JP3327884B2 - 粒状黒鉛含有耐火物 - Google Patents

粒状黒鉛含有耐火物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、転炉その他の各種
溶融金属容器の内張れんがや、浸漬ノズルや鋳造用ノズ
ルなど鋳造用れんがに用いられる耐熱衝撃性に優れた黒
鉛含有耐火物に関する。
【0002】
【従来の技術】この黒鉛含有耐火物は、高い熱伝導率と
スラグに対する濡れにくい性質を有する黒鉛と各種酸化
物や炭化物とを組み合わせることによって、耐熱衝撃性
と耐食性に優れている。
【0003】代表的な黒鉛含有耐火物としては、連続鋳
造用ノズルに使用されるアルミナ−黒鉛質耐火物や転炉
の内張れんがに使用されるマグネシア−黒鉛質耐火物が
ある。
【0004】いずれの耐火物もその使用環境条件は過酷
さを増し、耐用性向上のニーズは高くなり、溶鋼への耐
食性に劣る黒鉛の含有量は減少の方向にあり、そのた
め、耐熱衝撃性を維持していくことが困難になりつつあ
る。
【0005】近年、この黒鉛含有耐火物の耐熱衝撃性を
改善するために、黒鉛源として特殊な形態の黒鉛を適用
することが種々試みられている。
【0006】例えば、特公平2−43698号公報に
は、耐火物骨材に対して、層面の広がりの大きさをD、
鱗片の厚みをtとして、D≧0.105mmであって、
且つt≦20μmの薄厚鱗片状黒鉛を含有せしめること
によって耐熱衝撃性と耐食性とを併せて向上できること
が開示されている。
【0007】また、特開昭59−203760号公報で
は、天然黒鉛に酸処理を施して積層面間距離を拡大した
海綿状黒鉛を含有せしめることによって耐熱衝撃性を向
上できることが開示されている。
【0008】さらに、特許第2543684号公報で
は、天然黒鉛を酸処理し、層間の結合力を弱め、やや層
間隔が延び海綿状となったものを高温度で熱処理して層
間剥離させた繊維状膨張黒鉛を使用した浸漬ノズルは、
耐熱衝撃性を著しく向上するとともに、耐食性も向上で
きることが開示されている。さらに、この繊維状膨張黒
鉛を膨張した層と層の間で個々に分離するように粉砕し
て薄片状で使用することも示唆されている。
【0009】特開平4−209743号公報では、耐火
骨材と鱗状黒鉛とを予め乾式混合し、黒鉛を更に薄肉化
した後バインダーを添加して混練、成形して得られた黒
鉛含有耐火物は、黒鉛の層面の広がりを小さくすること
なく薄肉化された黒鉛が耐火物組織内に均一に分散して
いることにより耐熱衝撃性及び耐食性の向上効果を発揮
することが開示されている。
【0010】またさらに、特開平8−81256号公報
には、黒鉛の層間に硫酸などを挿入した黒鉛層間化合物
を800〜1000℃の温度で急激に加熱することによ
り黒鉛層間を膨張させた膨張黒鉛を、10MPa以上の
圧力で圧縮した後、1mm以下の粒度に粉砕した膨張黒
鉛を含有する炭素含有れんがが紹介されている。この膨
張黒鉛は、黒鉛結晶がハニカム構造をした弾力性に優れ
るという特性をもち、アスペクト比が非常に大きく、更
にれんが成形時により複雑に絡み合うために引き抜き効
果が助長される特長を併せ持ち、れんが骨材の熱膨張に
対する吸収能力をもち、れんがの破壊エネルギーが著し
く高められ、耐スポーリング性の高いれんがが得られる
ことが開示されている。
【0011】これらの従来の特殊黒鉛は、黒鉛の形態と
その形態を得る方法などは種々様々であるが、共通し
て、アスペクト比の大きい薄片状黒鉛を耐火物中に分散
して存在させることにより黒鉛含有耐火物の耐食性、耐
熱衝撃性を改善しようという試みであるといえる。
【0012】特開昭59−203760号公報に記載の
海綿状黒鉛は、黒鉛を酸処理することで積層面間の層間
距離を開かせたものであり、層間の結合力は弱められて
いるものの、熱処理を加えた膨張黒鉛と比較して、その
層間のスキマは小さいため、骨材の熱膨張の吸収代が小
さく、耐熱衝撃性は不十分である。また、特許第254
3684号公報の繊維状膨張黒鉛は、酸処理した後の海
綿状黒鉛を高温度で熱処理して層間剥離させたものであ
