JP3335519B2 - 磁気抵抗効果多層膜およびその製造方法 - Google Patents

磁気抵抗効果多層膜およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気ヘッド、磁気
センサ等に用いられる磁気抵抗効果素子用の磁気抵抗効
果多層膜に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の用途に用いられている磁
気抵抗(MR)効果材料として、Ni-Fe合金薄膜
(パーマロイ薄膜)が知られているが、パーマロイ薄膜
の抵抗変化率は2〜3%が一般的である。従って、今
後、磁気記録における線記録密度およびトラック密度の
向上あるいは磁気センサにおける高分解能化に対応する
ためには、より抵抗変化率(MR比)の大きい磁気抵抗
効果材料が望まれている。
【0003】ところで近年、巨大磁気抵抗効果と呼ばれ
る現象が、Fe/Cr交互積層膜あるいはCo/Cu交
互積層膜などの多層薄膜で発見されている。これらの多
層薄膜においては、FeやCoなどからなる各強磁性金
属層の磁化がCrやCuなどからなる非磁性金属層を介
して磁気的な相互作用を起こし、積層された上下の強磁
性金属層の磁化が、外部磁場のないときは反平行状態を
保つように結合している。即ち、これらの構造において
は、非磁性金属層を介して交互に積層された強磁性金属
層が、一層毎に磁化の向きを反対方向に向けて積層され
ている。そして、これらの構造においては、適当な外部
磁界が印加されると、各強磁性金属層の磁化の向きが同
じ方向に揃うように変化する。
【0004】前記の構造において、各強磁性金属層の磁
化が反平行状態の場合と平行状態の場合では、Fe強磁
性金属層とCr非磁性金属層の界面、あるいは、Co強
磁性金属層とCu非磁性金属層の界面における伝導電子
の散乱のされ方が、伝導電子のスピンに依存して異なる
といわれている。従ってこの機構に基づくと、各強磁性
金属層の磁化の向きが反平行状態の時は電気抵抗が高
く、平行状態の時は電気抵抗が低くなり、抵抗変化率と
して従来のパーマロイ薄膜を上回る、いわゆる、巨大磁
気抵抗効果を発生する。このようにこれらの多層薄膜
は、従来のNi-Feの単層薄膜とは根本的に異なるM
R発生機構を有している。
【0005】しかしながら、これらの多層膜において
は、各強磁性金属層の磁化の向きを反平行とするように
作用する強磁性金属層間の磁気的相互作用が強すぎるた
めに、各強磁性金属層の磁化の向きを平行に揃えるため
には、非常に大きな外部磁界を作用させなくてはならな
い問題がある。従って、強い磁界をかけないと大きな抵
抗変化が起こらないことになり、磁気ヘッドなどのよう
に磁気記録媒体からの微小な磁界を検出する装置に適用
した場合に満足な高い感度が得られないという問題があ
った。
【0006】この問題を解決するためには、強磁性金属
層間に働く磁気的な相互作用を過度に強くしないよう
に、CrやCuなどからなる非磁性金属層の厚さを調整
し、各強磁性金属層の磁化の向きの相対的な方向を磁気
的相互作用とは別の方法により制御することが有効と思
われる。従来、このような磁化の相対的な方向制御技術
として、FeMnなどの反強磁性層を設けることによ
り、一方の強磁性金属層の磁化の向きをピン止めして固
定し、この強磁性金属層の磁化の向きが外部磁界に対し
て動き難いように構成し、他方の強磁性金属層の磁化の
向きを自由に動けるように構成することにより、微小な
磁界による動作を可能にした技術が提案されている。
【0007】図16は、特開平6ー60336号公報に
開示されているこの種の技術を応用した構造の磁気抵抗
センサの一例を示すものである。図1に示す磁気抵抗
センサAは、非磁性の基板1に、第1の磁性層2と非磁
性スペーサ3と第2の磁性層4と反強磁性層5を積層し
て構成されるものであり、第2の磁性層4の磁化の向き
B’が、反強磁性層5による磁気的交換結合によりピン
止めされるとともに、第1の磁性層2の磁化の向きC’
が、印加磁界がない時に第2の磁性層4の磁化の向き
B’に対して直角に向けられている。ただし、この第1
の磁性層2の磁化の向きC’は固定されないので外部磁
界により回転できるようになっている。図16に示す構
造に対して印加磁界hを付加すると、印加磁界hの方向
に応じて第1の磁性層2の磁化の向きC’が点線矢印の
如く回転するので、第1の磁性層2と第2の磁性層4と
の間で磁化に角度差が生じることになるために、抵抗変
化が起こり、これにより磁場検出ができるようになる。
【0008】次に、一方の磁性層の磁化の向きを固定
し、他方の磁性層の磁化の向きを自由とした構成の磁気
抵抗センサの他の例として、図1に示すように、基板
6上にNiOの反強磁性層7と、Ni-Feの強磁性金
属層8と、Cuの非磁性金属層9と、Ni-Feの強磁
性金属層10と、Cuの非磁性金属層11と、Ni-F
eの磁性層12と、FeMnの反強磁性層13を順次積
層した構造の磁気抵抗センサBが知られている。この例
の構造においては、反強磁性層7、13によりそれらに
隣接する強磁性金属層8、12の磁化がそれぞれ固定さ
れ、強磁性金属層8、12の間に非磁性金属層9、11
を介して挟まれた強磁性金属層10の磁化が外部磁界に
応じて回転可能に構成されている。
【0009】図16あるいは図17に示す構造の磁気抵
抗センサA、Bであると、微小な印加磁界の変化に対し
て磁気抵抗センサAと磁気抵抗センサBの電気抵抗が直
線的に感度良く変化し、しかも、この感度良く直線的に
電気抵抗が変化する範囲を広くとれる利点がある。更
に、磁化の向きを自由にした磁性層としてNi-Feな
どの軟磁性材料を用いると、その軟磁気特性を利用する
ことができ、ヒステリシスを少なくできるなどの利点を
有する。更にまた、励磁方向を図17の矢印に示すよう
な方向とした場合に、磁化の向きを自由にした強磁性金
属層10の高周波透磁率の高い磁化困難軸を利用できる
という利点がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図16
あるいは図17に示す構造の磁気抵抗センサA、Bは、
FeMnの反強磁性層5で隣接する第2の磁性層4の磁
化を固定するか、上下のFeMnとNiOの反強磁性層
7、13でそれらの間の強磁性金属層8、12の磁化を
固定し、それらの間の強磁性金属層10の磁化を自由に
する構造であるので、巨大磁気抵抗効果に寄与するNi
-Fe(磁性層)/Cu(非磁性金属層)の界面の数を
多くできない制約があり、MR比の大きさに制約を生じ
る問題があった。また、反強磁性層5、7の構成材料と
して用いられるFeMnは、耐食性および耐環境性の面
から見て不利な問題がある。更に、図16あるいは図1
7に示す磁気抵抗センサA、Bは、ピン止めされた磁性
層の磁化の向きと、磁化の向きを自由にされた磁性層の
磁化の向きを直交させているが、磁性層毎に磁化容易軸
の向きを直交させるためには、成膜時に真空を破らずに
磁場を印加する方向を回転して成膜する必要が生じるの
で、複雑な成膜装置が必要となり、製造コストが高くな
る問題がある。
