JP3331938B2 - 偽造防止策を施した用紙およびその製造方法 - Google Patents

偽造防止策を施した用紙およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紙幣、株券、債
券、商品券、宝くじ等の紙からなる有価証券類の偽造防
止に関するもので、さらに詳しくは、見た目には気がつ
かず、電子複写機による偽造や改竄による不正使用に対
し該用紙の真偽判定が容易に、かつ、確実にできる用紙
に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、紙は紙幣をはじめ、株券、債券、
商品券、宝くじ等々金銭的価値を有する有価証券として
幅広く使用されており、その様な有価証券類に用いられ
ている用紙には容易に偽造又は変造が出来ない様に、紙
自身にすかしを施したり、あるいはマイクロ文字や凹
版、隠し文字、蛍光印刷等の特殊な印刷を施したり、金
属光沢を有する箔やホログラム箔などを転写またはシー
ルで施してあるのが一般的である。
【0003】これらの有価証券類の偽造や変造は、主に
印刷による方法と電子複写機による方法があるが、今日
では電子複写機の解像度が格段に良くなり、カラー電子
複写機さえあれば手軽に本物と見分けがつかないくらい
複写出来ることから、電子複写による偽造が増加してい
て、マイクロ文字や隠し文字のようなパターン印刷でも
オリジナルとコピーを見分けることが困難になってい
る。
【0004】そこで、このような電子複写機を用いた偽
造手段に対して、金属光沢の鏡面反射を有する箔やホロ
グラム箔またはシールなどが複写防止効果が高いとして
一部の商品券や保証書などに採用されている。これらの
金属光沢を有する箔を複写すると、ほとんど黒色に複写
されるため、一見して複写物であることがわかるためで
ある。ところが、この金属光沢を有する箔やホログラム
箔は用紙の上に層を形成しているため、複写物のその部
分上に使用済の箔またはシールを溶剤等で上手に剥がし
張り付けたり、極めて似た箔を作って張り付けする改竄
行為によると本物と見分けがつかない等の問題があっ
た。
【0005】また、最近ホログラムフィルムや蒸着フィ
ルムを細長テープ状のスレッドとして紙層内に挿入(漉
き込み等で)した用紙を用いた商品券やギフト券が出て
おり、偽造防止効果が高いとして年々その数は増加し続
けている。ところがこのようなスレッド入り用紙に対す
る偽造は、抄造の技術がなければできないと思われがち
だが、悪意のある者は装置を作ってでもスレッドホログ
ラム等の挿入された用紙を偽造することもあり、一旦偽
造されてしまえば大量の複製が可能なのでその被害は計
り知れない。また、この場合のスレッドホログラム等は
一見して真偽が判るため偽造防止効果が高いと言われる
が、スレッド自体が細く、ロゴが小さすぎて一目見ただ
けでは真偽判定はまず不可能であるといっても過言では
ない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の問題点を解決するものであり、その課題とすると
ころは、有価証券類がカラーコピーや印刷またはDTP
などでオリジナルと全く見分けがつかないほど精巧に偽
造されたとき、及び有価証券類の用紙自身から偽造され
た場合においても、真偽の判定が容易で、かつ確実に可
能な偽造防止策を施した用紙およびその製造方法を提供
することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に於いて上記課題
を達成するために、まず請求項1の発明では、少なくと
も表面となる1層が直線的に配列する複数の窓空き部を
有する2層以上からなる窓透かしタイプの用紙であっ
て、該表面となる層と他の層との間で、前記窓空き部に
露出するように細長テープ状のスレッドが漉き込まれた
用紙において、該窓空き部に露出したスレッドが除去さ
れてなることを特徴とする偽造防止策を施した用紙とし
たものである。
【0008】また、請求項2の発明では、前記スレッド
が、細長テープ状の基体上に着色熱可塑性樹脂層を施し
てなることを特徴とする請求項1に記載の偽造防止策を
施した用紙としたものである。
【0009】また、請求項3の発明では、前記着色熱可
塑性樹脂層が、パターン化されてなることを特徴とする
請求項1または2に記載の偽造防止策を施した用紙とし