る。この繊維状膨張黒鉛をそのまま使用した場合は、混
練時の分散不十分、成形時の充填不良などの問題が懸念
される。他の従来技術による黒鉛は、いずれもアスペク
ト比(層面の広がりを層方向厚みで除した値)の大きい
薄厚黒鉛を使用するもので、その扁平形状故に混練時の
分散性が不十分となり得、かつ黒鉛が同一の配向性を示
し易く、また高温熱処理に起因する層間膨張により層間
スキマが大きくなり、成形時の充填性が不良となり得る
など、品質の安定性に劣る問題を残している。
【0013】さらには、混練時に個々の薄片状黒鉛の結
晶層間に耐火性原料粒子が入り込み、層間隙間による膨
張吸収能を減じることが生じている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
いう課題は、耐食性、耐熱衝撃性を改善するために特殊
な形態の黒鉛を含有する黒鉛含有耐火物において、耐食
性、耐熱衝撃性を維持した上で、混練時の分散性、及び
成形時の充填性、配向性などに起因する問題を解消する
と同時に黒鉛粒子に適正な層間スキマ量を確保し、十分
な熱膨張吸収能をもたせることにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、耐食性、耐熱
衝撃性を改善する目的で膨張黒鉛を使用する黒鉛含有耐
火物において、膨張黒鉛原料の最適な形態を追求した結
果、従来技術の課題である混練時の分散性、成形時の充
填性を確保するためには、扁平形状よりも粒径状のほう
が有利であるという知見に基づいて、その適正な形状寸
法を検討し、併せて耐熱衝撃性を改善、維持するため
に、黒鉛粒子の層間スキマを骨材粒子の熱膨張を吸収す
るに必要十分なる量に、同時に成形時の充填性を阻害し
ない程度のスキマ量に制御するように、熱処理時の温度
を検討した結果、あるいはスキマの調整方法を検討した
結果得られたものである。
【0016】つまり、本発明の粒状黒鉛含有耐火物は、
薄片状黒鉛による積層構造を有し、粒度50μm以上、
且つアスペクト比0.5以上5未満の粒状黒鉛を1〜2
0重量%含有する。
【0017】また、上記粒状黒鉛含有耐火物に使用する
粒状黒鉛を得る具体的な方法は、第一の方法として、厚
み20μm以下でアスペクト比が5以上の薄片状黒鉛に
バインダーを添加して混練し、予め所定形状に造粒した
ものを乾燥又は焼成することによって得る方法と、第二
の方法として、厚み20μm以下でアスペクト比が5以
上の薄片状黒鉛にバインダーと溶剤を加えてスラリーと
し、そのスラリーを任意の大きさの型枠に流し込み、乾
燥又は焼成して成形体を得た後、所定形状に粉砕するこ
とによって得る方法などがある。
【0018】さらに、本発明の粒状黒鉛含有耐火物は、
天然黒鉛を酸処理した後、300〜750℃の温度で熱
処理した膨張黒鉛を粒度50μm以上、且つアスペクト
比0.5以上5未満の形状に粉砕することによって得ら
れる粒状黒鉛を1〜20重量%含有せしめることによっ
て得られる。
【0019】膨張黒鉛は、天然黒鉛、一般的には天然鱗
状黒鉛を硝酸や硫酸などで酸処理し、黒鉛の層間に酸成
分を浸透させ層間の結合力を弱めたものに、800℃以
上の高温で熱処理を加え、発生ガスなどにより結合力の
弱まった層間を膨張させたものである。天然黒鉛は、1
0μm以下の肉厚の層片が層間の不純物などにより重な
り接着した、全体として層方向厚み20〜80μmの薄
片である。酸処理後の天然黒鉛は、やや層間隔が伸び海
綿状となるが、層方向の厚みはあまり変化なく、元の厚
みとほぼ同じ20〜80μmである。熱処理後は、層間
が剥離拡大することにより、原形の50〜100倍に膨
張しており、図1に見られるように各層片の厚みは10
μm以下の層状ハニカム構造を形成している。市販され
ている膨張黒鉛には、通常、この酸処理のみ済ませた後
解砕して得られた薄片状のものと熱処理を加え層間が拡
大したものをその層間で適当に分断した薄片状のものと
の二通りある。いずれも層面方向には解砕されにくく、
天然鱗状黒鉛と同じ層面サイズである100μmから1
000μmの広がりを示す。したがって、これらの市販
