JP3332176B2 - ムービングボルスタの油回収装置 - Google Patents

ムービングボルスタの油回収装置

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JP3332176B2 JP29314093A JP29314093A JP3332176B2 JP 3332176 B2 JP3332176 B2 JP 3332176B2 JP 29314093 A JP29314093 A JP 29314093A JP 29314093 A JP29314093 A JP 29314093A JP 3332176 B2 JP3332176 B2 JP 3332176B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はプレスに設けられたム
ービングボルスタの油回収装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来プレスには金型交換を容易とするた
め、プレス本体に対して出入れ自在な自走式のムービン
グボルスタを備えたものがある。また絞り成形を行うプ
レスでは、ベッド内にダイクッションが装備されてい
て、このダイクッションのパッドにより多数のクッショ
ンピンを介してムービングボルスタ上の金型を下方より
支持しており、ムービングボルスタにはクッションピン
を挿通する多数のピン孔が穿設されている。
【0003】一方プレス作業において金型を冷却したり
潤滑するため、加工油が使用されるが、ムービングボル
スタをプレス本体より引き出す際この加工油がピン孔よ
り流出してムービングボルスタの走路上に落下し、プレ
ス本体の周辺を汚損する不具合があった。このため従来
では、実開昭62−159931号公報のようにムービ
ングボルスタのピン孔開口部にシールリングを設けて油
がピン孔より流出するのを防止したり、使用しないピン
孔には蓋を密嵌して油が流出するのを防止している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしプレス作業中ク
ッションピンは絶えず上下動するため、従来のようにピ
ン孔の開口に、クッションピンと摺動するシールリング
を設けたものでは、シールリングが早期に摩耗したり、
プレス時発生した抜きカス等によりシールリングが損傷
されてシール効果が早期に低下し、油漏れを十分に防止
できない不具合があった。またムービングボルスタのピ
ン孔開口部にシールリングを装着するための座ぐり加工
が必要なため、手間がかかったり、座ぐりによりムービ
ングボルスタの強度が低下すると共に、使用しないピン
孔には蓋を密嵌する作業が必要なため、段取りに多くの
時間を必要として作業能率が悪いなどの不具合もあっ
た。この発明はかかる不具合を改善するためになされた
もので、シール手段を使用せずに油の流出が防止できる
ムービングボルスタの油回収装置を提供することを目的
とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は上記目的を達
成するために、プレス本体に対して出入れ自在なムービ
ングボルスタの中空室内に、ムービングボルスタのピン
孔に嵌挿された複数のクッションピンを下方より支持す
るピンプレートを設けたプレスにおいて、上記ムービン
グボルスタの底部に、上記ピンプレートを下方より係止
するストッパ部材を設けると共に、上記ストッパ部材と
ムービングボルスタの内面間に、ピンプレートなどに付
着した油を回収する油溜めを設けたものである。また油
溜めの底部に、ムービングボルスタの着床時開放される
排油弁を設けたものである。
【0006】
【作 用】上記構成によりムービングボルスタの上面
やピンプレートに付着した油は、ムービングボルスタの
走行時油溜めに回収されるため走路上などに落下するこ
とがない。また油溜めに溜められた油は、ムービングボ
ルスタの着床時開放される排油弁を介してプレス本体内
に、回収されるため、再利用が可能となる。
【0007】
【実 施 例】この発明の一実施例を図面を参照して詳
述する。図1においては1はトランスファプレスのよう
なプレスの本体で、出し入れ自在なムービングボルスタ
2を有している。上記ムービングボルスタ2はプレス本
体1の前後方向に敷設されたレール3上を自走自在とな
っており、プレス作業時には、図1の実線位置へ搬入さ
れて、プレス本体1のベッド1a上面に底面が着床する
ようになっている。上記ムービングボルスタ2の上部に
は、多数のピン孔2aが上下方向に穿設されていて、こ
れらピン孔2aのうち、プレス作業に使用する金型(図
示せず)に応じて選択された複数のピン孔2aにクッシ
ョンピン4が挿入されており、これらクッションピン4
の下端はベッド1a内に設置されたダイクッション5の
パッド5a上面に、ピンプレート6を介して当接されて
いる。
【0008】上記ムービングボルスタ2は、図2以下に
示すように、内部に下面が開口する中空室2bが形成さ
れていて、この中空室2b内に上記ピンプレート6が収
容されている。上記ピンプレート6はパッド5aよりや
や大きく形成されていて、上面には、ムービングボルス
タ2のピン孔2aと同配置で多数の突起6aが突設され
ており、これら突起6aの上面に各クッションピン4の
下端が上方より当接するようになっていると共に、ピン
プレート6の下面には、複数の位置決めピン6bが突設
されていて、これら位置決めピン6bがパッド5a上面
の位置決め孔5bに嵌入することにより、パッド5aに
対してピンプレート6が位置決めされている。
【0009】また上記中空室2bの下面開口には、ガス
ケット7を介してストッパ部材8のフランジ部8aが液
密に固着されている。上記ストッパ部材8は図3に示す