たものである。
【0010】また、請求項4の発明では、前記スレッド
が、細長テープ状の基体上に金属蒸着層、透明熱可塑性
樹脂層の順に積層してなることを特徴とする請求項1記
載の偽造防止策を施した用紙としたものである。
【0011】また、請求項5の発明では、前記金属蒸着
層が、パターン化されてなることを特徴とする請求項1
または4に記載の偽造防止策を施した用紙としたもので
ある。
【0012】また、請求項6の発明では、紙またはプラ
スチックフィルムからなる被転写体と前記表面に露出し
たスレッドの面とを重ね合わせ、熱加圧し、表面の窓空
き部に露出したスレッドを前記被転写体に熱転写して除
去し、窓透かし部を形成することを特徴とする請求項
1、2、3、4または5に記載の偽造防止策を施した用
紙の製造方法としたものである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面を
用いて詳細に説明する。
【0014】本発明の偽造防止策を施した用紙は、図2
に示すように、表面となる1層(10)が、図1に示す
ように直線的に配列する複数の窓空き部(20)を有す
る2層以上からなる窓透かしタイプの用紙であって、該
表面となる1層(10)と他の層(12)との間に、図
9に示すように、前記窓空き部(20)に露出するよう
に細長テープ状のスレッド(30)が漉き込まれた用紙
において、該窓空き部(20)に露出したスレッド(3
0)が除去されてなることを特徴とする偽造防止策を施
した用紙である。
【0015】また、請求項2の発明は、図3に示すよう
に、前記スレッド(30)が、細長テープ状の基体
(2)上に着色熱可塑性樹脂層(40)を施してなるこ
とを特徴とするものであり、請求項3の発明は、図5に
示すように、前記スレッド(30)の着色熱可塑性樹脂
層(40)が、基体(2)上にパターン化されてなるも
のである。
【0016】また、請求項4の発明は、図4に示すよう
に、前記スレッド(30)が、細長テープ状の基体
(2)上に金属蒸着層(44)、透明熱可塑性樹脂層
(42)の順に積層してなることを特徴とするものであ
り、請求項5の発明は、図6に示すように、前記金属蒸
着層(44)が、パターン化されてなることを特徴とす
るものである。
【0017】以上の本発明の偽造防止策を施した用紙
(1)について、材料や製造方法等を以下に詳細に述べ
る。本発明に用いる用紙は、植物繊維または合成繊維を
原料とし、水中にて叩解し抄いて絡ませた後、脱水・乾
燥させて作られる。この時紙は原料であるセルロースの
水酸基間の水素結合で繊維間の強度が得られる。また、
紙に用いるてん料としてはクレイ、タルク、炭酸カルシ
ウム、二酸化チタン等があり、サイズ剤としてはロジ
ン、アルキル・ケテン・ダイマー、無水ステアリン酸、
アルケニル無水こはく酸、ワックス等があり、紙力増強
剤には変性デンプン、ポリビニルアルコール、ポリアク
リルアミド、尿素−ホルムアルデヒド、メラミン−ホル
ムアルデヒド、ポリエチレンイミン等があり、これらの
材料をそれぞれ抄紙時に加え、長網抄紙機や円網抄紙機
を用いて抄造する。
【0018】これらに用いる原紙は、紙ならいかなるも
のでもよいが機械的に強度のあるOCR用紙や証券用紙
が最も適している。証券用紙の場合、坪量50〜200
g/m2のものが使用可能であるが、好ましくは坪量8
0〜120g/m2の用紙である。紙基材の原料となる
パルプ繊維としては、針葉樹や広葉樹、イネ、エスパル
ト、バガス、麻、亜麻、ケナフ、カンナビス等の木材パ
ルプと、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレ
ン、ポリアクリレート、ポリ塩化ビニル等のプラスチッ
クから作られた合成繊維などを用いる。
【0019】上記用紙の抄紙方法は、通常の植物繊維紙
の製造に用いられる方法でよく、原料濃度0.1〜5
%、好ましくは0.3〜0.6%の水希薄原料で十分に
膨潤させた繊維をよく混練しスダレ・網目状のワイヤー
等に流して並べ、搾水後加温により水分を蒸発させて作
られる。
【0020】また、植物繊維以外の例えば合成繊維を混
入した紙の場合は合成繊維間に水素結合などの結合力を
持たないため結着剤を必要とすることが多いので、合成
繊維比率と結着剤量は、紙の強度を落とさない程度に適
宜決めるのが望ましい。
