JP3330786B2 - フレネルレンズの作製方法およびそれを用いた投影画像表示装置 - Google Patents

フレネルレンズの作製方法およびそれを用いた投影画像表示装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、迷光の発生による
結像上の不具合を防止するフレネルレンズの作製方法お
よびそれをフィールドレンズとして用いた投影画像表示
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】フレネルレンズは、薄い、軽い、価格が
安いといった特徴を備え、集光系のコンデンサーレンズ
としてよく使用されているが、以下に述べるように迷光
(フレアー)が発生しやすいため、結像系にはあまり使
われていない。
【0003】従来のフレネルレンズは、図10に示すよ
うに、透明樹脂の平板またはシート111に所定のピッ
チにて同心円状に配列された微小なプリズム112…に
よって形成されている。それぞれのプリズム112は、
レンズとして作用するレンズ面112aと、レンズとし
ては直接作用しない非レンズ面112bとを有してい
る。
【0004】例えば光113・115のように、レンズ
面112aに入射した光は、そのプリズム作用によって
屈折する。
【0005】しかし、プリズム112…が受ける光はす
べてレンズ面112a…に入射するのではなく、非レン
ズ面112bに入射するものもある。また、透過するだ
けではなく、プリズム112…で反射するものもある。
【0006】例えば光114のように、非レンズ面11
2bから入射した光については、レンズ面112aから
入射した光とは入射角度が異なるため迷光となり、本来
到達すべき位置、つまりスクリーン上の像を結ぶ位置に
到達しないことになる。また、例えば光116のよう
に、プリズム112…の中にあってレンズ面112aの
内側で反射した光は、プリズム112…内で反射を繰り
返し、迷光となる。そしてその光がプリズム112…か
ら出る場合は、やはり本来の位置で結像しなくなる。
【0007】上記のように、本来の位置で結像しなくな
る結果、結像するスクリーン上ではコーンやレインボウ
(虹状の色むら)が観察され、投影像の品位が低下する
不具合が生じる。なお、コーンとは、フレネルレンズを
投影レンズとして用いたとき、投影レンズより観察者が
高い位置でスクリーンを見た場合、フレネルレンズの中
心より上方のスクリーン上に認められる扇形の明るい部
分である。観察者が低い位置から見た場合、フレネルレ
ンズの中心より下方のスクリーン上に認められる。
【0008】上記の不具合に対し、特開昭53−362
50号公報には、非レンズ面に不要光吸収膜を成膜した
構成を有するフレネルレンズが開示されている。これに
よれば、非レンズ面に不要光吸収膜をコーティングする
ことが、レンズの表裏いずれの面からの光入射に対して
も、迷光対策として有効であるとされている。
【0009】この非レンズ面にコーティングを行う3つ
の方法が、特開平6−250003号公報に開示されて
いる。この第1の方法は、フレネルレンズ全面にレジス
トを塗布した後、レンズ面または非レンズ面のみに光を
照射することにより非レンズ面のみにレジストを残し、
残したレジストをそのまま不要光吸収膜として利用す
る。また、第2の方法は、上記と同様の処理方法にてレ
ンズ面のみにレジストを残した後、フレネルレンズ全面
に黒色塗料を塗布し、その後レジストを除去することに
より非レンズ面だけに黒色塗料が残るようにする。さら
に、第3の方法は、黒色塗料とレジストとをこの順にフ
レネルレンズ全面に塗布し、次に非レンズ面のみにレジ
ストを残した後、黒色塗料をエッチングすることで非レ
ンズ面のみに黒色塗料が残るようにする。
【0010】また、フレネルレンズの非レンズ面にのみ
成膜する方法としては、膜厚差を利用した方法がある。
すなわち、非レンズ面とレンズ面とに同時に成膜し、こ
のとき、プリズム部の形状を利用して、非レンズ面のみ
膜厚を厚くする。その後、エッチング時間を調節するこ
とによって、膜厚を利用してレンズ面の膜のみを除去す
る。
【0011】また、特開平4−156528号公報に
は、迷光対策として、フレネルレンズのレンズ形成面に
対向する裏面の全体に反射防止処理を施す方法が開示さ
れている。これは、レンズ裏面で反射され迷光となる光
の強度を小さくすることにより、フレネルレンズのプリ
ズム内部で反射を繰り返した迷光がレンズから出るのを
防ぐためのものである。フレネルレンズの裏面全面に反
射防止膜をコーティングすることは比較的容易であり、
コスト的にも有利である。なお、ここでは非レンズ面へ
は反射防止処理をコーティングしない。
【0012】また、特開平6−123801号公報に
は、表裏それぞれにプリズム部を設けたフレネルレンズ
が開示されている。ここでも、前記特開昭53−362
50号公報と同様、非レンズ面に不要光吸収膜を設けて
迷光対策を行っている。
【0013】上記特開平6−123801号公報にはま
た、片側にのみプリズム部を有するフレネルレンズにお
ける別の迷光対策として、フレネルレンズのプリズム側
に対向して配置され、非レンズ面に光が入射しないよう
に所望のパターンを形成した平板を設ける方法が開示さ
れている。すなわち、フレネルレンズとは別に設けられ
た平板に光を透過しないマスクとしてのパターンを形成
することにより、非レンズ面への入射光を遮断する。
【0014】また、実開平4−36485号公報には、
非レンズ面を乱反射が起こるように粗面に加工する方法
が開示されている。また、特開平4−248501号公
