JP3329354B2 - インクジェット式記録ヘッドの駆動回路及び駆動方法 - Google Patents

インクジェット式記録ヘッドの駆動回路及び駆動方法

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JP3329354B2
JP3329354B2 JP22322594A JP22322594A JP3329354B2 JP 3329354 B2 JP3329354 B2 JP 3329354B2 JP 22322594 A JP22322594 A JP 22322594A JP 22322594 A JP22322594 A JP 22322594A JP 3329354 B2 JP3329354 B2 JP 3329354B2
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インク滴を飛翔させ、
記録紙等の記録媒体上にインク像を形成するインクジェ
ット式記録ヘッド、及びインクジェット式記録ヘッドの
駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】オンデマンド型インクジェット式記録ヘ
ッドは、圧電振動子や発熱素子によりインク圧を発生さ
せる複数の圧力発生室と、各圧力発生室にインクを供給
する共通のリザ−バと、各圧力発生室に連通するノズル
開口を備えた記録ヘッドを備えており、印字信号に対応
するノズルの圧力発生室に駆動信号を印加してインクを
ノズル開口から記録媒体に飛翔させ、記録媒体にドット
を形成するように構成されている。
【0003】このようなインクジェット式記録ヘッドで
は、所定のインク滴量及びインク飛翔速度を維持したま
まで、より高い連続応答が得られることが望ましい。
【0004】連続応答周波数を高める技術としては、例
えば米国特許第4,697,193号明細書で開示されて
いるものがある。この技術によれば、インクジェットヘ
ッドはヘルムホルツ固有振動周波数を持ち、これが駆動
可能な周波数の上限(上限の指標)となる。つまりヘル
ムホルツ固有振動周波数を高くすることで高い周波数で
駆動できるヘッドが得られるが、ヘルムホルツ固有振動
周波数を高くするには圧力室を小さくすることが必要と
なる。しかし、生産技術的に圧力室を小さくするには限
界があり、また、圧力室を小さくすると、十分な圧力室
の体積変化が確保できず必要なインク滴量が得られない
といった問題を生じる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような課
題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは駆
動条件をヘッド固有の最適値に設定することで高周波駆
動可能なインクジェット式記録ヘッドを提供することで
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のインクジェット
式記録ヘッドの駆動回路は、ノズル開口と、このノズル
開口に連通し、振動板を備えた圧力発生室と、前記振動
板に当接し、前記圧力発生室内のインクの圧力変動によ
ってインクを吐出させる圧力発生素子とを有するインク
ジェット式記録ヘッドの駆動回路であって、タイミング
信号に基づいて、初期状態にある前記圧力発生室を時間
Trで拡大させる第1の信号と、前記拡大された圧力発
生室を初期状態まで時間Tfで縮小させ、インク滴を吐
出させる第2の信号とを発生させる手段を有し、前記時
間Tfは、圧力発生室の固有振動周期Tcで表わされる
関係3/4*Tc ≦ Tf <7/8*Tc を満たし、インク流れの慣性により前記圧力発生室内の
圧力変動を抑制するようにしたことを特徴とする。好ま
しくは、さらに、前記時間Trは、圧力発生室の固有振
動周期Tcで表される関係3/4*Tc ≦ Tr < 7/8*Tc を満たし、インク流れの慣性により前記圧力発生室内の
圧力変動を抑制するようにしたことを特徴とする。ま
た、本発明のインクジェット式記録ヘッドの駆動回路の
発明は、ノズル開口と、このノズル開口に連通し、振動