の膨張黒鉛をそのまま使用したもの、また、膨張した層
間で適当に分断したもの、あるいは、混練時に層間で分
断した従来の薄片状膨張黒鉛は、薄片の厚みが通常2μ
m以下であり、そのアスペクト比が5を大きく越えた扁
平形状をしている。
【0020】アスペクト比が5を大きく越える薄片状膨
張黒鉛は、その形状が扁平状であるが故に、混練時の均
一分散性に劣り、耐火物中にあっては黒鉛が同一の配向
性を示し易い等の問題があり、又、高温熱処理を施し膨
張した層間で分離することのない繊維状膨張黒鉛を使用
する場合、成形時に充填不良、締まり不足などの問題を
引き起こす。
【0021】本発明の薄片状黒鉛による積層構造をもつ
粒状黒鉛は、もしくは、天然黒鉛を酸処理し、熱処理を
加えた膨張黒鉛をその膨張した層間で分離させた粒状黒
鉛は、これら扁平形状に起因する混練時の分散性、又、
成形時の充填性の問題を解消するためにそのアスペクト
比を5未満0.5以上とし、かつその粒度を50μm以
上とする形状を成す。
【0022】本発明において、アスペクト比とは、黒鉛
の層面の広がりを層方向の全体厚みで除した値をいい、
粒度とは、その黒鉛が通過し得る標準篩の網目サイズを
いう。
【0023】膨張黒鉛の生成過程において、あるいは生
成後の取扱により解砕が進み、粒度が50μm未満とな
ると、黒鉛層間の空隙が減少し、空隙による応力吸収能
力が低下し、耐熱衝撃性の改善効果が小さくなる。黒鉛
層間の空隙の量を十分に確保するために、本発明では、
その粒度は200μm以上であることがより好ましい。
【0024】アスペクト比が0.5未満である粒は、黒
鉛が積層した方向の厚みが、層面の広がりの2倍を越え
るものであり、このような細長い形状を耐火物の製造過
程を通じて保ち続けることは現実的に難しく、例えば混
練中に容易に層間が分断されてアスペクト比は0.5以
上となる。
【0025】ちなみに、本発明の粒状黒鉛においては、
層面の広がりは、天然の鱗状黒鉛と同じ大きさの100
〜1000μmである。天然黒鉛及び膨張黒鉛は、黒鉛
の製造過程、及び混練時などにおいても層面の広がり方
向に解砕が進むことはほとんどないため元の大きさをほ
ぼ維持している。
【0026】本発明の粒状黒鉛は、市販の天然黒鉛を薄
肉化したもの、もしくは膨張黒鉛を層間で分離させ薄肉
化したもののいずれか、又は両方にバインダーを添加
し、予め造粒することにより所定の粒形状に作製したも
のであっても良いし、バインダーと溶剤を加えてスラリ
ーとし、そのスラリーを任意の大きさの型枠に流し込
み、乾燥又は焼成して成形体を得た後、所定サイズに粉
砕したものでも良い。また、天然黒鉛を酸処理後、所定
温度範囲で熱処理を加えて層間を適度に拡大した膨張黒
鉛を本発明の所定の粒形状にその層間で分離させて得ら
れたものでも良い。本発明に適用する粒状黒鉛は、天然
黒鉛を薄肉化したもの、もしくは、膨張黒鉛を層間で分
離させ薄肉化したものを予め造粒することにより、また
はバインダーと溶剤を加えてスラリーとし、成形体を得
た後粉砕することにより所定の粒形状に作製した前者の
場合、層方向の厚みが20μm以下の薄片状黒鉛に、フ
ェノールレジンなどのバインダーを添加し、混練するこ
とにより、薄片状黒鉛の層面にバインダーが付着、薄片
状黒鉛が相互に積み重なって50μm以上の粒度で且
つ、アスペクト比が0.5以上5未満の粒形状を形成し
たものである。この場合、薄片状黒鉛の側面は非常に狭
い接触面しかないため、バインダーは薄片の層面にのみ
作用し、薄片は層方向にのみ積み重なることになる。た
とえ側面に薄片が付着しても、側面の薄片は混練時に容
易に剥がれ落ちる。この薄片状黒鉛は、膨張黒鉛を薄肉
化して得られたものの場合、層間の応力緩和作用を呈す
空隙はやや大きいが、この薄片が複数枚重なった間には
バインダー層が存在することにより、粒状黒鉛のトータ
ルの空隙量は同じ厚みをもつ市販の膨張黒鉛と比して少
なくなっている。粒状黒鉛を構成する薄片状黒鉛の層方
向厚みの一部が20μm以上であっても構わないが、平
均厚みが20μm以下であることが好ましい。層方向の