報には、フレネルレンズの平板面に対して垂直な方向と
なす角を工夫し、非レンズ面に所望の角度を持たせるこ
とによって、迷光が出光しにくくする例が開示されてい
る。これらの加工法としては、例えばバイト法が考えら
れる。すなわち、フレネルレンズのレンズ面および非レ
ンズ面をバイト歯で切削して加工する方法であり、フレ
ネルレンズのプリズム部は同心円状になっているため、
一円ずつ切削していく。
【0015】上記したように非レンズ面を乱反射が起こ
るように粗面に加工するには、非レンズ面を加工する際
に、粗い番手のバイトで切削加工する。また、上記した
ように非レンズ面が対面の垂直方向となす角を工夫して
所望の角度に仕上げるには、ある平面に対して所望の角
度にセットされたバイトにより、この平面上にセットさ
れたフレネルレンズを回転させて一円ごとに切削してい
く。
【0016】バイト法以外の別の方法としては、スタン
プ法がある。これは、作製したいフレネルレンズに対応
する型をあらかじめ加工しておき、その型にあてはめて
所望の形状のフレネルレンズを加工するものである。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一般に
フレネルレンズは微小であり、同心円状に配列されてい
るので、上記特開昭53−36250号公報および上記
特開平6−123801号公報に開示されたフレネルレ
ンズのように、非レンズ面のみに選択的に不要光吸収膜
をコーティングすることは困難である。そのため、この
ようなフレネルレンズは容易に作製することができない
という問題がある。
【0018】この形成困難な不要光吸収膜を形成する方
法として、前記特開平6−250003号公報の例があ
る。これはレジストの光感光性を利用して非レンズ面に
不要光吸収膜を形成する方法であったが、これには次の
ような2つの問題がある。
【0019】第1の問題として、フレネルレンズ上に均
一、または充分露光選択ができるようにレジストを塗布
することが極めて困難である。すなわち、例えば、5本
/mmのプリズム周期を持つフレネルレンズでは、プリ
ズムの頂上と谷部分との段差は13〜35μm程度であ
るのに対し、普通市販されているレジストの使用塗布膜
厚は0.5〜5μmが一般的である。しかもフレネルレ
ンズの非レンズ面は裏面に対してほぼ垂直に近い角度を
有しているため、フレネルレンズの谷部分ではレジスト
が厚く、頂上部分では薄くなってしまう。この結果、均
一な露光、現像が困難となり、非レンズ面にのみ選択的
にレジストを残すことが難しい。
【0020】第2の問題としては、フレネルレンズ本体
を形成する材料を考慮しなければならないことである。
フレネルレンズ本体は、軽く安価に製造するために樹脂
をスタンプして形成する方法が広く用いられるため、フ
レネルレンズ本体の材料は、安価で光透過率の良いアク
リルがよく使用される。したがって、塗布するレジスト
によっては、それを除去する溶剤がフレネルレンズ自体
を侵蝕する場合がある。一方、レジストを用いる工程で
はフレネルレンズに100〜140℃の温度がかかるた
め、これに充分耐えられる材料でなければならない。こ
れにより、フレネルレンズの材料のコストアップにつな
がる可能性もあり得る。
【0021】また、膜厚差を利用した成膜法では、エッ
チング時間の調節が難しいため、所望の膜を選択的に残
すことが困難である。このため、フレネルレンズを容易
に作製できないという問題がある。
【0022】また、上記特開平4−156528号公報
に開示されたフレネルレンズにおいては、反射防止処理
のコーティングは裏面全面にしているのみであり、非レ
ンズ面にはコーティングされていない。このため、レン
ズ面を通った光と非レンズ面を通った光とに光路差が生
じ、光が干渉し、投影像の品位が低下するという問題が
ある。
【0023】また、上記特開平6−123801号公報
に開示された、非レンズ面をこれの裏面にあるフレネル
レンズの平坦な面上に投影した位置に、光を透過しない
マスクとしてのパターンを形成する方法については、光
の透過を抑止できる入射角度におのずから制限が生じ
る。入射角を大きくして効果的に光の透過を抑えるに
は、上記パターンの幅を広く取らねばならない。しか
し、こうするとレンズを透過する光の量が少なくなるた
め、スクリーン上の十分な明るさが得られず、投影像の
品位が低下するという問題がある。また、パターン加工
を行うために、コストが高くなるという問題がある。
【0024】また、バイト法によるフレネルレンズの加
工は、フレネルレンズのプリズムピッチが微小なので、
一円ずつ切削していくのに一般に時間がかかる。例え
ば、プリズムピッチが3本/mmにも及ぶ場合、フレネ
ルレンズ全体の大きさが数cm四方でもプリズムの数
(円の数)は相当大きなものとなる。
【0025】そのため、上記実開平4−36485号公
報に開示された非レンズ面を乱反射が起こるように粗面
に加工する方法において、バイト法で加工する場合は、
レンズ面と非レンズ面とでバイト歯の粗さを適切に調節
しなければならないため、非常に時間がかかるという問
題がある。それとともに、バイト歯の粗さを適切に調節
しなければならないため、コストが高くなるという問題
がある。
【0026】また、上記実開平4−36485号公報の
技術において、スタンプ法で加工する場合は、型の非レ
ンズ面に相当する部分をあらかじめ粗面化せねばなら
ず、コストが高くなるという問題がある。
【0027】また、上記特開平4−248501号公報
に開示された非レンズ面が対面の垂直方向となす角を工
夫することによって迷光を出光しにくくする方法におい