【0011】次に、図16と図17に示す構造の磁気抵
抗センサA、Bとは異なる構造の磁気抵抗センサの一例
として、図1に示すように、ガラス基板15上に、C
uの非磁性層16とCoの硬質磁性材料層17とCuの
非磁性層18とNi-Feの軟質磁性材料膜19を複数
回、繰り返し積層した構造の磁気抵抗センサCが知られ
ている。図18に示す構造の磁気抵抗センサCは、硬質
磁性材料膜17と軟質磁性材料膜19の保磁力差を利用
し、非磁性層18の厚さを所定の厚さに調整することに
より、両磁性膜17、19の磁化の向きを平行にあるい
は反平行にすることができ、これにより巨大磁気抵抗効
果を得ることができる。
【0012】即ち、保磁力(Hc)の大きなCoの硬質
磁性材料膜17の磁化が外部磁界に対して動き難く、保
磁力(Hc)の小さなNi-Feの軟質磁性材料膜19
の磁化が弱い外部磁界で容易に反転することを利用し
て、反強磁性状態(磁化が反平行の状態=比抵抗(ρ)
が大きい状態)と、強磁性状態(磁化が平行の状態=比
抵抗(ρ)が小さい状態)を小さな外部磁界変化で人工
的に行き来させ得るようにすることができる。そして、
この構造の磁気抵抗センサCは、積層数を自由に変更で
きるので、図16と図17に示す構造の磁気抵抗センサ
A、Bよりも大きなMR比を得ることができるととも
に、環境面で問題のあるFeMnを使用しなくても良い
などの特徴がある。
【0013】ところが、Cuの非磁性層18を挟んで両
側に設けられるCoの硬質磁性材料層17とNi-Fe
の軟質磁性材料膜19は、全くの異種物質であるがため
に、伝導電子の受けるポテンシャルが異なり、巨大磁気
抵抗効果に寄与するスピン依存散乱以外の散乱が膜の界
面で大きくなり、積層数を増やしてもMR比が期待する
程向上しない問題がある。また、硬質磁性材料層17を
構成するCoは、結晶磁気異方性が大きく、磁界中成膜
等による誘導磁気異方性の制御が困難な問題があるため
に、所望の磁化の向きを有する多層構造を確実に製造す
ることが難しい問題がある。
【0014】本発明は前記事情に鑑みてなされたもので
あり、図16あるいは図17に示す従来構造ではできな
かった磁性膜の多層膜構造を実現できる積層構造にする
ことにより、高いMR比を得ることができると同時に、
積層構造の各磁性膜の磁化の向きを設計どうりに確実に
所定の方向に配向させることができる磁気抵抗効果多層
膜とその製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は前
記課題を解決するために、磁歪を有する軟磁性膜と
磁性膜を、交互に少なくとも前記軟磁性層を2層以上
有するように積層して構成された磁気抵抗効果多層膜で
あって、非磁性膜を挟んで上下に隣接する前記軟磁性膜
にそれぞれ一軸性の圧縮応力か引張応力を層毎に交互に
印加してなるものである。請求項2記載の発明は前記課
題を解決するために、積層された軟磁性膜に交互に圧縮
応力か引張応力が印加されて、積層された軟磁性膜の磁
化容易軸の向きが交互にほぼ直交方向に向くように調整
されてなる。
【0016】請求項3記載の発明は前記課題を解決する
ために、積層された軟磁性膜の磁歪が正であり、引張応
力が印加された軟磁性膜の自発磁化の向きをピン止めす
るとともに、圧縮応力が印加された軟磁性膜の磁化の向
きを自由にしてなるものである。請求項4記載の発明は
前記課題を解決するために、積層された軟磁性膜の磁歪
が正であり、引張応力が印加された軟磁性膜の磁化の向
きを自由にするとともに圧縮応力が印加された軟磁性膜
の磁化の向きをピン止めしてなるものである。請求項5
記載の発明は前記課題を解決するために、積層された軟
磁性膜の磁歪が負であり、引張応力が印加された軟磁性
膜の磁化の向きを自由にするとともに圧縮応力が印加さ
れた軟磁性膜の磁化の向きをピン止めしてなるものであ
る。
【0017】請求項6記載の発明は前記課題を解決する
ために、積層された軟磁性膜の磁歪が負であり、引張応
力が印加された軟磁性膜の磁化の向きをピン止めすると
ともに、圧縮応力が印加された軟磁性膜の磁化の向きを
自由にしてなるものである。請求項7記載の発明は前記
課題を解決するために、請求項1〜6のいずれかにおい
て、少なくとも一部を圧電材料から構成した基板を用
い、この基板上に軟磁性膜と非磁性膜を積層してなるも
のである。請求項8記載の発明は前記課題を解決するた
めに、熱膨張係数が結晶方位で異なり、しかも熱膨張係
数の異なる結晶方向が直交している基板を用い、この基
板上に軟磁性膜と非磁性膜を積層してなるものである。
請求項9記載の発明は前記課題を解決するために、基板
を一方向に伸張させるか収縮させた状態で基板上に軟磁
性膜を形成する工程と、基板を変形させない状態で基板
上に非磁性膜を形成する工程と、先の工程で基板に加え
た伸張状態あるいは収縮状態とは逆の状態に基板を収縮
させるか伸張させて非磁性膜上に軟磁性膜を形成する工
程をそれぞれ選択して行い、前記軟磁性膜と非磁性膜
交互にして前記軟磁性層を少なくとも2層以上基板上に
積層された磁気抵抗効果多層膜を製造するものである。
請求項10記載の発明は前記課題を解決するために、熱
膨張係数が結晶方位で異なり、しかも熱膨張係数の異な
る結晶方向が直交している基板を用い、基板を一方向に
伸張させるか収縮させるために基板を加熱するか冷却す
るかを選択して行うことを特徴とするものである。請求
項11記載の発明は前記課題を解決するために、基板を
成膜面側に凸状に湾曲させるか凹状に湾曲させた状態で
基板上に軟磁性膜を形成する工程と、基板を変形させて
いない状態で基板上に非磁性膜を形成する工程と、先の
工程で基板に加えた湾曲状態とは逆の湾曲状態に基板を
収縮させるか伸張させて非磁性膜上に軟磁性膜を形成す
る工程をそれぞれ選択して行い、前記軟磁性膜と非磁性
交互にして前記軟磁性層を少なくとも2層以上基板
上に積層た磁気抵抗効果多層膜を製造するものであ
る。
【0018】請求項12記載の発明は前記課題を解決す
るために、圧電材料からなる基板に電圧を印加して基板
を一方向に伸張させるか収縮させた状態で基板上に軟磁
性膜を形成する工程と、基板に電圧を印加しない状態で
基板上に非磁性膜を形成する工程と、先の工程で基板に
加えた伸張状態あるいは収縮状態とは逆の状態に基板を
収縮させるか伸張させて非磁性膜上に軟磁性膜を形成す
る工程をそれぞれ選択して行い、前記軟磁性膜と非磁性
交互にして前記軟磁性層を少なくとも2層以上基板
上に積層た磁気抵抗効果多層膜を製造するものであ
る。請求項13記載の発明は前記課題を解決するため
に、基板両端部に圧電材を添設し、圧電材に電圧を印加
して基板を一方向に伸張させるか収縮させた状態で基板
上に軟磁性膜を形成する工程と、圧電材に電圧を印加し
ない状態で基板上に非磁性膜を形成する工程と、先の工
程で基板に加えた伸張状態あるいは収縮状態とは逆の状
態に基板を収縮させるか伸張させて非磁性膜上に軟磁性
膜を形成する工程をそれぞれ選択して行い、前記軟磁性
膜と非磁性膜交互にして前記軟磁性層を少なくとも2
層以上基板上に積層た磁気抵抗効果多層膜を製造する
ものである。