ように角枠状をなしていて、周辺部はフランジ部8aと
立ち上り部8bにより断面ほぼL字形をなしており、上
下に貫通する角孔8cはパッド5aが通過できるように
なっている。そして上記立ち上り部8bと中空室2bの
内周面の間に、上記ピンプレート6の外周面直下に位置
するように油溜め10が中空室2bの全周に亘って形成
されていると共に、立上り部8b上面には、ピンプレー
ト6を下方より支持した際、ピンプレート6の下面に当
接するようシール部材11が設けられている。
【0010】一方上記ピンプレート6の外周側下面に
は、ピンプレート6上に落下した油を油溜め10内に適
確に滴下させる油切り突条6cが全周に亘って形成され
ていると共に、油溜め10の底部には排油弁12が設け
られている。上記排油弁12は図4に示すように圧縮ば
ね12aにより上方より弁座12dに圧接された弁体1
2bを有しており、弁体12bより下方へ突設された弁
杆12cの下端はムービングボルスタ2の底面より下方
へ突出されていて、ムービングボルスタ2の着床時ベッ
ド1aにより押し上げられるようになっており、これに
よって弁体12bが開放されるようになっている。
【0011】次に作用を説明すると、プレス作業時には
プレス本体1内の図1の実線位置にムービングボルスタ
2が搬入されてベッド1a上に着床され、このとき油溜
め底部の排油弁12は、ベッド1a上面により弁体12
bが押し上げられて開放されている。またプレス作業中
金型などを冷却した油は、ムービングボルスタ2のピン
孔2aによりピンプレート6上に落下した後、ピンプレ
ート6下面の周辺部に突設された油切り突条6cより油
溜り10内に落下するが、排油弁12よりベッド1a内
に流出し、ベッド1a内に回収される。
【0012】次に金型交換などによりムービングボルス
タ2をプレス本体1内より引出すべくパッド5aをベッ
ド1a内へ下降させると、パッド5a上のピンプレート
6はストッパ部材8の立ち上り部8bに係止されてムー
ビングボルスタ2の中空室2b内に残る。この状態でム
ービングボルスタ2をベッド1aより離床すると排油弁
12が閉鎖されるため、以後ピンプレート6より落下す
る油は油溜め10内に溜められ、ムービングボルスタ2
の走行中、走路上などに落下することがないと共に、ピ
ンプレート6と立ち上り部8bの間にシール部材11が
設けられているため、油溜め10内に溜った油が走行中
の振動などにより流出することもない。
【0013】一方金型交換が完了して再びムービングボ
ルスタ2がプレス本体1内へ搬入され、ベッド1a上に
着床されると、排油弁12が、開放して油溜め10内の
油をベッド1a内に排出するため、油溜め10内に回収
した油を排出する作業は不要である。
【0014】
【発明の効果】この発明は以上詳述したように、ムービ
ングボルスタ内に油溜めを設けて、ムービングボルスタ
の走行中に落下する油をこの油溜めに回収するようにし
たことから、ムービングボルスタの走路上やプレス周辺
が油により汚損されることがない。また油溜めに溜めら
れた油はムービングボルスタをプレス本体内へ搬入した
際排油弁を介してプレス本体内に流入されるため、油の
再利用が可能になると共に、プレス本体側の改善は必要
ないため既存のプレスにも容易かつ安価に実施すること
ができる。
【0015】さらにピンプレートの周辺部下面に、ピン
プレートに付着した油を油溜めへ滴下する油切り突条を
設けることにより、油を油溜めへ確実に回収することが
できると共に、ストッパ部材とピンプレートの当接部に
シール部材を設けることにより、油溜めに溜った油がム
ービングボルスタの走行中に漏出するのを防止すること
もできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例になるムービングボルスタ
の油回収装置を採用したプレスの縦断面図である。
【図2】この発明の一実施例になるムービングボルスタ
の油回収装置を採用したプレスの断面図である。
【図3】この発明の一実施例になるムービングボルスタ
の油回収装置に設けられたストッパ部材の斜視図であ
る。
【図4】この発明の一実施例になるムービングボルスタ
の油回収装置に設けられた排油弁の断面図である。
【符号の説明】
1…プレス本体、1a…ベッド、2…ムービングボルス
タ、2a…ピン孔、4…クッションピン、6…ピンプレ
ート、6c…油切り突条、8…ストッパ部材、10…油
溜め、11…シール部材、12…排油弁。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プレス本体1に対して出入れ自在なムー
    ビングボルスタ2の中空室2b内に、ムービングボルス
    タ2のピン孔2aに嵌挿された複数のクッションピン4
    を下方より支持するピンプレート6を設けたプレスにお
    いて、上記ムービングボルスタ2の底部に、上記ピンプ
    レート6を下方より係止するストッパ部材8を設けると
    共に、上記ストッパ部材8とムービングボルスタ2の内
    面間に、ピンプレート6などに付着した油を回収する油
    溜め10を設けてなるムービングボルスタの油回収装
    置。
  2. 【請求項2】 上記油溜め10の底部に、ムービングボ
    ルスタ2の着床時開放される排油弁12を設けてなる請
    求項1記載の油回収装置。
  3. 【請求項3】 ピンプレート6の周辺部下面に、油溜め
    10へ油を滴下させる油切り突状6cを突設してなる請
    求項1記載の油回収装置。
  4. 【請求項4】 ストッパ部材8とピンプレート6の当接
    部にシール部材11を設けてなる請求項1記載の油回収
    装置。
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