て、バイト法で加工する場合は、フレネルレンズのプリ
ズムが微小なので、レンズ面、非レンズ面の角度を正確
に出すために従来よりも精密な加工が必要となり、非常
に時間がかかるという問題やコストが高くなるという問
題がある。
【0028】また、上記特開平4−248501号公報
の技術において、スタンプ法で加工する場合は、上記同
様、フレネルレンズのプリズムが微小なので、レンズ
面、非レンズ面の角度を正確に出すために従来よりも精
密な加工が必要となり、コストが高くなるという問題が
ある。
【0029】なお、上記の理由により、上記特開平6−
123801号公報に開示されているように表裏それぞ
れにプリズム部を設けたフレネルレンズでは、さらにコ
ストが高くなる。
【0030】本発明は上記課題に鑑みなされたものであ
って、その目的は、コーンやレインボウの発生を抑える
とともにスクリーン上の十分な明るさを確保して高品位
な投影像を得ることができ、しかも、加工時間が短く、
安価かつ容易に作製することができるフレネルレンズの
製造方法を提供することにある。
【0031】また、他の目的は、上記のフレネルレンズ
をフィールドレンズとして用いた投影画像表示装置を提
供することにある。
【0032】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、請求項1記載のフレネルレンズの作製方法は、レン
ズ面およびレンズ面の向く方向と異なる方向を向く非レ
ンズ面を備えた複数のプリズムが設けられ、レンズ面を
通して光を透過する集光フレネルレンズ本体の各非レン
ズ面に、光の透過を抑止する不要光吸収膜が形成された
フレネルレンズの作製方法であって、レンズ面に向けて
補助膜の材料を非レンズ面には飛来しないように飛散さ
せることによって各レンズ面にのみ補助膜を形成し、レ
ンズ面および非レンズ面に対して上記不要光吸収膜を形
成し、レンズ面上の上記補助膜を除去することを特徴と
している。
【0033】上記の構成によれば、レンズ面に向けて補
助膜の材料を飛散させるので、補助膜の材料をレンズ面
に容易に形成することができる。このとき、各非レンズ
面は各レンズ面と異なる方向を向いているので、非レン
ズ面には補助膜材料が飛来せず、補助膜が形成されな
い。このため、レンズ面にのみ補助膜が形成される。
【0034】そして、レンズ面および非レンズ面の両方
に対して不要光吸収膜を形成するので、非レンズ面上に
は不要光吸収膜が直接形成される一方、レンズ面上には
補助膜を介して不要光吸収膜が形成される。
【0035】その後、レンズ面上の上記補助膜を除去す
る。このときに、レンズ面から補助膜が除去されるとと
もにその上の不要光吸収膜も除去される。このため、非
レンズ面上にのみ不要光吸収膜を残すことができる。
【0036】上記のような工程によって、非レンズ面上
にのみ不要光吸収膜を形成することができる。このた
め、レンズ面を通る光と非レンズ面を通る光との光路差
による光の干渉の問題が生じないので、迷光の発生を防
止することができる。
【0037】それによって、このフレネルレンズを投影
画像表示装置等のフィールドレンズとして用いた場合
に、コーンやレインボウの発生を抑えられるので、高品
位な投影像を得ることができる。
【0038】また、フレネルレンズを透過する光の量が
少なくならない。それによって、上記同様このフレネル
レンズを投影画像表示装置等のフィールドレンズとして
用いた場合に、スクリーン上の十分な明るさを確保でき
るので、高品位な投影像を得ることができる。
【0039】また、本製造方法では、レジストを用いな
いので、フレネルレンズの谷の部分ではレジストが厚
く、頂上部分では薄くなって、均一な露光および現像が
困難となることがない。
【0040】さらに、補助膜および不要光吸収膜を飛散
させる際の飛散温度を適宜調整できるので、低温での飛
散が可能となる。
【0041】また、前記膜厚差を利用した成膜法と異な
り、膜厚差をエッチング時間で調節する必要がない。そ
れによって、上記フレネルレンズを容易に作製すること
ができる。
【0042】また、非レンズ面をこれの裏面にあるフレ
ネルレンズの平坦な面上に投影した位置に光を透過しな
いマスクとしてのパターンを形成する必要がないので、
上記フレネルレンズを安価に作製することができる。
【0043】また、非レンズ面を乱反射が起こるように
粗面に加工したり、非レンズ面が対面の垂直方向となす
角を工夫することによって迷光を出光しにくくしたりす
る必要がない。したがって、バイト歯の粗さの調節や型
の粗面化の必要がなく、また、プリズムや型を従来より
も精密に加工する必要がない。それによって、上記フレ
ネルレンズを短い加工時間で安価に作製することができ
る。
【0044】また、非レンズ面のみに選択的に不要光吸
収膜を成膜する必要がない。それとともに、上記不要光
吸収膜形成工程は、例えばスパッタリングやp−CVD
(プラズマ化学的気相成長法)等の確立された技術を利
用して容易に行える。一方、上記補助膜の除去工程は、
エッチング等の確立された技術を利用して容易に行え
る。それによって、上記フレネルレンズを容易に作製す
ることができる。
【0045】請求項2記載のフレネルレンズの作製方法
は、請求項1記載に用いる上記補助膜の材料が金属また
は酸化物であるとともに、上記不要光吸収膜の材料が金
属、酸化物、カーボン、昇華性顔料、及び昇華性染料の
うちのいずれかであり、上記補助膜の材料と不要光吸収
膜の材料とが互いに異なる溶剤を持つことを特徴として
いる。
【0046】上記の構成によれば、補助膜が金属あるい
は酸化物系なので、補助膜を除去する際に用いる溶剤