平均厚みが20μm以上の薄片状黒鉛から形成された粒
状黒鉛は、同一体積の20μm以下の薄片状黒鉛から形
成された粒状黒鉛と比較して、バインダーによる接着層
が減る分だけ粒形状トータルの空隙の量が多くなるため
に、成形時の充填性に劣ることになる。また20μm以
上の薄片状黒鉛は、その空隙量が多く、層間結合力が弱
められているため、混練時などにおいて解砕され易く、
所定の粒度、アスペクト比が保てない。
【0027】本発明の粒状黒鉛は、黒鉛の結晶層間、及
び黒鉛と黒鉛の接着面にはバインダーである樹脂が侵
入、又は特に周囲を樹脂で結合されているために、耐火
物原料との混練時において耐火物粒子が侵入することは
ない。
【0028】また、後者の場合、本発明の粒状黒鉛は天
然黒鉛を酸処理後、300〜750℃の温度で熱処理し
た膨張黒鉛を所定の粒形状に粉砕して得る。熱処理温度
を低くすることによって膨張を抑制して、黒鉛層間の結
合力を維持した黒鉛は、層間の空隙が適度な量に確保さ
れることから耐熱衝撃性に優れ、且つ粉砕すると粒形状
になり易く、アスペクト比が小さな黒鉛を得ることがで
きる。また、黒鉛層間のスキマが少なく、結合力が維持
されているために耐火物粒子が侵入することはない。
【0029】この方法で得られた粒度50μm以上、且
つアスペクト比0.5以上5未満の粒状黒鉛は、層間の
空隙量が適正に制御されているため耐熱衝撃性に優れる
だけでなく、通常の膨張黒鉛と比して嵩が小さく成形時
の充填性が改善される。更にその粒形状故に、混練時の
分散性、配向性が改善され、耐熱衝撃性や耐食性などの
品質の向上、安定に大きく寄与する。粒度が50μm未
満やアスペクト比が0.5未満である微粒の膨張黒鉛
は、その内部の空隙量が少なく、耐熱衝撃性の改善効果
が期待できず、また、アスペクト比が5以上の扁平形状
の膨張黒鉛は、混練時の分散性、成形時の配向性に問題
を生じる。
【0030】膨張黒鉛は、硫酸や硝酸を黒鉛層間に挿入
した後に加熱し、発生するガスにより層間を膨張させよ
うとするものであるが、例えば硝酸の沸点は83℃であ
り、80℃付近から膨張作用を発揮し始める。しかしな
がら、熱処理温度が低すぎる場合は、耐火物の製造工程
で加熱したときに、層間に挿入した酸性分によるガスの
発生により層間が急激に膨張し、耐火物組織を破壊する
という問題を生じる。したがい、熱処理温度は300℃
以上が必要である。一方、熱処理温度が750℃を越え
ると、層間が開きすぎ、成形時の充填性に支障をきた
す。また、層間の結合力が低下して、粉砕時に微細粒に
なり易く所定の粒度とアスペクト比をもつ粒形状が得ら
れにくい。層間の結合力を確保するためには、熱処理に
よる膨張は原形状の30倍程度以下であることが望まし
い。適当な粒形状の膨張黒鉛を熱処理することなく配合
した場合は、耐火物粒子はその層間に侵入することはな
いが、製造工程で加熱した場合に急激に膨張し組織を破
壊するので使用できない。本発明の粒状黒鉛は、薄肉鱗
状黒鉛による積層構造を有するため、黒鉛の各層間に微
細な空隙を有し応力緩和作用を示す。また、その微細な
空隙に他の耐火性原料が入り込まないために、耐火性原
料の熱膨張をこの空隙により吸収でき、耐火物の熱膨張
を小さくできる。粒状黒鉛の含有量は1〜20重量%が
好ましい。1重量%未満であると、黒鉛自体の添加目的
である耐熱衝撃性の改善効果が現れず、20重量%を越
えると耐火物中に存在する粒状黒鉛全体に存在する空隙
の量が増え、耐火物の耐食性を損なう。粒状黒鉛のより
好ましい添加量範囲は3〜10重量%である。本発明の
粒状黒鉛は、黒鉛含有耐火物における全黒鉛量を必ずし
も満たす必要はなく、他の一般的な天然鱗状黒鉛や膨張
黒鉛などの黒鉛原料と併用しても良い。
【0031】本発明の粒状黒鉛は、全ての種類の黒鉛含
有耐火物について適用可能である。黒鉛以外の耐火材料
としては、アルミナ、マグネシア、シリカ、スピネル、
ジルコニア、ムライト、ドロマイト、炭化珪素、炭化硼
素、金属シリコン、金属アルミニウム等の公知の原料か
ら選択することができる。
【0032】これらの原料は、各種バインダーを使用し