【0019】請求項14記載の発明は前記課題を解決す
るために、請求項9〜13のいずれかにおいて磁歪が正
の軟磁性膜を用い、軟磁性膜の形成時に基板を収縮させ
ておき、前記軟磁性膜の形成後に基板を元に戻して該
磁性膜に引張応力を印加するとともに、他方の軟磁性膜
の形成時に基板を伸長させておき、他方の軟磁性膜の形
成後に基板を元に戻して該軟磁性膜に圧縮応力を印加す
ることで、引張応力が印加された軟磁性膜の自発磁化の
向きをピン止めするとともに、圧縮応力が印加された軟
磁性膜の磁化の向きを自由にするものである。請求項1
5記載の発明は前記課題を解決するために、請求項9〜
13のいずれかにおいて磁歪が正の軟磁性膜を用い、軟
磁性膜の形成時に基板を収縮させておき、前記軟磁性膜
の形成後に基板を元に戻して該軟磁性膜に引張応力を印
加するとともに、他方の軟磁性膜の形成時に基板を伸長
させておき、他方の軟磁性膜の形成後に基板を元に戻し
て該軟磁性膜に圧縮応力を印加することで、引張応力が
印加された軟磁性膜の自発磁化の向きを自由にするとと
もに、圧縮応力が印加された軟磁性膜の磁化の向きをピ
ン止めするものである。請求項16記載の発明は前記課
題を解決するために、請求項9〜13のいずれかにおい
て磁歪が負の軟磁性膜を用い、軟磁性膜の形成時に基板
収縮させておき、前記軟磁性膜の形成後に基板を元に
戻して該軟磁性膜に引張応力を印加するとともに、他方
の軟磁性膜の形成時に基板を伸長させておき、他方の軟
磁性膜の形成後に基板を元に戻して該軟磁性膜に圧縮応
力を印加することで、引張応力が印加された軟磁性膜の
自発磁化の向きを自由にするとともに、圧縮応力が印加
された軟磁性膜の磁化の向きをピン止めすることを特徴
とする。請求項17記載の発明は前記課題を解決するた
めに、請求項9〜13のいずれかにおいて磁歪が負の軟
磁性膜を用い、軟磁性膜の形成時に基板を収縮させて
き、前記軟磁性膜の形成後に基板を元に戻して該軟磁性
膜に引張応力を印加するとともに、他方の軟磁性膜の形
成時に基板を伸長させておき、他方の軟磁性膜の形成後
に基板を元に戻して該軟磁性膜に圧縮応力を印加するこ
とで、引張応力が印加された軟磁性膜の自発磁化の向き
をピン止めするとともに、圧縮応力が印加された軟磁性
膜の磁化の向きを自由にすることを特徴とする。
【0020】「作用」非磁性膜を挟んで上下に隣接する
磁歪を有する軟磁性膜に一軸性の圧縮応力か引張応力が
交互に印加されているので、応力と磁歪に応じて磁性膜
には交互に直交する方向を向くように磁化容易軸の向き
が調整される。更に、この応力と磁歪によって付与され
る一軸性の磁気異方エネルギーの大きさは、応力の大き
さに比例して大きくなる。従って、各磁性膜に印加する
応力が大きい方の一方の磁性膜の磁化がピン止めされ、
応力が小さい方の他方の磁性膜の磁化の向きが自由にさ
れるように調整することができる。自由にされた磁性膜
の磁化の向きが外部磁場の有無に応じて変化すると、磁
場の有無に応じて抵抗が変化する。
【0021】また、本発明の構造は、軟磁性膜と非磁性
膜を2層以上積層した多層構造にすることが容易であ
り、多層構造化することで、一部の従来構造では実現で
きなかった多層構造を実現することができる。本発明に
おいて、軟磁性膜の磁歪を正とした場合、膜面内の一方
向に引張応力が作用した軟磁性膜の磁化は応力と同一方
向を向き、圧縮応力が作用した軟磁性膜の磁化の向きは
応力の方向と直角な方向を向く。また、軟磁性膜の磁歪
を負とした場合、膜面内の一方向に圧縮応力が作用した
軟磁性膜の磁化は応力と同一方向を向き、引張応力が作
用した軟磁性膜の磁化の向きは応力の方向と直角な方向
を向く。ここで、それぞれの引張応力と圧縮応力の絶対
値として、大きい応力が作用している方の磁性膜の磁化
がピン止めされ、小さい応力が作用している方の磁性膜
の磁化の向きが自由にされる。
【0022】次に、基板を一方向に伸張させるか、収縮
させた状態で形成した軟磁性膜と、基板を変形させない
で形成した非磁性膜を積層することで、軟磁性膜に一軸
的な引張応力あるいは圧縮応力が印加される。この圧縮
応力あるいは引張応力は、磁性層の形成時に基板を一方
向に伸張させるか、収縮させることで容易に印加できる
ので、磁化の向きがピン止めされた磁性膜と磁化の向き
が自由にされた磁性膜が非磁性膜を介して交互に基板上
に形成される。そして、磁性膜に一軸的な引張応力ある
いは圧縮応力を印加するのは、基板を成膜面に対して凸
状か凹状に湾曲させることで容易に行うことができ、ま
た、圧電材料製の基板を用いた場合は、通電による切り
換えにより容易に行うことができる。また、圧電材料で
はない非磁性体の基板の両端部に圧電材を添設し、この
圧電材の圧電歪により基板を伸張状態あるいは伸張状態
にするならば、圧電材への通電状態の切り換えにより磁
性膜に一軸的な引張応力あるいは圧縮応力が印加され
る。また、磁性膜に一軸的な引張応力あるいは圧縮応力
を印加する方法の他の例として、熱膨張係数が結晶方位
で異なり、しかもその方向が直交している基板を用い、
加熱状態で伸張した状態の基板と冷却状態で縮小した状
態の基板に交互に成膜することで交互積層磁性膜に一軸
的な引張り応力あるいは圧縮応力が交互に印加される。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態について説明する。図1は本発明に係る磁気抵
抗効果多層膜の第1実施例を示すもので、この例の磁気
抵抗効果多層膜Dは、非磁性体の基板30の上に、軟磁
性膜31、31’と非磁性膜32を繰り返し必要数積層
(図1の例では7層積層)して構成されている。なお、
この例では基板30上に積層された軟磁性膜のうち、第
1番目(奇数番目)のものが軟磁性膜31、第2番目
(偶数番目)のものが軟磁性膜31’、第3番目(奇数
番目)のものが軟磁性膜31、第4番目(偶数番目)の
ものが軟磁性膜31’とされ、更に各軟磁性膜31、3
1’はいずれも正の磁歪定数を有する軟磁性材料から形
成されている。なお、この例では7層構造の例を示した
が、9層以上の積層構造の場合においても7層構造の場
合と同様な順に軟磁性膜が積層されるので、積層された
軟磁性膜の順に奇数番目のものが軟磁性膜31、偶数番
目のものが軟磁性膜31’とされる。また、基板30上
に形成される各膜においてこの例では最上層のものを軟
磁性膜31’としたが、この膜の上に更に保護膜等を設
けても良く、軟磁性膜31と軟磁性膜31’の順番を逆
にして、最初に軟磁性膜31’を形成し、次いで非磁性
膜32、軟磁性膜31の順序で積層しても良いのは勿論
である。
【0024】前記基板30は、PZT(ジルコン酸
鉛)、LiNbO、LiTaO、BaNaNb
15、PbTiOなどに代表される圧電材料から形
成される。なお、基板30の上面には、基板上面の凹凸
やうねりを除去する目的であるいはその上に積層される
層の結晶整合性を良好にするなどの目的で被覆層やバッ
ファ層を適宜設けても良い。前記非磁性膜32は、C
u、Au、Ag、Ruなどに代表される非磁性体からな
り、10〜50Åの厚さに形成されている。ここで非磁
性膜32の厚さが10●より薄いと、非磁性層32を介