は、フレネルレンズを直接侵すような有機系溶剤ではな
く、酸のような無機系を選択することができる。これに
より、フレネルレンズの作製過程において、フレネルレ
ンズが劣化するのを防ぐことができる。
【0047】また、不要光吸収膜の材料として、補助膜
の材料とは異なる溶剤を持つ金属、酸化物、カーボン、
昇華性顔料、及び昇華性染料のうちのいずれかを選ぶこ
とができるので、補助膜を除去する際に不要光吸収膜を
侵すことなく選択的に非レンズ面のみに不要光吸収膜だ
けを残すことができる。この結果、容易に非レンズ面に
不要光吸収膜を作製することが可能となる。
【0048】請求項3記載のフレネルレンズの作製方法
は、請求項1または2記載の方法に加えて、上記複数の
プリズムが同一平面上に同心円状に配列されるととも
に、上記非レンズ面が、上記平面の垂直方向に対して所
定の傾斜角度を有している上記フレネルレンズ本体に対
して、上記補助膜を形成する工程において、開口部の中
心角が90度以下である扇形開口部を有するマスクを上
記補助膜形成面側に設け、補助膜の材料の飛散方向を、
上記平面の垂直方向から、上記開口部内に位置するプリ
ズムにおけるレンズ面の向く方向へ10度以下だけ傾
け、上記フレネルレンズ本体を回転させながら、補助膜
の材料を飛散させることを特徴としている。
【0049】上記の構成によれば、同心円状に配列した
プリズムに対して上記補助膜の材料を飛散する際、扇形
開口部を有するマスクを上記補助膜形成面側に設け、上
記フレネルレンズ本体を回転させながら、補助膜の材料
を飛散させているので、飛散方向にレンズ面を向けてい
るプリズムの非レンズ面への補助膜の材料の飛散を防ぐ
ことができる。したがって、補助膜の材料の飛散方向
ンズ面を向けているプリズムの非レンズ面に補助膜が
形成されることを防ぐことができ、開口部内に位置する
プリズムのレンズ面にのみ補助膜を形成することができ
る。それにより、非レンズ面が上記平面の垂直方向に対
して所定の傾斜角度を有しているフレネルレンズ本体の
非レンズ面に不要光吸収膜を形成したフレネルレンズを
容易に作製することができる。
【0050】また、上記開口部の中心角を90度以下に
設定しているので、マスクの端部とフレネルレンズ本体
との隙間に補助膜の材料が入り込んで非レンズ面へ回り
込み、非レンズ面に補助膜が形成されることを防ぐこと
ができる。したがって、より効率よくレンズ面のみに補
助膜を形成することができる。それにより、上記フレネ
ルレンズをより容易に作製することができる。
【0051】また、上記補助膜の材料の飛散方向を、上
記平面の垂直方向から、上記開口部内に位置するプリズ
ムにおけるレンズ面の向く方向へ傾けているので、非レ
ンズ面が、上記平面の垂直方向に対して所定の傾斜角度
を有し、レンズ面が補助膜の材料の飛散方向を向いてい
るプリズムの非レンズ面に補助膜の材料を蒸着させるお
それがない。したがって、上記のようなフレネルレンズ
本体であっても、非レンズ面の全面に不要光吸収膜を形
成されたフレネルレンズを作製することができる。それ
により、上記フレネルレンズを容易に作製することがで
きる。
【0052】また、上記補助膜の材料の飛散方向の上記
傾斜角度を10度以下に設定したので、補助膜の材料の
レンズ面への到達が、隣のプリズムのレンズ面によって
遮られない。このため、目的とするレンズ面のほぼ全面
に補助膜の材料が良好に到達する。したがって、レンズ
面のほぼ全面に補助膜を設けることができるので、のち
にレンズ面の全面から不要光吸収膜を取り除くことがで
きる。それにより、上記フレネルレンズを容易に作製す
ることができる。請求項4記載のフレネルレンズの作製
方法は、請求項1ないし3の何れか1項記載の方法に加
えて、上記補助膜の成膜法が蒸着であることを特徴とし
ている。 これにより、補助膜の材料が非レンズ面へ回り
込むことが少なくなるとともに、成膜速度を調節しやす
くなる。
【0053】請求項記載の投影画像表示装置は、請求
項1ないし4の何れか1項記載のフレネルレンズをフィ
ールドレンズとして用いることを特徴としている。
【0054】上記構成によれば、請求項1ないし4の何
れか1項記載のフレネルレンズをフィールドレンズとし
て用いるので、レンズ面を通る光と非レンズ面を通る光
との光路差による光の干渉の問題が生じず、迷光の発生
を防止することができる。また、フレネルレンズを透過
する光の量が少なくならない。
【0055】それによって、コーンやレインボウの発生
を抑えられるとともに、スクリーン上の十分な明るさを
確保できるので、高品位な投影像を得ることができる。
【0056】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕本発明の実施の一形態について図1な
いし図5に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0057】本実施の形態に係るフレネルレンズの作製
方法によって作製されるフレネルレンズ1は、図2に示
すように、レンズ面3aと非レンズ面3bとを備えた複
数のプリズム3…が、平面5上に同心円状に配列された
フレネルレンズ本体2を備えている。そして、各レンズ
面3aに入射する平行光が、透過後に集光されるように
なっている。また、プリズム3…の各非レンズ面3b…
に、光の透過を抑止する不要光吸収膜4…がそれぞれ形
成されている。なお、上記非レンズ面3b…は、平面5
に垂直になっている。
【0058】次に、上記非レンズ面3b…に不要光吸収
膜4…を形成する手順について、図1(a)ないし同図
(c)を用いて説明する。本実施の形態においては、薄