て混練し、耐火物形状に成形可能な配合とするが、黒鉛
含有耐火物用バインダーとして広く使用されているフェ
ノール樹脂を適用することが好ましい。また、バインダ
ーの可塑性調整剤として、各種溶剤、例えば、グリコー
ル類、エステル類、アルコール類、フラン系溶剤、水、
無機酸類、アルカリ水溶液類等を併用することにより成
形性が向上し、緻密な成形体が得られる。成形後の耐火
物は、適当な熱処理を行って製品とするが、500℃未
満で熱処理してバインダーを硬化させるか、あるいは8
00℃以上で還元焼成してバインダーを炭化させる手法
を適宜選択することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を実施例によ
って説明する。
【0034】実施例1 アルミナ−黒鉛質材質への各種黒鉛添加の影響について
調査するために、表1に示す7種類の黒鉛を作製した。
比較のために特公平2−43698号公報に記載の薄厚
鱗片状黒鉛原料を黒鉛Hとして使用した。これらの黒鉛
は、黒鉛Hを除き、表1に記載の1層の肉厚を有する薄
片状黒鉛にフェノールレジンを添加してミキサーで造粒
したものを分級して得た。
【0035】
【表1】 8種類の黒鉛を使用して表2に示す配合割合にて混練し
た。混練は表1に示した原料に適量のフェノールレジン
を添加して混練し、配合物を得た。得られた配合物は、
1000kg/cm2の圧力で所定のサンプル形状にC
IP成形し、コークス中に埋め込んで最高温度1000
℃にて還元焼成を行った。
【0036】
【表2】 焼成したこのサンプルを用いて、曲げ強度、弾性率、熱
膨張率及び耐食性を調査した。測定結果及び耐熱衝撃性
を表す熱衝撃抵抗係数の結果を同表に示す。曲げ強度は
3点曲げ法により、弾性率は超音波法により、熱膨張率
は市販の熱膨張計で測定し1500℃までの平均線膨張
係数を示した。熱衝撃抵抗係数はポアソン比がほぼ一定
のため次式により算出した。数字は大きいほど耐熱衝撃
性に優れていることを示す。
【0037】熱衝撃抵抗係数=(曲げ強度)/[(弾性
率)× (熱膨張率)] 品質測定結果から明らかなように、本発明品であるN
o.1、No.2、No.4、No.6は比較例と比較
して、耐熱衝撃性が良好である。
【0038】これに対して、鱗片の厚みが平均20μm
を越える黒鉛C、アスペクト比が5を越える黒鉛E、粒
度が50μm未満である黒鉛G、薄厚鱗片状黒鉛である
黒鉛Hを使用した比較例は、耐熱衝撃性が劣っており好
ましくない。
【0039】実施例2 粒状黒鉛の含有量の影響について調査するために表3の
No.9からNo.14の6種類の配合割合にて実施例
1と同様に混練した。配合作製以降の成形、焼成につい
ては実施例1と全く同様に実施した。
【0040】
【表3】 耐熱衝撃性についても実施例1と同様の評価方法とし
た。
【0041】耐食性は、炭素含有量が0.01重量%の
鋼を1600℃にて溶解し、表面にCaOを35%、S
iO2を30%、Al23を15%、MgOを10%、
MnO2を7%含有するスラグを浮遊させ、1辺が20
mmの角柱状試料を30分間浸漬し、最大溶損部分の溶
損量を測定した。表3に示した数字は比較例のNo.9
の溶損量を100として指数化しており、数字が小さい
ほど耐食性に優れていることを示す。
【0042】品質評価の結果、本発明の実施例であるN
o.10からNo.13については耐熱衝撃性、耐食性
のバランスが良好である。これに対して粒状黒鉛の添加
量が1%未満であるNo.9は耐熱衝撃性が劣り好まし
くない。
【0043】一方、含有量が20%を越えるNo.14
については耐食性の低下が大きく好ましくない。
【0044】したがって、本発明による粒状黒鉛の含有
量は、1〜20重量%であることが必要である。
【0045】実施例3 粒状黒鉛と天然の鱗状黒鉛の比較のために、表4に示す
No.15からNo.18の4種類の配合割合にて実施
例1と同様に混練した。本発明の実施例であるNo.1
5及びNo.17は表1に示した黒鉛Aを含有してお
り、比較例であるNo.16及びNo.18は天然の鱗