した双方の磁性層31、31’間に働く反強磁性的相互
作用が弱くなり過ぎて感度が低下するおそれがあること
と、更に薄くなった場合は、非磁性層31にピンホール
が生じ、ピンホールを介して双方の磁性層31、31’
が直接強磁性的に結合してしまい、MR効果を生じなく
なるおそれもあるため好ましくない。また、非磁性膜3
2が50Åより厚いと、センス電流の分流効果、即ち、
MR効果に寄与する伝導電子のスピンに依存した散乱を
生じる電子の割合が減り、厚い非磁性導電層をスルーパ
スする電子の割合が増加する効果により、MR効果が低
下するために好ましくない。
【0025】前記軟磁性膜31、31’は、Ni-F
e、Ni-Fe-Co、Co-Fe、などの軟磁気特性に
優れた軟磁性材料から構成されている。なお、Ni-F
eにおいては、Feが約19原子%以上なる組成範囲の
ものの磁歪が正であることが知られ、Ni-Fe-Coに
おいては、Feが約5〜19原子%以上の組成範囲のも
のの磁歪が正であることが知られているので、この例で
はこれらの組成のものを使用する。
【0026】そして、基板30上に積層された軟磁性膜
のうち、第1番目の軟磁性膜31と第3番目の軟磁性膜
31には比較的大きな引張応力が印加されて、それら自
身の磁化容易軸の方向は図1の各膜内に示した右向きの
矢印aに示すように向けられ、第2番目の軟磁性膜3
1’と第4番目の軟磁性膜31’には小さな圧縮応力が
印加されてそれら自身の磁化容易軸の方向は図1の中黒
の2重丸印で示すように前記矢印aと直交する方向(即
ち、図1の紙面垂直方向)に向けられている。従って前
記の軟磁性膜31、31’において、大きな引張応力が
印加された軟磁性膜31が磁化の向きがピン止めされた
膜であり、小さな圧縮応力が印加された軟磁性膜31’
が磁化の向きが自由にされた膜になる。
【0027】図1に示す構造の磁気抵抗効果多層膜Dに
あっては、外部磁場が0の状態では図1に示すように軟
磁性膜31、31の磁化の向きと、軟磁性膜31’、3
1’の磁化の向きが直交するように向いているが、この
磁気抵抗効果多層膜Dに図1に示すように所定の外部磁
場Hが作用すると、ピン止めされていない軟磁性膜3
1’、31’の磁化の向きが回転し、軟磁性膜31、3
1の磁化の向きと反対方向を向くようになる。このよう
に、軟磁性膜31と軟磁性膜31’の磁化の向きの相対
的な角度が変わる場合は抵抗が変化するので、外部磁場
の強さに影響を受けて抵抗が変化することになり、この
抵抗変化を測定することで、逆に磁場が作用したか否か
を測定することができる。
【0028】そして、軟磁性膜31’、31’は小さな
外部磁界であっても容易に磁化の向きが回転するので、
小さな外部磁場にも敏感に感応するように感度を向上さ
せることができる。また、図1に示す構造では軟磁性膜
31、31’と非磁性膜32を必要数だけ自由に積層で
きるので、図11と図12を基に先に説明した従来構造
の磁気抵抗センサよりも高いMR比を得ることができ
る。また、従来構造では必要であったFeMnをこの例
では用いることがないので、この例の構造では耐環境面
での問題も生じない。
【0029】図2は本発明に係る磁気抵抗効果多層膜の
第2実施例を示すもので、この例の磁気抵抗効果多層膜
Eは、非磁性体の基板30の上に、軟磁性膜33、3
3’と非磁性膜34を繰り返し必要数積層(図1の例で
は7層積層)して構成されている。なお、この例では、
基板30上に積層された軟磁性膜のうち、第1番目のも
のが軟磁性膜33、第2番目のものが軟磁性膜33’、
第3番目のものが軟磁性膜33、第4番目のものが軟磁
性膜33’とされ、更に各軟磁性膜33、33’はいず
れも負の磁歪定数を有する軟磁性材料から形成されてい
る。
【0030】前記軟磁性膜33、33’は、Ni-F
e、Ni-Fe-Co、Co-Fe、Ni-Coなどの軟磁
気特性に優れた軟磁性材料から構成されている。なお、
Ni−Feにおいては、Feが約19原子%以下の組成
範囲のものの磁歪が負であることが知られ、Ni−Fe
-Coにおいては、Feが約5〜19原子%以下なる組
成範囲のものの磁歪が負であることが知られているの
で、この例ではこれらの組成のものを使用する。そし
て、基板30上に積層された軟磁性膜のうち、第2番目
の軟磁性膜33’と第4番目の軟磁性膜33’には、比
較的大きな圧縮応力が印加されてそれら自身の磁化容易
軸の方向は図2の右向きの矢印aに示すように向けら
れ、第1番目の軟磁性膜33と第3番目の軟磁性膜33
には小さな引張応力が印加されて、それら自身の磁化容
易軸の方向は図1の各膜内に示した中黒の2重丸印で示
すように前記矢印aと直交する方向(即ち、図1の紙面
垂直方向)に向けられている。従って前記の軟磁性膜3
3、33’において、大きな圧縮応力が印加された軟磁
性膜33’が磁化の向きがピン止めされた膜であり、小
さな引張応力が印加された軟磁性膜33が磁化の向きが
自由にされた膜になる。
【0031】図2に示す構造の磁気抵抗効果多層膜Eに
あっては、外部磁場が0の状態では図2に示すように軟
磁性膜33、33の磁化の向きと、軟磁性膜33’、3
3’の磁化の向きが直交するように向いているが、この
磁気抵抗効果多層膜Eに図2に示すように所定の外部磁
場Hが作用すると、ピン止めされていない軟磁性膜3
3、33の磁化の向きが回転し、軟磁性膜33’、3
3’の磁化の向きと反対方向を向くようになる。この際
に外部磁場の強さに影響を受けて抵抗が変化することに
なるので、この抵抗変化を測定することで、逆に磁場が
作用したか否かを測定することができる。そして、軟磁
性膜33、33は小さな外部磁界であっても容易に磁化
の向きが回転するので、小さな外部磁場にも敏感に感応
するように感度を向上させることができる。また、図2
に示す構造では軟磁性膜33、33’と非磁性膜34を
必要数だけ自由に積層できるので、図11と図12を基
に先に説明した従来構造の磁気抵抗センサよりも高いM
R比を得ることができる。また、従来構造では必要であ
ったFeMnをこの例では用いることがないので、この
例の構造では耐環境面での問題も生じない。
【0032】次に図1に示す構造の磁気抵抗効果多層膜
Dの製造方法の一例について図3〜図5を基に以下に説
明する。図1に示す磁気抵抗効果多層膜Dを製造するに
は、圧電材料からなる基板30に通電して基板30を図
の横方向に縮小して縮んだままの状態になるように電圧
を印加し、その状態で基板30上にスパッタ等の成膜法
でNi-Feなどの軟磁性膜31aを図3に示すように
形成する。次に、軟磁性膜31aを成膜したならば、基
板30への通電を停止し、縮小した状態の基板30を基
に戻した状態でCu等の非磁性膜32を図4に示すよう
に成膜する。なお、図4に示すように基板30に通電し
ていない状態では、先に形成した軟磁性膜31aには引
張応力が作用した状態となる。従って基板30上に引張
応力が印加された軟磁性膜31を形成することができ
た。
【0033】次に、図5に示すように基板30に先の通
電とは逆向きに通電して基板30を図の横方向に伸張し
て伸びたままの状態になるように電圧を印加し、その状