膜形成技術の一手法であるリフトオフ法を用いている。
【0059】まず、図1(a)に示すように、レンズ面
3a…が向いている面の側からレンズ面3a…に向け
て、補助膜6…の材料(リフトオフ材料)である蒸着粒
子7…を飛散させて蒸着する。したがって、蒸着粒子7
…をレンズ面3a…の全面に対して容易に蒸着させ、補
助膜6…を形成することができる。
【0060】このとき、各非レンズ面3b…は各レンズ
面3a…と異なる方向を向いているので、上記蒸着時に
非レンズ面3b…には蒸着粒子7…がほとんど飛来しな
いので蒸着せず、補助膜6…が形成されない。このた
め、ほぼレンズ面3a…にのみ補助膜6…が形成され
る。
【0061】上記蒸着粒子7…としては、容易にエッチ
ングできるものであって、次に形成する不要光吸収膜4
…とで選択的にエッチングできるものが望ましい。本実
施の形態では、酸、アルカリの両方でエッチングできる
Alを用いている。
【0062】また、補助膜6…の成膜法は、リフトオフ
材料の非レンズ面3b…への回り込みが少なく、かつ成
膜速度(蒸着速度)を調節しやすいことにより、蒸着が
好ましい。例えば、抵抗加熱蒸着やEB(電子ビーム)
蒸着が望ましく、本実施の形態においては抵抗加熱蒸着
を用いている。
【0063】また、図3に示すように、蒸着源31から
フレネルレンズ本体2上に蒸着粒子7…を飛散させる
が、蒸着粒子7…の非レンズ面3b…への回り込みをよ
り少なくするために、蒸着源31の近傍に絞り32を設
けてもよい。これにより、蒸着粒子7…の拡がりを絞る
ことができるので、蒸着粒子7…の蒸着先をより精密に
決めることができる。
【0064】なお、補助膜6…の膜厚は500〜100
0Å程度で十分であり、膜厚そのものについてはあまり
重要でない。
【0065】次に、図1(b)に示すように、上記補助
膜6…を形成したレンズ面3a…および補助膜6…を形
成していない非レンズ面3b…の両方に対して、スパッ
タにより不要光吸収膜4…を形成する。すなわち、上記
不要光吸収膜4…の材料としてのスパッタ粒子8を飛散
させ、不要光吸収膜4…を形成する。この結果、非レン
ズ面3b…上には不要光吸収膜4…が直接形成される一
方、レンズ面3a…上には補助膜6…を介して不要光吸
収膜4…が形成される。
【0066】上記不要光吸収膜4…の材料であるスパッ
タ粒子8には、黒色で可視光透過率の低い材料を用い
る。本実施の形態においては、Fe−Mn系化合物であ
るMnFe2 4 を使用した。この材料は、TFT(薄
膜トランジスタ)液晶用遮光膜として開発されたもの
で、特開平5−72523号公報により知られている。
【0067】この材料は、膜厚が5000Åの場合に可
視光透過率を1%以下にすることができるが、本発明の
目的からは、10%程度でもよいのでもっと薄くしても
よい。本実施の形態では、2000Å〜5000Åを不
要光吸収膜4…の膜厚とした。
【0068】また、不要光吸収膜4…の成膜法として
は、上記のリフトオフ材料の場合と異なり、非レンズ面
3b…への回り込みの大きい成膜法が必要である。例え
ば、スパッタやp−CVD(プラズマ化学的気相成長
法)等が望ましく、本実施の形態においてはスパッタを
用いている。
【0069】ただし、非レンズ面3b…がかなりの傾斜
角度を有しているので、スパッタといえども、レンズ面
3a…全面に成膜するには、以下のように成膜するとな
およい。すなわち、図4に示すように、フレネルレンズ
本体2が載置された取り付け面42を、ターゲット41
からスパッタ粒子8が飛散してくる方向から角度αだけ
傾けておく。言い換えれば、スパッタ粒子8…の飛散方
向を、平面5の垂直方向Aから角度αだけ傾斜させる。
そうして、フレネルレンズ本体2をその中心の周りに回
転させながら成膜する。
【0070】あるいは、不要光吸収膜4…の成膜法とし
て、蒸着法を採用することもできる。ただし、この場合
はスパッタと比べ、材料比率が蒸着時に変化することが
ある。また、この場合は、例えば成膜中にフレネルレン
ズ本体2をあらゆる方向に傾ける等の工夫をすることに
よって、プリズム3…(レンズ面3a…および非レンズ
面3b…)の全面に成膜できるようにする必要がある。
【0071】最後に、図1(c)に示すように、レンズ
面3a…上の上記補助膜6…を除去する。本実施の形態
では、不要光吸収膜4…の材料であるMnFe2 4
アルカリに溶解しないため、補助膜6…を形成したフレ
ネルレンズ本体2をアルカリ溶液中に浸す。例えばNa
OH、KOHまたは有機アルカリ等の溶液を適宜薄めて
使用すればよい。すると、前述のようにAlはアルカリ
によるエッチングが可能なので、非レンズ面3b…にの
み不要光吸収膜4…を残したままで、Alからなる補助
膜6…がエッチングされる。
【0072】このときに、レンズ面3a…から補助膜6
…が除去されるとともに、その上の不要光吸収膜4…も
除去される。このため、非レンズ面3b…上にのみ不要
光吸収膜4…を残すことができる。
【0073】上記のような工程によって、非レンズ面3
b…上にのみ上記不要光吸収膜4…を形成することがで
きる。このため、レンズ面3a…を通る光と非レンズ面
3b…を通る光との光路差による光の干渉の問題が生じ
ないので、迷光の発生を防止することができる。それに
よって、このフレネルレンズ1を投影画像表示装置等の
フィールドレンズとして用いた場合に、コーンやレイン
ボウの発生を抑えられるので、高品位な投影像を得るこ
とができる。
【0074】また、フレネルレンズ1を透過する光の量
が少なくならない。それによって、上記同様このフレネ
ルレンズ1を投影画像表示装置等のフィールドレンズと
