄生pnpトランジスタの数を2
個として考慮することになるので、少ない面積でTEG
46を構成しても実際の集積回路の状態に近い実効駆動
能力Deff を得ることができる。
【0044】図10乃至図12は、本発明の第5実施例
を示すものである。TEG51の平面図を示す図10に
おいて、評価測定用素子グループたるTEG51は、評
価対象素子52の周囲を取囲むようにしてp形領域(評
価測定用のp形領域)53が配置されて形成されてい
る。斯様に構成されたTEG51に対して、第1実施例
のように直接負荷電流Ib及びコレクタ飽和電流Icを
測定して実効駆動能力Deff を得ても良いし、第4実施
例のように、各パラメータαr ,αsb及びβupを個別に
測定して演算により実効駆動能力Deff を求めても良
い。即ち、次の手順に従って求める。
【0045】評価対象素子52のベース52B及びエ
ミッタ52Eを接地し、且つ、コレクタ52Cを開放し
た状態でインジェクタ52I及びp形領域53を高電位
にバイアスし、負荷電流Ibを測定する(図11参
照)。この場合、評価対象素子52のベース52Bとp
形領域53との間には、寄生pnpトランジスタ54が
存在しているので、負荷電流Ibの式は、 Ib=αf ・Ii +αsb・IB …(12) となる。
【0046】評価対象素子52のエミッタ52E及び
p形領域53を接地し、ベース52Bを開放した状態で
コレクタ52C及びインジェクタ52Iを高電位にバイ
アスし、コレクタ飽和電流Icを測定する。この場合の
Icの式は、 Ic=βup(1−αr )IB …(13) となる。但し、IB =αf ・Ii である。 及びで測定したIb及びIcの比から実効駆動能
力Deff を求めて評価する。
【0047】また、第4実施例において図7乃至図9に
示したように、評価対象素子52(評価対象素子4
7),p形領域53(評価測定用素子48のベース48
B)及び寄生pnpトランジスタ54(寄生pnpトラ
ンジスタ50)の間で各パラメータαr ,αsb及びβup
を測定し、これらを(9)式に代入して実効駆動能力D
eff を求めて評価しても良い。このように実効駆動能力
Deff を求めれば、評価測定用素子の代わりにp形領域
53を形成してなるTEG51においても、実際の集積
回路の状態に近い実効駆動能力Deff を得ることができ
る。
【0048】以上のように第5実施例によれば、評価対
象素子52の周囲を取囲むようにしてp形領域53を形
成することによりTEG51を構成し、評価対象素子5
2及びp形領域53に対し適当なバイアスを施して負荷
電流Ib及びコレクタ飽和電流Icを測定し実効駆動能
力Deff を求めたので、非常に少ない面積のTEG51
によって、寄生pnpトランジスタの影響を考慮した測
定を行うことが可能となる。
【0049】また、評価対象素子52,p形領域53及
び寄生pnpトランジスタ54の間で各パラメータαr
,αsb及びβupを測定し、これらのパラメータから実
効駆動能力Deff を算出したので、評価測定用素子の代
わりにp形領域53を形成してなるTEG51において
も、現実の集積回路の状態に近い実効駆動能力Deff を
得ることができる。
【0050】本発明は上記しかつ図面に記載した実施例
にのみ限定されるものではなく、次のような変形または
拡張が可能である。第1及び第2実施例において、第4
実施例のように各パラメータαr ,αsb及びβupを測定
し、(9)式により実効駆動能力Deff を算出しても良
い。この場合、n=2または5として良く、また、寄生
pnpトランジスタ28及び30と寄生pnpトランジ
スタ29とについて別個に順方向電流増幅率αsbを測定
して、夫々を別個に足し合わせるようにしても良い。更
に、第3実施例についても、第4実施例のように(9)
式によって実効駆動能力Deff を算出しても良い。評価
対象素子の評価は、実効駆動能力Deff が「1」を超え
るか否かによるものに限らず、適宜のマージンを考慮す
る等して「1」より大なる値を設定し、実効駆動能力D
eff がその値を超えるか否かによって評価しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示すTEGの構造を示す
ものであり、(a)は平面図,(b)は(a)における
X−X′断面を摸式的に示す断面図,(c)は(a)に
おけるY−Y′断面を摸式的に示す断面図
【図2】負荷電流Ibの測定状態を示すTEGの等価回
路図
【図3】コレクタ飽和電流Icの測定状態を示す図2相
当図
【図4】本発明の第2実施例を示すTEGの平面図
【図5】本発明の第3実施例を示す図4相当図
【図6】本発明の第4実施例を示す図4相当図
【図7】IIL素子のpnpトランジスタの逆方向電流
増幅率αr の測定状態を示す等価回路図
【図8】評価対象素子のベースと評価測定用素子のベー
スとの間に存在する寄生pnpトランジスタの順方向電
流増幅率αsbの測定状態を示す図7相当図
【図9】IIL素子のnpnトランジスタの順方向電流
増幅率βupの測定状態を示す図7相当図
【図10】本発明の第5実施例を示す図4相当図
【図11】図2相当図
【図12】図3相当図
【図13】従来の評価用素子の構成を示す等価回路図
【図14】図4相当図
【図15】βeff (実効βup)測定回路図
【図16】ベース電流Ib′の測定状態を示す等価回路