態で非磁性膜32上に軟磁性膜31a’を図5に示すよ
うに形成する。なお、この際に形成した軟磁性膜31
a’は基板30への通電を停止して基板30を基の状態
にすると、圧縮応力が作用した状態となり、非磁性膜3
2上に圧縮応力が印加された軟磁性膜31’が得られ
る。また、圧電材料の基板30への印加電圧により、膜
に加える応力の大きさ(絶対値)を所望の値に調整する
ことができる。次に、以上のような操作を繰り返し行
い、図6に示すように基板30を伸張させた場合に軟磁
性膜31aを形成し、次いで基板30への通電を行わな
い状態として非磁性膜32を形成し、更に図7に示すよ
うに基板30を縮小した状態として軟磁性膜31a’を
形成することで、7層構造の多層膜を形成することがで
きる。そして、基板30への通電を停止して基板30を
伸張も縮小もしていない通常の状態にすると、基板30
上には、引張応力と圧縮応力が交互に作用した軟磁性膜
を有する図1に示す磁気抵抗効果多層膜Dと同等の構造
の多層膜を得ることができる。以上の如く磁気抵抗効果
多層膜Dを製造すると、複雑な磁界中成膜装置を用いな
くとも交互に磁化の向きの異なる軟磁性膜を備えた磁気
抵抗効果多層膜を確実に製造することができる。また、
本発明では、磁界中成膜で付与できる異方性エネルギー
より大きな異方性を発生できるので、ピン止めすべき磁
性層の磁化を確実にピン止めして、磁気抵抗効果を有効
に発揮させることができる。
【0034】図8と図9は、磁気抵抗効果多層膜を製造
する場合に用いる基板の他の例を示すもので、この例の
基板40は、ガラス、Si、Al23、TiC、Si
C、Al23とTiCとの燒結体、フェライトなどに代
表される非磁性材料から構成された基板本体41と、基
板本体41の両端部に接合された圧電材料からなる補助
基板42から構成されたものである。補助基板42を構
成する圧電材料は、先の実施例の基板30を構成する圧
電材料と同等の物を用いることができ、これを基板本体
1の両側に接着等の手段で取り付けることで基板40を
得ることができる。この例の基板40を用いて先に説明
したような磁気抵抗効果多層膜を製造するには、補助基
板42、42にそれぞれ通電して基板本体41に図8に
示すような圧縮応力を印加するか、図9に示すように引
張応力を印加するかを切り換え、圧縮応力か引張応力を
加える際に軟磁性膜を形成し、補助基板42、42に対
する通電を停止して基板本体41に応力を印加していな
い状態で非磁性膜を形成することで行う。この処理を適
宜選択して基板40上に引張応力を印加した軟磁性膜
と、応力を印加していない非磁性膜と、圧縮応力を印加
した軟磁性膜を順次必要層数積層することで目的の磁気
抵抗効果多層膜を得ることができる。なお、この例の方
法で得られた磁気抵抗効果多層膜において、補助基板4
2、42とその上に形成されている種々の積層膜は必要
がなければ切断して除去しても良いし、残しておいても
良い。
【0035】図10は磁気抵抗効果多層膜を製造する場
合に用いる基板の他の例を示すもので、この例の基板5
0は、ガラス、Si、Al23、TiC、SiC、Al
23とTiCとの燒結体、フェライトなどに代表される
非磁性材料から構成されていても良く、先の第1実施例
の基板30の如く全体が圧電材料から形成されていても
良いし、図8と図9に示したような複合型の基板40と
同一構造であっても良い。この基板50を用いて先の例
の場合と同様に磁気抵抗効果多層膜を形成するには、基
板50を図10(b)に示す如く成膜面(上面)側に凸
になるように上向きに湾曲させるか、図10(c)に示
す如く成膜面(上面)側に凹になるように下向きに湾曲
させた状態で磁性膜を成膜し、図10(a)に示すよう
に湾曲させない状態で非磁性膜を成膜すればよい。
【0036】図10(a)に示すように基板50を湾曲
させていない状態では非磁性膜を形成するので、特に応
力が印加されていない状態の非磁性膜が形成され、図1
0(b)に示すように上向きに湾曲させた状態で磁性膜
を形成した場合は、基板50の湾曲を直すと、磁性膜に
は圧縮応力が作用し、図10(c)に示すように下向き
に湾曲させた状態で磁性膜を形成した場合は、基板50
の湾曲を直すと、磁性膜には引張応力が作用する。従っ
て、基板50に対し、図10(a)、(b)、(c)の
各状態での成膜処理を選択して行い、基板50上に軟磁
性膜と非磁性膜とを順次積層することで図1に示す第1
実施例の構造の磁気抵抗効果多層膜Dと同等の構成のも
のを製造することができる。また、前記基板50を圧電
材料から構成した場合は、圧電材料の変位を伸張モード
あるいは伸縮モードではなく、曲げモードに変更して構
成し、基板50が図10(b)あるいは図10(c)に
示すように圧電材料の変位で上下に湾曲するように構成
するならば、基板50の湾曲状態の変化を利用して圧縮
応力あるいは引張応力を所望の磁性膜に印加することが
できる。
【0037】次に、図11〜図15は本発明に係る磁気
抵抗効果多層膜の他の例の構造と製造方法を説明するた
めのものである。図11〜図15を基に以下に説明する
方法を実施することで、図15に示す構造の磁気抵抗効
果多層膜を得ることができる。この例の磁気抵抗効果
多層膜が図1あるいは図2に示す構造の磁気抵抗効果
多層膜D、Eと異なっているのはも基板60である。こ
の例では、基板60が、結晶方位によって熱膨張係数の
異なる材料であって、しかも、その方向が直交している
材料から構成されている。このような材料として具体的
には、単結晶サファイア、水晶、方解石、Sb、Be、
Bi、Co、Sn、Zn、Zrなどを用いることができ
る。ここで、単結晶サファイアは、<201>方向
(本明細書において結晶格子の方向指数のアンダーライ
ン部分(例えばこの例では)は、その数値の方向指数
の逆方向を示すものとする。)の熱膨張係数は70.1
×10−7であり、その直交方向<110>の熱膨張
係数は76.4×10−7である。従って基板60を加
熱すると基板60は<110>方向に伸びる状態とな
り、冷却された場合は縮小する状態となる。
【0038】このような材料として具体的には、単結晶
サファイア、水晶、方解石、Sb、Be、Bi、Co、
Sn、Zn、Zrなどを用いることができる。ここで、
単結晶サファイアは、<201>方向(本明細書にお
いて結晶格子の方向指数のアンダーライン部分(例えば
この例では)は、その数値の方向指数の逆方向を示す
ものとする。)の熱膨張係数は70.1×10-7であ
り、その直交方向 <110>の熱膨張係数は76.4
×10-7である。従って基板60を加熱すると基板60
は<110>方向に伸びる状態となり、冷却された場
合は縮小する状態となる。
【0039】また、水晶の[0001]方向(結晶のC軸
に平行な方向)の熱膨張係数は7.5×10-6、[01
0]方向(結晶のC軸に垂直な方向)の熱膨張係数は1
3.7×10-6である。同様に、方解石結晶のC軸に平
行な方向の熱膨張係数は26.3×10-6、C軸に垂直
な方向の熱膨張係数は5.44×10-6である。更に、
SbのC軸に平行な方向の熱膨張係数は15.6〜16.