して用いた場合に、スクリーン上の十分な明るさを確保
できるので、高品位な投影像を得ることができる。
【0075】また、上記方法では、レジストを用いない
ので、フレネルレンズ1の谷の部分ではレジストが厚
く、頂上部分では薄くなって、均一な露光および現像が
困難となることがない。
【0076】さらに、補助膜6…および不要光吸収膜4
…を飛散させる際の飛散温度を適宜調整できるので、低
温での飛散が可能となる。
【0077】また、前記従来技術のように膜厚差を利用
した成膜法と異なり、膜厚差をエッチング時間で調節す
る必要がない。それによって、上記フレネルレンズ1を
容易に作製することができる。
【0078】また、非レンズ面3b…を平面5上に投影
した位置に、光を透過しないマスクとしてのパターンを
形成する必要がないので、上記フレネルレンズ1を安価
に作製することができる。
【0079】また、非レンズ面3b…を乱反射が起こる
ように粗面に加工したり、非レンズ面3b…が対面の垂
直方向となす角を工夫することによって迷光を出光しに
くくしたりする必要がない。したがって、バイト歯の粗
さの調節や型の粗面化の必要がなく、また、プリズムや
型を従来よりも精密に加工する必要がない。それによっ
て、上記フレネルレンズ1を短い加工時間で安価に作製
することができる。
【0080】また、非レンズ面3b…のみに選択的に不
要光吸収膜4…を成膜する必要がない。それとともに、
上記不要光吸収膜4…形成工程は、例えばスパッタリン
グやp−CVD等の確立された技術を利用して容易に行
える。一方、上記補助膜6…の除去工程は、エッチング
等の確立された技術を利用して容易に行える。それによ
って、上記フレネルレンズ1を容易に作製することがで
きる。
【0081】なお、本実施の形態では、補助膜材料であ
る蒸着粒子7としてAlを用い、また、不要光吸収膜材
料であるスパッタ粒子8としてMnFe2 4 を使用し
ているが、これらの他に、表1に挙げるものを用いるこ
とが可能である。
【0082】
【表1】
【0083】すなわち、補助膜材料は、金属、または酸
化物材料が望ましく、不要光吸収膜材料は、金属、酸化
物、あるいはカーボンが望ましい。ただし、不要光吸収
膜材料及び補助膜材料は、グループ1の方がグループ2
より、また、グループ2の方がグループ3より好まし
い。この理由は、優先順位の高いグループの方が扱いや
すく成膜しやすいからである。それに加えて、エッチン
グ選択比が高いので、補助膜6…が除去されずに残った
り、レンズ面3a…上の不要光吸収膜4…が侵されたり
するのを防ぐことが容易である。その上、フレネルレン
ズ表面へのダメージも少ない。また、グループ3の補助
膜材料がFeO系、Si、Tiの場合は酸でエッチング
することができるが、濃度を適宜調整することで選択性
をもたすことができる。
【0084】また、その他に不要光吸収膜材料として、
ナフタレンジアミン化合物、ジオキソジン化合物、及び
エチレン系低融点結晶材料等の昇華性顔料が挙げられ
る。このときの補助膜材料は、Al,Al−Cuであ
る。
【0085】さらに、不要光吸収膜材料をロイコ染料等
の昇華性染料とし、補助膜材料をAl,Al−Cuとす
ることも可能である。
【0086】これにより、補助膜6…が金属あるいは酸
化物系なので、補助膜6…を除去する際に用いる溶剤
は、フレネルレンズ1を直接侵すような有機系溶剤では
なく、酸のような無機系を選択することができる。これ
により、フレネルレンズ1の作製過程において、フレネ
ルレンズ1が劣化するのを防ぐことができる。
【0087】また、不要光吸収膜4…の材料として、補
助膜6…の材料とは異なる溶剤を持つ金属、酸化物、カ
ーボン、昇華性顔料、及び昇華性染料のうちのいずれか
を選ぶことができるので、補助膜6…を除去する際に不
要光吸収膜4…を侵すことなく選択的に非レンズ面6b
…のみに不要光吸収膜4…だけを残すことができる。こ
の結果、容易に非レンズ面6b…に不要光吸収膜4…を
作製することが可能となる。
【0088】次に、上記の方法で作製されたフレネルレ
ンズ1を投影画像表示装置のフィールドレンズとして用
いた場合について図5に基づいて説明する。投影画像表
示装置70には、投影原画72に光を照射する光源73
と、投影原画72を透過した光画像をスクリーン71上
に結像させる上記フレネルレンズ1とが設けられてい
る。
【0089】この投影画像表示装置70においては、光
源73から投影原画72を透過してフレネルレンズ1に
入射した光のうち、非レンズ面3b…に入射する光や迷
光が、上記不要光吸収膜4…上で遮光される。したがっ
て、レンズ面3a…を通る光と非レンズ面3b…を通る
光との光路差による光の干渉の問題が生じず、迷光の発
生を防止することができる。また、フレネルレンズ1を
透過する光の量が少なくならない。
【0090】それにより、コーンやレインボウの発生を
抑えられるとともに、スクリーン71上の十分な明るさ
を確保できるので、高品位な投影像を得ることができ
る。
【0091】〔実施の形態2〕本発明の他の実施の形態
について図6ないし図9に基づいて説明すれば、以下の
通りである。なお、説明の便宜上、前記の実施の形態の
図面に示した部材と同一の機能を有する部材には、同一
の符号を付記してその説明を省略する。
【0092】本実施の形態に係るフレネルレンズの作製
方法によって作製されるフレネルレンズ21において
は、図6および図7に示すように、フレネルレンズ本体
22上のプリズム3…の非レンズ面3b…は、平面5に
対して垂直でなく、所定の角度θだけ同心円の外周方向
(図6中右側)に傾斜している。なお、θは概ね4°程
