JP3332440B2 - 掘削装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、主に比較的大きな竪坑
等を掘削する掘削機に適用される掘削装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、大口径竪坑掘削機においては、オ
ールケーシング工法，アースドリル工法及びリバースサ
ーキュレーションドリル工法等の各工法毎に専用機が開
発・使用されている。

【０００３】例えば、図５にオールケーシング掘削機を
示す。これは、クランプしたケーシングチューブ０１を
回転駆動装置０２で回転させ、押込装置０３で押込み
し、ケーシングチューブ０１内をハンマグラブ０４にて
中掘していくものであり、掘削深さ全長に亘りケーシン
グチューブ０１を使用するので孔壁崩壊が効果的に防止
される。なお、図中０５はブーム，０６はワイヤロー
プ，０７はベースマシンである。

【０００４】図６は、前記回転駆動装置０２の詳細断面
を示す。本装置０２は、ケーシングチューブ０１をクラ
ンプ０８で抱きかかえた回転テーブル０９を、メインギ
ア０１０とピニオン０１１の係合を介してモータ０１２
で回転できるようになっている。前記回転テーブル０９
と非回転のケース０１３との間にはメインベアリング０
１４が装着されている。なお、図中０１５は押込装置０
３の押込みジャッキである。

【０００５】これによれば、ケーシングチューブ０１は
外周の任意位置をクランプ０８で抱きかかえられてモー
タ０１２により回転駆動されつつ、押込みジャッキ０１
５で上下に昇降可能となる。

【０００６】また、図７にアースドリルを示す。これ
は、テレスコピック式のケリーバ０１６が回転駆動装置
０１７に上下摺動可能に装着され、ケリーバ０１６が回
転されバケット０１８に力が伝達されることで、土砂を
掘削するものである。この際、ケリーバ０１６のインナ
部をワイヤロープ０１９で吊り下げ、ワイヤロープ０１
９を繰り出すことでケリーバ０１６の長さが伸び、バケ
ット０１８内に土砂が溜ってワイヤロープ０１９を巻き
上げることでバケット０１８部が地上まで持ち上げられ
て土砂が排出される。なお、孔壁崩壊防止は後述するリ
バースサーキュレーションドリルと同様に静水圧で行
う。

【０００７】また、図示しないリバースサーキュレーシ
ョンドリルは、地下水より高い水圧をかけながらドリル
パイプの先端に取付けた回転ビットにより掘削し、逆環
流により連続的に揚泥排出するものである。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】前述した基礎工法にお
ける各専用掘削機にはそれぞれ一長一短がある。

【０００９】先ず、アースドリルは、機械が小型・簡易
的であり、狭隘地に向き、掘削速度も速いが、竪坑等が
崩壊して埋まる可能性があり、また小石等が出る地盤で
は適用不可である。

【００１０】次に、オールケーシング掘削機は、竪坑等
にケーシングチューブを挿入しながら内部を掘るため、
どんな地盤でも竪坑等の崩壊は皆無であるが、ケーシン
グチューブを扱うので重装備の工事となる。また、アー
スドリルが適した地盤では、アースドリルに比べ能率が
低い傾向がある。また、ハンマグラブ使用時はハンマグ
ラブとクラウン（図示せず）との衝突音等の騒音が大き
く、住宅地等では問題がある。

【００１１】最後に、リバースサーキュレーションドリ
ルは、泥水処理のため広い設置スペースが必要となると
共に、アースドリルと同様に竪坑等が崩壊して埋まる可
能性があり、また小石等が出る地盤では適用不可であ
る。

【００１２】このような実情から、近年では、スペース
及びコストの面から各工法に応じて使い分けができる兼
用機のニーズが高まっている。

【００１３】そこで、最近では、オールケーシング工法
とアースドリル工法とを兼用可能な機械が開発されてい
るが、これはオールケーシング工法用揺動装置とアース
ドリル工法用回転装置とを別個に持っており、同一の装
置で複数工法に対応するものではないことから、コスト
的に未だ不十分であった。

【００１４】本発明の目的は、同一の装置で複数工法に
対応でき、コスト及びスペース的に有効な掘削装置を提
供することにある。

【００１５】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の、本発明の構成は、ケーシングチューブを地中に回転
・挿入するための回転駆動装置を有し、該回転駆動装置
は環状の非回転ケース内に前記ケーシングチューブをク
ランプし得る回転テーブルを回転駆動可能に支持し、該
回転テーブル上に取り付けられた複数の遊星ギアの外側
に噛み合う固定ギヤを前記非回転ケースに取り付けると
共に、これら遊星ギアの内側に噛み合って増速されるサ
ンギアに対し、中心穴部にドリル用ケリーバを上下摺動
可能でかつ回転と上方への抜け出しが不能に嵌挿したト
ルク伝達用ヨークを係脱自在に設けたことを特徴とす
る。

【００１６】

【作用】前記構成によれば、オールケーシング工法での
ケーシングチューブの取扱いと、アースドリル工法での
バケット及びリバースサーキュレーション工法でのドリ
ルパイプの回転掘削が同一の回転駆動装置で兼用され、
変化する地盤条件に合わせて適宜より適した工法が選択
できる。

【００１７】

【実施例】以下添付図面に基づいて、本発明の一実施例
を説明する。図１に示すように、ベースマシン１に押込
装置２を介して回転駆動装置３が装着される。

【００１８】回転駆動装置３は、図３にも示すように、
クランプ４を備えた回転テーブル（遊星キャリア）５を
メインギア６とピニオン７の係合を介してモータ８で回
転させるものである。また、回転テーブル５と非回転の
ケース９との間にはメインベアリング１０が装着され、
このベアリングのアウタレースに前記メインギア６が刻
設されている。