【図17】コレクタ電流Ic′の測定状態を示す図16
相当図
【符号の説明】
10はTEG(評価測定用素子グループ)、11は評価
対象IIL素子、12乃至16は評価測定用IIL素
子、24乃至30は寄生pnpトランジスタ、31はT
EG(評価測定用素子グループ)、32は評価対象II
L素子、33乃至37は評価測定用IIL素子、41は
TEG(評価測定用素子グループ)、42は評価対象I
IL素子、43及び44は評価測定用IIL素子、46
はTEG(評価測定用素子グループ)、47は評価対象
IIL素子、48は評価測定用IIL素子、50は寄生
pnpトランジスタ、51はTEG(評価測定用素子グ
ループ)、52は評価対象IIL素子、53はp形領域
(評価測定用p形領域)、54は寄生pnpトランジス
タを示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01L 27/082 H01L 27/08 101M H03K 19/091 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01R 31/26 - 31/3193 H01L 21/66 H01L 27/082 H01L 21/8226

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 評価対象のIIL素子の周辺に一つ以上
    の評価測定用のIIL素子を配置して評価用素子グルー
    プを形成し、 前記評価対象素子のベース及び前記評価用素子グループ
    の全ての素子のエミッタを接地し、前記評価用素子グル
    ープの全ての素子のコレクタを開放し、前記評価測定用
    素子のベース及び前記評価用素子グループの全ての素子
    のインジェクタを拡散電位相当の高電位にバイアスし
    て、前記評価対象素子のベースに流入するベース電流を
    測定し、 前記評価対象素子のベース及び評価用素子グループの全
    ての素子のコレクタを開放し、前記評価測定用素子のベ
    ース及び前記評価用素子グループの全ての素子のエミッ
    タを接地し、前記評価対象素子のコレクタ及び前記評価
    用素子グループの全ての素子のインジェクタを拡散電位
    相当の高電位にバイアスして、前記評価対象素子のコレ
    クタに流れるコレクタ飽和電流を測定し、 前記ベース電流と前記コレクタ飽和電流との比から前記
    評価対象素子の実効駆動能力を算出して、その実効駆動
    能力の値によって評価を行うことを特徴とするIIL素
    子の評価方法。
  2. 【請求項2】 評価対象のIIL素子の周辺にn(nは
    自然数)個の評価測定用のIIL素子を配置して評価用
    素子グループを形成し、 前記評価対象素子内のpnpトランジスタの逆方向電流
    増幅率αr 及びnpnトランジスタの順方向電流増幅率
    βup並びに前記評価対象素子のベースと評価測定用素子
    のベースとの間に形成される寄生pnpトランジスタの
    順方向電流増幅率αsbを夫々測定し、 前記評価対象素子の実効駆動能力Deff を、 Deff =βup(1−αr )/(1+n・αsb) によって算出して、その実効駆動能力Deff の値によっ
    て評価を行うことを特徴とするIIL素子の評価方法。
  3. 【請求項3】 評価対象のIIL素子の周囲を取囲むよ
    うに評価測定用のp形領域を配置して評価用素子グルー
    プを形成し、 前記評価対象素子のベース及びエミッタを接地し、コレ
    クタを開放し、前記評価測定用p形領域及び前記評価対
    象素子のインジェクタを拡散電位相当の高電位にバイア
    スして、前記評価対象素子のベースに流入するベース電
    流を測定し、 前記評価対象素子のベースを開放し、前記評価測定用p
    形領域及び前記評価対象素子のエミッタを接地し、イン
    ジェクタ及びコレクタを拡散電位相当の高電位にバイア
    スして、前記コレクタに流れるコレクタ飽和電流を測定
    し、 前記ベース電流と前記コレクタ飽和電流との比から前記
    評価対象素子の実効駆動能力を算出して、その実効駆動
    能力の値によって評価を行うことを特徴とするIIL素
    子の評価方法。
  4. 【請求項4】 評価対象のIIL素子の周囲を取囲むよ
    うに評価測定用のp形領域を配置して評価用素子グルー
    プを形成し、 前記評価対象素子内のpnpトランジスタの逆方向電流
    増幅率αr 及びnpnトランジスタの順方向電流増幅率
    βup並びに前記評価対象素子のベースと前記評価測定用
    p形領域との間に形成される寄生pnpトランジスタの
    順方向電流増幅率αsbを夫々測定し、 前記評価対象素子の実効駆動能力Deff を、 Deff =βup(1−αr )/(1+αsb) によって算出して、その実効駆動能力Deff の値によっ
    て評価を行うことを特徴とするIIL素子の評価方法。
  5. 【請求項5】 実効駆動能力の値が1を超えるか否かに
    よって評価を行うことを特徴とする請求項1乃至4の何
    れかに記載のIIL素子の評価方法。
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