度以内の範囲にある。
【0093】本実施の形態においては、θが0以外の場
合、前記実施の形態1のように、平面5に垂直な方向か
ら蒸着粒子7…を飛散させるのでは、非レンズ面3b…
側に蒸着粒子7…が回り込むという不具合が生じる。
【0094】しかしながら、本実施の形態では、蒸着粒
子7…を、平面5の垂直方向Aから上記θの傾斜方向
(同心円の外周方向)へ所定の角度βだけ傾斜させた方
向から飛散させる。このため、フレネルレンズ21の非
レンズ面3b…に蒸着粒子7…を蒸着させるおそれがな
い。
【0095】したがって、上記フレネルレンズ本体22
に対して、非レンズ面3b…の全面に不要光吸収膜4…
を形成したフレネルレンズ21を作製することができ
る。それにより、フレネルレンズの光学的特性を変更す
るためにプリズムの形状を上記のように変更したフレネ
ルレンズ21、すなわち、非レンズ面3b…が上記平面
の垂直方向Aに対して所定の傾斜角度θを有しているフ
レネルレンズ本体22の非レンズ面3b…に不要光吸収
膜4…を形成したフレネルレンズ21を、容易に作製す
ることができる。
【0096】なお、βは概ね10°以下に設定すること
が望ましい。これにより、βを大きくしすぎることによ
り隣のレンズ面3aによって蒸着粒子7…が遮られて目
的とするレンズ面3aの一部(図中3cで示す)あるい
は全部に蒸着粒子7…が到達しない不具合を避けること
ができる。このため、目的とするレンズ面3aのほぼ全
面に蒸着粒子7…が良好に到達する。したがって、レン
ズ面3aのほぼ全面に補助膜6…を設けることができる
ので、のちにレンズ面3aのほぼ全面から不要光吸収膜
を取り除くことができる。それにより、上記フレネルレ
ンズ21を容易に作製することができる。
【0097】また、本実施の形態においては、図8に示
すように、蒸着粒子7…を飛散させる際、扇形状で中心
角が90度以下である開口部62を有するマスク61を
上記補助膜6…の形成面側に設け、上記フレネルレンズ
本体22を回転させながら、蒸着粒子7…を飛散させ
る。
【0098】この様子を図9に示す。すなわち、蒸着源
31から、絞り32を通過した蒸着粒子7…がフレネル
レンズ本体22に向かって飛散する。そして、蒸着粒子
7…が、マスク61の開口部62内のプリズム3…のレ
ンズ面3a…に蒸着する。
【0099】上記のように、プリズム3…の一部が上記
マスク61で覆われているため、飛散方向に非レンズ面
3bを向けているプリズム3…の非レンズ面3b…への
蒸着粒子7…の飛散を防ぐことができる。したがって、
蒸着粒子7…の飛散方向に非レンズ面3bを向けている
プリズム3の非レンズ面3bに補助膜6…が形成される
のを防ぐことができ、開口部62内に位置するプリズム
3…の非レンズ面3b…にのみ補助膜6…を形成するこ
とができる。それにより、上記フレネルレンズ21を容
易に作製することができる。
【0100】また、上記開口部の中心角を90度以下に
設定しているので、マスク61の端部とフレネルレンズ
本体22との隙間にいくらか蒸着粒子7…が入り込んで
非レンズ面3b…へ回り込み、非レンズ面3b…に補助
膜6…が形成されることを防ぐことができる。したがっ
て、より効率よくレンズ面3a…のみに補助膜6…を形
成することができる。それにより、上記フレネルレンズ
21をより容易に作製することができる。
【0101】
【発明の効果】以上のように、本発明の請求項1記載の
フレネルレンズの作製方法は、レンズ面およびレンズ面
の向く方向と異なる方向を向く非レンズ面を備えた複数
のプリズムが設けられ、レンズ面を通して光を透過集光
するフレネルレンズ本体の各非レンズ面に、光の透過を
抑止する不要光吸収膜が形成されたフレネルレンズの作
製方法であって、レンズ面に向けて補助膜の材料を非レ
ンズ面には飛来しないように飛散させることによって各
レンズ面にのみ補助膜を形成し、レンズ面および非レン
ズ面に対して上記不要光吸収膜を形成し、レンズ面上の
上記補助膜を除去する方法である。
【0102】それゆえ、このフレネルレンズを投影画像
表示装置等のフィールドレンズとして用いた場合に、コ
ーンやレインボウの発生を抑えられるので、高品位な投
影像を得ることができるという効果を奏する。
【0103】また、上記のようにこのフレネルレンズを
投影画像表示装置等のフィールドレンズとして用いた場
合に、スクリーン上の十分な明るさを確保できるので、
高品位な投影像を得ることができるという効果を奏す
る。
【0104】また、上記フレネルレンズを短い加工時間
で安価に作製することができるという効果を奏する。
【0105】また、上記フレネルレンズを容易に作製す
ることができるという効果を奏する。
【0106】請求項2記載のフレネルレンズの作製方法
は、請求項1記載に用いる上記補助膜の材料が金属また
は酸化物であるとともに、上記不要光吸収膜の材料が金
属、酸化物、カーボン、昇華性顔料、及び昇華性染料の
うちのいずれかであり、上記補助膜の材料と不要光吸収
膜の材料とが互いに異なる溶剤を持つ方法である。
【0107】それゆえ、補助膜を除去する際に用いる溶
剤を酸のような無機系を選択することができるので、フ
レネルレンズの作製過程において、フレネルレンズが劣
化するのを防ぐことができるという効果を奏する。
【0108】また、補助膜だけを容易に除去することが
できるので、容易に非レンズ面に不要光吸収膜を作製す
ることが可能となるという効果を奏する。
【0109】請求項3記載のフレネルレンズの作製方法
は、請求項1または2記載の構成に加えて、上記複数の
プリズムが同一平面上に同心円状に配列されるととも
