JPH0541654U - 工作機械の切削剤飛散防止装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 パレット上にワークを固定し、パレットを作
業テーブルに固定して加工を行う各種工作機械におい
て、加工中に切削剤や切り屑などを周囲に飛散させない
で確実に捕捉する切削剤飛散防止装置を提供する。 【構成】 パレットに上部周面を取り囲む切削剤カバー
を取付け、工作機械に前記パレットの全移動領域をカバ
ーする天井カバーを昇降自在に支持させ、かつ工作機械
に設けた昇降シリンダにて下降させて切削剤カバーの上
面を塞ぐ。天井カバーには中央部に工作機械の主軸ヘッ
ドから突出する主軸が入る作業穴を形成し、この作業穴
の上部周縁に蛇腹状の伸縮式カバーを取付け、該伸縮式
カバーの上端を主軸ヘッドの下面に密着させたものであ
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、加工中に使用する切削剤が工作機械の周囲に飛散しないようにす る切削剤飛散防止装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

フライス盤やマシニングセンタ等の各種工作機械は、加工中に大量の切削剤を 使用するため、これら切削剤や切り屑等が工作機械の周囲に飛散して、周りを汚 さないようにするために、さまざまな切削剤飛散防止装置が工作機械に設けられ ている。

【０００３】 上記切削剤飛散防止装置としては、工作機械全体を取り囲むスプラシュガード タイプ、或いは工作機械のテーブル上に設置されるカバータイプとがある。例え ば、大型の立形マシニングセンタでは、カバータイプのものが用いられ、図５及 び図６に示す様に、作業テーブル（１）上に該作業テーブル（１）の前方及び両 側を囲む切削剤カバー（２）を設け、作業テーブル（１）の後方にリヤカバー（ ３）を設け切削剤カバー（２）内で加工するようになっている。切削剤カバー（ ２）は、ワークの交換作業や主軸ヘッド（４）の動作の支障とならないように上 面及び背面の中央部が開放されている。

【０００４】 加工中に前方や両側に飛散した切削剤や切り屑等を作業テーブル（１）に設け た切削剤カバー（２）にて捕捉し、後方へ飛散した切削剤等はリヤカバー（３） にて捕捉するようになっている。

【０００５】 上記の如く、作業テーブル（１）の周囲を切削剤カバー（２）にて取り囲んで も、切削剤カバー（２）は主軸ヘッド（４）との干渉を避けるため、背が低くな っており、しかも上面及び背面の中央部が開放されているため、切削剤カバー（ ２）の上面及び背面から切削剤が飛び出し、外部に飛散する。そのため、ベッド （５）の下部に切削剤カバー（２）から飛散した切削剤を受け取るためのオイル パン（６）を設けている。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

上記オイルパン（６）は飛散する切削剤を確実に回収するために、作業テーブ ル（１）及びサドル（７）の移動範囲全域に亘って設けねばならず、非常に大き なオイルパン（６）が必要で、占有面積が非常に大きくなっていた。

【０００７】 また、大量の切削剤を使用した場合、切削剤が回収溝からあふれて機械内部に 浸入する恐れがあった。

【０００８】 この考案は、切削剤カバーから外部へ切削剤が飛散しないようにした小型の切 削剤飛散防止装置を提供しようとするものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

この考案は、ワークを保持したパレットを工作機械の作業テーブル上に固定し て加工を行う工作機械に用いられる切削剤飛散防止装置であって、底の一部に切 削剤排出口を形成し、前記パレットの上面全面を取り囲む切削剤カバーと、前記 切削剤カバーの全移動領域をカバーする大きさを有し、中央部に工作機械の主軸 ヘッドから突出した主軸が入る作業穴を形成し、前記作業テーブルの上方に昇降 自在に支持されて前記切削剤カバーの上面を塞ぐ天井カバーと、前記天井カバー の上面中央部の前記作業穴の周囲に装着され、前記天井カバーと前記主軸ヘッド との間を覆う伸縮式カバーと、前記作業テーブル上に設置され、前記切削剤カバ ーの切削剤排出口から排出された切削剤を機外へ排出させる廃油樋とで構成した ものである。

【００１０】

【作用】

上記構成の切削剤飛散防止装置は、加工時、切削剤カバーの上面を天井カバー にて塞ぎ、かつ天井カバーと工作機械の主軸ヘッドとの間を伸縮式カバーにて塞 いで、切削剤を外部へ全く出さないようにし、捕捉した切削剤を切削剤カバーに 設けた切削剤排出口から廃油樋を介して外部へ排出させる。

【００１１】 また、主軸ヘッドの工具交換時は、一旦パレットと切削剤カバーとを作業テー ブルから逃がして、天井カバーを下降させて、主軸ヘッドに装着された主軸及び 工具を天井カバー及び伸縮式カバーから突出させて、工具交換を行う。また、ワ ーク交換時は、天井カバーを上昇させて行う。