8×10-6、C軸に垂直な方向の熱膨張係数は7.0×
10-6であり、BeのC軸に平行な方向の熱膨張係数は
10.4×10-6、C軸に垂直な方向の熱膨張係数は1
5.0×10-6であり、BiのC軸に平行な方向の熱膨
張係数は16.2×10-6、C軸に垂直な方向の熱膨張
係数は11.6×10-6であり、CoのC軸に平行な方
向の熱膨張係数は16.1×10-6、C軸に垂直な方向
の熱膨張係数は12.6×10-6であり、SnのC軸に
平行な方向の熱膨張係数は25.9〜32.2×10-6
C軸に垂直な方向の熱膨張係数は14.1〜16.8×1
-6であり、ZnのC軸に平行な方向の熱膨張係数は5
6〜64.0×10-6、C軸に垂直な方向の熱膨張係数
は14.1〜16×10-6であり、ZrのC軸に平行な
方向の熱膨張係数は4×10-6、C軸に垂直な方向の熱
膨張係数は13×10-6である。従ってこれらのいずれ
の材料も基板60用として使用できる。
【0040】次に、前記基板60を用いた構造の磁気抵
抗効果多層膜を製造する方法の一例について説明す
る。前記材料からなる基板60を用意したならば、この
基板60を所定の温度に加熱した状態で図11に示すよ
うに基板60上に軟磁性膜61aを成膜する。ここで所
定の温度とは、基板60と軟磁性膜61aが損傷しない
程度の高温であるので、具体的には100〜300℃の
範囲が好ましい。前記の温度に加熱した状態では基板6
0は図11に示すように伸張した状態であるので、この
加熱を停止して常温に戻すことで軟磁性膜61aには熱
膨張係数の大きな特定の結晶方向に沿って一軸圧縮応力
が作用し、これにより一軸圧縮応力が作用した軟磁性膜
61を得ることができる。この状態で図12に示すよう
にCu等の非磁性層62をスパッタ等の成膜法で形成す
る。
【0041】次に、基板60を液体窒素などの冷媒で常
温よりも低い所定の温度に冷却して基板60を縮小しな
がら図13に示すように非磁性膜62上に軟磁性膜61
a'を形成する。ここで所定の温度とは、基板60と軟
磁性膜61aが損傷しない程度の低温であるので、具体
的には0〜−200℃の範囲が好ましい。ここで形成し
た軟磁性膜61a’は、基板60の冷却を停止して基板
60を常温にすると、熱膨張係数が大きな方向に沿って
一軸引張応力が作用した状態となり、非磁性膜32上に
一軸引張応力が印加された軟磁性膜61’が得られる。
次に、以上のような操作を繰り返し行い、図14〜図1
5に示すように基板60上に軟磁性膜61a、非磁性膜
62、軟磁性膜61a'を形成すると図15に示す7層
構造の磁気抵抗効果多層膜Fを得ることができる。
【0042】以上の方法で製造された磁気抵抗効果多層
膜Fにあっては、先の例の磁気抵抗効果多層膜D、Eと
同等の効果を有する。また、磁気抵抗効果多層膜Fを製
造する場合、加熱温度と冷却温度をそれぞれ制御するこ
とで膜に付加する引張応力と圧縮応力を容易に調整でき
る。即ち、より高温に加熱すればより多くの引張応力を
軟磁性膜61に付加することができ、より低温に冷却す
ればより多くの圧縮応力を軟磁性膜61'に付加するこ
とができる。以上の如く磁気抵抗効果多層膜Fを製造す
ると、複雑な磁界中成膜装置を用いなくとも交互に磁化
の向きの異なる軟磁性膜を備えた磁気抵抗効果多層膜を
確実に製造することができる。
【0043】なお、前記の例においては、基板60に対
し加熱成膜、常温成膜、冷却成膜の繰り返し順序で処理
して7層構造としたが、冷却成膜、常温成膜、加熱成膜
の順序で繰り返し成膜を行っても良いのは勿論である。
冷却成膜、常温成膜、加熱成膜の順序で繰り返し成膜を
行った場合、基板60上に、軟磁性膜61'と非磁性膜
62と軟磁性膜61と非磁性膜62と軟磁性膜61'と
非磁性膜62と軟磁性膜61とが順序に積層された磁気
抵抗効果多層膜が得られる。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、非磁性膜
を挟んで上下に隣接する磁歪を有する軟磁性膜に一軸性
の圧縮応力か引張応力を交互に印加しているので、応力
と磁歪に応じて軟磁性膜には交互に直交する方向を向く
ように磁化容易軸の向きが調整される。この結果、一方
の軟磁性膜の磁化がピン止めされ、他方の軟磁性膜の磁
化の向きが自由にされることになり、自由にされた軟磁
性膜の磁化の向きが外部磁場の有無に応じて変化する。
この際、磁場の有無に応じて抵抗が変化するので、この
抵抗変化を利用して磁場検出ができる。従って本発明の
構造を磁気ヘッド、磁気センサに応用することができ
る。また、本発明の構造は、軟磁性膜と非磁性膜を2層
以上積層した多層構造にすることが容易であり、多層構
造化することで、一部の従来構造では実現できなかった
多層構造を実現することができ、高いMR比を得ること
ができる。更に、保磁力の異なる2種類の磁性層を用い
た従来構造で実現できなかった交互に直交する方向を向
いた磁化配置も同時に実現できる。更に、本発明では、
磁界中成膜で付与できる異方性エネルギーより大きな異
方性を発生できるので、ピン止めすべき磁性層の磁化を
確実にピン止めして、磁気抵抗効果を有効に発揮させる
ことができる。
【0045】本発明において、軟磁性膜の磁歪を正とし
た場合と負とした場合とでは、引張応力と圧縮応力それ
ぞれが作用したときに生じる磁気異方性による磁化容易
軸の向きが90゜逆転した関係になるだけであり、従っ
て、磁歪が正の軟磁性膜でも負の軟磁性膜でも本発明に
適用することができる。更に、本発明の構造では、基板
を圧電材料から、あるいは、熱膨張係数が結晶方位で異
なり、しかもその方向が直交している材料から構成する
ことができる。
【0046】次に、基板を一方向に伸張させるか、収縮
させた状態で形成した軟磁性膜と、基板を変形させない
で形成した非磁性膜を積層することで、軟磁性膜に容易
に一軸的な引張応力あるいは圧縮応力を印加することが
できる。この圧縮応力あるいは引張応力は、磁性層の形
成時に基板を一方向に伸張させるか、収縮させることで
容易に印加できるので、応力の大きさを調節することに
より、磁化の向きがピン止めされた軟磁性膜と磁化の向
きが自由にされた軟磁性膜を非磁性膜を介して交互に容
易に基板上に形成することができる。
【0047】そして、軟磁性膜に一軸的な引張応力ある
いは圧縮応力を印加するのは、基板を成膜面に対して凸
状か凹状に湾曲させることで容易に行うことができ、ま
た、圧電材料製の基板を用いた場合は、通電による切り
換えにより行うことが容易にできる。また、圧電材料で
はない非磁性体の基板の両側に圧電材を添設し、この圧