板を備えた圧力発生室と、前記振動板に当接し、前記圧
力発生室内のインクの圧力変動によってインクを吐出さ
せる圧力発生素子とを有するインクジェット式記録ヘッ
ドの駆動回路であって、タイミング信号に基づいて、初
期状態にある前記圧力発生室を時間Trをかけて縮小さ
せ、インク滴を吐出させる第1の信号と、縮小状態の前
記圧力発生室を初期状態まで時間Tfをかけて拡大させ
る第2の信号とを発生させる手段とを有し、前記時間T
fは、圧力発生室の固有振動周期Tcで表わされる関係3/4*Tc ≦ Tf < 7/8*Tc を満たし、インク流れの慣性により前記圧力発生室内の
圧力変動を抑制するようにしたことを特徴とする。ま
た、本発明のインクジェット式記録ヘッドの駆動回路の
発明は、ノズル開口と、このノズル開口に連通し、振動
板を備えた圧力発生室と、前記振動板に当接し、前記圧
力発生室内のインクの圧力変動によってインクを吐出さ
せる圧力発生素子とを有するインクジェット式記録ヘッ
ドの駆動回路であって、タイミング信号に基づいて、初
期状態にある前記圧力発生室を時間Trで拡大させる第
1の信号と、前記拡大された圧力発生室を初期状態まで
時間Tfで縮小させ、インク滴を吐出させる第2の信号
とを発生させる手段を有し、前記時間Trは、圧力発生
室の固有振動周期Tcで表わされる関係3/4*Tc ≦ Tr < 7/8*Tc を満たし、インク流れの慣性により前記圧力発生室内の
圧力変動を抑制するようにしたことを特徴とする。
【0007】また、本発明のインクジェット式記録ヘッ
ドの駆動方法の発明は、ノズル開口と、このノズル開口
に連通し、振動板を備えた圧力発生室と、前記振動板に
当接し、前記圧力発生室内のインクの圧力変動によって
インクを吐出させる圧力発生素子とを有するインクジェ
ット式記録ヘッドの駆動方法であって、初期状態にある
前記圧力発生室を時間Trで拡大させる第1の工程と、
前記拡大された圧力発生室を初期状態まで時間Tfで縮
小させ、インク滴を吐出させる第2の工程とを有し、
記時間Tfは、圧力発生室の固有振動周期Tcで表わさ
れる関係 3/4*Tc ≦ Tf < 7/8*Tc を満たし、インク流れの慣性により前記圧力発生室内の
圧力変動を抑制するようにしたことを特徴とする好ま
しくは、さらに、前記時間Trは、圧力発生室の固有振
動周期Tcで表される関係 3/4*Tc ≦ Tr < 7/8*Tc を満たし、インク流れの慣性により前記圧力発生室内の
圧力変動を抑制するようにしたことを特徴とする 。ま
た、本発明のインクジェット式記録ヘッドの駆動方法の
発明は、ノズル開口と、このノズル開口に連通し、振動
板を備えた圧力発生室と、前記振動板に当接し、前記圧
力発生室内のインクの圧力変動によってインクを吐出さ
せる圧力発生素子とを有するインクジェット式記録ヘッ
ドの駆動方法であって、初期状態にある前記圧力発生室
を時間Trをかけて縮小させ、インク滴を吐出させる第
1の工程と、縮小状態の前記圧力発生室を初期状態まで
時間Tfをかけて拡大させる第2の工程とを有し、前記
時間Tfは、圧力発生室の固有振動周期Tcで表わされ
る関係 3/4*Tc ≦ Tf < 7/8*Tc を満たすことを特徴とする 。また、本発明のインクジェ
ット式記録ヘッドの駆動方法の発明は、ノズル開口と、
このノズル開口に連通し、振動板を備えた圧力発生室
と、前記振動板に当接し、前記圧力発生室内のインクの
圧力変動によってインクを吐出させる圧力発生素子とを
有するインクジェット式記録ヘッドの駆動方法であっ
て、タイミング信 号に基づいて、初期状態にある前記圧
力発生室を時間Trで拡大させる第1の工程と、前記拡
大された圧力発生室を初期状態まで時間Tfで縮小さ
せ、インク滴を吐出させる第2の工程とを有し、前記時
間Trは、圧力発生室の固有振動周期Tcで表される関
3/4*Tc ≦ Tr < 7/8*Tc を満たし、インク流れの慣性により前記圧力発生室内の
圧力変動を抑制するようにしたことを特徴とする
【0008】
【実施例】以下本発明の詳細を実施例に基づいて図示し
て説明する。
【0009】図1は、本発明の駆動回路と駆動方法によ
り駆動されるインクジェット式記録ヘッドの一実施例