状黒鉛を含有している。
【0046】
【表4】 配合作製以降の成形、焼成についても実施例1と全く同
様に実施した。耐熱衝撃性については、実施例1と同様
の評価方法とし、耐食性については実施例2と同様の評
価方法とした。
【0047】本発明の実施例であるNo.15は、比較
例であるNo.16に比較して黒鉛の含有量が少ないに
もかかわらず、熱衝撃抵抗係数が高いために耐熱衝撃性
に優れ、黒鉛が少ないために耐食性にも優れている。
【0048】また、本発明の実施例であるNo.17
は、比較例であるNo.18に比較して黒鉛の含有量が
少ないにもかかわらず、熱衝撃抵抗係数が高いために耐
熱衝撃性に優れ、黒鉛が少ないために耐食性にも優れて
いる。
【0049】実施例4 この実施例においては、本発明によって得た粒状黒鉛含
有耐火物を実炉試験に供した例を説明する。
【0050】表1に示すNo.1とNo.5の材質をロ
ングノズルの浸漬部に適用して、スラブ連鋳機にて実炉
試験に供した。
【0051】取鍋の容量は、230トン、1chあたり
の鋳造時間は約50分で、平均して15chを連続して
鋳造した。予熱温度は400℃程度である。それぞれの
材質を適用したロングノズルを各10本ずつ使用した結
果、No.1材質を適用したロングノズルは全数完鋳し
たが、No.5材質を適用したロングノズルは2本に鋳
造開始直後に熱衝撃に起因すると思われる亀裂が発生し
た。
【0052】
【発明の効果】本発明の粒状黒鉛を含有した黒鉛含有耐
火物は、同じ添加量の薄肉鱗状黒鉛や膨張黒鉛を含有し
た耐火物と比較して、耐食性を維持し耐熱衝撃性を向上
させ、且つ混練時の分散性、同一配向性、及び成形時の
充填性に起因する問題が解消され、品質の安定した製品
を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 膨張黒鉛の顕微鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B22D 41/32 B22D 41/54 41/54 C21C 5/44 Z C04B 35/043 F27D 1/00 N 35/103 C04B 35/00 W C21C 5/44 35/10 G F27D 1/00 35/04 E (56)参考文献 特開 昭57−3762(JP,A) 特開 昭63−101059(JP,A) 特公 平2−43698(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/00 C04B 35/043 C04B 35/103 C04B 35/482 C04B 35/80

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薄片状黒鉛による積層構造を有し、粒度
    50μm以上、かつアスペクト比0.5以上5未満の粒
    状黒鉛を1〜20重量%含有する粒状黒鉛含有耐火物。
  2. 【請求項2】 粒状黒鉛が、厚み20μm以下でアスペ
    クト比5以上の薄片状黒鉛にバインダーを添加して混練
    し、予め所定形状に造粒したものを乾燥又は焼成するこ
    とによって得られたものである請求項1に記載の粒状黒
    鉛含有耐火物。
  3. 【請求項3】 粒状黒鉛が、厚み20μm以下でアスペ
    クト比5以上の薄片状黒鉛にバインダーと溶剤を加えて
    スラリーとし、そのスラリーを任意の大きさの型枠に流
    し込み、乾燥又は焼成して成形体を得た後、所定形状に
    粉砕することによって得られたものである請求項1に記
    載の粒状黒鉛含有耐火物。
  4. 【請求項4】 天然黒鉛を酸処理した後、300〜75
    0℃の温度で熱処理した膨張黒鉛を粒度50μm以上、
    且つアスペクト比0.5以上5未満の形状に粉砕するこ
    とによって得られた粒状黒鉛を1〜20重量%含有する
    粒状黒鉛含有耐火物。
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