【００１２】

【実施例】

以下、この考案の実施例を立形マシニングセンタに適用した場合について図１ 乃至図４を参照して説明する。

【００１３】 立形マシニングセンタは、図１乃至図３に示す様に、ベッド（１０）上でサド ル（１１）を前後動させ、サドル（１１）上で作業テーブル（１２）を左右方向 にスライドさせるように構成し、コラム（１３）の前面で主軸ヘッド（１４）を 昇降させるように構成してある。また、主軸ヘッド（１４）の側方には多数の工 具を収納した工具マガジン（１５）を取付け、工具交換機（１６）にて工具マガ ジン（１５）から工具を取り出して主軸ヘッド（１４）の主軸（１７）に装着し た工具（２０）と自動的に交換できるようになっている。また、加工するワーク はパレット（２１）上に固定され、パレット（２１）を介して作業テーブル（１ ２）上にセットされる。

【００１４】 このマシニングセンタに装備される切削剤飛散防止装置は、パレット（２１） 上で切削剤を捕捉して機械外へ排出させるように構成され、切削剤カバー（２２ ）と天井カバー（２３）、天井カバー（２３）を昇降させる昇降手段（２４）、 伸縮式カバー（２５）、廃油樋（２６）とからなっている。

【００１５】 上記切削剤カバー（２２）は、パレット（２１）より少し大きく、上面が開放 された直方体に形成され、底（２７）をパレット（２１）の周面に密封結合させ 、その一部に切削剤を排出するための切削剤排出口（３０）を設けてある。また 底（２７）は捕捉した切削剤を切削剤排出口（３０）へ導くように僅かに傾斜を 付けてある。

【００１６】 天井カバー（２３）はパレット（２１）の全移動領域をカバーする大きさを有 し、マシニングセンタの両側に立設された支持フレーム（３１）（３２）の下方 に配置させ、各支持フレーム（３１）（３２）の前後端にそれぞれスライド自在 に貫通支持させたガイドロッド（３３）（３３）・（３４）（３４）の下端に支 持させてある。この天井カバー（２３）の中央部には主軸ヘッド（１４）から突 出した主軸（１７）が入る作業穴（３５）を形成してあり、加工時に主軸ヘッド （１４）の下部が作業穴（３５）から内部に入ってパレット（２１）上のワーク に加工を行うようになっている。

【００１７】 昇降手段（２４）は、例えば昇降シリンダ（３６）（３７）を支持フレーム（ ３１）（３２）の上面中央部に取付け、そのピストンロッド（３６ａ）（３７ａ ）を天井カバー（２３）に結合させてあり、昇降シリンダ（３６）（３７）の伸 縮動作により天井カバー（２３）を昇降させる。昇降シリンダ（３６）（３７） は、パレット（２１）の搬入・搬出時には短縮動作して、天井カバー（２３）を 上昇させ、パレット（２１）が作業テーブル（１２）にセットされると、伸長動 作して天井カバー（２３）を下降させ、パレット（２１）に取付けられた切削剤 カバー（２２）の上面に押し当てて、該切削剤カバー（２２）の上面を塞ぐ。ま た、工具交換時には昇降シリンダ（３６）（３７）が伸長動作して天井カバー（ ２３）を下降させ、主軸ヘッド（１４）を天井カバー（２３）の作業穴（３５） から突出させる。

【００１８】 伸縮式カバー（２５）は、天井カバー（２３）の作業穴（３５）と主軸ヘッド （１４）との間の隙間を覆うもので、図４にも示す様に、作業穴（３５）より大 きい径の蛇腹状ブーツ（４０）を天井カバー（２３）の上面中央部に取付け、ブ ーツ（４０）の上端にリング状の装着金具（４１）を取付け、天井カバー（２３ ）と装着金具（４１）との間に装着金具（４１）の上昇端を規制するストッパ（ ４２）を取付けてある。ストッパ（４２）は上端を装着金具（４１）に係合させ 、下端を天井カバー（２３）の上面に取付けたストッパプレート（４３）に貫通 させてある。この伸縮式カバー（２５）は、加工時に、主軸ヘッド（１４）の下 面が装着金具（４１）に密着することにより、内部を密封し、さらに主軸ヘッド （１４）の下降にともなって縮み、主軸ヘッド（１４）の動作に支障をきたすこ とがない。また主軸ヘッド（１４）が上昇して外力が作用しなくなると、ブーツ （４０）の弾力でもって伸長し、ストッパ（４２）の下端がストッパプレート（ ４３）に係止して装着金具（４１）の上昇位置を規制する。

【００１９】 上記伸縮式カバー（２５）は、その伸縮量が主軸ヘッド（１４）の加工時の昇 降ストロークより僅かに長い長さになるように形成する。尚、ブーツ（４０）の 弾力が弱く、ブーツ自身の弾力で、伸長できない場合には、天井カバー（２３） と装着金具（４１）との間にスプリングを介在させて、該スプリングの弾力で伸 長させるようにしてもよい。