で、図中符号1は、圧力発生室で、ノズル開口2が形成
されたノズルプレート3と、後述の、圧力発生素子であ
る、圧電振動子の先端に当接する振動板4とをスペーサ
5を挟んで構成されており、インク供給口6により図示
しないインクタンクに接続するリザーバ14からインク
の補給を受けるように構成されている。
【0010】7は、前述の圧電振動子で、この実施例で
は圧電材料8と電極形成材料9、10を交互にサンドイ
ッチ状に挟んで積層構造となるように構成され、電極9
しか存在しない不活性領域が固定基板11に固定されて
いる。これら固定基板11とスペーサ5、及び振動板4
は、基台12を介して一体に固定されてインクジェット
式記録ヘッドとしてまとめ上げられている。
【0011】このように構成されたインクジェット式記
録ヘッドは圧電振動子7の電極9、10に電圧が印加さ
れれば、圧電振動子7が収縮し振動板4がノズルプレー
ト3から離れる。その結果、圧力室1の容積が拡大さ
れ、インクがインク供給口6を通って圧力室1に供給さ
れる。続いて、印加電圧を下げると、圧電振動子7が元
の長さまでノズルプレート3側へ伸長し、圧力発生室1
を圧縮し、圧力発生室1に存在するインクの一部がノズ
ル開口2から吐出される。
【0012】図2は上述したインクジェット式記録ヘッ
ドを駆動する駆動回路の一実施例である。
【0013】図中符号20は、制御信号発生回路で、図
示せぬ装置よりデータバス22を介して送られてくる印
字データを取り込み、印字ヘッドが印字位置に達したこ
とを示す印字タイミング信号が端子21に入力された段
階で、取り込んだ印字データを1ビットずつ信号線24
に出力する。この信号線24に出力された印字データ
は、カスケードに接続されシフトレジスタを構成するフ
リップフロップ26のデータ端子に入力される。また、
信号線25にはシフトクロック信号が出力され、このシ
フトクロック信号によってシリアル転送されたデータが
シフトされながら、フリップフロップ26、26、・・
・に転送される。そして、すべての圧電振動子7に対す
る印字データが転送された段階で、信号線23にラッチ
信号が送られ、印字データがフリップフロップ27、2
7、・・・の出力側に現われる。この信号は印字動作を
行うべき圧電振動子7に対応するトランジスタ29をオ
ンにし、後述の駆動信号発生回路30から送られる駆動
信号を圧電振動子に印加し作動させる。
【0014】図3は前述の駆動信号発生回路30の一実
施例を示す図であり、端子60に制御信号が入力(図
4、T0)されると、トランジスタ61、62で構成す
るカレントミラー回路が動作を開始し、抵抗64によっ
て決まる一定の電流値でコンデンサ65に対して充電を
行う。このコンデンサ65の端子電圧はトランジスタ6
6、67によって電流増幅され、端子31(圧電振動子
7)に出力される。充電過程でコンデンサ65の端子電
圧が略電源電圧VHに達すると均衡状態になり電圧は略電
源電圧VH ボルトに維持される。時刻T1になると制御
信号60が下がるのでトランジスタ61、62で構成す
るカレントミラー回路の動作は停止する。一方ワンショ
ットマルチバイブレータ75から一定幅のパルスが出力
され、トランジスタ76、77で構成するカレントミラ
ー回路が動作開始し、抵抗78で決まる一定電流値でコ
ンデンサ65を放電させる。この様な動作が印字タイミ
ング信号21が入力する度に繰り返される。
【0015】ところで、上述の駆動信号発生回路におい
て、コンデンサ65の容量をC、抵抗64の値をRr、
抵抗78の値をRf、トランジスタ63、77のベース
・エミッタ間の電圧をVbe63、Vbe77とする
と、前述した充放電電流Ir、If、及び、充放電時定
数Tr、Tfは Ir=Vbe63/Rr (1) If=Vbe77/Rf (2) Tr=C×VL/Ir (3) Tf=C×VL/If (4) となる。
【0016】次に上述した駆動信号発生回路を用いて圧
電振動子を駆動した場合の動作タイミングについて説明
する。
【0017】外部装置からタイミング信号21が入力さ
れると、制御信号発生回路20は、前述の様に外部装置