【００１９】そして、前記回転駆動装置３には増速機構
としての遊星ギア列が搭載されている。即ち、ケース９
の上には固定ギア１１が取り付けられ、この固定ギア１
１に回転テーブル（遊星キャリア）５に取り付けられた
遊星ギア１２が噛み合っている。これら遊星ギア１２の
内側には内ギア（サンギア）１３が噛み合い、内ギア１
３の上側には円周対称位置に二ケ一組のストッパ１４が
取り付けられる。

【００２０】一方、下端側にバケット１５を継いだテレ
スコピック式のケリーバ１６の外周には、図２にも示す
ように、トルク伝達装置としてのヨーク１７が上下摺動
可能に嵌め込まれ、このヨーク１７の両端部が前記各ス
トッパ１４の隙間に上方から入り込めるようになってい
る。なお、図中１８はカッタ、１９はエンドプレート
で、２０はワイヤロープである。

【００２１】次に、本装置の作用を説明する。先ず、オ
ールケーシング工法を行う時は、図１及び図３の装置
で、クランプ４に図５及び図６で示したケーシングチュ
ーブ０１を固定し、該チューブを回転・押込みしつつハ
ンマグラブ０４で内部土砂を掘削・排土することで、竪
坑を堀り進むことが可能となる。

【００２２】次に、アースドリル工法を行う時は、クラ
ンプ４を緩め、ハンマグラブ０４の代りにバケットをケ
リーバ１６で吊って図１のように回転駆動装置３に挿入
する。すると、ヨーク１７ガストッパ１４に上方から入
り込んで係合するので、回転トルクが内ギア１３→スト
ッパ１４→ヨーク１７→ケリーバ１６→バケット１５の
順で伝達され、掘削可能となる。その回転数は、オール
ケーシング工法でのケーシングチューブ０１の回転数よ
り遊星ギア１２の働きで速くなる。バケット１５が満杯
になると、ワイヤロープ２０で引上げるが、この際バケ
ット１５，ケリーバ１６及びヨーク１７は一体で竪坑外
へと引上げられる。即ち、ヨーク１７がケリーバ１６の
エンドプレート１９に当って上方へ引上げられるのであ
る。

【００２３】なお、上記実施例では、遊星ギア列は、更
に複雑な段数のギアの組合せが、変化させたい回転数の
値によって当然考えられる。更に、トルク伝達機構も図
示例に限定されず、種々のものが考えられる。

【００２４】最後に、本装置をリバースサーキュレーシ
ョン工法に応用した例を図４に示す。これは、先ずクラ
ンプ４に静水圧を保持するためのケーシングチューブ２
１を固定すると共に、ケリーバ１６の下端に、先端にウ
ィングビット２３を備えたドリルパイプ２２を接続す
る。そして、前記ウィングビット２３を遊星ギア１２を
介して高速で（ケーシングチューブ２１と比較して）回
転させ、切削した土砂をサクションポンプ２４で水とと
もに吸い出し、スラッシュタンク２５に排出させ、掘削
していくのである。なお、図中２６はスイベルジョイン
トである。

【００２５】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ケ
ーシングチューブを地中に回転・挿入するための回転駆
動装置を有し、該回転駆動装置は環状の非回転ケース内
に前記ケーシングチューブをクランプし得る回転テーブ
ルを回転駆動可能に支持し、該回転テーブル上に取り付
けられた複数の遊星ギアの外側に噛み合う固定ギヤを前
記非回転ケースに取り付けると共に、これら遊星ギアの
内側に噛み合って増速されるサンギアに対し、中心穴部
にドリル用ケリーバを上下摺動可能でかつ回転と上方へ
の抜け出しが不能に嵌挿したトルク伝達用ヨークを係脱
自在に設けたので、地盤に応じた工法を容易に選択で
き、多機能で効率が良く狭少地にも適用可能な掘削装置
が実現できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す断面図である。

【図２】図１のＡ矢視図である。

【図３】図１の要部拡大断面図である。

【図４】本発明の別の実施例を示す断面図である。

【図５】従来例の側面図である。

【図６】図５の要部拡大断面図である。

【図７】異なった従来例の側面図である。

【符号の説明】

２ 押込装置 ３ 回転駆動装置 ４ クランプ １２ 遊星ギア １６ ケリーバ １７ ヨーク ２１ ケーシングチューブ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 合議体 審判長 田中 弘満 審判官 鈴木 憲子 審判官 中田 誠 (56)参考文献 特開 平１−94189（ＪＰ，Ａ) 実開 平４−9436（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ケーシングチューブを地中に回転・挿入
   するための回転駆動装置を有し、該回転駆動装置は環状
   の非回転ケース内に前記ケーシングチューブをクランプ
   し得る回転テーブルを回転駆動可能に支持し、該回転テ
   ーブル上に取り付けられた複数の遊星ギアの外側に噛み
   合う固定ギヤを前記非回転ケースに取り付けると共に、
   これら遊星ギアの内側に噛み合って増速されるサンギア
   に対し、中心穴部にドリル用ケリーバを上下摺動可能で
   かつ回転と上方への抜け出しが不能に嵌挿したトルク伝
   達用ヨークを係脱自在に設けたことを特徴とする掘削装
   置。