【0021】本発明に係わる細長テープ状スレッド(ま
たは糸)入り紙の製造はいろいろな方法で行われるが、
その一つは既に形成された紙を貼り合わせながら紙と紙
の間にスレッド等を挿入し一体とする方法と、図7に示
すように,円網多槽抄あるいは短網または円網と長網と
の組み合わせ等によって二層(10、12)以上の湿紙
を形成するが、この各湿紙を一体に抄き合わる工程中に
スレッド等を一層(10)と他の層(12)間に挿入一
体とする二種の方法に分類される。
【0022】抄紙工程では、一層のみでは地合の良い紙
や坪量が均一な紙ができないので、その場合は通常抄紙
機を2基以上並べて抄く方法を用いる。例えば、本発明
の偽造防止策を施した用紙の抄紙は、抄き合わせ法や場
合によっては混合抄紙法などにより、例えば、図3に示
すように、基体(2)上に着色熱可塑性樹脂層(40)
からなる細長テープ状のスレッド(30)として紙の中
に漉き込むことができる。
【0023】また、抄紙工程で、表面となる1層(1
0)に窓空き部を形成する方法は、例えば、針葉樹パル
プを水中で叩解後、上記のように長網式抄紙機等を用い
て、抄き合わせ法で第一層目を抄くが、長網には部分的
に窓空きを形成するマスクを直線的に貼ってあるので、
その部分だけが紙層が形成されず、窓空き部(20)を
形成することができる。
【0024】細長テープ状のスレッド(30)の基体
(2)は、熱をかけた時に着色熱可塑性樹脂層(40)
もしくは図4に示す透明熱可塑性樹脂層(42)ととも
に切れながら被転写体へ転写移行するものであるが、ス
レッド(30)を作るときには機械的に強く柔軟性や可
撓性を有するものがよく、具体的にはポリエステル系樹
脂、塩ビ系樹脂、アクリル系樹脂、またはビニル系樹脂
等の中から適宜選ばれるもので、ポリエチレンテレフタ
レートやポリ塩化ビニル、ポリアクリレート、ポリエス
テル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポ
リスチレン等の合成樹脂や天然樹脂の高分子材料からな
るプラスチックフィルムや紙、合成紙などを単独で、ま
たは組み合わせた複合体が必要に応じて用いることがで
きる。また、この基体(2)の厚さは、2〜20μmが
好ましく、20μm以上では、熱転写した際に用紙の窓
空き部(20)に露出している部分が着色熱可塑性樹脂
層(40)もしくは透明熱可塑性樹脂層(42)ととも
に転写除去が困難になるため、2〜10μmのものがよ
り好ましい。特に樹脂フィルムではあまり強靱なもので
は切れにくいので、適度な強度が求められる。
【0025】また、上記の着色熱可塑性樹脂層(40)
もしくは透明熱可塑性樹脂層(42)の樹脂としては、
例えば、ポリエステル系樹脂としての飽和ポリエステル
樹脂、塩ビ系樹脂としてのポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩
酢ビ樹脂、アクリル系樹脂としてのポリアクリル系メチ
ル、ポリアクリル酸−2−ナフチル、ポリメタクリル酸
メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸−
t−ブチル、ポリメタクリル酸フェニル、メタクリル酸
メチルとメタクリル酸アルキルのコポリマー(但し、ア
ルキル基の炭素は2〜6個)、ポリメチルクロロアクリ
レート、アクリル−スチレンポリマー、及びビニル系樹
脂としてはポリスチレン、ポリビニルベンゼン、ポリビ
ニルトルエン、スチレン−ブタジエンコポリマー等を挙
げることができる。
【0026】更に本発明の着色熱可塑性樹脂層(40)
の成分である着色剤は、用紙を透かした時に部分的にス
レッドが施されていることがわかる様に可視化する為に
必要なものであり、着色剤の種類を変えることによっ
て、カラーの可視像を得ることができる染料及び顔料等
で通常使用されている着色剤を用いることができる。具
体的には、酸化チタン、炭酸カルシウム、ハンザイエロ
ー、オイルエメ−2G、カーボンブラック、オイルブラ
ック、ピラゾロンオレンジ、オイルレッド、ベンガラ、
アンスラキノンバイオレット、フタロシアニンブルー、
フタロシアニングリーン、アルミ粉、ブロンズ粉、パー
ルエッセンス、磁性粉等が用いられる。
【0027】また、上記本発明の着色熱可塑性樹脂層
(40)の組成比は、固形分総量100重量部に対して