から印字デ−タを受けて印字すべきノズルに対応する圧
電振動子7に接続されているスイッチングトランジスタ
29に信号を出力してこれをオンにし、続いて制御信号
60を送出す。この制御信号60を受けて駆動信号発生
回路30では(3)式の時定数で定まる電圧勾配で増大
する電圧を出力し、インク滴を放出すべき圧電振動子が
充電され収縮する。これにより圧力発生室1が拡張さ
れ、メニスカスがノズル開口2から引き込まれるのと同
時にリザーバ14からインク供給口6を通じて圧力発生
室1にインクが供給される。
【0018】そして、一定時間が経過すると(例えば、
引き込まれたメニスカスがほぼもとの位置に戻ると
き)、前述したように制御信号60が切り替わって、駆
動信号発生回路30からは(4)式の時定数で定まる電
圧勾配で減少する電圧を出力し、圧電振動子の充電電荷
が放電されて伸長する。これにより圧力発生室1が圧縮
され、ノズル開口2からインク滴が飛翔する。この
(4)式の時定数Tfを本発明の実施例では 5/8*Tc < Tf < Tc (5) を満たすように設定している。
【0019】次に、(5)式のもつ意味について説明す
る。
【0020】インク滴が飛翔した後、圧力発生室1には
残留振動が残るが、この残留振動が収まらないうちに次
の印字動作を開始すると、インク滴を吐出しなかった
り、インク滴の量、飛翔速度が変わったりしてしまう。
この振動の周波数は米国特許第4,697,193号明細
書で記述されているヘルムホルツ固有振動周波数fで、
その周期はTc=1/fで、振幅の減衰はインクの粘度
が低い程少なく残留振動が収まるまでに時間がかかる。
【0021】一般的に、時定数Tfを小さくすると、イ
ンク滴の飛翔速度は速くなるが残留振動が大きくなり
(特に、Tc<Tfのとき)安定駆動可能な周波数は低
くなってしまうが、(5)式を満たすようにすると、安
定駆動可能な周波数は低くすることなく、インク滴の飛
翔速度を上げることができる。
【0022】次に数値シミュレーションの結果を示しな
がらその理由について説明する。図5は本実施例の圧力
発生室1内の圧力を数値シミュレーションで求めた結果
を示し、図6は比較用のものを示している。本実施例に
おける印字ヘッドのTcは約7.5μsであり、図5の
場合では(5)式を満足するようにTfを6μsと設定
している。図6の場合のTfは10μsであり、(5)
式が満たされていない。図5の場合、インク吐出過程で
の圧力波(時点A、Bの間の波形)の振幅を大きくする
ことができることが分かる。残留振動に関しては残留圧
力波形(図5、6の時点B以降の波形)を比較すると分
かるように振幅がほぼ同じであり悪影響は生じていな
い。
【0023】図5の場合のインク滴のインク量、速度、
そして、安定駆動可能な周波数はそれぞれ0.035μ
g、11m/s、12KHzであったのに対して、図6
の場合のインク滴のインク量、速度、そして、安定駆動
可能な周波数はそれぞれ0.035μg、6.1m/
s、12KHzであった。これらの特性値は実験結果と
一致している。
【0024】ここで残留振動が大きくならない理由につ
いて説明する。時点Bで圧電振動子7の伸長(コンデン
サ65、圧電振動子7の放電)が終わるが、時点A、B
間で発生した流れの慣性は圧力発生室1内の圧力を下げ
る方向に作用する。図5の場合、圧力が増大しようとす
るときに時点Bとなり、流れの慣性によって圧力の増大
が抑えられ、それ以降の振動が小さくなっている。図6
の場合、圧力の減少過程で時点Bとなり、流れの慣性に
よって圧力の減少が増幅され、残留振動が大きくなる。
【0025】以上の説明から(5)式の示す範囲の中で 3/4*Tc ≦ Tf < Tc (6) が満たされる範囲が効果的であることが分かる。そし
て、 5/8*Tc < Tf < 3/4*Tc (7) が満たされる範囲でも効果的である。これは前述の流れ
の慣性による効果が現われるまで時間がかかることがあ
るためである。
【0026】さらに、その内 3/4*Tc ≦ Tf < 7/8*Tc (8) が満たされる範囲が最も効果的である。この範囲は圧力
の増加の始めの部分である。