【００２０】 廃油樋（２６）は、パレット（２１）上の切削剤カバー（２２）からのびる切 削剤排出口（３０）に対応させて、作業テーブル（１２）上に設けてあり、切削 剤排出口（３０）から排出された切削剤などを機外へ案内して排出させる。この 廃油樋（２６）はパレット（２１）が作業テーブル（１２）の所定位置にセット されると、切削剤排出口（３０）の下部にくるように配置させてある。

【００２１】 上記切削剤飛散防止装置を備えたマシニングセンタは、ワークの加工に際して 、昇降シリンダ（３６）（３７）を短縮動作させて天井カバー（２３）を上昇退 避させておき、切削剤カバー（２２）を取付けたパレット（２１）が作業テーブ ル（１２）上にセットされると、昇降シリンダ（３６）（３７）を伸長動作させ て天井カバー（２３）を下降させ、天井カバー（２３）を切削剤カバー（２２） の上面にかぶせる。この状態で主軸ヘッド（１４）を下降させて、主軸（１７） 及び工具（２０）を伸縮式カバー（２５）を通して作業穴（３５）から天井カバ ー（２３）内へ侵入させ、かつ作業テーブル（１２）を前後左右に移動させて加 工を行う。

【００２２】 上記加工中に使用される切削剤や加工時に発生する切り屑等は、切削剤ととも に切削剤カバー（２２）の底に設けられた切削剤排出口（３０）から廃油樋（２ ６）へ排出され、廃油樋（２６）に案内されて機外へ排出される。また、加工中 には切削剤や切り屑等がさまざまな方向へ飛散するが、パレット（２１）上は周 囲が切削剤カバー（２２）にて囲まれており、上面は天井カバー（２３）にて覆 われ、さらに天井カバー（２３）の作業穴（３５）は伸縮式カバー（２５）にて 主軸ヘッド（１４）との間で密封されており、切削剤などが切削剤カバー（２２ ）の上面から外部に飛散することがない。しかも、天井カバー（２３）はパレッ ト（２１）の全移動領域をカバーする大きさに形成してあるので、加工中にパレ ット（２１）がどの位置にきても、切削剤カバー（２２）の上面が天井カバー（ ２３）から外れて開放されることがなく、切削剤の飛散を生じない。

【００２３】 またパレット（２１）の交換時は、昇降シリンダ（３６）（３７）を短縮動作 させ、天井カバー（２３）を上昇させて行う。また、加工工具（２０）を交換す るときは、昇降シリンダ（３６）（３７）を短縮動作させて天井カバー（２３） を一旦上昇させ、パレット（２１）を作業テーブル（１２）から取り出した後、 昇降シリンダ（３６）（３７）を伸長動作させて天井カバー（２３）を下降させ るとともに、主軸ヘッド（１４）を上昇させて主軸（１７）及び工具（２０）を 天井カバー（２３）の作業穴（３５）及び伸縮式カバー（２５）から突出させ、 工具交換機（１６）にて行う。

【００２４】

【考案の効果】

この考案によれば、加工を行うパレット上を切削剤カバー及び天井カバー、伸 縮式カバーにて取り囲んで密封するので、加工中に切削剤や切り屑等を周囲に飛 散させることなく、完全に捕捉して、切削剤排出口から廃油樋を経て機外に排出 さることができる。従って、切削剤を作業テーブル上へ流さないので、切削剤を 大量に使用しても、機械内部へ浸入するようなこともない。またオイルパンも不 要になり、機械全体を小型にできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る切削剤飛散防止装置を備えた工作
機械の一部破断正面図

【図２】切削剤飛散防止装置を備えた工作機械の平面図

【図３】切削剤飛散防止装置の側面図

【図４】伸縮式カバーの拡大断面図

【図５】従来の切削剤カバーを備えた工作機械の正面図

【図６】従来の切削剤カバーを備えた工作機械の平面図

【符号の説明】

１２ 作業テーブル １４ 主軸ヘッド ２１ パレット ２２ 切削剤カバー ２３ 天井カバー ２５ 伸縮式カバー ２６ 廃油樋 ３０ 切削剤排出口 ３５ 作業穴

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ワークを保持したパレットを工作機械の作
   業テーブル上に固定して加工を行う工作機械に用いられ
   る切削剤飛散防止装置であって、底の一部に切削剤排出
   口を形成し、前記パレットの上面全面を取り囲む切削剤
   カバーと、前記切削剤カバーの全移動領域をカバーする
   大きさを有し、中央部に工作機械の主軸ヘッドから突出
   した主軸が入る作業穴を形成し、前記作業テーブルの上
   方に昇降自在に支持されて前記切削剤カバーの上面を塞
   ぐ天井カバーと、前記天井カバーの上面中央部の前記作
   業穴の周囲に装着され、前記天井カバーと前記主軸ヘッ
   ドとの間を覆う伸縮式カバーと、前記作業テーブル上に
   設置され、前記切削剤カバーの切削剤排出口から排出さ
   れた切削剤を機外へ排出させる廃油樋とで構成したこと
   を特徴とする工作機械の切削剤飛散防止装置。