電材の圧電歪により基板を伸張状態あるいは伸張状態に
するならば、圧電材への通電状態の切り換えにより軟磁
性膜に一軸的な引張応力あるいは圧縮応力を容易に印加
することができる。
【0048】更に、軟磁性膜に一軸的な引張応力あるい
は圧縮応力を印加する他の手段として、熱膨張係数が結
晶方位で異なりしかもその方向が直交している基板を用
い、基板加熱時と基板冷却時に軟磁性膜をそれぞれ成膜
することで、一軸的な引張応力あるいは圧縮応力を交互
に付加した軟磁性膜を有する磁気抵抗効果多層膜を得る
ことができる。また、基板加熱条件あるいは冷却条件に
より作用させる一軸的な引張応力と圧縮応力を基板加熱
条件と基板冷却条件の設定で容易に調整できるので、引
張応力と圧縮応力を確実に作用させた軟磁性膜を有する
磁気抵抗効果多層膜を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る磁気抵抗効果多層膜の第1実施例
の断面図である。
【図2】本発明に係る磁気抵抗効果多層膜の第2実施例
の断面図である。
【図3】図1に示す磁気抵抗効果多層膜の製造方法の一
例を示すもので、引張応力を印加した基板上に軟磁性膜
を形成した状態を示す断面図である。
【図4】図1に示す磁気抵抗効果多層膜の製造方法の一
例を示すもので、応力を印加していない基板上に非磁性
膜を形成した状態を示す断面図である。
【図5】図1に示す磁気抵抗効果多層膜の製造方法の一
例を示すもので、圧縮応力を印加した基板上に軟磁性膜
を形成した状態を示す断面図である。
【図6】図1に示す磁気抵抗効果多層膜の製造方法の一
例を示すもので、引張応力を印加した基板上に軟磁性膜
を形成した状態を示す断面図である。
【図7】図1に示す磁気抵抗効果多層膜の製造方法の一
例を示すもので、圧縮応力を印加した基板上に軟磁性膜
を形成した状態を示す断面図である。
【図8】本発明方法を実施する場合に用いる基板の第2
の例に圧縮応力を印加している状態を示す図である。
【図9】本発明方法を実施する場合に用いる基板の第2
の例に引張応力を印加している状態を示す図である。
【図10】本発明方法を実施する場合に用いる基板の第
3の例に圧縮応力と引張応力を印加する状態を説明する
ための他の方法を示す図であり、図10(a)は基板を
湾曲させていない状態を示す側面図、図10(b)は基
板を上向きに湾曲させた状態を示す側面図、図10
(c)は基板を下向きに湾曲させた状態を示す側面図で
ある。
【図11】他の例の磁気抵抗効果多層膜の製造方法の一
例を示すもので、加熱して伸張させた基板上に軟磁性膜
を形成した状態を示す断面図である。
【図12】他の例の磁気抵抗効果多層膜の製造方法の一
例を示すもので、常温状態の基板上に軟磁性膜を形成し
た状態を示す断面図である。
【図13】他の例の磁気抵抗効果多層膜の製造方法の一
例を示すもので、冷却して縮小させた基板上に軟磁性膜
を形成した状態を示す断面図である。
【図14】他の例の磁気抵抗効果多層膜の製造方法の一
例を示すもので、5層構造とした状態を示す断面図であ
る。
【図15】他の例の磁気抵抗効果多層膜の製造方法の一
例を示すもので、7層構造とした状態を示す断面図であ
る。
【図16】従来の磁気抵抗効果素子用多層膜の第1の例
を示す分解図である。
【図17】従来の磁気抵抗効果素子用多層膜の第2の例
を示す断面図である。
【図18】従来の磁気抵抗効果素子用多層膜の第3の例
を示す断面図である。
【符号の説明】
D、E、 磁気抵抗効果多層膜 30 基板 31、31’ 軟磁性膜 32 非磁性膜 33、33’ 軟磁性膜 34 非磁性膜 40、50、 基板 41 基板本体 42 補助基板 60 基板 61、61' 軟磁性膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−130536(JP,A) 特開 昭56−146214(JP,A) 特開 平6−84145(JP,A) 特開 昭58−142585(JP,A) 特開 平8−264861(JP,A) 特開 平7−262531(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 43/08 G01R 33/09 G11B 5/39 H01F 10/08 H01F 43/12 JICSTファイル(JOIS)

Claims (17)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁歪を有する軟磁性膜と非磁性膜を、
    交互に少なくとも前記軟磁性層を2層以上有するよう
    積層して構成された磁気抵抗効果多層膜であって、
    非磁性膜を挟んで上下に隣接する前記軟磁性膜にそれ
    ぞれ一軸性の圧縮応力か、引張応力が、層毎に交互に印
    加されてなることを特徴とする磁気抵抗効果多層膜。
  2. 【請求項2】 積層された軟磁性膜に交互に圧縮応力か
    引張応力が印加されて、積層された軟磁性膜の磁化容易
    軸の向きが交互にほぼ直交方向に向くように調整されて
    なることを特徴とする請求項1記載の磁気抵抗効果多層
    膜。
  3. 【請求項3】 積層された軟磁性膜の磁歪が正であり、
    引張応力が印加された軟磁性膜の磁化の向きがピン止め
    されるとともに、圧縮応力が印加された軟磁性膜の磁化
    の向きが自由にされてなることを特徴とする請求項1ま
    たは2記載の磁気抵抗効果多層膜。
  4. 【請求項4】 積層された軟磁性膜の磁歪が正であり、
    引張応力が印加された軟磁性膜の磁化の向きが自由にさ
    れるとともに、圧縮応力が印加された軟磁性膜の磁化の
    向きがピン止めされてなることを特徴とする請求項1ま
    たは2記載の磁気抵抗効果多層膜。
  5. 【請求項5】 積層された軟磁性膜の磁歪が負であり、
    引張応力が印加された軟磁性膜の磁化の向きが自由にさ
    れるとともに、圧縮応力が印加された軟磁性膜の磁化の
    向きがピン止めされてなることを特徴とする請求項1ま
    たは2記載の磁気抵抗効果多層膜。
  6. 【請求項6】 積層された軟磁性膜の磁歪が負であり、
    引張応力が印加された軟磁性膜の磁化の向きがピン止め
    されるとともに、圧縮応力が印加された軟磁性膜の磁化
    の向きが自由にされてなることを特徴とする請求項1ま
    たは2記載の磁気抵抗効果多層膜。
  7. 【請求項7】 少なくとも一部が圧電材料からなる基板
    が用いられ、この基板上に軟磁性膜と非磁性膜が積層さ
    れてなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記
    載の磁気抵抗効果多層膜。
  8. 【請求項8】 熱膨張係数が結晶方位で異なり、しかも
    熱膨張係数の異なる 結晶方位が直交している基板が用い
    られ、この基板上に軟磁性膜と非磁性膜が積層されてな
    ることを特徴とする請求項1〜6のいずかに記載の磁気
    抵抗効果多層膜。
  9. 【請求項9】 基板を一方向に伸張させるか収縮させた
    状態で基板上に軟磁性膜を形成する工程と、基板を変形
    させない状態で基板上に非磁性膜を形成する工程と、先
    の工程で基板に加えた伸張状態、あるいは収縮状態とは
    逆の状態に基板を収縮させるか伸張させて非磁性膜上に
    軟磁性膜を形成する工程をそれぞれ選択して行い、前記
    軟磁性膜と非磁性膜交互にして前記軟磁性層を少なく
    とも2層以上基板上に積層た磁気抵抗効果多層膜を製
    造することを特徴とする磁気抵抗効果多層膜の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 熱膨張係数が結晶方位で異なり、しか
    熱膨張係数の異なる結晶方向が直交している基板を用
    い、基板を一方向に伸張させるか収縮させるために基板
    を加熱するか冷却するかを選択して行うことを特徴とす
    る請求項9記載の磁気抵抗効果多層膜。
  11. 【請求項11】 基板を成膜面側に凸状に湾曲させるか
    凹状に湾曲させた状態で基板上に軟磁性膜を形成する工
    程と、基板を変形させていない状態で基板上に非磁性膜
    を形成する工程と、先の工程で基板に加えた湾曲状態と
    は逆の湾曲状態に基板を収縮させるか伸張させて非磁性
    膜上に軟磁性膜を形成する工程をそれぞれ選択して行
    い、前記軟磁性膜と非磁性膜交互にして前記軟磁性層
    少なくとも2層以上基板上に積層た磁気抵抗効果多
    層膜を製造することを特徴とする磁気抵抗効果多層膜の
    製造方法。
  12. 【請求項12】 圧電材料からなる基板に電圧を印加し
    て基板を一方向に伸張させるか収縮させた状態で基板上
    に軟磁性膜を形成する工程と、基板に電圧を印加しない
    状態で基板上に非磁性膜を形成する工程と、先の工程で
    基板に加えた伸張状態あるいは収縮状態とは逆の状態に
    基板を収縮させるか伸張させて非磁性膜上に軟磁性膜を
    形成する工程をそれぞれ選択して行い、前記軟磁性膜と
    非磁性膜交互にして前記軟磁性層を少なくとも2層以
    上基板上に積層た磁気抵抗効果多層膜を製造すること
    を特徴とする磁気抵抗効果多層膜の製造方法。
  13. 【請求項13】 基板両端部に圧電材を添設し、圧電材
    に電圧を印加して基板を一方向に伸張させるか収縮させ
    た状態で基板上に軟磁性膜を形成する工程と、圧電材に
    電圧を印加しない状態で基板上に非磁性膜を形成する工
    程と、先の工程で基板に加えた伸張状態あるいは収縮状
    態とは逆の状態に基板を収縮させるか伸張させて非磁性
    膜上に軟磁性膜を形成する工程をそれぞれ選択して行
    い、前記軟磁性膜と非磁性膜交互にして前記軟磁性層
    少なくとも2層以上基板上に積層た磁気抵抗効果多
    層膜を製造することを特徴とする磁気抵抗効果多層膜の
    製造方法。
  14. 【請求項14】 磁歪が正の軟磁性膜を用い、軟磁性膜
    の形成時に基板を収縮させておき、前記軟磁性膜の形成
    後に基板を元に戻して該軟磁性膜に引張応力を印加する
    とともに、他方の軟磁性膜の形成時に基板を伸長させ
    おき、他方の軟磁性膜の形成後に基板を元に戻して該
    磁性膜に圧縮応力を印加することで、引張応力が印加さ
    れた軟磁性膜の自発磁化の向きをピン止めするととも
    に、圧縮応力が印加された軟磁性膜の磁化の向きを自由
    にすることを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記
    載の磁気抵抗効果多層膜の製造方法。
  15. 【請求項15】 磁歪が正の軟磁性膜を用い、軟磁性膜
    の形成時に基板を収縮させておき、前記軟磁性膜の形成
    後に基板を元に戻して該軟磁性膜に引張応力を印加する
    とともに、他方の軟磁性膜の形成時に基板を伸長させ
    おき、他方の軟磁性膜の形成後に基板を元に戻して該
    磁性膜に圧縮応力を印加することで、引張応力が印加さ
    れた軟磁性膜の自発磁化の向きを自由にするとともに、
    圧縮応力が印加された軟磁性膜の磁化の向きをピン止め
    することを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載
    の磁気抵抗効果多層膜の製造方法。
  16. 【請求項16】 磁歪が負の軟磁性膜を用い、軟磁性膜
    の形成時に基板を収縮させておき、前記軟磁性膜の形成
    後に基板を元に戻して該軟磁性膜に引張応力を印加する
    とともに、他方の軟磁性膜の形成時に基板を伸長させて
    おき、他方の軟磁性膜の形成後に基板を元に戻して該
    磁性膜に圧縮応力を印加することで、引張応力が印加さ
    れた軟磁性膜の自発磁化の向きを自由にするとともに、
    圧縮応力が印加された軟磁性膜の磁化の向きをピン止め
    することを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載
    の磁気抵抗効果多層膜の製造方法。
  17. 【請求項17】 磁歪が負の軟磁性膜を用い、軟磁性膜
    の形成時に基板を させておき、前記軟磁性膜の形成
    後に基板を元に戻して該軟磁性膜に引張応力を印加する
    とともに、他方の軟磁性膜の形成時に基板を伸長させて
    おき、他方の軟磁性膜の形成後に基板を元に戻して該
    磁性膜に圧縮応力を印加することで、引張応力が印加さ
    れた軟磁性膜の自発磁化の向きをピン止めするととも
    に、圧縮応力が印加された軟磁性膜の磁化の向きを自由
    にすることを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記
    載の磁気抵抗効果多層膜の製造方法。
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