【0027】図7は本発明の第2の実施例の圧力発生室
1内の圧力を数値シミュレーションで求めた結果を示
し、図8は比較用のものを示す。
【0028】この実施例は上述の実施例(図5)と比較
し、充電時定数Trを小さくし、放電を始めるのを(A
時点)早くしている。この駆動方法は引き打ちとして知
られており、この場合インク流の慣性を利用してインク
滴を吐出することができ、インク滴の飛翔速度を更に上
げることができる。また、駆動信号の印加時間が短く、
安定駆動可能な周波数が高くなる。
【0029】この実施例では、充電時定数Trを 5/8*Tc < Tr < Tc (9) を満たすようにし、C、A間の振幅を比較例(図8)に
比べ小さくしている。この現象は上述の放電時定数Tf
と同じように理解でき、そして、 3/4*Tc ≦ Tr < 7/8*Tc (10) を満たすようにするのが最も効果的であることも分か
る。
【0030】ここまで、圧力発生室1の容積を拡大せた
後に縮小させインクを吐出させる、いわゆる引き打ちの
駆動回路及び駆動方法について説明してきたが次に圧力
発生室1の容積を縮小させてインクを吐出させた後にそ
の容積を拡大させ、もとの容積に戻す押し打ちの場合に
ついて説明する。
【0031】図9は押し打ちに適した駆動信号発生回路
の一実施例を示す図である。印字タイミング信号21が
入力すると、制御信号60が出力し、トランジスタ4
0、41で構成するカレントミラー回路が動作し抵抗4
2によって定まる一定電流値でコンデンサ43に対して
充電を行う。このコンデンサ43の端子電圧はトランジ
スタ44、45によって電流増幅され、端子31(圧電
振動子7)に出力される。充電が略0ボルトまで達する
とダイオード46が導通し、それ以上充電がなされない
均衡状態になり電圧は維持される。その後時刻T1にな
るとタイミング信号が上がるのでトランジスタ40、4
1で構成するカレントミラー回路の動作は停止する。一
方、ワンショットマルチバイブレータ47から一定幅の
パルスが出力され、トランジスタ49、50で構成する
カレントミラー回路の動作が開始し、抵抗51で定まる
一定電流値でコンデンサ43の端子電圧が−VLボルト
に達するまで動作する。このような動作が印字タイミン
グ信号21が入力する度に繰り返される。
【0032】この駆動信号発生回路において、コンデン
サ43の容量をC、抵抗42の値をRr、抵抗51の値
をRf、トランジスタ41、49のベース・エミッタ間
の電圧をVbe41、Vbe49とすると、前述した充
放電電流Ir、If、及び、充放電時定数Tr、Tfは Ir=Vbe41/Rr (11) If=Vbe49/Rf (12) Tr=C×VL/Ir (13) Tf=C×VL/If (14) となる。
【0033】この駆動信号発生回路を用いて圧電振動子
を駆動した場合の動作は次のようになる。
【0034】初期状態では端子31の電位は−VLボル
トであるため、ダイオード29(図2)を介してすべて
の圧電振動子7が充電され圧力発生室1が拡大状態にあ
る。外部装置からタイミング信号21が入力されると、
制御信号発生回路20は、前述のように外部装置から印
字デ−タを受けて印字すべきノズルに対応する圧電振動
子7に接続されているスイッチングトランジスタ29に
信号を出力してこれをオンにする。
【0035】一方、駆動信号発生回路30は(13)式
の時定数で定まる電圧勾配で−VLボルトから0ボルト
に向かって端子31の電位を上昇させるためオンとなっ
ているトランジスタ29に対応する圧電振動子7は放電
して伸長し、インク滴を吐出させる。
【0036】時刻T1になると、(14)式の時定数ト
で定まる電圧勾配で略0ボルトから−VLボルトに向か
って電圧が下降するので全圧電振動子7は充電されて収
縮し、次の印字に備える。
【0037】この実施例ではコンデンサ43の放電(圧
電振動子7の充電)時定数Tfが 5/8*Tc < Tf < Tc (15) 好ましくは 3/4*Tc ≦ Tf < 7/8*Tc (16) を満たすようにすると、残留振動を大きくすることな
く、インク滴吐出後の圧力発生室1の拡大速度を速くで
きる。そのため、インク滴がメニスカスから切れる時間