に、上記非レンズ面が、上記平面の垂直方向に対して所
定の傾斜角度を有している上記フレネルレンズ本体に対
して、上記補助膜を形成する工程において、開口部の中
心角が90度以下である扇形開口部を有するマスクを上
記補助膜形成面側に設け、補助膜の材料の飛散方向を、
上記平面の垂直方向から、上記開口部内に位置するプリ
ズムにおけるレンズ面の向く方向へ10度以下だけ傾
け、上記フレネルレンズ本体を回転させながら、補助膜
の材料を飛散させる方法である。
【0110】それゆえ、非レンズ面が上記平面の垂直方
向に対して所定の傾斜角度を有しているフレネルレンズ
本体の非レンズ面に不要光吸収膜を形成したフレネルレ
ンズを、容易に作製することができるという効果を奏す
る。請求項4記載のフレネルレンズの作製方法は、請求
項1ないし3の何れか1項記載の方法に加えて、上記補
助膜の成膜法が蒸着である方法である。 それゆえ、補助
膜の材料が非レンズ面へ回り込むことが少なくなるとと
もに、成膜速度を調節しやすくなる効果を奏する。
【0111】請求項記載の投影画像表示装置は、請求
項1ないし4の何れか1項記載のフレネルレンズをフィ
ールドレンズとして用いる構成である。
【0112】それゆえ、コーンやレインボウの発生を抑
えられるとともに、スクリーン上の十分な明るさを確保
できるので、高品位な投影像を得ることができるという
効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】同図(a)ないし(c)は、本発明の実施の形
態に係るフレネルレンズの作製方法の工程の概略を示す
説明図である。
【図2】図1のフレネルレンズの全体の概略の構成を示
す平面図である。
【図3】抵抗加熱蒸着により図1のフレネルレンズを作
製する工程を示す説明図である。
【図4】スパッタにより図1のフレネルレンズを作製す
る工程を示す説明図である。
【図5】図1のフレネルレンズを用いる投影画像表示装
置の概略の構成を示す説明図である。
【図6】本発明の他の実施の形態に係るフレネルレンズ
の要部の概略の構成を示す平面図である。
【図7】図6のフレネルレンズの全体の概略の構成を示
す平面図である。
【図8】図7のフレネルレンズとマスクとの概略の構成
を示す平面図である。
【図9】抵抗加熱蒸着により図7のフレネルレンズを作
製する工程を示す説明図である。
【図10】同図(a)および(b)は従来のフレネルレ
ンズの概略の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
1 フレネルレンズ 2 フレネルレンズ本体 3 プリズム 3a レンズ面 3b 非レンズ面 4 不要光吸収膜 5 平面 6 補助膜 7 蒸着粒子 8 スパッタ粒子 21 フレネルレンズ 22 フレネルレンズ本体 61 マスク 62 開口部 70 投影画像表示装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−306307(JP,A) 特開 昭62−258402(JP,A) 特開 平6−250003(JP,A) 特開 昭62−251701(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 3/08

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】レンズ面およびレンズ面の向く方向と異な
    る方向を向く非レンズ面を備えた複数のプリズムが設け
    られ、レンズ面を通して光を透過集光するフレネルレン
    ズ本体の各非レンズ面に、光の透過を抑止する不要光吸
    収膜が形成されたフレネルレンズの作製方法であって、 レンズ面に向けて補助膜の材料を非レンズ面には飛来し
    ないように飛散させることによって各レンズ面にのみ
    助膜を形成し、 レンズ面および非レンズ面に対して上記不要光吸収膜を
    形成し、 レンズ面上の上記補助膜を除去することを特徴とするフ
    レネルレンズの作製方法。
  2. 【請求項2】上記補助膜の材料が金属または酸化物であ
    るとともに、上記不要光吸収膜の材料が金属、酸化物、
    カーボン、昇華性顔料、及び昇華性染料のうちのいずれ
    かであり、 上記補助膜の材料と不要光吸収膜の材料とが互いに異な
    る溶剤を持つことを特徴とする請求項1記載のフレネル
    レンズの作製方法。
  3. 【請求項3】上記複数のプリズムが同一平面上に同心円
    状に配列されるとともに、上記非レンズ面が、上記平面
    の垂直方向に対して所定の傾斜角度を有している上記フ
    レネルレンズ本体に対して、上記補助膜を形成する工程
    において、 開口部の中心角が90度以下である扇形開口部を有する
    マスクを上記補助膜形成面側に設け、 補助膜の材料の飛散方向を、上記平面の垂直方向から、
    上記開口部内に位置するプリズムにおけるレンズ面の向
    く方向へ10度以下だけ傾け、 上記フレネルレンズ本体を回転させながら、補助膜の材
    料を飛散させることを特徴とする請求項1または2記載
    のフレネルレンズの作製方法。
  4. 【請求項4】上記補助膜の成膜法が蒸着であることを特
    徴とする請求項1ないし3の何れか 1項記載のフレネル
    レンズの作製方法
  5. 【請求項5】請求項1ないし4の何れか1項記載のフレ
    ネルレンズをフィールドレンズとして用いることを特徴
    とする投影画像表示装置。
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