熱可塑性樹脂が40〜80重量部、着色剤が10〜30
重量部が可視像を得るのに好適な値である。
【0028】本発明の着色熱可塑性樹脂層(40)もし
くは透明熱可塑性樹脂層(42)を基体(2)上もしく
は金属蒸着層(44)が積層された基体(2)上に積層
する方法はまず、着色熱可塑性樹脂もしくは透明熱可塑
性樹脂からなる塗液をバー塗布、ブレード塗布、エアナ
イフ塗布、グラビア塗布、またはロールコーティング塗
布等のソルベントコーティング法により塗布乾燥して得
られ本発明のスレッド(30)とすることができる。
【0029】また、図5に示すような着色熱可塑性樹脂
層(40)のパターン化は、基体(2)フィルムもしく
は紙等にグラビア印刷法等の公知の印刷方法で、着色熱
可塑性樹脂インキによるマイクロ文字などを印刷して得
ることができる。
【0030】また、図6に示すような金属蒸着層(4
4)のパターン化は、パターンマスクを通して蒸着する
か、あるいは金属蒸着層(44)上に透明熱可塑性樹脂
インキによるマイクロ文字等を印刷し、腐食液にて露出
している金属蒸着層(44)をエッチングすることによ
り得ることもできる。いずれにしてもこのパターン化の
方法を問うものではない。
【0031】抄紙後該用紙の窓空き部(20)に露出し
ているスレッド(30)を取り去る方法は、本発明の偽
造防止策を施した用紙の製造方法の要点であり、紙もし
くはプラスチックフィルム等からなる被転写体を、図8
に示すような窓空き部(20)に露出しているスレッド
(30)面と重ね合わせ、ホットスタンプや熱ロール等
の公知の技術でこの用紙の裏面から、あるいは被転写体
側から熱可塑性樹脂層を溶融軟化させ、被転写体に転写
しながら部分的にスレッド(30)を除去するものであ
る。
【0032】本発明の偽造防止用紙は、株券、債券、小
切手、通帳、商品券、ギフト券等証券類の他、伝票、宝
くじ、乗車券、定期券などの証券関連商品に適用でき
る。
【0033】本発明の偽造防止策を施した用紙において
は、従来、印刷法で偽造防止が施されていたため、カラ
ーコピー機やスキャナーで画像を取り込まれて出力され
たり、スキャナーで色分解して本当の印刷機を用いて印
刷して偽造されたり等の問題があったところを、紙層間
に着色熱可塑性樹脂層(40)または金属蒸着層(4
4)を設け、部分的な可視スレッド(30)を入れたた
め、上記の様な方法で類似の紙を使って偽造しても、透
かしてみると部分的なスレッドがないため一見して本物
と違うことが容易にわかることが可能となった。特に請
求項3および5の発明のパターン(例えば「・・本物本
物本物・・」のようなマイクロ文字)を設けることによ
り、透かして見るとその文字が見えるので、真偽判定が
より容易となる。更に、スレッド(30)が用紙表面の
窓空き部(20)に無いので、その部分だけ薄くなり、
窓透かし部を形成し、所謂「白透かし」となり、この透
かしと用紙内部にある部分スレッド(30)が一緒にな
ることで偽造防止効果が一層高くなるものである。
【0034】
【実施例】次に本発明を実施例により、本発明を具体的
に説明する。 〈実施例1〉 〔スレッド(30)の作成〕厚さ4.5μmのポリエチ
レンテレフタレートフィルムからなる基体(2)上に、
カーボンブラック1.5部、飽和ポリエステルUE32
00(ユニチカ社製)(Tg=65℃)5部、トルエン
/2−ブタノン(1/1)30部からなる組成の混合液
をサンドミルにて1時間粉砕・分散して塗布液とし、乾
燥塗膜重量が2.0g/m2 になるようにバーコートに
より塗布乾燥して着色熱可塑性樹脂層(40)を施され
たスレッド(30)用フィルムを得た。このフィルムを
2mm幅にスリットして図3に示すような構成の細長テ
ープ状のスレッド(30)を得た。
【0035】〔スレッド(30)入り用紙の作成〕針葉
樹パルプを水中で叩解後、部分的に窓空きを形成させる
マスクを直線的に貼った長網式抄紙機を用い、抄き合わ
せ法で第一層目を50g/m2 (乾燥時)に抄き、複数
の窓空き部(20)を施した。続いて第二層目を50g
/m2(乾燥時)に抄くが、第一層目と第二層目の間
で、上記窓空き部(20)に露出するように上記で得ら
れたスレッド(30)を漉き込み、スレッド入り用紙を
作成した。
【0036】〔偽造防止策を施した用紙の作成〕上記で
得られたスレッド入り用紙の窓空き部(20)面に厚さ