が短くなり、インク滴が飛翔途中で複数個に分かれるこ
とが発生しにくくなる。さらに、駆動信号を短くでき安
定駆動可能な周波数が高くなる。
【0038】またコンデンサ43の充電(圧電振動子7
の放電)時定数Trが 5/8*Tc < Tr < Tc (17) 好ましくは 3/4*Tc ≦ Tr < 7/8*Tc (18) を満たすようにすると、インク滴吐出後の振動を大きく
することなく、インク滴吐出時の圧力発生室1の縮小速
度を大きくできる。そのため、インク滴の飛翔速度を大
きくできる。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、ヘッドの固有振動
周期Tcよりやや小さい時定数でヘッドを駆動したとき
の残留振動は、Tcよりある程度大きい時定数でヘッド
を駆動したときよりも大きくはならず、またインク滴の
飛翔速度を大きくすることができるからヘッドの周波数
特性を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の駆動回路及び駆動方法により駆動され
るヘッドの一例を示す図である。
【図2】本発明の駆動回路の一実施例を示す図である。
【図3】図2における駆動信号発生回路の一実施例を示
す図である。
【図4】図3に示す駆動信号発生回路の動作を説明する
タイミング図である。
【図5】(a)は本発明の駆動で得られる圧力発生室内
部の圧力値を示す図であり、(b)はその駆動電圧信号
波形を示す図である。
【図6】(a)は従来の駆動状態で出力する圧力発生室
内部の圧力の数値を示す図であり、(b)はその駆動電
圧信号波形を示す図である。
【図7】(a)は本発明の駆動で得られる圧力発生室内
部の圧力値を示す図であり、(b)はその駆動電圧信号
波形を示す図である。
【図8】(a)は従来の駆動状態で出力する圧力発生室
内部の圧力の数値を示す図であり、(b)はその駆動電
圧信号波形を示す図である。
【図9】本発明の駆動信号発生回路の別の実施例を示す
図である。
【図10】図9に示す駆動信号発生回路の動作を説明す
るタイミング図である。
【符号の説明】
1 圧力発生室 2 ノズル開口 7 圧電振動子 30 駆動信号発生回路

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノズル開口と、このノズル開口に連通
    し、振動板を備えた圧力発生室と、前記振動板に当接
    し、前記圧力発生室内のインクの圧力変動によってイン
    クを吐出させる圧力発生素子とを有するインクジェット
    式記録ヘッドの駆動回路であって、 タイミング信号に基づいて、初期状態にある前記圧力発
    生室を時間Trで拡大させる第1の信号と、 前記拡大された圧力発生室を初期状態まで時間Tfで縮
    小させ、インク滴を吐出させる第2の信号と を発生させる手段を有し、 前記時間Tfは、圧力発生室の固有振動周期Tcで表わ
    される関係3/4*Tc ≦ Tf <7/8*Tc を満たし、インク流れの慣性により前記圧力発生室内の
    圧力変動を抑制するようにしたことを特徴とするインク
    ジェット式記録ヘッドの駆動回路。
  2. 【請求項2】 前記時間Trは、圧力発生室の固有振動
    周期Tcで表される関係3/4*Tc ≦ Tr < 7/8*Tc を満たし、インク流れの慣性により前記圧力発生室内の
    圧力変動を抑制するようにしたことを特徴とする請求項
    1に記載のインクジェット式記録ヘッドの駆動回路。
  3. 【請求項3】 ノズル開口と、このノズル開口に連通
    し、振動板を備えた圧力発生室と、前記振動板に当接
    し、前記圧力発生室内のインクの圧力変動によってイン
    クを吐出させる圧力発生素子とを有するインクジェット
    式記録ヘッドの駆動回路であって、 タイミング信号に基づいて、初期状態にある前記圧力発
    生室を時間Trをかけて縮小させ、インク滴を吐出させ
    る第1の信号と、 縮小状態の前記圧力発生室を初期状態まで時間Tfをか
    けて拡大させる第2の信号とを発生させる手段とを有