15μmのポリエチレンフィルムを被転写体として重ね
合わせ、このポリエチレンフィルム側から表面温度15
0〜170℃の熱ロールにて回転加圧して、被転写体に
複数の上記窓空き部(20)に露出しているスレッド
(30)を転写し、図2に示すような窓透かし部と図3
に示すような着色熱可塑性樹脂層(40)が施されたス
レッド(30)入りの偽造防止策を施した用紙(1)を
得た。
【0037】〈実施例2〉 〔スレッド(30)の作成〕厚さ20μmの紙からなる
基体(2)上に、真空蒸着法にて厚さ600Åのアルミ
ニウムの金属蒸着層(44)を形成し、その上に、メチ
ルメタアクリレートBR80(三菱レーヨン社製)(T
g=105℃)6部、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体
エスレックスA(積水化学社製)(Tg=65℃ )2
部、トルエン/2−ブタノン(1/1)40部からなる
組成の混合液を、実施例1と同様の操作で塗布液とし、
グラビア法により乾燥塗布厚3μmになるように塗布
し、3mm幅にスリットして、図4に示すような構成の
細長テープ状のスレッド(30)を得た。
【0038】〔偽造防止策を施した用紙(1)の作成〕
針葉樹パルプを水中で叩解後、円網式抄紙機を用い、抄
き合わせ法で第一層目を70g/m2 (乾燥時)に抄
き、第二層目も円網式抄紙機を用いた以外は、実施例1
と同様の材料と操作によって、図2に示すような複数の
窓透かし部と図4に示すような複数のスレッド(30)
入りの偽造防止策を施した用紙(1)を得た。
【0039】〈実施例3〉 〔スレッド(30)の作成〕厚さ4.5μmのポリエチ
レンテレフタレートフィルムからなる基体(2)上に、
カーボンブラック1.5部、飽和ポリエステルUE32
00(ユニチカ社製)(Tg=65℃)5部、トルエン
/2−ブタノン(1/1)30部からなる組成の混合液
をサンドミルにて1時間粉砕・分散して着色熱可塑性樹
脂インキとし、グラビア印刷法にて、マイクロ文字「本
物」の地紋がネガとなるようなパターンを施し、3mm
幅にスリットして、図5に示すような構成の細長テープ
状のスレッド(30)を得た。
【0040】〔偽造防止策を施した用紙(1)の作成〕
以下実施例1と同様の材料と操作によって、図2に示す
ような複数の窓透かし部と図5に示すような複数のスレ
ッド(30)入りの偽造防止策を施した用紙(1)を得
た。
【0041】〈実施例4〉 〔スレッド(30)の作成〕厚さ4.5μmのポリエチ
レンテレフタレートフィルムからなる基体(2)上に、
厚さ600Åのアルミニウムの金属蒸着層(44)を真
空蒸着法で形成し、その上に、エポキシアクリレート樹
脂リポキシSP−2600(昭和高分子社製)100
部、ベンゾフェノン5部からなる組成の塗布液を透明熱
可塑性樹脂インキとして、グラビア印刷法にて、マイク
ロ文字「本物」の地紋がネガとなる繰り返しパターンを
印刷し、水酸化ナトリウム溶液にて露出している金属蒸
着層(44)をエッチングし、水洗後、乾燥し、2mm
幅にスリットして、図6に示すような構成の細長テープ
状のスレッド(30)を得た。
【0042】〔偽造防止策を施した用紙(1)の作成〕
以下実施例1と同様の材料と操作によって、図2に示す
ような複数の窓透かし部と図6に示すような複数のスレ
ッド(30)入りの偽造防止策を施した用紙(1)を得
た。
【0043】〈比較例1〉実施例1のにおいてのスレッ
ドの漉き込みを行わない以外は実施例1と同様の材料と
操作等で窓透かしのある用紙を得た。
【0044】〈比較例2〉実施例2のスレッド(30)
の代わりに接着剤層を両面に塗った着色糸を漉き入れ、
他は実施例2と同様にして糸状スレッド入りの用紙を得
た。
【0045】以上の実施例1,2,3,4と比較例1,
2の用紙を比較した結果を表1に示した。
【0046】
【表1】
【0047】上記表1によれば、実施例1〜4と比較例
1で得られた用紙は、いずれも窓透かしが入っているこ
とに変わりなく見た目には同じだが、実施例1、2で得
られた用紙は、透かして見ると部分的にスレッドがはい
っていることがわかり、更には実施例3、4で得られた
用紙は、透かしたときに部分スレッドの「本物」のマイ
クロ文字が読みとれ、比較例1で得られた用紙は、スレ
ッドそのものが無いため透かしても何も見えない。ま
た、比較例2で得られた用紙は、スレッド部を透かして
みても糸状スレッドはわかるが、熱転写しようとしたと
ころ接着剤が紙側に接着しており、部分スレッドを設け
ることが不可能だった。
【0048】
【発明の効果】本発明は以上の構成であるから、下記に
示す如き効果がある。即ち、少なくとも表面となる1層
が直線的に配列する複数の窓空き部を有する層とし、こ
の層と他の層との間で、前記窓空き部に露出するように
細長テープ状のスレッドが漉き込まれた用紙において、
該窓空き部に露出したスレッドを熱転写にて除去されて
なる偽造防止用紙であって、前記スレッドが、細長テー
プ状の基体上に着色熱可塑性樹脂層を施してなる、また
は、金属蒸着層、透明熱可塑性樹脂層の順に積層してな
る偽造防止策を施した用紙としたので、反射で見る限り
は、普通の用紙だが、透かして見ると、窓透かしとスレ
ッド影透かしのある新規性を有し、真偽判定の容易で確
実な偽造防止策を施した用紙とすることができる。
【0049】また、上記スレッドの基体上に「本物」等
のマイクロ文字パターンを着色熱可塑性樹脂層もしくは
金属蒸着層とすることによって、より偽造防止効果のあ
る用紙とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す偽造防止策を施し
た用紙の上面図である。
【図2】本発明の一実施の形態を示す偽造防止策を施し
た用紙の窓透かし部の側断面図である。
【図3】本発明の偽造防止策を施した用紙に漉き込まれ
た一実施の形態を示すスレッド部の側断面を表す説明図
である。
【図4】本発明の偽造防止策を施した用紙に漉き込まれ
た他の一実施の形態を示すスレッド部の側断面を表す説
明図である。
【図5】本発明の偽造防止策を施した用紙に漉き込まれ
た他の一実施の形態を示すスレッド部の側断面を表す説
明図である。
【図6】本発明の偽造防止策を施した用紙に漉き込まれ
た他の一実施の形態を示すスレッド部の側断面を表す説
明図である。
【図7】本発明に係わる2層からなる用紙を側断面で表
した説明図である。
【図8】本発明の偽造防止策を施した用紙の製造工程途
中の窓透かし部を側断面で表した説明図である。
【図9】本発明の偽造防止策を施した用紙の製造工程途
中の窓透かし部およびスレッド透かし部を側断面で表し
た説明図である。
【符号の説明】
1‥‥偽造防止策を施した用紙 2‥‥基体 10‥‥紙の一層 12‥‥紙の他の層 20‥‥窓空き部 30‥‥スレッド 40‥‥着色熱可塑性樹脂層 42‥‥透明熱可塑性樹脂層 44‥‥金属蒸着層

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも表面となる1層が直線的に配列
    する複数の窓空き部を有する2層以上からなる窓透かし
    タイプの用紙であって、該表面となる層と他の層との間
    で、前記窓空き部に露出するように細長テープ状のスレ
    ッドが漉き込まれた用紙において、該窓空き部に露出し
    たスレッドが除去されてなることを特徴とする偽造防止
    策を施した用紙。
  2. 【請求項2】前記スレッドが、細長テープ状の基体上に
    着色熱可塑性樹脂層を施してなることを特徴とする請求
    項1記載の偽造防止策を施した用紙。
  3. 【請求項3】前記着色熱可塑性樹脂層が、パターン化さ
    れてなることを特徴とする請求項1または2記載の偽造
    防止策を施した用紙。
  4. 【請求項4】前記スレッドが、細長テープ状の基体上に
    金属蒸着層、透明熱可塑性樹脂層の順に積層してなるこ
    とを特徴とする請求項1記載の偽造防止策を施した用
    紙。
  5. 【請求項5】前記金属蒸着層が、パターン化されてなる
    ことを特徴とする請求項1または4記載の偽造防止策を
    施した用紙。
  6. 【請求項6】紙またはプラスチックフィルム等からなる
    被転写体と前記窓空き部に露出したスレッドの面とを重
    ね合わせ、熱加圧し、表面の窓空き部に露出したスレッ
    ドを前記被転写体に熱転写して窓透かし部を形成するこ
    とを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の偽
    造防止策を施した用紙の製造方法。
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