    し、 前記時間Tfは、圧力発生室の固有振動周期Tcで表わ
    される関係3/4*Tc ≦ Tf < 7/8*Tc を満たし、インク流れの慣性により前記圧力発生室内の
    圧力変動を抑制するようにしたことを特徴とするインク
    ジェット式記録ヘッドの駆動回路。
  4. 【請求項4】 ノズル開口と、このノズル開口に連通
    し、振動板を備えた圧力発生室と、前記振動板に当接
    し、前記圧力発生室内のインクの圧力変動によってイン
    クを吐出させる圧力発生素子とを有するインクジェット
    式記録ヘッドの駆動回路であって、 タイミング信号に基づいて、初期状態にある前記圧力発
    生室を時間Trで拡大させる第1の信号と、 前記拡大された圧力発生室を初期状態まで時間Tfで縮
    小させ、インク滴を吐出させる第2の信号とを発生させ
    る手段を有し、 前記時間Trは、圧力発生室の固有振動周期Tcで表わ
    される関係3/4*Tc ≦ Tr < 7/8*Tc を満たし、インク流れの慣性により前記圧力発生室内の
    圧力変動を抑制するようにしたことを特徴とするインク
    ジェット式記録ヘッドの駆動回路。
  5. 【請求項5】 ノズル開口と、このノズル開口に連通
    し、振動板を備えた圧力発生室と、前記振動板に当接
    し、前記圧力発生室内のインクの圧力変動によってイン
    クを吐出させる圧力発生素子とを有するインクジェット
    式記録ヘッドの駆動方法であって、 初期状態にある前記圧力発生室を時間Trで拡大させる
    第1の工程と、 前記拡大された圧力発生室を初期状態まで時間Tfで縮
    小させ、インク滴を吐出させる第2の工程とを有し、 前記時間Tfは、圧力発生室の固有振動周期Tcで表わ
    される関係 3/4*Tc ≦ Tf < 7/8*Tc を満たし、インク流れの慣性により前記圧力発生室内の
    圧力変動を抑制するようにしたことを特徴とするインク
    ジェット式記録ヘッドの駆動方法。
  6. 【請求項6】 前記時間Trは、圧力発生室の固有振動
    周期Tcで表される 関係 3/4*Tc ≦ Tr < 7/8*Tc を満たし、インク流れの慣性により前記圧力発生室内の
    圧力変動を抑制するようにしたことを特徴とする請求項
    5に記載のインクジェット式記録ヘッドの駆動方法。
  7. 【請求項7】 ノズル開口と、このノズル開口に連通
    し、振動板を備えた圧力発生室と、前記振動板に当接
    し、前記圧力発生室内のインクの圧力変動によってイン
    クを吐出させる圧力発生素子とを有するインクジェット
    式記録ヘッドの駆動方法であって、 初期状態にある前記圧力発生室を時間Trをかけて縮小
    させ、インク滴を吐出させる第1の工程と、 縮小状態の前記圧力発生室を初期状態まで時間Tfをか
    けて拡大させる第2の工程とを有し、 前記時間Tfは、圧力発生室の固有振動周期Tcで表わ
    される関係 3/4*Tc ≦ Tf < 7/8*Tc を満たすことを特徴とするインクジェット式記録ヘッド
    の駆動方法。
  8. 【請求項8】 ノズル開口と、このノズル開口に連通
    し、振動板を備えた圧力発生室と、前記振動板に当接
    し、前記圧力発生室内のインクの圧力変動によってイン
    クを吐出させる圧力発生素子とを有するインクジェット
    式記録ヘッドの駆動方法であって、 タイミング信号に基づいて、初期状態にある前記圧力発
    生室を時間Trで拡大させる第1の工程と、 前記拡大された圧力発生室を初期状態まで時間Tfで縮
    小させ、インク滴を吐出させる第2の工程と を有し、前記時間Trは、圧力発生室の固有振動周期T
    cで表される関係 3/4*Tc ≦ Tr < 7/8*Tc を満たし、インク流れの慣性により前記圧力発生室内の
    圧力変動を抑制するようにしたことを特徴とするインク
    ジェット式記録ヘッドの駆動方法。
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